フリージング工程によるアイスクリームの品質制御フリージング工程によるアイスクリームの品質制御...

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フリージング工程によるアイスクリームの品質制御 誌名 誌名 ミルクサイエンス = Milk science ISSN ISSN 13430289 著者 著者 井上, 恵介 巻/号 巻/号 59巻1号 掲載ページ 掲載ページ p. 37-47 発行年月 発行年月 2010年4月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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フリージング工程によるアイスクリームの品質制御

誌名誌名 ミルクサイエンス = Milk science

ISSNISSN 13430289

著者著者 井上, 恵介

巻/号巻/号 59巻1号

掲載ページ掲載ページ p. 37-47

発行年月発行年月 2010年4月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

Page 2: フリージング工程によるアイスクリームの品質制御フリージング工程によるアイスクリームの品質制御 誌名 ミルクサイエンス = Milk science

Milk Science Vol. 59, No. 12010

平成21年度日本酪農科学会奨励賞受賞記念総説

「フリージング工程によるアイスクリームの品質制御」

井上恵介

(森永乳業株式会社,食品総合研究所,神奈川県座間市東原 5丁目 1-83,228-8583)

Control of quality of ice cream with freezing process

Keisuk巴 Inoue

(Food & Research Development Institute, Morinaga Milk Industry Co., Ltd.,

1-83, 5-chome, Higashihara, Zama, Kanagawa 228-8583, ]apan)

| 原料 |

| 混合・溶解 I 30~70"C

| 均質化 I 50~70"C

| 殺菌 |

| 冷却 |

| ェージング |

|フリージング|

| 充填 |

| 硬化・包装 |

| 貯蔵 |

化は最終的なアイスクリームの諸性質をも変化させる。

特にアイスクリームにとって重要な製造工程はフリージ

ング工程である。本報では,産業的には主に連続式フ

リーザー(図 2)を用いて行われるフリージング工程に

注目し,アイスクリーム組織及び物性にどのような変化

を与えるのか,また効率的なアイスクリーム開発を行う

為にどのような制御を行うのかについて紹介する。

フリージングの役割とは,ミックス中の水分を凍結さ

せ,氷結晶を生成させると同時に,空気を混入させ,撹

。~5"C

_3~_60C

フリージンゲとアイスクリーム組織の関係

680

C30分以上

0~5"C

2.

はじめに

アイスクリームは,好まれるデザートとして常に上位

に位置する曙好性の高い乳製品である1)。それ故,消費

者の期待に応えたおいしさをもっ高品質のアイスクリー

ムを開発し,提供する事はメーカーの重要な課題の 1

つである。一般的なアイスクリームは,乳脂肪分や無脂

乳固形分,糖類,乳化剤,安定剤(増粘多糖類など),

水分によって基礎部分が構成されており,加えて卵黄や

チョコレート,フルーツ類,ナッツ,抹茶などのさまざ

まな風味原料,場合によっては色素・香料なども添加さ

れ,加工されることでアイスクリームとなる。さらに,

カップやコーン,スティック,モナカなど,喫食状況に

応じたさまざまな形状の容器に充填され,バラエティに

富んだ製品として消費者に提供される。

学術的な面においても,乳脂肪分やその代替素材2-7)

や乳たんぱく質8-10) 糖類11-13),乳化剤5,6,9,12,14-17),

増粘多糖類13,18-20)などの原料が,アイスクリーム組織

や物性,官能に影響を与えることが報告されている。

一方,産業的に効率的かっ高品質のアイスクリームを

作る為には,製造工程も重要な役割を持つ。製造工程に

は,均質や殺菌,冷却,エージングなど,一定の製造フ

ロー(図 1)があり,製造安定化や衛生・品質管理を目

的とした加工がなされるが,同時に,均質による脂肪粒

子サイズの変化21-23)や殺菌に伴う乳たんぱく質の加熱

変性及びミックス粘度の上昇24),エージングによる脂

肪の結晶化25,26)など,製造工程中のその物理化学的な変ー18"C以下

-20~-30"C以下

アイスクリームの製造工程図図 1

連絡者(干228-8583 神奈川県座間市東原 5丁目 1-83,森永

乳業株式会社食品総合研究所 Tel:046-252-3032, Fax: 046 -252-3044, E-mail: [email protected]) 2010年 1月30日 受理

