インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 · 21 hours ago ·...

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経済活動再開の状況 空港再開/直行便 感染者の動向 日本人に対する入国制限 Copyright (C) JETRO. All rights reserved. 禁無断転載 行動・活動制限 ジャカルタ事務所 所長 鈴木啓之 8月も感染の拡大傾向は継続、経済活動制限も更に延長の可能性 経済活動制限を緩和して以降、各地で感染拡大が見られ、大規模社会制限の延 長が続いている。特にジャカルタ特別州では職場における集団感染が報告されるな ど8月に入り感染が急拡大、東ジャワ州を抜いて州別で最多になった。 ジョコ大統領は閣僚に新型コロナウイルス対策予算の迅速かつ効果的な執行を指 示。産業向けには電気料金の「最低料金制」の撤廃などが検討されている。 インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 (2020年8月10日時点) 経済活動制限 主要規制・制限 全国一律の活動制限は行わず、州・市・県レベルの感染拡大 状況に応じた制限を導入。6月初旬から、段階的に緩和してい る。ジャカルタ首都圏では、事業所、工場、商業施設(ショッピ ングモール、市場)、飲食店等について、利用者及び従業員 数について、それぞれ通常の50%を上限とした操業が可能。 但し、通勤ラッシュ緩和のため、従業員は時差出勤を行う。 公共交通機関(バス、鉄道)、航空便は乗車定員の70%を 上限に運航可能。他方、タクシーは定員の50%が上限。 規制対象業種の再開基準(もしくは規制強化の基準) 地方首長が、インドネシア政府と共に感染拡大状況を評価し、 段階的に経済活動を再開させている。 ジャカルタの規制緩和スケジュール(延長の可能性あり) <移行期間フェーズ1(6月5日ー8月13日)> 8月3日よりジャカルタにおける車両のナンバー通行規制を再開。 利用者及び従業員数等について、通常の50%までに制限 6月5日:公共交通機関、礼拝所 6月8日:事業所、工場、倉庫、レストラン 6月15日:ショッピングモール、市場 6月20日:屋内外レジャー施設、動物園 <移行期間フェーズ2 (8月から)> ・映画館、ジム、美容室、学校施設などの再開 現地産業・企業の動き 第2四半期のGDPは前年同期比‐5.32%で、アジア通貨危 機以来21年ぶりのマイナス成長。 大手複合企業アストラの上半期決算で、四輪車販売台数は 前年同期比45%減の13万9,500台、アストラ・ホンダ・モー ターの二輪車の販売台数は40%減の150万台。 国営航空会社ガルーダ・インドネシアによると、同社の1~6月 期の決算は7億ドルの赤字、搭乗客数は前年比9割減。 日本人の入国 原則不可 外務省渡航情報 レベル3:渡航は止めてください。 (渡航中止勧告) 制限措置概要 外国人によるインドネシア入国及びトランジットを 原則禁止。 例外として,一時滞在許可(KITAS)・定住許 可(KITAP)を保持する外国人,外交・公用 査証保持者,医療・食料関係者等は、入国前 もしくは入国時のPCR検査等を条件に入国可。 空港 稼働中 日本からの直行便 スカルノハッタ国際空港(ジャカルタ)で就航中。 但し、入国制限に伴う乗客減少により、便数が 大幅に減少。 活動制限 あり ※緩和傾向 実施主体 インドネシア政府(新型コロナ対策・国家経済回復 委員会) 具体的制限 COVID19を国家災害と認定し、感染拡大地域 に対して事業所、工場、商業施設、交通機関など の活動制限を実施(大規模社会制限)。 ジャカルタにおける経済活動再開に向けた移行期 間は二度延長され、8月13日までとなった。 日本人学校 日本人学校は8/25の対面授業再開を目途に、オ ンラインでの授業などで臨時的な対応を継続。 出所:WHO ※出所:外務省 感染者数/1日* 1,938(拡大) 累計死亡者数 5,723人 死亡者数/100万人 20人 (*8月3日~9日の平均)

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Page 1: インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 · 21 hours ago · インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 (2020年8月10日時点)

経済活動再開の状況空港再開/直行便感染者の動向

日本人に対する入国制限

Copyright (C) JETRO. All rights reserved. 禁無断転載

行動・活動制限

ジャカルタ事務所所長 鈴木啓之

8月も感染の拡大傾向は継続、経済活動制限も更に延長の可能性

• 経済活動制限を緩和して以降、各地で感染拡大が見られ、大規模社会制限の延長が続いている。特にジャカルタ特別州では職場における集団感染が報告されるなど8月に入り感染が急拡大、東ジャワ州を抜いて州別で最多になった。

• ジョコ大統領は閣僚に新型コロナウイルス対策予算の迅速かつ効果的な執行を指示。産業向けには電気料金の「最低料金制」の撤廃などが検討されている。

インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 (2020年8月10日時点)

経済活動制限

主要規制・制限

• 全国一律の活動制限は行わず、州・市・県レベルの感染拡大状況に応じた制限を導入。6月初旬から、段階的に緩和している。ジャカルタ首都圏では、事業所、工場、商業施設(ショッピングモール、市場)、飲食店等について、利用者及び従業員数について、それぞれ通常の50%を上限とした操業が可能。

• 但し、通勤ラッシュ緩和のため、従業員は時差出勤を行う。• 公共交通機関(バス、鉄道)、航空便は乗車定員の70%を上限に運航可能。他方、タクシーは定員の50%が上限。

規制対象業種の再開基準(もしくは規制強化の基準)

