スーパーハイビジョンの 研究開発とロンドンオリン …概要...

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概要 当所では,あたかもそこにいるような臨場感が得られるスーパーハイビジョンの試験放送を 2020年に開始することを目指して研究開発を進めている。スーパーハイビジョンの研究開発 は,2012~2014年度のNHK経営計画の4つの重点目標の1つ「創造・未来」の中で「次世 代の超高臨場感放送システムの開発」として記述されている。スーパーハイビジョンは超高 精細映像と3次元音響から成るシステムであり,それを実現するために,番組制作・伝送・ 家庭視聴の全系統にわたる新たな技術の開発と標準化を進めている。また,スーパーハイビ ジョンの放送を視聴者の方に期待感を持って受け入れていただくために,その魅力や実現性 を具体的な形で提示する活動も行っている。本稿では,スーパーハイビジョンの放送の実現 に向けたロードマップを示し,放送システムの各構成要素の研究開発の状況および目標を述 べる。また,これまでの開発成果を結集してOBS(オリンピック放送機構),BBC(イギリ ス放送協会)などと連携して,世界規模で実施する2012年夏のロンドンオリンピックにおけ るスーパーハイビジョンのパブリックビューイングについて紹介する。 Abstract Our Super Hi-Vision broadcast technology can transmit pictures and sound that are so realistic it feels as if you are actually there. At STRL, our research and development is geared towards starting up Super Hi-Vision broadcasts in 2020. This research and development is also one of the priority objectives of our corporate plan for the 2012-2014 fiscal years, which is aimed at the development of a next-generation ultra-realistic broadcast system. Super Hi-Vision is a system that combines ultra - high - resolution video with three - dimensional audio, and in order to broadcast it we are developing and standardizing new technologies for each stage of the process from program production through to transmission and home viewing. We are also actively demonstrating Super Hi-Vision so that viewers can feel excited about the launch of this new broadcasting service. In this paper, I’ll show the current state of R&D and our future targets for each constituent element of this system in the context of our road map towards the implementation of Super Hi-Vision. I’ll also discuss the Super Hi-Vision public viewing at this summer’s London Olympics, where we will be collaborating with other organizations from around the world - including the OBS ( Olympic Broadcasting Service ) and BBC - and bringing together the results of developments that have been made so far. スーパーハイビジョンの 研究開発とロンドンオリンピック テレビ方式研究部部長 鹿喰善明 Super Hi-Vision R&D and the London Olympics Yoshiaki SHISHIKUI Head of Advanced Television Systems Research Division 講演3 NHK技研 R&D/No.135/2012.9 30

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Page 1: スーパーハイビジョンの 研究開発とロンドンオリン …概要 当所では,あたかもそこにいるような臨場感が得られるスーパーハイビジョンの試験放送を

概要当所では,あたかもそこにいるような臨場感が得られるスーパーハイビジョンの試験放送を2020年に開始することを目指して研究開発を進めている。スーパーハイビジョンの研究開発は,2012~2014年度のNHK経営計画の4つの重点目標の1つ「創造・未来」の中で「次世代の超高臨場感放送システムの開発」として記述されている。スーパーハイビジョンは超高精細映像と3次元音響から成るシステムであり,それを実現するために,番組制作・伝送・家庭視聴の全系統にわたる新たな技術の開発と標準化を進めている。また,スーパーハイビジョンの放送を視聴者の方に期待感を持って受け入れていただくために,その魅力や実現性を具体的な形で提示する活動も行っている。本稿では,スーパーハイビジョンの放送の実現に向けたロードマップを示し,放送システムの各構成要素の研究開発の状況および目標を述べる。また,これまでの開発成果を結集してOBS(オリンピック放送機構),BBC(イギリス放送協会)などと連携して,世界規模で実施する2012年夏のロンドンオリンピックにおけるスーパーハイビジョンのパブリックビューイングについて紹介する。

AbstractOur Super Hi-Vision broadcast technology can transmit pictures and sound that are so realisticit feels as if you are actually there. At STRL, our research and development is geared towardsstarting up Super Hi-Vision broadcasts in 2020. This research and development is also one of thepriority objectives of our corporate plan for the 2012-2014 fiscal years, which is aimed at thedevelopment of a next-generation ultra-realistic broadcast system. Super Hi-Vision is a systemthat combines ultra-high-resolution video with three-dimensional audio, and in order tobroadcast it we are developing and standardizing new technologies for each stage of the processfrom program production through to transmission and home viewing. We are also activelydemonstrating Super Hi-Vision so that viewers can feel excited about the launch of this newbroadcasting service. In this paper, I’ll show the current state of R&D and our future targets foreach constituent element of this system in the context of our road map towards theimplementation of Super Hi-Vision. I’ll also discuss the Super Hi-Vision public viewing at thissummer’s London Olympics, where we will be collaborating with other organizations from aroundthe world - including the OBS(Olympic Broadcasting Service)and BBC -and bringingtogether the results of developments that have been made so far.