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38

函 2 連続式フリーザーA:連続式フリーザー CS-200(SOREN社製)

B:非30ダッシャー(スクレーパープレード付き)

図3 アイスクリームの構造(1)気泡, (2)脂肪球及び脂肪凝集体, (3)氷結品, (4)未凍結相

枠・混和によって気抱の微細化と脂肪球の部分的会合-

凝集体を形成させ,最終的にこれらが均一に分散した組

織を得ることである。組織面からみれば,アイスクリー

ムは気抱,脂肪球,氷結晶および未凍結相から構成され

る複雑な食品コロイド2わであり,これら組織要因が互

いに影響を及ぼしあいながら組織を形成し(鴎 3),最

終的に物性や風味を決定づける。それぞれの組織要因の

概要及びフリージング工程との関わりについて述べる。

(1)氷結品(図的

氷っぽさを感じず滑らかな組織を得るためには,でき

る限り氷結品を細かくすることが望ましL剖)。氷結晶

は,冷却を行うフリージング工程によって生成される

第59巻

図4 アイスクリーム中の氷結晶

が,その生成メカニズムについてはさまざまな報告があ

る。 Schwartberg29)は,シリンダーの冷却面に氷結品の

単層が生成されると,この層から中央に向けて樹脂状結

晶が生成され,その後スクレーパープレードによって根

元から掻き取られることで氷結品が生成されるモデルを

提案した。しかし加の研究グループ30)は,凍結面に樹

脂状の結晶は見られず,シリンダ一面に平行して氷の凝

集体が発生し,それが互いに合一することを観察してい

る。また, HartePl)は,シリンダー内で発生する氷結品

の合ーなどによる 2次核化によってブロック状の氷が

生成されるとしている。 Russellら28)は,ダッシャ一回

転を竿くしてスクレーパープレードによる揖き取り速度

を上げると,摩擦熱が発生して氷結晶接が融解すること

で氷結晶の合ーを加速させるため,氷結晶生成にとって

は結晶核生成よりも凝集や熟成のような再結品プロセス

のほうが重要であることを指摘している。未だフリー

ザー内における氷結晶生成メカニズムの理解は限定的で

はあるが,現在ではミックスはフリーザー内のシリン

ダーに投入された後,シリンダ一内面の熱交換部分で凍

結されることで氷の層を形成するが,このとき完全には

結品化されておらず,半凍結状の氷(多くの氷結晶核

と,濃縮された糖分やミネラルなどが含まれている)で

あり,その後,スクレーパープレードによってその層が

掻き取られ,掻き取られたその半凍結状の氷はシリン

ダー中心部に向かつて移動する。中央部はシリンダ…外

周部よりもわずかに温かいため,温かいミックスを冷却

しながら融解してしまうが,その一部は残存し,結品成

長していくとされている32)。

フリージングされたミックス,いわゆるアイスクリー

ムはフリーザー出口で -3~-60C程度に冷却される。

このとき,水分の約30~40%が凍結している。

また,フリージングの後工程である硬化工程(ハード

ニング)は,品質安定化を目的としてアイスクリームを

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第 l号

-180

C以下に冷却させる。本工程も氷結晶に影響を与

えることが知られるが,熱交換速度はフリージングより

も遅いため,本工程では氷結晶核は生成されずに,結晶

成長が優先的に起こる33)。

(2) 脂肪球(解乳化した脂肪)

脂肪は,アイスクリームの風味及び組織改良を目的と

して配合される。大量生産ラインでは,脂肪は 1~2μm

程度の脂肪球に均質化されているが,フリージング工程

での冷却と撹持によってその乳化状態は不安定になり,

解乳化を起こす。エージングが十分になされていれば,

脂肪球内の一部の脂肪は結晶化されているので,完全な

会合体とはならず,多くの脂肪球がブドウの房状になっ

た凝集体がアイスクリーム中に形成される。均質後のミ

ックスとフリージング後の脂肪球粒度分布の比較を示す

(図 5) 。ミックスは均質化されるため平均 1~2μm の

粒子径分布だが,脂肪球の解乳化(部分的な会合・凝集)

