リニヤスケール の取扱いに関して - mitutoyo...83 技術解説...

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82 1. ATスケールの取付け姿勢 スケールの取付に付いて スケールユニットは水溶液、粉塵等が内部に浸入しにくい構造となっ ていますが、開口部に直接水溶液や粉塵等が掛からないように、水溶 液や粉塵等の飛散方向を考慮して取付け姿勢を決定して下さい。ま た、スケールカバーも必ずご用意下さい。 3. STスケールの取付けに関する注意点 ABS ST700除く) ●メインスケールは、目盛表面側(斜めから光を当てると虹色に見え る面)に検出ヘッドが配置されるように取付けます。 (メインスケールに ロゴのあるものは検出ヘッド側から見 ロゴが正しい向きに読める配置となります) ●メインスケール背面より外乱光が入ると誤動作の原因となります。 下図のように外乱光が入らないようメインスケール取付部を設計く ださい。 ●取付け図の通りにスケール取付け面が出来ているか、てこ式インジ ケータや電気マイクロメータなどでヘッドブラケット部とスケール取 付け部を相対的に移動させて確認します。 ●接着タイプのスケールの接着剤には弾性タイプのものをご使用下 さい。 信越シリコーン社製KE441T,セメダイン社製EP001等を推奨いたし ます。 ●ガラススケール、検出ヘッドに貼り付けられている保護テープは、取 付け時にはがして使用ください。 2. ATスケール本体の取付け 下記の図のように2個所の有効長マーク近辺にダイヤルゲージ等を当 てて、マシンガイドと平行度のチェック及び調整を行ないます。 平行度の調整は、スライドテーブルなどの機械可動部を移動させてス ケール本体の平行度を調整するか、機械のガイドレールあるいはそれ に相当する基準からの位置を測定します。 ●平行度許容値: 0.1mm以内または0.2mm以内 (スケール機種によって異なります) リニヤスケール ® の取扱いに関して AT211 AT211 ゴムリップ 水溶液、粉塵など 水溶液、粉塵など 水溶液、粉塵など 推奨取付け方向 取付け不可 取付け可能 取付け可能 取付け不可 縦向き取付け 横向き取付け 垂直取付け 水溶液、粉塵など 水溶液 粉塵など 水溶液 粉塵など AT2 LINEAR SCALE Mitutoyo ダイヤルゲージ てこ式ダイヤルゲージ 前後方向 有効長 Mitutoyoロゴが見える方向 Mitutoyo メインスケール 検出ヘッド メインスケール Mitutoyo スケール保護テープをはがす Gはマシンガイド 0.01 G 0.01 G

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Page 1: リニヤスケール の取扱いに関して - Mitutoyo...83 技術解説 ATスケールのエア供給について アッセンブリタイプ形(AT)リニヤスケールの耐環境性(耐クーラント、

82

1. ATスケールの取付け姿勢

スケールの取付に付いて

スケールユニットは水溶液、粉塵等が内部に浸入しにくい構造となっていますが、開口部に直接水溶液や粉塵等が掛からないように、水溶液や粉塵等の飛散方向を考慮して取付け姿勢を決定して下さい。また、スケールカバーも必ずご用意下さい。

3. STスケールの取付けに関する注意点(ABS ST700除く)

●メインスケールは、目盛表面側(斜めから光を当てると虹色に見える面)に検出ヘッドが配置されるように取付けます。

 (メインスケールに ロゴのあるものは検出ヘッド側から見て ロゴが正しい向きに読める配置となります)

●メインスケール背面より外乱光が入ると誤動作の原因となります。下図のように外乱光が入らないようメインスケール取付部を設計ください。

●取付け図の通りにスケール取付け面が出来ているか、てこ式インジケータや電気マイクロメータなどでヘッドブラケット部とスケール取付け部を相対的に移動させて確認します。

●接着タイプのスケールの接着剤には弾性タイプのものをご使用下さい。

 信越シリコーン社製KE441T,セメダイン社製EP001等を推奨いたします。

●ガラススケール、検出ヘッドに貼り付けられている保護テープは、取付け時にはがして使用ください。

2. ATスケール本体の取付け下記の図のように2個所の有効長マーク近辺にダイヤルゲージ等を当てて、マシンガイドと平行度のチェック及び調整を行ないます。平行度の調整は、スライドテーブルなどの機械可動部を移動させてスケール本体の平行度を調整するか、機械のガイドレールあるいはそれに相当する基準からの位置を測定します。