スーパーハイビジョンの研究開発とロンドンオリンピック

テレビ方式研究部部長 鹿喰善明

Super Hi-Vision R&D and theLondon OlympicsYoshiaki SHISHIKUIHead of Advanced Television Systems ResearchDivision

講演3

NHK技研 R&D/No.135/2012.930

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帯帯 ク (

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▲ ▲ ▲ ▲

目標:2020年に21GHz 帯の衛星を用いて試験放送を開始する。

2010 2012 2014 2016 2018 2020 2025

マイルストーン

スタジオ規格

符号化

伝送

ロンドンオリンピック

リオデジャネイロオリンピック

21GHz衛星による試験放送

放送百年

フルスペック映像フォーマットの検討

22.2ch音響システムの検討映像スタジオ規格 (ITU-R)

音響スタジオ規格 (ITU-R)

映像符号化方式の開発 HEVC符号化規格 (ISO/IEC)音声符号化方式の開発 3次元音響符号化規格 (ISO/IEC)

21GHz帯衛星放送方式規格 (ITU-R)21GHz帯フルスペックSHV衛星放送方式の開発 標準化 (ARIB)

次世代地上デジタル放送方式の開発

配信実験

FDM (周波数多重)再送信方式の開発TDM (時分割多重)分配方式の開発 標準化 (JCTEA)

NGN※を使った配信システムの開発

※ Next Generation Network

衛星

地上

CATV

IPTV

標準化 (ARIB)

1.はじめに当所では,次世代の高臨場感放送を実現するために,スーパーハイビジョンの研究開発を進めている。本稿では,スーパーハイビジョンの研究開発の状況と普及促進に関するさまざまな取り組みについて述べる。1953年にテレビの本放送が始まり,1960年にカラーテレビの本放送が開始された。カラーテレビが普及し始めたころの1964年に,既に,ハイビジョン(当時,高品位テレビ)の研究を開始している。衛星放送の研究を開始したのもこのころである。2000年の衛星デジタル放送,2003年の地上デジタル放送の開始によってハイビジョンが実用化された。ハイビジョンが実用化される前の1995年に「ハイビジョンを超える超高精細映像の研究」を開始し,2000年以降の「走査線数4,000本級映像の研究」へと進展した。ハイビジョンでは研究開始から実用化まで約35年を要したが,それよりハイペースでスーパーハイビジョンを実用化したいと考えている。スーパーハイビジョンの研究開発は当所だけではなく,NHK全体の取り組みと位置づけられており,2012~2014年度のNHK経営計画の「次世代の超高臨場感放送システムの開発」の中で「スーパーハイビジョンの実用化に向けた研究開発やコンテンツの制作を推進」と述べられている。当所の3か年計画は,これを受ける形でそれを推進する手順を示している。スーパーハイビジョンの研究開発の目標は2020年に21GHz帯の衛星を使って試験放送を開始することである。そのために,1図に示すロードマップを作成し,それに添った形で研究開発を進めている。これまでの放送技術の発展において,オリンピックは大きなマイルストーンとなっていた。スーパーハイビジョンにおいてもロンドンオリンピックやリオデジャネイロオリンピック,あるいは,冬季オリンピックをマイルストーンにしたいと考えている。スーパーハイビジョンを実用化するためには,それに先だって規格化をする必要がある。

