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© i-advocacynet 2017 セルフ・ネグレクトへの 支援の実践 ( 公社 ) あい権利擁護支援ネット 社会福祉士 川端 伸子 1 © i-advocacynet 2017 2 支援の基本 1

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セルフ・ネグレクトへの支援の実践

(公社 )あい権利擁護支援ネット

社会福祉士 川端 伸子

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支援の基本

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Ⅲ セルフ・ネグレクトへの支援の実践
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人権・権利、法的根拠を意識する必要性

地域包括支援センターは区市町村に属しているため、「行政」の一部である

よって、積極的介入(申請に基づかない支援や介入拒否への積極的支援)をしている場合

なぜ公権力である「行政」が私的自治に踏み込んで介入しているのか、法的根拠や介入目的を問われ得る立場にある

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セルフ・ネグレクト状態にある高齢者への権利擁護の必要性の理解

セルフ・ネグレクト状態にある高齢者は「支援を受け入れる力を失っている」状態にある

それまでの生活歴、疾病・障害により「自分に必要な支援を求めることができなくなった人」

「これまでの生活において他者からの支援を受けた経験がないため、その選択をすることができない人」

地域包括支援センターの権利擁護業務での関わり

「自分ひとりの力で自分の権利を護ることができない状態に置かれている高齢者への権利擁護」

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セルフ・ネグレクト状態への介入のチェックポイント

自分で自分の権利利益が護れない、世話ができない状態になっているか

本人の権利を護るための介入が許される

Or

公共の福祉に反しているか人権衝突の調整のために介入する

具体的な介入根拠法が求められることが多い

道路交通法

迷惑防止条例区市町村担当部署と必ず連携

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対応の流れ(虐待対応との比較)相談受付

立入調査

やむ措置

救急搬送

セルフ・ネグレクトの事案として

扱うことにより、個人情報は収集

しやすくなる

虐待防止法独自の規定である

ため、立入調査は実施できない

本人の同意が原則必要

意に反して入所させた場合、

入所先で暴れる可能性が高い

本人の意思が確認できない程

重篤な状態での救急搬送

又は、精神保健福祉法上の医療

保護入院か措置入院

本人の心身の状況を確認(バイタルチェックや判断能力の程度のチェック)しながら、本人の意思決定を支援する必要に応じて、成年後見制度を活用

移送方法

入院費用の支払い方法

医療同意

身元保証

課題になりやすいこと

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「本人の意思尊重」と「保護」の比較衡量

緊急性の判断によって、 善の利益を実行することが必要な場合がある(生命の危機的状況、取り返しのつかないような生活の重大な破綻をそのままにしない)

ただし、こちらが代わりに決めてしまうことを前提とするのではなく、意思決定を支援していく姿勢で関わることが大前提となる

「なかなか決まらない」「時間がかかる」ことへ焦る思い⇒「本人の意思を尊重した支援」を行っていると、とらえなおす

支援を行う上で考えておきたいこと

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愚行権(賢い選択をしない権利)

判断能力のある大人なら、

自分の生命、身体、財産などあらゆる<自分のもの>にかんして、

他人に危害を及ぼさない限り、

たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、

自己決定の権限をもつ

ジョン・S・ミル『自由論』

判断能力のある大人は、他者から見て愚かだが、他者に危害を及ばさない行動を取ることができるという権利

(加藤尚武『現代倫理学入門』講談社、1997,p.5)

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アドボカシーとは・・・

利用者本人が自らの意思を表明するよう支援

すること

表明された意思の実現を権利として擁護して

いく活動

『社会福祉辞典』社会福祉辞典編集委員会編 大月書店より

アドボカシーは権利擁護の基本

(アドボカシーの日本語訳が権利擁護)

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痩せたい。⇒ 食べたい。

そっとしておいてほしい↓

放っておいてほしい?