 ●平行度許容値: 0.1mm以内または0.2mm以内 (スケール機種によって異なります)

リニヤスケール®の取扱いに関して

AT211

AT211

ゴムリップ

水溶液、粉塵など 水溶液、粉塵など

水溶液、粉塵など

推奨取付け方向 取付け不可 取付け可能

取付け可能 取付け不可

縦向き取付け 横向き取付け 垂直取付け

水溶液、粉塵など

水溶液粉塵など

水溶液粉塵など

AT2

LINEAR SCALE

Mitutoyo

ダイヤルゲージ

上下方向

てこ式ダイヤルゲージ

前後方向

有効長

技術解説

メインスケール

Mitutoyo

スケール保護テープをはがす

Gはマシンガイド

Mitutoyoロゴが見える方向

Mitutoyo

メインスケール

検出ヘッド

0.01 G

0.01 G

メインスケール

Mitutoyo

スケール保護テープをはがす

Gはマシンガイド

Mitutoyoロゴが見える方向

Mitutoyo

メインスケール

検出ヘッド

0.01 G

0.01 G

Page 2: リニヤスケール の取扱いに関して - Mitutoyo...83 技術解説 ATスケールのエア供給について アッセンブリタイプ形(AT)リニヤスケールの耐環境性(耐クーラント、

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技術解説

ATスケールのエア供給について●アッセンブリタイプ形(AT)リニヤスケールの耐環境性(耐クーラント、

耐粉塵)を向上させる一つの手段としてスケール本体に清浄な圧縮空気を供給する方法があります。スケール本体両側にある M5 ネジ穴のどちらかに配管し圧縮空気を供給します。

※エア供給口は AT103、AT211、AT203、ABS AT500 シリーズ、ABS AT300 シリーズに標準装備されています。

オプションとして、エア供給ユニットを販売しております。

※エア及び使用状況、環境により異なります。

注意:エア供給の方法は補助的な方法です。取付け姿勢が重要になります。取扱い説明書の取付け姿勢を守った上で実施するようにして下さい。また、エア供給した場合は、使用するエア源のよごれ具合により、エアフィルタを定期的に交換する必要があります。汚れたフィルターを使い続けると、逆に汚れをスケール内に入れることになり、不具合を起こす原因となります。ご注意願います。

リニヤスケール®の取扱いに関して

ATスケールフィードバックケーブルのアース処理に付いてフィードバックケーブルのシールドは、制御装置直前にアースバー等に必ず接地して下さい。(下図参照)

アースバー

制御装置

フィードバックケーブル

シールド線(網線)

ケーブルのビニール被覆を一部カット

アースバーに接地

リニヤスケール側

エア供給ユニット仕様1.スケール入力エア仕様 ISO 85731-1  Class1-4-1相当

2 .スケール供給エア圧力 0.1MPa(約1kgf/cm2) 「4. エア供給ユニット」内のレギュレータ

で上記圧力に調整します。

3.エア流量 10〜20L/min(1軸当たり) 「4. エア供給ユニット」内の固定シボリ

にて、エア流量 約12.7L/min の供給が可能です。

4.エア供給ユニット コンプレッサーから直接エアを供給せず、必ずエアドライヤやメインラインエアフィルタ通して乾燥した圧縮空気を使用してください。各フィルタのエレメント交換時期は約1年※です。固定しぼりは、スケール側に装着してください。

エアユニット(オプション)について

エア機器の構成

No.

1

2

3

4

5

名称

エアードライヤ

エアーフィルタ

オイルミストフィルタ

高性能オイルミストフィルタ

レギュレータ

固定しぼり

仕様

最大粒子径(ろ過度)5μm

最大粒子径(ろ過度)0.3μm2次側油分濃度0.1mg/m3

ろ過度0.01μm 油分除去率 99.999%2次側油分濃度0.01mg/m3

設定圧力0.1〜0.7MPa

圧力0.1MPa時の流量12.7L/min

パーツNo.

