バスーンリードの性能と物理的性質の関係 (東大院...

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0 リードの演奏性能と形態的・物理的特性の関係を探った バスーンリードの性能と物理的性質の関係 (東大院農) ○小峰 早貴、前田 啓、信田 R² = 0.50 0 0.5 1 1.5 2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 閉じ易さ(mm 2 /kPa) 音色の良さの平均点数 悪い 良い 実験 吹き心地 形状測定 リード内外の気圧差と閉じ易さの関係 結果 X線CTスキャナにより 断面画像を取得し、葦材と 中の空洞の面積を求め足し 合わせることで体積を測定 協力者 演奏歴3年以上の1823歳の奏者10演奏性能の主観評価 リードの演奏性能 抵抗感の平均点数=3.96+0.63×(閉じ易さ) 0.014×(空洞の体積) 口にくわえただけでもリードはわずかに 閉じ、空洞の体積は減少する。 リードをくわえた段階の空洞の体積が大きいほど抵抗感が重い 5kPaリード両面に300g程度の負荷、 リードを口にくわえた時に近い荷重 空洞の体積が大きく、5kPaまでで閉じにくいリードほど抵抗感が重い リードの製造販売をしている3名のプロ奏者に、吹き心地がばらつくように依頼し作成していただいた葦製リード 15本から、吹き心地と音がばらつくよう7本のリードを選び使用した。 試験体 各評価項目について一対比較法で 評価し、-2~2の点数を算出 バスーンリードは手工品 評価項目 リードの用意が奏者の負担に 店頭で購入する場合は試奏してから購入するが、全部試すのは大変。 また良いリードがあるとは限らない。 自らリードを削り性能を調整する技術を身につけるには経験が必要。 吹かなくても どんなリードか分かれば1本当たりの値段が高く、同じ奏者が作った リードでも演奏性能のバラつきが大きい。 いつも同じリードが作れればR² = 0.68 250 300 350 400 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 空洞の体積(mm 3 ) 抵抗感の平均点数 抵抗感が軽い 抵抗感が重い 説明変数 標準偏回帰係数 閉じ易さ 0.27 空洞の体積 -0.52 90%が説明出来る 重回帰分析をしたところ 考察 一定荷重負荷時の空洞の体積を直接測定 演奏時の唇からの負荷の実態の検証 抵抗感 音の出し易さ 鳴り易さ 音色の良さ 総合的な良さ 0 4 8 12 0 10 20 30 空洞の面積(mm 2 ) 根元からの距離(mm) 加力方法 気圧でリード全体を 均一に加圧 変位量 先端の開口面積 下に行くほど好みを排した 一元的な評価が可能 手動で押し引きし、 リード内の気圧を下げる 袋に封入 先端を撮影して記録 0kPa 1.5kPa 6.6kPa 9.6kPa 15.8kPa 閉じ易さ 事前に抵抗感を測定し等級分け 他の性能でも音色は好みが分かれやすく、演奏環境、 使用楽器によっても変わる 閉じ易いリードほど音色が良い 各奏者にとっての良い音色をより 具体的に知る必要がある 閉じにくいリードほどクリックノイズの ような雑音が生じやすく嫌われる? 今後 今回は0~5kPa測定値を使用 緒言 性能を定量的に扱えなければリードの問題は解決できない。 差圧計 注射器 大気圧とリード内の気圧の差を測定 リード

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Page 1: バスーンリードの性能と物理的性質の関係 (東大院 …jwrs.org/woodience/mm043/4Poster043.pdf0 リードの演奏性能と形態的・物理的特性の関係を探った

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リードの演奏性能と形態的・物理的特性の関係を探った

バスーンリードの性能と物理的性質の関係 (東大院農) ○小峰 早貴、前田 啓、信田 聡

R² = 0.50

0

0.5

1

1.5

2

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

閉じ易さ

(mm

2/k

Pa)

音色の良さの平均点数

悪い

良い

実験

吹き心地

形状測定

リード内外の気圧差と閉じ易さの関係

結果

X線CTスキャナにより断面画像を取得し、葦材と中の空洞の面積を求め足し合わせることで体積を測定

協力者

演奏歴3年以上の18~23歳の奏者10人

演奏性能の主観評価

リードの演奏性能

音色の良さ

鳴りやすさ

抵抗感

音の出しやすさ

抵抗感の平均点数=3.96+0.63×(閉じ易さ)

-0.014×(空洞の体積)

口にくわえただけでもリードはわずかに

閉じ、空洞の体積は減少する。

リードをくわえた段階の空洞の体積が大きいほど抵抗感が重い

5kPa→リード両面に300g程度の負荷、

リードを口にくわえた時に近い荷重

空洞の体積が大きく、5kPaまでで閉じにくいリードほど抵抗感が重い

リードの製造販売をしている3名のプロ奏者に、吹き心地がばらつくように依頼し作成していただいた葦製リード15本から、吹き心地と音がばらつくよう7本のリードを選び使用した。

試験体

各評価項目について一対比較法で

評価し、-2~2の点数を算出

バスーンリードは手工品

総合的な良さ

評価項目

リードの用意が奏者の負担に

店頭で購入する場合は試奏してから購入するが、全部試すのは大変。また良いリードがあるとは限らない。

自らリードを削り性能を調整する技術を身につけるには経験が必要。

吹かなくても

どんなリードか分かれば…

1本当たりの値段が高く、同じ奏者が作った

リードでも演奏性能のバラつきが大きい。 いつも同じリードが作れれば…

R² = 0.68

250

300

350

400

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

空洞の体積

(mm

3)

抵抗感の平均点数

抵抗感が軽い

抵抗感が重い

説明変数 標準偏回帰係数

閉じ易さ 0.27

空洞の体積 -0.52

→90%が説明出来る

重回帰分析をしたところ

考察

一定荷重負荷時の空洞の体積を直接測定

演奏時の唇からの負荷の実態の検証

吹き心地

抵抗感 音の出し易さ 鳴り易さ 音色の良さ 総合的な良さ

0

4

8

12

0 10 20 30

空洞の面積

(mm

2)

根元からの距離(mm)

加力方法 気圧でリード全体を

均一に加圧

変位量 先端の開口面積

下に行くほど好みを排した

一元的な評価が可能

手動で押し引きし、

リード内の気圧を下げる 袋に封入

先端を撮影して記録

0kPa 1.5kPa 6.6kPa 9.6kPa 15.8kPa

閉じ易さ

事前に抵抗感を”測定”し等級分け 他の性能でも…

音色は好みが分かれやすく、演奏環境、

使用楽器によっても変わる

閉じ易いリードほど音色が良い

各奏者にとっての”良い音色”をより

具体的に知る必要がある

閉じにくいリードほどクリックノイズの

ような雑音が生じやすく嫌われる?

今後

※今回は0~5kPaの 測定値を使用

緒言

“性能”を定量的に扱えなければリードの問題は解決できない。

差圧計

撮影

注射器

大気圧とリード内の気圧の差を測定

明るさ

雑音の量

リード