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意思決定を考える上での5つの原則

意思決定の能力を欠く人を保護し、

彼らに影響を及ぼす意思決定に可能な限り参加できるように手助けする

そのための5原則

原則1:能力を欠くと確定されないかぎり、能力を有すると推定されなければならない。

原則2:本人の意思決定を助けるあらゆる実行可能な方法が功を奏さなかったのでなければ、人は、意思決定ができないとみなされてはならない。

原則3:人は、単に賢明でない判断をするという理由のみによって意思決定ができないとみなされてはならない

原則4:能力を欠く人のために、あるいはその人に代わって本法の下でなされる行為又は意思決定は、本人の 善の利益のために行われなければならない

原則5:行為又は意思決定が行われる前に、その目的が本人の権利及び行動の自由に対して、より一層制約の小さい方法で達せられないかを考慮すべきである

新井誠監訳、紺野包子翻訳『イギリス2005年意思能力法・行動指針』民事法研究会、平成21年、p.94~99より

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具体的な意思決定支援必要な情報の提供本人の意思決定に必要なあらゆる関係する情報を与えられていますか?

選択肢があるならば、全ての選択肢に関する情報を与えられていますか?

適切な方法での意思疎通

情報は本人に理解しやすい形(単純な言葉で話す、又はビデオ等を用いるなど)で説明・提示されていますか?

必要ならば、言葉によらない意思伝達方法を含む、他の方法で意思疎通を図ってみましたか?

意思疎通を助ける人はいますか?

本人のリラックスした状態 1日のうちで本人の理解力がよりよい状態にある時間帯はありますか?

本人が緊張しない場所がありますか?

本人を取り巻く状況が好転して、本人が意思決定できるかもしれない時期まで意思決定を延期できますか?

本人への支援本人の選択又は意思表示を手助けできる人は誰かいますか?

新井誠監訳、紺野包子翻訳『イギリス2005年意思能力法・行動指針』民事法研究会、平成21年、p.100より

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リラックスできる状態

必要な

情報

適切な方法での意思疎通

・・・・・・

選択や意思表示への支援

そもそも

その決定についての意思能力が必要

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医学的な緊急事態医学的に緊急な事態が生じ(例:心臓麻痺その他の理由で本人が倒れ意識不明で病院に運ばれた)、本人の 善の利益のために瞬時の判断と行動が必要になる場合、本人に意思決定させようとして治療を遅らせることは現実的でも適切でもない。しかしながら、緊急時においても医療関係者は本人と意思疎通を図る努力及び事態の推移を知らせる努力をするべき。

新井誠監訳、紺野包子翻訳『イギリス2005年意思能力法・行動指針』民事法研究会、平成21年、p.101より

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「緊急性」への意識

「緊急対応」は110番対応、119番対応だけではない

「何かあってから」ではなく「何か起こる前」をとらえる

分離・保護の必要性

生命・生活存続のための、そのほかの緊急対応の必要性

高齢者の財産の保護等の必要性

緊急対応について例示されているものだけを緊急性の目安にするのではなく、「本人の心身の状況」「周囲の環境」の関係を総合的にとらえて、柔軟に緊急性を予測することが大切

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「意思決定ができない」ということについて1. 当意思決定に関する情報を理解することができない。

2. その情報を頭の中に保持することができない。

ただし、情報をすぐ忘れてしまう人が自動的に無能力と推定されてはならない。ノートの記述、写真、ポスター、ビデオ、ボイスレコーダーなどの品々が情報の記憶保持に役立つ。

3. その情報を意思決定の過程の一部として利用し、あるいは比較衡量することができない。

能力があると言えるには、情報を秤にかけ、それを活用して、ある判断に到達できなければならない。

4. 自分の意思決定を他人に伝えることができない(口頭で、あるいは手話その他の手段を用いても)例:意識不明の人、こん睡状態の人

意思能力とは、「ある特定の意思決定を、それが必要とされるときに自力でおこなうことができる能力」新井誠監訳、紺野包子翻訳『イギリス2005年意思能力法・行動指針』民事法研究会、平成21年、p.108~112より

本人の 善の利益へ

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セルフ・ネグレクトへの対応

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情報収集 「判断能力の低下」についての情報収集

「緊急性の判断」のための情報収集

受診・入院の緊急性

基本的な生活の継続における緊急性

生活場所の確保やライフライン

財産についての緊急性

近隣との関係における緊急性

今起きていることの背景・要因

いつから、どのようなことが起こっているのか

本人にとっての意味合いや世界観、意向

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個人情報保護法の例外規定を用いて情報収集を行う個人情報保護法における利用目的による制限(第16条)・第三者提供の制限(第