によって,より大きな粒度にピークが移行している。適

度な脂肪の解乳化はアイスクリームの組織構造を安定化

させ,クリーミーでドライな組織にする27)。しかし,

過度の解乳化は脂肪のチャーニングを引き起こし,バ

ターの粒がアイスクリーム中に散見され,ざらついた食

感となる。

(3) 気泡

アイスクリームの原料の中で,空気は最もコストの低

い素材である。空気の量はオーバーランとして表現され

るが,その空気の量はもちろんのこと,気泡の大きさや

個数もアイスクリームの硬さや融解性,食感に影響を与

える34-36)。連続式フリーザーでは,ミックスに定量的

に空気を送り込むことで目標のオーバーランに設定でき

る(ミックスと同体積の空気が含まれた場合はオーバー

ラン=100%となる)。取り込まれた空気は,撹持によ

14日

12日

10日

#: 8.0

凶器 6.日

4.日

2.0

日日

日.1 1日 10.0 日日日 10日日日

脂肪球径(ドm)

図5 フリージンゲ前(ミックス)とフリージンゲ後(アイスクリーム)の脂肪球径分布

39

って微細化されると同時に,増加したラプラス圧力によ

る気泡の合ーが起こるため,これらのバランスによって

サイズが決定される37)。また,冷却を伴わない撹持だ

けでは気泡は微細化せず,冷却を伴った撹枠によるミッ

クス粘度の増加及び脂肪の解乳化が気泡の微細化と安定

化を促す38)。

これらの関係からも,最終製品としては流通状況や保

存時の影響を受けるものの,フリージング工程によって

アイスクリームの組織特性がほぼ決定されるといっても

過言ではない。アイスクリーム製品の開発者はこれを経

験的に認識しており,さまざまな研究結果が報告されて

いる。

小久保ら39,40)は,排出温度(連続式フリーザーから排

出されたときのアイスクリームの温度)が低いほど,ま

たダッシャーの回転数及びオーバーランが高いほど脂肪

球の解乳化が進み, ドライな組織になることを示した。

さらに連続式フリーザーのダッシャー形状やスピード,

オーバーラン,排出温度は,アイスクリームの保形性や

硬さにも影響を与える36)。シリンダー内のミックス滞

留時間も氷結晶サイズを決定づける重要な要因であると

される11,28)。

また,新型フリーザー開発に関する報告もなされてい

る。空気の注入部と冷却を分離させることで気泡や氷結

晶を微細化させる方法41) また通常のフリーザーに再

循環設備を取り付け,半凍結されたミックスを再びフ

リーザーの中で冷却することで氷結晶化を促すもの31)

などがある。特に注目されている取り組みは,低温でフ

リージングを行うと氷結晶や気泡が徴細になり,脂肪の

解乳化も進むことで,組織が滑らかになり保形性も優れ

ることから,通常のフリーザーの最低冷却温度が-60

C

程度であるところを,さらに -15~-180Cまで冷却さ

せる超低温フリージング技術である。本分野の研究は盛

んに行われ16,42,43),本機構を有する超低温フリーザーは

実際に販売されている。風味や物性の改良,硬化工程の

効率化や省スペース化などの利点があるが,ヨウ素化の

高い乳化剤を使用した場合のバター粒子発生44),未凍

結水の減少によるアイスクリームが硬さの増加による充

填適性の悪化など,汎用性の面で課題も残る。

官能との関わりについていえば, Marsha1l32)らは「消

費者の多くが期待するアイスクリームとは口溶けが滑ら

かで,適度な食感を有していること」としている。しか

し,おいしさとは一面では食品自身の特性によって成立

しながらも,一方では食べる人と関わり方によって成立

されるもの45)であり,一意的に理想的なアイスクリー

ム組織及び物性が存在するわけではない。例えば,アイ

スクリーム中の氷結晶が55μm以上になると,食感は冷

たく,ザラツキを感じるとされる46)が,冷たく,ざら

ついた氷感のあるアイスクリーム製品が常に成立しない

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とは限らない。メーカーにとっては,消費者の食習慣や

トレンド(間接的には,製品コンセプト)に従ったアイ

スクリームを迅速,かっ効率的に作り出すシステム構築

が重要となる。次章から,連続式フリーザーを用いて期

待されるアイスクリーム組織を効率的に作り出すために

我々が取り組んでいるモデルの構築について述べる。

3. フリーザ一条件とアイスクリーム組織のモデル化47)

