アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロ …i...

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アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロジェクトフェーズ 2 第 2 回終了時評価調査報告書 平成 27 年 11 月 (2015 年) 独立行政法人国際協力機構 人間開発部

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アフガニスタン・イスラム共和国識字教育強化プロジェクトフェーズ 2第 2回終了時評価調査報告書

平成27年 11 月(2015 年)

独立行政法人国際協力機構人間開発部

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目 次

第 2回終了時評価調査結果要約表(和文・英文)

第1章 プロジェクトの概要 ........................................................................................................................... 1

1-1 プロジェクトの背景 ....................................................................................................................... 1

1-2 プロジェクトの基本計画 ............................................................................................................... 2

第2章 第 2 回終了時評価の概要 ................................................................................................................... 4

2-1 調査の目的....................................................................................................................................... 4

2-2 第 2回終了時評価の概要 ............................................................................................................... 4

2-2-1 調査団の構成 ....................................................................................................................... 4

2-2-2 第 2回終了時評価のスケジュール ................................................................................... 4

2-2-3 第 2回終了時評価の方法 ................................................................................................... 4

2-2-4 評価 5項目 ........................................................................................................................... 5

第3章 プロジェクトの達成状況 ................................................................................................................... 6

3-1 成果の達成状況 ............................................................................................................................... 6

3-2 プロジェクト目標の達成状況 ..................................................................................................... 11

3-3 上位目標の達成状況 ..................................................................................................................... 13

第4章 プロジェクトの実施プロセス ......................................................................................................... 15

4-1 プロジェクト管理 ......................................................................................................................... 15

4-2 カウンターパートの参加度合いとコミュニケーション ......................................................... 15

4-3 活動の進捗状況 ............................................................................................................................. 15

第5章 5項目評価.......................................................................................................................................... 17

5-1 妥当性 ............................................................................................................................................ 17

5-2 有効性 ............................................................................................................................................ 18

5-3 効率性 ............................................................................................................................................ 19

5-4 インパクト..................................................................................................................................... 19

5-5 持続性 ............................................................................................................................................ 21

第6章 結 語 ................................................................................................................................................ 23

第7章 提 言 ................................................................................................................................................ 24

第8章 教 訓 ................................................................................................................................................ 26

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付属資料

1.第 2回終了時評価ミニッツ ................................................................................................................. 29

2.評価グリッド結果表(和文) ............................................................................................................. 96

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i

第 2回終了時評価調査結果要約表

1.案件の概要

国名:アフガニスタン・イスラム共和国 案件名:識字教育強化プロジェクトフェー

ズ 2

分野:教育 援助形態:技術協力プロジェクト

所轄部署:人間開発部 協力金額(評価時点):9.9億円

協力期間

(実績)

2010年 4月 26日~2016年 1月 31日

(5年 10カ月)

※第 2 回終了時評価の結果、協力期間を

2018年 1月 31日まで延長

先方関係機関:教育省識字局

日本側協力機関:なし

1-1 協力の背景と概要

アフガニスタン・イスラム共和国(以下、「アフガニスタン」と記す)の 15 歳以上の識字率は

34%(男性 50%、女性 18%)(アフガニスタン MDGs レポート 2005)と、世界的にみて低い数値

であり、地方格差も大きな問題となっている。このような背景から、数多くの識字教育プロジェク

トが、教育省識字局、援助機関、NGO や他の関係者によって実施されてきた。

「アフガニスタン識字教育強化プロジェクト(The Project on Support for Expansion and

Improvement of Literacy Education in Afghanistan:LEAF1)」は JICAと識字局の協力の下、2006年 3

月から 2008 年 7 月まで実施された。プロジェクトを通じて、識字コースのデータ管理、教材管理

及びスーパーバイザー(現「モニター」)の訓練に係る識字局の知識と技術が強化された。終了時

評価では、プロジェクト目標の達成が確認されたが、活動の持続発展性の面で課題が指摘され、識

字局への継続的な支援の必要性が指摘された。

そのため、アフガニスタン政府は日本政府に対し、識字コースの効果的な実施に際し、中核とな

るスーパーバイザーの能力強化に焦点を当てたプロジェクトを実施するよう要請した。この要請に

基づき、JICAは「アフガニスタン識字教育強化プロジェクトフェーズ 2(The Project on Improvement

of Literacy Education Management in Afghanistan:LEAF2)」を形成し、2010年 2月 18日に JICAとア

フガニスタン政府は合意議事録(Record of Discussions:R/D)を締結した。

LEAF2 では、識字局の行政能力の向上と、識字教室の運営と質を改善することを目的とし、①

すべての識字教室を網羅するモニタリング及び技術支援の枠組みの開発と普及、②識字教室修了後

の学習者の学習達成度を測る評価ツールの開発、③郡から県、県から中央へのモニタリング結果の

報告の仕組みの開発と実施促進、④モニタリング結果に基づく技術支援が中央から県、県から郡へ

届く方策の開発を実施している。識字局をカウンターパート機関として、2010 年 4月より 2014年

3 月までの 3 年 11 カ月間の予定で実施されてきた。しかし、現地の治安悪化に伴い、2013 年 6 月

末より日本人技術協力関係者のアフガニスタンへの渡航措置制限が敷かれるなど、プロジェクト活

動の進捗遅延の影響があり、2013年 12月~2014年 1月に実施した 1回目の終了時評価の提案に基

づき、協力期間を 2015 年 1 月まで延長した。その後も現地の治安の回復が見込めず、プロジェク

ト目標達成のために不可欠な全国研修の実施に遅延が生じていたため 2016 年 1 月まで協力期間の

再延長を行った。現在は第三国(インド)からプロジェクトを実施している。プロジェクト終了を

2016 年 1 月に控え、延長及び再延長期間のプロジェクト活動の実績、成果を 5 項目評価するとと

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もに、今後のプロジェクト活動に対する提言及び今後の類似事業の実施にあたって教訓を導く目的

で調査を実施した。

1-2 協力内容

(1)上位目標

アフガニスタン国における識字教育の運営と質が改善される。

(2)プロジェクト目標

識字教育の質向上のため、識字行政機関によるモニタリング・技術支援の能力が強化される。

(3)成 果

1. すべての識字コースを網羅するモニタリング及び技術支援の枠組みが開発される。

2. 識字コース修了後の学習者の学習達成度を測る方策が開発される。

3. 報告及び情報共有に係る方策が開発・実施される。

4. 技術支援の方策が開発される。

(4)投入(第 2回終了時評価時点)

【日本側】

専門家派遣:10職種 20名(日本人専門家)166.23MM(66.56MMアフガニスタン、35.88MM

第三国、63.80MM国内)

供与機材:プロジェクト実施に必要なコンピュータ、プリンタ、プロジェクター、コピー機、

ビデオカメラ、空調機、ジェネレーター

ローカルコスト負担:研修費、教材作成費、パイロット活動費、全国モニタリング研修の外

部委託費等

本邦研修:2015年に映像技術の本邦研修を実施

第三国研修:バングラデシュ(2011年)、インド(2012年)、パキスタン(2014年)

【アフガニスタン側】

人員配置:合計 59名

ローカルコスト負担:カブールとバルフ県での専門家執務室、光熱費など

2.評価調査団員の概要

担 当 氏 名 所 属

団 長 石原 伸一 JICA人間開発部 基礎教育グループ長

教育計画 吉田 純平 JICA人間開発部 基礎教育第一チーム

評価分析

教育協力

教育協力

浜岡 真紀

山下 契

Najibullah Kohistani

国際開発機構国際開発研究センター 主任研究員

JICAアフガニスタン事務所

JICAアフガニスタン事務所

調査期間 2015年 7月~11月 評価の種類:終了時評価(第 2回)

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3.評価結果の概要

3-1 実績の確認

(1)成果の達成状況

成果 1:4すべての識字コースを網羅するモニタリング及び技術支援の枠組みが開発される。

成果 1の達成状況:進行中(ほぼ達成済み)

指標 1-1:関係者の合意を得たモニタリングマニュアルが開発される。

達成状況:達成済み

プロジェクトは、2012 年にモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ

収集ガイドライン、モニタリング研修マニュアル、技術支援ツール(教授法マニュアルも含む)

を開発し、その後改訂作業を行ってきた。第 1回終了時評価時点では、同マニュアルは最終化

されておらず、マニュアルの最終化と早急な識字局の最終承認が提言された。

その後、2014年 2月に識字局の承認を得て、2014年 5月 18日のエンパワメントのための識

字イニシアティブ(Literacy Initiative for Empowerment:LIFE)会議にて新モニタリングシステ

ム(モニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイドライン)が公式

に発表され、全国研修を通じて全県識字局/郡識字局(Provincial Literacy Center:PLC/ District

Literacy Center:DLC)に順次配布されている。配布部数はモニタリングマニュアル、識字デー

タ収集ガイドラインが 1,600 部(ダリ語 900 部、パシュトゥ語 700 部)、学習達成度評価ツー

ルが 4,700部(ダリ語 2,700部、パシュトゥ語 2,000部)に達した。

指標 1-2:PLC によりプロジェクト期間中に少なくとも 2回の研修が DLC 対象に行われ、各回

全モニターの 60%が研修に参加する。

達成状況:ほぼ達成済み

これまでに実施した全国研修の実績は表-1に示すとおりである。第 3回研修の実施は、治

安の悪化に当初計画より遅延しているが、2015 年 9 月下旬までに完了する見込みである。予

定どおりモニターが参加すれば、参加率は目標値に達する見込みである。

表-1 全国研修への参加率

第 1回

(2012年)

第 2回

(2013~2014年) 第 3回

(2015年)

対象モニター数 880 476 386

参加モニター数 670 409 実施中

参加率(%) 76.1% 85.9%

出所:プロジェクト提供資料

成果 2:識字コース修了後の学習者の学習達成度を測る方策が開発される。

成果 2の達成状況:達成済み

指標 2-1:プロジェクト終了時までに識字局によって学習達成度評価ツールが承認される。

達成状況:達成済み

アセスメントテクニカル・ワーキング・グループ(Technical Working Group:TWG)により

学習達成度評価ツールが開発された。第 1 回終了時評価時点では、ダリ語の学習達成度評価

ツールは 2013年 11 月に教育省の前副大臣から正式な承認を取り付けていたが、パシュトゥ語

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版が未承認であったため、早急な承認取り付けが提言されていた。その後、2014 年 2 月に識

字局により正式に承認され、2015年 LIFE 会合における正式発表、全国研修の参加者を通じて

配布されている。

成果 3:報告及び情報共有に係る方策が開発・実施される。

成果 3の達成状況:いったんは達成が確認されたが、再強化が必要

指標 3-1:少なくとも 65%の PLC が県内全郡の全識字教室のデータを四半期ごとに識字局に報

告する。

達成状況:第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

下表に示すとおり、プロジェクト開始前の 2010年時点では、全 35PLC のうち 2PLC(5.7%)

のみが四半期ごとに識字局に報告をしていた。PLC/DLC 職員の努力の結果、2011 年には提出

率が 51.4%(18/35PLC)に、2012 年には 82.9%(29/35PLC)にまで改善した。そのため、第

1 回終了時評価では、2012年度の達成状況に基づき、当該指標は達成されたと判断された。

しかしながら、第 2 回終了時評価において、その後の PLC による識字局へのデータ報告状

況を確認したところ、四半期すべて提出した PLC の数が減少していることが確認された。そ

の要因として、データについて、前回提出時から変更がない場合、データシートを提出しない

PLC があったことが挙げられる。また、2013 年度は、途中からノンフォーマル教育管理情報

システム(Non-Formal Education-Management Information System:NFE-MIS)用に新たに

Registration form(データ収集ガイドラインにあり)が加わり、この formの提出が「コースの

最初と最後」であるため、もともと四半期ごとのデータ収集にも適用された可能性が考えられ

る。実際に年 4 回のうち、第 1 四半期と第 4 四半期に提出した PLC は 26(74.3%)となって

いる。2014 年は、識字局が PLC に対してデータの提出を働きかけ、また不在であった識字局

計画統計部の担当が着任した結果、2013 年より提出率が改善した。今後、識字局が継続的に

提出を促進し、更新する情報がなくともデータシートを提出することを徹底することで、四半

期すべてにおいて提出する PLC の増加が望まれる。

表-2 PLCによる四半期ごとの識字教室データ報告率

プロジェクト開始前 プロジェクト実施中

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

PLC 数 35 35 35 35 35

提出 PLC 数 2 18 29 9 16

提出率(%) 5.7% 51.4% 82.9% 25.7% 45.7%

出所:プロジェクト提供資料

指標 3-2:85%の DLC が全識字教室のデータを四半期ごとに PLC に報告する。

達成状況:第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

プロジェクト開始前の 2010年時点では、識字局は DLC からデータを回収していなかった。

PLC/DLC 職員の努力の結果、2011年には DLC から PLC への提出率は 64.8%(267/412DLC)、

2012 年には 90.9%(351/386DLC)にまで改善した。そのため、第 1 回終了時評価では、2012

年度のデータに基づき、当該指標は達成済みと判断された。

しかしながら、第 2回終了時評価において、その後の DLC から PLC へのデータ報告状況を

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v

確認したところ、四半期すべて提出した DLC の数は減少していることが確認された。2014年

は、識字局によるデータ提出促進の強化、識字局に担当者が配置されたことにより、報告率が

改善されているため、引き続き、定期的なデータ報告を促し続けることで、四半期すべてにお

いて提出する DLC の増加が望まれる。

表-3 DLCによる四半期ごとの識字教室データ報告率

プロジェクト開始前

プロジェクト実施中

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

DLC 数 n.a. 412 386 416 416

提出 DLC数 0 267 351 157 274

提出率(%) 0% 64.8% 90.9% 37.7% 65.9%

出所:プロジェクト提供資料

指標 3-3:プロジェクト期間中に少なくとも 2 回、識字活動に関する分析と提言を含む年次状

況報告書が作成され、発行される。

達成状況:第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

状況報告書 TWGが「識字年次状況報告書」を 2010年、2011年に 2回発行した。そのため、

第 1回終了時評価において、当該指標は達成済みと判断された。しかしながら、第 2回終了時

評価時に現況を確認したところ、2012 年、2013 年度版は発行されたものの、識字局副大臣の

交代時に、副大臣の意向により、報告書の調査項目(報告内容)が変更され、当初プロジェク

トがめざしていた識字教育参加者の推移、「モニタリング・アセスメント・技術支援」の 3 項

目のインプット後の変化等は収集されていない。プロジェクトは、NFE-MIS のフォーマット

内に、LEAF2 の活動内容に関連した項目を追加するよう識字局に働きかけ、採用された。こ

れにより、今後は NFE-MIS のデータからも、LEAF2 の活動成果を確認することが期待される。

またプロジェクトの残りの期間で、識字局のデータ収集・入力・分析に係る業務を強化してい

く予定である。

成果 4:技術支援の方策が開発される。

達成状況:達成済み

指標 4-1:少なくとも三つの技術支援ツールがパイロット地域で試行される。

達成状況:達成済みかつ進行中

技術支援ツール TWGによって第 1回終了時評価時点までに七つの技術支援ツールが開発・

試行された。その後、一つの技術支援ツールが開発・試行され、第 2回終了時評価時点で合計

八つの技術支援ツールが開発・試行された。加えて、学習者中心の識字教育概要、識字教育指

導法、識字教育におけるさまざまな問題点に関する Q&Aセッションを含む技術支援マニュア

ルが 2015年 9月末に完成見込みである。

指標 4-2:少なくとも二つの技術支援の方策がモニタリングマニュアルに含まれる。

達成状況:達成済み

上記八つの技術支援ツールのうち、カブールで開発されたレッスンプラン教本が一つ目の技

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vi

術支援の方策としてモニタリングマニュアルの 5章に掲載されていることが第 1回終了時評価

で確認された。その後、教授法ガイドラインの内容を包含する研修アジェンダとセッションプ

ランが二つ目の方策として最終版のモニタリングマニュアルに掲載された。

(2)プロジェクト目標の達成状況

プロジェクト目標:識字教育の質向上のため、識字行政機関によるモニタリング・技術支援の能

力が強化される。

プロジェクト目標の達成状況:モニタリングマニュアルの活用やパイロット地域における

PLC/DLC によるファシリテーターへの支援に関して一定の効果が認められるものの、識字年次

状況報告書として識字活動を体系的にまとめる能力に関しては十分に能力が向上するまでに至

っていない。

指標 1:PLC/DLC 及び関係者によるモニタリングマニュアル活用が増える。

達成状況:全国規模でマニュアル活用の機会は増加している

第 1 回終了時評価では、「パイロット地域では達成済みであるが、全国レベルでは未確認」

という評価結果であったが、第 2回全国研修時の聞き取り調査の結果、回答した PLC/DLC 職

員 777名のうち、回答者の 96.6%(751名)がモニタリングマニュアルを活用していることが

確認された。また他のステークホルダーの活用状況について、第 1回終了時評価では、識字教

育分野で活動を行っている国連教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and

Cultural Organization:UNESCO)、アフガン成人教育協会(Afghan National Association for Adult

Education:ANAFAE)、日本ユネスコ協会連盟(National Federation of UNESCO Associations in

Japan:NFUAJ)に配布されていることが確認されている。さらに、第 2 回終了時評価時点で

実施中の第 3回全国研修においては、プロジェクトで開発した成果品をアフガニスタンで識字

教育を実施する団体に広めるべく、他のステークホルダー職員も PLC/DLC 職員の活動に一緒

に巻き込むなど、プロジェクトはマニュアルが全国で広く活用される手立てを講じてきてい

る。上記の結果やステークホルダーの質問票回答から、全国規模でもマニュアルの活用は増加

したと判断される。

指標 2:技術支援に対するファシリテーターの満足度が改善される。(技術支援の数の増加等)

達成状況:パイロット地域では一定の改善がみられるが、パイロット地域以外の地域は未確認

エンドライン調査(2013 年)の結果によれば、技術支援に対するファシリテーターの満足度

はベースライン調査時に 70.3%であったのに対し、エンドライン調査時では 64.3%と低下した。

その要因としては、バルフ県で満足度が 90.0%から 47.0%へ低下したことが挙げられる。他方、

ナンガルハル県では、満足度が 47.0%から 85.0%へ改善されており、ナンガルハル県では、DLC

職員からファシリテーターへの技術支援が効果的に実施されていることが確認された。

第 2 回終了時評価においてバルフ県を含むパイロット地域のファシリテーターに質問紙調

査を行ったところ、3年前と過去 1年を比較して、PLC/DLC による技術支援は大きく改善して

いることが確認できた。今後より広い地域を対象に、継続した調査を実施し、成果・プロジェ

クト目標・上位目標のつながりが把握できると考える。

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指標 3:状況報告書に対する関係者の周知が 70%となり、満足度が 5段階中少なくとも 3.0に

なる。

達成状況:一定の進展がみられていたが、全国レベルの状況については確認できなかった

エンドライン調査(2013年)によると識字年次状況報告書に対する関係者の周知度は 82.4%

であり、ベースライン調査時の 23.3%から大幅に上昇している。また、エンドライン調査の結

果では、関係者の満足度は 84.9%であった。そのため、第 1回終了時評価では当該指標は達成

されたと判断された。その後、同様の調査は実施されていない。今後、より広い地域を対象に、

継続した調査を実施し、成果・プロジェクト目標・上位目標のつながりが把握できると考える。

(3)上位目標の達成状況

上位目標:アフガニスタン国における識字教育の運営と質が改善される。

上位目標の達成状況:一定の改善は見込めるものの、プロジェクトの成果による貢献をより正確

に測るためには、指標の見直しが必要

指標 1:修了率が改善される。〔参考 国家教育戦略計画(National Education Strategic Plan:

NESP):少なくとも 70%の学習者が識字教室を修了する〕

達成状況:プロジェクト開始時から進展はみられる。

第 2回終了時評価においては、評価時点までの実績を基に、今後の見込みを予測する方針で

あったが、表-4の受講者数及び修了者数は、どちらも「当該年次に受講を始めた人(=登録

をした人)」と「その年次に修了をした人」の数であり、現時点では正式な修了率を示してい

ない(注 1)。

修了率が正確性を欠くものの、2013 年度まで修了率は増加しており、一定の進展がみられ

た。しかしながら、2014 年度の修了率は低減しており、変動がみられる。未修了者が多い理

由を分析するため、4年次の活動として識字ニーズ調査が試行的に実施されている。修了率の

改善には、ファシリテーターの能力強化、ファシリテーターの能力強化を行う人材の育成、カ

リキュラムの改訂等、プロジェクトがカバーしていない要素が密接にかかわってくる。今後、

識字ニーズ調査結果から問題を明らかにし、解決のための活動策を打ち出していくことが求め

られる。

注 1:現在識字教室は年 2 回(3 月開始 11 月終了、9 月開始翌年 5 月終了)、各 9 カ月間実施されており、前

年次に登録した人が翌年次の修了者としてカウントされているケースがあるため正式な修了率とはい

えない。

表-4 年度別にみた識字教室の修了率

年 度 2010 2011 2012 2013 2014

受講者数 611,461 574,433 590,215 567,913 537,439

修了者数 169,025 227,539 252,317 310,919 238,455

修了率(%) 27.64% 39.61% 42.75% 54.75% 44.37%

出所:プロジェクト提供資料

指標 2:学習者の学習達成度が改善される。

達成状況:実績に関する情報がないため、見込むことは困難

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識字局には現時点では、学習達成度を集計するシステムはなく、第 1 回終了時評価、第 2回

終了時評価ともに当該指標の実績を確認できなかった。現在、プロジェクトでは、UNESCO

識字能力強化計画 3(Program for Enhancement of Literacy in Afghanistan 3:ELA3)が主催する

識字教室のうち 6 県 24 教室にて識字局が中心となってプロジェクトが開発した第 3 アセスメ

ント(9カ月のコース終了時の最終アセスメント)を実施し、その結果を集計する流れを経験

することで、今後、自分たちで同指標のベースラインを取れるような支援を行っている。

NFE-MIS が稼働し、データ収集フォームの情報の収集が可能になった場合には、全 3 回の

アセスメントの点数及びその点数より付与される学習者達成度のグレード〔第 1~第 4(第 4

は再履修者となり、修了者とはみなされない)〕の集計が可能となる。当該指標に関するデー

タが今後 NFE-MIS のデータベース上で管理できる見込みはあるものの、人員配置まで含めた

稼働体制の整備を含めると、具体的な稼働時期のめどはたっていない。

3-2 評価結果の要約

(1)妥当性(高い)