映像信号と音響信号のスタジオ規格,圧縮や伝送方式の規格,更に,運用規定を作成する必要がある。

1図 スーパーハイビジョン(SHV)の研究開発のロードマップ

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重り

共通画枠 シノプター

表示

実物

照明

PC

光学ベンチ

背景 4,800mm暗室

スピーカー重り

昇降機

光学ベンチ

シャッター制御,被験者応答

2.スーパーハイビジョンスーパーハイビジョンは3,300万画素の超高精細映像と22.2chの3次元音響から成る高臨場感放送システムである。スーパーハイビジョンの映像は究極の2次元映像であり,あたかもその場にいるような臨場感や実際に物がそこにあるような実物感を再現し,視聴者に新たな体験を提供することができる。このようなスーパーハイビジョンの映像パラメーターと音響パラメーターは人間の視聴覚と認知科学の基礎実験に基づいて導かれた。2.1 映像パラメーター映像パラメーターとそれに関連する視覚・認知特性を1表に示す。これらのパラメーターの値を決定するために,さまざまな評価実験を行った。例えば,重心動揺で臨場感を評価する方法を開発し(2図),画角と臨場感の関係を調べる評価実験を行った。また,3図に示す実験装置で,どの程度の空間解像度があれば実物と見分けが付かなくなるかを調べた。臨場感の評価実験結果によると,ハイビジョンで想定している30°の画角でもある程度の臨場感は得られるが,画角を更に大きくすることによって臨場感は増加し,80°から100°の画角で臨場感が飽和することが分かった。臨場感という観点からはスーパーハイビジョンの画角は100°あれば十分ということである。この画角は視距離で変化し,ハイビジョンの30°の画角に対する視距離は3H(H:画面高)であり,スーパーハイビジョンの100°の画角に対する視距離は0.75Hである(4図)。ハイビジョンの1/4の視距離で画素構造を見えないようにするために,スーパーハイビジョンの画素数を7,680×4,320(水平・垂直共ハイビジョンの4倍)とした。スーパーハイビジョン(8K)と縦横その半分の解像度の映像システム(4K)およびハ

イビジョン(2K)を用いて臨場感と実物感の比較実験を行った。85インチのLCD(LiquidCrystal Display,7,680×4,320画素)を用いて行った実験結果を5図に示す。視距離が3Hより近い場合には,8Kと4Kのシステムは2Kのシステムよりも有意に高い臨場感と実物

映像パラメーター 人間の視覚・認知特性

空間解像度 画素数(水平×垂直) 臨場感(画角),実物感(解像度)

時間解像度 フレーム周波数 動きぼやけ,ストロボ効果,フリッカー

階調 ビット数/画素 階調弁別

表色系 原色の数,色度点 色再現

1表 映像パラメーターと関連する視覚・認知特性

2図 臨場感(重心動揺)の評価実験装置

3図 実物と映像の比較実験装置

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スーパーハイビジョンハイビジョン

1,920画素

1,080画素

7,680画素

画角 : 30º

視距離 : 3H

(H : 画面高)

4,320画素

視距離 : 0.75H

100º

(a)臨場感(あたかも自分がそこにいるような感覚)

(b)実物感 (実物と見比べて区別がつかない感覚)

評点

評点

視距離

画角

視距離

22°    33°   61°   100° (H : 画面高)

エラーバーは標準誤差

8K : 7,680×4,320画素 (スーパーハイビジョン)4K : 3,840×2,160画素2K : 1,920×1,080画素 (ハイビジョン)    

109876543210

1098765432104.5H 3H 1.5H 0.75H 4.5H 3H 1.5H 0.75H

8K4K2K

8K4K2K

感があること,視距離が1.5Hよりも近い場合には,8Kのシステムは4Kのシステムよりも有意に高い臨場感と実物感があることが分かった。これらの結果はスーパーハイビジョンの画素数を7,680×4,320としたことが適切であったことを裏付けている。2.2 音響パラメータースーパーハイビジョンの高臨場感音響についての要求条件は,3次元音響として,視聴者を取り囲む全方向から音が聞こえること,全方向で音に包み込まれる印象がすること,スクリーン上の映像の方向に音像が明瞭に定位することである(6図)。音響評価実験を行った結果,水平方向で音像を良好に定位させるためにはスピーカーの間隔を30°~45°以下にすること,音に包み込まれる感じを良好に与えるためにはスピーカーの間隔を45°~60°以下にする必要があることが分かった。また,垂直方向についても音像を良好に定位させるためにはスピーカーの間隔を30°以下にすること,音に包み込まれる感じを良好に与えるためにはスピーカーの間隔を45°~60°以下にする必要のあることが分かった。これらの結果に基づいて,7図に示す3層のスピーカー配置を採用した。このスピーカー配置に低音効果用のスピーカーを2個追加して,8図に示す22.2ch音響とした。