フリージング工程とアイスクリーム組織の定量的な関

係把握のために応答曲面計画を用いた。応答曲面計画と

は,様々なプロセスにおいて複数のパラメーターを同時

に変化させ,その効果を定量的にモデル化し,そして最

適化するために大変有効な体系的技法であり,食品産業

分野でもしばしば利用されている48~50)。アイスクリー

ムの研究分野でも,油脂の種類と乳化剤量,フリージン

グ温度(パッチ式フリーザー)がオーバーランと脂肪の

解乳化率に与える影響について応答曲面計画を用いて調

査した報告51)があり,油脂中の紅花油比率を高めると

オーバーランが低下することなどを明らかにしている。

パッチ式フリーザーの場合,オーバーランはほぼ成り

行きで決定される為に説明変数ではなく目的変数として

扱われるが,連続式フリーザーにとっては制御可能なパ

ラメーターの 1つであり,説明変数として設定できる。

現場でのオベレーターが制御可能な連続式フリーザー

のパラメーターであるミックス流量 (LjhパJfix),オー

バーラン(%; Ovr),排出温度 CC;Tem) ,シリンダー

内圧 (kPa;Cyl), ダッシャ一回転数 (rpm;Das)が,

主要な組織構成要素である脂肪の解乳化率 (Y1),気泡

径(九),氷結晶径(九)の 3要素に与える影響につ

いて調査した。実験計画のための条件設定を表 1に示

す。フリーザーの最大値及び最小値の設定値は機器的限

界及び製造適性を考慮し設定した。また,各項の係数間

比較を行う為に標準化を行った。当てはめたモデルは 2

次多項式を用いた(式 1)。

-416

< v~

V4

'0

5

ェ同4ZH

+

x

vhu

5VLH円

+ z

vnU

5V4一円

+

'hu --Y

(式1)

表 1 実験計画のためのフリーザ一条件設定

因 子 水 準フリーザ一条件

コード記号 1 O +1

ミックス流量 (L/h) X1 Mix 50 75 100 排出温度 (OC) X2 Tem 6.5 -5.0 3.5

オーバーラン(%) X3 Ovr 30 75 120

シリンダー内圧 (kPa) X4 Cyl 150 300 450

ダ(rpッmシ)ャ一回転数 Xs Das 114 222 330

1亨

第59巻

但し,Yは応答,X;, 島は因子の水準を表し,んが定

数で,biが1次項の係数,bii 1J' 2次項の係数,bijが交

互作用項の係数を示す。

各項のρ値を指標(ρ孟0.2)として不要項を除去した。

得られたモデルを示す(式 4~6)。なお,統計処理の都

合上,気泡径は対数変換してモデ、ルのあてはめを行った。

Y1 = 56.531 + ( -31.685) Tem + ( -0.673)Mix

+ (-4.182) Cyl+ (6.258)Das+ (10.110) Ovr

+(一7.526)Tem2 + ( -8.164)Das2

十 (5.098)Ovr2 + (1.468)Mix*Cyl

+ (-3.511)Mix*Das

log Y2=1.576+ (0.171) Tem+ (0.030)Mix

+ (0.037)Cyl+ (-0.054)Das

(式 4)

+ (0.065)Ovr+ (0.110)Das2

十 (-0.084)Ovr2+(0.004)Mix*Cyl

+ (-0.024)Mix*Das

+ (0.034)Mix*Ovr 式 5)

Y3=46.640 + (13.050) Tem+ (-4.308)Mix

+ (-2.515)Dαs+ (-3.632)Ovr

+ (10.310) Tem2 + ( -3.092) Ovr2

+ (2.753) Tem*Mix+ (一7.067)Tem*Dω

+ (2.096)Mix*Das 式 6)

但し,Mix (X1) :ミックス流量(L!h),

Tem (X2) :排出温度 CC),

Ovr (X3) :オーバーラン(%),

Cyl (X4) :シリンダー内圧 (kPa),

Das (Xs) :ダッシャ一回転数 (rpm)

