コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種...

18
コウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症 幼虫が材の中に穿入・食害するため,加害された幹や枝の上部 は樹液の流動が妨げられ,枯死する場合がある 幼虫の穿入口を多量の糞と木屑で穴をふさいでいるので,虫の 発見が容易である 虫の特徴 成虫(蛾)は,夕方,コウモリのように飛びながら,沢山の卵をバ ラバラと産卵する 幼虫が小さい頃は,ヨモギなどの草本類で成長し,大きくなると 木本に移り住む 防除法 幹や枝の穿入口から針金を入れるなどして幼虫を刺殺する 又は,穿入口に殺虫剤を注ぎ込み綿や土などで蓋をする 根元周辺の表土を剥ぎ取るなど,きれいにする ・ 幼虫のふ化時期にスミチオンなどの薬剤を散布する 幹を一周して食害 39

Upload: others

Post on 22-Jan-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

コウモリガ,キマダラコウモリ

○ 加害樹種スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本

○ 被害の発症・ 幼虫が材の中に穿入・食害するため,加害された幹や枝の上部

は樹液の流動が妨げられ,枯死する場合がある

・ 幼虫の穿入口を多量の糞と木屑で穴をふさいでいるので,虫の

発見が容易である

○ 虫の特徴・ 成虫(蛾)は,夕方,コウモリのように飛びながら,沢山の卵をバ

ラバラと産卵する

・ 幼虫が小さい頃は,ヨモギなどの草本類で成長し,大きくなると

木本に移り住む

○ 防除法

・ 幹や枝の穿入口から針金を入れるなどして幼虫を刺殺する

・ 又は,穿入口に殺虫剤を注ぎ込み綿や土などで蓋をする

・ 根元周辺の表土を剥ぎ取るなど,きれいにする

・ 幼虫のふ化時期にスミチオンなどの薬剤を散布する

幹を一周して食害

39

Page 2: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

コ ス カ シ バ

○ 加害樹種サクラ,ウメ,モモ,リンゴなどのバラ科樹木

○ 被害の発症・ 樹皮下に穿入・加害し,そこから半透明のヤニと糞を出す

・ 表皮に傷付けたこの部分から病原菌が入り,大木が枯れる原因

にもなる

・ ソメイヨシノに多く,樹皮の肌がデコボコになり荒れる(下写真)

○ 虫の特徴・ 成虫は蛾であるが,ハチのようにも見える

・ 春から秋まで長期にわた り生息・加害する

○ 防除法・ 幼虫は樹皮下に生息するため防除は難しいが,薬剤効果を狙う

には,スミチオン乳剤を年3~4回散布する必要がある

コスカシバによる加害痕(岩沼市)

40

Page 3: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ゴマダラカミキリ

○ 加害樹種カエデ,ツツジ,カンバ類,柑橘類など広範囲

○ 被害の発症・ 幼虫は樹皮下から材部に穿孔し,食害しながら繊維状と粒状の

混ぜた虫糞を根元付近に排出・堆積させる

・ 成虫は6月~9月頃まで長期間生息し,新梢部の樹皮を集中的

に後食する

・ 後食された表皮には,ギザギザした平面的な咬み跡が残るの

で容易に生息していることが確認できる

○ 虫の特徴・ 成虫は黒地に十数個の白い斑点を翅に持つ大型の甲虫で,触

覚は黒と白のまだら模様を呈す

・ 幼虫は材内に穿孔しているため,確認は難しいが,虫糞により

確認が可能である

○ 防除法・ コウモリガ,キボシカミキリに準ずる。成虫への薬剤散布も効果

がある

41

Page 4: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ゴマフボクトウ

○ 加害樹種ツツジ,ナラ,カシ,ハンノキ,カエデなど

○ 被害の発症・ 地上に近い枝や樹幹内に穿入する。小枝が折れている場合など

には,この虫の加害を疑がう

・ カシの苗木や生垣などの低木にでは,時に枯らすことがある

○ 虫の特徴・ 穿入口から3~5mmの円形の淡赤色の真ん丸の虫糞を出し,

堆積させる(コウモリガとは形態が歴然である)

○ 防除法・ コウモリガ,キマダラコウモリに準ずる

激害を受けたブナの若木(仙台市泉区)

42

Page 5: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ス ギ カ ミ キ リ

○ 加害樹種スギ,ヒノキ,サワラなど

○ 被害の発症・ 林業上重要な害虫の一つである

・ ヒノキ,サワラはスギよりも被害に弱い

・ 「ハチカミ」と称される根元周辺部から樹幹の上部までの範囲で,

腐朽症状を発生させる原因を起こす昆虫である

・ 成虫から樹幹の粗皮部に産卵された卵は,ふ化後,内皮を食害,

その後,材内に穿入加害し,辺材部を不規則に食害する

・ 食害され樹幹部の樹皮が裂けた部分に腐朽菌が入り,虫糞とと

もに樹皮が崩れ落ち隆起する。この症状を呈した部分を林業用語

で「ハチカミ」と称す

○ 防除法・ 林業的防除方法である健全な森林に育てることが第一条件

・ 被害木は伐倒駆除。成虫へのスミチオン乳剤も効果がある

左:被害に遭ったチャボヒバ,右:食害痕(加美郡色麻町)