06ACJ154

06ACJ162

06ACJ163

06ACJ155

06ACJ159

06ACJ160

06ACJ161

注意:1つのエアユニットはスケール5軸までエア供給可能です。よって付属品として、2軸まで接続可能な付属品セット、3軸まで接続可能な付属品セットがあります。この2セット組合せ4〜5軸まで接続可能となります。

名称

エアユニット

付属品セット2軸用(固定しぼり2個、φ6 ウレタンチューブ 20m、T 字継手2ヶ)

付属品セット 3軸用(固定しぼり3個、φ6 ウレタンチューブ 20m、T 字継手3 ヶ)

固定しぼり

エアフィルタエレメント

ミストセパレータエレメント

マイクロミストセパレータエレメント

備考

本体

特別

付属品

保守用

パーツ

AT211

AT211

Mitutoyo

特別付属品

チューブ(φ6)

T字継手

固定しぼり

固定しぼり

1 エアードライヤ 2 エアーフィルタ 3オイルミストフィルタ 4 高性能オイルミストフィルタ 5 レギュレータ

6 流量調整弁

エアーユニット 本体 特別付属品

継手(ネジ部:M5×0.8)

配管チューブ

AT211

AT211

Mitutoyo

特別付属品

チューブ(φ6)

T字継手

固定しぼり

固定しぼり

1 エアードライヤ 2 エアーフィルタ 3オイルミストフィルタ 4 高性能オイルミストフィルタ 5 レギュレータ

6 流量調整弁

エアーユニット 本体 特別付属品

継手(ネジ部:M5×0.8)

配管チューブ

最大粒子径(μm)最低圧力露点(℃)油分濃度(mg/m3)

0.1+30.01

Page 3: リニヤスケール の取扱いに関して - Mitutoyo...83 技術解説 ATスケールのエア供給について アッセンブリタイプ形(AT)リニヤスケールの耐環境性(耐クーラント、

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技術解説

1 2 5 10 20 30

1

2

3

4

伸び率(%)

ワイヤー入り

ワイヤー無し

ワイヤ

ゴムリップ形状

防塵ゴム耐クーラント伸び特性(日)

1. ATの検出器のジョイント機構 特許登録済(日本、米国、独国、英国)

(シンプル構造で、かつ剛性の高いジョイント方式の採用)

アッセンブリ形リニヤスケール(AT)の構造と特長 リニヤスケール®用ケーブルの耐久性について

検出ヘッドとスケール本体内のスライダ(センサ部)は、図に示すようなボールジョイントと連結されています。この構造により、スケールの取付け規格値以下であれば、検出ヘッドの取付け誤差およびスケール本体と機械ガイドとの平行度のズレを吸収し正常に検出することができます。また、シンプルで剛性の高い構造のため耐久性に優れています。

リニアヤスケールのケーブルは、下記方法により寿命試験を行っております。

2. 特殊防水コネクタのメリット

防水・防油コネクタを採用したことで、信号ケーブルの分離が可能となっております。これにより、取付およびメンテナンスが容易となります。

3. 信号ケーブルのコンジット化

信号ケーブルは、その保護のため、ステンレススパイラル(コンジット)のカバーが付けられているものもあります。ステンレス製ですから、錆や腐食の心配がなく、長時間の使用に耐えられます。

4. 当社独自のゴムリップかき分け方式を採用

かき分け部(下図参照)が、水を切る船底の構造となっています。

スライダ(センサ部)

連結棒

連結バネ

検出ヘッド

5. ゴムリップにワイヤを入れ、強靭な特殊ウレタンゴムを採用

防油・防塵性の向上を図りました。

※AT103, AT203, ABS AT500, ABS AT300に採用※AT113, AT211にも特注対応可能です。

技術資料

試験条件

試験方法B

試験方法A

 屈曲角度 :±90° 試験速度 :30回/分 (屈曲回数は、A→B→A→C→Aで1回) 屈曲半径 :R=50mm 評価規格値 :300万回 (信号線及びシ−ルド線の断線のなきこと)

試験条件 屈曲半径 :R=40mm 速度 :2m/s 移動距離 :1000mm

スケール機種

AT100シリーズ

AT211

AT202

AT212

AT300シリーズ

AT500シリーズ

ST700シリーズ

ST36

ST24

ST422

LHS23C

LHS33C

※1:ヘッドケーブルも含む※2:08年12月現在 継続試験中です。

注1:上記試験データは、保証値ではありません。   屈曲条件よっては、上記耐久回数以下となる場合がございます。注2:ケーブル移動時の推奨曲げRは、R100以上です。