本プロジェクトは教育省が重視している識字教育マネジメント能力の向上をめざしており、プ

ロジェクト目標、上位目標ともに、アフガニスタン政府の開発政策並びに教育政策、日本の援助

方針、アフガニスタン社会のニーズと合致している。さらに、プロジェクトの手段は、戦略の適

切性、ターゲットグループの選定の適切性、ターゲットグループ以外への波及性の観点から、適

切であった。以上より、妥当性は高いといえる。

(2)有効性(やや高い)

モニタリングマニュアルの活用やファシリテーターの技術支援の改善はみられるものの、総合

的に判断してデータ管理(識字年次報告書)に関する達成度は限定的であるため、やや高いとい

える。

(3)効率性(やや高い)

本プロジェクトは、治安状況の悪化のみならず、識字局と UNESCO によって構築される計画

であった NFE-MIS が計画どおりに稼働していない点をはじめ、いくつかの外部要因の影響を受

けつつも、特に有能なナショナルスタッフの配置などにより、限られた投入は有効に成果産出に

結びついていると考えられる。他方、報告書や情報共有に関する成果の達成度がプロジェクト期

間全体を通してみると限定的であり、総体的にプロジェクトの効率性はやや高いといえる。

(4)インパクト(期待させる兆候はある)

今後もプロジェクトの実施により正のインパクトが期待され、上位目標であるアフガニスタン

の識字教育の運営と質の改善に関して一定の改善は見込める。パイロット地域ではファシリテー

ターによる識字コースの運営改善や読み書きの能力が向上したことにより、他者のための書類の

記入ができるようになる、子どもを買い物に行かせる際にメモを作成できるようになるなど学習

者の生活面における正の変化も確認された。

上位目標の達成見込みに関しては、指標の一つである、修了率の改善は、プロジェクト開始以

来、一定の改善はみられるものの一貫して増加しているわけではない。現在、プロジェクトでは、

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ix

未修了の理由等の調査を実施中である。修了率の増加はこの調査結果を参照しつつ、見込むこと

が望ましい。また、二つ目の指標である、学習達成度の改善に関しては、集計システムが存在し

ないため、実績から見込むことが難しい。さらに修了率の改善並びに学習達成度の改善は、全国

規模でファシリテーターの能力強化やそのための人材育成、カリキュラム改訂等が必要とされる

なか、アフガニスタンに対するドナーの支援が縮小傾向にあり、これらの今後の投入は現時点で

は見通すことができない。

(5)持続性(中程度)

プロジェクト効果の持続性は政策・制度面、組織・体制面においては高いと判断されるものの、

財政面で厳しい状況が見込まれ、技術面においても課題が残るため、全体としては中程度といえ

る。識字局の予算は年度によって高低差が激しく、他ドナーの支援は縮小傾向にあるため、財源

が継続的に確保されているとはいえない。また、技術面については、TWG がモニタリングマニ

ュアルや学習達成度評価ツールの作成を協働で行い、各研修で講師を務め、エンドライン、ニー

ズアセスメント調査等も一緒に行っていることから、識字局職員の技術・知識は十分に習得され

たものの、LIFE ミーティングの開催回数の不十分さ、PLC/DLC によるモニタリングデータの報

告率の低下、識字年次状況報告書に集約されるデータ管理など、今後、継続的な強化が必要な課

題も散見されているため中程度と判断した。

3-3 効果発現に貢献した要因

前フェーズにて構築されたカウンターパート、日本人専門家、ナショナルスタッフの良好な関係

は本プロジェクトでも維持された。TWGのメンバーとパイロット地域のPLC職員の志気が高く、

プロジェクト活動にも積極的にかかわった。

ナショナルスタッフが日本人専門家とカウンターパートの仲介役として有効的に業務を行った。

彼ら/彼女らが識字局職員と団結してプロジェクト活動に真摯に取り組んだおかげで、日本人専

門家が不在でも、プロジェクトを中断することなく円滑に現場活動を実施することができた。

3-4 問題点及び問題を惹起した要因

プロジェクト開始直後にアフガニスタンの治安状況が悪化し、日本人専門家を現地に派遣でき

ず、プロジェクトの実施体制を幾度も変更しなくてはならなかった。

2013 年 8 月からの本格的な第三国における業務の開始以降、識字局職員がアフガニスタン国外

で活動を行うことについて、識字局からの十分な理解が得られず、計画どおりにカウンターパー

トの派遣が実施できなかった。識字局は第三国における活動よりも、日本人専門家のアフガニス

タン国内での活動を強く望んでおり、日本人専門家が現地渡航できない状況について十分な理解

を得られていないことは、第三国における活動の効率性を妨げたと考えられる。

3-5 結 論

本プロジェクトは、識字局、PLC/DLC 職員の能力向上に資するモニタリングマニュアル、モニ

タリング研修マニュアル、学習達成度評価ツール、識字年次状況報告書やさまざまな技術支援ツー

ルといった標準的な教材を開発することで識字教育マネジメントを強化してきた。

アフガニスタンの治安悪化はプロジェクト実施に多大な影響を与えたが、厳しい環境下でも、カ

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x

ウンターパート、日本人専門家、ナショナルスタッフが信頼関係を築き、チーム一丸となってプロ

ジェクト目標の達成に向けて尽力した。プロジェクトの大きな成果であるモニタリングマニュアル

は、政策文書にもその活用が明記されていることから、PLC/DLC 職員のみならず、UNESCO

(ELA3)、ANAFAE、NFUAJ 等の他ドナー・NGO等にも活用されている。他方、データ管理並び

に体系的な識字年次状況報告書の作成に関しては、報告すべきデータ内容が定まらないことや、技

術移転の対象となる NFE-MIS 担当職員が不在であるため、NFE-MIS の稼働に至っていない。デー

タ管理は上位目標である識字教育の運営と質の改善に向けて重要な要素の一つであり、今後、プロ

ジェクトの投入を注力することが求められる。

3-6 提 言

以下に記載する活動の実施に係りプロジェクト期間を 2年間延長することを提言する。

(1)識字教室未修了の原因に関する分析

上位目標に関係する識字教室未修了率について、未修了者が多い要因を特定し、必要な対応を

講じる必要がある。

(2)識字啓発活動の推進

アフガニスタンの社会文化的背景から、識字教育を必要とする人々(非識字者及び村落地域)

へ、啓発を促進していくことは重要である。テレビやイベントなど複数の方法で啓発活動を行う

ことを提言する。

(3)モニタリングシステムの再強化

効果的なモニタリングのために以下の点について強化をすべきである。

識字局の、PLC/DLC からの報告を含むモニタリング結果を分析する能力を強化し、分析結果

を識字プログラムやファシリテータートレーニング、NFE-MIS システムの開発などに反映で

きるようにする。

現場レベルの効果的なモニタリングの実施のため、コミュニティを巻き込んだモニタリング活

動を拡大させる。

プロジェクトで作成したフォーマットに基づいて収集したアセスメントデータを NFE-MIS へ

導入することは重要であり、NFE-MIS の稼働に対する技術的な支援をすべきである。

(4)学習者向け学習教材の開発及び配布方法の開発の試行的実施

識字プログラムを、学習者に対しより効果的なものとするために、学習教材及びその配布方法

(例:携帯電話を通じた遠隔学習などの柔軟な方法)の開発を、試行的かつ小規模(例:カブー

ル近郊の一地区)に実施することを検討する。

(5)ファシリテーター養成プログラムやファシリテータートレーニングを実施するマスタート

レーナーの育成について強化する

持続可能な方法でファシリテーターの能力を強化するために、ファシリテーターを継続支援す

る仕組みが重要である。ファシリテーターの指導能力向上のためのプログラムを開発し、それを

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xi

指導するマスタートレーナーに向けた研修をパイロット地区で行うことを提言する。

(6)第三国研修の実施

先進的な識字サービスの提供方法など、他の国がもつ識字教育の経験を学ぶことはとても有効

である。そのため他国における研修を通じた学びあいの実施を奨励する。

3-7 教 訓

(1)ナショナルスタッフの意識的な育成

治安悪化による日本人専門家の渡航制限を受けつつも活動を継続できたのは、ナショナルスタ

ッフの活躍によるものである。治安が不安定な国においては、日本人専門家が渡航できなくなる

場合を想定し、ナショナルスタッフをプロジェクト開始時から育成し、意思決定に際しても、カ

ウンターパートのみならずナショナルスタッフを意識的に巻き込んでおくことで、リーダーとな

り得るスタッフを確保することが可能となり、実施機関と日本人専門家の意思疎通を維持するこ

とが可能となる。

(2)プロジェクト期間変更時の PDMの変更

本プロジェクトは治安悪化を受けて 2 度にわたって延長し、最終的にはプロジェクト期間は

2016年 1月までの 5年 10カ月となっている。プロジェクト期間の延長に伴い、プロジェクト期

間内に達成されるべき成果やプロジェクト目標の指標を修正する必要がないか、延長時にプロジ

ェクト・デザイン・マトリックス(Project Design Matrix:PDM)の見直しがなされることが望ま

しい。

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Summary of 2nd Evaluation Results

1. Outline of Project

Country: Islamic Republic of Afghanistan Project Title: Project on Improvement of Literacy

Education Management in Afghanistan (LEAF 2)

Issue/ Sector: Basic Education Cooperation Scheme: Technical Cooperation

Project

Division in Charge: Human Development

Department

Total Cost: 990 million yen (as of Terminal

evaluation)

Period of

Cooperation

April 26, 2010 – January 31, 2016

(5 years 10 months)

※According to this evaluation

results, the project period was

extended by January 2018

Partner Country’s Implementation

Organization: Ministry of Education, Literacy

Department

Cooperation Organization (Japanese side): nil

1-1 Background of the Project

The adult literacy rate of Afghanistan is estimated as low as 34% with a huge gap between male (50%) and

female (18%). Such a gap can be observed between rural and urban areas. To address this inequity, a number

of projects/programs on literacy education have been implemented by the Literacy Department (LD) of the

Ministry of Education (MoE), development partners, Non-Governmental Organizations (NGO), and other

stakeholders. Currently, the Literacy Initiative for Empowerment (LIFE) has been led by LD and the United

Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO) to orchestrate the activities among all

the organizations working on literacy education for the achievement of the national goal mentioned in the

National Education Strategic Plan (NESP). In 2011, a total of 574,433 learners (278,801 males and 295,632

females) were taught by 15,450 facilitators (7,663males and 7,787females) in 22,660 courses run by various

stakeholders around the nation.

The Project on Support for Expansion and Improvement of Literacy Education in Afghanistan (LEAF1) was

implemented from March 2006 to July 2008 under the cooperation between LD and the Japan International

Cooperation Agency (JICA). Through the LEAF 1, knowledge and management skills of LD on data,

literacy courses, relevant materials, and training for supervisors (currently called as “monitors”) were

enhanced. Also, 10,347 learners received literacy education provided by LEAF1 in Kabul, Balkh and

Bamiyan Provinces. LEAF1 was evaluated that it achieved its Project Purpose with positive outcomes but

had weaknesses in its sustainability. Therefore, continuous support was necessary to strengthen LD’s

capacity of literacy education management.

The Government of Afghanistan (GOA) then requested technical cooperation for the Government of Japan

(GOJ) on capacity development of supervisors who play a central role in implementing literacy courses. In

response to the request, the Project on Improvement of Literacy Education Management in Afghanistan

Phase 2 (LEAF2, hereinafter referred to as “the Project”) was designed, and the Record of Discussions (R/D)

was signed on February 18, 2010 accordingly.

The Project was originally planned from April 2010 to March 2014. Due to external factors such as security

deterioration, the activities of the Project were not completed by the end of the initial project period. The

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duration of the Project was extended twice to January 2016 based on the the first terminal evaluation in

January 2014 and the series of discussion between the Afghanistan side and JICA. As the Project will be

completed in January 2016, the Terminal Evaluation Study has been conducted.

1-2 Project Overview

(1) Overall Goal

Management and quality of literacy education in Afghanistan will be improved.

(2) Project Purpose

Monitoring and technical support capacity of literacy administration is enhanced for quality improvement of

literacy education.

(3) Outputs

Output 1 Framework of monitoring and technical support covering all literacy courses is developed

Output 2 Measures for assessing learning achievement of learners after completion of course are

developed.

Output 3 Measures for reporting and information sharing are developed and implemented.

Output 4 Measures for technical support are developed.

(4) Inputs (As of the second Terminal Evaluation)

【Japanese Side】

・ Personnel : A total of 20 Japanese experts in 10 areas 166.23 166.23MM (66.56MM in Afghanistan,

35.88 MM in third country, 63.80MM in Japan)

・ Equipment: Computers, printer, projector, copy machine, video camera, air conditioner and generator

・ Local cost: Cost of training, material production and pilot activities. Contract for implementation of the

nationwide training

・ Training in Japan : Training on audio-visual technique in 2015

・ Training in Third Country: A total of three trainings in Bangladesh in 2011, India in 2012 and Pakistan

in 2014

【Afghanistan Side】

・ Personnel: A total of 59 officials were assigned as main C/P personnel of the Project.

・ Local cost: Office space in Kabul and Balkh and all utility charges.

2. Evaluation Team

Role in the Team Name Position/ Organization

Team Leader Mr. Shinichi Ishihara Team Leader, Basic Education Group ,

Human Development Department, JICA HQ

Education Planning Mr. Junpei Yoshida Human Development Department, JICA HQ

Evaluation and Analysis Ms. Maki Hamaoka Consultant/ FASID

Period of Evaluation July, 2015 to November, 2015 Type of Evaluation: Terminal Evaluation

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3. Results of Evaluation

3-1 Achievement of Outputs

3-1-1 Output 1: Framework of monitoring and technical support covering all literacy courses is

developed

Achievement Status: In progress (almost achieved)

Indicator 1-1: Monitoring manual is developed with the consensus of stakeholders.

Achievement Status : Achieved

The Project developed Monitoring Manual, Assessment Tools and Guidelines (hereinafter called “ATG”),

Data Collection Guideline (hereinafter called “DCG”), Monitoring Training Manual, and technical support

tools (including Teaching Method Manual) in 2012. The Project tested these manuals and guidelines in pilot

areas and revised them reflecting feedback verified in the nationwide monitoring training (hereinafter called

“nationwide training) and discussion with relevant organizations.

At the time of the first terminal evaluation, the Monitoring Manual was not finalized. It was recommended

to the Project that the Manual should be finalized and approved by LD as early as possible so that new

monitoring system developed by the Project is used extensively in real setting without delay.

Afterwards, having been approved by LD in February 2014, new monitoring system (three manual and

guidelines) developed by LEAF2 was officially announced in LIFE meeting in May 18, 2014. The manuals

and guideline have been distributed to all PLC and DLC through the nationwide training. The number of

distribution is as follows; 1) Monitoring Manual and ATG are 1600 copies (900 copies in Dari version and

700 copies in Pashto version) and 2) Assessment Tools are 4700 copies (2700 copies in Dari version and

2000 copies in Pashto version).

Indicator 1-2: Trainings for DLCs are conducted by PLC trainers at least twice during the project period

with 60% of DLC monitors in attendance.

Achievement Status: Almost achieved

The attendance rate of the nationwide training implemented so far is shown in the Table 1. Although the

third round of the nationwide training which is being implemented in the 4th year delayed due to the

deterioration of security, it is expected to be completed by the end of September 2015. If the targeted

monitors attend the training as planned, the attendance rate is expected to achieve the target value.

Table 1 : Attendance rate of the nationwide training

First round

(2012)

Second round

(2013-2014)

Third round

(2015)

Number of target monitors 880 476 386

Number of monitors who attended 670 409 In progress

Attendance rate (%) 76.1 85.9

Source: Documents provided by the Project

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3-1-2 Measures for assessing learning achievement of learners after completion of course are

developed.

Achievement Status: Achieved

Indicator 2-1: Assessment tools are approved by LD by the end of the project.

Achievement Status: Achieved.

The Assessment Tools and Guidelines (ATG) were developed by the Assessment TWG. The tools consist of

Pre-assessment (before starting a literacy class), the First Assessment (Level One: after three months of

learning basic literacy), the Second Assessment (Level Two and Three: after six months), and the Third

Assessment (after nine months: at the completion of post-literacy courses). The Dari version of ATG was

approved by the former Deputy Minister of MoE in November 2013. Since the Pashto version was not

approved at the time of the first terminal evaluation, it was recommended to the Project to make the Pashto

version approved as early as possible. The Pashto version was officially approved by the LD in February

2014, officially announced in LIFE meeting in May 2015. The ATG is being distributed through the third

round of nationwide training.

3-1-3 Output 3: Measures for reporting and information sharing are developed and implemented.

Achievement Status: Once achieved, however, needs to be re-strengthened.

Indicator 3-1: At least 65% of PLCs report data on all literacy courses of all districts to LD quarterly.

Achievement Status: The first terminal evaluation team judged this indicator as achieved; however, it needs

to be re-strengthened.

In 2010, before the commencement of the Project, only 2 out of 35PLCs (5.7%) submitted data on all

literacy courses of all districts to LD quarterly. The submission rate improved from 51.4% (18 out of

35PLCs) in 2011 to 82.9% (29 out of 35PLCs) in 2012. Significant improvement in reporting was made

through the efforts of officers at PLCs/DLCs. Based on achievement in 2012, the first terminal evaluation

judged this indicator as achieved.

However, the second terminal evaluation found that the number of PLC who submitted data on literacy

courses in all four quarters decreased (See Table 3). The following are main reasons for the decrease in data

submission; (1) Some of PLCs does not submit the data if there is not updated information since the previous

submission1, (2) In the course of the fiscal year 2013, registration form which was included in Data

Collection Guideline was newly added for NFE-MIS. Since this registration form is to be submitted at the

beginning and end of the literacy courses, it is assumed that this frequency is applied to data submission

which was expected to be quarterly initially2. In fact, among four times per year, the number of PLCs

submitting data in the first and the fourth quarter reach 26 (74 % ). In 2014, the submission rate much

1 Source : Questionnaire survey 2 In general, literacy courses starts in March or September in Afghanistan. The period of literacy course is nine months in total, composed of

Basic Literacy Course (six months) and Post Literacy Course (three months). The registration form is submitted at the commencement of the

course and the closing of the course.

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improved compared to the previous year for the reasons; 1) LD emphasized on all PLC to send their reports

on time and completely; 2) it follows up to receive the report and 3) the planning and statistical officer

position wasn't recruited in 2013 but was assigned in 2014. It is desirable for LD to promote submission

continuously in order to increase the number of PLCs which submit the data in all four quarters, insisting

data submission even though information is same as the previous submission.

Table 2 : Quarterly data submission rate on literacy courses by PLC

Before the Project

commencement Project implementation period

2010 2011 2012 2013 2014

Number of PLC 35 35 35 35 35

Number of PLC which

submit the data 2 18 29 9 16

Submission rate (%) 5.7 51.4 82.9 25.7 45.7

Source: Documents provided by the Project

Indicator 3-2: 85% of DLCs report data on all literacy courses to PLCs quarterly.

Achievement Status: The first terminal evaluation team judged this indicator as achieved; however, it needs

to be re-strengthened.

In 2010, before the commencement of the Project, LD was not collecting data from DLC. In 2011, the

submission rate of all literacy courses from DLCs to PLCs was 64.8% (267 out of 412 DLCs). In 2012, it

reached 90.9% (351 out of 386 DLCs) through the efforts of officers at PLCs/DLCs. Based on achievement

in 2012, the first terminal evaluation judged this indicator as achieved. Since then, the Project focused

project inputs on activities which were relatively delayed.

However, the second terminal evaluation team found that the number of DLC who submitted data on literacy

courses to PLC in all four quarters also decreased. The reasons for the decrease in the data submission are

assumed as same as those for the decrease in the data submission from PLC to LD. In 2014, the submission

rate improved compared to the previous year for the reasons 1) LD emphasized on all DLC to send their

reports on time and completely; 2) it follows up to receive the report and 3) the planning and statistical

officer position wasn't recruited in 2013 but was assigned in 2014. It is desirable for LD to promote

submission continuously in order to increase the number of DLCs which submit the data in all four quarters,

insisting data submission even though information is same as the previous submission.

Table 3: Quarterly data submission rate on literacy courses by DLC

Before the

Project

commencement

Project implementation period

2010 2011 2012 2013 2014

Number of DLC n.a. 412 386 416 416

Number of DLC

which submit the data 0 267 351 157 274

Submission rate (%) 0 64.8 90.9 37.7 65.9

Source: Documents provided by the Project

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Indicator 3-3: Annual status reports on literacy activities with analysis and recommendation are developed

and published at least twice during the project period.

Achievement Status: The first terminal evaluation team judged this indicator as achieved; however, it needs

to be re-strengthened.

The annual literacy status report titled “The Statistic Report of Literacy Activities” was developed by the

Status Report TWG in 2010 and 2011. Therefore, the first terminal evaluation judged this indicator was

achieved. However, having verified the current status, the second terminal evaluation found that although the

report was developed in 2012 and 2013, survey item for the report, namely, content of the report was

modified due to the intention of LD each time when new Deputy Minister assigned. Therefore, items which

the Project initially intended such as transition of participants of the literacy training courses, changes

brought by the three project outputs, namely, Monitoring, Learning assessment and Technical Support, have

not been collected. The Project requested LD to include items related to the Project in the format of

NFE-MIS. Since this request was accepted, it is expected to verify outputs of LEAF2 activities through data

of NFE-MIS. The Projet intends to strengthen activities of LD on collection, entry and analysis of data on

literacy education during the remaining project period

3-1-4 Output 4: Measures for technical support are developed.

Achievement Status: Achieved

Indicator 4-1: At least three technical support tools are experimented in the pilot areas.

Achievement Status: Achieved and in progress.

