ドプラモードを克服しようオーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーは近づいてくる物から...

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ドプラモードを克服しよう 慈恵医大柏病院 井野貴明

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Page 1: ドプラモードを克服しようオーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーは近づいてくる物から 発せられる音は高く聞こえ、遠ざかる音は低く聞こえるという現象を、

ドプラモードを克服しよう

慈恵医大柏病院

井野貴明

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ドプラモードが苦手!!

なぜ苦手なのか

簡単な操作は分かる

設定に自信がない

この画像は信用この画像は信用この画像は信用この画像は信用できる?できる?できる?できる?

評価できない・・。評価できない・・。評価できない・・。評価できない・・。

もっと綺麗なもっと綺麗なもっと綺麗なもっと綺麗な画像になるかも画像になるかも画像になるかも画像になるかも

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苦手を克服するには

・基礎を学ぶ

・機器操作の練習

・テクニックを習得

・経験を積む

本日のお題

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オーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーは近づいてくる物から発せられる音は高く聞こえ、遠ざかる音は低く聞こえるという現象を、1842年に数学的な関係式より見出しました。

フランスのアルマン・フィゾーが、光についてもこの理論があてはまることを実証し、光源が遠ざかるときは光は赤い方へ偏移し(赤っぽく見え)、近づくときは青い方へ偏移する(青っぽく見える)ことを明らかにしました。天体の光のドップラー効果のことをドップラー・フィゾー効果と呼ぶことがあります。

日本超音波医学会では、Doppler の英語発音に近い「ドプラ」と表記・発音する。

物理・数学・天文学者

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ドプラ効果を利⽤して⾎流情報を画像や数値にして表示

① カラー画像CFM, CDI, PDI, Power, C-Angio, etc

② FFT解析⾎流波形、流速値(最⾼・最低・平均)、⾎流量

PI(拍動係数),RI(抵抗係数) ,AcT(収縮期加速時間)

医療におけるドプラ法の利用

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⾒せる

計測する

➡ 表現

➡ 正確

要求

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普段の検査で使用

・カラーモード

・パワーモード

・ドプラモード

・プローブに向かう⾎流は 赤系

・プローブから遠ざかる⾎流は ⻘系

・方向依存性がない(単色系)

・感度が⾼い

・波形が表示される

・流速値が表⽰される

・カラーゲインでカラー表⽰の程度を調整する

・PRFつまみで流速を合せる⇒折り返しを無くす⇒カラーモード、⾎流波形

この程度、理解

していれば検査できます︕︕

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折角なので、復習の折角なので、復習の折角なので、復習の折角なので、復習のつもりでスライドつもりでスライドつもりでスライドつもりでスライドをお楽しみ下さい。をお楽しみ下さい。をお楽しみ下さい。をお楽しみ下さい。

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本日の内容

① ドプラ効果について

② ドプラ偏位について

③ 周波数成分(スペクトル図)について

④ 折り返し現象について

⑤ 画質設定

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ドプラ効果

動きのある反射体で発生

①体内では流動する血液より発生②探触子は流れを検知する為に固定

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動く血球をとらえる

赤血球が最も多い

一般的には一般的には一般的には一般的には赤血球を反射赤血球を反射赤血球を反射赤血球を反射ととととしてしてしてしてとらとらとらとらえるえるえるえる

血漿に反射体は無い

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ドプラ効果の原理

AAAA BBBB

高音(高周波)高音(高周波)高音(高周波)高音(高周波) 低音(低周波)低音(低周波)低音(低周波)低音(低周波)

ドプラ発生ドプラ発生ドプラ発生ドプラ発生 ドプラ発生ドプラ発生ドプラ発生ドプラ発生

ドプラ発生ドプラ発生ドプラ発生ドプラ発生

高音(高周波)高音(高周波)高音(高周波)高音(高周波)

静止状態静止状態静止状態静止状態

13

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赤い音源が左手に向かって等速で動いている場合。物体の前方の周波数は上がり、後方は下がる。前後以外の方向の周波数も変化している

波の源が左側に移っている。周波数は右よりも左の方が高い。

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動いている血球(赤血球)によりドプラが発生する

固定

血流(+)

