マイナンバーの税務と安全管理対策 - 関東信越税理 …2015/12/03 ·...
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マイナンバーの税務と安全管理対策
税理士 青木 丈
Ⅰ マイナンバー制度のポイント
1. マイナンバーに関する法令・ガイドライン等(税務関係)・・・PP.2-32. マイナンバー用語の定義等・・・PP.4-53. 個人番号・法人番号の構成・・・P.64. 通知カード、個人番号カードの様式・・・P.75. ロードマップ・・・P.8
マイナンバーに関する法令の公布状況(税務に関わるもの)
略 称 題 名 公布/公表日原則的施行期日
備 考
法律
番号法行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号) H25.5.31 H27.10.5
マイナンバー制度一般について必要な事項を規定
整備法行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成25年法律第28号) H25.5.31 H27.10.5
番号法の施行に伴い、関係法律の規定の整備を行うため、所要の措置を規定
政令
施行期日政令行政手続における特定の個人を識別するための番号の利 用等に関する法律の施行期日を定める政令(平成27年政令第171号) H27.4.3 -
番号法の原則的施行期日及び個人番号の利用開始日を規定
番号法施行令行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令(平成26年政令第155号) H26.3.31 H27.10.5
番号法において政令に委任された事項を規定
整備政令
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う財務省関係政令の整備に関する政令(平成26年政令第179号)
H26.5.14 H28.1.1各種申告書等の記載事項に番号を追加等
改正地方税法施行令 地方税法施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第359号) H26.11.14 H28.1.1各種申告書等の記載事項に番号を追加等
省令等
番号法施行規則行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則(平成26年内閣府・総務省令第3号) H26.4.16 H27.10.5本人確認関係
国税庁告示第2号行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則に基づく国税関係手続に係る個人番号利用事務実施者が適当と認める書類等を定め る件(国税庁告示第2号・平成27年1月30日)
H27.1.30 H28.1.1国税に関する本人確認関係
改正所得税法施行規則所得税法施行規則の一部を改正する省令(平成26年財務 省令第53号)により改正された所得税法施行規則 H26.7.9 H28.1.1調書等の新書式等
法人番号省令 法人番号の指定等に関する省令(平成26年財務省令第70号) H26.8.12 H27.10.5法人番号関係
カード省令
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利 用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号 カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令(平成26年総務省令第85号)
H26.11.20 H27.10.5通知カード・個人番号カード・情報提供ネットワークシステム関係
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マイナンバーに関するガイドライン等の公表状況(税務に関わるもの)
H27.9月現在
所管省庁等 略 称 名 称
内閣府・内閣官房
逐条解説内閣府大臣官房番号制度担当室『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律【逐条解説】』
よくある質問(FAQ) 同左
特定個人情報保護委員会
ガイドライン(事業者編)特定個人情報保護委員会『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)』(平成26年12月11日)
ガイドラインに関するQ&A
特定個人情報保護委員会『「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に関するQ&A』(平成26年12月11日)(平成27年4月17日更新)(平成27年8月6日)
国税庁
国税分野におけるFAQ 同左
法人番号に関するFAQ 同左
国税分野における本人確認国税庁『国税分野における番号法に基づく本人確認方法【事業者向け】』(平成27年3月)