A total of seven technical support tools were developed and experimented by the Technical Support Tools

TWG at the time of the first terminal evaluation. After that, one technical support tools was developed and

experimented. A total of eight technical tools were developed and experimented at the time of the second

terminal evaluation (see Table 5). In addition, the Technical Support Manual on outline of learner centered

literacy education, teaching method on literacy education and Q & A session on various issues on literary

education is expected to be completed by the end of September 2015.

Indicator 4-2: At least two measures of technical support are included in monitoring manual.

Achievement Status: Achieved

Among eight technical support tools mentioned above, the first terminal evaluation verified that the

Guideline for Lesson Plan developed in Kabul was included in Chapter 5 of the Monitoring Manual as first

measures of technical support. Since then, training agenda and session plan which include part of the

Teaching Method Manual was included in the final Monitoring Manual.

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3-1-5 Achievement of the Project Purpose

Project Purpose: Monitoring and technical support capacity of literacy administration is enhanced for

quality improvement of literacy education.

Achievement Status: Effects have been verified in terms of utilization of Monitoring manual and

improvement of technical support by PLC/DLC to facilitators in pilot areas to some extent. However,

capacity to put together activities on literacy education in a systematic manner as annual status report

has not been sufficiently improved.

Indicator1: Utilization of Monitoring manual by PLC/DLC and other stakeholders is increased.

Achievement Status: Utilization of Monitoring manual has been increased nationwide.

The first terminal evaluation evaluated this indicator as “achieved in the Pilot areas, but not confirmed at the

national level”. According to the logic of the PCM method, if the target area of the project is nationwide, it is

desirable to set indicators of the project purpose which indicate nationwide effects. Accordingly, the

achievement of the Project Purpose is evaluated at national level in the second terminal evaluation.

According to the logic of the PCM method, if the target area of the project is nationwide, it is desirable to set

indicators of the project purpose which indicate nationwide effects. Accordingly, the achievement of the

Project Purpose is evaluated at national level in the second terminal evaluation.

With regard to the utilization of the Monitoring Manual, the result of the interview conducted during the

second nationwide training confirmed that 96.6 % (751 PLC/DLC staff of 777 PLC/ DLC) interviewed.

The first terminal evaluation confirmed the Monitoring Manual was distributed to major stakeholders

working in the literacy sector such as UNESCO, ANAFAE and NFUAJ. Major stakeholders are actually

utilizing the various forms in the Monitoring Manual of other stakeholders. Furthermore, the Project is

taking measures to make the Monitoring Manual widely used nationwide, inviting staff of other stakeholders

working on the literacy education in Afghanistan in the third nationwide training which is being

implemented at the time of the second terminal evaluation. The second terminal evaluation judged that the

utilisation of the Monitoring Manual has been increased according to the current status mentioned above and

the result of the questionnaire survey.

Indicator2: Facilitators’ satisfaction with technical support is improved. (ex. Increment of technical supports)

Achievement Status: Improved in Pilot areas to some extent, but not confirmed in other areas.

The average of facilitators’ satisfaction rate in the Pilot areas decreased from 70.3% at the time of the

Baseline Survey to 64.3% at the time of the End-line Survey (2013). It decreased from 90.0% to 47.0% in

Balkh. While experienced facilitators with more than 10 years’ experience were 40% of facilitators

interviewed, many of monitors are relatively young and less experienced as shown in the background of the

respondents; 60% of monitors interviewed had worked for less than three years and 40% of them for three to

five years. Since it is culturally difficult for young monitors to give advice to the elderly in Afghanistan, it

was assumed that technical support from DLC officers to facilitators was not conducted as expected in some

areas of Balkh. On the other hand, the facilitators’ satisfaction increased from 47.0% to 85.0% in Nangarhar.

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xix

The case suggested that technical support from DLC officers to facilitators was properly conducted.

The interview with facilitators in Pilot provinces conducted in the second terminal evaluation showed that

technical support from PLC/DLC officers to facilitators had much improved since last one year compared to

three years before.

Indicator3: 70% of stakeholders are aware of the status report and their satisfaction with the report is more

than 60%.

Achievement Status: In progress to some extent, but status of this indicator has not been confirmed

nationwide.

The End-line Survey revealed that 82.4% of stakeholders are aware of the annual literacy status report as the

status report. It increased from 23.3% at the time of the Baseline Survey. In this regard, the first terminal

evaluation judged that this indicator was achieved. Since then, a similar survey was not conducted.

As stated below, with regard to the awareness of the annual literacy status report, the effects of the relevant

output, which is development and implementation of measures for reporting and information sharing has

been limitedly achieved, since reporting items have been often modified and it takes time to make NFE-MIS

functioning. Due to the modification of the reporting items, continuous data collection on transition of

participants of literacy courses, changes of other three inputs, namely, development of framework of

monitoring and technical support, development of measures for assessing learning achievement and

development of supplementary materials has not been implemented as initially intended. It is more important

to implement reporting and information sharing as expected before discussing awareness and satisfaction of

the annual literacy status report.

In addition, the result of End-line Survey showed only awareness and satisfaction with annual literacy status

report of LD, PLC/DLC of Pilot area, and a part of stakeholders and does not show the project effect

nationwide. It is desirable to conduct a survey to verify awareness and satisfaction on the annual literacy

status report in other areas than Pilot areas to see the causal relationship among the outputs, the project

purpose and the overall goal.

3-1-6 Achievement of Overall Goal

Overall Goal: Management and quality of literacy education in Afghanistan will be improved.

Prospect for Achievement: Improvement is expected to some extent. However, it is necessary to revise

the indicator in order to measure the contribution of the Project effects to the achievement of Overall

Goal.

Indicator1: Completion rates are improved. (NESP: at least 70% of learners complete one round of literacy

training)

Achievement Status: In progress since the commencement of the Project

The completion rates of the literacy training in each year are shown in the Table 4.

Page 24: アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロ …i 第2回終了時評価調査結果要約表 1.案件の概要 国名:アフガニスタン・イスラム共和国

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Table 4 : Completion rates of the literacy training in each year

Year 2010 2011 2012 2013 2014

Participants 611,461 574,433 590,215 567,913 537,439

Those who completed the first

round 169,025 227,539 252,317 310,919 238,455

Completion rate 27.64% 39.61% 42.75% 54.75% 44.37%

Source: Documents provided by the Project

The Overall Goal is considered to be attained in three to five years after completion of the Project. The

second terminal evaluation planned to predict the future prospect based on the result verified at the

evaluation. However, reliable data on completion rates of the literacy training were not verified for the

following reasons; Participants and those who completed the literacy training are both those who started the

training (those who are registered) in the current fiscal year and those who completed the training course in

the same current fiscal year. As a result, the target is different. When NFE-MIS being developed by LD gets

functioning, it is possible to follow if participants who are registered complete the literacy training or not

through database and to calculate more reliable completion rates. With regard to the NFE-MIS, it is difficult

to get a clear view of the timing when NFE-MIS starts, since organizational arrangement including

assignment of the officer in charge of programming under being recruited and assignment of staff to process

huge amount of data after its collection has not been completed.

Although the data on completion rates lack accuracy, it indicates progress up to 2013 from the

commencement of the Project. However, the rate dropped in 2014, which indicate that the completion rates

do not increase constantly. In the Project fourth year, literacy needs survey is being experimented to analyze

reasons why many participant have not completed. Since improvement of completion rates relate closely

with capacity building of facilitators, training of trainers for facilitators’ training, revision of current

curriculum, which are not covered by the Project. It is required to clarify issues related to the completion of

literacy training and to consider actions necessary to solve such issues.

It is better to expect future completion rates based on the result of literacy needs survey first. Then, if the

Project keep the completion rates as indicator of the Overall Goal, it is necessary to consider necessary

inputs to achieve the Overall Goal based on the result of the literacy needs survey. Or, it is recommended to

consider achievable target or to replace the current indicator by another indicator.

Indicator2: Learning achievement of learners is improved.

Achievement Status: Difficult to foresee due to the lack of information on the result

There is no system to aggregate data on learning achievement in LD. Therefore, the current status on this

indicator was not verified both in the first and second terminal evaluations. Currently, the Project is

conducting the third assessment (final assessment at the end of 9 month literacy training) in 24 classes in six

province implemented under UNESCO-ELA3 so that LD will be able to collect data on this indicator

through experience of aggregation of data on the third assessment.

When NFE-MIS starts its operation and information is collected in accordance with data collection form, it

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xxi

is possible to aggregate grades of learners granted according to the score of the all three assessment. The

grades are classed into four grades (Grade 4 means repeater, therefore, it is not considered as one who

complete the literacy course). It is expected to verify data on this indicator on database of NFE-MIS;

however, there seems to be no clear prospect on concrete timing of commencement of NFE-MIS including

staff assignment is not clear as sated above.

3-2 Evaluation Results by Five Perspectives

(1) Relevance (High)

The Project is addressing the issue of strengthening its management capacity that is prioritized by MoE. The

Project Purpose and Overall Goal remain relevant to the development policy and education policies of

Afghanistan and Japan’s ODA policy to Afghanistan and needs of Afghanistan society. The project

approach has been appropriate in terms of appropriateness of project strategy, appropriateness of selection of

the target group and possibility of expansion of project effects to groups other than the target group. In light

of the above, the relevance of the Project is high.

(2) Effectiveness (Moderately High)

Effectiveness of the Project is moderately high. Monitoring Manual developed by the Project has been

widely used nationwide and technical support from PLC/DLC to facilitators has been improved in Pilot

areas. However, development of annual literacy status report in a systematic manner has been limitedly

achieved.

(3) Efficiency (Moderately High)

Efficiency of the Project is moderately high. The Project implementation has been affected by several

external factors such as security deterioration and delay of operation of NFE-MIS which development is

expected to have been completed by LD and UNESCO in earlier stage. Limited inputs have been effectively

used to produce intended outputs, in particular, assignment of competent national staff. However, the

achievement of the output regarding reporting and information sharing has been limited if it is evaluated for

the achievement of the total project period.

(4) Impact (Emerging)

Positive impact is expected to some extent by the implementation of the Project in the future and

improvement of the management and quality of literacy education in Afghanistan, which is the Overall Goal

of the Project. Positive impact was verified such as improvement of literacy courses by facilitators and

improvement of reading and writing ability of learners were verified as positive impacts in the Pilot area.

There is a learner who can now fill the forms for others’ ID card and other things. Another learner sends her

child to market to buy some grocery, writing a list to her child.

With regard to the prospect for the Overall Goal, although the first indicator which is improvement of

completion rates of the 9 month literacy training, completion rates increased to some extent, however, it

does not indicate constant increase. In the Project 4th year, literacy needs survey is being implemented to

identify reasons for non-completion. It is better to foresee what extent the completion rates are expected to

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xxii

increase by referring the result of the needs survey. Furthermore, it is difficult to foresee the prospect for the

achievement of the second indicator which is improvement of learning achievement of learners due to the

lack data aggregation system in LD. In addition, both of improvement of completion rates learning

achievement of learners requires capacity building of facilitators, human resources development for capacity

building of facilitators at the national scale and curriculum revision. However, since assistance of donors for

Afghanistan has been shrinking, it is difficult to predict whether these inputs necessary to achieve the

Overall Goal will be provided.

(5) Sustainability (Moderate)

Sustainability of Project effects is high in terms of policy, institutional and organizational aspects. However,

financial sustainability remains a challenge and there remain issues to be continuously tackled. Overall,

sustainability is moderate. The budgets of LD vary largely depending on years, and besides, other donors’

assistance is shrinking. Therefore, it is impossible to consider that financial resources are continuously

secured. TWG developed Monitoring Manual and Assessment Tools and Guideline in collaboration with

Japanese experts, TWG members participated in the different trainings as trainer and they joined in the

End-line survey and needs assessment survey. Through their active involvement in these activities, TWG

members gained knowledge and skills sufficiently. However, there remains other issues to be improved in

terms of insufficiency of LIFE meetings、decrease in submission rates of monitoring data by PLC and DLC

and limited data management which is closely related with quality literacy annual status report. Technical

sustainability is judged to be moderate as a whole.

3-3 Conclusion

The Project aims to strengthen literacy education management through the use of standardized materials

such as Monitoring Manual, Monitoring Training Manual, ATG, Statistic Reports, and various technical

support tools by enhancing the capacity of LD and PLC/DLC officers. In this process, four TWGs

established under the Project were actively involved in all the stages of developing, piloting, revising

materials and conducting training/workshops.

The security situation affected the implementation of the Project. Despite the difficulties, a strong team spirit

and trust were nurtured among Afghan C/Ps, Japanese experts and national staff to work toward a common

goal, and each and every member implemented his/her task collaboratively and systematically. Monitoring

Manual, one of major products developed by the Project has been widely and effectively used not only by

PLC/DLC officers but also major partners in literacy education such as UNESCO (ELA 3), ANAFAE and

NFUAJ. The policy document on the education sector articulated the utilization of Monitoring Manual,

which supported such nationwide utilization of Manual.

Furthermore, improvement of literacy courses by facilitators and improvement of reading and writing ability

of learners were verified as positive impacts in the Pilot area. There is a learner who can now fill the forms

for others’ ID card and other things. Another learner sends her child to market to buy some grocery, writing a

list to her child.

On the other hand, effect with respect to data management and development of systematic literacy annual

status report has been still limited, since target data for report is not fixed and NFE-MIS has not start its

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xxiii

operation due to absence of officer in charge of NFE-MIS. Data management is one of important factors to

achieve improvement of quality and management of literacy education which is Overall Goal of the Project.

It is desirable to focus project inputs in this area.

Five evaluation perspectives are summarized below.

Perceptive Evaluation Note

Relevance High The Project is consistent with policies and needs of Afghanistan

as well as Japan’s ODA policy for Afghanistan. Project

approach has been appropriate.

Effectiveness Moderately

High

With respect to achievement of Outputs and Project Purpose,

utilization of Monitoring Manual and technical support from

administration to facilitators has much improved. However,

achievement of reporting and information sharing including

development of annual literacy status report has been limited.

Efficiency Moderately

High

Despite of difficulties, the Project produced various materials.

However, the achievement of the output regarding reporting and

information sharing has been limited

Impact Emerging Some positive impacts are expected in the future.

Sustainability Moderate Sustainability from policy, organizational aspects is secured

while financial and technical sustainability seems challenging.

3-4 Recommendations

It is recommended to extend a two year extension of the Project period. Specific recommendations have

been made during the two years extended period as follows:

It should be noted that priority should be given to the following activities.

(1) Analysis of non-completion of literacy training

Among the indicators of the Overall Goal which is improvement of the management and quality of literacy

education in Afghanistan, the first indicator with respect to the completion rates of first round of the literacy

training has not reached 70% which is target value of 2014 in NESP-2.

It is necessary to identify factors affecting large number of non-completion to consider necessary measures

to increase the completion rates.

(2) Public Awareness

It is significant to take measures to increase the understanding of demand side (illiterate and community) on

literacy education in response to socio-cultural situation in Afghanistan. It is recommended that public

awareness be promoted through media and events in a multiple way.

(3) Re-strengthening Monitoring System

The following area should be strengthened for effective monitoring:

- Strengthen LD capacity to analyze the monitoring results including PLCs/DLCs report data, and get

feedback to the contents of the literacy program, capacity building of facilitators, NFE-MIS etc.

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xxiv

- In order to effective monitoring on the ground level, community participation in monitoring

activities should be explored.

- Since integrating the assessment data through the format which is developed by the Project into

NFE-MIS is crucial, the adjustment of NFE-MIS should be technically supported.

(4) Develop learning materials & delivery methods for leaners as a pilot activity

To make the literacy program more attractive for learners, it is recommended that learning materials and

delivery methods (e.g. distance learning through mobile in a flexible way) should be developed as a pilot

activity in a small scale scale (e.g. one district in near Kabul).

(5) Develop capacity building program in teaching skills of facilitators for master trainers & Trainers

of Training of Trainers(TOT) for master trainers

For strengthening the capacity of facilitators in sustainable way, the continuous supporting mechanism for

facilitators is important. It is recommended that the development of capacity building program in teaching

skills of facilitators for master trainers, and TOT for master trainers be implemented in the pilot district.

(6) Mutual Learning

Since learning other countries’ experience of literacy program such as innovative delivery method is very

useful, mutual learning through the study visit is encouraged.

3-5 Lessons Learned

(1) Strategic Human Resource Development with respect to National Staff

The Project owed much competent national staff to continue project activities at national level, while

Japanese experts have not been allowed to travel in Afghanistan due to security deterioration. When

implementing a project in a country where security is not stable such as Afghanistan, it is possible to

decrease influence of absence of Japanese experts if the Project team developed capacity of national staff

strategically and to build trustful relation between Japanese experts and national staff in preparation for a

case that Japanese experts are not allowed to travel due to security deterioration. Also, it is important to

involve national staff together with C/Ps in decision making process intentionally to ensure staff that is able

to play leading role during absence of Japanese experts and to maintain communication between the

implementing agency and Japanese experts.

(2) Revision of PDM in accordance with Extension of Project Period

The project period was initially expected for four years from April 2010 to March 2014. The project period

extended twice since the implementation of project activities delayed due to the security deterioration.

Eventually the project period has become 5 years 10 months up to January 2016. However, it seems that the

indicators stated in the PDM have not been sufficiently monitored for reasons that most of the indicators

achieved according to the initial project period of four years. For instance, it was necessary to monitor

continuously indicators of outputs contributing to the achievement of the Project Purpose and the Overall

Goal, even though they reached once the target value. When the project period is extended, it is desirable to

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xxv

review PDM to see if it is necessary to revise indicators of outputs and project purpose to be achieved in the

extended project period.

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第1章 プロジェクトの概要

1-1 プロジェクトの背景

アフガニスタン・イスラム共和国(以下、「アフガニスタン」と記す)の 15歳以上の識字率は 34%

(男性 50%、女性 18%)(アフガニスタン MDGsレポート 2005)と、世界的にみて低い数値であり、

地方格差も大きな問題となっている。このような背景から、数多くの識字教育プロジェクトが、教育

省識字局、援助機関、NGOや他の関係者によって実施されてきた。現在、「国家教育戦略計画(NESP)」

に述べられている国家目標を達成するため、識字教育に取り組むすべての団体の活動の協調を図る

「エンパワメントのための識字イニシアティブ(LIFE)」が識字局と国連教育科学文化機関(UNESCO)

主導の下、進められている。2011年には、全国で 2 万 2,660のコースがさまざまな実施機関によって

運営され、合計 57万 4,433 名の生徒(男性 27万 8,801 名、女性 29万 5,632名)が 1万 5,450名のフ

ァシリテーター(男性 7,663 名、女性 7,787名)から指導を受けた。

「アフガニスタン識字教育強化プロジェクト(LEAF1)」は JICA と識字局の協力の下、2006 年 3

月から 2008年 7 月まで実施された。このプロジェクトを通じて、識字コースのデータ管理、教材管

理及びスーパーバイザー(現「モニター」)の訓練に係る識字局の知識と技術が強化された。また、

カブール市・カブール県、バルフ県、バーミヤン県において、1万 347名の学習者が識字教育を受講

した。終了時評価では、プロジェクト目標の達成が確認されたが、活動の持続発展性の面で不十分な

点がみられ、識字教育マネジメントの観点から識字局への継続的な支援の必要性が指摘された。

そのため、アフガニスタン政府は日本政府に対し、識字コースの効果的な実施に際し、中核となる

スーパーバイザーの能力強化に焦点を当てたプロジェクトを実施するよう要請した。この要請に基づ

き、JICA は「アフガニスタン識字教育強化プロジェクトフェーズ 2(LEAF2)」を形成し、2010年 2

月 18日に JICA とアフガニスタン政府は合意議事録(R/D)を締結した。

本プロジェクト(LEAF2)では、識字局の行政能力の向上と、識字教室の運営と質を改善すること

を目的とし、①すべての識字教室を網羅するモニタリング及び技術支援の枠組みの開発と普及、②識

字教室終了後の学習者の学習達成度を測る評価ツールの開発、③郡から県、県から中央へのモニタリ

ング結果の報告の仕組みの開発と実施促進、④モニタリング結果に基づく技術支援が中央から県、県

から郡へ届く方策の開発を実施している。識字局をカウンターパート機関として、2010 年 4 月より

2014年 3月までの 3年 11 カ月間の予定で実施されており、短期専門家(識字政策・援助協調、識字

アセスメント、教材開発、識字教室運営、研修管理)により運営されてきた。しかし、現地の治安悪

化に伴い、2013 年 6 月末より日本人技術協力関係者のアフガニスタンへの渡航措置制限が敷かれる

など、プロジェクト活動の進捗遅延の影響があった。特に、モニタリングマニュアルの県レベル、郡

レベルの教育行政官への全国規模の研修実施についてプロジェクト終了期間までの完了が困難であ

ったため、2013 年 12 月~2014 年 1 月に実施した 1 回目の終了時評価の提案に基づき、協力期間を

2015 年 1 月まで延長した。しかし、その後も現地の治安の回復が見込めず、プロジェクト目標達成

のために不可欠な全国研修の実施に遅延が生じていたため 2016年 1月まで協力期間の再延長を行っ

た。現在は第三国(インド)を拠点とし、県・郡の識字局職員に対するモニタリング手法の全国研修

の実施に加え、識字教育の技術支援ツールの開発、今後の効果的な識字教育実施方法を探るための

ニーズ調査などを実施している。

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プロジェクト終了を 2016 年 1月に控え、延長及び再延長期間のプロジェクト活動の実績、成果を

5段階評価するとともに、今後のプロジェクト活動に対する提言及び今後の類似事業の実施にあたっ

て教訓を導く目的で調査を実施した。

1-2 プロジェクトの基本計画

プロジェクトの基本計画は以下のとおり。

プロジェクト名:(和)識字教育強化プロジェクトフェーズ 2

(英)Project on Improvement of Literacy Education Management in Afghanistan (LEAF2)