脂肪の解乳化率モデル(式 4)は一次項の Temの係

数が高い数値を示しており,最も影響を与える因子であ

ることが示唆される。小久保ら39)は,排出温度を下げ

れば脂肪の解乳化率が上昇すると報告しているが,本モ

デルも同様の傾向を示している。他の因子を見ると,

Ovr,続いてDasの回帰係数が比較的大きく,かっ 2次

項も残っていることから重要な因子であることを示して

いる。

さらに気泡径モデル(式 5),および氷結晶径モデ、ル

(式 6)も同様に Temの1次項が最も影響を与える因子

であった。しかし,気泡径モデルは,脂肪の解乳化率モ

デルと同様に Ovrの1次項が 2番目に大きいものの,

MixとCylがほぼ同程度の大きさの 1次項を有している

こと,氷結晶径モデルでは Mixが1次項の中で 2番目

に大きい因子であり ,Cylの関連項はモデルからすべて

削除されたことが特徴的である。

これら 3モデルは,フリーザーの設定条件とアイス

クリームの組織構成要素との相関関係を定量的に示して

いる。つまり,配合組成が同じである場合,フリーザ一

条件設定によってどのような組織(脂肪の凝集率,気泡

径,氷結晶径)を持つアイスクリームができるのかを予

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41 第 1号

な気泡にとって不可欠であることを示しているお)。

(3) 氷結晶径への影響(図 8)

氷結晶は,Temが-5.00

Cより低い場合に Ovrの影響

が急激に大きくなる。つまり ,Temが-5.00

Cよりも

い場合は,氷結晶径は Temに影響に大きく依存する

が, -5.0oCより低い場合,Temだけではなく Ovrも相

乗的に影響を与えることを示している。これは空気が物

理的な障壁となって氷結品聞の衝突機会を減らすこと

で,微細な氷結晶を形成するためであると考えられてい

測できることを意味する。

フリージンゲ条件とアイスクリーム組織との関係

(TemとOvrの影響)

4.

排出温度がアイスクリームの特性にとって重要な因子

であることは,これまで述べた通りである。そこで, 3

主主で紹介したモデルを使って,排出温度 (Tem) と,

さらにオーバーラン (Ovr)に注目して,これら 2悶子

がアイスクリーム組織にどのような変化を与えるのかを

応答曲面で説明する。尚,他の因子は中央値で固定する。

120

90

60

80

70

110

100

(棋)」〉

O

(1) 脂肪の解乳化率への影響(図的

TemとOvrを同時に変化させたときの脂肪解乳化率

の変化を示す(図 6)。脂肪の解乳化率は Temに支配的

であるが,Ovrが高いときはその影響が強くなる傾向を

示している。 Temが-3.750

Cから -3.5"Cと高く,且つ

Ovrが低い場合に脂肪の解乳化率が最小となり ,Tem

が-6.00Cから -6.5"Cと低く立つ Omが100%から120%

と高い場合に最大となる。

-3.5 -4.0 -5.5 時 5.0 句 4.5

T em (OC) -6.0

50

30 -6.5

40

排出i震度 (Tem; OC)とオーバーラン (Ovr;%)

が気泡径 (μm) (こ与える影響.l7)

その他の因子は中央値で国定(ミックス流量 75 (L/h),シリンダー内圧 300 (kPa). ダッシャ一回転数 222 (rpm)) した。図内の数字は気泡のサイズ (μm)を表す。

図 7

(2) 気泡筏への影響(圏 7)

Omがおよそ80%を境にして,それより高い領域では

Temが支配的であるが,それより小さい領域では Ovr

の影響が認められる。 Temが 3.750

Cから -3.5"Cと高

く且つ Ovrが70%前後の場合に最大となり ,Temが-

5.750

Cから-6.5"Cと低く Omが50%から30%と小さい

場合に最小となっている。これはフリーザー内の撹枠だ

けではなし冷却するというプロセスが安定化した微細

120

90

40

80

70

110

60

50

100

(説)」〉

O

120

70

50

110

90

80

60

100

(揖)

L〉

O

30 -6.5

40

30 司 6.5 但 3.5-4.0 司 5.5 司 5.0 -4.5

Tem (白む)