4図 ハイビジョンとスーパーハイビジョンの視距離

5図 映像システムの違いによる臨場感と実物感の比較

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映像スクリーン上の良好な音像定位

全方向からの音の到来全方向で音に包み込まれる印象

水平方向 垂直方向・良好な音像定位: 30º -45º 間隔・包み込まれ感: 45º -60º 間隔

・良好な音像定位:30º 間隔・包み込まれ感: 45º -60º 間隔

上層

上層

(正 面)

(正面)

頭上

45º

45º

30º

30º

3層のスピーカー配置

8ch (45º) + 1ch (頭上) 10ch (前方 30º,後方 45º) 3ch (前方 45º)

中層

中層

下層

下層

(正 面)

(正 面) (正 面)

スクリーン

※ Low Frequency Effects。

LFE※:2ch

2.3 国際標準化の状況スーパーハイビジョンに関連した規格をITU-R(International Telecommunication Union- Radiocommunication Sector:国際電気通信連合無線通信部門)やSMPTE(Society ofMotion Picture and Television Engineers:米国映画テレビ技術者協会)で成立させている(2表)。ITU-Rの2つの勧告は「超高解像度映像」と「拡張大画面デジタル映像の番組制作およ

ITU-R勧告 BT.1201-1(2004) 超高解像度映像

ITU-R勧告 BT.1769(2006)

拡張大画面デジタル映像の番組制作および国際番組交換のためのパラメーター値

SMPTE 2036-1(2009) UHDTV ‒ 番組制作用映像パラメーター

SMPTE 2036-2(2008)

UHDTV ‒ 音響特性とチャンネルマッピング

SMPTE 2036-3(2010) UHDTV ‒ インターフェース

6図 高臨場感音響の要求条件

7図 スピーカー配置

2表 既に成立している国際標準

8図 22.2ch音響

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7,680G2

G2

カメラヘッド

4,320

800万画素のデバイス×4

B

R

G1

G1

び国際番組交換のためのパラメーター値」というもので,放送用のシステムに特化したものではないが,スーパーハイビジョンの画素数である7,680×4,320が記載されている。また,SMPTEの「UHDTV-番組制作用映像パラメーター」の規格では,ハイビジョンの空間解像度を拡張したスーパーハイビジョンが定義されている。当所では,その後,究極の2次元映像として「フルスペックスーパーハイビジョン」の映像パラメーターを決定した(3表)。ITU-Rに提案していた「フルスペックスーパーハイビジョン」の規格は,2012年の5月に放送関係の標準化を行っているITU-R SG6会合において新勧告案として合意された。今後,各国による承認手続きを経て,2012年の夏には勧告として成立すると期待している *1

講演日(2012年5月24日)以降の8月にITU-R勧告 BT.2020(2012)となった。

*1。これまでの規格との主な違いは,120Hz(フレーム/秒)という高いフレームレートと広色域の表色系を採用したことである。2.4 スーパーハイビジョンの実現スーパーハイビジョンを実現するためには,従来の技術を大きく超える技術レベルが必要である。スーパーハイビジョンの映像は3,300万画素であるが,3,300万画素の撮像・表示デバイス

は開発当初にはなかった。そこで,当初は800万画素のデバイスを4枚使ったデュアルグリーン方式でスーパーハイビジョンを実現した。デュアルグリーン方式では,800万画素のデバイスを緑用に2枚,青と赤用に各1枚使用する。緑用の2枚のデバイスを9図に示すように斜めにずらせて配置する。見た目の解像度に最も影響の大きい緑用のデバイスを斜めに配置することで,スーパーハイビジョンが持つ本来の解像度に近い解像度を得ることができる。2007年に3,300万画素のデバイスが開発され,その後,これを3枚(緑,青,赤用に各1枚)用いたフル解像度システムを実現した(10図)。しかし,フル解像度システムの回路規模は大きく,カメラのサイズも大きい。現在,スーバーハイビジョンの番組制作に実際に使用しているカメラはデュアルグリーン方式である。

項目 画素数(H×V) アスペクト比 フレーム周波数 走査方式 ビット深度 表色系

パラメーター値 7,680×4,320,3,840×2,160 16:9 120, 60※1, 50,

30※1, 25, 24※1Hz プログレッシブ 12, 10bit/pel※2 広色域

※1 ×1/1.001を含む。※2 Picture Element。

3表 UHDTVシステムの番組制作および国際番組交換のためのパラメーター値

9図 デュアルグリーン方式

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7,680カメラヘッド

4,320

3,300万画素のデバイス×3

B

R

G

画面サイズ150インチ 30cpd※

画角100°(0.75H)

大画面

70インチ120cpd画角30°(3H)

