ミャンマー市民銀行 (mcb) myanmar citizens bank …myanmar citizens bank ltd....

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(100 チャット=8.19 円で換算) 1 / 28 ミャンマー市民銀行 (MCB) Myanmar Citizens Bank Ltd. レポート作成日:2016 8 26 高成長への道のり 金融セクターの伸びを享受できる優位な立場 ミャンマーの金融セクターは拡大の初期段階にあり、ミャンマー市民銀行(MCB)は同セクターの成長の最 大の恩恵を受ける立場にある。その理由は、同行が資産規模 7 位の民間銀行であり大株主の商業省と密接な 関係にある準政府系銀行であることに加え、ミャンマー・ペイメント・ユニオン (MPU) との緊密な関係や 強固なバランスシートが相まって金融セクターの伸びを享受できる立場にあるからである。 2016 年/17 年の株価純資産倍率 1 倍に基づく 2017 年の目標株価は 6,400 チャット 当社は、ゴードン成長モデル (GGM) に基づく目標株価純資産倍率 1.0 倍を根拠に、 MCB 2017 年目標株 価を 6,400 チャットとする。インドシナ地域の銀行の平均株価純資産倍率が 1.0 倍であることから妥当な試 算である。 2017-19 年には健全な純利益年平均成長率(CAGR)21%を達成する見込み 2017 -19 年には、27%という着実な貸出残高の伸び率と 24%の資金運用利益の伸びが堅調な収益を牽引 することが予測される。これは、主としてミャンマーの健全な経済成長、好調な業界の見通し、および業界 における同行の確固たる地位によって裏付けられる。 明るい成長見通し:課題は安定性 ミャンマーの銀行セクターの成長は、CLMV 諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)を含むア ジアの銀行セクターの中でも高いものになると当社は見ている。その背景として次の 3 点が考えられる。 1) ミャンマーにおける銀行の低普及率 2) 好調な経済成長 3) 経済・金融改革の進展 しかし、ミャンマーの銀行が国際基準に準拠するにはまだ数年を要することから、主な課題は銀行システム の長期的な安定性である。 調査開始 投資格付け:無し 2017 3 月期予測に基づく目標株価 6,400 チャット / 524 2016826日公開価格: 6,000 チャット / 4912017622日(翻訳レポート作成日)終値: 9,000チャット/ 737円) 銀行 キャピタル・パートナーズ証券株式会社では、当銘柄の取扱いをしておりません。本レポートはあくまで企業の情報を提供する目的で作 成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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Page 1: ミャンマー市民銀行 (MCB) Myanmar Citizens Bank …Myanmar Citizens Bank Ltd. レポート作成日:2016 年8月26日 2017 ミャンマー初の高水準経済特別区 高成長への道のり

(100 チャット=8.19 円で換算) 1 / 28

ミャンマー市民銀行 (MCB)

Myanmar Citizens Bank Ltd.

レポート作成日:2016 年 8 月 26 日

ミャンマー初の高水準経済特別区

高成長への道のり

金融セクターの伸びを享受できる優位な立場

ミャンマーの金融セクターは拡大の初期段階にあり、ミャンマー市民銀行(MCB)は同セクターの成長の最

大の恩恵を受ける立場にある。その理由は、同行が資産規模 7 位の民間銀行であり大株主の商業省と密接な

関係にある準政府系銀行であることに加え、ミャンマー・ペイメント・ユニオン (MPU) との緊密な関係や

強固なバランスシートが相まって金融セクターの伸びを享受できる立場にあるからである。

2016 年/17年の株価純資産倍率 1倍に基づく 2017 年の目標株価は 6,400 チャット

当社は、ゴードン成長モデル (GGM) に基づく目標株価純資産倍率 1.0 倍を根拠に、MCB の 2017 年目標株

価を 6,400 チャットとする。インドシナ地域の銀行の平均株価純資産倍率が 1.0 倍であることから妥当な試

算である。

2017-19年には健全な純利益年平均成長率(CAGR)21%を達成する見込み

2017 年-19 年には、27%という着実な貸出残高の伸び率と 24%の資金運用利益の伸びが堅調な収益を牽引

することが予測される。これは、主としてミャンマーの健全な経済成長、好調な業界の見通し、および業界

における同行の確固たる地位によって裏付けられる。

明るい成長見通し:課題は安定性

ミャンマーの銀行セクターの成長は、CLMV 諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)を含むア

ジアの銀行セクターの中でも高いものになると当社は見ている。その背景として次の 3 点が考えられる。

1) ミャンマーにおける銀行の低普及率

2) 好調な経済成長

3) 経済・金融改革の進展

しかし、ミャンマーの銀行が国際基準に準拠するにはまだ数年を要することから、主な課題は銀行システム

の長期的な安定性である。

調査開始 投資格付け:無し

2017 年 3 月期予測に基づく目標株価 6,400 チャット / 約 524 円

2016年8月26日公開価格: 6,000 チャット / 約491円

(2017年6月22日(翻訳レポート作成日)終値: 9,000チャット/ 約737円)

銀行

キャピタル・パートナーズ証券株式会社では、当銘柄の取扱いをしておりません。本レポートはあくまで企業の情報を提供する目的で作

成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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上振れ/下振れリスク

潜在的には以下の要因による収益の下振れリスクが考えられる。

1) ミャンマーの銀行が長期的には国際基準への準拠を義務付けられる規制上のリスク

2) 資産の質の低下

3) ミャンマーの銀行業界において競争が激化する可能性。

一方、ミャンマーの好調な経済成長が牽引役となり、銀行業界の成長を促すであろう。

株式情報

財務及び評価

3 月末決算 2015/3 期 2016/3 期 2017/3 期予想 2018/3 期予想 2019/3 期予想

純利益(百万チャット) 3,771 5,308 6,557 7,875 9,396

純利益(百万円) 309 435 537 645 770

EPS (チャット) 508 532 546 606 671

EPS 成長率 (%) ‐26% 5% 3% 11% 11%

1 株当たり純資産(チャット) 6,049 6,163 6,356 6,562 6,782

配当 (チャット) 650 650 382 424 470

出所:MCB

財務及び評価 (2)

3 月末決算 2015/3 期 2016/3 期 2017/3 期予想 2018/3 期予想 2019/3 期予想

PER (倍) 11.81 11.27 10.98 9.90 8.94

PBR (倍) 0.99 0.97 0.94 0.91 0.88

配当利回り (%) 10.83 10.83 6.37 7.07 7.83

ROE (%) 8.4% 8.6% 8.6% 9.2% 9.9%

出所:MCB

払込済株式数 1,040 万株

株主数 16,720

額面 5,000 チャット

(410 円)

時価総額 624 億チャット

(約 51 億円)

URL www.mcb.com.mm

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投資ハイライト

• ミャンマーの金融セクターは好調なGDP 成長にも支えられ拡大の初期段階にある。そして、ミャンマー

市民銀行(MCB)は同セクターの成長性から最大の恩恵を受ける立場にある(同行は資産規模7位の民間銀

行であるが、強力な政府のサポートを受ける準政府系銀行)。

• IMFは、ミャンマーの経済が2015年には8.5%、2016年には8.4%の堅調なペースで成長し、民間セクタ

ーへの銀行貸出しは、2015年に約45%、2016年-18年には32%の年平均成長率(CAGR)と好調を持続す

る、と予測している(図表1参照)。

• さらに、MCBは10%の株式を保有する商業省との緊密な関係をもつ準政府系銀行である。特に、ミャン

マー・ペイメント・ユニオン(MPU)との密接な関係と堅実なバランスシートが相まって(特に強固な

資本力と流動性)、MCBは銀行システムやマクロ面の成長見通しを享受し、利益成長の点で競合他社をし

のぐ優位な状況にあるといえるだろう。

• 当社は、今後3年間(2017年―2019年;図表17-18)にわたり、MCBが好調な利益の伸びを計上すると見

ている。純利益年平均成長率(CAGR) は21%、EPS年平均成長率(CAGR)は8%(資本調達計画による株

式希薄化効果のため;図表15参照)と予測する。純利益成長の主要因は以下の通り。

1)2017年―2019年の期間に予想される貸出残高の年平均伸長率27%

2)24%という資金運用利益の堅調な年平均伸長率

ここでは、IMFが約8.0-8.5%と予測するGDP成長や、経済・金融改革と安定した政治環境の恩恵を受ける

与信の拡大見通しが支援材料となっている。

図表1: 実質 GDP 成長率対与信伸び率 図表2: GDPに対する与信と預金の比率

出所:IMF、ミャンマー中央銀行 (CBM) 出所:IMF、ミャンマー中央銀行 (CBM)