協力期間:2010年 4月 26 日~2016年 1月 31日

対象地域:全国

パイロット地域:バルフ県、ナンガルハル県

観察地域:バーミヤン県〔プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)記載なし。先方と合意

済み〕

【上位目標】

アフガニスタン国における識字教育の運営と質が改善される。

【プロジェクト目標】

識字教育の質向上のため、識字行政機関によるモニタリング・技術支援の能力が強化される。

【成果】

成果 1 すべての識字コースを網羅するモニタリング及び技術支援の枠組みが開発される。

成果 2 識字コース修了後の学習者の学習達成度を測る方策が開発される。

成果 3 報告及び情報共有に係る方策が開発・実施される。

成果 4 技術支援の方策が開発される。

【活動】

1-1. 識字局においてテクニカル・ワーキング・グループ(TWG)を結成する。

1-2. TWG が識字局/県識字局(PLC)/郡識字局(DLC)のモニタリング及び技術支援における役割

と責任を明確にする。

1-3. TWG が収集すべきデータを明らかにし、調整する。

1-4. TWG がモニタリングマニュアルと研修マニュアルを見直し、改訂する。

1-5. TWG が PLC 及び関係者向けにモニタリング及び技術支援に関する全国的なトレーナーズト

レーニングを行う。

1-6. 各州のトレーナーが DLCに対してモニタリング及び技術支援に関する研修を行う。

1-7. 識字局が関係者とモニタリングマニュアル及びトレーニングマニュアルを共有し、広める。

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2-1. TWG が識字学習者によって達成されるべき中核となる能力(レベル 11)を明らかにする。

2-2. TWG が学習達成度評価ツールを開発する。

2-3. TWG が関係者と学習達成度評価ツールについて協議するワークショップを開催する。

2-4. TWG が学習達成度評価ツール活用のための補助映像教材を作成し、PLC へ配布する。

2-5. TWG が対象地域内で回収した 3回目の学習達成度データの収集及び評価結果の分析を行う。

3-1. TWG が識字教育に関する情報を効果的に集める方法を開発する

3-2. PLC/DLC が改訂されたモニタリングマニュアルに沿ってすべての識字教室を網羅するモニタ

リング結果を識字局に対して報告する。

3-3. 識字局がモニタリング結果を活用した年次状況報告書を作成し、関係者に公表する。

3-4. パイロット地域の PLC が関係者とモニタリング結果を共有するセミナーを開催する。

4-1. パイロット地域の PLC/DLC がモニタリング結果に基づく課題改善策を試行する。

例:コミュニティ動員、NGO との協力、朗読大会

4-2. パイロット地域の PLC/DLC からのフィードバックを踏まえ、モニタリング結果に基づいて識

字コース技術支援ツールを TWGが開発する。

例:学習者のための練習帳、レッスンプラン準備ガイド、学習者向け読み物、スキルトレーニ

ング

4-3. パイロット地域の DLC が PLC の監督下、識字コース技術支援ツールを使ってファシリテー

ターを支援する。

4-4. パイロット地域の PLC/DLC が定期的に関係者と良好事例を共有する会合を開催する。

4-5. TWG が識字局及びパイロット県のマスタートレーナーに対し技術支援研修を実施する。

4-6. TWG と研修を受けたマスタートレーナーが、パイロット地域の DLC を対象とした技術支援研

修を実施する。

4-7. TWG が識字教室の観察結果に基づいて、ファシリテーターのための技術支援ツールを開発す

る。

4-8. TWG がラジオやテレビで識字教育を啓発する番組を制作し放送する。

4-9. TWG が PLC/DLC とともに、コミュニティ内で受け入れられる識字教育を明らかにするため

の識字ニーズ調査を実施する。

1 レベル 1とは、小学校 3年生レベルに相当。

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第2章 第 2回終了時評価の概要

2-1 調査の目的

第 2回終了時評価調査の目的は以下のとおり。

(1)これまでの活動の達成度を把握するとともにプロジェクト目標が、プロジェクトの延長期間

を含めた実施期間終了までに達成されるかを総合的に検証し、協力終了の適否や協力延長の

必要性を示すこと。

(2)プロジェクトの延長期間終了までに達成すべき課題を明確にすること。

(3)評価 5 項目(妥当性、有効性、効率性、インパクト、持続性)を用いてプロジェクトの達成

の度合いを評価すること。

2-2 第 2回終了時評価の概要

2-2-1 調査団の構成

第 2回終了時評価の調査団構成は次のとおりである。

担 当 氏 名 所 属

団長 石原 伸一 JICA人間開発部 基礎教育グループ長

教育計画 吉田 純平 JICA人間開発部 基礎教育第一チーム

評価分析 浜岡 真紀 国際開発機構国際開発研究センター 主任研究員

教育協力

教育協力

山下 契

Najibullah Kohistani

JICAアフガニスタン事務所

JICAアフガニスタン事務所

2-2-2 第 2回終了時評価のスケジュール

本調査は 2015年 7月から 2015年 11月にかけて実施された。

2-2-3 第 2回終了時評価の方法

本評価調査は、新 JICA事業評価ガイドラインに基づき、評価の手法としてプロジェクト・サイ

クル・マネジメント(Project Cycle Management:PCM)の評価手法を採用した。PCM手法を用い

た評価は、①PDM に基づいた計画達成度の把握(投入実績、活動状況、成果の達成度、プロジェ

クト目標の達成見込み)、②評価 5 項目(妥当性、有効性、効率性、インパクト、持続性)の観点

に基づいた収集データの分析、③分析結果からの教訓・提言のまとめの 3点で構成されている。

(1)評価手順

1)資料レビュー、評価グリッドの作成

事前にプロジェクト作成資料等の情報を得て、調査項目及び情報収集方法を検討し、評価

デザインとして評価グリッドを作成した。

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2)質問票の作成・回収

評価分析団員が評価グリッドを基に、カウンターパート、日本人専門家、ステークホルダー、

ファシリテーターに対する質問票を作成した。質問票の翻訳、回答の配布・回収・翻訳は

JICA アフガニスタン事務所、プロジェクト専門家及びナショナルスタッフの協力を経て実

施した。

3)プロジェクト関係者との面談、ヒアリング

本プロジェクトの達成度や成果をとらえるうえで、プロジェクト側からプロジェクト活動

進捗に係る詳細な報告を受けるとともに、質問票調査を補う形で、日本人専門家に対してヒ

アリングを行った。

2-2-4 評価 5項目

JICA のプロジェクト評価において、判断基準として採用されている「評価 5 項目」による評価

の視点は表-1のとおりである。

表-1 評価 5項目

妥当性 プロジェクトのめざしている効果(プロジェクト目標)が、受益者のニーズに合

致しているか、先方と日本側の政策との整合性はあるかなどを問う視点。

有効性 プロジェクトの実施により、本当に受益者もしくは社会への便益がもたらされて

いるか(あるいは、もたらされるのか)を問う視点。

効率性 主にプロジェクトのコストと効果の関係に着目し、資源が有効に活用されている

か(あるいは、されるか)を問う視点。

インパクト プロジェクト実施によりもたらされる、より長期的・間接的効果や波及効果をみ

る視点。予期していなかった正・負の効果・影響を含む。

持続性 プロジェクトが終了しても、プロジェクトで発現した効果が持続されるか、その

見込みを問う視点。

出所:新 JICA事業評価ガイドライン(2010年 6月)

なお、本プロジェクトはこれまでに 2回プロジェクト実施期間を延長しており、延長に伴い PDM

を改訂してきた(PDM Version 2:2014年 1月改訂、PDM Version 3:2015年 1月改訂)。第 2回終了

時評価は PDM Version 3に基づき、プロジェクトの実績と実施プロセスを確認し、前項に述べた評

価 5 項目の観点から第 2 回終了時評価を実施するための枠組み・計画として、評価グリッドを作成

した。評価グリッドでは、終了時評価の目的に沿って、評価設問、判断基準・方法、必要なデータ、

情報源を取りまとめた。評価グリッドに沿ってまとめた評価調査結果を付属資料2.評価グリッド

結果表(和文)に示す。

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第3章 プロジェクトの達成状況

3-1 成果の達成状況

ここでは PDM(Verison 3)の活動を実施することによって生みだされた成果について述べる。

成果 1 すべての識字コースを網羅するモニタリング及び技術支援の枠組みが開発される。

達成状況 進行中(ほぼ達成済み)

指標 1-1 関係者の合意を得たモニタリングマニュアルが開発される。

達成状況 達成済み

プロジェクトは 2012 年にモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイ

ドライン、モニタリング研修マニュアル、技術支援ツール(教授法マニュアルも含む)を開発し、パ

イロット地域での試行や全国モニタリング研修からのフィードバック、関係機関との協議を反映して

改訂作業を行ってきた。

第 1 回終了時評価時点では、同マニュアルは最終化されておらず、LEAF2 で開発した新モニタリ

ングシステムが遅滞なく現場で広く活用されるようにするため、プロジェクトに対する提言にはマニ

ュアルの最終化と早急な識字局の最終承認が含まれた。

その後、2014年 2月に識字局の承認を得て、2014年 5月 18日の LIFE 会議にて新モニタリングシ

ステム(モニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイドライン)を公式発

表した。これらの 3 種のマニュアル・ガイドラインの簡易製本版が全 PLC 及び DLC へ配布され、そ

の後、プロジェクト成果品の使用状況調査結果を基にこれらのマニュアル・ガイドラインに軽微な修

正を加えたのち、製本版が作成された。同製本版は 2014年 8 月以降に継続予定であった全国モニタ

リング研修(以下、「全国研修」)の参加者を通じて全 PLC 及び DLC へ配布をする予定であったが、

研修の実施がプロジェクト第4年次へ延期されたため、第4年次の全国研修時に順次配布されている。

配布部数はモニタリングマニュアル、識字データ収集ガイドラインが 1,600部(ダリ語 900部、パシ

ュトゥ語 700部)、学習達成度評価ツールが 4,700部(ダリ語 2,700部、パシュトゥ語 2,000部)に達

した。

指標 1-2 PLC によりプロジェクト期間中に少なくとも 2回の研修が DLC 対象に行われ、各回

全モニターの 60%が研修に参加する。

達成状況 ほぼ達成済み

これまでに実施した全国研修の実績は表-2に示すとおりである。第 2回研修は、治安の関係から、

パイロット 2 県及び観察県以外は、当初予定の半分(各 DLC から 1名ずつ)のみを研修対象として

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いる2。そのため、第 1回終了時評価では、「全国レベルでの識字教育マネジメントシステムを機能さ

せるためにも、第 2回全国モニタリング研修を終了させる必要がある。第 2回全国研修は、受講予定

の参加者(PLC/DLC のモニター)は当初計画で見込んでいた人数の半数にとどまっている。したが

って、今回研修機会が得られなかった残りの半数のモニターを対象とした全国モニタリング研修を追

加で実施する必要がある」という提言がなされていた。第 3回研修の実施は、治安の悪化により当初

計画より遅延しているが、2015 年 9 月下旬までに完了する見込みである。予定どおりモニターが参

加すれば、参加率は目標値に達する見込みである。

表-2 全国研修への参加率

第 1回

(2012年)

第 2回

(2013~2014年)

第 3回

(2015 年)

対象モニター数 880 476 386

参加モニター数 670 409 実施中

参加率(%) 76.1% 85.9%

出所:プロジェクト提供資料

なお、指標の対象ではないが、プロジェクトで開発した成果品をアフガニスタンで識字教育を実施

する団体に広めるべく、第 3 回全国研修には、他のステークホルダー職員3も研修に招へいした。

成果 2 識字コース修了後の学習者の学習達成度を測る方策が開発される。

達成状況 達成済み

指標 2-1 プロジェクト終了時までに識字局によって学習達成度評価ツールが承認される。

達成状況 達成済み

アセスメントTWGにより学習達成度評価ツールが開発された。本ツールを用いて、学習達成度は、

①開始前、②開始後 3カ月(レベル 1)、③開始後 6カ月(レベル 2と 3)と④開始後 9カ月(識字コー

ス終了時、ポストリテラシー)の 4段階で実施される。第 1回終了時評価時点では、ダリ語の学習達

成度評価ツールは 2013年 11月に教育省の前副大臣から正式な承認を取り付けていたが、パシュトゥ

語版が未承認であったため、早急な承認取り付けが提言されていた。その後、2014 年 2 月に識字局

により正式に承認され、2015 年 LIFE 会合における正式発表、全国研修の参加者を通じて配布されて

いる。

成果 3 報告及び情報共有に係る方策が開発・実施される。

達成状況 いったんは達成が確認されたが、再強化が必要

2 第 2 回全国研修のうち、2013 年 6 月中に実施したパイロット県のナンガルハル県、バルフ県、観察県のバーミヤン県のパイロッ

ト研修では、3 県全郡のすべてのモニター(1 郡 2 名)を対象にできたため、ナンガルハル県 22 郡、バルフ県 16 郡、バーミヤン

県 7郡の計 45郡×2名=90名のモニターが対象となった。その後、治安の関係で他県識字局(31県+カブール市 PLC の計 32PLC)

管轄の郡(計 386郡)については、各郡 1名のモニターのみを対象に研修を実施した。したがって、第 2回の対象数は 476名とな

る。第 3回研修は、1名のモニターしか参加できなかった 386郡を対象に実施している(出所:質問票回答)。 3 UNESCO識字能力強化計画(ELA)、アフガン成人教育協会(ANAFAE)、Swedish Committee for Afghanistan、SERVE(NGO)、ACTED

(NGO)等のステークホルダーが参加している。

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指標 3-1 少なくとも 65%の PLC が県内全郡の全識字教室のデータを四半期ごとに識字局に報

告する。

達成状況 第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

プロジェクト開始前の 2010年時点では、全 35PLC のうち 2PLC(5.7%)のみが四半期ごとに識字

局に報告をしていた。PLC/DLC 職員の努力の結果、2011年には提出率が 51.4%(18/35PLC)に、2012

年には 82.9%(29/35PLC)にまで改善した。そのため、第 1 回終了時評価では、2012 年度の達成状

況に基づき、当該指標は達成されたと判断された。

しかしながら、第 2 回終了時評価において、その後の PLC による識字局へのデータ報告状況を確

認したところ、四半期すべて提出した PLC の数が減少していることが確認された。その要因として、

データについて、前回提出時から変更がない場合、データシートを提出しない PLC があったことが

挙げられる4。また、2013年度は、途中からノンフォーマル教育管理情報システム(NFE-MIS)用に

新たに Registration form(データ収集ガイドラインにあり)が加わり、この formの提出が「コースの

最初と最後」であるため、もともと四半期ごとのデータ収集にも適用された可能性が考えられる5。

実際に年 4 回のうち、第 1 四半期と第 4 四半期に提出した PLC は 26(74.3%)となっている。2014

年は、識字局が PLC に対してデータの提出を働きかけ、また不在であった識字局計画統計部の担当

が着任した結果、2013 年より提出率が改善した。今後、識字局が継続的に提出を促進し、更新する

情報がなくともデータシートを提出することが徹底されることで、データ報告率が改善していくこと

が望まれる。

表-3 PLCによる四半期ごとの識字教室データ報告率

プロジェクト開始前 プロジェクト実施中

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

PLC 数 35 35 35 35 35

提出 PLC 数 2 18 29 9 16

提出率(%) 5.7% 51.4% 82.9% 25.7% 45.7%

出所:プロジェクト提供資料

指標 3-2 85%の DLC が全識字教室のデータを四半期ごとに PLC に報告する。

達成状況 第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

プロジェクト開始前の 2010 年時点では、識字局は DLC からデータを回収していなかった。

PLC/DLC 職員の努力の結果、2011 年には DLC から PLC への提出率は 64.8%(267/412DLC)、2012

年には 90.9%(351/386DLC)にまで改善した。そのため、第 1回終了時評価では、2012年度のデー

タに基づき、当該指標は達成済みと判断され、プロジェクトは遅れている活動に注力した。

しかしながら、第 2回終了時評価において、その後の DLC から PLC へのデータ報告状況を確認し

たところ、四半期すべて提出した DLC の数は減少していることが確認された。その要因として、上

4 出所:質問票回答。 5 アフガニスタンの識字コースは、3 月もしくは 9 月開講で、Basic リテラシーコース(6 カ月)と Post リテラシーコース(3 カ月)

の計 9カ月のコースである。Registratioin formは、コース開始時(3月開講であれば 3月のデータ)と閉講時(11月の閉講時)の

提出となっている。

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述の PLC のデータ報告同様に、更新する情報がない場合でもデータシートを提出することが徹底さ

れていないことが考えられる。実際 2013 年度に関しては年 4 回のうち、3 回まで提出した郡は 7 割

を超えている。

2013年の提出状況は、第 1四半期と第 4四半期にすべての管轄 DLC がデータを提出してきた県は

9割を超えている。上述のとおり、2013年度は、途中から NFE-MIS 用に新たに Registration form(デー

タ収集ガイドラインにあり)が加わり、この Formの提出が「コースの最初と最後」であるため、プ

ロジェクトで計画されていた四半期ごとのデータ収集にも適用された可能性もある6。2014年は、PLC

同様に、識字局が働きかけを強化し、また識字局に担当者が配置されたことにより、提出率は改善し

ている。引き続き、定期的なデータ報告を促し続けることで、四半期すべてにおいて提出する DLC

の増加が望まれる。

表-4 DLCによる四半期ごとの識字教室データ報告率

プロジェクト開始前 プロジェクト実施中

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

DLC 数 n.a. 412 386 416 416

提出 DLC数 0 267 351 157 274

提出率(%) 0% 64.8% 90.9% 37.7% 65.9%

出所:プロジェクト提供資料

指標 3-3 プロジェクト期間中に少なくとも 2回、識字活動に関する分析と提言を含む年次状況

報告書が作成され、発行される。

達成状況 第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

状況報告書 TWG が「識字年次状況報告書」を 2010 年、2011 年に 2 回発行した。そのため、第 1

回終了時評価において、当該指標は達成済みと判断された7。しかしながら、第 2 回終了時評価時に

その後の状況を確認したところ、2012年、2013年度版は発行されたものの、識字局副大臣の交代時8

に、副大臣の意向により、報告書の調査項目(報告内容)が変更され、当初プロジェクトがめざして

いた識字教育参加者の推移、「モニタリング・アセスメント・技術支援」の 3 項目のインプット後の

変化等は収集されていない。プロジェクトは、NFE-MIS のフォーマット内に、LEAF2 の活動内容に

関連した項目を追加するよう識字局に働きかけ、採用された。これにより、今後は NFE-MIS のデー

タからも、LEAF2 の活動成果を確認することが期待される。またプロジェクトの残りの期間で、識

字局のデータ収集・入力・分析に係る業務を強化していく予定である9。

成果 4 技術支援の方策が開発される。

達成状況 達成済み

6 脚注 5参照。 7 2010年版は、統計データ中心で分析はされていなかったが、2011年版ではより詳細な分析と提言が盛り込まれた(出

所:JICA提供資料)。 8 これまでに副大臣は 3度交代している。 9 出所:質問票回答及びヒアリング。

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指標 4-1 少なくとも三つの技術支援ツールがパイロット地域で試行される。

達成状況 達成済みかつ進行中

技術支援ツール TWGによって第 1回終了時評価時点までに七つの技術支援ツールが開発・試行さ

れた。その後、一つの技術支援ツールが開発・試行され、第 2回終了時評価時点で合計八つの技術支

援ツールが開発・試行された(表-5参照)。加えて、学習者中心の識字教育概要、識字教育指導法、

識字教育におけるさまざまな問題点に関するQ&Aセッションを含む技術支援マニュアルが 2015年9

月末に完成見込みである。

表-5 開発された技術支援ツール

№ 県 名 年 次 開発された技術支援ツール モニタリングマ

ニュアル記載

1 バルフ 1 年次 啓発キャンペーン用ポスター、紙芝居 -

2 バルフ 1 年次

補助教材・教具(アルファベットカード、数字

カード、キーカード、補助教材を使った授業案

集・マニュアル等)

-

3 バルフ 2 年次 TVキャンペーン用制作映像 2種 -

4 ナンガルハル 1 年次 啓発キャンペーン用ポスター、紙芝居、寸劇 -

5 ナンガルハル 1 年次~

2 年次

補助教材・教具(九九・足し算チャート、アル

ファベットカード、数字カード、識字テレスコー

プ、授業案マニュアル、補助教材の作り方・使

い方マニュアル、算数ドリル等)

-

6 ナンガルハル 1 年次~

2 年次 TVキャンペーン用制作映像 2種 -

7 カブール 2 年次 レッスンプラン教本及び同教本の内容を教授す

る研修アジェンダとセッションプラン あり

8 カブール 3 年次 教授法ガイドライン及び同ガイドライン内容を

包含する研修アジェンダとセッションプラン あり

出所:プロジェクト提供資料

指標 4-2 少なくとも二つの技術支援の方策がモニタリングマニュアルに含まれる。

達成状況 達成済み

上記八つの技術支援ツールのうち、カブールで開発されたレッスンプラン教本が一つ目の技術支援

の方策としてモニタリングマニュアルの5章に掲載されていることが第1回終了時評価で確認された。

その後、教授法ガイドラインの内容を包含する研修アジェンダとセッションプランが二つ目の方策と

して最終版のモニタリングマニュアルに掲載された。

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– 11 –

3-2 プロジェクト目標の達成状況

プロジェ

クト目標

識字教育の質向上のため、識字行政機関によるモニタリング・技術支援の能力が強

化される。

達成状況

モニタリングマニュアルの活用やパイロット地域における PLC/DLC によるファシ

リテーターへの支援に関して一定の効果が認められるものの、識字年次状況報告書

として識字活動を体系的にまとめる能力に関しては十分に能力が向上するまでに至

っていない。

指標 1 PLC/DLC 及び関係者によるモニタリングマニュアル活用が増える。

達成状況 全国規模でマニュアル活用の機会は増加している。

第 1 回終了時評価では、「パイロット地域では達成済みであるが、全国レベルでは未確認」という

評価結果であった10。

指標の情報源はパイロット地域におけるサンプル調査となっているが、PCM 手法の論理に従えば、

プロジェクトの対象地域が全国である場合は、全国レベルでプロジェクトの効果を示す指標が望まし

い11。そのため、第 2回終了時評価では、全国レベルの達成度を中心に評価した12。

マニュアルの活用に関しては、第 2回全国研修時の聞き取り調査の結果、回答した PLC/DLC職員

777 名のうち、回答者の 96.6%(751名)がモニタリングマニュアルを活用していることが確認され

た。

また他のステークホルダーの活用状況について、第 1回終了時評価では、識字教育分野で活動を行

っている UNESCO、ANAFAE、日本ユネスコ協会連盟(NFUAJ)に配布されていることが確認され

ている。さらに、第 2回終了時評価時点で実施中の第 3回全国研修においては、プロジェクトで開発

した成果品をアフガニスタンで識字教育を実施する団体に広めるべく、他のステークホルダー職員も

PLC/DLC 職員の活動に一緒に巻き込むなど、マニュアルが全国で広く活用される手立てを講じてき

ている。

当初から、マニュアルの活用増加の目標レベルが設定されていないため、達成度の判断が難しいが、

上記の結果やステークホルダーの質問票回答から、全国規模でもマニュアルの活用は増加したと判断

される。

指標 2 技術支援に対するファシリテーターの満足度が改善される。(技術支援の数の増加等)