国税分野における各種様式の変更点国税庁『国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点』(平成27年8月24日)
日税連 税理士ガイドブック日本税理士会連合会『税理士のためのマイナンバー対応ガイドブック~特定個人情報の適正な取扱いに向けて~』(平成27年4月)
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用語 定義等
個人情報
生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)のうち、行政機関及び独立行政法人等以外の者が保有するもの【番号法2③、個人情報保護法2①】
特定個人情報個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。)をその内容に含む個人情報【番号法2⑧】
特定個人情報等個人番号及び特定個人情報【ガイドライン(事業者編)22頁】
個人番号利用事務
行政機関等が社会保障、税及び災害対策に関する特定の事務において、保有している個人情報の検索、管理のために個人番号を利用する事務【番号法2⑩】
個人番号利用事務実施者
個人番号利用事務を処理する者(個人番号利用事務の全部又は一部の委託を受けた者を含む。)【番号法2⑫】
個人番号関係事務事業者が個人番号利用事務に関して行われる他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務【番号法2⑪】
個人番号関係事務実施者
個人番号関係事務を処理する者(個人番号関係事務の全部又は一部の委託を受けた者を含む。)【番号法2⑬】
個人番号利用事務等実施者個人番号利用事務実施者及び個人番号関係事務実施者【番号法12】
マイナンバー用語の定義等(主なもの)
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個人番号関係事務・個人番号利用事務の例
国 民行政機関等:
個人番号利用事務実施者民間事業者:
個人番号関係事務実施者
従業員
有識者等
個人番号取得
個人番号提出
税務署市区町村
年金事務所健保組合
一般企業等
個人番号関係事務:
源泉徴収票、支払調書、社会保険関係書類等
の作成 個人番号利用事務
民 民 官
個人番号利用事務等実施者
5
6
【個人番号:12桁】
123456789012
住民票コードを変換
チェックデジット
【法人番号:13桁】
1234567890123会社法人等番号(設立登記法人)
チェックデジット
※チェックデジット:誤入力を防止するための検査用数字
出典)青木丈監修『大事なことだけすぐにわかるマイナンバー制度』(講談社・2015)
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Ⅱ マイナンバーの税務
1. 国税の実務におけるマイナンバーの取扱い・・・P.102. マイナンバー税務の区分・・・PP.11-133. 企業等による個人番号の取得と本人確認・・・PP.14-164. 委託の取扱い・・・PP.18-195. 申告書等への番号記載時期・・・P.196. 申告書、調書等の様式・・・PP.207. 税務署等へ申告書等を代理提出する際の本人確認・・・PP.21-238. 本人交付・・・P.24
○ 国税関係の申告書、申請書、届出書、調書その他の書類に番号の記載欄を追加○ 支払調書には、主に支払者及び支払を受ける者の個人番号・法人番号を記載○ これ以外にも、例えば、・給与所得の源泉徴収票には、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族の個人番号を記載・生命保険金等の支払調書には、支払の基礎となる契約を締結した者の個人番号を記載
国税関係の申告書、申請書、届出書、調書その他の書類に番号を記載
国税通則法 (書類提出者の氏名、住所及び番号の記載等)第百二十四条 国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長又はその職員に申告書、申請書、届出書、調書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名(法人については、名称。以下この項において同じ。)、住所又は居所及び番号(番号を有しない者にあっては、その氏名及び住所又は居所)を記載しなければならない。(略)
民間事業者従業員や金銭等の支払を受ける者
税務署
個人番号1234 ・・・・
民間事業者は、個人番号関係事務実施者として金銭等の支払を受ける者の番号の提示を受ける
源泉徴収票・支払調書等に支払を受ける者等の番号及び民間事業者の番号を記載して提出
支払調書
申告書等に民間事業者の番号を記載して提出
申告書
番号を記載して申告書や支払調書等を提出するイメージ
国税の実務におけるマイナンバーの取扱い
出典:国税庁作成資料
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マイナンバー税務の区分