生体中では

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血流が無い場合

受信周波数受信周波数受信周波数受信周波数====送信周波数送信周波数送信周波数送信周波数

送信周波数送信周波数送信周波数送信周波数

受信周波数受信周波数受信周波数受信周波数

ドプラは検出されない

ビーム方向

血流方向血流方向血流方向血流方向

②②②②

血流がある場合

ビーム方向

血流方向血流方向血流方向血流方向

①①①①

受信周波数受信周波数受信周波数受信周波数====送信周波数送信周波数送信周波数送信周波数 ++++ ドプラドプラドプラドプラ偏位周波数偏位周波数偏位周波数偏位周波数

F0 +Fd

受信周波数受信周波数受信周波数受信周波数====送信周波数送信周波数送信周波数送信周波数 ---- ドプラドプラドプラドプラ偏位周波数偏位周波数偏位周波数偏位周波数

F0 -Fd

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Fd=C

2・V ・cosθ・F0

Fo(MHZ)

Fo±±±±Fd((((HZ))))

θ

V m/s

Fd : ドプラ偏位周波数F0: 送信周波数

V : 流速

θ : 入射入射入射入射角度C : 音速(1530m/s)

ドプラ法の公式

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F0

F0ーFd

-V +V fdA=C-V

C・f0fdB=

C+V

C・f0

C-Vcosθ

C・f0

θ

実際は角度が付いているC+Vcosθ

C・f0fdB= fdA=

ドプラ偏位周波数Fdとは⇓

うなり

fdA- fdB

Fd=C-Vcosθ

C

C+Vcosθ

C・f0-

=C2-V2cos2θ

2CVcosθ・f0

C⋙V

VがCに比べ十分に小さいと仮定 Fd≒C2

2CVcosθ・f0

C

2・Vcosθ・f0≒Fd

血球が近づく場合血球が遠ざかる場合

ドプラの公式を求めよう

(A)(B)

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ドプラを使用する目的

Fd=C

2・V ・cosθ・F0

V=C

2・cosθ F0

・Fd

Fd : ドプラ偏位周波数F0: 送信周波数V : 流速

θ : 入射入射入射入射角度C : 音速(1530m/s)

血流速度を求めることができる

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ドプラ法

連続波ドプラ

パルスドプラ

カラーフローマッピング

・連続波を使用。送受信を別々の素子で行う

・位置情報がない(全ドプラ偏位をまとめて表示)

・表示は血流の波形、数値

・高速な流速に対応(循環器系)

・パルス波を使用。同一素子で行う

・位置情報がある(SVにてゲート部分の血流測定が可能)

・表示は血流の波形、数値

・低速な流速に対応(表在、腹部)

・パルス波を使用。同一素子で行う

・位置情報がある(設定表示エリアにパルス波を照射)

・表示は方向、流速に合わせたカラー表示

・低速な流速に対応(表在、腹部)

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【カラードプラ法】

・得られたドプラ成分をカラーで表示

・プローブに向かう⾎流︓赤 系

・プローブから遠ざかる⾎流︓⻘ 系

高速高速高速高速

高速高速高速高速

0

プローブプローブプローブプローブ

超音

波ビ

ーム

プローブプローブプローブプローブ

超音

波ビ

ーム

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血流と超音波ビームの角度

90°

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PVシャント

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②ドプラ偏位について

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連続波

送信 受信

F0 F0+Fd

+Fd

F0ーFd

-Fd

ドプラ偏位ドプラ偏位ドプラ偏位ドプラ偏位

F0

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10 10.002

10MHz

10.002MHz

10MHzを送信して10.002MHzを受信した場合、+2000Hzのドプラ偏位を受信し続ける

MHz

➡この可聴音である2000Hzがドプラ偏位周波数となる

連続波

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パルス波のドプラ偏位についてパルス波のドプラ偏位についてパルス波のドプラ偏位についてパルス波のドプラ偏位について

パルス波

送信 受信

+Fd

-Fd

F0

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10 10.002

10MHz

10.002MHz

10MHzを送信して10.002MHzを受信した場合、+2000Hzのドプラ偏位を受信し続ける

MHz

➡連続波と同様に2000Hzのドプラ偏位をうける

パルス波

中心周波数10MHzを送信

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ちょっとまって!!