山 6.0自 3.5同 4.0-5.0 四 4.5

Tem (OC)

山 5.5-6目。

排出混度 (Tem; OC)とオーバーラン (Ovr;%)

が氷品径 (μm)に与える影響471

その他の図子は中央値で閉定(ミックス流量 75 (し/h).シリンダー内圧 300 (kPa). ダッシャ一回転数 222 (rpm))囲内の数字は氷結晶のサイズ(μm) を章受す。

図8排出温度 (Tem; OC)とオーバーラン (Ovr;%)

が脂肪の解乳化率(%)に与える影響471

その他の因子は中央値で固定(ミックス流量 75 (し/h).シリンダー内fE 300 (kPa) .ダッシャ一回転数 222 (rpm))。閣内の数字は脂肪の解手L化王手(%)を表す。

悶6

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42

る18)。

5. フリーザ一条件が物性に与える影響

物性はアイスクリームのおいしさを決定付ける重要な

要素の 1つであり,それは配合組成や製造条件によっ

て決定される。アイスクリームに用いられる代表的な物

性指標には,ミックス粘度24) アイスクリームの融解

性や硬さ12,16,36),さらには動的粘弾性測定を用いてアイ

スクリームの微細構造や官能との関わりを評価したも

の42,44,52,53)など様々であるが,本章では,製品品質に直

結する物性である融解性と硬さに控目して,フリージン

グ工程との関わりについて述べる。

(1) 融解性

溶け易いアイスクリームは喫食中に手や衣服を汚すお

それがあるため,製品によっては融解に対する適度な耐

性(いわゆる保形性)が要求される。製品形状や外観を

重視するコーンタイプやスティックタイプ,ケーキタイ

プの製品にとっては特に重要な物性指標となる。一般的

には,以下の手法で評価する。アイスクリームをメッシ

ュに載せて,一定温度(通常は室温)で保持する。する

と,アイスクリームはしだいに融解し,経時的に下部の

メッシュから溶出してくるので,その溶出速度や量から

融解性を判断する。実際のカップアイスクリームの融解

試験状況を示す(図的。間一温度で保持された場合で

も,フリージングの排出温度が低い場合は融解しにくい

アイスクリームとなることは明白である。また,オー

バーランやダッシャ一回転数を上げたときも融解しにく

くなる34,36)。

組織との関係から見れば,脂肪の解乳化が進むと融解

性は低下する54)。さらに,脂肪の解乳化率はもちろん

のこと,氷結品サイズやミックスの粘性が融解性に与え

る影響を表した関係式(式 7)が, Muse & HarteF2)に

よって提案されている。

図9 融解試験

数字はフリージングの排出温度を表す。

第59巻

融解率=2.006 -0.046F -0.004K + 0.0391 (式 7)

F:脂肪の解乳化率(%),

K:コンシステンシー係数 (Pa.s),

1 氷結晶径 (μm)

(式7)から,アイスクリームの融解性は,脂肪の解

乳化率が低く,また氷結晶径が増加するほど高くなる,

即ち,溶けやすいアイスクリームとなる。彼らの実験で

は,オーバーランや気泡径との関わりを認めておらず,

式には含まれていない。この結果は, f自の研究者らの報

告34,36)と異なるが,実験でのオーバーラン範閤が狭すぎ

た為であると考察している。

(2) 硬さ

アイスクリームにおける硬さ(ハードネス)とは,食

べるときの食感はもちろんのこと,立反売屈での作業にと

っても重要な物性指標である。販売屈では多種多様なア

イスクリームが問じ冷凍庫に保管されるため,同じ温度

での硬さの違いは,販売員がスクープするときなどの作

業性に影響する32)。アイスクリーム中の凍結水分率

(Water frozen %)が増えると,硬さは指数関数的に増

大する55) (式 8)。

硬さ (kPa)=3.67・10-13・100,1708(Waterfrozen Ji()

(式8)