①法定調書等の作成・提出マイナンバーの税務
②申告書等の作成・提出
①の場合、企業等の事業者は、個人番号関係事務実施者として、法令に基づき、従業員等
の個人番号を給与所得の源泉徴収票や支払調書等の書類に記載して、税務署等の行政機関に提出する個人番号関係事務を行うこととなる。税理士又は税理士法人(以下「税理士等」という。)が業務委嘱契約等に基づきクライアントの法定調書等の作成、提出を行う場合も、税理士等は、当該事務の全部又は一部の委託を受けた者に該当することから、同様に、個人番号関係事務実施者として個人番号関係事務を行うこととなる。
これに対して②の場合は、申告書等を作成、提出する納税者は、原則的には、個人番号関係事務実施者には該当しない。例外的に、納税者が自身の控除対象配偶者や扶養親族の個人番号を取得し、当該個人番号を申告書等に記載する事務は個人番号関係事務に該当するので、この場合、当該納税者は個人番号関係事務実施者に該当する。税理士等が業務委嘱契約等に基づき、クライアントの申告書等を作成、提出する場合も同様の取扱いである。
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【企業等】・源泉徴収票・源泉所得税関係の書類作成
(従業員・扶養親族の個人番号を記載して行政機関等へ提出)
・報酬、料金、契約金
及び賞金の支払調書等
(有識者等、大家等の
個人番号を記載して行政機関等へ提出)
法定調書等の作成・提出事務の流れ(例)クライアント企業等からの源泉徴収事務及び法定調書作成事務の委託を税理士等が受けた場合
【企業等従業員】(給与の支払・源泉徴収、
社会保険料等の徴収)
【 税理士等 】
・顧問先従業員等の源泉徴収票作成・源泉所得税関係の書類作成・法定調書等の作成
【税務署等】個人番号利用事務実施者
【 本 人 等 】・大家 等(家賃・地代の支払 等)
・有識者等(原稿料、顧問料の支払等)
給与等の支払
個人番号関係事務実施者
個人番号の提供
個人番号の提供
金銭の支払
本人確認
本人確認
業務委託
個人番号関係事務実施者
法定調書
等の提出
本人確認
本人交付(本人交付)
個人番号の提供
税理士も含まれる。
出典:日税連資料を基に作成
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申告書等の作成・提出事務の流れ
【 納税者 】
【 税理士等 】
申告書等の作成
【 税務署等 】代理権付与 申告書等提出
本人確認
本人交付
個人番号の提供
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企業等による個人番号の取得と本人確認
・・・ ・・・・
個人番号1234 ・・・
会社
給与の支払い、税理士報酬・原稿料の支払い 等
従業員・顧問税理士・有識者 等
本人確認
個人番号の提供
出典:特定個人情報保護委員会事務局作成資料を加工
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個人番号の確認 身元(実在)の確認
個人番号カード
通知カード
運転免許証
※ 上記が困難な場合は、過去に本人確認の上で作成したファイルの確認
住民票(番号付き)
パスポート
or or
等 等
等
等
マイナンバー取得の際には、本人確認が必要です。具体的には番号確認(記載された番号が正しいかどうか)
と身元確認(なりすましでないかどうか)を行います。
※ 上記が困難な場合は、健康保険の被保険者証と年金手帳などの2以上の書類の提示
※ 雇用関係にあるなど、人違いでないことが明らかと個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元 (実存) 確認書類は要しない
出典:国税庁・日税連作成資料15
自身の個人番号に相違ない旨の申立書(様式)
出典:国税庁作成資料
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契約
◆委託者の監督義務
・委託者(事業者)は、委託先において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督(※)を行わなければならない。
・委託先が再委託する場合は、最初の委託者の許諾を得た場合に限り、再委託することが可能。
・事業者が顧問税理士に対し個人番号関係事務を委託している場合は、顧問先が税理士を監督しなければならない。
◆契約内容
秘密保持義務、事業所内からの特定個人情報の持出しの禁止、特定個人情報の目的外利用の禁止、再委託における条件、漏えい事案等が発生した場合の委託先の責任、委託契約終了後の特定個人情報の返却又は廃棄、従業者に対する監督・教育、契約内容の遵守状況について報告を求める等
※必要かつ適切な監督・・・① 委託先の適切な選定
② 委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結