Real GDP Growth = 実質 GDP 伸び率、Domestic credit growth =

与信の伸び (国内) 、Credit to private sector gtowth = 民間セクタ

ーへの与信の伸び

Credit to pricate sector = 民間セクターへの信用供与、

Deposits = 預り金、Credit to deposits (Loans to deposits) =

預貸率

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評価バリュエーション

16年/17年の株価純資産倍率(PBR)1.0倍に基づき、2017年の目標価格は6,400チャット

当社のMCBに対する評価バリュエーションはゴードン成長モデル(GGM)に基づいている(長期持続可能な

ROEとして12%を想定)。それにより、当社はモデルが示唆する目標株価純資産倍率1.0倍を根拠に、2016

年/17年のMCBの目標株価を6,400チャットとする。これは、インドシナ地域の銀行の平均である約1.0倍と

同水準となる(図表3参照)。

MCBの目標株価純資産倍率1.0倍は、同行の堅実な財務と収益の伸びに裏付けられており、それはラオス外

国商業銀行(BCEL)を上回る(BCELは唯一上場しているラオスの銀行で、高い不良債権リスクと資本再建

計画の遅れにより資本の制約に直面)。しかし、長期的に国際基準への準拠を義務付けられることによる悪

影響の可能性が、MCBの目標株価と収益に関する主なリスク要因になると考えられる。

上場企業2社(FMIとMTSH)の株価パフォーマンスの面では、売買の当初数週間に株価は上昇するが、その後

は弱含む展開を見て取ることができる(図表4~7参照)。

図表3: 財務及び評価バリュエーション(他のアジア諸国の銀行との比較)

近隣諸国 純利益成長率 (%) PER (倍) PBR (倍) 配当利回り ROE (%)

地域銀行 2016 年 2017 年* 2016 年 2017 年* 2016 年 2017 年* 2016 年 2017 年* 2016 年 2017 年*

中国 ‐2 3 6.6 6.1 0.8 0.8 4.4 5.4 13.1 13.3

香港 ‐21 9 27.2 25.8 2.0 2.0 3.4 3.7 9.5 9.1

インド ‐19 26 8.3 15.0 1.5 1.7 0.9 1.8 3.4 11.2

インドネシア 2 15 13.9 11.8 1.7 1.5 2.1 2.4 12.9 13.1

韓国 8 8 6.8 6.8 0.5 0.4 3.2 3.4 7.1 6.6

マレーシア ‐3 8 12.0 11.4 1.1 1.1 3.7 4.1 10.4 10.4

フィリピン 10 12 14.5 12.8 1.5 1.4 1.5 1.6 10.8 10.9

シンガポール ‐9 3 9.7 9.4 0.9 0.9 4.1 4.2 10.1 9.8

タイ 0 14 11.9 9.5 1.2 1.1 3.8 4.1 10.7 11.7

ベトナム 11 19 22.4 16.7 1.4 1.3 3.3 3.9 8.2 9.3

ラオス外国商業

銀行 ‐21 29 6.4 5.0 0.5 0.5 5.4 6.0 8.2 10.0

同業他社平均*² ‐4 13 12.7 11.8 1.2 1.2 3.2 3.7 9.5 10.5

インドシナ平均 ‐3 20 13.6 10.4 1.0 1.0 4.2 4.7 9.0 10.3

ミャンマー 純利益成長率 (%) PER (倍) PBR (倍) 配当利回り ROE (%)

の銀行 2017

/3 期*

2018

/3 期*

2017

/3 期*

2018

/3 期*

2017

/3 期*

2018

/3 期*

2017

/3 期*

2018

/3 期*

2017

/3 期*

2018

/3 期*

MCB 24 20 11.0 9.9 0.9 0.9 6.4 7.1 9.5 9.7

出所: KT ZMICO リサーチ、ブルームバーグ

*は予想

*²ラオス外国商業銀行を除く

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図表 4: FMI と MTSH のパフォーマンス 図表 5: YSX の指数 (Myanpix)と時価総額

出所: ヤンゴン証券取引所、KT ZMICO リサーチ 出所: ヤンゴン証券取引所、KT ZMICO リサーチ

図表 6: FMI 価格チャート 図表 7: MTSH 価格チャート

出所: ヤンゴン証券取引所、KT ZMICO リサーチ 出所: ヤンゴン証券取引所、KT ZMICO リサーチ

会社概要

ミャンマー市民銀行(MCB)は、1991 年に設立された公開企業で 1992 年 6 月 2 日に営業を開始した。同行は

準政府系銀行であり、7 月 16 日現在、政府は商業省を通し 10%の株式を保有している(図表 12、13 参照)。

同行によると、同行は資産及び預金規模で第 7 位の民間中規模行である。同行は、店頭市場である ミャンマ

ー証券取引センター(MSEC)にも上場しており、2016 年 8 月 26 日にヤンゴン証券取引所(YSX)に上場される

予定である。現時点で、同行は全国に 21 支店を展開し、更に今後 5 年間で 50 支店を新規に開設する計画で

ある。

現在、MCB の主要業務はリテール及びコーポレート・バンキングで、同分野において同業他社に比べて競争

力を有している。同行は商業省が主要株主で政府系銀行部門の一翼を担っており、このことが銀行の事業機

会や収益性の向上へと繋がっている。特に、MCB は、ミャンマーの輸出入の促進を目指す商業省の活動を支

援するために起用され、輸出入ライセンス手数料の商業省への支払いを円滑にする電子決済システムを商業

省と協力して構築した。

2003 年、同行は国際銀行システム・サービスを開始した。同行は、国際銀行業務と貿易金融業務の分野でリ

ーディングバンクを目指し、現在、オフショアのコルレス先 27 行と連携している。この部門は銀行の利益の

15%を占めている。

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MCB は MPU(ミャンマー・ペイメント・ユニオン)の創設会員であり発起人株式を保有している。2015

年 5 月、同行はモバイル決済ライセンスの承認を受けた。

図表 8:16 年度事業別 貸出し(2016 年 3 月期) 図表 9:16 年度預金構成 (2016 年 3 月期)

出所: MCB、KTZMICO リサーチ 出所: MCB、KTZMICO リサーチ

図表 10:非金利利益の内訳 図表 11:16 年度利益構成(2016 年 3 月期)

出所: MCB、KTZMICO リサーチ 出所: MCB、KTZMICO リサーチ

図表 12:株主構成 (2016 年 3 月 31 日) 図表 13:上場前株主構成 (2016 年 7 月 31 日)

出所: ヤンゴン証券取引所、MCB、KT ZMICO リサーチ

注.キャピタル・ダイヤモンド・スター・グループは、ミャンマー最大の複合企業で中心街には多くの小売り店舗がある。同グルー

プは、食品、不動産、ヘルスケア、ポートフォリオ管理事業にも携わっている(詳細はウェブサイトを参照

http://www.cdsg.com.mm/. )。グッド・ブラザーの主な事業は農業プラントと農機である。シュウェ・ミーズは物流事業である。

工業

23%

貿易

35%

サービス

27%

建設

11%

その他

4%

普通預金

45%

定期預金

32%

当座預金

23%

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図表 14:ミャンマー市民銀行会社概要

会社名 ミャンマー市民銀行 (MCB) ISIN コード MM0000300002

コード 00003 代表 U Myint Win Managing Director

設立日 1991年 10月 30 日 会計年度 4 月 1 日―3月 31 日

上場日 2016年 8 月 26 日 払込資本 520 億チャット (2016 年 7 月 31 日現在)