試験方法

A

A

A

A

A

A

B

B

B

A

A

B

信号ケーブル※1試験結果

300万回

300万回

300万回

300万回

300万回

300万回

5400万回以上※2

5400万回以上※2

5400万回以上※2

300万回

600万回

5400万回以上※2

R50

結線バンド

曲げ支点

張力100kgf

A

CB

約90° 約90°

ケーブル移動側 ケーブル

固定側

円弧長80mm

摺動距離1/2500mm

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製品名

AT103AT113AT112PSU-200PSU-250シリーズ

■製品に持っているアラーム検出機能

スケール異常

オーバースピード

入力信号異常

スケール異常検出

◯◯×

◯◯

◯◯

◯◯

◯◯

アラーム機能

(1)ATスケール(正弦波出力タイプ)+PSU-200での、アラーム機能について

スケール内部で検出 PSU内部で検出

技術資料

1. 検出器の断線・ショート異常検出

リニヤスケールからの A 相・B 相の信号ラインが断線または、0ゼロ

Vとのショート等の類似の異常が発生した時に検出します。

2. 検出器送り速度の応答速度、超過検出(オーバースピード)

リニヤスケール(検出器)の送り速度が最大送り速度を超えた時、または、類似の異常が発生した時に検出します。

3. 入力信号異常検出

リニヤスケールからの A 相・B 相の信号が振幅電圧、DC 電圧、位相差において許容範囲を外れた時、また、類似の異常が発生した時に検出します。

4. 電源電圧低下

リニヤスケールまたは、PSU 等に供給される電源電圧(特に DC 電源を供給して使用する装置)が許容範囲より低下した時に異常として検出します。

5. 電源瞬時停電検出

PSU またはカウンタ等に供給される、電源(AC 電源を供給して使用する装置)において許容範囲以上の瞬時停電または、電圧降下が発生した時に異常として検出します。

6. スケール異常検出

リニヤスケール内部で異常が発生した時に検出します。

7. 検出回路異常検出

アブソリュート方式リニヤスケールにおいて、スケール内部のインクリメンタルの計数または、アブソリュートの計数のいずれかにおいて、異常が発生した時に検出します。

8. CPU 異常検出(内部異常検出)

CPU を使用しているリニヤスケールまたは、カウンタ等において、何らかの原因により、CPU が正常に作動しなくなった時に異常として検出します。

注意:アラーム機能については、製品により異なります。具体的には、各製品毎にアラーム機能を確認してください。

また、製品によりアラーム検出のための許容範囲が異なりますのでご注意願います。

アラーム機能について

製品名

ST36AST24/ST44CLHS23C/33CPSU-200PSU-250シリーズ

スケール異常

オーバースピード

入力信号異常

スケール異常検出

信号ケーブルの

断線・ショート異常

◯◯◯

◯◯

◯◯

◯◯

◯◯

アラーム機能

(3)STスケール(正弦波出力タイプ)+PSU-200での、アラーム機能について

スケール内部で検出 PSU内部で検出

製品名

AT203AT211AT212

オーバー

スピード

入力信号異常

◯◯◯

◯◯◯

アラーム機能

(2)ATスケール(方形波出力タイプ)のアラーム機能について

検出ヘッド内部(AT212はI/F)で検出

製品名

ST24B(C)ST44B(C)ST36ST422LHS23C/33C

オーバースピード

入力信号異常

◯◯◯◯

信号ケーブルの

断線・ショート異常

◯◯◯◯

◯◯◯◯

アラーム機能

(4)STスケール(方形波出力タイプ)のアラーム機能について

I/F内部で検出

PSU

PSU-200

I/F

PSU

PSU-200

I/F

PSU

PSU-200

I/F

PSU

PSU-200

I/F

製品名

ABS ST700 シリーズABS AT300 シリーズABS AT500 シリーズ

オーバースピード

入力信号異常

◯◯◯

検出回路異常

◯◯◯

CPU異常

◯◯◯

◯◯◯

スケール異常

◯◯◯

アラーム機能

(5)アブソリュートスケールのアラーム機能について

I/F 内部で検出

PSU

PSU-200

I/F

信号ケーブルの

断線・ショート異常

技術解説