③ 委託先おける特定個人情報の取扱状況の把握
契約で対応(ガイドブックにひな型掲載)
必要かつ適切な監督
税理士事業者
委託の留意点
出典:国税庁・日税連作成資料 17
【委託の取扱い】
○個人番号関係事務の全部又は一部の委託者は、委託先において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければなりません。
《必要かつ適切な監督》○①委託先の適切な選定、②委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結、③委託先における特定個人情報の取扱状況の
把握
○委託者は、委託先の設備、技術水準、従業者に対する監督・教育の状況、その他委託先の経営環境等をあらかじめ確認しなければなり
ません。
○契約内容として、秘密保持義務、事業所内からの特定個人情報の持出しの禁止、特定個人情報の目的外利用の禁止、再委託における条
件、漏えい事案等が発生した場合の委託先の責任、委託契約終了後の特定個人情報の返却又は廃棄、従業者に対する監督・教育、契約
内容の遵守状況について報告を求める規定等を盛り込まなければなりません。
○委託者は、委託先だけではなく、再委託先・再々委託先に対しても間接的に監督義務を負います。
○個人番号関係事務の全部又は一部の委託先は、最初の委託者の許諾を得た場合に限り、再委託をすることができます。
間接的な監督義務
必要かつ適切な監督
委託
必要かつ適切な監督
再委託
必要かつ適切な監督
再々委託
会社 A社
B社
C社
許諾
再々委託
再委託委託会社 X社
Y社
Z社
再委託の取扱い
出典:国税庁・日税連作成資料 18
税目 記載対象 一般的な場合 28年中に提出される主な場合
所得税平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から
平成28年分の場合⇒平成28年分の確定申告期(平成29年2月16日から3月15日まで)
○ 年の中途で出国⇒出国の時まで○ 年の中途で死亡⇒相続開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで
贈与税平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から
平成28年分の場合⇒平成29年2月1日から3月15日まで
○ 年の中途で死亡⇒相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内
法人税平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から
平成28年12月末決算の場合⇒平成29年2月28日まで
○ 中間申告書⇒事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内
○ 新設法人・決算期変更法人⇒決算の日から2月以内
消費税平成28年1月1日以降に開始する課税期間に係る申告書から
<個人>平成28年分の場合⇒平成29年1月1日から3月31日まで<法人>平成28年12月末決算の場合⇒平成29年2月28日まで
○ 個人事業者が年の途中で死亡⇒相続開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで
○ 中間申告書○ 課税期間の特例適用
相続税平成28年1月1日以降の相続又は遺贈に係る申告書から
平成28年1月1日に相続があったことを知った場合⇒平成28年11月1日まで
○ 住所及び居所を有しないこととなるとき⇒住所及び居所を有しないこととなる日まで
酒税・間接諸税
平成28年1月1日以降の移出等に係る申告書から
平成28年1月分の場合⇒平成28年2月1日から2月29日まで
○ 平成28年中から提出
法定調書平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書から(※)
(例)平成28年分給与所得の源泉徴収票、平成28年分特定口座年間取引報告書⇒平成29年1月31日まで(注)平成28年1月1日前に締結された「税法上告知したものとみなされる取引」に基づき、同日以降に金銭等の支払等が行われるものに係る「番号」の告知及び本人確認については、同日から同日以降3年を経過した日以後の最初の金銭等の支払いの時までの間に行うことができます。
(例)○ 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書は、支払の確定した日から1月以内
○ 退職所得の源泉徴収票は、退職の日以後1月以内
申請書・届出書
平成28年1月1日以降に提出すべき申請書等から
各税法に規定する、提出すべき期限 ○ 平成28年中から提出
(※) 法定調書提出義務者(個人番号関係事務実施者)は、税務署に法定調書を提出する際に、金銭等の支払先の番号の記載とともに、提出義務者本人の番号の記載も必要となります。
申告書や法定調書への番号記載時期は、以下のとおりです。
出典:国税庁作成資料 19