中画面

25インチ小画面

視距離

臨場感実物感

25cm 70cm 1.5m

※ cycles per degree。

(H:画面高)

デュアルグリーン (60Hz)24Gbps

フル解像度 (60Hz)72Gbps

フルスペック (120Hz)144Gbps

60Hz 60Hz 120HzR

R

G

G1

G2 BR

GBB

11図に示すように,60Hzのデュアルグリーン方式のデータレートは24Gbps,60Hzのフル解像度システムのデータレートは72Gbps,120Hzのフルスペックシステムのデータレートは144Gbpsである。このようにフルスペックシステムの実現には高いデータレートを実現する必要がある。2.5 視聴スタイル家庭における視聴スタイルとして,12図に示すようなさまざまな視聴スタイルを想定している。壁面を使ったウォールタイプの大画面ディスプレイでの視聴では100°前後の大きな画角が実現でき,高い臨場感を楽しむことができる。70インチ~80インチの中画面ディスプレイでの視聴では,画角が約30°となり臨場感は少し低くなるが,高い実物感が得られる。

10図 フル解像度システム

11図 システムの進展とデータレート

12図 視聴スタイル

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講演3

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22.2chミキシングシステム(複数の音像の移動制御が可能)

22.2chマイクロホン(直径:45cm) 3次元残響付加装置

(可搬型)

また,興味のある部分を間近でじっくり見ても画素密度が高いので,画素構造は気にならない。小画面のポータブルディスプレイでは,グラビア誌を見るような感覚で,精細度の高い動画像を楽しむことができる。このように,さまざまな視聴スタイルを想定して,スーパーハイビジョンを家庭に届けるための研究開発を進めている。

3.要素技術の開発状況と3年後の目標2012~2014年度のNHK技研3か年計画ではスーパーハイビジョンの研究を推進するための方針と手順を示している。3か年計画では,番組制作,符号化・伝送,家庭視聴の3つのカテゴリーに分類しているので,カテゴリーごとに現在の開発状況および3か年計画終了時の目標について,技研公開2012の展示内容を織り交ぜて紹介する。3.1 番組制作3.1.1 カメラ2010年にデュアルグリーン方式のカメラを実用化した。重量はレンズ込みで20kgである。また,2010年にはサイズは大きいが,実験機としてフル解像度カメラの開発に成功した。技研公開2012では,ポータビリティーを追求して開発した単板式の小型カメラを展示した

(13図)。重量はレンズ込みで5kgであり,このカメラに対する制作現場の期待は高い。フルスペックスーパーハイビジョンのカメラの開発も進めており,技研公開2012では120Hzで動作するスーパーハイビジョン用のイメージセンサーを展示した。2014年の目標は,小型で高感度のフルスペックカメラを開発することである。また,次世代の撮像デバイスとして有機撮像素子の試作を行う。3.1.2 22.2ch音響制作22.2ch音響制作機器も充実させている。22.2ch音響を簡単に収音できる一体型のマイクロ

ホンや,中継現場で22.2ch音響を容易に再生するためのヘッドホンプロセッサー,可搬型録音編集機,3次元残響付加装置などを実用化している。技研公開2012では,より小型化した一体型の22.2chマイクロホン,複数音像の移動制御が可能な22.2chミキシングシステム,現場に持ち出せる可搬型の3次元残響付加装置などを展示した(14図)。2014年には,2chまたは5.1chの音源から22.2ch音響へアップミックスする方式の開発や直感的な操作で3次元音響を制作することのできる環境を実現する。3.1.3 記録・素材伝送番組制作には記録装置や素材伝送装置が必須である。2005年には,スーパーハイビジョンの大容量データを光ファイバーを用いて非圧縮伝送するための光波長多重伝送装置を開発した。また,2009年には120GHz帯の送受信機を3系統使うFPU(Field Pick-up Unit)装置

13図 スーパーハイビジョン用小型カメラ 14図 スーパーハイビジョン音響制作機器

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を開発した。また,大容量記録を行うために,ホログラムを使った実験用の記録装置を試作した。技研公開2012では,フル解像度のスーパーハイビジョン信号を非圧縮で光時分割多重する実験装置を産業総合技術研究所と共同で展示した(15図)。また,ホログラム記録についても高速再生技術の進ちょく状況を展示した(16図)。2014年には,記録・素材伝送を充実するために,カメラ一体型記録装置,ホログラム記録再生の高速化,120GHz帯FPU,フル解像度スーパーハイビジョンの光伝送などを実現したいと考えている。3.2 符号化・伝送技術スーパーハイビジョンを家庭に届けるための符号化・伝送技術を紹介する。