凍結水分率は保持温度によって決定されるが,ミック

スの成分調整による凍結点変更で,ある程度の制御が可

能である。ミックスの固形分の違いが凍結水分率に与え

る影響を示す(図10)。由形分中の水溶性成分(糖類や,

ミネラルなど)によって,凍結点は低下する。

しかし,凍結水分率は保持温度に大きく依存する性質

上,製品開発のための積極的な制御手段としては不十分

である。そこで我々は,フリージング工程による硬さの

制御可能性を検討する為, -150

Cで保存されたアイス

クリームの硬さとフリージング条件との相関関係をモデ

ル化した56)。硬さはペネトロメーター(図11) を用い

て測定した。なお,この温度おける本ミックスの凍結水

100

90

80

届4益桜3k 7 0 60

50

40

30

20

10 。G

ーーアイスクリームA国形分43.6覧

一一アイスクリームE図形分37目見

一一シャーベット回形分26.5弘

5 -10 司 15 -20 -25 -30 -35

温度CC)

図10 保持温度と凍結水分率との関係

Page 8: フリージング工程によるアイスクリームの品質制御フリージング工程によるアイスクリームの品質制御 誌名 ミルクサイエンス = Milk science

43

-3.5 -4.0 -4.5 -5.0

Tem (OC)

開 5.5ω6.0

120

30 -6,5

110

90

80

70

100

60

50

40

(揖)

L〉

O

排出温度 (Tem; 'C)とオーバーラン (Ovr;%)

が硬さに与える影響56)

その他の因子は中央値で固定した(ミックス流量75 (し/h),シリンダー内圧 300 (kPa) ,ダッシャ一回転数 222 (rpm)) 0 邸内の数字は食入度(mm)を表す。

図12

第 1号

ペネトロメーターと円錐形プローブ題11

くなるが,排出温度に関しては条件範閤内に最適傭

(Tem= -5.5)が存在している。本試験は 15'Cの保持

条件で測定されたことから,凍結水分率は一定である。

つまり,この製造条件のときに,やわらかいアイスク

リームとなる最適な総織が形成されていると考えられる。

(3) 硬さと組織との関わり

硬さが異なるアイスクリームの Cryo-SEM画像を比

較すると,硬いアイスクリーム(図13-1)は,氷結晶

が大きく,かっ気泡量は少ない(つまりオーバーランが

低い)。一方,やわらかいアイスクリーム(図13-2)は

氷結晶が小さく,さらに気泡の数(及び量)が多い。こ

のことからも組織と硬さには一定の関係があることが明

白である。オーバーランが増加すると硬さは指数関数的

に減少するお)(式 9)。

硬さ (kPa) 立 1740・10-0.007787 (Uverrun %)式 9)

さらに,我々の測定方法とは異なるが,オーバーラン

以外の組織構成要素と貫入度との関係を示す関係式が提

案されている12) (式10)。

貫入度=66.016-0.420V-27.073N

-0.0451 + 0.035R -0.033F

但し, V:凍結水分率(%),

N : Flow Behavior Index,

K:コンシステンシー係数 (Pa.s),

1 氷結品径 (um),

R:オーバーラン(%),

F:脂肪の解乳化率(%)

貫入度の数値が大きいほどやわらかいことを意味す

る。よって,ミックスの粘性指標にも依存するものの,

分率は77%である。得られたモデルは以下の通り(式 9)。

貫入度 (mm)

=9.713+ (-1.045) Tem+ (-0.258)Mix

+ (0.531)Cyl+ (-0.073)Das

+ (1.806) Ovr+ ( -1.585) Tem2

+(一0.750)Mix2+(-0.685)Cyf2

+ (0.622)Das2 + (0.860) Ovr2

+ (0.128) Tem*Mix+ (0.259) Tem*Cyl

+ (0.016) Tem* Das + (0.213) Tem*Ovr

+ (-0.282)Mix*Cyl+ (0.368)Mix*Das

+ (-0.740)Mix*Ovr+ (-0.495)Cyl*Das

+ (0.335) Cyl*Ovr+ (-0.816)Das*Ovr

0.0237K

(式10)

(式 9)

{区し,Mix (X1) :ミックス流量 (L/h),

Tem (X2) :排出温度 ('C),

Ovr (X3) : ;オーバーラン(%),

Cyl (X4) :シリンダー内圧 (kPa),

Das (Xs) :ダッシャー自転数 (rpm)