23条)の例外規定と、セルフネグレクトにおける解釈例

(参考:東京都マニュアルp.61)1.法令に基づく場合

→高齢者虐待の通報、立入調査における必要な調査又は質問

2.人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意

を得ることが困難である時

→セルフネグレクトにより本人の生命・身体・財産等を保護するため対応が必要であるが、本人が意識不明又は認知症により同意の確認が困難な場合等

4.国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める業務を

遂行することに協力する必要がある場合であって、本人の同意を得る ことにより、

当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

→老人福祉法、介護保険法に基づき、区市町村と地域包括支援センター、および各関係機関がネットワークを組んで対応する場合

老人福祉法5条の4 2項介護保険法115条の4 第4号

通知が示す連携協力の必要性

セルフネグレクトでは該当なし

通知によりセルフネグレクトに「対応すべき」と示された

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法に基づく情報収集

老人福祉法5条の4に基づく公用請求

戸籍調査、住民票や相談履歴等の調査

老人福祉法36条に基づく本人の資産調査

成年後見制度の首長申立てに必要な場合は、老人福祉法32条の条文も併記

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1. 皆さんの自治体では、セルフ・ネグレクトと思われる高齢者に地域包括支援センターが関わる場合、どのように相談受付をすることになっていますか?

□受付シートを区市町村に提出する

□電話で状況を報告する

□その他( )

□特に決まっていない

2. その際、どのように個人情報が収集できるようになっていますか?(どのような情報を集めることができますか?)

情報交換しよう

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判断能力の低下の見極め

本人の受診支援

認知症疾患医療センターの初期集中支援チーム

精神保健福祉センターの「高齢者医療相談班」

診断ではなく、「医療相談」

※精神保健福祉領域は、本人の意思に基づいて治療・支援していくことを原則と考えている

※医療保護入院適用、措置入院適用の状態にならない限り、精神科の医療機関に強引に入院させたり、勝手に「診断」したりすることは人権侵害と考えるため、「医療相談」として診立てている

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ポイント

精神科への入院への依頼ではなく、疾患や障害に基づく判断能力の低下があるかどうか精神科医師の助言をもらう

画像診断できなかったり、画像診断ではわからないことも多いため、生活の中のエピソードをできるかぎり集め、何が起こっているかを医師に伝える

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1. セルフ・ネグレクト状態にある方の判断能力の低下について、どのように判断していますか?

(複数回答可)

□認知症疾患医療センターによるもの

□精神保健福祉センターの高齢者医療相談班によるもの

□地域包括支援センターの職員による査定(スケール)

□地元の精神科クリニック等によるもの

□その他

情報交換しよう

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意図的な自己放任への介入の困難性 意思能力がある場合は、本人の意思決定を支援しながらの対応が原則となる

以下が問題となるため、強制介入が困難

本人からの苦情 「受けたくもないサービスを受けさせられた」

強制的介入に関わる費用の問題 「受けたくなかったのに費用は支払いたくない」

成年後見制度の後見類型の場合であれば、後見人選任後の支払いが可能だが、判断能力の低下がない時に、特に「医療費」の確保が困難

ただし、「自殺幇助」は罪である

本人が「いらない」と言っているから弱っていくのを放置してしまって良い問題ではない

※自殺ほう助罪刑法202条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

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「緊急避難」状態を待つ介入の実態

刑法上の「緊急避難」が認められる状態になって、救急搬送する事案もある

緊急避難刑法第37条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

あくまでも強制的な関わりが困難である、という点に注意。訪問を続けることは、権利擁護業務の範囲内で可能

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強制的介入についての注意点

高齢者虐待防止法に含まれないため、高齢者虐待防止法に基づく「立入調査」を行うことができない

本人の同意がある場合か、「緊急避難」の状態にならないと、家に勝手に入ることが難しい

警察と連携しながらの対応

他法・条例に基づく介入が可能な場合には、担当部署から介入してもらう

地域包括支援センターは、あくまでも本人への権利擁護の立場で関わる

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緊急での医療受診

専門的判断に基づく救急要請

精神保健福祉法上の「医療保護入院」における、区市町村長による同意の入院

精神保健福祉法の改正により、厚生労働省の指針では、親族がいる場合には親族の同意を求めている(条文には記載なし)⇒医療ネグレクトの場合は別という判断をするようになってきている

応急入院→区市町村長同意での医療保護入院への切り替え

生活保護の医療単給

生活保護法4条の「急迫の保護」による職権保護での医療費確保

(この場合、生活保護の適用にならないような財産があることがわかった場合には、生活保護法63条による返還請求が生じる。生活保護の医療扶助は医療保険を使わないため、医療費の10割全額返還となる実態がある)

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1. セルフ・ネグレクト状態にある方の心身の緊急性について、どのような方法で判断していますか?

