任意のオノマトペで表される 見た目、手触り、味・食感など...
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任意のオノマトペで表される
見た目、手触り、味・食感などを実現する材料・物理特徴量提案技術
電気通信大学
大学院情報理工学研究科総合情報学専攻
教授 坂本 真樹 [email protected]
http://www.sakamoto-lab.hc.uec.ac.jp
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従来技術とその問題点
•形容詞対を評価尺度とした
SD法(Semantic Differential Method)
によるあらかじめ定量化された尺度
での感性評価
*Osgood et al. (1957)が提案した手法
多数の評価尺度(形容詞対)を用いて、
諸概念を評定
従来の人の主観の定量化手法
新たな感性評価指標として, オノマトペに着目
被験者の評価が尺度の種類と幅によって制約を受ける 人は分析的に知覚しているのか?
さらさら
ざらざら
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発明者の従来技術 オノマトペによる感性評価システム
感覚入力を言葉でカテゴリ化する人の特性を利用した感性評価システム
●オノマトペのイメージ評価システム、イメージ評価装置、 及びイメージ評価用プログラム 特許第5354425 (登録日 2013年9月6日) 出願番号:特願2009-102796 (2009年4月21日) 清水祐一郎,土斐崎龍一,坂本真樹:オノマトペごとの微細な印象を推定するシステム,人工知能学会論文誌,29(1), 41-52 (2014) 2014年度人工知能学会論文賞受賞論文 ●オノマトペ自動生成システム 特許第5678836(登録日:2015年1月16日) 出願番号:特願2011-168539 (出願日2011年8月1日) 清水祐一郎,土斐崎龍一,鍵谷龍樹,坂本真樹:ユーザの感性的印象に適合したオノマトペを生成するシステム,人工知能学会論文誌,30(1),319-330 (2015)
質感・感性的 印象
オノマトペ 表現
オノマトペ生成
イメージ評価
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発明者の従来技術 オノマトペの音の 印象を定量化する システムとして特許出願 (2013年9月権利化)
2009年
●JST主催電気通信大学 新技術説明会 ●JST主催イノベーション ジャパン2010
2010年
移動体通信会社や印刷会社など 多数の企業と共同研究
オノマトペ生成システム 特許出願 (2015年1月権利化)
2011年
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発明者の従来技術
科学研究費補助金 新学術領域研究「質感脳情報学」公募研究(「さらさら」など視覚や触覚に関する質感をオノマトペで表す人の特徴を活用)
2011-2014年度
科学研究費補助金 新学術領域研究「多元質感知」総括班・計画代表 質感研究の国際拠点
2015-2019年度
視覚と触覚に関わる43尺度での質感評価システム
移動体通信会社、自動車会社、自動車部品会社、広告代理店、化粧品会社、飲料会社など多数の企業と共同研究、ソフトウェアライセンス
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発明者の従来技術
1.音韻特性によるオノマトペ印象予測
-全音韻を網羅するオノマトペの作成
-全ての音で2モーラ繰り返しの表現を作成
⇒ “アアアア”,“アイアイ”…など11,075個
-全てのオノマトペ標識を含む表現を作成
“フーワリ”,“ペットリ”など3,509個
全音韻を網羅かつイメージがわきやすい
オノマトペ312語を選定
システム構築手順
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発明者の従来技術
2.オノマトペの印象評価値を収集 【被験者】20~24歳までの大学生78名(男性51名・女性27名)
-13名×6グループに分ける
【刺激】312語のオノマトペ表現・43対の評価尺度
-52語×6グループに分ける
【方法】1語ずつ提示されたオノマトペの印象を7段階SD法で回答
3.実験結果:312語×尺度43対×被験者13名のデータ
-標準偏差2.0以上のデータ(273個)を削除
-各オノマトペの各評価尺度に対する平均評価値を算出
3 2 1 0 1 2 3
強い 1 弱いシンプルな 1 複雑な鋭い 1 鈍い安心な 1 不安な
かたい 1 やわらかい
非常に ←--- どちらともいえない ---→ 非常に
プニプニ
システム構築手順
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発明者の従来技術 システム構築手順
4.音韻が持つ印象データの解析 心理実験を介して収集データを数量化理論第Ⅰ類を用いて分析→各音韻の印象を43対の尺度で定量化
オノマトペの印象=各音韻の印象の線形和
オノマトペの感性的印象が43対の尺度で定量化
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発明者の従来技術 オノマトペ感性評価システムによる多数の応用研究
「どろどろした色に変えたい」
●オノマトペによる商品検索システム 「つるつるしたものがほしい」 画像のSIFT特徴+色+検索ページテキスト
●オノマトペによる色彩デザイン推薦
●オノマトペと素材の関係性の個人差可視化システム オノマトペを自由に二次元マップ上で操作
NHKクローズアップ現代、朝日新聞、日刊工業新聞など多数のメディア紹介
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発明者の従来技術 音象徴語によるコミュニケーション支援装置(特願2014-157792)
ガーンと痛いです
ハンマーで殴られたような 痛みですか?
