セカンドオピニオン...2020/08/21  ·...

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セカンドオピニオン 株式会社格付投資情報センター Copyright(C) 2020 Rating and Investment Information, Inc. All rights reserved. 101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア(お問い合わせ)マーケティング本部 カスタマーサービス部 TEL 03-6273-7471 セカンドオピニオンは、企業等が環境保全および社会貢献等を目的とする資金調達のために策定するフレームワークについての公的機関または民間団体等が策定する当該資金調達 に関連する原則等との評価時点における適合性に対する R&I の意見であり、事実の表明ではありません。また、R&I は、適合以外の事柄につき意見を表明するものではなく、資金 調達の目的となる成果の証明、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&I は、セカンドオピニオンに際し関連情報の正確性等につき独 自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&I は、セカンドオピニオンに関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。セカンドオピニオ ンは、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につき本稿末尾をご覧下さい。 1/8 株式会社ホンダファイナンス グリーンボンドフレームワーク 2020 8 21 格付企画調査室 ESG 評価部 担当アナリスト:長尾 格付投資情報センター(R&I)は、ホンダファイナンス(以下、発行体)が策定したグリーンボンドフレー ムワークが「グリーンボンド原則 2018」及び「環境省グリーンボンドガイドライン 2020 年版」に適合して いることを確認した。オピニオンは下記の見解に基づいている。 ■オピニオン概要 (1)調達資金の使途 調達資金は発行体が過去 3 年以内に取り扱った電動車(ハイブリッド車:HV、プラグインハイブリッド 車:PHEV、燃料電池自動車:FCV、バッテリーEVEV)のオートローン債権のうち、WLTC モード において CO2 排出量原単位が IEA Mobility Model で提示される乗用車の排出量閾値を下回る性能を持 つ車両を対象とした債権のリファイナンスに充当する。適格基準により選定された車両は十分な環境改 善効果(走行時の CO2 排出量削減)が期待できる。リチウムイオン電池は自動車再資源化協力機構への 委託を通じて回収に努めるなど、環境面・社会面におけるネガティブな影響に配慮している。グリーン ボンドの資金使途として妥当である。 (2)プロジェクトの評価と選定のプロセス ホンダグループが掲げる「2030 年をめどに四輪車販売の 3 分の 2 を、電動化技術を搭載した機種に置き 換える」という目標に資する適格基準を定め、この基準を満たす車両向け債権のリファイナンス資金と して調達資金を充当する。資金充当対象となる債権の裏付資産となる四輪車の選定については、発行体 の事業管理部と親会社の本田技研工業が協議のうえ、明確な基準を定めている。プロジェクトの評価と 選定のプロセスは適切である。 (3)調達資金の管理 調達資金は発行体の事業管理部が管理フローに基づき管理する。グリーンボンド発行直後に調達資金全 額が適格債権に充当される。また、事業管理部は年に 1 度、グリーンボンド発行残高の総額が事業年度 末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高を上回っていないことを確認し事業管理部担当役員の 承認を得る。 R&I は、本田技研工業の方針から電動車の販売割合は今後もさらに高まることが見込まれ、 事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高はグリーンボンドの発行残高を十分上回るも のと考えている。調達資金の管理は適切である。 (4)レポーティング レポーティングはグリーンボンド発行直後、並びに年に 1 度、資金充当状況と環境改善効果をホームペ ージに開示する予定。環境改善効果に関する開示内容は CO2 排出抑制量の推計値を予定しており妥当で ある。

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Page 1: セカンドオピニオン...2020/08/21  · 発行体は「質の高い金融サービスの提供と定着によるHonda ブランドの強化」を中期方針として掲げ、

セカンドオピニオン

株式会社格付投資情報センター Copyright(C) 2020 Rating and Investment Information, Inc. All rights reserved.

〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア(お問い合わせ)マーケティング本部 カスタマーサービス部 TEL 03-6273-7471 セカンドオピニオンは、企業等が環境保全および社会貢献等を目的とする資金調達のために策定するフレームワークについての公的機関または民間団体等が策定する当該資金調達

に関連する原則等との評価時点における適合性に対する R&I の意見であり、事実の表明ではありません。また、R&I は、適合以外の事柄につき意見を表明するものではなく、資金

調達の目的となる成果の証明、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&I は、セカンドオピニオンに際し関連情報の正確性等につき独

自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&I は、セカンドオピニオンに関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。セカンドオピニオ

ンは、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につき本稿末尾をご覧下さい。

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株式会社ホンダファイナンス グリーンボンドフレームワーク

2020年 8月 21日

格付企画調査室 ESG評価部

担当アナリスト:長尾 龍

格付投資情報センター(R&I)は、ホンダファイナンス(以下、発行体)が策定したグリーンボンドフレー

ムワークが「グリーンボンド原則 2018」及び「環境省グリーンボンドガイドライン 2020 年版」に適合していることを確認した。オピニオンは下記の見解に基づいている。

■オピニオン概要

(1)調達資金の使途 調達資金は発行体が過去 3 年以内に取り扱った電動車(ハイブリッド車:HV、プラグインハイブリッド

車:PHEV、燃料電池自動車:FCV、バッテリーEV:EV)のオートローン債権のうち、WLTC モード において CO2排出量原単位が IEA Mobility Model で提示される乗用車の排出量閾値を下回る性能を持つ車両を対象とした債権のリファイナンスに充当する。適格基準により選定された車両は十分な環境改善効果(走行時の CO2排出量削減)が期待できる。リチウムイオン電池は自動車再資源化協力機構への委託を通じて回収に努めるなど、環境面・社会面におけるネガティブな影響に配慮している。グリーンボンドの資金使途として妥当である。

(2)プロジェクトの評価と選定のプロセス ホンダグループが掲げる「2030 年をめどに四輪車販売の 3 分の 2 を、電動化技術を搭載した機種に置き

換える」という目標に資する適格基準を定め、この基準を満たす車両向け債権のリファイナンス資金として調達資金を充当する。資金充当対象となる債権の裏付資産となる四輪車の選定については、発行体の事業管理部と親会社の本田技研工業が協議のうえ、明確な基準を定めている。プロジェクトの評価と選定のプロセスは適切である。

(3)調達資金の管理 調達資金は発行体の事業管理部が管理フローに基づき管理する。グリーンボンド発行直後に調達資金全

額が適格債権に充当される。また、事業管理部は年に 1 度、グリーンボンド発行残高の総額が事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高を上回っていないことを確認し事業管理部担当役員の承認を得る。R&I は、本田技研工業の方針から電動車の販売割合は今後もさらに高まることが見込まれ、事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高はグリーンボンドの発行残高を十分上回るものと考えている。調達資金の管理は適切である。

(4)レポーティング レポーティングはグリーンボンド発行直後、並びに年に 1 度、資金充当状況と環境改善効果をホームペ

ージに開示する予定。環境改善効果に関する開示内容は CO2排出抑制量の推計値を予定しており妥当である。

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セカンドオピニオン

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発行体の概要

本田技研工業全額出資の販売金融子会社。グループにおける国内唯一の販売金融子会社として、Honda製品の購入に係るクレジット商品の提供を主軸として、個人/法人のカーリース事業も営んでいる。加えて、Honda 販売会社及びグループ会社に対して、設備/デモカーのリース、仕入資金等の資金を融資する事業も行っている。親会社との間でキープウェル契約を締結しており、親会社の支援意思が明確に示されている。経営の一体性は極めて強い。

発行体は、「質の高い金融サービスの提供と定着による Honda ブランドの強化」を中期方針として掲げ、「多様化する顧客ニーズを捉えた新価値の提供」「新しい時代における競争力あるオペレーションへの進化」「大転換期を勝ち抜く競争力源泉の強化」を重点目標として事業に取り組んでいる。

1. 調達資金の使途

(1) 対象プロジェクト

グリーンボンドで調達した資金は、ホンダ車の販売におけるクレジット契約による購入代金の立替払い債権のうち、適格基準を満たす車両の債権(適格債権)に充当される。調達資金の充当対象には中古車を含む。

<適格基準>

ホンダグループの掲げる「2030 年をめどに四輪車販売の 3 分の 2 を、電動化技術を搭載した機種に置き換える」という目標に資する四輪車。なお、WLTC モード 1の燃費をもとに算出する CO2排出量原単位が IEA Mobility Model2で提示される乗用車の排出量閾値を下回る性能を持つ電動車(HV、PHEV、FCV、EV)に限定する。