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各種申告書、調書等の様式は、
別紙国税庁『国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点』参照
・給与所得者の扶養控除等(異動申告書)・・・別紙P.4・給与所得の源泉徴収票・・・別紙P.17・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書・・・別紙P.19・不動産の使用料等の支払調書・・・別紙P.20・所得税の確定申告書B・・・別紙P.1・相続税の申告書・・・別紙P.7・法人税及び地方法人税の申告書・・・P.8
※1 税務代理の委嘱を受けている場合には、申告書等の提出の都度、添付する必要があります(当初提出分の
写しでも可) 。
※2 税務署窓口で提出する際にも、混雑緩和等の観点から、1件別に写しを添付するようにしてください。
※3 税理士事務所の従業員等が税務署の窓口で申告書等を提出する場合も、郵送等の取扱いに準じて代理人で
ある税理士の「税理士証票」の写しを提出する必要があります。
確認項目本人確認書類等
書面提出分 代理送信分
代理権の確認 税務代理権限証書の添付(※1)①税務代理権限証書データの添付
②納税者本人の利用者識別番号の入力
代理人の身元確認税理士証票の提示又は写しの添付
(※2、3)(税理士の)電子証明書の添付
本人の番号確認個人番号カード又は通知カードの写しの
添付地方公共団体情報システム機構への照会等
税理士の場合
○ 税務関係手続においては、代理人から個人番号の提供があったものか否かを、原則として税務代理権限証書の提出の有無により判断します。○ 税務代理権限証書の提出がない場合は、原則として納税者本人から個人番号の提供があったものとして取り扱います。
税務代理人が国税当局に対し個人番号を提供する場合の本人確認
出典:国税庁・日税連作成資料 21
【書面提出の場合における身元確認書類】
○社員税理士等の「税理士証票」の提示又は写しの添付(郵送等の場合は写しの添付)
※1 税理士証票に税理士法人名が記載されているため、法人実在確認及び関係性確認が可能。
※2 税務署窓口で申告書等を提出する際の対応及び税理士法人に勤務する税理士資格を有しない従
業員等が提出する場合の対応については、税理士の場合の取扱い(前頁※2、3)と同様。
税理士法人の場合
○ 番号法上、法人代理人の「身元確認」については、以下の2つの確認が求められています。
①法人実在確認
② 関 係 性 確 認
法人が実在することの確認
現に個人番号の提供を行う者が当該法人に所属していることの関係を確認
「代理権の確認」及び「本人の番号確認」については、税理士の場合の取扱いと同様。
税理士法人の身元確認においては、運用上、税理士法人の社員税理士又は所属税理士(以下「社員税理士等」という。)を「現に個人番号の提供を行う者」として取り扱います。
出典:国税庁・日税連作成資料 22
【代理送信の場合】
税理士法人が代理送信を行う際に利用する代理送信用利用者識別番号(以下「代理送信用I
D」という。)には、税理士法人に係るものと社員税理士等に係るものの2つの類型が存在し、
送信用データには社員税理士等に係る電子証明書による署名送信が行われています。
いずれの場合においても国税当局における代理送信用IDを利用可能とする処理の過程にお
いて、当該税理士法人の実在確認及び社員税理士等の当該税理士法人との関係性確認を行って
いるため、当該代理送信用IDを使用して正常送信されることをもって当該税理士法人の身元
確認を行うこととされています。
【ポイント】
○ 従来の電子申告の手続の過程の中で法人実在確認及び関係性確認が可能となる。
○ 社員税理士等が退職等により所属する税理士法人に変更等があった場合には、新たな代理送信用IDを取得する必要がある。
※ 旧顧問先の申告情報を電子申告のメッセージボックスから閲覧可能な状態とされることは、特定個人情報保護の観点から問題であるため、番号制度導入後においては、従来にも増して代理送信用IDの取扱いを徹底するよう留意する。
出典:国税庁・日税連作成資料 23
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本人への交付
・受給者交付用の給与所得の源泉徴収票には、その本人、控除対象配偶者及び扶養親族の番号を記載する必要がある(支払者の番号は記載不要)。
・受給者交付用の源泉徴収票を所得証明等のために民間事業者に提出する際には、個人番号部分を復元できない程度にマスキングする等の工夫が必要。
・法令の規定に基づき個人番号を記載した受給者交付用の源泉徴収票を本人に交付したうえで、従業員等からの求めに応じて、別途、企業等又は税理士において、個人番号を記載しない源泉徴収票の写しを交付することも可能と解される。
受給者交付用の源泉徴収票
・支払調書を本人に交付する場合には、個人番号を記載しない措置が必要