情報交換しよう

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「やむを得ない事由による措置」 セルフ・ネグレクトの場合、家賃滞納による強制退去も深刻

な問題となる

入院加療は必要ないが、一人では生活することができない要介護状態で、サービス利用に拒否が激しい場合には、入所支援が必要な場合も多い

「やむを得ない事由による措置」(老福法第10条の4、第11条第1項)

施設入所だけでなくショートステイやデイサービス、ホームヘルプサービス等も可

本人の同意は原則は要、家族の同意は不要*参照マニュアル等

(一財)長寿社会開発センター「地域包括支援センター運営マニュアル」平成27年6月、p.125~126

厚生労働省「市町村・都道府県における高齢虐待への対応と養護者支援について」平成18年4月、p.62~67

(社)日本社会福祉士会『市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き』平成23年、中央法規出版、p.127~133

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1. セルフ・ネグレクト状態にある方の入所等について、どのような方法がとられていますか?

情報交換しよう

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首長申立成年後見制度の区市町村長申立(老人福祉法第

32条) 65歳以上の者につき、その福祉を図るために特に必要があると

認める時

2親等内の親族と存在の明らかな4親等内親族の意思を確認すれば足りる

地域包括支援センターが「区市町村長による申立て」が必要だと判断する場合の例 親族がいないか、不明なとき

親族がいても、申立てできる者がいない場合

音信不通

申立てを拒否する

虐待等で申立てをすることが不適当( (一財)長寿社会開発センター「地域包括支援センター運営マニュアル」平成27年6月、 p.165参照)

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補助 保佐 後見

本人 判断能力が不十分 判断能力が著しく不十分 判断能力を欠く常況

申立てが出来る人

本人、配偶者、4親等内の親族(親や子や孫など直系の親族、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親・子・兄弟姉妹)、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、検察官、区市町村長

申立てについての本人の同意

必要 不要 不要

医師による鑑定

原則として不要 必要に応じて鑑定を行う

同意・取消権のある行為

申立ての範囲内で裁判所が定める行為(民法13条1項記載の行為の一部に限る)

重要な財産関係の権利を得喪する 行為等(民法13条1項記載の行為)

日常の買い物などの生活に関する行為以外の行為

本人の同意が必要

代理権のある行為

申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為

申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為 財産に関するすべて

の法律行為本人の同意が必要 本人の同意が必要

法定後見の概要

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成年後見制度へつなぐ考え方

行政が福祉サービスを、処分として決めてしまう措置によるサービス提供よりも、後見人等による契約でのサービス利用の方が、より高齢者本人の自己決定の尊重や、本人らしさの継続につながる

身上監護は、後見人等の義務

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法定後見制度の申立て 首長申立て

本人申立ての支援

本人申立の代理を弁護士や司法書士に依頼し、法テラス(民事法律扶助)を使って支援

地域包括支援センター職員や成年後見制度推進機関職員が申立て手続きそのものを支援

成年後見制度利用支援事業の活用内容についても知っておく

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1. セルフ・ネグレクト状態にある方への支援について、成年後見制度はどのように活用されていますか?

情報交換しよう

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アセスメントのポイント

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「受け入れていること」を分析する

拒否の具体的内容(拒否しないことの具体的内容)を分析する家に入ることを拒否している(玄関口までは入れてくれる)

地域包括支援センター職員と会うことを拒否している(近隣の人には会う)

話をすることは歓迎する(サービス利用は拒否している)

いつから?どのくらいの頻度で?本人が話すこと(話したがらないこと)は?

OKだったことは?NGだったことは?