発行済み株式数 10,400,986 株 E-メール [email protected]

( 2016 年 7月 31 日現在)

電話 +95 1‐245938

住所 Building No. 383, Mahabandoola Road, Kyauktada Township, Yangon, Myanmar

事業内容

MCB は、特別目的法に基づき 1991 年に設立された公開企業(Public Company)。1992年 6 月

2 日、MCBはヤンゴンの Kyautada Township、Mahabandoola Road、383 番地で事業を開始。

MCB の授権資本は 750 億チャット、払込資本は 520 億チャット。

MCB が提供する国内銀行サービス:

(1) 普通預金

(2) 当座預金

(3) 定期預金

(4) 通知預金

(5) 輸入許可手数料の電子決済サービス

(6) 国内送金

(7) 支払指図

MCB のローンサービス:

(1) 商業融資

(2) 担保融資

(3) 貿易保証

(4) 銀行保証 / 履行保証

国際銀行業務サービス:

(1) 輸出入サービス (L/C, TT)

(2) 国際送金及び国際送金サービス

(Money Gram, IME, Transfast, Merchantrade)

(3) 保証書サービス

(4) 国際カードビジネス(Visa、Master カード取得、マスターカード発行)、

(4) 両替サービス

(5) 外国為替売買

(6) 支払指図

割賦サービス:

(1) 農業機器

(2) 自動車

(3) 各種製粉設備

(4) 各種建設機械と設備

MCB が提供するその他のサービス:

(1) 663 モバイル決済サービス

(2) MPU カード発行 及び JCB, CUP 取得サービス

(3) 計器請求書サービス

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(100 チャット=8.19 円で換算) 8 / 28

取締役会 (1) U Toe Aung Myint ( 会長)

(2) U Myint Win (社長)

(3) U Soe Naing @ U Ko Ko Gyi (取締役)

(4) U Hla Oo (取締役)

(5) U Tun Lwin (取締役)

(6) U Own Saing (取締役)

(7) U Aung Aung (取締役)

(8) U Mg Mg Tin (取締役)

(9) U Zeya Thura Mon (取締役)

(10) U Yan Naing Tun (取締役)

(11) U Zaw Lin Htut (社外取締役)

(12) U Maung Aung (社外取締役)

ホームページ http://www.mcb.com.mm

主幹事証券会社 ミャンマー証券取引センター(MSEC)

監査役 U HlaTun & Associates Limited

沿革 MCB は、特別会社法の下で 1991 年に設立された公開企業(Public Company)で 1999年 10

月 30 日に会社登録番号(274/1991‐92)が付与された。1992 年 5 月 25 日にミャンマー中央銀

行より付与された 1992年 6 月設立時の MCB の授権資本は 10 億チャットであった。現在の授

権資本 は 750 億チャットで、払込資本は 520 億チャット。払込資本 520 億チャットの内、一般

払込資本金は 468億 8,000万チャットで、商業省は 51億 2,000万チャットの払込資本を出資し

た。銀行免許番号 no. Ma Ba Ba/ J (i) ‐1(5)1992に基づき、MCB はヤンゴンのチャウタダ郡区

の Maharbandoola Road383 番地にて 1992年 6 月に事業開始。

MCB は下記の支店とミニ支店を開店:

支店名 開店日

1. Kyauktada Branch 2‐6‐1992

2. Mandalay Branch 6‐6‐1996

3. Bayint Naung Branch 12‐5‐2011

4. Nay Pyi Taw Branch 22‐6‐2011

5. Myin Chan Branch 12‐8‐2011

6. Monywa Branch 15‐8‐2011

7. Muse Branch 17‐10‐2011

8. Yasakgyo Branch 14‐12‐2012

9. Taze Branch 26‐4‐2013

10. Mandalay Mini Branch 12‐7‐2013

11. Monywa Mini Branch 23‐8‐2013

12. Dawbon Mini Branch 20‐12‐2013

13. Lasho Branch 1‐3‐2014

14. Aung Lan Branch 20‐6‐2014

15. Bayint Naung Mini Branch 25‐10‐2014

16. Pabedan Mini Branch 17‐12‐2014

17. Puzundaung Branch 6‐12‐2015

18. North Okkalarpa Branch 1‐3‐2016

19. Pyay Branch 1‐5‐2016

20. Latha Branch 4‐6‐2016

21. Sittwe Branch 7‐6‐2016

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(100 チャット=8.19 円で換算) 9 / 28

MCBは、2012年 8月 17日にミャンマー中央銀行により外国為替公認ディーラーの免許を受

け、2013 年 1 月 5 日には SWIFT(the Society for Worldwide Inter Bank Financial

Telecommunication)の会員となった。

MCB は、UOB、OCBC、DBS、Commerzbank、ICBC、May Bank、Kasikorn Bank、Siam

Commercial Bank、Krung Thai Bank とコルレス銀行関係にあり当方(ノストロ)勘定を開設し、

また 47 行と RMA(Relationship Management Application)関係を確立している。

コルレス銀行との連携により、MCBは現在、外国口座開設、輸出入決済、現金出納、銀行保

証、口座振替、外国為替取引を顧客に提供している。

2011年 10月 24 日、MCB は両替免許を与えられ Kyauktada、Muse、Mandalay、Dawpon の

各支店に両替カウンターを開設した。

MCBは 2014年以来、ビザとマスターカード取得サービスを提供しており、マスターカードのブ

ランドである「Citizen Card」を発行している。

MCB は Money Gram、IME、Transfat、Merchantrade と提携し、国内への送金サービスを

提供している。

出所: ヤンゴン証券取引所、MCB、KT ZMICO リサーチ

図表 15: MCB の株式資本の推移

3 月末決算 払込資本 (百万チャット)

2014‐2015 37,113

2015‐2016 49,870

2016年 7 月 52,005

2016‐2017 60,000

2017‐2018 65,000

2018‐2019 70,000

2019‐2020 72,000

2020‐2021 75,000

出所: MCB、KTZMICO リサーチ

収益見通し

過去 3 年間、43%の純利益年平均成長率(CAGR)と目覚ましい伸び

過去 3 年間(2014―16 年度)、MCB は 43%の純利益年平均成長率(CAGR)と極めて高い利益成長を示した

(図表 17-18)。同期間の純利益の大幅な伸びは、主として 38%という貸出し年平均成長率(CAGR)と

56%の非金利利益の伸びに支えられたものである(2016 年の外国為替取引に関連した異常に高水準な利益

を除く)。これには過去 3 年間、ミャンマーにおける約 8.5%という健全な GDP 成長が寄与するところが大

きい(図表 1)。近年の堅調な非金利利益の伸びは(特に 2016 年)、外国為替取引、国際業務、貿易金融(当

部門は利益の 15%を占める)並びに送金および取引銀行業務に関する手数料の大幅増が背景にある(図表

17-18)。

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今後 3 年間、21%の純利益年平均成長率(CAGR)を見込む

2017-2019 会計年度の 3 年間(図表 17-18)、MCB は 21%の純利益年平均成長率(CAGR)、8%の EPS 年

平均成長率(CAGR)を計上し(資本調達計画による株式希薄化の影響により;図表 15)、順調に利益を伸ば

すと予想する。純利益の伸びの主な要因は以下の点によると思われる。

1)2017 年―19 年の予想平均貸出残高の伸び率 27%

2)堅調な資金運用利益の伸び率平均 24%

これは、IMF が約 8.0-8.5%と予測する GDP 成長や業界の見通しが支援材料となっているが、その背景に

は経済・金融改革と安定した政治環境に基づく与信の伸びがある。

さらに、法人と個人を対象にした割賦融資も貸出しの伸びを牽引している。一方、特に預金業務での競争が

激化しているため、同行の純金利マージン(NIM)はやや低下すると当社は予想している。

同行の主たる戦略的目標

同行の 2017 年及び長期的な戦略的目標は主として以下の通りである。

1) 5 年間で 50 の支店を開設

2) オンライン・バンキング・サービスを中心に銀行のネットワークを拡大し、国内銀行業務における地位

を強化(特にリテール・バンキングとコーポレート・バンキング)