支払調書
・申告書等の控えに個人番号が記載されている場合で、本人が当該控えを所得証明等のために民間事業者に提出する際には、個人番号部分を復元できない程度にマスキングする等の工夫が必要
申告書等の控え
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〈参考〉国税分野におけるFAQ Q2-10(H27.5.26更新)
Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。
(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
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〈参考〉国税分野におけるFAQ Q2-3-2・3(H27.6.12更新)
Q2-3-2 申告書等に個人番号・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。(答)
申告書や法定調書等の記載対象となっている方全てが個人番号・法人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号・法人番号を記載することはできませんので、個人番号・法人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
Q2-3-3 申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合に罰則の適用はあるのですか。(答)
申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。
Ⅲ 税理士事務所の安全管理対策
1. 特定個人情報の適性な取扱い・・・P.282. マイナンバー制度に対応するための準備・・・P.293. 事務作業内容等の現状の把握・・・PP.30-324. 基本方針・取扱規程等の策定・・・P.335. 税理士事務所における安全管理措置・・・PP.34-416. 業務契約書の作成・見直し・・・P.42
•税理士が顧問先の個人番号関係事務の委託又は税務代理・税務書類の作成事務等の委嘱を受ける場合、その顧問先に対して、従業員等又は本人の個人番号の提供を求めることができます。
個人番号の取得
•税理士は、①自己の事務所の従業員等の特定個人情報等の管理のために、また②税理士は、委託された顧問先の従業員等の特定個人情報等の管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければなりません。
•税理士は、源泉徴収票の作成等の個人番号関係事務を委託される顧問先から、必要かつ適切な監督を受ける立場となるため、契約の見直しが必要となります。
安全管理措置
•個人番号を利用できるのは、番号法で限定的に定められており、税理士業務において個人番号を利用するのは、主として、委託された顧問先の税に関する手続書類に顧問先従業員等の個人番号を記載して行政機関等に提出する場合です。
•目的外の利用は、本人の同意があったとしても、例外として認められている場合を除き、行ってはなりません。
個人番号の利用
•税理士が委託された顧問先従業員等の特定個人情報を提供できるのは、税に関する特定の事務のために行政機関等に提供する場合に限られます。
個人番号の提供
•個人番号が記載された書類等は、その個人番号を取り扱う事務を行う必要がある場合に限り保管することができます。
•個人番号が記載された書類等のうち所管法令によって一定期間保存が義務付けられているものは、その期間に限って保管することとなり、期間経過後は速やかに個人番号を削除又は書類等を廃棄する必要があります。
•削除又は廃棄を前提とした「保管体制」・「システム構築」をすることが望まれます。
個人番号の保管・廃棄
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特定個人情報の適正な取扱い
出典:国税庁・日税連作成資料
準備作業のフローⅠ-1事務作業内容等の現状の把握
個人番号を取り扱う事務の確認
特定個人情報等の範囲の確認
事務取扱担当者の確認
業務契約書の作成・見直し
Ⅰ-4業務契約書の作成・見直し
Ⅰ-2基本方針・取扱規程等の策定
Ⅰ-3安全管理措置
基本方針の策定
取扱規程等の策定
組織的安全管理措置
物理的安全管理措置
技術的安全管理措置
人的安全管理措置
マイナンバー制度に対応するための準備
出典:国税庁・日税連作成資料 29
•税理士事務所の従業員等の給与所得に係る源泉徴収票等の作成、健康保険・厚生年金事務及び労働保険事務を行う際に、従業員等(従業員等の扶養親族を含む。)の個人番号を取得し、源泉徴収票等に当該個人番号を記載し行政機関等に提出します。
個人番号関係事務実施者と
して
•税理士等と顧問先との業務委嘱契約等に基づき顧問先の給与所得に係る源泉徴収票等の作成事務を行う際に、顧問先の従業員等(従業員等の扶養親族を含む。)の個人番号を取得し、源泉徴収票等に当該個人番号を記載し行政機関等に提出します。