達成状況 パイロット地域では一定の改善がみられるが、パイロット地域以外の地域は未確認

10 パイロット地域においては、ベースライン調査時は44.7%であったのが、エンドライン調査時には87.9%まで活用率が上昇してい

る。ナンガルハル県では、25.0%から100.0%まで大幅に活用率が高まっており、続いてバルフ県でも79.0%から86.0%まで改善さ

れていた。モニタリングマニュアルの主な利用者はDLCモニターとなるが、エンドライン調査時にバルフ県とナンガルハル県で

聞き取りを行ったすべて(100.0%)のモニターが活用していた(出所:JICA提供資料)。 11 当該プロジェクトの PDMは成果指標の対象地域は全国レベル、プロジェクト目標指標の対象地域はパイロット地域、上位目標の

対象地域は全国レベルとなっている。PDMの要約は「手段-目的」の関係が論理的に構成されるものであり、指標も同様である。

プロジェクトの説明によれば、確実に情報が収集できる対象としてプロジェクト目標の指標はパイロット地域を中心に収集した

とのことであった。対象地域が成果とプロジェクト目標で異なるのは厳密にいえば、適切ではない。 12 マニュアルの配布率は、全国研修が予定どおりすべての県に対して実施できれば、欠席をしている DLC があったとしても管轄す

る PLC を通じて配布ができるため、100%になる見込みである(出所:質問票回答)。ここでは、配布率ではなく、マニュアルの

活用機会に関して、得られた情報から判断した。

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エンドライン調査(2013年)の結果によれば、技術支援に対するファシリテーターの満足度はベー

スライン調査時に 70.3%であったのに対し、エンドライン調査時では 64.3%と低下した。その要因と

しては、バルフ県で満足度が 90.0%から 47.0%へ低下したことが挙げられる。これは、バルフ県では

10 年以上の経験をもつベテランファシリテーターが回答者の 40%を占める一方で、モニターの経歴

は 3 年未満が 60%、3 年から 5 年が 40%であり、経験が浅く若いモニターが多かったためである。

アフガニスタンでは、若いモニターが年上のファシリテーターに助言を行うのは文化的に困難である

ことから、バルフ県の一部では技術支援がうまく行われていないことが想定される。他方、ナンガル

ハル県では、満足度が 47.0%から 85.0%へ改善されており、ナンガルハル県では、DLC 職員からフ

ァシリテーターへの技術支援が効果的に実施されていることが確認された。

第 2 回終了時評価においてバルフ県を含むパイロット地域のファシリテーターに質問紙調査によ

る聞き取り調査を行ったところ、3 年前と過去 1 年を比較して、PLC/DLC による技術支援は大きく

改善していることが確認できた13。

ただし、上記の満足度はパイロット県のファシリテーターの満足度を示すものであり、パイロット

地域の一部においては一定の改善が認められるものの、プロジェクトのターゲットである全国におけ

るプロジェクト効果を示すには至っていない。今後より広い地域を対象に、継続した調査を実施し、

成果・プロジェクト目標・上位目標のつながりを把握する必要がある。

指標 3 状況報告書に対する関係者の周知が 70%となり、満足度が 5 段階中少なくとも 3.0

になる。

達成状況 一定の進展がみられていたが、全国レベルの状況については確認できなかった

エンドライン調査(2013 年)によると識字年次状況報告書に対する関係者の周知度は 82.4%であ

り、ベースライン調査時の 23.3%から大幅に上昇している。また、エンドライン調査の結果では、関

係者の満足度は 84.9%であった。そのため、第 1回終了時評価では当該指標は達成されたと判断され

た。その後、同様の調査は実施されていない。

年次識字状況報告書の認知は、後述のとおり、たびたび、データ報告内容が変更されたことや、

NFE-MIS の稼働に時間を要しているため、成果 3 の報告及び情報共有の方策の開発・実施効果の成

果は限定的である。データ報告内容の変更は、プロジェクトが進めてきた識字教育参加者の推移、モ

ニタリング・アセスメント・補助教材の他の三つの成果の変化等の継続的なデータ収集が阻害される

事態も生じた。年次識字状況報告書の内容はプロジェクトが当初想定していたものと異なっているた

め、現時点では、識字状況報告書の周知度や満足度を検証する以前に、成果 3 の情報及び状況共有の

実施を確実なものとすることが先決である。

また、上記のエンドライン調査の結果は、識字局、パイロット県の PLC/DLC、一部のステークホ

ルダーによる識字年次状況報告書の周知と満足度を示すものであり、プロジェクトのターゲットであ

13 ナンガルハル県では 2 パイロット郡、1 パイロット市において 8 名のファシリテーターに PLC/DLC による支援の 3 年前と過去 1

年の比較を聞き取ったところ、6 名が「大変改善した」、2 名が「改善した」と回答している。以前は、モニターは識字教室に来

ても改善策を提案せずに、問題点だけを伝えていたが、現在ではレッスンプランの作成やレッスンプランをどのように識字教室

に生かすか、レッスンでどの部分を改善するか等の具体的な提案が得られるようになった。そのことにより、ファシリテーター

は、教室運営に自信をもつようになっている。また、バルフ県では、マザリシャリフ市において 4 名のファシリテーターに同様

の聞き取りを行ったところ、PLC/DLC による支援は 4名が「大変改善した」、それにより自分の指導力にも多くの変化がみられた

と回答している。

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る全国におけるプロジェクトの効果を示すには至っていない。今後、より広い地域を対象に、継続し

た調査を実施し、成果・プロジェクト目標・上位目標のつながりが把握できると考える。

3-3 上位目標の達成状況

上位目標 アフガニスタン国における識字教育の運営と質が改善される。

達成状況 一定の改善は見込めるものの、プロジェクトの成果による貢献をより正確に測るた

めには、指標の見直しが必要

指標 1 修了率が改善される。(参考 NESP:少なくとも 70%の学習者が識字教室を修了す

る)

達成状況 プロジェクト開始時から進展はみられる

識字教室の修了率の推移は表-6に示すとおりである。

表-6 年度別にみた識字教室の修了率

年 度 2010 2011 2012 2013 2014

受講者数 611,461 574,433 590,215 567,913 537,439

修了者数 169,025 227,539 252,317 310,919 238,455

修了率(%) 27.64% 39.61% 42.75% 54.75% 44.37%

出所:プロジェクト提供資料

上位目標は通例プロジェクト終了後 3~5 年に達成されることが期待される。第 2 回終了時評価に

おいては、評価時点までの実績を基に、今後の見込みを予測する方針であったが、正確な修了率に関

するデータを入手することはできなかった。その理由として、上記の表の受講者数及び修了者数は、

どちらも「当該年次に受講を始めた人(=登録をした人)」と「その年次に修了をした人」の数であ

り、対象者が異なるため14、正式な修了率を示していない。現在識字局が開発中の NFE-MIS が稼働

すれば、登録した受講者が修了したか否かを追跡することが可能となり、より正確な修了率が計算で

きる見込みである。NFE-MIS の稼働に関しては、現在雇用を進めているプログラム担当者や収集さ

れた大量のデータを処理する職員の配置などソフト面まで含めた稼働時期を見通すことは困難であ

る。

修了率が正確性を欠くものであったものの、2013 年度までは増加しており、一定の進展はみられ

る。しかしながら、2014 年度の修了率は低減しており、変動がみられる。未修了者が多い理由を分

析するため、4年次の活動として識字ニーズ調査が試行的に実施されている。修了率の改善には、フ

ァシリテーターの能力強化、ファシリテーターの能力強化を行う人材の育成、カリキュラムの改訂等、

本プロジェクトがカバーしていない要素が密接にかかわってくる。今後、識字ニーズ調査結果から問

題を明らかにし、解決のための活動策を打ち出していくことが求められる。

今後の修了率の見通しは、識字ニーズ調査結果を踏まえて見通すとともに、修了率をこのまま上位

14 現在識字教室は年 2回(3月開始 11月終了、9月開始翌年 5月終了)、各 9カ月間実施されており、前年次に登録した人が翌年次

の修了者としてカウントされているケースがあるため正式な修了率とはいえない。

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– 14 –

目標の指標とする場合は、ニーズ調査の結果を踏まえ、上位目標達成に必要な投入要素を検討するこ

とが求められる。あるいは、現在のプロジェクトの活動で貢献できる目標値へ再設定する、あるいは

指標を適切なものに替えることが望ましい。

指標 2 学習者の学習達成度が改善される。

達成状況 実績に関する情報がないため、見込むことは困難

識字局には現時点では、学習達成度を集計するシステムはなく、第 1回終了時評価、第 2回終了時

評価ともに当該指標の実績を確認できなかった。現在、プロジェクトでは、UNESCO-ELA3が主催す

る識字教室のうち 6県 24 教室にて識字局が中心となってプロジェクトが開発した第 3アセスメント

(9カ月のコース終了時の最終アセスメント)を実施し、その結果を集計するという流れを経験する

ことで、今後、自分たちで同指標のベースラインを取れるような支援を行っている。

NFE-MIS が稼働し、データ収集フォームの情報の収集が可能になった場合には、全 3 回のアセス

メントの点数及びその点数より付与される学習者達成度のグレード〔第 1~第 4(第 4は再履修者と

なり、修了者とはみなされない)〕の集計が可能となる。当該指標に関するデータが今後 NFE-MIS

のデータベース上で管理できる見込みはあるものの、前掲のとおり、人員配置まで含めた稼働体制の

整備を含めると、具体的な稼働時期のめどはたっていない。

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– 15 –

第4章 プロジェクトの実施プロセス

4-1 プロジェクト管理

アフガニスタンの治安の悪化はプロジェクトを実施するうえで甚大な影響を与えた。プロジェクト

開始直後よりアフガニスタンで常駐できる専門家の数が 1度に 2名までと制限され、多くの活動を日

本から遠隔指導する形で実施せざるを得なくなった。2013 年 6 月末より日本人専門家のアフガニス

タンへの渡航が制限されたことにより、デリー(インド)やイスラマバード(パキスタン)へプロジ

ェクトナショナルスタッフ及びカウンターパートを定期的に招へいし、第三国業務を実施するととも

に、日本から遠隔でプロジェクト管理を行っている。第三国に専門家を派遣するようになって以降、

第三国業務に従事する専門家が、各分野の担当者と協議のうえ、カウンターパート、ナショナルスタ

ッフと直接またはインターネット・電話を通じて定期的に活動の進捗を確認している。

合同調整委員会(Joint Coordinating Committee:JCC)はこれまで 5回実施されている。2010年 11

月に開催された第 1回 JCC で PDMがレビューされ指標に具体的な数値目標が定められた。2015年 4

月に開催された第 5 回 JCC 会合には、インドに識字局の副大臣、プログラム部局長を招へいし、ア

フガニスタン、インド、日本間を JICAのテレビ会議システムをつないで実施された。JCC では、主

に活動の進捗状況の確認と今後の活動について協議された。

4-2 カウンターパートの参加度合いとコミュニケーション

カウンターパートとして 59 名、延べ 109 名の人員が配置された。カウンターパートは TWG を通

じて主体的にモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール等の作成に積極的に参加してきた。カ

ウンターパートに対する質問紙調査からも、特に TWG会合やマニュアル作成に積極的にかかわった

ことを高く評価する回答が多かった。

また、日本人専門家、カウンターパート、ナショナルスタッフの関係は大変良好である。その背景

には、本フェーズにもかかわったモニタリングに関する主要なメンバーは前フェーズにも参加してい

たため、日本、JICA に対して好意的であったこと、日本人専門家とカウンターパートが対等な関係

のなかで、議論を重ねながらともに問題解決を図るという JICAの協力姿勢について、前フェーズよ

り識字局が高く評価していることなどが挙げられる。

4-3 活動の進捗状況

これまで、以下の活動が実施された。

(1)1 年次(2010年 5月から 2011年 10月)

パイロット地域の選定

ベースライン調査の実施

TWGの設置

モニタリングマニュアル、研修マニュアルの開発(モニタリングTWG)

学習達成度評価ツール:学習前の開発(アセスメントTWG)

識字年次状況報告書2010年版の発行(状況報告書TWG)

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パイロット地域での技術支援ツールの開発(県レベルの技術支援ツールTWG)

パイロット地域での啓発キャンペーンの実施

プロジェクトの成果の共有ワークショップの実施

ファシリテーター研修の実施

第三国研修(バングラデシュ)の実施

(2)2 年次(2011年 12月から 2013年 2月)

第三国研修(インド)の実施

34州良好事例共有ワークショップの実施

PLC進捗共有ワークショップの実施

モニタリングTWG:モニタリングマニュアル、研修マニュアルの改訂、全国モニタリング研

修のトレーナーズトレーニングとDLCモニタリング研修(第1回全国モニタリング研修)

アセスメントTWG:学習達成度評価ツールの開発

状況報告書TWG:識字年次状況報告書2011年版の発行、識字データ収集フォームの開発

技術支援ツールTWG(カブール):レッスンプラン教本の開発、ファシリテーター研修の実

技術支援ツールTWG(県レベル):啓発資料(TVキャンペーン)の開発

(3)3 年次(2013年 4月から 2015年 1月)

エンドライン調査の実施(2013年6~7月)

第2回全国モニタリング研修のトレーナーズトレーニングの実施(2013年5月)

パイロット研修の実施(2013年6月)

モニタリングTWG:モニタリングマニュアル、研修マニュアルの改訂

アセスメントTWG:学習達成度評価ツールの改訂、成果品使用状況調査(2014年6~9月)

状況報告書TWG:識字データ収集ガイドラインの開発と識字年次状況報告書2012年版の作成

技術支援ツールTWG:教授法マニュアルの開発

第2回全国モニタリング研修の実施(2013年12月~2014年2月)

第三国研修(パキスタン)の実施(2014年10月21日~11月3日)

技術支援研修:パキスタン(2014年4月、10月)、カブール(2014年7月、11月、12月)

(4)4 年次(2015年 3月から 2015年 8月までの実績)

第3回全国モニタリング研修の実施(2015年5月~継続中)

学習達成度評価ツール活用のための補助教材の作成・パイロット地域における試行

6県における学習達成度データの収集及び分析〔2015年8~11月(予定)〕

パイロットDLCを対象とした技術支援研修(2015年5月)

識字局とラジオ・テレビ・アフガニスタン(National Radio Television of Afghanistan:RTA)の

協働による、識字教育啓発用テレビ・ラジオ番組の制作と放映(2015年5~8月)

識字教育ニーズ調査の実施(2015年3月~継続中)

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第5章 5項目評価

5-1 妥当性

プロジェクトの妥当性は、アフガニスタン政府の開発政策、日本のアフガニスタンに対する援助方

針、アフガニスタン社会のニーズと合致しており、プロジェクトの手段も適切であったことから、高

いといえる。

(1)アフガニスタン政府の開発政策との整合性

アフガニスタン政府は 2015-2024を「変革の 10年(Transformation Decade)」と設定し、以下

の五つの重要課題を掲げている。①ガバナンス、②治安、③和平プロセス、④経済及び社会開発、

⑤地域協力。また、第三次国家教育戦略(NESP3、2015~2020)では、①普通・イスラム教育、

②カリキュラム改善と教師教育、③技術・職業教育訓練、④識字教育、⑤教育行政の向上を優先

プログラムに掲げている。第三次国家教育戦略の④識字教育を強化し、国全体の識字率が改善さ

れることで、「変革の 10年」で掲げる重要課題の解決速度を加速させることが考えられる。

(2)アフガニスタンの社会のニーズとの整合性

また、アフガニスタン社会のニーズに関しては、成人識字率は、2012年 33%(女性 18%、男

性 48%)、2013 年 36%(女性 20%、男性 50%)15と依然として低く、現在でも識字率の向上は

アフガニスタン社会のニーズに合致している。

(3)日本の援助政策との合致

日本政府は 2012年 7月に開催された東京会合で、アフガニスタンに対し 2012年よりおおむね

5 年間で、①農業、②インフラ整備、③人づくりの分野に対し最大約 30 億ドル規模の支援を行

うことを表明した。

2013 年 4 月の「対アフガニスタン国別援助方針」においては、重点分野の一つに「開発支援

(持続的・自立的発展のための支援)」を掲げ、経済成長を支える人づくり支援を継続するため、

教育や保健分野も重視する方針としている。

2015 年 9 月に発表された、日本の教育協力における新たな戦略「平和と成長のための学びの

戦略」でも、重点課題の一つに、紛争の影響により質の高い教育へのアクセスから疎外されてい

る人々に対応した支援が明記されている。

(4)プロジェクトの手段の適切性

プロジェクトの手段は、戦略の適切性、ターゲットグループの選定の適切性、ターゲットグルー

プ以外への波及性の観点から、適切であった。

プロジェクトでは、短期間に全国を対象とした活動を展開せざるを得なかったことからカス

ケード形式(識字局-PLC-DLC-ファシリテーター)で全県・全郡の識字局へプロジェクトが

開発したモニタリングシステムを普及する方法は、移動制限が厳しいアフガニスタンにおいて戦

15 出所:実施機関提供資料

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略としても適切であった。

また、プロジェクトの四つの成果(モニタリング・アセスメント・補助教材開発・識字データ

管理)は、全国で実施されることにより、その効果が発現されるものであり、全県、全郡を対象

としたターゲットグループの選定は適切であった。

2013年 12月に施行された国家識字戦略において「識字局と JICA/LEAF2 が開発したモニタリ

ングフォーマットを含むモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイ

ドラインを全国の識字活動をモニタリング・評価する標準的なツールとして使用する」と明記さ

れたため、全国の PLC/DLC や識字教育にかかわる関係者への波及性は高い。また、プロジェク

トが現在実施している全国研修は、識字局/PLC/DLC 職員に加え、識字教育を実施する国際機関

や NGO等の他のステークホルダースタッフも対象にしていることから、今後の波及性を配慮し

た手段として評価できる。

5-2 有効性

有効性は、識字行政機関によるモニタリング・技術支援の能力向上を、モニタリングマニュアルの

活用、PLC/DLC によるファシリテーターに対する支援状況、識字活動を識字年次報告書としてまと

め、関係者の周知や満足度を高めるという観点から達成が限定的な効果もみられ、全体的にやや高い

といえる。

モニタリングマニュアルは、2014 年 2 月末に識字局により正式承認され、パイロット地域のみな

らず、全国レベルで PLC/DLC 職員による活用度は非常に高い。また、UNESCO-ELA のスタッフを

はじめ、識字活動を行うステークホルダーを全国研修に招へいし、広く活用されるための道筋を整え

るなどのアプローチを通じて、ANAFAE や NFUAJといった主要な関係機関も適宜活用していること

が確認された。

さらに、PLC/DLC によるファシリテーターの技術支援に関しては、パイロット地域のうち、ナン

ガルハル県ではエンドライン調査で満足度はベースライン調査から大きく増加し、また第 2回終了時

評価の聞き取り調査結果においても技術支援の改善が認められている。バルフ県においては、

PLC/DLC の人員配置換えも影響して、ベースライン調査からエンドライン調査にかけて満足度は低

下したが、第 2回終了時評価聞き取り調査の結果では、技術支援の改善が認められた。聞き取り調査

の結果、識字教室運営が改善された理由として、PLC/DLC の技術支援の有用性、PLC/DLC による研

修の有用性、補助学習教材の有用性、プロジェクトによる研修の有用性が挙げられている。これはプ

ロジェクトの成果を通じて、行政機関による技術支援が改善していることが認められる内容であり、

この点におけるプロジェクトの有効性は高い。他方、これらの効果はパイロット県に限定されたもの

であり、プロジェクト期間・投入規模からもプロジェクトのターゲットである全国レベルで同等の効

果が発現するべきであるが、その確認には至っていない。

識字年次状況報告書に関しては、既述のとおり、エンドライン調査(2013 年)において周知度及

び満足度の点から目標値を達成したことから第 1回終了時評価で達成済みと判断されたものの、デー

タ報告内容が識字局の人事異動時に変更されていることや、NFE-MIS 担当者の前任者離職後の不在

が続き、NFE-MIS が稼働していないなど、これまでのプロジェクト期間トータルでみると、識字局

が識字活動のモニタリング結果を体系的に識字年次状況報告書としてまとめる能力が定着したとは

いい難い。

成果の達成状況とプロジェクト目標の関係をみると、成果 3の報告及び情報共有に関する方策の開

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発・実施が限定的であることが有効性の達成度にも影響を及ぼしている。残りのプロジェクト期間で、