3) 農業と家畜事業に比べてリスクが低い貿易、産業、サービスの各セクターに軸足を置く。

4) 商業省は同行の株主であり取締役を送り込んでいることから、対外貿易や国際銀行業務に精通し競争優

位性を有する。

5) 農家向け農業機器の販売に関連した割賦融資業務の成功が実証された後(特にマンダレー、サガイン、

ヤンゴン、アヤワルディ地域)、他の複数の商品にも割賦融資を拡大すること。このような成功を踏まえ、

同行は全国にそういったサービスを拡大する意向であるが、同行はさらに将来性のある他の割賦商品に

も展開する計画である(ビジネス使用の機械・装置、居住用アパート、自動車、電話機等)。なお 2016

年 3 月現在、同割賦融資は総貸付金の約 24%を占めている。

収益の潜在的な下振れリスク

ミャンマーの会計と透明性基準は、銀行セクターを含めて依然として地域同業他社に後れを取っている。ミ

ャンマーの銀行が国際的な慣行に準拠できるようになるには、さらに数年かかると当社では見ている。当社

の MCB 業績見通しに関する潜在的なリスクは以下の通りである。

1) 損益計算書での引当金積み増しの可能性

国際基準では貸倒引当金は損益計算書に費用として計上するのに対して、MCB を含むミャンマーの銀行は、

依然として資本の部の内部留保を使って貸倒引当金を計上している。なお、同行が過去 3 年間に計上した引

当金は、同期間の当期純利益のおよそ 8-10%を占めていた。

CBM(=Central Bank of Myanmar ミャンマー中央銀行)が国際基準に従って会計制度を変更する場合には

(CBM にその動きは見られないが)、2017 年-19 年の MCB の純利益には約 7-8%の下振れリスクが潜在的に

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あると当社は見ている(貸出金総額の 2%という同行による現在の貸倒引当金の方針が前提)。同行が 2017

年-19 年の期間、貸出しの 2.2%、2.5%、2.75%というレベルで一般引当金を積むと仮定すると、2017 年-19

年の純利益に与えるインパクトは 11-14%に上昇する可能性がある(図表 16)。

図表 16: 2014-16 年内部留保による引当金繰入額

3 月末決算 2014 年 2015年 2016年 2017‐19 年予想* 2017‐19 年予想**

一般貸倒引当金費用(百万チャット) 333 525 563 692‐937 991‐1,756

% 引当金費用/純利益 9.9% 10.5% 8.0% 7‐8% 11‐14%

出所: KTZMICO リサーチ、 ブルームバーグ

*現在の引当方針である総貸出金の 2%を前提

**2017-19年、総貸出金の 2.2%、2.5%、2.7%と引当方針を仮定

2) CBM(ミャンマー中央銀行)が義務付ける引当金/引当方針の変更

前述の通り、CBM が義務付ける現在の貸倒引当金方針は総貸出金の 2%で、特定の引当金は要求されていな

い。長期的な見通しとしては、CBM の引当金方針はより国際基準に沿った特定の引当金の設定要件を盛り

込むと、当社は予想している。これにより、ミャンマーの銀行と MCB にはさらなる下振れリスクが生じる

可能性がある。なお、新しい設定要件やその実施時期については中央銀行に具体的な動きは現時点ではない。

図表 17: 純利益(百万チャット)、同成長率、ROE 図表 18: 資金運用収支、非金利収益、及び貸出金

の伸びと純資金利鞘 (右軸)

出所: MCB、KTZMICO リサーチ 出所: MCB、KTZMICO リサーチ

財務状況

ミャンマーの銀行の資産の質と引当基準は依然として近隣諸国の他行に後れを取っている

ミャンマーの銀行の不良債権と引当計上方針は、依然として近隣諸国の競合相手から立ち遅れていることに

留意する必要がある。MCB(ミャンマー他行も同様)は、利払いと元本が 6 か月以上延滞している貸付金を不

良債権として分類しており、3 カ月以上の利払い延滞基準を適用している地域他行の基準より遅れている。

さらに、ミャンマー中央銀行(CBM)が銀行に課している引当要件は、全ての分類の貸付金について総額の 2%

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の引き当てを義務付けるのみで、不良債権に特段の追加的な引当金要件はない。同基準は、不良債権の各分

類で高い水準の引き当てが義務付けられるタイや他の近隣諸国と比べ(図表 19-20 参照)、比較的緩やかな

ものである。また通常、引当金の計上は中央銀行の指示により会計年度末になされる。

中央銀行は長期的な観点から、ミャンマーの銀行をより国際基準に沿う方向で主要な会計基準・規制(会計

報告、引当金、不良債権・資本基準、利益・費用認識、等)を段階的に引き上げるべきである。これらは、

MCB の業績見通しの潜在的な下振れリスクとなる可能性がある(詳細は「収益見通し」の項目を参照)。

図表 19:ミャンマーと近隣諸国の不良債権分類と引当計上方針

期間別債権の分類 基準 引当方針

(期限後延滞期間) タイ ベトナム ラオス ミャンマー

1 貸出債権 無し 1%** 0.75%* 1%** 2%*

2 要注意先債権 (<3 ヶ月) 2%** 5%** 3%** 2%*

3 要管理先債権権 (>3‐6 ヶ月) 100%** 20%** 20%** 2%*

4 破綻懸念先債権 (>6‐12 ヶ月) 100%** 50%** 50%** 2%*

5 実質破綻先債権 (>12 ヶ月) 100%** 100%** 100%** 2%*

*% 総貸付金に対する割合

**% 担保控除後貸付金に対する割合(%担保価値不足分に対する割合)

不良債権

出所: 各国中央銀行 、KT ZMICO リサーチ

注) ミャンマーのデータは MCB、ミャンマー中央銀行 (CBM) 及びその他関連資料に基づく。

図表 20:貸出金と不良債権分類についてのミャンマー中央銀行の改訂基準

債権分類 不良債権区分

MCB 前基準 ミャンマー中央銀行改訂基準

期限後延滞期間 延滞期間

通常債権要注意先債権 無し 無し

31-60 日

要管理先債権破綻懸念先債権 6‐12 ヶ月 61‐90 日

延滞債権 >12‐24 ヶ月 91‐180 日

実質破綻先債権 >24 ヶ月 >180 日

不良債権

出所: ミャンマー中央銀行、KT ZMICO リサーチ

強固なバランスシートで MCB は成長の機会を活かす態勢にある

MCB の財務状況は比較的堅調である(特に、同行の強い資本基盤と流動性ポジションに関して)。2016 年 3

月に終了した 2016 年度、同行の自己資本規制比率は 77%、流動比率は 50%で、中央銀行の最低要件(自己

資本規制比率 10%、流動比率 20%)を大幅に上回る。

一方、2016 年の預貸率は 80%と十分な水準にあるが、この数字はタイの銀行の 85%に匹敵する一方、ミャ

ンマーの銀行の 55%やラオス外国商業銀行(BCEL;ラオス証券取引所上場の唯一の銀行)の 51%を大幅

に上回る。これは、MCB の高い融資の伸びと銀行業界全体に比べて健全な財務レバレッジをもたらす。MCB

は引き続き約 80%の預貸率を維持することを目指しているが、同行は健全なバランスシートを有するため、

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銀行業界の発展と経済成長の機会を活かすことが可能になるだろう。

2012 年―2016 年の期間、同行の不良債権比率は約 1.5-2%と極めて安定しているが(図表 22 参照)、それ

は同行が不良債権比率を 2%以下に抑える努力をした賜物である。しかし、前述のようにミャンマーの銀行

の不良債権の定義と引当計上方針は依然として地域他行と比べて遅れている。

図表 21: MCB の預貸率、資産貸出率、流動比率 図表 22: 不良債権比率、自己資本規制比率(CAR)