資金の使途はグリーンボンド原則における「クリーン輸送」に該当する。

充当対象の債権は、払込日から起算して過去 3 年以内または払込日以降償還日までに取扱ったものである。発行当初は調達資金を全額リファイナンス資金として充当する。返済期間は 3 年から 5 年の契約が多く、最長でも 7 年となっている。

調達資金の使途は発行体のウェブサイトに開示する「グリーンボンドフレームワーク」に記載される。また、当該グリーンボンドフレームワークに則って発行する債券の発行登録追補書類にも同様に記載される。

1 WLTC モード:Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle. 市街地モードや高速道路モードなど、各走行モ

ードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な試験法。実用燃費に近い試験方法となる為、JC08 モード燃費に比

べ、燃費は同水準又は低くなる傾向がある。なお、JC08 モードは国土交通省による日本独自の燃費測定法。原動機冷

却状態及び原動機暖機状態によりそれぞれ算定した燃費値を加重調和平均により算定。2016 年 10 月から段階的に

WLTC モードへの切り替えが進められている。 2 国際エネルギー機関(IEA)の開発するシミュレーションモデルであり、2 度シナリオ(2100 年までに世界的な気温

上昇を 2 度未満に保つことを想定したシナリオ)達成に向けた 2050 年までの乗用車 CO2排出量閾値を提示している。

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(2) 環境改善効果

適格車両はパリ協定の 2℃目標と整合的なデータに基づき設定した基準値を満たす。HV であっても基準値を満たさない車両は充当対象にはならない。適格基準は高い環境改善効果をもたらすと評価できる。

HV に関しては CO2排出量が抑制されるとはいえ、ガソリンを燃焼する機構を持つという論点がある。2018 年 8 月に経済産業大臣主催の「自動車新時代戦略会議」が取りまとめた「自動車新時代戦略会議中間整理」では長期ゴールとして「2050 年までに世界で供給する日本車について世界最高水準の環境性能を実現する」こととした。具体的には 2030 年までに乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を 5~7 割とすることを目指して、目標とする販売台数構成比を 2030 年に HV が 30%~40%、PHEVと EV を 20%~30%とした。現状で構成比が最も高いエンジン搭載車(HV を含む)の燃費を改善しなければ、パリ協定が目標にする CO2排出総量の抑制は難しいという状況を反映した政策といえる。電源構成や電池の製造・廃棄などといった要素までを含めた車両のライフサイクル全体での CO2排出量をみた場合には HV、PHEV、FCV、EV の比較に関して議論すべき点が残っている。国内での走行を前提とすれば、信号機が多く停車と発進を頻繁に繰り返すことが想定され、低速走行時に電力を利用する HVの普及は CO2排出総量の抑制に寄与すると考えられる。

ホンダグループの掲げる「2030 年をめどに四輪車販売の 3 分の 2 を、電動化技術を搭載した機種に置き換える」という目標のもと、発行体が販売会社と協力することで適格基準を満たす車両の普及が進めば、環境改善効果が期待できる。

(3) 環境面・社会面におけるネガティブな影響への配慮

電動車には環境面におけるネガティブな影響として、バッテリーを使用することによる資源の枯渇及び環境汚染が予想される。ハイブリッド車用駆動用バッテリーとして搭載されているリチウムイオン電池はこれまでリサイクルが難しいとされてきたが、ホンダグループは共同研究により同電池の高度リサイクル技術を確立し、今後は使用済リチウムイオン電池の安全な処理、部品のリユース及び含有金属の再資源化を行っていく方針である。

適格基準を満たす車両には中古車が含まれるため、リチウムイオン電池を搭載した電動車の他、ニッケル水素電池を搭載した電動車がある。ニッケル水素電池はレアメタルを多く含み資源としての価値があり回収市場が発達している。レアメタルは含むが金属価値対比で再資源化費用が高くつくリチウムイオン電池については回収市場が未発達であることから、自動車再資源化協力機構への委託を通じて回収に努めている。