何故、パルス波を使用するの?

Ans. パルス波ではドプラ偏位の発生している位置(深度)が分かります。

(参考)B-modeもパルス波なので深さ方向の

反射強度をグレイスケールで表示します。

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同時受信同時受信同時受信同時受信されるされるされるされるドプラ信号ドプラ信号ドプラ信号ドプラ信号

上図の場合、3種類のドプラ信号を受信する

反射位置が同定できない

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サンプルボリューム(ゲート)サンプルボリューム(ゲート)サンプルボリューム(ゲート)サンプルボリューム(ゲート)

目的の脈管(深度)にゲートをかける目的の脈管(深度)にゲートをかける目的の脈管(深度)にゲートをかける目的の脈管(深度)にゲートをかける

パルス波では時間・距離・速度の関係が成立するので

目的部位のみ信号を抽出できる

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③周波数成分(スペクトル図)について

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何故、こうなるの︖︖

単一パルス

パルス波

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連続波 周波数成分 スペクトル図

線スペクトル線スペクトル線スペクトル線スペクトル

単一パルス波

連続スペクトル連続スペクトル連続スペクトル連続スペクトル

① 単一パルスが連続スペクトルになる理由!!

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連続スペクトル

離散スペクトル

単一パルス

連続するパルス波

② 連続するパルス波が離散スペクトルになる理由!!

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tttt

1秒間のパルス数が PRF(パルス繰り返し周波数)となります

PRF

パルス周期(t)と周波数は逆数の関係 PRF=1/t

tttt

パルス周期(t)が小さくなりPRFが高くなると、離散スペクトルの間隙が広まります

PRF

時間時間時間時間

周波数周波数周波数周波数

Page 38: ドプラモードを克服しようオーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーは近づいてくる物から 発せられる音は高く聞こえ、遠ざかる音は低く聞こえるという現象を、

④ 折り返し現象について

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折り返し

ベースラインシフト

PRF↑

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F0

F0

連続波の場合、大きなドプラ偏位でも色相が反転することは無い

(大きなドプラ偏位でも=どんなに速い血流でも)

パルス波の場合、PRF/2以上の

大きなドプラ偏位を受けると色相が反転します。

これが「折返し現象」です

PRF

PRF/2

連続波

パルス波

ドプラ偏位の方向で「赤・青」が決まる

折り返しを回避するには

離散されたスペクトル毎に「赤・青」が決まる

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ドプラ偏位

PRF基準

PRF/2

PRF大

PRF/2

繰り返し周波数を上げる

同じドプラ偏位量であっても折り返しが回避される

ドプラドプラドプラドプラ偏位が多く偏位が多く偏位が多く偏位が多く

折り返し折り返し折り返し折り返し発生!発生!発生!発生!

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パルスドプラではパルスの周波数以外にパルス繰り返し周波数(PRF)が鍵を握ります

PRF小 PRF大

F0F0F0

PRF基準

PRF大=tが小さくなる

つまり、

PRF/2PRF/2PRF/2

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PRF低い PRF高い

最⼤測定可能深度 深い 浅い

測定可能流速 遅い流速 速い流速

フレームレート 少ない 多い

エイリアシング 起こりやすい 起こりにくい

パルス繰り返し周波数による違い

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折返し現象を回避するには

① 繰返し周波数「PRF」を調整する

② ベースラインのシフト

③ 脈管と超⾳波のなす角度を⼤きくする

④ 送信周波数を下げる

Fd=C

2・V ・cosθ・F0

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Fd:大 Fd:小

θ θ

「θ」:脈管と超音波のなす角度

③ 脈管と超音波のなす角度を大きくする

流速一定

Cos90°=0

Cos60°=0.5

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但し! 流速値を算出する場合の角度は60°以下にする

cosθ

θ=0°

θ=10°

θ=20°

θ=30°

θ=40°

θ=50°

θ=60°

θ=70°

θ=80°

θ=90°

=1.000

=0.985

=0.940

=0.866

=0.766

=0.643

=0.500

=0.342

=0.174

=0.00010

20

30

40

50

補正角度

誤差

(%)(%)(%)(%)

