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ハイパーコンバージド最前線 1そのハイパーコンバージドがもたらすのは アジリティか、サイロか 仮想化環境に特化したアプライアンスである「ハイパーコンバージド製品」への注目 が高まっている。サーバー、 SDS (ソフトウェア・デファインド・ストレージ)、セットアッ プや運用を自働化するツール群から構成される統合型プラットフォームである。その 最大のメリットは「ビジネスアジリティ(ビジネス要求に即座に対応できる能力)」に あると評される。実際の効果はどれだけのものか。どのような視点で選ぶべきか。 日本ヒューレット・パッカードのキーパーソンに聞いた。

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Page 1: ハイパーコンバージド最前線 第1回 そのハイパーコンバージドが … · ハイパーコンバージド最前線 第1回 そのハイパーコンバージドがもたらすのは

ハイパーコンバージド最前線 第1回

そのハイパーコンバージドがもたらすのはアジリティか、サイロか

仮想化環境に特化したアプライアンスである「ハイパーコンバージド製品」への注目が高まっている。サーバー、SDS(ソフトウェア・デファインド・ストレージ)、セットアップや運用を自働化するツール群から構成される統合型プラットフォームである。その最大のメリットは「ビジネスアジリティ(ビジネス要求に即座に対応できる能力)」にあると評される。実際の効果はどれだけのものか。どのような視点で選ぶべきか。日本ヒューレット・パッカードのキーパーソンに聞いた。

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尾崎 ハイパーコンバージドは、事前検証済みの機器を垂直統合したコンバージドシステムの進化形と捉えるとわかりやすいと思います。ハイパーコンバージド製品の大きな特徴は、サーバー内蔵ストレージをクラスタ構成してスケールアウトを容易にしたことです。共有ストレージは必要ありません。ビジネスの要求に対して、迅速に仮想サーバーや仮想デスクトップを提供できるところに最大のメリットがあります。

HPEでは2015年に「コンポーザブル・インフラストラクチャ戦略」を発表し、そのロードマップの中でハイパーコンバージドを重要なステージのひとつに位置づけました。現在、ハイパーコンバージド製品の拡充を進めているところです。ターゲットは2000年代から構築・運用されてきた企業内の仮想化環境です。その6~ 7割はハイパーコンバージドに統合できると考えています。

HPEでは、企業の ITインフラは、仮想と物理、クラウドとオンプレミスが混在し続けると考えています。そうした条件下で、ビジネス要求に迅速に対応し、ワークロードに最適な ITリソースを秒単位で構成して利用可能にするのが、理想的な ITインフラのカタチである「コンポーザブル・インフラ」です。コンポーザブル・インフラが物理環境まで包括しているのに対し、ハイパーコンバージドは仮想化環境に特化しています。

梁瀬 HPEでは、2009年からHPE Converged Systemを、2015年からハイパーコンバージド製品を提供してきました。2015年9月に発表したインテル® Xeon® プロセッサー E5 v3ファミリー搭載「HPE Hyper Converged 250 System」では、箱を開けてからわずか15分で使用可能になります。セットアップや仮想マシン立ち上げなどの大半が自動化されていますので、導入も運用管理の負荷も大幅に低減されます。また、インテル® Xeon® プロセッサー E5 v3ファミリーの高い性能により、複数のシステムを集約しても安定的なパフォーマンスを提供します。

「社内に分散・点在している新旧の仮想化環境を統合したい」「パブリッククラウド上のシステムを、コンプライアンスに準拠した社内環境に統合したい」「VDA環境を短期間で構築し、運用開始後はユーザー増に応じて迅速に拡張したい」「サービスをスモールスタートして、急増する要求にも即座に対応できるようにしたい」

HPE Hyper Converged 250 Systemは、こうした要求にまさに合致しており、すでに導入されているお客様から好評をいただいています。また、SIer様や販売パートナー様からも「付加価値を提案しやすいプラットフォームだ」との声が増えています。

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ハイパーコンバージドはITインフラロードマップの重要なステージ―HPEでは、ハイパーコンバージドのトレンドをどのように捉えていますか。

日本ヒューレット・パッカード株式会社サーバー事業統括本部サーバー製品統括本部コンバージド・データセンター製品部尾崎 亨

日本ヒューレット・パッカード株式会社サーバー事業統括本部サーバー製品統括本部コンバージド・データセンター製品部梁瀬 東子

インテル® Xeon®プロセッサーE5 v3 ファミリー製品

HPE Hyper Converged 250 System

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尾崎 ハイパーコンバージド製品は、仮想化に特化した環境で、いかに優れたビジネスアジリティ(ビジネス要求に即座に対応できる俊敏性)を発揮するかを追求しています。この点は各社共通でしょう。しかし、HPEは総合 ITインフラベンダーですから、ハイパーコンバージド製品の専業ベンダーとはアプローチが異なります。たとえどれだけ優れたビジネスアジリティを実現できたとしても、特殊なハードウェアで構成された、特別な管理が必要な環境を増やしてはならないと考えています。ハイパーコンバージド製品の導入が「サイロ」を生んでしまっては意味がありません。

HPEのハイパーコンバージド製品は、多くのお客様で導入されている「HPE ProLiant サーバー」と同じように扱えるよう、操作性・運用管理性・保守性を工夫しています。既存のサーバー環境にハイパーコンバージド製品を追加しても、特別な運用をしなくてよいのです。