アウトプットの達成度並びにプロジェクト目標の効果を高め、上位目標の達成度を確保するためにも

識字年次報告書に関しては活動を強化する必要がある。

5-3 効率性

本プロジェクトは、治安状況の悪化のみならず、識字局と UNESCO によって構築される計画であ

った NFE-MIS が計画どおりに稼働していない点をはじめ、幾つかの外部要因の影響を受けつつも、

特に有能なナショナルスタッフの配置などにより、限られた投入は有効に成果産出に結びついている

と考えられる。他方、報告書や情報共有に関する成果の達成度がプロジェクト期間全体を通してみる

と限定的であり、総体的にプロジェクトの効率性はやや高いといえる。

投入はアフガニスタン側と日本側の努力の結果、計画どおり行われた。アフガニスタン側カウン

ターパート、日本人専門家の配置、機材供与、第三国研修の投入等は、成果の産出に対して、おおむ

ね適切であった。治安の関係で、日本人専門家のアフガニスタンへの渡航が制限され、遠隔運営によ

る追加作業、ナショナルスタッフやカウンターパートとのタイムリーなコミュニケーションの欠如、

日本からの遠隔指導による追加費用、インドでの会合の開催、第 2回全国モニタリング研修の実施を

外部委託せざるを得ないなど、運営管理は困難を極めたが、前フェーズから構築されているカウン

ターパート、日本人専門家、ナショナルスタッフの良好な関係が保たれたことで効率性を維持するこ

とができた。さらに 4年次にインドにもプロジェクト事務所を開設したことで、運営管理の効率性は

改善がみられた。

一方、プロジェクトの効率性を妨げた要因として、治安の悪化により、アフガニスタンにおける移

動制限があり、ナショナルスタッフやカウンターパートの国内出張の予定も変更を余儀なくされ、全

国研修の実施、並びに成果の達成進捗に影響した。さらに、日本人のアフガン渡航が制限され、2013

年 8月からの本格的な第三国における業務の開始以降、日本人専門家チームは当初はインドにおける

業務時は毎回のカウンターパートの渡航を期待していたが、識字局職員がアフガニスタン国外で活動

を行うことについて、識字局からの十分な理解が得られず、計画どおりにカウンターパートの派遣が

実施できなかった。識字局は第三国における活動よりも、日本人専門家のアフガニスタン国内での活

動を強く望んでおり、日本人専門家が現地渡航できない状況について十分な理解を得られていないこ

とが、第三国における活動の効率性を妨げたと考えられる。

また、外部条件の影響として、プロジェクト開始当初は、UNESCOと識字局が LIFE を仕切ってい

たが、2013年 5月から LIFE の調整が UNESCO から識字局に移管されて以来 LIFE はそれほど機能し

ていない。LIFE が機能していたころは、LIFE を通じて NFE-MIS など他機関の活動進捗の確認を行

うことができていたが、現在はこうした機能は存在していない。さらに PDMに記載されていない外

部条件として、既述のとおり、識字局と UNESCOによる NFE-MIS データベース構築が計画どおりに

進んでいないことが、成果 3の産出に影響を及ぼしている。データ管理に関する活動に関しては、2014

年 5月の識字局の NFE-MIS 職員の辞職後、技術移転を行う識字局職員が不在のため活動が実施でき

ないなど、プロジェクトとしてコントロール困難な状況が続いている。

5-4 インパクト

今後もプロジェクトの実施により正のインパクトが期待され、上位目標であるアフガニスタンの識

字教育の運営と質の改善に関して一定の改善は見込める。

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(1)正のインパクト

1)ファシリテーターによる識字コース運営の改善

パイロット県におけるファシリテーターへの聞き取り調査の結果、回答者 12 名のうち 10

名が「自分の指導力が大いに改善した」、2 名が「少し改善した」と回答している。その背景

には、モニターによる支援が改善したことが挙げられる。例えば、以前は、モニターは識字教

室に来ても改善策を提案せずに、問題点だけを伝えていたが、現在ではレッスンプランの作成

やレッスンプランをどのように識字教室に生かすか、レッスンでどの部分を改善するか等の具

体的な提案が得られるようになった。そのことにより、教室運営に自信をもつようになってい

る。

2)学習者の識字能力向上

ファシリテーターへの聞き取り調査の結果、識字教室に参加した学習者の変化として「看板

が読める」「宗教本が読める」「手紙が読める・書ける」「名前が書ける」「書類が記入できる」

「計算ができる」等の変化が確認された。なかには、他の人の IDカードや他の書類のフォー

ムを埋めることができるようになった学習者や、自分の子どもに買い物に行かせるのに、買い

物リストを子どもに渡せるようになるなど生活面に生かされている例も報告された。

3)メディアによる識字啓発活動による識字教育への関心の喚起

プロジェクトでは、メディアを通じた識字教育の普及を目的として、映像制作 TWG がテレ

ビ・ラジオ番組を制作した。2015 年 8 月 5 日から 24 日までテレビ・ラジオ番組を放映し、8

月 5日から 9月 3日まで電話での問い合わせ内容を記録した結果、問い合わせ件数は、8月 5

日から 24日まで 395 件、8月 25日から 9月 3日までは 48件、計 443件あった。

(2)負のインパクト

女性の識字教室にて授業の様子をビデオ撮影した際、識字ファシリテーター及び学習者から許

可を得て撮影をしたものの、それを知った一部の学習者の家族が、その後、同学習者を教室へ出

席させないということが発生した。女性の家族が(後ろ姿のみであるが)ビデオ撮影に対し、反

発したことが原因であった。この一件を通じ、プロジェクトでは、「現地女性への対応には必ず

女性スタッフをあたらせる」「特に女性識字教室のビデオ撮影が必要な場合、何度かその教室に

通い、ファシリテーターや学習者のみならず、コミュニティの信頼を得てから撮影をする」等、

アフガニスタンの社会文化事情に配慮した対応をしている。

(3)上位目標の達成見込み

指標の一つである、修了率に関してはデータが正確性を欠くものの、2013 年度までは増加し

ており、一定の進展はみられた。しかしながら 2014 年度にはまた低減しており、一貫して増加

しているわけではない。未修了の理由等の調査はプロジェクトの 4年次の活動として実施中であ

る。修了率の増加はこの調査結果を参照しつつ、見込むことが望ましい。

また、二つ目の指標である、学習達成度の改善に関しては、集計システムが存在しないため、

実績から見込むことが難しい。

さらに修了率の改善並びに学習達成度の改善は、全国規模でファシリテーターの能力強化やそ

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のための人材育成、カリキュラム改訂等が必要とされるなか、アフガニスタンに対するドナーの

支援が縮小傾向にあり、これらの今後の投入は現時点では見通すことができない。

上位目標達成に必要な PDM上の外部条件(識字に対する政策的な優先度の維持)に関しては、

教育セクターの政策文書は識字教育を優先分野とすることを明記しているため、政策自体は維持

される見込みはある。他方、年度により変動が大きい識字局の予算の推移を勘案すると、財政面

での持続性が上位目標達成に影響を及ぼす可能性はある。

5-5 持続性

プロジェクト効果の持続性は政策・制度面、組織・体制面においては高いと判断されるものの、財

政面で厳しい状況が見込まれ、技術面においても課題が残るため、全体としては中程度といえる。

(1)政策・制度面:高い

「5-1 妥当性」で前掲のとおり、アフガニスタン政府は、NESP3 において識字分野を優

先プログラムに含めていることに加え、2013年 12月に施行された国家識字戦略においてモニタ

リングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイドラインが識字活動をモニタリ

ング・評価する標準的なツールとして使用されることが明記され、プロジェクトが開発したモニ

タリングマニュアルは全国の PLC/DLC、ファシリテーター及び関係機関で適宜活用されている。

(2)組織・体制面:高い

プロジェクト開始以降、識字局/PLC/DLC の職員数は増加し続けており、一定の人員は確保さ

れている。また、すべてのプロジェクト活動に TWGがかかわり、プロジェクトの成果物の内容

はほぼすべて TWG が開発しており、オーナーシップも高く、活用はできる。

表-7 識字局/PLC/DLCの職員数

年 度 2010 2011 2012 2013 2014

職員数 5,170 5,270 5,370 5,470 5,470

出所:実施機関提供資料

(3)財政面:厳しい状況が見込まれる

モニタリングについて、識字局は PLC/DLC からのモニタリング結果を受領するのみであるた

め人件費以外の予算は必要なく、問題はない。

技術支援については、モニタリング結果を基に支援内容を開発することは可能であるが、その

内容を補助教材等にまとめるのに独自予算はなく、他ドナーからの支援が必要になる。同様に、

識字局による全国研修の継続的な実施、マニュアルやガイドラインを改訂した際の印刷・配布、

ファシリテーターの能力強化等の予算は確保されていない。表-8に示すとおり、識字局の予算

は年度によって高低差が激しく、他ドナーの支援は縮小傾向にあるため、財源が継続的に確保さ

れているとはいえない。財務面での持続性については当面厳しい状況が続くと考えられる。

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表-8 識字局の年間予算

(単位:アフガニスタンアフガニ16)

年 度 2011 2012 2013 2014

年間予算 956,061 1,160,548 2,014,109 885,746

出所:実施機関提供資料

(4)技術面:中程度

上述のとおり、TWG がモニタリングマニュアルや学習達成度評価ツールの作成を協働で行い、

各研修で講師を務め、エンドライン、ニーズアセスメント調査等も一緒に行っていることから、

識字局職員は技術・知識を十分に習得している。また、プロジェクトによるフォローアップ調査

によれば、研修の参加者は研修内容を実際の業務に活用しているという結果が出ている。

既述のとおり、パイロット県における PLC や DLC のファシリテーターへの支援の改善やファ

シリテーターの識字コース運営の改善が確認されたが、同等の効果がパイロット県以外にも発現

するためには、パイロット県以外のモニターやファシリテーターに対して識字局による技術や知

識の普及のための継続的な支援が必要である。

さらに、LIFE ミーティングの開催回数の不十分さ、PLC/DLC によるモニタリングデータの報

告率の低下、識字年次状況報告書に集約されるデータ管理など、今後、継続的な強化が必要な課

題も散見されているため中程度と判断した。

16 1アフガニスタンアフガニ=1.883円(2015年 9月換算レート)

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第6章 結 語

本プロジェクトは、識字局、PLC/DLC 職員の能力向上に資するモニタリングマニュアル、モニタ

リング研修マニュアル、学習達成度評価ツール、識字年次状況報告書やさまざまな技術支援ツールと

いった標準的な教材を開発することで識字教育マネジメントを強化することをめざしている。プロジ

ェクト傘下に設立された四つの TWGが開発、試行、改訂、研修やワークショップの実施といったプ

ロセスに積極的に関与した。

アフガニスタンの治安悪化はプロジェクト実施に多大な影響を与えたが、厳しい環境下でも、カウ

ンターパート、日本人専門家、ナショナルスタッフが信頼関係を築き、チーム一丸となってプロジェ

クト目標の達成に向けて尽力した。プロジェクトの大きな成果であるモニタリングマニュアルは、政

策文書にもその活用が明記されていることから、PLC/DLC 職員のみならず、UNESCO(ELA3)、

ANAFAE、NFUAJ等の他ドナー・NGO 等にも活用されている。さらにパイロット地域ではファシリ

テーターによる識字コースの運営改善や読み書きの能力が向上したことにより、他者のための書類の

記入ができるようになる、子どもを買い物に行かせる際にメモを作成できるようになるなど学習者の

生活面における正の変化も確認された。他方、データ管理並びに体系的な識字年次状況報告書の作成

に関しては、報告すべきデータ内容が定まらないことや、技術移転の対象となる NFE-MIS 担当職員

が不在であるため、NFE-MIS の稼働に至っていない。データ管理は上位目標である識字教育の運営

と質の改善に向けて重要な要素の一つであり、今後、プロジェクトの投入を注力することが求められ

る。

評価 5項目に基づく評価結果は以下に要約される。

評価 5項目 評価結果 備 考

妥当性 高い アフガニスタン側の政策とニーズ、日本政府の援助方針に合致

し、プロジェクトの手段は適切である。

有効性 やや高い 成果とプロジェクト目標の達成に関してモニタリングマニュ

アルの活用やファシリテーターの技術支援の改善はみられる

ものの、総合的に判断してデータ管理(識字年次報告書)の達

成度が限定的である。

効率性 やや高い 困難な状況ではあったが、さまざまな教材を作成した。

インパクト 兆候がみられる さらなる正のインパクトが期待できる兆候がみられる。

持続性 中程度 政策面、組織面での持続性は担保されているが、財政面、技術

面での持続性は課題が残る。

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第7章 提 言

本調査結果を基に、以下に記載する活動の実施に係りプロジェクト期間を 2年間延長することを提

言する。なお各活動の優先順位については延長期間開始にあたり検討すること。

(1)識字教室未修了の原因に関する分析

上位目標であるアフガニスタンの識字教育の運営と質の改善の達成度を測る指標のうち、識字

コースの第 1ラウンドの修了率に関しては、NESP2 で 2014年の目標値とする 70%には達してい

ない。今後、未修了者がなぜ多いかといった要因を特定し、必要な対応を講じることも修了率向

上には必要である。

(2)識字啓発活動の推進

アフガニスタンの社会文化的背景から、識字教育を必要とする人々(非識字者及び村落地域)

へ、啓発を促進していくことは重要である。テレビやイベントなど複数の方法で啓発活動を行う

ことを提言する。

(3)モニタリングシステムの再強化

効果的なモニタリングのために以下の点について強化をすべきである。

① 識字局の、PLC/DLC からの報告を含むモニタリング結果を分析する能力を強化し、分析

結果を識字プログラムやファシリテータートレーニング、NFE-MIS システムの開発など

に反映できるようにする。

② 現場レベルの効果的なモニタリングの実施のため、コミュニティを巻き込んだモニタリン

グ活動を拡大させる。

③ プロジェクトで作成したフォーマットに基づいて収集したアセスメントデータを

NFE-MIS へ導入することは重要であり、NFE-MIS の稼働に対する技術的な支援をすべき

である。

(4)学習者向け学習教材の開発及び配布方法の開発の試行的実施

識字プログラムを、学習者に対しより効果的なものとするために、学習教材及びその配布方法

(例:携帯電話を通じた遠隔学習などの柔軟な方法)の開発を、試行的かつ小規模(例:カブー

ル近郊の一地区)に実施することを提言する。

(5)ファシリテーター養成プログラムやファシリテータートレーニングを実施するマスタート

レーナーの育成について強化する

持続可能な方法でファシリテーターの能力を強化するために、ファシリテーターを継続支援す

る仕組みが重要である。ファシリテーターの指導能力向上のためのプログラムを開発し、それを

指導するマスタートレーナーに向けた研修をパイロット地区で行うことを提言する。

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(6)第三国研修の実施

先進的な識字サービスの提供方法など、他の国がもつ識字教育の経験を学ぶことはとても有効

である。そのため他国における研修を通じた学びあいの実施を奨励する。

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第8章 教 訓

(1)ナショナルスタッフの意識的な育成

本プロジェクトが治安悪化による日本人専門家の渡航制限を受けつつも全国規模でプロジェク

ト活動を継続できたのは、ナショナルスタッフの活躍によるものである。アフガニスタンのように

治安が不安定な国においては、治安の悪化により日本人専門家が渡航できなくなる場合を想定し、

ナショナルスタッフをプロジェクト開始時から育成し、信頼関係を築くことで、日本人不在による

影響を軽減することが可能となる。また意思決定に際しても、カウンターパートのみならずナショ

ナルスタッフを意識的に巻き込んでおくことで、日本人不在の間も、現地でリーダーとなり得るス

タッフを確保することが可能となり、実施機関と日本人専門家の意思疎通を維持することが可能と

なる。

(2)プロジェクト期間変更時の PDMの変更

本プロジェクトは当初 2010年4月から 2014年 3月までの 4年間の計画であった。治安悪化を受

けて活動実施に遅延が生じ、2 度にわたって延長し、最終的にはプロジェクト期間は 2016 年 1 月

までの 5年 10カ月となっている。しかしながら、PDMの指標に関しては当初の 4年間の計画で達

成されたため、その後の指標のモニタリングが十分になされていないように見受けられた。例えば

成果指標のうち、プロジェクト目標や上位目標につながる指標に関しては、一度の達成度をもって

達成済みと判断するのではなく、プロジェクト期間の延長に伴い、プロジェクト期間内に達成され

るべき成果やプロジェクト目標の指標を修正する必要がないか、延長時に PDMの見直しがなされ

ることが望ましい。

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1.第 2回終了時評価ミニッツ

2.評価グリッド結果表(和文)

付 属 資 料

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1.第2回終了時評価ミニッツ

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評価グリッド結果表(和文)

1.プロジェクトの実績

項 目 指標等 調査結果

上位目標(見込み)

アフガニスタン国

における識字教育

の運営と質が改善

される。

1. 修了率が改善さ

れる。

達成状況:プロジェクト開始時から進展は見られる

識字トレーニング第 1 ラウンドの修了率の推移は下表に示すとおりである。

識字トレーニング修了率第 1ラウンド

年 度 2010 2011 2012 2013 2014

受講者数 611,461 574,433 590,215 567,913 537,439

修了者数 169,025 227,539 252,317 310,919 238,455

修了率(%) 27.64% 39.61% 42.75% 54.75% 44.37%

出所:プロジェクト提供資料

上位目標は通例プロジェクト終了後 3~5 年に達成されることが期待される。第 2 回終了時評価においては、評価時点まで

の実績を基に、今後の見込みを予測する方針であったが、正確な修了率に関するデータを入手することはできなかった。そ

の理由として、上記の表の受講者数及び修了者数は、どちらも「該当年次に受講を始めた人(=登録をした人)」と「その年

次に修了をした人」の数であり、対象者が異なるため、正式な修了率を示していない。現在識字局が開発中のノンフォーマ

ル教育管理情報システム(NFE-MIS)が稼働すれば、登録した受講者が修了したか否かを追跡することが可能となり、より

正確な修了率が計算できる見込みである。NFE-MIS の稼働に関しては、現在雇用を進めているプログラム担当者や収集され

た大量のデータを処理する職員の配置などソフト面まで含めた稼働時期を見通すことは困難である。

修了率が正確性を欠くものであったものの、2013 年度までは増加しており、一定の進展はみられる。しかしながら、2014

年度の修了率は低減しており、変動がみられる。未修了者が多い理由を分析するため、4 年次の活動として識字ニーズ調査が

試行的に実施されている。修了率の改善には、ファシリテーターの能力強化、ファシリテーターの能力強化を行う人材の育

成、カリキュラムの改訂等、本プロジェクトがカバーしていない要素が密接にかかわってくる。今後、識字ニーズ調査結果

から問題を明らかにし、解決のための活動策を打ち出していくことが求められる。

今後の修了率の見通しは、識字ニーズ調査結果を踏まえて見通すとともに、修了率をこのまま上位目標の指標とする場合

は、ニーズ調査の結果を踏まえ、上位目標達成に必要な投入要素を検討することが求められる。あるいは、現在のプロジェ

クトの活動で貢献できる目標値へ再設定する、あるいは指標を適切なものに替えることが望ましい。

2. 学習者の学習達

成度が改善され

る。

(指標:識字

コース修了者の

達成状況:実績に関する情報がないため、見込むことは困難

識字局には現時点では、学習達成度を集計するシステムはなく、第 1 回終了時評価、第 2 回終了時評価ともに当該指標の

実績を確認できなかった。現在、プロジェクトでは、国連教育科学文化機関(UNESCO)識字能力強化計画 3(ELA3)が主

催する識字教室のうち 6 県 24 クラスにて識字局が中心となってプロジェクトが開発した第 3 アセスメント(9 カ月のコース

終了時の最終アセスメント)を実施し、その結果を集計するという流れを経験することで、今後、自分たちで同指標のベー

2.評価グリッド結果表(和文)

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学習改善度) スラインを取れるような支援を行っている。

NFE-MIS が稼働し、データ収集フォームの情報の収集が可能になった場合には、全 3 回のアセスメントの点数及びその点

数より付与される学習者達成度のグレード〔第 1~第 4(第 4 は再履修者となり、修了者とはみなされない)〕の集計が可能

となる。当該指標に関するデータが今後 NFE-MIS のデータベース上で管理できる見込みはあるものの、前掲のとおり、人員

配置まで含めた稼働体制の整備を含めると、具体的な稼働時期のめどはたっていない。

プロジェクト目標

識字教育の質向上

のため、識字行政

機関によるモニタ

リング・技術支援

の能力が強化され

る。

1. 県識字局(PLC)/

郡識字局(DLC)

及び関係者によ

るモニタリング

マニュアル活用

が増える。

達成状況:全国規模でマニュアル活用の機会は増加している

第 1 回終了時評価では、「パイロット地域では達成済みであるが、全国レベルでは未確認」という評価結果であった。

指標の情報源はパイロット地域におけるサンプル調査となっているが、プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)