V=C

2・cosθ F0

・Fd

5°エラー

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Fd:大 Fd:小

θ1 θ2

「F0」:送信周波数

F0:大 F0:小

④ 送信周波数を低くする

θ1=θ2

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息抜き・・・。

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血流血流血流血流

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【パワードプラ法】

・得られたドプラ成分の信号量をカラーで表示する

・ドプラ成分の信号量とは信号反射の強さ、つまり

パワーのことで血管内の反射源である血球量に比例する

・血管の太さや血流量でパワーが変わる(⇒信号量)

・一般的にカラーは単色系で血流方向は分からない

52

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ドプラ偏位周波数

周波数成分のパワーColor Doppler

A

A

B

B

流 速:A=B

流 量:A>B

血球量:A>B

低速低速低速低速 高速高速高速高速

周波数成分のパワー

ドプラ偏位周波数

Power DopplerA

B

信号:少

信号:多

53

ColorとPowerのマップ

Page 54: ドプラモードを克服しようオーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーは近づいてくる物から 発せられる音は高く聞こえ、遠ざかる音は低く聞こえるという現象を、

・⾎流⽅向が分かる(color-mode)・低流速部の感度が⾼い(power-mode)・角度依存性が少ない(power-mode)

ColorとPower の比較・特徴

色相の反転部では

色が付かない

Low cut filterLow cut filter

フィルターによって直交部分の

輝度が若⼲低下する

面積の違いが

感度の違い

Page 55: ドプラモードを克服しようオーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーは近づいてくる物から 発せられる音は高く聞こえ、遠ざかる音は低く聞こえるという現象を、

・血流方向が分かる(color-mode)・低流速部の感度が高い(power-mode)

・角度依存性が少ない(power-mode)

ColorとPower の比較・特徴

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細い脈管が連続する脈管として描出(Power)

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カラードプラ

パワードプラ

表示情報

血流方向平均速度

血流方向血流速度の測定

パワー(信号量)

血管走行細い血管の血流評価流速の遅い血流評価

使用目的

57

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⑤ 画質設定(カラードプラ)

・観察部にROIを合せる(通常FocusはROIエリア内に存在する、エリアが大きい場合はFocusを調整する)

・折り返しが無い様にPRFを調整する・Color gainは脈管をはみ出さない程度に調整

・更に微細⾎流の検出を目的とする場合、Wall filterを下げる(下げ過ぎるとモーションアーチファクトによるノイズが出現する)

・データ数を増やす。(増やすことでノイズ成分を軽減できるが、フレームレートの低下が生じる。パケットサイズの調整)

・送信周波数を上げる。(分解能は向上するが、感度低下や深部描出が低下する)

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送信周波数について

① B-mode様に、分解能と減衰に影響します

② 周波数により流速値の上下限が変化します

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ドプラ:4MHz ドプラ:6MHz

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最大検出可能速度について

FdにPRF2

を代入する

Fo

PRFc

×××=

θν

cos4max

①パルス繰り返し周波数(PRF)を上げる

②中心周波数(F0)を低くする

③ゼロシフト機能を使用する

最⼤検出可能流速を増やすには

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最低検出可能速度について

FdにPRFn

を代入する

(n = 同⼀⽅向にビームを送る回数︓精度向上目的の加算回数)

Fon

PRFc

××××=

θν

cos2min

最低検出可能流速を⼩さくするには

①パルス繰り返し周波数(PRF)を下げる

②中心周波数(F0)を高くする

③データ数(n)を増やす(PRFが一定のとき)

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ドプラ+カラー+Bモード ドプラ only

不要な超音波を停止することで、フレームレートを稼ぐことができる

つまり、測定可能な流速値も大幅に増加する

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息抜き・・・。

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【パルスドプラ法】

・⾎流解析を⾏う

・⾎流波形を描出する(速度分布を表⽰することで拍動、非拍動の評価が可能)

・⾎流速度を計測できる

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脈管にゲートを設け、スペクトラム表示する

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FFT波形の評価(波形解析)