梁瀬 HPEのハイパーコンバージド製品は、世界シェアNo.1の x86サーバー「HPE ProLiant」および「HPE Apollo」をベースに、ソフトウェア・デファインド・ストレージ(SDS)製品として200万ライセンスの販売実績を持つ「HPE StoreVirtual VSA」を統合しています。これにより、別途SANストレージを導入することなく可用性の高い ITインフラを構築できます。

運用管理の観点では、HPE ProLiant Gen9が標準で備える「自働サーバー」としての機能をフルで使えます。先進的な管理機能をハードウェアベースで内蔵し、問題の予兆を検知すると自動的に通報するサービスも無償でご利用いただけます。HPE ProLiantサーバーの延長線上で、操作や運用を行えるメリットは大きいと考えています。HPE OneViewが縁の下でハードウェアの詳細な監視を担い、お客様は使い慣れたVMware vCenterやMicrosoft System Centerから日常的な運用や操作を行えます。

また、ハイパーコンバージド製品のメリットに、「アプライアンス型で筐体単位での拡張が容易」ということがあります。HPEのハイパーコンバージド製品は、これをもう一歩進めた柔軟な拡張を可能にしました。リソースを筐体単位で固定することなく、CPUやメモリの増設も、ストレージ容量の増設も自由に行えるのです。きめ細かなニーズにお応えできることは、他社の製品にないメリットと言えるでしょう。

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HPEのハイパーコンバージドはITインフラをサイロ化させない―HPEのハイパーコンバージド製品は他社と何が違うのでしょうか。

「ハイパーコンバージド製品の導入が、再びサイロを生んでは意味がありません」(尾崎)

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記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。Intel、インテル、Intelロゴ、Xeon、Xeon Insideは、アメリカ合衆国およびその他の国におけるIntel Corporationの商標です。記載事項は2016年5月現在のものです。本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。

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XXXXXXXX-XX 2016年5月

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尾崎 企業はこれから先も「ハイブリッド」の環境と上手に付き合っていく必要があると、HPEでは考えています。Hadoopなどのビッグデータ解析基盤は物理環境での構築が前提ですし、ミッションクリティカルなシステムは仮想化基盤とは独立させて運用したいと考える企業が多いことも事実です。企業の IT環境は、集中から分散、再統合へと進んできたわけですが、実際のところはもっと複雑です。仮想と物理、クラウドとオンプレミスが混在する環境はこれからも長く続くでしょう。どんな企業も、ハイブリッド・インフラストラクチャを最適化する道のりを歩んでいかなければなりません。

HPEでは、ハイブリッド・インフラの「Right Mix(最適なバランス化)」がますます重要になると考えています。ハイパーコンバージド製品は仮想化環境の統合にまさに最適です。新旧の仮想化環境を統合してシンプル化を進めることは、運用コストを低減して戦略投資に活用するという意味でも有効です。ハイパーコンバージド製品なら、仮想化環境の統合を短期間で実現するだけでなく、ビジネス要求に迅速に応える ITインフラも同時に手に入ります。

ハイパーコンバージド製品は「仮想化初心者向け」として紹介されることもありますが、HPEとしては仮想化基盤やプライベートクラウドを構築・運用してきた方にこそ、強くメリットを感じてもらえるソリューションだと考えています。

梁瀬 少し話題が変わりますが、「HPEフレキシブル・キャパシティ」への引き合いが非常に増えています。これは、従量課金でオンプレミスシステムを利用できるユニークなサービスです。システム機器をお客様の環境に設置し、サポートサービスをセットにして月額単価によりご利用いただけます。自社導入時の初期投資を抑えつつ、パブリッククラウドのように必要なときに必要な ITリソースをご活用いただくことで、お客様のビジネス目標の達成に貢献します。これも、ハイブリッド・インフラと向き合うためのHPEの提案のひとつです。

また、Microsoft社との協力により、HPEのハイパーコンバージド製品とMicrosoft Azureを連携させた「データバックアップ&災害対策ソリューション」もすでに発表されています。オンプレミスとクラウドの効果的な連携によって、お客様にさらに大きなメリットをご提供できるようになります。

ITインフラは、ハイブリッド環境であり続ける―ハイパーコンバージド製品はどのように活用するのが有効ですか。

尾崎 やはり、「ITインフラ全体をいかに最適化するか」という視点が最も重要でしょう。HPEは、「ビジネスと完全に一体化した ITインフラ」の実現を目指しています。そして、ハイブリッド・インフラを最適化するためのテクノロジーとソリューションの開発に全力で取り組んでいます。

HPEの視野は ITインフラ全体を見据えており、最適化の範囲は ITインフラ全体です。特定の分野にだけ適用できる製品や、限られた領域の最適化は再び「サイロ」を生むだけです。HPEなら、ハイパーコンバージド製品の提供を通じて、お客様の ITインフラをシンプル化し、ビジネス要求への対応力を高め、サイロの解消に貢献できます。

梁瀬 HPEのハイパーコンバージド製品は、プライベートクラウド基盤に求められる高性能化・高機能化をさらに進めていきます。仮想化環境の提供は、より扱いやすく簡単で洗練された手順で行えるようになります。間もなく登場する新製品は、きっと皆様を驚かせるはずです。「仮想マシンの自動販売機」のような感覚でご利用いただけるのですから。どうぞご期待ください。

ITインフラ全体の視点で、最適化を考える―ハイパーコンバージド製品を導入するうえでのポイントを教えてください。

投資リスクITリソース量

1年目 2年目 3年目 …X年目

実際のインフラリソース利用量

通常の購入

フレキシブルキャパシティ

「間もなく登場する新製品は、きっと皆様を驚かせるはずです」(梁瀬)

オンプレミスをクラウドのように使うフレキシブルキャパシティ