個人番号関係事務の受託者として
•税理士等と顧問先との業務委嘱契約等に基づき顧問先の税務代理(税理士法第2条第1項第1号)又は税務書類の作成(税理士法第2条第1項第2号)に係る事務を行う際に、顧問先に係る個人番号を取得し、当該申告書等に個人番号を記載し行政機関等に提出します。
税務代理人として
•税理士事務所において個人番号を取り扱う事務には次のような事務があります。
事務作業内容等の現状の把握(1)事務所において個人番号を取り扱う事務の確認
出典:国税庁・日税連作成資料 30
手続書類の例 特定個人情報等の項目例
所得税申告書氏名、個人番号、納税地、生年月日、性別、課税標準、税額、各二表情報の項目 等
源泉徴収票
氏名、個人番号、住所又は居所、支払金額、給与所得控除後の給与等の金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額、控除対象配偶者・控除対象扶養親族・障害者等に関する情報 等
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
氏名、個人番号、住所又は居所、生年月日、世帯主の氏名・続柄、控除対象配偶者・扶養親族・障害者等に関する情報 等
給与所得者の保険料控除申告書兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書
氏名、個人番号、住所又は居所、生命保険料控除に関する情報、地震保険料控除に関する情報、社会保険料控除に関する情報、小規模企業共済等掛金控除に関する情報、配偶者特別控除に関する情報 等
支払調書関係(受取人が個人の場合)
氏名、個人番号、支払金額等、源泉徴収税額 等
• 特定個人情報等の範囲とは、事務において使用される個人番号及び個人番号と関連付けて管理される個人情報(氏名、生年月日、住所等)のことです。
• 個人番号を取り扱う事務において作成する書類等に記載する情報の全てが特定個人情報に該当することを理解しておく必要があります。
(2)個人番号を取り扱う事務において取り扱う特定個人情報等の範囲の確認
出典:国税庁・日税連作成資料 31
•従業員等の給与事務担当者及び社会保険・労働保険事務担当者を定めている場合、当該担当者が従業員等の個人番号を取り扱う担当者となります。
•事務所内に経理課・総務課等の部署がある場合、その所属課員が給与事務、社会保険・労働保険事務等において、従業員等の個人番号を取り扱う担当者となります。
個人番号関係事務実施者
として
•税理士事務所の従業員等は、顧問先から依頼された源泉徴収事務等及び税務代理、税務書類の作成事務等を行う場合に、ほぼ全ての従業員等が、顧問先に係る個人番号を取り扱うことが想定されます。
特定個人情報取扱事務受託者及び税務代理人として
担当者は、事務取扱担当者として明確化し、「特定個人情報取扱規程」等に規定する必要があります。
(3) 個人番号を取り扱う事務の担当者の確認
出典:国税庁・日税連作成資料 32
•(例)基本方針に定める項目
• 税理士事務所名
• 関係法令・ガイドライン等の遵守
• 安全管理措置に関する事項
• 質問及び苦情処理の窓口 等
基本方針の策定
•取扱規程等には、管理段階ごとに取扱方法、責任者・事務取扱担当者及びその任務について定めることが考えられ、また、具体的な事項としては、安全管理措置を織り込むことが重要です。
•(例)取扱規程等に定める項目(個人番号の①取得、②利用、③保存、④提供、⑤削除・廃棄を行う段階ごとに)
• ① 取扱方法
• ② 責任者・事務取扱担当者
• ③ 任務等
• ④ 安全管理措置 等
取扱規程等の策定
個人番号を取り扱う事務、特定個人情報等の範囲、事務取扱担当者等を明確し、事務の流れを整理して、特定個人情報等の具体的な取扱いを定めるため、取扱規程等を策定しなければなりません。
「策定することが望ましい」
「策定しなければならない」
基本方針・取扱規程等の策定
出典:国税庁・日税連作成資料 33
<組織的安全管理措置>
事務作業の見直し
顧問先等の税務関係書類の作成申告書法定調書申請書・届出書 等
個人番号氏名生年月日住所
等
事務所職員の給与事務社会保険・労働保険等事務
源泉徴収票扶養控除等申告書 等
個人番号氏名生年月日住所
等
番号を利用する事務の確認
個人番号を取り扱う事務に限定
特定個人情報等の範囲の確認
取扱事務の範囲、特定個人情報等の範囲を取扱規程等に明記
執務記録のチェック等により取扱規程の運用状況を確認
責任者の決定
事務取扱担当者の明確化
執務記録
執務記録
執務記録
執務記録
執務記録
執務記録番号の取扱状況の確認
税理士事務所における安全管理措置(1)組織的安全管理措置
出典:国税庁・日税連作成資料 34
税理士事務所における組織体制整備の例
責任者:所長税理士○○
税務代理事務等取扱担当:
勤務税理士○○
税務代理事務等取扱担当:
○○
税務代理事務等取扱担当:
○○
所内給与事務等取扱担当:○○
35