時間時間時間時間

流速値+流速値+流速値+流速値+

流速値-流速値-流速値-流速値-

血流から得られる偏移したパルスに周波数解析を行うことで、

時間軸に対する流速値を瞬時に表示する方法

スペクトラム表示スペクトラム表示スペクトラム表示スペクトラム表示

67

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流速流速流速流速

時間時間時間時間

最高流速(収縮期流速)最高流速(収縮期流速)最高流速(収縮期流速)最高流速(収縮期流速)V maxV maxV maxV max

最低流速(拡張末期流速)最低流速(拡張末期流速)最低流速(拡張末期流速)最低流速(拡張末期流速) V minV minV minV min

平均流速平均流速平均流速平均流速 V meanV meanV meanV mean

・血管への抵抗値の指標としてPI,PI,PI,PI, RIRIRIRIがある

PI(拍動係数)= V max---- V min

V meanRI(抵抗係数)= V max---- V min

V max

FFT波形の評価

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① ② ③

ゲートサイズと測定位置①

49.8cm/s

87.3cm/s

83.6cm/s

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Wall filter(MTIフィルタ)

・ウォールフィルタは遅い動きの超音波信号を表示しないローカット

フィルタの一種である。

・壁や弁などからの反射信号(クラッタ成分)を除去し、動きの速い

⾎流成分を取り出すことが出来る。

・最低2回以上のパルスを照射する必要がある。(回数を重ねると

精度は向上するが、フレームレートが低下する)

ドプラシフト周波数

ウォールフィルタ信号強度 ク

分血流成分

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クラッタ

フィルタ

平均速度平均速度平均速度平均速度

血流の範囲

+V

高速低速

+V

高速低速

クラッタ

フィルタ

適性適性適性適性高すぎる高すぎる高すぎる高すぎる

平均速度平均速度平均速度平均速度

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息抜き・・・。

SMI(Superb Micro-vascular Imaging) 東芝メディカル

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ドプラ波形のアーチファクト

サンプルボリュームは3次元的広がりをもっており、

サンプルボリュームが大きいとドプラアングルが90°

であっても、FFT解析で順逆両⽅向の⾎流信号を

検出してしまう

普通ですね どうですか? 答え

息抜き・・・。

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なぜ

こんな形になるのか

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動脈波形モデル①機械的な駆出

モーター

流速

時間

弾力性の無い管弾力性の無い管弾力性の無い管弾力性の無い管

収収収収

縮縮縮縮

期期期期

収収収収

縮縮縮縮

期期期期

拡拡拡拡

張張張張

期期期期

拡拡拡拡

張張張張

期期期期

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弾力性の無い管弾力性の無い管弾力性の無い管弾力性の無い管

弾力性のある管弾力性のある管弾力性のある管弾力性のある管

・壁の伸縮なし

液体の塊はピストン運動と連動

・壁を広げる力

・壁が戻る力

血流速度を鈍らせる

血流をつくる

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流速マイナス要因流速マイナス要因流速マイナス要因流速マイナス要因流速継続要因流速継続要因流速継続要因流速継続要因

弾力性のある管弾力性のある管弾力性のある管弾力性のある管

機械的な駆出機械的な駆出機械的な駆出機械的な駆出

収収収収

縮縮縮縮

期期期期

収収収収

縮縮縮縮

期期期期

拡拡拡拡

張張張張

期期期期

拡拡拡拡

張張張張

期期期期

動脈波形モデル②

モーター

流速

時間

壁を広げる力壁が戻る力

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動脈波形

躯幹域 末梢域

大動脈弁、強い心拍動による影響大動脈弁、強い心拍動による影響大動脈弁、強い心拍動による影響大動脈弁、強い心拍動による影響

脈管の収縮(弾性)による影響脈管の収縮(弾性)による影響脈管の収縮(弾性)による影響脈管の収縮(弾性)による影響

左室駆出左室駆出左室駆出左室駆出

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FFT波形の形状から病変を予測しよう

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流速

AT

時間

V max

V min

正常

狭窄

狭窄

狭窄

V max V min 基準基準基準基準

AT

V max ↑↑V min ↑AT ↓↓

V max ↑

V min ↓↓AT ↓

PI ↑↑

V max ↓↓

V min ↓

AT ↑↑

AT

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最後に

ドプラに関する知識を得ることで検査に自信がもてますが、基本はB-modeです。同じ超音波の性質をもつので、綺麗な画を描出してドプラに挑んで下さい。綺麗な強い音が届けば、ドプラ画像も応えてくれます。