ホンダは環境面の重要課題の 1 つとして「資源の効率利用」を掲げ、資源調達段階から使用済み製品の回収、廃棄段階に至るまでに発生する、資源と廃棄におけるリスクのゼロ化を目指し、社内外のステークホルダーと協力、連携しながら取り組みを進めていることをグリーンボンドフレームワークに記載している。

R&I は調達資金の使途は妥当と評価した。調達資金は発行体が過去 3 年以内に取り扱った電動車(ハイブリッド車:HV、プラグインハイブリッド車:PHEV、燃料電池自動車:FCV、バッテリーEV:EV)のオートローン債権のうち、WLTC モードにおいて CO2排出量原単位が IEA Mobility Model で提示される乗用車の排出量閾値を下回る性能を持つ車両を対象とした債権のリファイナンスに充当している。適格基準により選定された車両は十分な環境改善効果(走行時の CO2排出量削減)が期待できる。リチウムイオン電池は自動車再資源化協力機構への委託を通じて回収に努めるなど、環境面・社会面におけるネガティブな影響に配慮している。以上よりグリーンボンドの資金使途として妥当である。

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2. プロジェクトの評価と選定のプロセス

(1) 包括的な目標、戦略等への組み込み

発行体は国内における Honda 製品の販売で極めて重要な役割を担っている。ホンダグループは、グループの全ての企業とそこで働く従業員の価値観として共有され、あらゆる企業活動と、従業員の行動や判断の基準となる『Honda フィロソフィー』を有する。この Honda フィロソフィーのもと、企業の成長機会の創出とサステナブルな社会の実現を両立させるため、21 世紀の方向性として「存在を期待される企業」を掲げ、「喜びの創造」「喜びの拡大」「喜びを次世代へ」という取り組みを推進している。これらの実現に向けて、ホンダが進むべき方向性を具体的に示したマイルストーンとして「2030 年ビジョン」を掲げている。ホンダグループは、商品・サービスを通した価値の提供によってステークホルダーの期待・要請に応えるとともに、環境や社会に対する影響への配慮など、企業の社会的責任を果たすことや、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することを目指している。

[出所:Honda Sustainability Report 2020から抜粋のうえ一部加工]

長期ビジョン達成に向けて、取り組むべき重要な課題をホンダグループとステークホルダーの 2 つの視点から整理し、洗い出した課題の中でも優先的に取り組むべきものとして「気候変動・エネルギー問題への対応」「クリーンな大気の保全」「電動化の推進」等を最重要課題と定めて全社戦略に織り込んでいる。「電動化の推進」においてホンダグループは 2030 年をめどに四輪車販売の 3 分の 2 を、電動化技術を搭載した機種に置き換える目標を掲げている。

発行体はホンダグループにおける国内唯一の販売金融子会社として、ホンダ車を購入する顧客へ資金面からサポートすることで、グループの目標に貢献している。発行体はグリーンボンド発行を通じ、資金調達手段の多様化を進めるとともに、販売会社と協力し Honda 製品の普及に努めていく方針である。

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セカンドオピニオン

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[出所:Honda Sustainability Report 2020 から抜粋のうえ一部加工]

(2) プロジェクトの評価・選定の判断規準

ホンダグループは環境課題に関しては 1960 年代から向き合ってきた。「自由な移動の喜び」「豊かで持続可能な社会」の実現に向け、グローバルに展開するホンダの各事業所では、あらゆる環境負荷の低減に取り組んでいる。その取り組みは、気候変動の原因とされる温室効果ガスの排出量やエネルギー使用量の低減をはじめ、水資源や鉱物資源の効率利用、廃棄物の適切な処理と低減など、「製品」と「企業活動」の両面にわたっている。

発行体は適格基準に IEA の開発するシミュレーションモデル(IEA Mobility Model)で提示される乗用車の CO2排出量閾値を基準値として採用した。また、実用燃費に近い WLTC モードに基づく CO2排出量原単位を当該基準値に照らして環境改善効果が高い車両に資金を充当する。

(3) プロジェクトの評価・選定の判断を行う際のプロセス

適格基準については、発行体の事業管理部と親会社の本田技研工業が協議して、適格債権への資金充当がホンダグループの目標に資するものとして策定されている。そのため、実際に資金充当業務を担う事業管理部は適格基準に合う車両を選定すれば環境の観点から適切性を確保できる。