3.2.1 衛星・地上波・ケーブルテレビスーパーハイビジョンを家庭に届けるための方法としては,2020年に試験放送を予定している衛星放送の他に地上放送やケーブルテレビがある。大容量の伝送を行うために,衛星放送用の広帯域変復調器や地上放送用の偏波多重MIMO

(Multiple-Input Multiple-Output)伝送システムなどを開発してきた。技研公開2012では,衛星放送用の21GHz帯放送衛星中継器のエンジニアリングモデルと広帯域変復調器を,また,地上放送用の偏波MIMO,超多値OFDM,更に,2chバルク伝送によって183.6Mbpsの伝送容量を実現した伝送システムを展示した(17図)。また,ケーブルテレビ用として,既存の変調器を複数組み合わせて大容量伝送を実現したシステムを展示した。2014年には,それぞれのメディアにおける放送方式を提案する予定である。3.2.2 映像・音響符号化スーパーハイビジョンを伝送するためには,映像信号・音響信号の高効率な圧縮が必要である。2010年にはAVC / H.264規格に基づいた符号化装置を開発した。この装置の入力信号はデュアルグリーン方式の映像信号であり,それをAVC / H.264のHigh Profileで符号化して,48Mbps~256Mbpsに圧縮した。また,22.2ch音響信号を入力して,それをAAC LC(Advanced Audio Coding - Low Complexity)Profileで符号化して,1Mbps~3Mbpsに圧縮した。技研公開2012ではグローバルIP(Internet Protocol)伝送装置の展示をNTTと共同で行った(18図)。圧縮した後にIP化して,大規模パケットロス補償用誤り訂正などの技術を適用した。また,現在,規格化中のHEVC(High Efficiency Video Coding)方式に基づいたリアルタイムデコーダーも展示した。このデコーダーの入力信号は30Hzの4Kの信号であるが,HEVC Main Profile相当の品質で符号化処理したストリームをリアルタイムでデコードした。

15図 光時分割多重伝送装置 16図 ホログラム記録の高速再生技術

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2014年には,フル解像度SHV用のHEVC準拠符号化装置を開発するとともに,音響については現在検討中である空間復元型音響符号化装置の開発を行う予定である。3.3 家庭視聴3.3.1 直視型ディスプレイ家庭では直視型ディスプレイが主に使用されると考えられる。2011年に初めて直視型SHVディスプレイとして85インチのLCDを開発した。2012年には大画面で迫力ある映像が楽しめる145インチのプラズマディスプレイを開発し,技研公開2012で展示した(19図)。2014年には,ディスプレイのフルスペック化とシート型ディスプレイを実現するための要素技術の開発を行う予定である。3.3.2 22.2ch音響再生一般の家庭で22.2ch音響を再生するために,24個のスピーカーを設置するのは困難である。2011年には,それを解決する1つの方法として,85インチLCDディスプレイの周りに116

個の小型スピーカーを設置し,それを用いて22.2ch音響を再生するシステムを開発した。そのシステムでは,波面合成技術を適用して画面上の音を再生し,バイノーラル技術を適用して側方や後方の音を再生した。画面の周りのスピーカーだけで22.2ch音響が再生できるので,家庭における利用が期待される。技研公開2012では,画面の周囲に6つのスピーカーを設置し,バイノーラル技術だけを利用して22.2ch音響を再生するシステムを体験展示で紹介した(20図)。116個の小型スピーカーを設置する方法よりも音の再生精度は少し劣るが,少ない数のスピーカーで22.2ch音響の持つ音の上下感,広がり感といった効果を手軽に楽しむことができる。

・ 偏波MIMO-超多値OFDM(4096QAM, 32kFFT)・ 2チャンネルバルク伝送・ 伝送容量:183.6Mbps / 2チャンネル

18図 グローバルIP伝送装置17図 次世代地上大容量伝送システム

・ 画面サイズ:約3.2m×1.8 m・ 画素数:横7,680画素×縦4,320画素・ フレームレート:60Hz(フレーム / 秒)・ 画素ピッチ:0.417mm 20図 バイノーラル技術を使った