出所: MCB、 KTZMICO リサーチ 出所: MCB、 KTZMICO リサーチ

図表 23: バーゼル基準 図表 24: 民間銀行の自己資本規制比率(CAR)

国 バーゼル基準

カンボジア バーゼル I

ラオス バーゼル I

ミャンマー バーゼル I

ベトナム バーゼル I

ブルネイ バーゼル I

インドネシア バーゼル II

インド バーゼル III

タイ バーゼル III

フィリピン バーゼル III

マレーシア バーゼル III

シンガポール バーゼル III

香港 バーゼル III

オーストラリア バーゼル III

日本

台湾

バーゼル III

バーゼル III

出所: 国際決済銀行 (BIS)、各国の中央銀行 出所:ミャンマー中央銀行、IMF

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図表 25:現在のミャンマー中央銀行(CBM)の対銀行主要規制

現在のミャンマー中央銀行の対銀行主要規制

現金比率 5%

流動比率 20%

自己資本比率 10%

単一貸出限度額 20%

一般貸倒引当 貸付金の 2%

特定貸倒引当 特別の要件無し

不良債権定義 >6 ヶ月延滞

最低引当要件 預金の 10%

中央銀行に少なくとも現預金 5%

ミャンマー中央銀行の公定歩合 10%

貸出金利 13% (最大)

預金金利 8% (最低)

‐要求払い預金 4.0‐8.5%

‐普通預金 8.0‐8.25%

‐定期預金 8‐10%

主要貸出規制/制限

* すべての融資は担保要

* 融資期間は 1年以内

* 貸出金利は上限が 13%、預金金利は下限が 8%

* 銀行は総預金の 70-80%のみ貸出しが許可されている。

出所: ミャンマー中央銀行、KT ZMICO リサーチ、その他関係資料

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銀行業界の展望

近年、銀行セクターは急速に成長

ミャンマーの金融システムは発展の初期段階にある。ミャンマーは主に現金ベースの経済であり、正規金融

サービスへのアクセスができるのは人口の20%未満で特に農村部では銀行サービスへのアクセスが限られ

ている。近年の急激な成長にもかかわらず(民間信用部門は過去4年間で50%伸び、特に民間銀行は国有銀

行に対しシェアを拡大している)、同国の銀行システムは近隣諸国と比較して小規模にとどまる。2015年2

月現在、民間部門への信用供与はミャンマーのGDPの16%にすぎない(民間銀行はGDPの14%貢献)。一方、

2015年2月現在、銀行の総資産額はミャンマーのGDPの58%を占め(半分強が民間銀行)、過去2年間でGDP

の48%から上昇した。

他方、現在の銀行商品とサービスの範囲は依然としてかなり限られたもので、ミャンマーの銀行の透明性や

リスク管理基準は(特に会計面)、CLMV 諸国や他の近隣諸国の銀行より遅れている。さらに、ミャンマ

ーには、信用調査機関が未だ存在しないことから、財務データの信頼性(特に資産の質、不良債権や引当金

のデータ)に関する疑問点は、精度の高い分析を行う上で困難を伴う可能性がある。

成長の見通しは疑う余地がない:課題は安定性

ミャンマーの金融セクターが拡大基調であることから(特に地域の競合行比で)、ミャンマーの銀行セクタ

ーの成長は今後もCLMVと近隣諸国の同業他行をしのぐと当社は見ている。それは以下の要因により裏付け

られる。

1)ミャンマーにおける銀行の低い普及率

2)好調な経済成長

3)経済・金融改革の進展

4)選挙後の政治情勢が安定性を増す可能性

しかし、重要な課題としては、銀行システムの長期的な安定と質である。ミャンマーの経済・金融改革は継

続的に進展すると当社は見ているが、この国が国際的な慣行に準拠するまでにはさらに数年かかるであろう。

今後のミャンマー経済の見通しは引き続き魅力的であるが、それは新政権下で社会・経済の自由化が進展し

高水準の投資を含む改革実行の恩恵を受けるからである。なお、経済成長率は2015年の予測値8.5%から2016

年は8.4%になるとIMFは予測している。

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図表 26: 実質 GDP 成長と与信の伸び 図表 27: GDP に対する貸出と預金

出所: IMF、ミャンマー中央銀行 出所: IMF、ミャンマー中央銀行

図表 28:ミャンマーの主要銀行業関連統計

ミャンマーの主要銀行業関連統計 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年予想 2016 年予想

実質 GDP 成長率 (%) 5.6 7.3 8.4 8.5 8.5 8.4

中央銀行政策金利 (%) 11 10 10 10 ‐‐ ‐‐

国内貸出 (% 前年比) 25.1 5.1 24.6 28.8 34.7 30.3

民間セクターへの信用貸し (% 前年比) 60.1 50.5 52.5 35.5 45.2 36.7

民間セクターへの信用貸し (% GDP比率) 7.5 10.3 13.7 16.1 19.2 21.7

預金 (% GDP 比率) 16.2 24.6 30.2 32.5 35.1 37.5

預貸率% 46.5 44.2 48.4 55.1 60.8 65.7

出所: IMF 予測、IMF・世銀年次総会 2015、KT ZMICO リサーチ

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図表 29: 主要経済統計

2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年予想 2016 年予想

GDP

名目 GDP 10 億チャット 43,238 47,722 54,699 62,834 76,471 92,641

10 億米ドル 56 56 57 63 66 71

1 人当たり名目 GDP 米ドル 1,118 1,100 1,112 1,228 1,269 1,364

実質 GDP % 5.6 7.3 8.4 8.5 8.5 8.4

物価

インフレ率 (平均) % 2.8 2.8 5.7 5.9 12.2 11.8

インフレ率 (期末) % ‐1.1 4.7 6.3 7.4 13.3 10.2

公共部門

総収入 10 億チャット 5,222 11,156 12,772 16,563 15,919 19,052

% 対 GDP 12.1 23.4 23.4 26.4 20.8 20.6

総費用 10 億チャット 7,208 11,955 13,732 18,405 19,582 23,379

% 対 GDP

16.7 25.1 25.1 29.3 25.6 25.2

政府 純貸出/借入 10億チャット ‐1,986 ‐799 ‐960 ‐1,841 ‐3,664 ‐4,328

% 対 GDP

‐4.6 ‐1.7 ‐1.8 ‐2.9 ‐4.8 ‐4.7

公的債務 % 対 GDP 49 43 35 32 33 33

− 海外 % 対 GDP 27 25 18 14 16 16

− 国内 % 対 GDP 23 18 17 17 18 17

国際収支

財、サービス輸出額 % 9.6 4.9 12.6 22.6 5.7 14.8

財輸出額 % 8.6 1 10.7 12.9 5 16.5

財、サービス輸入額 % 23.6 17.4 14.5 27.4 16.1 11.1

財、輸入額 % 21.5 19.4 12.9 28.5 17.1 11.1

貿易収支 10 億米ドル ‐0.2 ‐0.3 ‐2.6 ‐5.2 ‐7.7 ‐7.9

% 対 GDP ‐0.3 ‐3.8 ‐4.6 ‐8.2 ‐11.6 ‐11.1

経常収支 10 億米ドル ‐1.1 ‐2.3 ‐3.0 ‐3.9 ‐5.9 ‐5.9

% 対 GDP ‐1.9 ‐4.2 ‐5.2 ‐6.1 ‐8.9 ‐8.3

外貨準備 10 億米ドル 0.9 3.1 4.5 5.1 5.1 5.4

輸入代金月数 0.8 2.4 2.8 2.8 2.5 2.3

通貨と信用

広義マネー % 26.3 46.6 32.7 21.7 21.7 28.4

民間セクターへの信用供与 % 60.1 50.5 52.5 35.5 45.2 36.7

% 対 GDP 7.5 10.3 13.7 16.1 19.2 21.7

預金 % 対 GDP 16.2 24.6 30.2 32.5 35.1 37.5

外国為替と金利

外国為替レート (期末)

− 公式換算レート チャット/ドル 5.6 880 965 1,027 ‐‐ ‐‐

− 市場換算レート チャット/ドル 822 878 965 1,070 ‐‐ ‐‐

金利 (期末)