ベネトロメーターの62gの円錐形プロープ (40'φ24

mm)がアイスクリーム天窃から 5秒間自重で貫入した

値 (mm)を示しており,数値が大きいほどやわらかい

ことを示す。

このモデルを用いてその連続式フリーザーの 5因子

のうち,排出温度 (Tem) とオーバーラン (Ovr)がア

イスクリームの硬さに与える影響を示す(図12)0 Ovr

最大 (120%),かっ Tem=-5SCの時にアイスクリー

ムは最もやわらかくなり,逆に Ovr最小 (30%),かっ

Tem最大(-3.5)の時に最も硬くなるということを示

している。

やわらかくなったアイスクリームの製造条件に住居す

る。オーバーランに比例してアイスクリームはやわらか

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国13 硬さが異なるアイスクリームの Cryo-SEM画像

硬いアイスクリーム, 2 やわらかいアイスクリームA:気泡, I 氷結晶

オーバーランが増大するほど,また氷結晶筏や脂肪の解

乳化率が低下するほどやわらかくなることを示している。

一方,我々の研究から得られたモデルを展開した応答

曲面(劉 6~8, 12)は,同ーの配合及び製造条件で作

製されたアイスクリームの組織特性及び物性である。つ

まり,これらの応答曲面を利用して,同じアイスクリー

ムが有するさまざまな特性を同時に把握することが可能

である。氷結晶径の応答曲面(図 8) と硬さの応答曲頭

(国12)を比較すると,その曲面形状が似ていることが

わかる。この傾向から氷結晶経と硬さには比例関係(氷

結品が増大すると,硬くなる)にあることが予想され

る。しかし,氷結晶径は最低温度である 6SC付近で

最小となっており,最もやわらかかった時の排出温度

(Tem= -5.5) とはわずかにずれている。また,脂肪の

解乳化率の応答曲面(図的を見ると,オーバーランが

最大 (120%)かっ排出温度が最低(-6SC)のときに

解乳化率は最も高い値を示している。(式10)やTharp

らの報告別)からもわかるとおり,脂肪の解乳化が進む

第59巻

とアイスクリームは硬くなる。つまり,排出温度

(Tem)が 6SCの時は,氷結品径が最も小さくなる

が,同時に脂肪の解乳化も進んでしまう。

これまでの硬さに関する考察をまとめると以下の通り

である。アイスクリームにとって凍結水分率は硬さを決

定づける主要な昌子である。しかし,凍結水分率が一定

の場合(配合組成及び保持温度が一定である場合),高

オーバーランで微細な氷結晶,かつ過度の脂肪の解乳化

が生じていない場合にアイスクリームはやわらかくな

る。そして,これらを満たすフリージング条件は,本実

験範閤内では Ovr=120かっ Tem=-5SCであったと

推察される。

このように,製造条件と組織や物性との関係をモデル

化することは,これらの定量的関係を視覚的に把握する

ことにつながる。さらに,やわらかい組織だけではな

く,硬い組織を得たい場合や,オーバーランは低いが氷

結晶サイズは微細,且つ脂肪の解乳化はあまり進んでい

ないアイスクリームを得るためにはどのような製造条件

でやるべきかなど,期待される製品コンセプトの物性,

さらにはおいしさを得るにはどのような条件で製造すれ

ばよいのかという条件の最適化も可能とする。

6. おわりに

アイスクリームに限らず,食品の製品開発は開発者自

身の経験や感性を拠り所として,試作と試食の試行錯誤

によって進められることが多い。なぜなら,食品はさま

ざまな原料配合や製造工程が極めて複雑に絡み合ってそ

の性質が決定付けられるために,その因果関係を定量的

に解釈することが難しいからである。加えて,重要であ

りながら科学的解析が難解である“おいしさ"によって

評価されるということも問題をより複雑にしている。

今回は,アイスクリームの主要な製造工程の 1つで

あるフリージング工程と,アイスクリーム組織及び一部

の物性指標(融解性と硬さ)との相関関係について説明

した。しかし,原料の配合組成はもちろんのこと,その

他の製造工程との相関関係も存在する。そして最も重要

な点は,得られた組織及び物性が最終的に“おいしさ"

とどのように結びついているのかである。官能や噌好ま

でリンクしたモデルは,消費者ニースゃへと素早く対応

し,高品質の製品を創出するための重要なツールとなる

可能性を秘めている。

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