<特定個人情報ファイル管理簿>(記載例)
種類
名称等
責任者 担当者作成年月
日廃棄年月
日会社名 名称/利用目的 年分
ファイル A社 給与管理システム H27 ○○○ ○○○ H28.00.00
書類 A社 源泉徴収票(写) H27 ○○○ ○○○ H28.00.00
出典:日本税理士会連合会資料を基に作成
36
<特定個人情報関係執務記録>(簡易版;記載例)
出典:日本税理士会連合会資料を基に作成
日付 会社名 ファイル・書類 作業内容/利用目的 担当 所長(確認日) 備考
00/00/00 (株)A社 特定個人情報ファイル USB持出し○年分年調打合せ、A社に持参
○○ 印(00/00) データにパスワード保護
00/00/00 (株)A社 特定個人情報ファイル USB戻し00/00○年分年調打合せ(於、A社)
○○ 印(00/00) USB内の特定個人情報ファイル削除
00/00/00 (株)A社 特定個人情報ファイル データ更新 ○○ 印(00/00) ○名追加、退職○名削除
00/00/00 当事務所 ○年分源泉徴収票 源泉徴収票作成・配布
△△ 印(00/00) 封緘して手交
00/00/00 当事務所 ○年分年調関係書類 職員○名から受理 △△ 印(00/00) 本人確認済
00/00/00 (株)B社 □年分源泉徴収票 廃棄 ◇◇ 印(00/00) ○○運輸廃棄サービス(溶解処理)
00/00/00 〃 特定個人情報ファイル 退職者データ削除(○名)
◇◇ 印(00/00) 00年00月00日時点
37
株式会社B株式会社A NPO法人Z・・・C株式会社
日付 ファイル・書類 作業内容 利用目的 担当 課長(確認日)
所長(確認日)
備考
00/00/00 データ アルバイト追加(○名)
データ更新 ○○ 印(00/00) 印(00/00) 本人確認済
00/00/00 ○年分源泉徴収票・年調書類
データ作成・保存 ○年分年末調整
△△ 印(00/00) 印(00/00) 番号部分目隠しシール貼付
00/00/00 ○年分源泉徴収票・年調書類
出力・C社へ郵送 納品 ○○ 印(00/00) 印(00/00) 封緘して簡易書留
会社名:C株式会社 特定個人情報ファイル名:AAAAAAA 作成日:0000/00/00
削除・廃棄日: / /
担当部署:○○課 担当者:○○ ○○/○○ ○○ 責任者:○○ ○○/○○ ○○
<特定個人情報関係執務記録>(詳細版;記載例)
出典:日本税理士会連合会資料を基に作成
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キャビネット書庫 等
来客スペース
<物理的安全管理措置>
事務所のレイアウト等の見直し
税理士事務所
個人情報 特定個人情報等
情報システム
顧問先等の来客
事務取扱担当者
取扱区域 ・ 管 理 区域
封緘目隠しシールの貼付 等
書類
パスワードによる保護データの暗号化施錠できる搬送容器の使用
等
電子媒体
電子媒体
書類
施錠 施錠
執務記録
特定個人情報等の持出し・発送等を記録
PC
事務取扱担当者以外の者
入退室管理間仕切り座席配置の工夫
等
PC PC PC
サーバー
(2)物理的安全管理措置
出典:国税庁・日税連作成資料 39
税理士事務所
<技術的安全管理措置>
情報システムの管理方法の検討
個人情報
特定個人情報等
情報システム
事務取扱担当者以外の者
事務取扱担当者ユーザーIDパスワードICカード 等によるアクセス制御
部外者
ウィルス対策ソフトウェアファイアウォール 等による情報システムの保護
顧問先等
データ
パスワードによる保護暗号化 等
通信経路の暗号化
(3)技術的安全管理措置
出典:国税庁・日税連作成資料 40
<人的安全管理措置>
事務取扱担当者への教育・監督
税理士(責任者)
職員等(事務取扱担当者)
教育
監督
・研修の実施・資料提供 等
税理士法第54条(税理士の使用人等の秘密を守る義務)
番号法特定個人情報等の利用・提供制限
↓秘密保持
本人の許可があっても番号法上の利用範囲外は第三者への提供不可
就業規則等に追記
情報を本人の許可なく第三者へ提供することは禁止
税理士法第38条(秘密を守る義務)第41条の2 (使用人等に対する監督義務)
(4)人的安全管理措置
出典:国税庁・日税連作成資料 41
秘密保持義務
事業所内からの特定個人情報の持出しの禁止
特定個人情報の目的外利用の禁止
再委託における条件
漏えい事案等が発生した場合の委託先の責任
委託契約終了後の特定個人情報の返却又は廃棄
従業者に対する監督・教育
契約内容の遵守状況について報告を求める規定
○ 顧問先と業務契約書を締結する際、特定個人情報等の取扱いに係る規定を記載しておく必要があります。
○ 既に業務契約書を締結している場合は、当該契約書に特定個人情報の取扱いに係る規定を設けるか、別途、覚書等の書面を取り交わしておく必要があります。
【契約内容の見直し項目の例】
業務契約書の作成・見直し
出典:国税庁・日税連作成資料 42
ご清聴ありがとうございました。