− 中央銀行政策金利 % 12 10 10 10 ‐‐ ‐‐

その他指標

外国直接投資(FDI) % 対 GDP 3.7 5 4.6 5.2 5.5 6.5

人口 百万 50.1 50.5 51 51.4 51.8 52.3

失業率 % 4 4 4 4 4 4

出所: IMF 予測、IMF・世銀年次総会 2015、KT ZMICO リサーチ

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(100 チャット=8.19 円で換算) 18 / 28

ミャンマーの金融機関

2016年8月22日現在、ミャンマー金融システムは国有銀行4行、民間銀行24行、外資系銀行10支店、外資系

銀行駐在員事務所48所、金融会社11社で構成されている(図表30-31参照)。新規のマイクロファイナンス

銀行が最近設立され、当局は住宅銀行や畜産開発銀行の免許申請を検討中である。ミャンマーの銀行28行は、

GDPの約55%に相当する資産を蓄積している。

民間銀行は国有銀行(SOB)よりもシェアを拡大する方向

以前は、国有銀行が市場を支配していたが、最近は民間銀行が急速な伸びを示し国有銀行よりも大幅にシェ

アを拡大し、力強い成長を遂げている。現在、民間銀行が所有する資産は銀行業界全体の資産の約半分を占

めている。全銀行セクターの資産に占める国有銀行の割合は 2 年前の 67%から 2015 年 3 月には 52%と低

下傾向にある一方、同資産に占める民間銀行の割合は 48%に急増している。

国有銀行 (SOBs)

ミャンマー経済銀行(MEB)、ミャンマー外国貿易銀行(MFTB)、ミャンマー農業開発銀行(MADB)

は何れも1975年にビルマ連邦社会主義共和国銀行法の下で設立された(図表31参照)。第4の国有銀行であ

るミャンマー投資商業銀行(MICB)は、1990年に同国の産業振興と生産を促すため設立された。MEBはその

営業範囲において国内最大の銀行で、全国に310を超える支店網と民間銀行のカンボーザ銀行に次ぐ2番目の

預金残高を有する。MADBは2012年の時点で融資残高が最大の国有銀行である。MFTBは国際銀行業務に特

化している。

準国有・民間銀行

民間銀行(多くは1992以降の設立)は、カンボーザ銀行(民間銀行資産総額の35.4%)、エーヤワディー銀

行(11.3%)、協同組合銀行 10.7%)、ミャワディ銀行(7.3%)、ミャンマーシェサウン銀行(6.8%)の

5行が中心となっている。同5行の合計で民間銀行総資産の72%、国内銀行業界の総預金の48%を占めている。

国有銀行に比べ、準国有・民間銀行は販売促進や技術革新の面で主導的な役割を果たしている(デビットカ

ード・クレジットカードの導入、ATM ネットワークの拡大等)。

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図表 30: ミャンマーの金融機関

民間銀行 国有銀行

1 ミャンマー市民銀行 (MCB: Myanmar Citizens Bank) 1 ミャンマー外国貿易銀行 (MFTB: Myanmar Foreign Trade

Bank)

2 ファーストプライベート銀行 2 ミャンマー投資商業銀行 (MICB: Myanmar Investment and

Commercial Bank)

3 協同組合銀行 (CB Bank: Co-operative Bank Ltd.) 3 ミャンマー経済銀行 (Myanmar Economic Bank)

4 ヤダナボン銀行 (Yadanabon Bank Ltd.) 4 ミャンマー農業開発銀行 (Myanmar Agricultural

Development Bank)

5 ミヤワディ銀行 (Myawaddy Bank Ltd.)

6 ヤンゴン・シティ銀行 (Yangon City Bank Ltd.) 外国銀行 駐在員事務所 および ファイナンス会社

7 ヨマ銀行 (Yoma Bank)

1 DBS銀行 (DBS Bank)

8 ミャンマー・アシェッタイ銀行 (MOB: Myanmar

Oriental Bank) 2 National Bank Limited

9 アジアヤンゴン国際銀行 (Asian Yangon

International Bank) 3 First Overseas Bank Limited

10 トン・ファウンデーション銀行 (Tun Foundation Bank) 4 CIMBグループホールディングス (CIMB Bank Behard)

11 カンボーザ銀行 (Kanbawza Bank) 5 Arab Bangladesh (AB)Bank Limited

12 Small & Medium Industrial Development Bank Ltd

6 サイアム商業銀行 (Siam Commercial Bank)

13 Global Treasure Bank Ltd

7 マルハン銀行 (Maruhan Japan Bank)

14 Rual Development Bank Ltd

8 クルン・タイ銀行 (Krung Thai Bank)

15 Innwa Bank Ltd

9 ユナイテッド・バンク・オブ・インディア (United Bank of

India)

16 Asia Green Development Bank Ltd

10 カシコーン銀行 (Kashikorn Bank)

17 エーヤワディー銀行 (Ayeyarwady Bank) 11 ウリィ銀行 (Woori Bank)

18 ユナイテット・アマラ銀行 (UAB Bank: United Amara

Bank Ltd.) 12 ベトナム産業貿易商業銀行 (Bietin Bank)

19 ミャンマー・シェッサウン銀行 (Myanmar Apex Bank) 13 韓国産業銀行 ( Korea Development Bank)

20 Naypyitaw Sibin Bank Limited 14 スタンダートチャータード (Standard Chattered Bank)

21 Myanmar Microfinance Bank Limited 15 新韓銀行 (Shinhan Bank)

22 Construction and Housing Development Bank Limited 16 中小企業銀行 (Industrial Bank of Korea)

23 Shwe Rural and Urban Development Bank Limited 17 第一銀行 (New Licence for Change of Management

Office)

24 Ayeyarwaddy Farmers Development Bank Limited (A

Bank) 18 玉山銀行 (E.SUN Commercial Bank, Singapore Branch)

19 インド銀行 (Bank of India (BOI))

外国銀行支店

20 国民銀行 (Kookmin Bank)

1 三菱東京 UFJ銀行 (The Bank of Tokyo‐Mitsubishi

UFJ) 21 Export‐Import Bank of India

2 オーバーシー・チャイニーズ銀行 (Oversea‐Chinese

Banking 22 The Export‐Import Bank of Korea

3 三井住友銀行 (Sumitomo Mitsui Banking) 23 Eastern Bank Limited

4 ユナイテッド・オーバーシーズ銀行 (United Overseas

Bank) 24 アユタヤ銀行 (Bank of Ayudhya)

5 バンコク銀行 (Bangkok Bank) 25 RHB銀行 (RHB Bank)

6 中国工商銀行 (Industrial and Commercial Bank of

China) 26 セイロン商業銀行 (Commercial Bank of Ceylon)

7 マラヤン・バンキング (Malayan Banking Berhad

(Maybank)) 27 インドステイト銀行 (State Bank Of India)

8 みずほ銀行 (Mizuho Bank) 28 国泰世華銀行 (Cathay United Bank)

9 ANZ 銀行グループ (Australia and New Zeland

Banking Group) 29 State Bank of Mauritius

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(100 チャット=8.19 円で換算) 20 / 28

10* The Joint Stock Commercial Bank for Investment and

Development of Vietnam (BIDV) 30 BRED Banque Populaire

11* E.サン・ファイナンシャル・ホールディングス (E.