⇒ くも膜下出血の確率高い
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発明者の従来技術とその問題点
オノマトペで表される印象の定量化技術であり、物理量などの特徴量との結びつきは間接的であった。
例:素材から想起されたオノマトペ入力→言語印象の数量化データを用いて特徴量との関係性を解析
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発明者の従来技術とその問題点 オノマトペと結びつく粘性画像・動画推薦システム
鍵谷龍樹,白川由貴,土斐崎龍一,渡邊淳司,丸谷和史,河邉隆寛,坂本真樹:粘性知覚に関する音象徴性の検討,人工知能学会論文誌,30(1), 237-245 (2015)
粘度予測モデル によって導出された値
素材動画 5種類の流れ方
©坂本真樹
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発明者の従来技術とその問題点 粘性動画提示システムの概要
動粘度を推定 質感評価 システム
動画の動粘度の類似度計算
オノマトペ入力
動画出力
43対の質感評価ベクトル
動粘度 = 0.3843***×(厚い-薄い)-0.9633***×(自然な-人工的な)
+0.2799***×(滑る-粘つく)-0.7768***×(鋭い-鈍い)
+0.7142***×(静的な-動的な)+3.4728
*** 0.1%水準で有意(両側)
重回帰分析より動粘度予測式を導出
実験で得られたオノマトペ625個全てを質感評価システムに入力
43対の質感評価値(質感評価ベクトル)から以下の重回帰式を導出
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発明者の従来技術とその問題点 画像検索方法,音象徴語取得方法,係数生成方法,プログラムおよび装置,特願2015-102432(出願日:2015年5月20日)
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発明者の従来技術とその問題点
画像データベース
質感評価システム
画像とオノマトペの類似度 画像の質感印象の予測
明るい :0.53 やわらかい :0.81
質感ベクトル
明るい :0.53 やわらかい :0.81
質感ベクトル
オノマトペの質感印象
画像の質感印象
オノマトペ
検索結果
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新技術の特徴・従来技術との比較
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新技術の特徴・従来技術との比較
1.素材と結びつくオノマトペを被験者実験で取得
対象とする製品カテゴリの物理特徴を網羅するよ
うな製品群
音韻を網羅するオノマトペ刺激を
被験者に提示
刺激の印象をオノマトペで回答
さらさら
ごつごつ
音韻物理特徴テーブル取得方法例:実験で取得
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新技術の特徴・従来技術との比較 2.実験で得られたオノマトペを分解し音韻ごとに仮の数字 を割り振ることで,以下のような表を作成(触覚版)
刺激 摩擦係数 子音1 母音1 拗音1 濁音1 子音2 母音2
対象A 0.2 1 1 1 1 2 1
対象B 0.7 2 2 1 1 4 2
対象C 0.1 2 3 2 1 5 3
対象D 1.2 4 2 1 2 6 2
対象E 0.4 3 4 1 1 2 4
対象F 0.8 5 2 2 1 1 5
重回帰分析により,それぞれの音韻がもつ影響度を算出
実験によって得られなった音韻については,その物理特徴値との関連がないとみなすことができるため,影響度は0とする
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新技術の特徴・従来技術との比較
3.実験によって得られたオノマトペの各音韻と製品の物理特徴値の関係性を推定することで,音韻ごとの物理特徴への影響度を算出(触覚版)
データテーブルイメージ 子音行 濁音
評価尺度 /t/ /n/ /r/ 濁音 半濁音
摩擦係数 0.6 0.1 0.5 0.9 0.6
温度 22.4 32.9 8.2 25.0 4.7
弾性率 0.05 0.27 0.12 0.02 0.19
水分量 5.1% 10.4% 9.2% 1.1% 4.2%
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新技術の特徴・従来技術との比較 2.実験で得られたオノマトペを分解し音韻ごとに仮の数字 を割り振ることで,以下のような表を作成(味覚版)
重回帰分析により,それぞれの音韻がもつ影響度を算出
実験によって得られなった音韻については,その物理特徴値との関連がないとみなすことができるため,影響度は0とする
刺激 バター(パン100gあたり) 子音1 母音1 拗音1 濁音1 子音2 母音2
対象A 14g 1 1 1 1 2 1
対象B 12g 2 2 1 1 4 2
対象C 10g 2 3 2 1 5 3
対象D 8g 4 2 1 2 6 2
対象E 9g 3 4 1 1 2 4
対象F 15g 5 2 2 1 1 5
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新技術の特徴・従来技術との比較
3.実験によって得られたオノマトペの各音韻と製品の物理特徴値の関係性を推定することで,音韻ごとの物理特徴への影響度を算出(味覚版)
データテーブルイメージ 子音行 濁音
評価尺度 /t/ /n/ /r/ 濁音 半濁音
強力粉(g) 70 40 50 10 20
薄力粉(g) 20 10 30 25 10
砂糖(g) 7 10 3 0.5 15
バター(g) 3 11 2 2 12
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実用化に向けた課題 • 現在、仮の素材について音韻物理データテーブルが作成できている。しかし、実際の製品での評価は実施していない。
• 今後、実際の製品を用いて実験データを取得し、「さらさらしたものがほしい」といった要望、さらには「まふまふ感がほしい」といった新規オノマトペで求められる新しい質感を実現する物理量を提示できるようにしたい。
• 実社会の多様な製品カテゴリに対応できる物理と音韻を結び付けた質感データベースを構築したい。
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想定される用途と企業への期待
• 本技術の特徴を生かすために、五感、感性、質感が重要な製品を開発している企業と連携したい。顧客が直感的な言語表現で求める製品を実現したいという企業に貢献したい。
• 発明者の従来技術である「オノマトペ感性評価システム」の実績を踏まえると、音韻を網羅するオノマトペ300個程度が取得できれば、あらゆるオノマトペに対応可能である。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :音象徴語・物理特徴情報提供装置,音象徴語・物理特徴情報提供方法および音象徴語・物理特徴情報提供プログラム
• 出願番号 :特願2015-178379
• 出願人 :電気通信大学
• 発明者 :坂本真樹
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お問い合わせ先(必須)
電気通信大学
産学連携コーディネーター 今田 智勝
TEL 042-443- 5724
FAX 042-443- 5726
e-mail imada@sangaku.uec.ac.jp