事業管理部は適格基準を満たす車種を選定し、適格債権を特定する。車両の 1 台 1km 当たり CO2排出量は実用燃費に近い WLTC モードに基づく CO2排出原単位を用いて算出する。

R&I はプロジェクトの評価と選定のプロセスは適切と評価した。ホンダグループが掲げる「2030 年をめどに四輪車販売の 3 分の 2 を、電動化技術を搭載した機種に置き換える」という目標に資する適格基準を定め、

モビリティデバイドの解消

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この基準を満たす車両向け債権のリファイナンス資金として調達資金を充当している。資金充当対象となる債権の裏付資産となる四輪車の選定については、発行体の事業管理部と親会社の本田技研工業が協議のうえ、明確な基準を定めている。以上よりグリーンボンドにおけるプロジェクトの評価と選定のプロセスは適切である。

3. 調達資金の管理 調達資金の管理方法については「グリーンボンドフレームワーク」に記載されている。

債権の分別や債権回収は社内システムで管理している。オートローンは約定弁済、あるいは期限前弁済により債権残高が減少する。一方、電動車の販売により毎月新規の適格債権が発生する。そのため、発行体の事業管理部は年に 1 度、グリーンボンドの発行残高総額が事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高を上回っていないことを確認する。事業管理部はその確認結果について事業管理部担当役員の承認を得る。なお、適格債権残高には資産担保証券の裏付資産となっている債権は算入されない。

事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高がグリーンボンドの発行残高の総額を下回った場合は、下回った額と等しい額(未充当資金)を現金または現金同等物により管理する。調達資金は調達日に全て対象プロジェクトのリファイナンス資金として充当されるため、当初は未充当資金は発生しない。R&I は、本田技研工業の方針から電動車の販売割合は今後もさらに高まることが見込まれ、事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高はグリーンボンドの発行残高総額を十分上回るものと考えている。

未充当資金の運用方法は妥当である。

R&I は調達資金の管理は適切と評価した。調達資金は発行体の事業管理部が管理フローに基づき管理する。グリーンボンド発行直後に調達資金全額が適格債権に充当される。また、事業管理部は年に 1 度、グリーンボンド発行残高総額が事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高を上回っていないことを確認し事業管理部担当役員の承認を得る。調達資金の管理は適切であるうえ、事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高についても本田技研工業の方針から電動車の販売割合は今後もさらに高まることが見込まれることから、グリーンボンドの発行残高を十分上回るものと考えている。

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4. レポーティング

(1) 開示の概要

発行体によるレポーティングの概要は以下の通り。

開示事項 開示タイミング 開示方法

資金充当状況

①グリーンボンド発行残高総額 ②適格債権残高 3 ③①が②を上回っていない旨 ④事業管理部担当役員による③の表

発行直後・年に 1度

発行体ウェブサイト

効果

適格債権の裏付資産となる電動車の燃費性能に基づいて算出した CO2削減量の推計値(t-CO2)

発行直後・年に 1度

発行体ウェブサイト

調達資金の充当計画に大きな変更が生じた場合や、充当後に充当状況に大きな変化が生じた場合は、速やかに開示する。

(2) 環境改善効果に係る指標、算定方法等

発行体は環境改善効果について、グリーンボンドが全額償還されるまで合理的に実行可能な限り年 1 回、適格債権の裏付資産となる電動車の燃費性能に基づいて算出した CO2削減量の推計値(t-CO2)を開示する。

① 適格債権の裏付資産となる電動車の燃費性能に基づいて算出した CO2削減量の推計値(t-CO2)

② 上記①の推計値を事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高総額で除して、グリーンボンド発行残高を乗じることで推計されるグリーンボンドによる調達資金を充当した車両により削減された CO2削減量の推計値

R&I はレポーティングを適切と評価した。レポーティングはグリーンボンド発行直後、並びに年に 1 度、資金充当状況と環境改善効果をホームページに開示する予定で、環境改善効果に関する開示内容は CO2排出抑制量の推計値を予定しており妥当である。