SUN Commercial Bank) 31 釜山銀行 (Busan Bank)

12* 新韓銀行 (South Korea's Shinhan Bank)

32 イオン・クレジット・サービス

13* インドステイト銀行 (The State Bank of India)

33 バンク・ネガラ・インドネシア(PT. Bank Negara Indonesia)

*注: 2016年 3 月銀行免許取得 34 台湾銀行 (Bank of Taiwan)

35 Taishin International Bank Co., Ltd

36 台湾新光商業銀行 (Taiwan Shin Kong Commercial Bank)

ファイナンス会社

37 中国信託銀行 (CTBC Bank)

1 Oriental Leasing Company Ltd 38 元大金控 (Yuanta Commercial Bank)

2 Myat Nan Yone Finance Company Ltd 39 合作金庫銀行 (Taiwan Cooperative Bank)

3 National Finance Company Ltd 40 タイワン・ビジネス・バンク (Taiwan Business Bank)

4 Ryuji Finance Company Ltd 41 兆豊国際商業銀行 (Mega International Commercial Bank)

5 Mahar Bawga Finance Company Ltd 42 Ho Chiminh City Development Joint Stock Commercial

Bank

6 Jewel Spectrum Company Ltd 43 カタール・ナショナル・バンク

7 Century Finance Company Ltd 44 サンパス銀行

8 Win Progress Services Company Ltd 45 中国銀行

9 Z Corporation Company Ltd 46 KEBハナ銀行 (New Licence for Change of Name)

10 Global Innovations Finance Company Ltd 47 東銀リース株式会社 (BTMU Leasing (Thailand) Co., Ltd)

出所: ミャンマー中央銀行、 KT ZMICO リサーチ

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図表 31: ミャンマーの金融機関 相関図 (2016年3月16日現在)

出所: ヤンゴン証券取引所、ミャンマー中央銀行、KT ZMICO リサーチ

* パタマ・ポッガリカ銀行 (First Private Bank) は、2017年1月20日にヤンゴン証券取引所に上場した。

銀行

政府保有100% 政府保有0% 政府保有100%未満

公開銀行

(既上場)

公開銀行

(非上場)

未公開銀行

省/市による運営 国有銀行

未公開銀行 公開銀行

(非上場)

公開銀行

(既上場)

外国銀行

現在、該当なし 10の外国銀行(営業中)

48の外国銀行駐在員事務所

・インワ銀行

(Innwa Bank)

・Naypyitaw Sibin Bank Ltd

(NDC)

・ヤダナボン銀行

(Yadanabon Bank)

・ヤンゴン・シティ銀行

(Yangon City Bank)

・ミャンマー農業開発銀行

(Myanmar Agricultural

Development Bank)

・ミャンマー経済銀行

(Myanmar Economic Bank)

・ミャンマー外国貿易銀行

(Myanma Foreign Trade Bank)

・ミャンマー投資商業銀行

(Myanma Investment and

Commercial Bank)

ミャンマー市民銀行(MCB)

・アジアヤンゴン国際銀行 (Asian

Yangon International Bank)

・エーヤワディー銀行 (Ayeyarwaddy

Bank)

・カンボーザ銀行 (Kanbawza Bank)

・ミャンマー・シェッサウン銀行

(Myanmar Apex)

・ミャンマー・アシェッタイ銀行 (MOB:

Myanmar Oriental Bank)

・Shwe Rural and Urban Developemrnt

Bank

・Tun Foundation Bank

・ユナイテット・アマラ銀行 (UAB

Bank: United Amara Bank)

・ヨマ銀行 (Yoma Bank)

・エジーディ銀行 (AGD: Asia

Green Development Bank)

・協同組合銀行 (CB Bank:

Co-operative Bank Ltd.)

・パタマ・ポッガリカ銀行 (First

Private Bank Ltd.)*

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図表 32:セクター別商業銀行融資の割合 (%) 図表33:銀行セクター 流動性 (貸出/預金)

出所: IMF、ミャンマー中央銀行 出所: IMF、ミャンマー中央銀行

図表 34:ミャンマーの金利 (%) 図表35: ミャンマーと近隣諸国銀行の利鞘 (%)

出所: ミャンマー中央銀行、CEIC、IMF/IFS 出所: ミャンマー中央銀行、世銀、IMF

上振れリスク/下振れリスク

収益の見通しに関する主要な潜在的な下振れリスクは以下の通りである。

1) ミャンマーの銀行は長期的には国際基準に準拠しなければならないため、規制リスクと会計基準変更の可能性があ

ること(詳細は収益予測の部を参照)

2) 銀行の急速な業務拡大に伴う資産の質のリスク

3) ミャンマー銀行業界での競争激化の可能性

その一方で、ミャンマーの好調な経済成長が材料となり、引き続き近隣諸国の競合行を上回るペースで銀行業界は成長

する見通しである。

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(100 チャット=8.19 円で換算) 23 / 28

3月末決算 2014/3期 2015/3期 2016/3期 2017/3期* 2018/3期* 2019/3期* 2014/3期 2015/3期 2016/3期 2017/3期* 2018/3期* 2019/3期*

損益計算書 百万チャット 百万円

資金運用収益 7,171 10,072 16,123 21,247 26,451 32,639 587 825 1320 1740 2166 2673

資金調達費用 4,127 6,080 8,995 11,938 15,125 19,059 338 498 737 978 1239 1561

資産運用収支 3,044 3,992 7,128 9,310 11,326 13,580 249 327 584 762 928 1112

送金等手数料 658 1,128 1,474 1,842 2,211 2,543 54 92 121 151 181 208

役務収益 610 804 1,381 1,865 2,331 2,797 50 66 113 153 191 229

外国為替取引 539 752 2,930 1,500 1,650 1,815 44 62 240 123 135 149

その他収益 966 1,569 18 27 31 35 79 129 1 2 3 3

非金利利益計 2,773 4,253 5,803 5,234 6,223 7,190 227 348 475 429 510 589

業務粗利益 5,817 8,245 12,931 14,544 17,549 20,770 476 675 1059 1191 1437 1701

人件費 1,184 1,543 2,364 3,191 3,989 4,667 97 126 194 261 327 382

国際銀行業務費用 166 208 1,829 500 600 720 14 17 150 41 49 59

その他費用 1,116 1,386 1,643 2,111 2,460 2,855 91 114 135 173 201 234

経費合計 2,467 3,138 5,835 5,802 7,049 8,242 202 257 478 475 577 675

業務純益 3,351 5,107 7,096 8,742 10,500 12,528 274 418 581 716 860 1026

特別項目 ‐ -55 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ -5 ‐ ‐ ‐ ‐

法人税等 838 1,282 1,788 2,185 2,625 3,132 69 105 146 179 215 257

純利益 2,513 3,771 5,308 6,557 7,875 9,396 206 309 435 537 645 770

EPS 687.69 507.98 532.18 546.39 605.79 671.16 56 42 44 45 50 55

*は予想

出所: MCB、 KTZMICO リサーチ

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(100 チャット=8.19 円で換算) 24 / 28

3月末決算 2014/3期 2015/3期 2016/3期 2017/3期* 2018/3期* 2019/3期* 2014/3期 2015/3期 2016/3期 2017/3期* 2018/3期* 2019/3期*

貸借対照表 百万チャット 百万円

資産

現金(同行) 5,814 5,496 8,989 9,169 9,352 9,539 476 450 736 751 766 781

現金 (ミャンマー中央銀行、他銀行) 11,702 20,101 31,427 34,085 38,003 42,975 958 1,646 2,574 2,792 3,112 3,520

有価証券 18,788 31,621 50,852 62,337 74,805 89,765 1,539 2,590 4,165 5,105 6,127 7,352

貸出金 60,848 87,117 115,276 149,859 187,323 234,154 4,983 7,135 9,441 12,273 15,342 19,177

純貸出金 60,848 87,117 115,276 149,859 187,323 234,154 4,983 7,135 9,441 12,273 15,342 19,177

建物および設備 3,832 5,311 8,056 11,682 14,018 16,121 314 435 660 957 1,148 1,320

その他資産 4,312 14,558 15,212 17,131 17,788 18,707 353 1,192 1,246 1,403 1,457 1,532

資産合計 105,297 164,204 229,813 284,262 341,289 411,262 8,624 13,448 18,822 23,281 27,952 33,682

負債 および 資本

預金 76,948 103,179 144,370 180,463 225,579 282,650 6,302 8,450 11,824 14,780 18,475 23,149

その他負債 5,473 16,126 23,976 27,523 30,399 33,667 448 1,321 1,964 2,254 2,490 2,757

負債合計 82,422 119,305 168,346 207,986 255,978 316,317 6,750 9,771 13,788 17,034 20,965 25,906

