ナミビア/ナミブ砂漠(解説p.2) 地理・地図資料...地理・地図資料...

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2016年度 3学期号 地理・地図資料 ナミビア/ナミブ砂漠(解説p. 2) 教授用資料

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Page 1: ナミビア/ナミブ砂漠(解説p.2) 地理・地図資料...地理・地図資料 2016年度3学期号 2 ⑧ ナミブ砂漠は,南部アフリカの大西洋岸,ナミビアを

2016年度 3学期号

地理・地図資料ナミビア/ナミブ砂漠(解説p.2)

教授用資料

Page 2: ナミビア/ナミブ砂漠(解説p.2) 地理・地図資料...地理・地図資料 2016年度3学期号 2 ⑧ ナミブ砂漠は,南部アフリカの大西洋岸,ナミビアを

1地理・地図資料•2016年度3学期号

●⑦ ●⑧

写真はすべて2016年8月撮影/帝国書院

ナミビア寒流のベンゲラ海流の影響でナミブ砂漠が広がる。

鉱業がさかんな国だが,近隣諸国と比べて治安がよいため,

観光業も急速に成長している。

●⑥

●⑤

●④

●②

ナミビアの写真は

こちらから!

●①

表紙写真でめぐる旅 ㉛

●③

Page 3: ナミビア/ナミブ砂漠(解説p.2) 地理・地図資料...地理・地図資料 2016年度3学期号 2 ⑧ ナミブ砂漠は,南部アフリカの大西洋岸,ナミビアを

2地理・地図資料◦2016年度3学期号

●⑧

 ナミブ砂漠は,南部アフリカの大西洋岸,ナミビアを中心に,アンゴラから南アフリカ共和国まで,南北約2000kmにわたって広がる広大な砂漠である。「ナミブ」とは,南部アフリカに暮らす狩猟採取民サン人の言葉で

「広漠とした」という意味をもつ。ナミブ砂漠は,大西洋の海岸から東縁のグレートエスカープメントまでの,幅120 〜 200kmの範囲を占める。グレートエスカープメントとは,比高約1000mの長大な崖地形で,かつてアフリカ大陸と南アメリカ大陸が分裂したときにつくられた割れ目の名残である。ナミブ砂漠は,大陸が分裂して大西洋が生じた後,少なくとも8000万年前には存在していたと考えられていて,世界で最も古い砂漠の一つとされている。 ナミブ砂漠には,砂によって覆われた砂砂漠と,岩盤が露出した岩砂漠がある。砂砂漠には,風の作用によってさまざまな形態の砂丘が発達する。なかには,比高300m,長さ数十kmにもおよぶ世界最大規模の線状砂丘も見られる。これらの砂丘は,おもに石英の粒子から構成されているにもかかわらず赤っぽく見える。これは有色鉱物の風化過程でとけ出した鉄分が,石英の粒子を覆っているためである。 ナミブ砂漠は,その全体が年降水量100mm以下ときわ

めて乾燥している。とくに海岸付近は,年降水量15mm以下となっている。このように乾燥しているのは,基本的には亜熱帯高気圧の影響である。ナミビアでは,高気圧の影響が弱まったときにのみ,インド洋から湿潤な空気が大陸を横断して侵入し雨を降らす。しかし,その影響は,ナミブ砂漠まではなかなか届かない。さらには,大西洋岸に沿って北上するベンゲラ海流が大気下層を冷やすことによって対流による空気の上昇が妨げられ,雲がほとんど生じない。 一方で,ベンゲラ海流に冷却された空気は,頻繁に霧を発生させる。乾燥した砂漠において,この霧は生物にとって重要な役割を果たす。このためナミブ砂漠には,乾燥しているにもかかわらず,高い割合の固有種を含む特徴的な生物相を見ることができる。 ナミブ砂漠の大部分は,まばらに草本に覆われている程度である。しかし,上流の中央高地で十分な降水があったときにのみ流水が生じる主要な季節河川には,伏流水に依存した河畔林が形成されている。この河畔林は,細長くのびるオアシスとなって,そこで暮らす生物や人々を支えている。一方,いくつかの季節河川は,砂丘によって行く手を阻まれて大西洋岸まで到達せず,ソススフレイのような内陸の湿地で消失する。

ナミブ砂漠 乾燥した環境がつくる多様な自然表紙写真解説

上越教育大学 教授 山縣耕太郎

砂漠観光の1日 ナミブ砂漠の拠点になるのは,ウィントフックから車で約4時間のセスリエム。周辺には宿泊施設が多数点在しているが,国立公園のゲートは日の出直前に開くため,ゲート内側に泊まらないと砂丘の上からの日の出は見られない。 国立公園内側の宿泊施設はどこも高額なので,今回はキャンプ場に宿泊した。1泊180

ナミビアドル(約1300円)で,シャワーとトイレは共同。砂漠の朝は0℃近くまで気温が下がり,テントでの宿泊には厳しい条件だが,澄んだ空気に広がる満天の星は息をのむ美しさである(写真②)。 まだ暗い朝5時半にキャンプ場を出発し,6時にソススフレイに到着した。砂はさらさらで,朝は足跡もないのでなかなか前に進まない。40分後,約200mの標高差を登りきると日の出をむかえ,太陽の高さとともに砂の色が刻々と変わっていった(写真①)。濃いアプリコット色になるのはわずか5分間ほどで,この一瞬の景色を見るために世界中から多くの観光客が訪れている。 そのほか,標高差300mをこえる砂丘「ビッグダディ(写真⑦)」に登ったり,湖が干からびた白い大地「デッドフレイ(写真⑧)」を歩いたりして,早朝から歩き続けたハードな1日が終了した。砂漠をおおう濃霧 数日に一度,大西洋から100km以上はなれたナミブ砂漠に濃霧がやってくる。表紙写真

(写真①)撮影の前日,ほぼ同じ場所で濃霧に

出会うことができた(写真③)。霧の中,砂丘を登っていると,髪の毛やまつげ,まゆ毛に米粒大の水滴ができる。霧を体いっぱい使って集めて水分補給するトカゲなどはテレビでも珍獣としてよく取り上げられているが,ナミブ砂漠には意外と多くの動物が生息している。ナミビアをドライブ ウィントフック(写真④)にはナミビアの人口の2割が集中し,ビルの建築ラッシュが続いているが,ドイツ植民地時代の建物も残されている。大西洋側のスワコプムントやウォルヴィスベイには近代的な港湾が整備され,ナミビア国内のほか,ボツワナやザンビアの鉱産物の輸出港になっている。また,北部には身体に赤土を塗るヒンバ人(写真⑤)が住んでいる。このほか,荒涼とした大地は映画のロケ地になることもしばしばで,2017年公開のハリウッド映画の撮影が行われていた。 ナミビアでは肉料理が圧倒的に多く,牛(写真⑥)や羊,鶏だけでなく,ワニ,オリックス,シマウマ,スプリングボックなど野生動物の肉も食べられている。ドイツ植民地時代の影響でソーセージやじゃがいも料理も多かった。

取材レポート帝国書院 編集部

●⑥

●⑤

●④

500km0

ナミビア共和国

ナミ

ブ砂漠

ウィントフック●④ウォルヴィスベイソススフレイ●①●③●⑦●⑧

スワコプムント●⑤オカハンジャ●⑥

セスリエム●②

南アフリカ共和国

ボツワナ共和国

ザンビア共和国アンゴラ共和国

20°

30°