22.2ch音響再生システム19図 145インチプラズマディスプレイ

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2014年には,家庭用22.2ch音響再生技術の確立を目指す。3.3.3 プロジェクター現在は,家庭用というよりも,大画面で表示する必要があるパブリックビューイング用のプロジェクターを開発している。2009年にフル解像度表示のプロジェクターを開発し,2010年には小型のプロジェクターと高ダイナミックレンジのプロジェクターを開発した。技研公開2012では,120Hzで表示するスーパーハイビジョンプロジェクターを展示した

(21図)。2014年の目標は広色域化も含めたフルスペック対応のプロジェクターの開発である。

4.普及・展開視聴者の方々にスーパーハイビジョンの魅力を知っていただき,新たな放送サービスに期待を持っていただくための普及・展開の取り組みを紹介する。4.1 展示2002年の当所の新研究棟落成記念イベントでの初展示以降,毎年,技研公開でスーパーハイビジョンを展示してきた。その他の大規模な最初の展示は2005年の愛・地球博(愛知万博)である。また,2005年から九州国立博物館のシアター4000でスーパーハイビジョンの常設展示を行っている。2006年にはアメリカのNAB(National Association of Broadcasters)ショー,ヨーロッパのIBC(International Broadcasting Convention)で海外展示を行った他,CEATEC(Combined Exhibition of Advanced Technologies)で国内展示を行い,多くの方々にスーパーハイビジョンをご覧いただいた。また,2005年には初めて,生中継のスーパーハイビジョン伝送を行い,遠くのものをリアルタイムで見るというテレビの特徴をスーパーハイビジョンの高臨場感と共に体験していただいた。4表にこれまでに行った主な伝送実験を示す。2005年の千葉県の鴨川から当所までの伝送実験では,光波長多重技術を利用して光ファイバーで非圧縮伝送を行った。その後,圧縮装置を開発し,IP回線あるいは広帯域

非圧縮光ファイバー伝送 広帯域ネットワークによるIP伝送 衛星伝送

・初めての生中継伝送(2005)光波長多重伝送(24Gbps)鴨川 ‒ 東京(260km)

・紅白歌合戦のパブリックビューイング(2006)MPEG-2 圧縮伝送(600Mbps)東京 ‒ 大阪(500km)

・国際ライブ伝送MPEG-2 圧縮伝送(600Mbps)ロンドン - アムステルダム(IBC2008)AVC/H.264 圧縮伝送(240Mbps)ロンドン ‒ 東京(2010)

・国際伝送“Eutelsat”(IBC2008)AVC/H.264圧縮伝送(140Mbps)トリノ ‒ アムステルダム

・SHV多チャンネル伝送“WINDS”(2009)AVC/H.264圧縮伝送(100Mbps×3ch)札幌 ‒ 鹿島 ‒ 東京

21図 120Hzで表示するスーパーハイビジョンプロジェクター

4表 伝送実験

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講演3

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(a)スポーツ (b)歴史的イベント

(d)医療応用 (e)美術

(c)ライブ中継

(f)コンサート

衛星を使ってさまざまな伝送実験を行ってきた。4.2 さまざまな応用スーパーハイビジョンの技術は放送だけではなく,さまざまな分野で応用可能である(22図)。スポーツイベントやコンサートのパブリックビューイング,科学や芸術分野への応用などが期待される。特に,注目されているのが医療応用であり,近い将来,これらの分野での実用化が期待される。

5.ロンドンオリンピックのパブリックビューイング最後に,2012年の夏に開催されるロンドンオリンピックのスーパーハイビジョンによるパブリックビューイングについて紹介する。5表にパブリックビューイングの計画概要を示す。このプロジェクトはOBS(オリンピック放送機構),BBC(イギリス放送協会)などと共同で実施する。イギリスと日本には8時間の時差があるので,基本的には競技を収録し,ハイライト部分を編集して再生する予定である *2

講演日(2012年5月24日)には予定であったが,全て計画どおり実施された。

*2。ただし,7月30日(日本時間の18時~20時)には競泳の生中継を行う予定である。パブリックビューイングはイギリス,アメリカ,日本において実施し,開会式の他,陸上競技,競泳,バスケットボール,自転車,シンクロナイズドスイミングなどの番組を上映する。23図に制作現場からパブリックビューイングの会場までの系統を示す。オリンピック会場の中継車で素材を収録し,それをBBCのスタジオに設置したスーパーハイビジョン番組制作拠点に運ぶ。BBCスタジオで素材を編集し,完成した番組を圧縮してIP回線でイギリス・ア