払込資本 18,271 37,113 49,870 60,000 65,000 70,000 1,496 3,040 4,084 4,914 5,324 5,733

株式払込剰余金 113 2,886 4,799 6,319 7,069 7,819 9 236 393 518 579 640

利益剰余金 63 87 84 608 534 307 5 7 7 50 44 25

その他 3,338 4,814 6,714 9,349 12,709 16,819 273 394 550 766 1,041 1,377

資本合計 21,784 44,899 61,467 76,276 85,312 94,945 1,784 3,677 5,034 6,247 6,987 7,776

*は予想

出所: MCB、 KTZMICO リサーチ

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(100 チャット=8.19 円で換算) 25 / 28

3月末決算 2014/3期 2015/3期 2016/3期 2017/3期* 2018/3期* 2019/3期*

バリュエーション及び諸比率

1株当たりデータ (チャット)

EPS 688 508 532 546 606 671

配当 650 650 650 382 424 470

1株当たり純資産(BPS) 5,962 6,049 6,163 6,356 6,562 6,782

マルチプライヤー

PER (倍) 8.72 11.81 11.27 10.98 9.9 8.94

PBR (倍) 1.01 0.99 0.97 0.94 0.91 0.88

配当利回り (%) 10.83 10.83 10.83 6.37 7.07 7.83

成長率 前年比 (%)

純利益 39.2% 50.0% 40.8% 23.5% 20.1% 19.3%

EPS 36.1% ‐26.1% 4.8% 2.7% 10.9% 10.8%

資金運用利益 5.9% 31.2% 78.5% 30.6% 21.7% 19.9%

非金利利益 177.3% 53.4% 36.4% ‐9.8% 18.9% 15.5%

業務粗利益 50.1% 41.7% 56.8% 12.5% 20.7% 18.4%

業務純益 40.7% 52.4% 38.9% 23.2% 20.1% 19.3%

貸出金成長率 37.6% 43.2% 32.3% 30.0% 25.0% 25.0%

預金成長率 38.1% 34.1% 39.9% 25.0% 25.0% 25.3%

主要比率

不良債権総額 (百万チャット) 852 1,922 2,374 3,427 4,738 6,612

不良債権比率 1.4% 2.2% 2.1% 2.2% 2.4% 2.7%

貸倒引当金/不良債権総額 142.9% 90.7% 97.1% 96.2% 98.8% 97.4%

貸倒引当金/貸出金 2.0% 2.0% 2.0% 2.2% 2.5% 2.8%

引当金/貸出金総額* 0.6% 0.6% 0.5% 0.7% 0.7% 0.8%

自己資本比率 および 流動比率

自己資本比率 54.4% 70.2% 73.5% n.a. n.a. n.a.

預貸率 79.1% 84.4% 79.8% 83.0% 83.0% 82.8%

貸出比率(=貸出/資産) 57.8% 53.1% 50.2% 52.7% 54.9% 56.9%

流動比率 29.8% 32.7% 49.7% n.a. n.a. n.a.

収益性比率

ROA 2.7% 2.8% 2.7% 2.6% 2.5% 2.5%

ROE 11.5% 8.4% 8.6% 8.6% 9.2% 9.9%

経費率 42.4% 38.1% 45.1% 39.9% 40.2% 39.7%

非金利利益/業務粗利益総額 47.7% 51.6% 44.9% 36.0% 35.5% 34.6%

純資金利鞘 (NIM) 3.7% 3.5% 4.2% 4.2% 4.2% 4.1%

税率 25.0% 25.4% 25.2% 25.0% 25.0% 25.0%

*は予想

出所: MCB、 KTZMICO リサーチ

主な比率 2014/3期 2015/3期 2016/3期 2017/3期* 2018/3期* 2019/3期*

貸出成長率‐ 純額 37.6% 43.2% 32.3% 30.0% 25.0% 25.0%

経費/業務粗利益 (経費率) 42.4% 38.1% 45.1% 39.9% 40.2% 39.7%

純資金利鞘 3.7% 3.5% 4.2% 4.2% 4.2% 4.1%

引当/貸出金総額* 0.6% 0.6% 0.5% 0.7% 0.7% 0.8%

*は予想

出所: MCB、 KTZMICO リサーチ

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【メ モ】

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Anti-Corruption(腐敗防止進捗を示す指標)

KT ZMICO調査 ・評価判断の定義

レベル 1(確約):会社の声明又は取締役会の決議により、腐敗防止に取り組み、関連する全ての

法律に準拠している。

レベル 2(宣言):タイの民間組織である腐敗防止共同行動連合(CAC)又は同等な組織に参加して

いるという公式宣言がなされている。

レベル 3(確立):防止措置、リスクアセスメント、コミュニケーション及び全従業員に対する研修に

ついて、公開している。(継続的モニタリング及び審査プロセスを含む)

レベル 4(認定):監査委員会、又は証券取引委員会(SEC)により認定を受けた監査役による監査

契約、及び独立した外部の保証提供者(CAC等)により、認定又は許可を受けている。

レベル 5(展開):腐敗防止方針を供給網における取引先にまで展開しており、現在行われている

調査、訴訟及び解決済みの事例についても開示している。

指針が不十分若しくは明確に規定されていない。

データなし/措置なし。

注:

KT ZMICO 証券はKTB(貸付金や総資産でバンコク銀行と並びタイ王国内で商業銀行として最上位に

位置するクルン・タイ銀行)と ZMICO(Seamico証券)との間のパートナーシップです。

KT ZMICO 証券の役員はBCP、BTC、CI、CPI、KBS、MAJOR、MK、PACE、PSL、SVH、VNG、ZMICO、

SAWAD、TFG の取締役会メンバーでもあります。

KT ZMICO 証券の幹部はBTCとNFCの取締役会メンバーでもあります。

KT ZMICO証券はU, LOXLEY, ZMICO, MAKRO, CPALL, SAFARI, PACE, PLE, TPOLY, M‐CHAI, CI,

EARTHのフィナンシャル・アドバイザーを務めています。

KT ZMICO 証券はALT, EKH, RJH, BCPGの共同引受会社です。

銘柄推奨 買い:今後 12 ヶ月間におけるトータルリターンが+15%以上であると予想する場合。

アウトパフォーム:トータルリターンが-10%から+15%の間で、特定の材料(カタリスト)により、今後 6ヶ月間におけるトータルリターンが市場リターンを上回ると予想する場合。 アンダーパフォーム:トータルリターンが-10%から+15%の間で、特定の材料(カタリスト)により今後 6ヶ月間におけるトータルリターンが市場リターンを下回ると予想する場合。 売り:今後 12 ヶ月間におけるトータルリターンが-10%以下であると予想する場合。

セクター推奨 オーバーウエイト:今後12ヵ月において、関 連する主要市場指数との比較で、当該セクターのパフォーマンスが少なくとも 10%上回るとアナリストが予想する場合。 ニュートラル:今後12ヵ月において、関連す る主要市場指数との比較で、当該セクター のパフォーマンスが同程度とアナリストが予想する場合。 アンダーウエイト:今後12ヵ月において、関連主要市場指数との比較で、当該セクターのパフォーマンスが10%下回るとアナリストが予想する場合。

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本レポートは市況等に関する情報提供を目的として、当社と提携証券会社との契約に基づき、同社作成のレポートをキャピ

タル・パートナーズ証券株式会社が翻訳してお届けするものです。本レポートは、信頼できると考えられる公開情報に基づ

き作成されたものですが、その内容の正確性及び完全性を保証するものではありません。本レポートに記載された内容等

は作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。また、資料作成者自身の私見等が含まれる場合があり

ます。コメント中に個別銘柄や金融商品について触れている場合であっても、本レポートは特定の証券の売買の推奨、勧

誘又は申込みを目的としたものではありません。金融商品への投資には各種リスクとご負担いただく費用等があります。

投資にあたっては、当該金融商品の契約締結前交付書面等により、商品性、リスクおよび費用等をよくご確認いただき、投

資家ご自身の判断と責任でお願いいたします。

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