以 上

3 適格債権残高は、発行直後のレポーティングにおいては発行直前の適格債権残高、年に 1 度のレポーティングにおい

ては事業年度末時点から起算して過去 3 年以内の適格債権残高とする。

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【留意事項】 セカンドオピニオンは、信用格付業ではなく、金融商品取引業等に関する内閣府令第299条第1項第28号に規定される関連業務(信用格付業以

外の業務であって、信用格付行為に関連する業務)です。当該業務に関しては、信用格付行為に不当な影響を及ぼさないための措置と、信用格付と誤認

されることを防止するための措置が法令上要請されています。 セカンドオピニオンは、企業等が環境保全および社会貢献等を目的とする資金調達のために策定するフレームワークについての公的機関または民間

団体等が策定する当該資金調達に関連する原則等との評価時点における適合性に対する R&I の意見です。R&I はセカンドオピニオンによって、適合

性以外の事柄(債券発行がフレームワークに従っていること、資金調達の目的となるプロジェクトの実施状況等を含みます)について、何ら意見を表

明するものではありません。また、セカンドオピニオンは資金調達の目的となるプロジェクトを実施することによる成果等を証明するものではなく、

成果等について責任を負うものではありません。セカンドオピニオンは、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の表明ではなく、またそ

のように解されてはならないものであるとともに、投資判断や財務に関する助言を構成するものでも、特定の証券の取得、売却又は保有等を推奨する

ものでもありません。セカンドオピニオンは、特定の投資家のために投資の適切性について述べるものでもありません。R&I はセカンドオピニオンを

行うに際し、各投資家において、取得、売却又は保有等の対象となる各証券について自ら調査し、これを評価していただくことを前提としております。

投資判断は、各投資家の自己責任の下に行われなければなりません。 R&I がセカンドオピニオンを行うに際して用いた情報は、R&I がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、R&I は、これらの情報

の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&I は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、商品性、及び特定目的への

適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明又は保証をするものではありません。 R&I は、R&I がセカンドオピニオンを行うに際して用いた情報、セカンドオピニオンの意見の誤り、脱漏、不適切性若しくは不十分性、又はこれら

の情報やセカンドオピニオンの使用に起因又は関連して発生する全ての損害、損失又は費用(損害の性質如何を問わず、直接損害、間接損害、通常損

害、特別損害、結果損害、補填損害、付随損害、逸失利益、非金銭的損害その他一切の損害を含むとともに、弁護士その他の専門家の費用を含むもの

とします)について、債務不履行、不法行為又は不当利得その他請求原因の如何や R&I の帰責性を問わず、いかなる者に対しても何ら義務又は責任を

負わないものとします。セカンドオピニオンに関する一切の権利・利益(特許権、著作権その他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、R&I に帰

属します。R&I の事前の書面による許諾無く、評価方法の全部又は一部を自己使用の目的を超えて使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳

及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。 セカンドオピニオンは、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。 【専門性・第三者性】 R&I は 2016 年に R&I グリーンボンドアセスメント業務を開始して以来、多数の評価実績から得られた知見を蓄積しています。2017 年から ICMA(国際資本市場協会)に事務局を置くグリーンボンド原則/ソーシャルボンド原則にオブザーバーとして加入しています。2018 年から環境省のグリ

ーンボンド等の発行促進体制整備支援事業の発行支援者(外部レビュー部門)に登録しています。 R&I の評価方法、評価実績等については R&I のウェブサイト(https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html)に記載しています。 R&I と資金調達者との間に利益相反が生じると考えられる資本関係及び人的関係はありません。

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グリーンボンド/グリーンボンド・プログラム

独立した外部レビューフォーム

セクション 1. 基本情報

発行体名:株式会社ホンダファイナンス

グリーンボンドの ISIN 又は 発行体のグリーンボンド発行に関するフレームワーク名(該当する場

合): 株式会社ホンダファイナンス グリーンボンドフレームワーク

独立した外部レビュー実施者名:格付投資情報センター

本フォーム記入完了日: 2020 年 8 月 21 日

レビュー発表日:2020 年 8 月 21 日

セクション 2. レビュー概要

レビュー範囲

必要に応じて、レビューの範囲を要約するために以下の項目を利用又は採用する。

本レビューでは、以下の要素を評価し、グリーンボンド原則(以下、GBP)との整合性を確認した:

☒ 調達資金の使途 ☒ プロジェクトの評価と選定のプロセス ☒ 調達資金の管理 ☒ レポーティング

独立した外部レビュー実施者の役割

☒ セカンドオピニオン ☐ 認証

☐ 検証 ☐ スコアリング/レーティング(格付け)

☐ その他(ご記入ください):

注記:複数のレビューを実施又は異なる複数のレビュー実施者が存在する場合、それぞれ別々の用紙にご記入ください。

Latest update: June 2018

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レビューのエグゼクティブサマリおよび/またはレビュー全文へのリンク (該当する場合) 【グリーンボンド原則等に適合する旨のセカンドオピニオン】 フレームワークがグリーンボンド原則 2018 及び環境省のグリーンボンドガイドライン 2020 年

版に則ったものである旨のセカンドオピニオンを提供する。 レビュー全文は、セカンドオピニオンの本文を参照。

セクション 3. レビュー詳細

レビュー実施者には可能な限り以下の情報を提供し、レビュー範囲を説明するためにコメントセクションを利用するよう推奨する。

1. 調達資金の使途

セクションに関する全般的なコメント(該当する場合): セカンドオピニオンの「1.調達資金の使途」の本文を参照。

GBP による調達資金の使途カテゴリ:

☐ 再生可能エネルギー

☐ エネルギー効率

☐ 汚染防止および管理

☐ 生物自然資源および土地利用に係る環

境持続型管理

☐ 陸上および水生生物の多様性の保全

☒ クリーン輸送

☐ 持続可能な水資源および廃水管理

☐ 気候変動への適応

☐ 高環境効率商品、環境適応商品、環境に

配慮した生産技術およびプロセス

☐ グリーンビルディング(環境配慮型ビ

ル)

☐ 発行時には知られていなかったが現在

GBP カテゴリへの適合が予想されてい

る、又は、GBP でまだ規定されていない

その他の適格分野

☐ その他(ご記入ください):

GBP の事業区分に当てはまらない場合で、環境に関する分類がある場合は、ご記入ください:

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2. プロジェクトの評価と選定のプロセス

セクションに関する全般的なコメント(該当する場合): セカンドオピニオンの「2.プロジェクトの評価と選定のプロセス」の本文を参照。

評価と選定

☒ 十分な発行体の環境面での持続可能性

に係る目標がある ☒ 文書化されたプロセスにより、定義された

事業区分にプロジェクトが適合すると判断

される ☒ グリーンボンドの適格プロジェクトを

定義した透明性の高いクライテリアが

ある

☒ 文書化されたプロセスにより、プロジェク

トに関連する潜在的な ESG リスクは特定・

管理される ☒ プロジェクトの評価と選定のためのク

ライテリアの概要が、公表される ☐ その他(ご記入ください):

責任およびアカウンタビリティに関する情報

☐ 外部機関の助言または検証を受けた評

価/選定基準である ☒ 組織内で定められた評価基準である

☐ その他(ご記入ください):

3. 調達資金の管理

セクションに関する全般的なコメント(該当する場合): セカンドオピニオンの「3.調達資金の管理」の本文を参照のこと。

調達資金の追跡管理:

☒ グリーンボンドの調達資金は、発行体により適切な方法で分別又は追跡管理される

☒ 未充当資金について、想定される一時的な運用方法の種類が開示される

☐ その他(明記ください):

追加的な開示:

☐ 将来の投資にのみ充当 ☒ 既存および将来の投資に充当

☐ 個別単位の支出に充当 ☒ ポートフォリオ単位の支出に充当

☐ 未充当資金のポートフォリオを開示す

る ☐ その他(ご記入ください):

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4. レポーティング

セクションに関する全般的なコメント(該当する場合): セカンドオピニオンの「4.レポーティング」の本文を参照。

調達資金の使途に関するレポーティング:

☐ プロジェクト単位 ☒ プロジェクトポートフォリオ単位

☐ 個別債券単位 ☐ その他(明記ください):

レポーティングされる情報:

☒ 充当した資金の額 ☒ 投資総額に占めるグリーンボンドによる調

達額の割合

☐ その他(明記ください):