手法の論理に従えば、プロジェクトの対象地域が全国である場合は、全国レベルでプロジェクトの効果を示す指標が望まし

い。そのため、第 2 回終了時評価では、全国レベルの達成度を中心に評価した。

マニュアルの活用に関しては、第 2 回全国研修時の聞き取り調査の結果、回答した PLC/DLC 職員 777 名のうち、回答者の

96.6%(751 名)がモニタリングマニュアルを活用していることが確認された。

また他のステークホルダーの活用状況について、第 1 回終了時評価では、識字教育分野で活動を行っている UNESCO、ア

フガン成人教育協会(ANAFAE)、日本ユネスコ協会連盟(NFUAJ)に配布されていることが確認されている。さらに、第

2 回終了時評価時点で実施中の第 3 回全国研修においては、プロジェクトで開発した成果品をアフガニスタンで識字教育を実

施する団体に広めるべく、他のステークホルダー職員も PLC/DLC 職員と一緒に巻き込むなど、マニュアルが全国で広く活用

される手立てを講じてきている。

当初から、マニュアルの活用増加の目標レベルが設定されていないため、達成度の判断が難しいが、上記の結果やステー

クホルダーの質問票回答から、全国規模でもマニュアルの活用は増加したと判断される。

2. 技術支援に対す

るファシリテー

ターの満足度が

改善される。

達成状況:パイロット地域では一定の改善がみられるが、パイロット地域以外の地域は未確認

エンドライン調査(2013 年)の結果によれば、技術支援に対するファシリテーターの満足度はベースライン調査時に 70.3%

であったのに対し、エンドライン調査時では 64.3%と低下した。その要因としては、バルフ県で満足度が 90.0%から 47.0%

へ低下したことが挙げられる。これは、バルフ県では 10 年以上の経験をもつベテランファシリテーターが回答者の 40%を占

める一方で、モニターの経歴は 3 年未満が 60%、3 年から 5 年が 40%であり、経験が浅く若いモニターが多かったためであ

る。アフガニスタンでは、若いモニターが年上のファシリテーターに助言を行うのは文化的に困難であることから、バルフ

県の一部では技術支援がうまく行われていないことが想定される。他方、ナンガルハル県では、満足度が 47.0%から 85.0%

へ改善されており、ナンガルハル県では、DLC 職員からファシリテーターへの技術支援が効果的に実施されていることが確

認された。

第 2 回終了時評価においてバルフ県を含むパイロット地域のファシリテーターに質問紙調査による聞き取り調査を行った

ところ、3 年前と過去 1 年を比較して、PLC/DLC による技術支援は大きく改善していることが確認できた。

ただし、上記の満足度はパイロット県のファシリテーターの満足度を示すものであり、パイロット地域の一部においては

一定の改善が認められるものの、プロジェクトのターゲットである全国におけるプロジェクト効果を示すには至っていない。

今後より広い地域を対象に、継続した調査を実施し、成果・プロジェクト目標・上位目標のつながりを把握する必要がある。

3. 状況報告書に対

する関係者の周

知が 70 %とな

達成状況:一定の進展がみられていたが、全国レベルの状況については確認できなかった

エンドライン調査(2013 年)によると識字年次状況報告書に対する関係者の周知度は 82.4%であり、ベースライン調査時

の 23.3%から大幅に上昇している。また、エンドライン調査の結果では、関係者の満足度は 84.9%であった。そのため、第 1

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り、満足度が5段

階中少なくとも

3.0になる。

回終了時評価では当該指標は達成されたと判断された。その後、同様の調査は実施されていない。

年次識字状況報告書の認知は、後述のとおり、たびたび、データ報告内容が変更されたことや、NFE-MIS の稼働に時間を

要しているため、成果 3 の報告及び情報共有の方策の開発・実施効果の成果は限定的である。データ報告内容の変更は、プ

ロジェクトが進めてきた識字教育参加者の推移、モニタリング・アセスメント・補助教材の他の三つの成果の変化等の継続

的なデータ収集が阻害される事態も生じた。年次識字状況報告書の内容はプロジェクトが当初想定していたものと異なって

いるため、現時点では、識字状況報告書の周知度や満足度を検証する以前に、成果 3 の情報及び状況共有の実施を確実なも

のとすることが先決である。

また、上記のエンドライン調査の結果は、識字局、パイロット県の PLC/DLC、一部のステークホルダーによる識字年次状

況報告書の周知と満足度を示すものであり、プロジェクトのターゲットである全国におけるプロジェクトの効果を示すには

至っていない。今後、より広い地域を対象に、継続した調査を実施し、成果・プロジェクト目標・上位目標のつながりが把

握できると考える。

成 果

1. すべての識字

コースを網羅す

るモニタリング

及び技術支援の

枠組みが開発さ

れる。

1-1 関係者の合意

を得たモニタ

リングマニュ

アルが開発さ

れる

達成状況:達成済み

プロジェクトは 2012 年にモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイドライン、モニタリング

研修マニュアル、技術支援ツール(教授法マニュアルも含む)を開発し、パイロット地域での試行や全国モニタリング研修

からのフィードバック、関係機関との協議を反映して改訂作業を行ってきた。

第 1 回終了時評価時点では、同マニュアルは最終化されておらず、アフガニスタン識字教育強化プロジェクトフェーズ 2

(LEAF2)で開発した新モニタリングシステムが遅滞なく現場で広く活用されるようにするため、プロジェクトに対する提

言にはマニュアルの最終化と早急な識字局の最終承認が含まれた。

その後、2014 年 2 月に識字局の承認を得て、2014 年 5 月 18 日のエンパワメントのための識字イニシアティブ(LIFE)会

議にて新モニタリングシステム(モニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイドライン)を公式

発表した。これらの 3 種のマニュアル・ガイドラインの簡易製本版が全 PLC 及び DLC へ配布され、その後、プロジェクト成

果品の使用状況調査結果を基にこれらのマニュアル・ガイドラインに軽微な修正を加えたのち、製本版が作成された。同製

本版は 2014 年 8 月以降に継続予定であった全国モニタリング研修(以下、「全国研修」)の参加者を通じて全 PLC 及び DLC

へ配布をする予定であったが、研修の実施がプロジェクト第 4 年次へ延期されたため、第 4 年次の全国研修時に順次配布さ

れている。配布部数はモニタリングマニュアル、識字データ収集ガイドラインが 1,600 部(ダリ語 900 部、パシュトゥ語 700

部)、学習達成度評価ツールが 4,700 部(ダリ語 2,700 部、パシュトゥ語 2,000 部)に達した。

1-2 PLCによりプ

ロジェクト期

間中に少なく

とも2回の研

修がDLC対象

に行われ、各

達成状況:ほぼ達成済み

これまでに実施した全国研修の実績は下表に示すとおりである。

第 2 回研修は、治安の関係から、パイロット 2 県及び観察県以外は、当初予定の半分(各 DLC から 1 名ずつ)のみを研修

対象としている1。そのため、第 1 回終了時評価では、「全国レベルでの識字教育マネジメントシステムを機能させるためにも、

第 2 回全国モニタリング研修を終了させる必要がある。第 2 回全国研修は、受講予定の参加者(PLC/DLC のモニター)は当

初計画で見込んでいた人数の半数にとどまっている。したがって、今回研修機会が得られなかった残りの半数のモニターを

1 第 2 回全国研修のうち、2013 年 6 月中に実施したパイロット県のナンガルハル県、バルフ県、観察県のバーミヤン県のパイロット研修では、3 県全郡のすべてのモニター(1 郡 2 名)を対

象にできたため、ナンガルハル県 22 郡、バルフ県 16 郡、バーミヤン県 7 郡の計 45 郡×2 名=90 名のモニターが対象となった。その後、治安の関係で他県識字局(31 県+カブール市 PLC

の計 32PLC)管轄の郡(計 386 郡)については、各郡 1 名のモニターのみを対象に研修を実施した。したがって、第 2 回の対象数は 476 名となる。第 3 回研修は、1 名のモニターしか参加

できなかった 386 郡を対象に実施している(出所:質問票回答)。

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回全モニター

の60%が研修

に参加する。

対象とした全国モニタリング研修を追加で実施する必要がある」という提言がなされていた。

全国研修への参加率

第 1 回

(2012 年)

第 2 回

(2013 年~2014 年)

第 3 回

(2015 年)

対象モニター数 880 476 386

参加モニター数 670 409 実施中

参加率(%) 76.1% 85.9%

出所:プロジェクト提供資料

第 3 回研修の実施は、治安の悪化により当初計画より遅延しているが、2015 年 9 月下旬までに完了する見込みである。予

定どおりモニターが参加すれば、参加率は目標値に達する見込みである。

なお、指標の対象ではないが、プロジェクトで開発した成果品をアフガニスタンで識字教育を実施する団体に広めるべく、

第 3 回全国研修には、他のステークホルダー職員も研修に招へいした。

2. 識字コース修了

後の学習者の学

習達成度を測る

方策が開発され

る。

2-1 プロジェクト

終了時までに

識字局によっ

て学習達成度

評価ツールが

承認される。

達成状況:達成済み

アセスメントテクニカル・ワーキング・グループ(TWG)により学習達成度評価ツールが開発された。本ツールを用いて、

学習達成度は、①開始前、②開始後 3 カ月(レベル 1)、③開始後 6 カ月(レベル 2 と 3)と④開始後 9 カ月(識字コース終

了時、ポストリテラシー)の 4 段階で実施される。第 1 回終了時評価時点では、ダリ語の学習達成度評価ツールは 2013 年 11

月に教育省の前副大臣から正式な承認を取り付けていたが、パシュトゥ語版が未承認であったため、早急な承認取り付けが

提言されていた。その後、2014 年 2 月に識字局により正式に承認され、2015 年 LIFE 会合における正式発表、全国研修の参

加者を通じて配布されている。

3. 報告及び情報共

有に係る方策が

開発・実施され

る。

3-1 少なくとも

65%のPLCが

県内全郡の全

識 字 教 室 の

データを四半

期ごとに識字

局 に 報 告 す

る。

達成状況:第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

プロジェクト開始前の 2010 年時点では、全 35PLC のうち 2PLC(5.7%)のみが四半期ごとに識字局に報告をしていた。

PLC/DLC 職員の努力の結果、2011 年には提出率が 51.4%(18/35PLC)に、2012 年には 82.9%(29/35PLC)にまで改善した。

そのため、第 1 回終了時評価では、2012 年度の達成状況に基づき、当該指標は達成されたと判断された。

しかしながら、第 2 回終了時評価において、その後の PLC による識字局へのデータ報告状況を確認したところ、四半期す

べて提出した PLC の数が減少していることが確認された。その要因として、データについて、前回提出時から変更がない場

合、データシートを提出しない PLC があったことが挙げられる。また、2013 年度は、途中から NFE-MIS 用に新たに Registration

form(データ収集ガイドラインにあり)が加わり、この form の提出が「コースの最初と最後」であるため、もともと四半期

ごとのデータ収集にも適用された可能性が考えられる2。実際に年 4 回のうち、第 1 四半期と第 4 四半期に提出した PLC は

26(74.3%)となっている。2014 年は、識字局が PLC に対してデータの提出を働きかけ、また不在であった識字局計画統計

部の担当が着任した結果、2013 年より提出率が改善した。今後、識字局が継続的に提出を促進し、更新する情報がなくとも

データシートを提出することが徹底されることで、データ報告率が改善していくことが望まれる。

2 アフガニスタンの識字コースは、3 月もしくは 9 月開講で、Basic リテラシーコース(6 カ月)と Post リテラシーコース(3 カ月)の計 9 カ月のコースである。Registration form は、コース開

始時(3 月開講であれば 3 月のデータ)と閉講時(11 月の閉講時)の提出となっている。

-99-

Page 130: アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロ …i 第2回終了時評価調査結果要約表 1.案件の概要 国名:アフガニスタン・イスラム共和国

PLCによる四半期ごとの識字クラスデータ報告率

プロジェクト開始前 プロジェクト実施中

2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年

PLC 数 35 35 35 35 35

提出 PLC 数 2 18 29 9 16

提出率(%) 5.7% 51.4% 82.9% 25.7% 45.7%

出所:プロジェクト提供資料

3-2 85%のDLCが

全識字教室の

データを四半

期ごとにPLC

に報告する。

達成状況:第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

プロジェクト開始前の 2010 年時点では、識字局は DLC からデータを回収していなかった。PLC/DLC 職員の努力の結果、

2011 年には DLC から PLC への提出率は 64.8%(267/412DLC)、2012 年には 90.9%(351/386DLC)にまで改善した。そのた

め、第 1 回終了時評価では、2012 年度のデータに基づき、当該指標は達成済みと判断され、プロジェクトは遅れている活動

に注力した。

しかしながら、第 2 回終了時評価において、その後の DLC から PLC へのデータ報告状況を確認したところ、四半期すべて

提出した DLC の数は減少していることが確認された。その要因として、上述の PLC のデータ報告同様に、更新する情報がな

い場合でもデータシートを提出することが徹底されていないことが考えられる。実際 2013 年度に関しては年 4 回のうち、3

回まで提出した郡は 7 割を超えている。

2013 年の提出状況は、第 1 四半期と第 4 四半期にすべての管轄 DLC がデータを提出してきた県は 9 割を超えている。上述

のとおり、2013 年度は、途中から NFE-MIS 用に新たに Registration form(データ収集ガイドラインにあり)が加わり、この

form の提出が「コースの最初と最後」であるため、プロジェクトで計画されていた四半期ごとのデータ収集にも適用された

可能性もある3。2014 年は、PLC 同様に、識字局が働きかけを強化し、また識字局に担当者が配置されたことにより、提出率

は改善している。引き続き、定期的なデータ報告を促し続けることで、四半期すべてにおいて提出する DLC の増加が望まれ

る。

DLCによる四半期ごとの識字教室データ報告率

プロジェクト開始前 プロジェクト実施中

2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年

DLC 数 n.a. 412 386 416 416

提出 DLC 数 0 267 351 157 274

提出率(%) 0% 64.8% 90.9% 37.7% 65.9%

出所:プロジェクト提供資料

3-3 プロジェクト

期間中に少な

くとも2回、識

達成状況:第 1回終了時で達成済みと判断されたものの、再強化が必要

・当該指標は、第 1 回終了時評価において、識字年次報告書が 2010 年、2011 年に 2 回発行されたことから達成済みと判断さ

れた。

3 脚注 2 参照。

-100-

Page 131: アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロ …i 第2回終了時評価調査結果要約表 1.案件の概要 国名:アフガニスタン・イスラム共和国

字活動に関す

る分析と提言

を含む年次状

況報告書が作

成され、発行

される。

・第 2 回終了時評価において、当該成果がどの程度維持されているか確認したところ、2012 年、2013 年度版は発行されたも

のの、これまで 3 回識字局副大臣が交代し、都度、報告書の調査項目(報告内容)が変更され、当初プロジェクトがめざ

していた識字教育参加者の推移、モニタリング・アセスメント・技術支援の 3 項目のインプット後の変化等は収集されて

いない。プロジェクトは、識字局のフォーマットの中で LEAF2 の活動内容に関連した項目が抜けている項目を入れてもら

った。活動内容を広げ、データ収集・入力・分析に係る業務実施についてはプロジェクトの残り期間で立て直しを図って

いく予定である。

4. 技術支援の方策

が開発される。

4-1 少なくとも三

つの技術支援

ツールがパイ

ロット地域で

試行される。

達成状況:達成済みかつ進行中

技術支援ツール TWG によって第 1 回終了時評価時点までに七つの技術支援ツールが開発・試行された。その後一つの技術

支援ツールが開発・試行された(下表参照)。加えて、学習者中心の識字教育概要、識字教育指導法、識字教育におけるさま

ざまな問題点に関する Q&A セッションを含む技術支援マニュアルが 2015 年 9 月末に完成見込みである。

開発された技術支援ツール

№ 県 名 年 次 開発された技術支援ツール モニタリングマ

ニュアル記載

1 バルフ 1 年次 啓発キャンペーン用ポスター、紙芝居 -

2 バルフ 1 年次

補助教材・教具(アルファベットカード、数字カー

ド、キーカード、補助教材を使った授業案集・マニ

ュアル等)

-

3 バルフ 2 年次 TV キャンペーン用制作映像 2 種 -

4 ナンガルハル 1 年次 啓発キャンペーン用ポスター、紙芝居、寸劇 -

5 ナンガルハル 1 年次~

2 年次

補助教材・教具(九九・足し算チャート、アルファ

ベットカード、数字カード、識字テレスコープ、授

業案マニュアル、補助教材の作り方・使い方マニュ

アル、算数ドリル等)

-

6 ナンガルハル 1 年次~

2 年次 TV キャンペーン用制作映像 2 種 -

7 カブール 2 年次 レッスンプラン教本及び同教本の内容を教授する研

修アジェンダとセッションプラン あり

8 カブール 3 年次 教授法ガイドライン及び同ガイドライン内容を包含

する研修アジェンダとセッションプラン あり

出所:プロジェクト提供資料

4-2 少なくとも二

つの技術支援

の方策がモニ

タリングマニ

ュアルに含ま

れる。

達成状況:達成済み

上記八つの技術支援ツールのうち、カブールで開発されたレッスンプラン教本が一つ目の技術支援の方策としてモニタリ

ングマニュアルの 5 章に掲載されていることが第 1 回終了時評価で確認された。その後、教授法ガイドラインの内容を包含

する研修アジェンダとセッションプランが二つ目の方策として最終版のモニタリングマニュアルに掲載された。

-101-

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投 入

アフガニスタン側

投入

カウンターパート

人材の配置

・第 2 回終了時評価時点で計 59 名がプロジェクト活動にかかわっており、プロジェクトに配置された延べ人数は 109 名であ

った(終了時評価ミニッツ Annex 5 参照)。

識字局及びプロジ

ェクト対象県にお

けるプロジェクト

執務室の確保

・識字局内に執務室が提供された。2012年 8 月に JICAアフガニスタン事務所から治安上の理由から執務室の移転が指導され、

識字局から提供された執務室はそのまま残し、カブール首都圏開発計画推進プロジェクトにも執務スペースを確保した。

・ナンガルハル県では PLC に執務室を設置することができず、JICA ジャララバード連絡事務所内に執務室を設けたが、2012

年 4月に同連絡事務所の移転によりスペースが確保できなくなったため LEAF2のスタッフが所有する物件の一室を使用し

ている。

・バルフ県では PLC の敷地内に執務室が提供された。

ローカルコスト負

・カブールとバルフ県の執務室の光熱費は問題なく負担された。

日本側投入 日本人専門家の配

・合計 20 名の日本人専門家が派遣された(終了時評価ミニッツ Annex 6 参照)。

・専門分野は①総括、②副総括、③識字政策/援助協調、④識字アセスメント、⑤教材開発、⑥研修管理、⑦データ管理、⑧

識字教室運営、⑨番組プロデューサー、⑩制作プロデューサーの 10 分野である。

・日本人専門家の合計業務従事期間は、実績 166.23MM/計画 168.00MM となっている。

第三国研修 これまでに計 3 回の第三国研修が実施された(下表及び終了時評価ミニッツ Annex 8 参照)。

開催国 期 間 内 容 参加者

バングラデシュ 2011年 5月 30日

~6 月 9 日

バングラデシュにおける識字教育の現状と過程に対す

る理解を深め、モニタリング評価、学習達成度アセスメ

ントの観点から、アフガニスタンの識字養育プロジェク

ト改善のためのアクションプランを策定する

識字局、PLC より 6 名

インド 2012 年 10 月 8~

21 日

インドにおける識字教育の現状と過程に対する理解を

深め、学習達成度アセスメント、データ収集・報告に対

する理解を深め、アクションプランを策定する

識字局、PLC より 12 名

パキスタン 2014 年 10 月 21

日~11 月 3 日

学習者のニーズに合致したカリキュラム開発、識字活動

へのコミュニティの巻き込み及び啓発活動、識字ファシ

リテーター等職員の能力向上

識字局より 11 名

本邦研修 ・2015 年 6 月 6 日~15 日にラジオ・テレビ・アフガニスタン(RTA)職員 8 名を対象に、主に映像制作の技術面における講

義及びワークショップを実施した(終了時評価ミニッツ Annex 8 参照)。

プロジェクト実施

に必要な資機材

・コンピュータ、プリンタ、プロジェクター、コピー機、ビデオカメラ、空調機、ジェネレーター(終了時評価ミニッツ Annex

7 参照)

ローカルコスト負

・研修費

・教材作成費

・パイロット活動費

・シャンティ国際ボランティア会(SVA)への全国モニタリング研修の外部委託費(3 年次、4 年次)

-102-

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2.実施プロセス

評価設問 調査結果

大項目 小項目

活動の実施状況 成果 1(すべての識字教室を網

羅するモニタリング及び技術

支援の枠組みの開発)に対する

活動は計画どおりに実施され

ているか

進捗:全国研修の実施に関して、一部遅延あり

・第 3 年次に実施した全国研修は、すべての PLC 及び DLC をカバーしたものの、現地の治安悪化などにより研修

を実施できる期間が当初予定より短縮されたため、想定していた対象者全員に対して研修を実施することができ

なかった。このため、参加できなかった対象者への研修を第 3 年次の延長時に実施する予定で、研修支援業務が

JICA アフガニスタン事務所より公示されたものの、委託先が決まらず、第 4 年次に延期された。

・第 4 年次にこれまでと同様に全国を六つのゾーンに分け、2015 年 6 月までにカブールで 3 回、ナンガルハル県

で 1 回、バルフ県で 3 回実施する予定であったが、5 月下旬よりカブール近隣の対象県からカブール県への陸路

移動について治安上の懸念が識字局より示されたため、一部の研修はラマダン後に日程を再調整せざるを得なか

った。

成果 2(識字コース終了時の学

習者の学習達成度を測る方策

の開発)に対する活動は計画ど

おりに実施されているか

進捗:ほぼ計画どおりに進行

・学習達成度評価実施の補助教材(映像教材)の作成のため、3 年次に TWG による学習達成度評価の現状分析が

行われた。その後 4 年次に継続して、開始前・第 1・第 2・第 3 アセスメントの 4 段階の映像教材の作成が 2015

年 7 月までに完了する計画に対して、ほぼ計画どおりに進捗している。

成果 3(データの報告及び情報

共有に係る方策の開発・実施)

に対する活動は計画どおりに

実施されているか

進捗:遅れている

・識字局と UNESCO は NFE-MIS データベース構築のためにデータ収集フォーマットを統合する責務を担ってお

り、プロジェクトは全国研修を通して PLC/DLC モニターに普及する役割を担っている。しかしながら、NFE-MIS

のフォーマットは識字局と UNESCO が常に改訂を行っているため、プロジェクトのフォーマットには差異がみ

られていた。識字教育マネジメントシステムのなかでモニタリング機能を強化することは重要であり、第 1 回終

了時評価においては、NFE-MIS と体系的モニタリングを行うための調整が提言されていた。

・当該活動に関しては、2014 年 5 月に識字局の NFE-MIS 職員の辞職後、技術移転を行う識字局職員が不在のため

活動が実施できない状態である。

成果 4(技術支援の方策の開発)

に対する活動は計画どおりに

実施されているか

進捗:ほぼ計画どおりに進行

・TWG 及びマスタートレーナーによるパイロット DLC を対象とした学習者中心の識字教育を実施するための 2

日間の技術支援研修が実施された。

・3 年次の技術支援結果を基にした技術支援ツールの開発が TWG を中心に行われた。

・2015 年 5 月以降、識字局と RTA から成る識字教育映像 TWG と日本人専門家によりテレビ、ラジオによる識字

啓発活動が開始され、8 月上旬に放映された。

プロジェクトの

マネジメント体

活動実施・結果はプロジェクト

内でどのように記録・共有され

ているか

・総括・副総括・各活動の担当者が主として実施。インドに専門家を派遣するようになって以降、インド業務に従

事する専門家が、各分野の担当者と協議のうえ、インド事務所にてカウンターパート、ナショナルスタッフと直

接またはインターネット・電話を通じて活動の成果の確認やモニタリングを行う。

・専門家チームは、月に一度 TODO リストやカウンターパートへの進捗状況のヒアリング結果を共有。

成果・目標の指標モニタリング

はどのように行われているか

・上記のとおり、活動の進捗は毎月 1 回、確認を行っている。

・指標のモニタリングに関しては、プロジェクト目標の指標に関してはベースライン調査、エンドライン調査を通

-103-

Page 134: アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロ …i 第2回終了時評価調査結果要約表 1.案件の概要 国名:アフガニスタン・イスラム共和国