• 地方首長が、インドネシア政府と共に感染拡大状況を評価し、段階的に経済活動を再開させている。

• ジャカルタの規制緩和スケジュール(延長の可能性あり)<移行期間フェーズ1(6月5日ー8月13日)>

8月3日よりジャカルタにおける車両のナンバー通行規制を再開。利用者及び従業員数等について、通常の50%までに制限

6月5日:公共交通機関、礼拝所6月8日:事業所、工場、倉庫、レストラン6月15日:ショッピングモール、市場6月20日:屋内外レジャー施設、動物園<移行期間フェーズ2 (8月から)>・映画館、ジム、美容室、学校施設などの再開

現地産業・企業の動き

• 第2四半期のGDPは前年同期比‐5.32%で、アジア通貨危機以来21年ぶりのマイナス成長。

• 大手複合企業アストラの上半期決算で、四輪車販売台数は前年同期比45%減の13万9,500台、アストラ・ホンダ・モーターの二輪車の販売台数は40%減の150万台。

• 国営航空会社ガルーダ・インドネシアによると、同社の1~6月期の決算は7億ドルの赤字、搭乗客数は前年比9割減。

日本人の入国 原則不可

外務省渡航情報

レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)

制限措置概要

• 外国人によるインドネシア入国及びトランジットを原則禁止。

• 例外として,一時滞在許可(KITAS)・定住許可(KITAP)を保持する外国人,外交・公用査証保持者,医療・食料関係者等は、入国前もしくは入国時のPCR検査等を条件に入国可。

空港 稼働中

日本からの直行便

• スカルノハッタ国際空港(ジャカルタ)で就航中。但し、入国制限に伴う乗客減少により、便数が大幅に減少。

活動制限 あり ※緩和傾向

実施主体

インドネシア政府(新型コロナ対策・国家経済回復委員会)

具体的制限

• COVID19を国家災害と認定し、感染拡大地域に対して事業所、工場、商業施設、交通機関などの活動制限を実施(大規模社会制限)。

• ジャカルタにおける経済活動再開に向けた移行期間は二度延長され、8月13日までとなった。

日本人学校

日本人学校は8/25の対面授業再開を目途に、オンラインでの授業などで臨時的な対応を継続。

出所:WHO

※出所:外務省

感染者数/1日* 1,938人(拡大)

累計死亡者数 5,723人

死亡者数/100万人 20人

(*8月3日~9日の平均)

Page 2: インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 · 21 hours ago · インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 (2020年8月10日時点)

現地日系企業の活動状況

インドネシア:ビジネス活動正常化に向けた基本情報

経済支援策 支援概要

前払い法人税の免除など

指定の製造業、非製造業に対して、月次及び輸入時の前払い法人税の支払い免除、月次の前納法人税の減免措置など。4月から12月までの時限的措置。

原産地証明書提示手続きの簡素化

輸入通関時に原産地証明書の提示が困難な場合、カラースキャンしたものを電子的な方法で提出することが認められる。

現地政府の企業支援策(進出日系企業を対象に含むもの)

現地日系企業の抱える課題

操業状況

・製造業:4月-5月は、販売店舗の一時閉鎖・入店制限など、小売りサイドの活動制限によって、国内需要が急落。飲食料品・医療関係など一部を除いて、生産調整が顕著だった。6月以降、事業活動制限の緩和に伴って、需要回復に応じた生産活動が徐々に再開されている。自動車関連では輸出用モデルの生産中心に再開。

・非製造業:製造業の活動低下に伴い、全般的に取引量が減少。飲食店などは入店制限に伴い売上が激減。多くの企業では、在宅勤務を継続するも、従業員や入店者数の50%を上限として、事業所・店舗の営業を再開。

サプライチェーン、物流への影響

• 2月に中国、3月以降マレーシア等からの部品供給が滞ったが、サプライチェーンの乱れによる影響は一時的・限定的だった。むしろ、4月以降、国内需要の激減による物流量の減少が顕著だった。物流量は徐々に回復する見通し。

• 航空貨物は便数減少に伴い、価格相場が上昇。

現在抱える課題、懸念

• (駐在員の再入国)駐在員を一時的に避難させた企業は、全体の約50%。インドネシア国外に避難し、一時滞在許可(ITAS)などの期限が切れた外国人は9月8日までに再入国し延長手続きを行う必要が出てきたこと、および取引先企業との関係などから、再入国を検討(例えば社長やダイレクターのみ再入国など)する企業が増加。しかし、感染拡大が続く中、再入国時期を見通せない企業も一定数存在する。

• (資金繰り)主要顧客からの受注減少などで、7月までに大半の企業で売上が減少。これにより一部の企業で資金繰りに深刻な問題が生じ、親子ローンや現地金融機関からの借り入れ等の緊急的な対応が行われている。

• (国内販売の急落)インドネシア内需向け製品のサプライチェーンに属する企業が多く、ジャカルタ首都圏など国内消費市場の早期回復が望まれている。

• (従業員の感染防止)依然として感染収束が見通せない中、引き続き在宅勤務、あるいは職場での社会的距離や衛生状況の確保を行った上での事業継続が求められている。

出所:インドネシア財務省

お問い合わせ

(2020年8月10日時点)

(国内)新型コロナウィルス相談窓口

TEL :03-3582-5651(平日9時~12時/13時~17時(土日、祝祭日を除く))

(海外)

在インドネシア日系企業相談窓口

ジェトロ・ジャカルタ事務所

[email protected]

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開催日 セミナー・イベント名

2020年8月13日日本時間13:00~14:00

【Zoomウェビナー】インドネシアへの再入国に関する日系企業動向https://www.jetro.go.jp/form5/pub/jkt/re-entry

2020年8月26日日本時間15:30~17:30

【Zoomウェビナー】SNI規制のアップデート版説明会(地方都市向け)https://www.jetro.go.jp/form5/pub/jkt/sni_province