概要

■OBS※1,BBCと共同で実施■2台のカメラで競技を撮影。音声は22.2ch音響で制作・再生■イギリス(4か所),アメリカ(1か所),日本(3か所)で上映(イギリスのIBC※2とアメリカは関係者が対象)■開会式や競技などのハイライト

日程日本 7月28日(土)~8月12日(日)

イギリス・アメリカ 7月27日(金)~8月12日(日)

時間 通常:10時~18時(7月30日(月)18時~20時には競泳を生中継)※1 オリンピック放送機構(全ての国際信号を制作)。※2 国際放送センター。

22図 スーパーハイビジョンの応用例

5表 パブリックビューイングの概要

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カメラ(常設2式,最大3式まで)

8ch スイッチャー

スロー再生装置

テロップ装置

アップコンバーター装置

HD 映像

本線

8×8 ルーター

圧縮・記録再生機

編集拠点へ

伝送装置

NHKⒸUNICORN Photo Press

中継車(日本から輸送)

音声中継車

ブラッドフォードロンドン

グラスゴー

IBC

ワシントン

ふれあいホールスタジオパーク

ベルサール秋葉原

NHK福島放送局

国際回線

ふれあいホールスタジオパーク渋谷

ベルサール秋葉原

福島放送局

秋葉原

福島

オリンピック会場

BBC TC0スタジオ制作:NHK,BBCNHK技研

メリカ・日本のパブリックビューイングの会場に伝送する。日本では国際伝送信号をいったん当所で受けて,国内の会場に再伝送する。なお,7月30日の生中継の際には,オリンピック会場からBBCスタジオまでスーパーハイビジョン信号を非圧縮で伝送し,BBCスタジオで圧縮した後,パブリックビューイングの会場までIP伝送する。パブリックビューイングのための設備整備も進めており,整備機材はロンドンオリンピックの制作現場で活躍する予定である。24図にスーパーハイビジョンの映像中継車の系統を示す。8chスイッチャーの入力にはカメラ,スロー再生装置,テロップ装置,ハイビジョンからのアップコンバーター装置がある。出力は圧縮を行う記録再生機や伝送装置につながっている。25図に音響中継車の系統を示す。22.2chミキシングコンソールには,一体型の22.2chマイクロホンや一般のマイクロホンの信号が入力される。また,3次元残響付加装置やオーディオ効果機器などの使用も可能である。ハードディスクレコーダーで音声を収録する他,生放送のための音声出力が2系統(本線と予備)ある。

23図 パブリックビューイングの系統

24図 スーパーハイビジョンの映像中継車の系統

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講演3

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3次元残響付加装置

ハードディスクレコーダー

一体型の22.2ch マイクロホン

一般のマイクロホン

22.2ch ミキシングコンソール

出力マトリックス

22.2chスピーカー 22.2ch

ヘッドホンプロセッサー

オーディオ効果機器 ヘッドホン

本線出力

予備出力

パブリックビューイングの会場では,1時間ごとに完成した番組を繰り返し上映する他,連携したイベントを併せて実施する。来場者には,ロンドンのオリンピック競技会場にいるかのような体験をしていただく予定である。

6.まとめスーパーハイビジョンの放送を実現するための取り組みを紹介した。スーパーハイビジョンを設計した理論的な根拠から2020年の試験放送の開始を目指した研究開発のロードマップや規格化の状況について説明した。また,番組制作,符号化・伝送,家庭視聴における技術開発の現状と3年後の2014年の目標を紹介した。更に,新たな放送サービスに期待していただくための普及・展開の活動について述べた。最後に,世界的に連携して実施するロンドンオリンピックのパブリックビューイングについて紹介した。オリンピックのパブリックビューイングの実施にあたっては,ハードウエアの開発だけでなく,これまでのスーパーハイビジョンの番組制作のノウハウといったソフトウエアの成果を結集させる。ロンドンオリンピックはスーパーハイビジョンの放送を実現するための重要なマイルストーンになると考えている。スーパーハイビジョンにご期待いただくとともに,その実現に向けて関係各位のご支援,ご協力をお願いしたい。

ししくいよしあき

鹿喰善明1983年NHK入局。静岡放送局を経て,1986年から放送技術研究所においてハイビジョン放送方式,映像圧縮符号化,スーパーハイビジョン伝送,IP放送,新サービスに関する研究に従事。2001年から2003年までNHKエンジニアリングサービスに出向。現在,同所テレビ方式研究部部長。博士(工学)。

25図 22.2ch音響中継車の系統

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