頻度:

☒ 年次 ☐ 半年に一度

☒ その他(明記ください):発行時に

個別債券への充当が開示されるのに加

え、年次で事業年度末時点から起算し

て過去 3 年以内の適格債権残高及び充

当状況について開示される。

環境改善効果に関するレポーティング:

☐ プロジェクト単位 ☒ プロジェクトポートフォリオ単位

☐ 個別債券単位 ☐ その他(明記ください):

頻度:

☒ 年次 ☐ 半年に一度

☒ その他(明記ください):発行時に

個別債券単位での CO2削減量の推計値

が開示されるのに加えて、年次で事業

年度末時点から起算して過去 3 年以内

の適格債権残高に対する CO2削減量の

推計値が開示される。

レポーティングされる情報(計画又は実績):

☒ 温室効果ガス排出量/削減量 ☐ エネルギー削減量

☐ 水使用量の減少 ☐ その他 ESG 指標(明記ください):

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開示方法

☐ 財務報告書に掲載 ☐ サステナビリティ報告書に掲載

☐ 臨時に発行される文書に掲載 ☒ その他(明記ください):ウェブサイト

☐ レポーティングは外部レビュー済(該当する場合は、レポートのどの部分が外部レビューの対象であるか明記してください):

該当する場合は、「有益なリンク」のセクションに、報告書の名称、発行日を明記してくださ

い。

有益なリンク (例えば、 レビュー実施者の評価方法や実績、発行体の文書等。)

R&I グリーンボンドアセスメント評価方法

https://www.r-i.co.jp/rating/products/esg/index.html

該当する場合は、利用可能なその他外部レビューをご記入ください

実施されるレビューの種類:

☐ セカンドオピニオン ☐ 認証

☐ 検証 ☐ スコアリング/レーティング(格付け)

☐ その他(ご記入ください):

レビュー実施者: 発表日:

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GBP で定義された独立した外部レビュー機関の役割について

(i) セカンドオピニオン:発行体の支配下にない環境面の専門性を有する機関がセカンドオピ

ニオンを提供する。オピニオンの提供者は発行体のグリーンボンド・フレームワーク構築

のためのアドバイザーから独立しているべきである。そうでなければ情報隔壁を設けるな

ど、セカンドオピニオンの独立性を確保するための措置をとることになる。オピニオンは

通常はGBPへの適合性評価を基本とする。特に環境面での持続可能性に関する包括的な目

標、戦略、方針、プロセスの評価と、調達資金を充当するプロジェクトの種類に応じた環

境面の特徴に対する評価を含むことができる。

(ii) 検証:発行体は、事業プロセスや環境基準などに関連づけて設定する基準に対して独立し

た検証を受けることができる。検証は、内部基準や外部基準あるいは発行体が作成した要

求との適合性に焦点を当てるものになる。また原資産の環境面での持続可能性に係る特徴

についての評価を検証と称し、外部クライテリアを参照することがある。さらにグリーン

ボンドで調達される資金の内部追跡管理方法とその資金の充当状況、環境面での影響、GBP

のレポーティングとの適合性に関する保証や証明も検証と呼ぶことがある。

(iii) 認証:発行体は、グリーンボンドやそれに関連するグリーンボンド・フレームワーク、ま

たは調達資金の使途について、一般に認知されているグリーン基準やグリーンラベルへの

適合性に係る認証を受けることができる。グリーン基準やグリーンラベルは具体的なクラ

イテリアを定義したもので、通常は認証クライテリアとの適合性を、検証などの手法を用

いて、資格認定された第三者機関が確認する。

(iv) スコアリング/レーティング(格付け):発行体は、グリーンボンド、それに関連するグリ

ーンボンド・フレームワーク、調達資金の使途などの特徴について、専門的な調査機関や

格付機関の資格を有する第三者機関から、それぞれの機関が確立した評価手法に基づく査

定や評価を受けることができる。評価結果には、環境面のパフォーマンスデータ、GBPに関

連するプロセス、2℃目標のようなベンチマークなどに焦点を当てたものが含まれることが

ある。このようなスコアリングや格付は、信用格付(たとえその中に重要な環境面のリス

クが反映されているとしても)とはまったく異なったものである。