〔データ収集・共有、問題があ

るときの対応方法、プロジェク

ト・デザイン・マトリックス

(PDM)の改訂等〕

じて実施されてきた。成果指標については、専門家、ナショナルスタッフを中心にデータが取りまとめられ、カ

ウンターパートと共有されている。達成済みの指標に関しても、その後プロジェクトの効果が維持されているか

確認をする必要があったが、達成済みであることを理由にモニタリングはされていなかった。

・上位目標の指標については、NFE-MIS とプロジェクトのモニタリングデータの調整中であるため、モニタリン

グを開始するに至っていない。

コミュニケーシ

ョン

専門家とカウンターパートの

コミュニケーションは良好か

・日本人専門家、カウンターパート、ナショナルスタッフの関係は大変良好である。識字局のカウンターパートに

対する質問票の回答結果では回答者 23 名のうち 19 名が「大変良い」「良い」と回答している。

・2013 年 6 月末よりアフガニスタンへの日本人専門家の派遣が原則禁止となった。それ以降、インドやパキスタ

ンなどアフガニスタンからアクセスの良い第三国での会議、日本からナショナルスタッフが中継してメールや電

話、Skype によるコミュニケーションがとられた。

・しかしながら、メールや Skype のみでは業務の質を維持することが困難であることから、業務を効率的に行うた

め、2015 年 3 月(4 年次)にインドにプロジェクト事務所を開設し、業務日時をアフガニスタンに合わせるとと

もに、ナショナルスタッフを頻繁にデリーに配置することにより日常業務における密なコミュニケーションの確

保に努めた。

・上記のとおり、直接 TWG メンバーとしてプロジェクト活動に従事するカウンターパートとの関係は良好である

ものの、識字局は、アフガニスタンにおける日本人専門家とカウンターパートの直接の協働作業を強く望んでい

ることもあり、プロジェクトのナショナルスタッフ、カウンターパートのインド渡航が当初の計画に比べて少な

くなっている。そのため、直接のコミュニケーションの機会は想定より少ない。

相手国のプロジ

ェクトへの関与

カウンターパートはプロジェ

クト活動に積極的に参加し、

オーナーシップは高いか

・カウンターパートは TWG を通じて主体的にモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール等の作成に積極的

に参加してきた。実際、カウンターパートの自己評価においても、ほとんどのカウンターパートが参加度を非常

に高い、あるいは高いと評価している。

・このように個別の活動においては、カウンターパートの積極的な参加が認められた。プロジェクトの活動を通じ

て識字局→PLC への技術移転が少しずつ進んでいる状況であり、今後 DLC→ファシリテーターへの技術移転の

展開が必要となり、識字局のさらなるイニシアティブの発揮が期待される。

適切なカウンターパートが配

置されているか

・全体的には能力及び理解力(理解をしようという意思)はあり、プロジェクト実施において有効であった。

・成果 3 のデータ収集に関しては、2014 年 5 月に前任者が離職以降、UNESCO ELA により雇用される予定の識字

局職員が雇用されず長く不在が続いている。

-104-

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3.5項目評価

妥当性

評価設問 調査結果

大項目 小項目

アフガニスタンの開

発政策との整合性

プロジェクト目標及び上

位目標はアフガニスタン

の開発政策と整合してい

るか

・アフガニスタン政府は 2015-2024 を「変革の 10 年(Transformation Decade)」と設定し、以下の五つの重要課題

を掲げている。①ガバナンス、②治安、③和平プロセス、④経済及び社会開発、⑤地域協力。

・第 3 次国家教育戦略(NESP3、2015~2020)では、①普通・イスラム教育、②カリキュラム改善と教師教育、③

技術・職業教育訓練、④識字教育、⑤教育行政の向上を優先プログラムに掲げている。

受益者ニーズとの整

合性

プロジェクト目標及び上位

目標はアフガニスタン社会

のニーズに合致しているか

・アフガニスタンの識字率は 2012 年 33%(女性 18%、男性 48%)、2013 年 36%(女性 20%、男性 50%)であり、

依然として低い状況にある(出所:実施機関提供資料

日本の援助政策との

整合性

プロジェクト目標及び上

位目標は日本の援助政策

と整合しているか

・日本政府は 2012 年 7 月に開催された東京会合で、アフガニスタンに対し 2012 年よりおおむね 5 年間で、①農業、

②インフラ整備、③人づくりの分野に対し最大約 30 億ドル規模の支援を行うことを表明した。

・2013 年 4 月の「対アフガニスタン国別援助方針」においては、重点分野の一つに「開発支援(持続的・自立的発展の

ための支援)」を掲げ、経済成長を支える人づくり支援を継続するため、教育や保健分野も重視する方針としている。

手段の適切性 プロジェクトのアプロー

チはアフガニスタンの教

育セクターの開発課題に

対して効果を上げる戦略

として適切か

・プロジェクト開始時のプロジェクトの位置づけは、UNESCO のアフガニスタン国での識字教育全体活動の内、モ

ニタリング、アセスメント、補助教材開発及び識字データ管理の 4 点を本プロジェクトにて実施することにあっ

た。識字モニタリングシステムをカスケード方式で全県・全郡の識字局へ広める方法は、移動制限が厳しいアフ

ガニスタンにおいて戦略としても適切であったと(出所:質問票回答)。

ターゲットグループの選

定は適切か

・本プロジェクトは、全国の県、郡までターゲットグループとした。四つの成果(モニタリング・アセスメント・

補助教材開発・識字データ管理)は、全国で実施されることにより、その効果が発現されるものであり、全国を

対象としたターゲットグループの選定は適切であった。

ターゲットグループ以外

への波及性はあるか

・2013 年 12 月に施行された国家識字戦略において「識字局と JICA/LEAF2 が開発したモニタリングフォーマット

を含むモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ収集ガイドラインを全国の識字活動をモニ

タリング・評価する標準的なツールとして使用する」と明記されたため、全国の PLC/DLC や識字教育にかかわ

る関係者への波及性は高い。

・プロジェクトによる全国研修は、識字局/PLC/DLC 職員に加え、識字教育を実施する国際機関や NGO 等のステー

クホルダースタッフも対象にしていることから波及性を配慮して研修が実施された。

日本の技術の比較優位性

はあるか

・教育行政支援としては日本の経験を生かせると思われるが、成人識字については日本の優位性は必ずしも高いも

のではない(出所:質問票回答)。

その他 第 1 回終了時評価以降の

プロジェクトをとりまく

環境(政策、経済、社会な

ど)の変化はあったか

・プロジェクトの妥当性に影響する環境の変化はなし。

-105-

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有効性

評価設問 調査結果

大項目 小項目

(プロジェクト目標

の達成)

プロジェクト目標の

達成は見込まれるか

指標 1(PLC/DLC 及び関係

者によるモニタリングマ

ニュアル活用)の全国レベ

ルでの活用状況はどの程

度か

・実績の項目で確認

(プロジェクト目標

の達成)

成果の産出状況はど

の程度か

四つの成果のそれぞれの

指標の達成状況は目標値

に対してどの程度か

・実績の項目で確認

(因果関係)

成果はプロジェクト

目標達成のために十

分であるか

四つの成果は、識字教育の

質向上のため、識字行政機

関によるモニタリング・技

術支援の能力強化に必要

十分な手段であるか

・必要十分であったと考えるが、モニタリング・アセスメント・技術支援が相関関係を保ちながらプロジェクトの

進捗が図られていたのに対し、識字年次報告書は識字局の都合で調査項目(報告内容)がたびたび変更され、当

初意図していた識字教育参加者の推移・他 3 項目のインプット後の変化等、継続的なデータ収集が阻害された。

そのため、成果 3 のプロジェクト目標であるモニタリング能力の向上への貢献は限定的である。

(因果関係)

プロジェクト目標達

成に至るまでに外部

条件の影響はあった

研修を受けたモニターは

大幅に減少していないか

・影響なし(研修を受けたモニターの数の大幅な減少は特に認められていない)

(因果関係)

PDM に記載された外

部条件以外にプロジ

ェクト目標達成の貢

献・阻害要因はあるか

PDM に記載された外部条

件以外にプロジェクト目

標達成に影響した外部要

因(促進要因・阻害要因)

はあったか

・上記のとおり、UNESCO-ELA による NFE-MIS が計画どおりに実施されなかったことは本プロジェクトの成果、

ひいてはプロジェクト目標の達成に影響を及ぼした。

効率性

評価設問 調査結果

大項目 小項目

(成果の産出)

成果の達成度はどの

程度か

成果指標の達成度は目標

値に対して適切か

・実績の項目で確認

-106-

Page 137: アフガニスタン・イスラム共和国 識字教育強化プロ …i 第2回終了時評価調査結果要約表 1.案件の概要 国名:アフガニスタン・イスラム共和国

投入は量・質ともに

過不足なく、タイミ

ングよく行われたか

アフガニスタン側の投入

は適切であったか

・全体としては適切であった(出所:質問票回答)。

・しかしながら、日本人のアフガン渡航が制限され、2013 年 8 月からの本格的な第三国業務の開始以降、日本人専

門家チームは当初はインドにおける業務時は毎回識字局からの渡航を考えていたが、アフガニスタン以外での業

務に識字局の支持が得られていない。アフガニスタンにおける業務が不可能であるなかで、できる限り可能な方

策に対して、計画どおりの派遣がなされていれば、コミュニケーションの円滑化につながったと思料される。

年 次 予 定 実 績

第 2 年次

(2013年 8月~2014年 1月末)

4 回、計 71 名(当初は毎回の識

字局からの参加を想定)

・ナショナルスタッフ 5 回、延べ 37 名

・識字局職員 1 回(14 名)

計 51 名

第 3 年次

(2014 年 3 月~2015 年 1 月)

7 回、計 56 名(うち識字局は 3

回程度を想定)

7 回、ナショナルスタッフ延べ 56 名、識字

局職員延べ 18 名(3 回。うち 1 回は第三国

研修と組み合わせての渡航)、計 74 名

第 4 年次

(2015 年 3 月以降)

ナショナルスタッフ 2 名のイン

ド常駐(3 週間程度のインター

バル)×14 回

15 名×4 回の全体会議

RTA と識字局による映像制作イ

ンド研修 15 名(ナショナルスタ

ッフ、識字局、RTA)×3 回

・ナショナルスタッフの常駐なし。2 名程

度の短期出張(平均 1 週間程度)を 6、7

度程度実施

・全体会議なし

・アフガニスタン側から提供された執務室に関しては、カブールのプロジェクトオフィスはスタッフの数に比べて

狭すぎ、資料を置くスペースもないなど業務遂行上支障を来した。また、パイロット県のオフィスのうち、バル

フ県のオフィスは問題なかったが、ナンガルハル県のオフィスはカウンターパート機関に設置することができず、

JICA ジャララバード事務所を間借りしていたが、同事務所の移転によりスペースが確保できなくなったためスタ

ッフが所有する物件の一室を使用していた。

日本側の投入は適切であ

ったか

・日本人専門家の派遣に関しては、質問票回答やヒアリング結果より、専門分野、派遣期間、人数等はおおむね適

切だったと判断できる。インド常駐体制以降は、総括・副総括が必ず現地に滞在する切れ目のない管理体制を維

持し、専門家同士で連絡を密に取りながら、アフガニスタンにいる関係者に指示を行っている。

・当該プロジェクトには業務調整が配置されていないが、インド事務所開設以降、インドにおける管理業務が発生

していること、識字局から十分な理解を得られずアフガニスタンからのナショナルスタッフの渡航がやや制限さ

れ日本人専門家とナショナルスタッフが直接やり取りできないため、アフガニスタンでの資金管理業務が煩雑と

なったことなどを勘案すると、業務調整担当者の配備があれば、業務効率が向上したものと思われる。

・合計 3 回実施された第三国研修については、参加したカウンターパートの帰国後、TWG の活動に反映されており、

各アウトプットの達成に有効であった。

・4 年次(2015 年)に RTA 職員 8 名を対象に実施された映像制作の技術面における本邦研修は、本邦研修実施前に

撮影したドラフト映像や収録されたラジオ番組を本邦研修中に技術的に改善させることができたことが、参加者

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にとっても学びとなった(出所:質問票回答)。

(因果関係)

活動から成果達成に

至るまでに外部条件

の影響はあったか

パイロット地域におい

て、治安及び社会・経済状

況の悪化は成果産出にど

の程度影響したか

・治安により、アフガニスタンにおける移動制限(White city)があり、国内出張にて予定していた出張先へ行けな

い(特に郡部)などがあり、全国研修の実施場所やスケジュールを変更せざると得ないなど、成果の達成進捗に

影響した。

LIFE下の調整機能は継続

しているか

・プロジェクト開始当初は、UNESCO と識字局が LIFE を仕切っていたが、数年前に LIFE の調整が UNESCO から識

字局に移管されて以来 LIFE はそれほど機能していない。LIFE が機能していたころは、LIFE を通じて NFE-MIS な

ど他機関の活動進捗の確認を行うことができていたが、現在はこうした機能は存在していない。

カウンターパートは頻繁

に異動していないか

・カウンターパートの頻繁な異動は特に確認されていない。

(因果関係)

PDM に記載された

外部条件以外に成果

達成の貢献・阻害要

因はあるか

その他、PDM に記載され

た外部条件以外に成果産

出に影響した外部要因

(促進要因・阻害要因)

はあったか

・NFE-MIS 稼働の遅延

インパクト

評価設問 調査結果

大項目 小項目

プロジェクト終了 3

~5 年後に上位目標

の達成は見込まれる

今後も継続的に修了率

が改善される見込みは

あるか

・詳細は「プロジェクトの実績」を参照

学習者の学習達成度が

改善される見込みはあ

るか

(因果関係)

プロジェクト実施は

上位目標達成向けて

貢献しているか(して

いくか)

識字行政機関によるモ

ニタリング・技術支援の

能力強化は、アフガニス

タン国における識字教

育の運営と質の改善に

対して十分か

・プロジェクトが開発したモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール等は既に識字活動をモニタリング・評価

する標準的なツールとして PLC や DLC にも配布されていることから、モニタリング・技術支援における運営と質

の改善に貢献している。

・他方、上位目標である識字教育の運営と質の改善を達成するには、モニタリング・技術支援に関する行政能力の向

上のみならず、指導をするファシリテーターの能力強化及びファシリテーターの能力強化を担う人材の育成、修了

や学習達成向上を阻害する要因が行政、ファシリテーター、学習者・家族・コミュニティ側にあるかどうかを調査

し、それに対処していくこと(そのための行政の能力強化含む)が必要である(質問票回答)。

・目標レベル(具体的な指標)にもよるが、治安や全国展開に必要な期間等を勘案しつつ、上位目標の具体的な指標、

上位目標達成に向けたモニタリング計画をプロジェクト終了までに策定することが望まれる。

(因果関係)

上位目標達成に必要

識字に対する政策的な

優先度は今後も維持さ

・教育セクターの政策文書は識字教育を優先分野とすることを明記しているため、今後維持される見込みはある。他

方、年度により変動が大きい識字局の予算の推移を勘案すると、財政面での持続性が上位目標達成に影響を及ぼす

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とされる外部条件は

今後、目標達成に影響

しそうか

れる見込みはあるか 可能性はある(質問票回答)。

(因果関係)

PDM に記載された外

部条件以外に上位目

標達成に対する貢

献・阻害要因はあるか

その他、PDM に記載さ

れた外部条件以外に上

位目標達成に影響し得

る要因(促進要因・阻害

要因)はあるか

・プロジェクトの効果がさらに全国に普及されるには、治安の安定化が必要な要件となる(質問票回答)。

(波及効果)

上位目標以外の正負

のインパクトは生じ

たか

プロジェクトの実施に

よる正のインパクトは

生じているか

・ファシリテーターによる識字コース運営の改善

・パイロット県におけるファシリテーターへの聞き取り調査の結果、回答者 12 名のうち 10 名が「自分の指導力が大

いに改善した」、2 名が「少し改善した」と回答している。その背景には、モニターによる支援が改善したことが

挙げられる。例えば、以前は、モニターは識字クラスに来ても改善策を提案せずに、問題点だけを伝えていたが、

現在ではレッスンプランの作成やレッスンプランをどのように識字教室に生かすか、レッスンでどの部分を改善す

るか等の具体的な提案が得られるようになった。そのことにより、教室運営に自信をもつようになっている。

・学習者の識字能力向上

・ファシリテーターへの聞き取り調査の結果、識字教室に参加した学習者の変化として「看板が読める」「宗教本が

読める」「手紙が読める」「名前が書ける」「手紙が書ける」「書類が記入できる」「計算ができる」等の変化が確認

された。なかには、他の人の ID カードや他の書類のフォームを埋めることができるようになった学習者や、自分

の子どもに買い物に行かせるのに、買い物リストを子どもに渡せるようになるなど生活面に生かされている例も報

告された。

・メディアによる識字啓発活動による識字教育への関心の向上

・2015 年 8 月 5 日から 24 日までテレビ及びラジオによる番組を放送し、8 月 5 日から 9 月 3 日まで電話での問い合

わせ内容を記録した結果、問い合わせ件数は、8 月 5 日から 24 日まで 395 件、8 月 25 日から 9 月 3 日までは 48

件、計 443 件あった。

プロジェクトの実施に

よる負のインパクトは

生じているか

・女性の識字教室にて授業の様子をビデオ撮影した際、識字ファシリテーター及び学習者から許可を得て撮影をした

ものの、それを知った一部の学習者の家族が、その後、同学習者を教室へ出席させないということが発生した。女

性の家族が(後ろ姿のみであるが)ビデオ撮影に対し、反発したことが原因であった。この一件を通じ、プロジェ

クトでは、「現地女性への対応には必ず女性スタッフをあたらせる」「特に女性識字教室のビデオ撮影が必要な場合、

何度かその教室に通い、ファシリテーターや学習者のみならず、コミュニティの信頼を得てから撮影をする」等、

アフガニスタンの社会文化事情に配慮した対応をしている(質問票回答)。

持続性

評価設問 調査結果

大項目 小項目

政策・制度面 アフガニスタンの識字教育

分野に関する政策・制度面

・妥当性の項を参照

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の支援は継続される見込み

はあるか

プロジェクトの成果の他の

地域への普及を支援する取

り組みが確保されているか

・2013 年 12 月に施行された国家識字戦略においてモニタリングマニュアル、学習達成度評価ツール、識字データ

収集ガイドラインが識字活動をモニタリング・評価する標準的なツールとして使用されることが明記された。

組織・体制面 識字局は協力終了後もモニ

タリング・技術支援を継続

する能力はあるか(人員確

保、意思決定プロセス等)

・現在規模の人員確保がされれば可能である(出所:日本人専門家及びカウンターパートへの質問票回答)。

・プロジェクト開始以降、識字局、PLC、DLC の職員数は増加し続けており、一定の人員は確保されている(出所:

実施機関提供資料)。

・すべてのプロジェクト活動に TWG がかかわり、プロジェクトの成果物の内容はほぼすべて TWG が開発してお

り、オーナーシップも高く、活用はできる(質問票回答)。

PLC/DLC は協力終了後もモ

ニタリング・技術支援を継

続する能力はあるか(人員

確保、意思決定プロセス等)

識字局のプロジェクトに対

するオーナーシップは十分

に確保されているか

財政面 識字局は協力終了後もモニ

タリング・技術支援を継続

するための予算を確保でき

るか

・モニタリングについて、識字局は PLC や DLC からのモニタリング結果を受領するのみであるため人件費以外の

予算は必要なく、問題はない。

・技術支援については、モニタリング結果を基に支援内容を開発することは可能であるが、その内容を補助教材等

にまとめるのに独自予算はなく、他ドナーからの支援が必要になる。同様に、全国研修の継続的な実施、マニュ

アルやガイドラインを改訂した際の印刷、配布についても、予算は確保されていない。アフガニスタン政府の予

算が限定的であり、他ドナーの支援は縮小傾向にあるため、現時点で十分な予算を確保することは期待できない。

PLC/DLC は協力終了後もモ

ニタリング・技術支援を継

続するための予算を確保で

きるか

・モニタリングに関しては、これまでも実施してきており財政面での問題はない。

・人件費以外の予算は識字局から配分されていない。例えば、パイロット県では、PLC が実施するファシリテーター

研修は識字局からの予算がないため実施されていない。

技術面 カウンターパート、モニ

ター、ファシリテーターは

移転された技術、知識を十

分に習得したか

・上述のとおり、TWG がモニタリングマニュアルや学習達成度評価ツールの作成を協働で行い、各研修で講師を

務め、エンドライン、ニーズアセスメント調査等も一緒に行っていることから、識字局職員は技術・知識を十分

に習得している(出所:日本人及びカウンターパートへの質問票回答)。

・プロジェクトによるフォローアップ調査によれば、研修の参加者は研修内容を実際の業務に活用しているという

結果が出ている。また、第 2 回終了時評価の聞き取り調査結果からも、PLC や DLC のファシリテーターへの支

援は大いに改善され、パイロット県のファシリテーターは研修で学んだ技術、知識を識字コース運営に生かして

いることが確認された。ただし、パイロット県以外のファシリテーターやモニターまでの末端レベルまでの技

術・知識の普及には識字局による継続的な支援が必要である(出所:質問票回答)。

・また、年次状況報告書については、プロジェクト期間中に、頻繁にフォーマットが改訂され、十分に定着してい

ないことから、継続して活用・発展させる能力が組織的に根付いているかどうか、継続的な支援が必要である(出

所:質問票回答)。

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社会・文化面 女性、貧困層、社会的弱者

への配慮不足により、効果

の持続を妨げる可能性はな

いか

・プロジェクトを通じて、そうした人々への配慮を心がけており、その可能性は低い(出所:質問票回答)。

その他 国際社会において識字教育

に対するコミットメントが

維持されるか(上位目標維

持に向けた外部条件)

・一定程度のコミットメントは維持されると思われるが、ドナー、NGO の支援が減少傾向にあることが懸念され

る(出所:質問票回答)。

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