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なぜ拒否しているのかを探る① 心身機能の低下に起因する拒否

判断能力の低下・・・疾患や障害の見極め

意欲の低下・・・なぜ?をとらえて寄り添う

身体機能の低下・・・聞こえない、動けない

「情報不足」「誤解」に起因する拒否

こちらが提示している支援について理解できない事による拒否

お金が払えない

知らないところに連れて行かれる

世話になりたくない、納得のいかない支援を受けたくない事による拒否

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「不安」「恐怖」に起因する拒否

支援を受けることで自分がどうなるのか分からないから拒否をする

支援を受けようとすると危害を加えられるという恐怖から拒否をする

「経験」に起因する拒否

「今までの経験」が拒否をさせる

あの時のあの経験を繰り返したくない

「触れてほしくない経験」が拒否をさせる

あの時のあの経験を知られたくない

なぜ拒否しているのかを探る②

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支援を考えるポイント 本人にとっての「意味」をとらえ直す

それは「ごみ??」「思い出??」

ジェノグラム&エコマップや時系列での人生の聴き取りが有効

安心・安全な環境で、受け入れられる小さな支援からはじめてみる 自分のことは自分で決定するという経験を支えていく過程を大切に

適切な情報提供 伝える内容だけではなく、伝え方を工夫する

具体的に。口頭の言語だけでなく、文字や絵・写真などを使ってみる

役割や居場所への支援 役割があってこそ、生きる意欲がわくことも

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安心、嬉しい、心地よいことを増やす

不安不快孤立感喪失感 安心

快つながっている居場所がある

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適切な関わりの積み重ねによる意思のキャッチ

本人の思いのキャッチ 観察

対話

情報の共有と分析 医学的な情報

その人の生きてきた歴史

好きなもの、嫌いなものからの世界観の理解

過ごしやすさ、わかりやすさ 本人に伝わる形で情報提供されている環境

構造化

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1. セルフ・ネグレクト状態にある方への支援について、うまくいったこと、うまくいかなかったことを情報交換してください。

情報交換しよう

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地域の公共の福祉と本人の人権のはざまで

目的は「本人の権利擁護」

地域住民の公共の福祉を守る必要性がある場合には、別

の条例、別の会議体での関わりのほうが良い(迷惑防止条

例、建築基準法等)

本人を施設に入所させろなど、排除の要請が強まってしまいがち。

上記の担当所管が出席した地域ケア会議を開催して話し

合う場合には、出来るかぎり区市町村主催とし、地域包括

支援センターは高齢者の権利擁護の立場での発言者に回

ることが大切

本人の「人権」を護るための入院、入所か?を確認しつつ、

対応していく

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地域との連携の必要性

行政や地域包括支援センターが介入するよりも、地域住民同士が「仲間として見守る」事のほうが、当事者の受け入れが良い場合も

見守る側という役割を果たすことが、その人のセルフ・ネグレクトを予防

ただし、住民は「そこで起こること」に責任を感じやすいため「知らせる」役割のみに徹底してもらう

対応は、地域包括支援センターや行政が行う

責任の所在をはっきりとさせておく

定期的な話し合いによって支えていくことが必要

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地域との連携の注意点

誰が、何を、どのように見守るのか、どのようになったら、誰に伝えるのかを明確にしてあるか?

無理のある見守りを、無期限に強いていないか?

地域からの排除の要請にただ流されていないか?

権利衝突がある事例で、地域包括支援センターが「高齢者の権利擁護」で関わる場合、地域住民が生活する権利を守る立場の相談窓口があるか?

上記を踏まえた上で、地域ケア会議による見守り体制構築を図っている実態は多い

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地域での見守る際のポイント

さまざまな人のさまざまな歴史の結果としての「今」という理解

完璧な人しか生きられない地域に、自分は生活しているだろうか?という想像力

「見守り」は、「見張り」ではない

無理のある見守りは排除したい気持ちにつながるからNG

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高齢者を支えるということ 「その人らしく生きること」⇒「その人らしく亡くなること」

リヴィング・ウィルや事前指示書、人生の 終局面での医療の問題の未整理

身元保証や医療同意の問題の未整理

高齢者を見送った時、不全感が残りやすい

「死に方」が難しい現代の特性の理解

「権利擁護」の上では、「何が出来たか、出来なかったか」ではなく、「どう本人を尊重しようとしたか?」をふりかえっていこう

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