脱出孔

食害痕

43

Page 6: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

スギノアカネトラカミキリ

○ 加害樹種スギ,ヒノキ,サワラなど

○ 被害の発症・ この虫に加害された部分を「トビグサレ」と呼び,材価を著しく低

下させる原因をつくる林業上重要な害虫である

・ 雌の成虫が,死節や枯枝のくぼみなどに卵を産卵し,ふ化した

幼虫は樹幹の中に楕円形の穿孔を作りながら食入する

・ 穿入孔から雨水等とともに侵入した腐朽菌により,材の断面に

ボタン状の腐れや変色,虫孔として出現させる

・ 被害材を製材したときに変色や腐れが材の表面に現れ,利用上

著しく木材の価値を低下させる。

○ 防除法・ 林業的防除法を用いる。枯枝を付けないように枝打ちをすること

で,ほぼ完全に予防できる

症状として現れた「トビグサレ」

44

Page 7: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ソボリンゴカミキリ

○ 加害樹種ツツジ,サツキ,シャクナゲなど

○ 被害の発症・ 幼虫が材の中に穿入・食害するため,樹液の流動が妨げられ

枯死に至る場合がある

・ 幼虫の穿入口には,多量の糞と木屑を穴をふさいでいるので,

虫の発見は容易である

・ 本県では田束山のヤマツツジに発生するなど,高標高地での

発生が懸念される

○ 虫の特徴・ 幼虫は樹幹や枝に穿入し,木を枯らすことがある

・ 甲虫の成虫は,葉裏の葉脈を後食する

○ 防除法・ キボシカミキリに準ずる。6月の成虫発生初期に薬剤防除を行う

ヤマツツジに受けた被害 虫は根元周辺に寄生する

45

Page 8: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

アブラムシ類

○ 加害樹種多くの樹木に寄生する。樹種毎に寄生する虫の種類は違う

○ 虫の特徴,被害の発症・ 成虫,幼虫ともに新芽や新葉に長い口針を刺し込んで樹液を吸

汁する。その時,芽は萎縮,葉が巻いたり,変形することがある

・ 繁殖は雌だけの単性生殖で行い,旺盛に増殖する

・ 排泄物で葉や花,果実が汚れたり,スス病やウイルス病を発生

させる原因となる

○ 防除法・ エストックス,オルトランなどの液剤散布が効果的である。低木に

はエカチン,ダイシストン等の土壌施用の方法も効果がある

・ 寄生させたくない樹木には,防虫網を張り,成虫の飛来を防ぐ

バラに寄生したイバラヒゲナガアブラムシ

「モモアカアブラムシ」の

被害により葉が巻き込む

46

Page 9: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

カイガラムシ類

○ 加害樹種多くの樹木に寄生する。樹種毎に寄生する虫の種類は各々違う

○ 虫の特徴,被害の発症虫の特徴や種類として次のような虫種がある

① 貝の形をした堅い殻で覆われているもの

② 背中に白い粉をまとい自由に動き回るもの

③ ロウ物質で覆われているもの

④ 白い袋を付けるものなど

○ 防除法・ 何れのカイガラムシも,堅い殻やロウ物質で体が覆われている

ため,薬剤の防除時期は限られるが,5~7月の幼虫期にスプラ

サイドやカルホスなどの薬剤が効果がある。

・ 厳冬期に,マシン油乳剤や石灰硫黄合剤の散布は効果的

ツノロウムシ

(サザンカ)マツコナカイガラムシ

(クロマツ)

47

Page 10: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

カツラマルカイガラムシ

○ 加害樹種

クリ,ナラ類,カエデ類,シデ類,カンバ類,ハンノキ類など

○ 被害の発症

・ 広範囲の広葉樹に寄生するが,特にクリ園で被害が大きい

・ 被害は葉のしおれから始まる。やがて木全体が枝枯れ状態と

なり,激しい被害を受けると木が枯れる場合がある

○ 虫の特徴

・ 直径2mm以下の円形の白い殻を被ったカイガラムシである

・ 葉の葉脈から太い樹幹まで一面に寄生し,樹液を吸う

・ 若い幼虫には脚があり動き回るが,直ぐに殻を着けて定着する

○ 防除法

・ 年2回発生する幼虫初期に,スプラサイド乳剤40を散布する

・ 厳冬期に,石灰硫黄合剤又はマシン油も効果がある

・ 被害部分を冬季に持ち出し焼却するのも効果が大きい

天然記念物のクリに発生,典型的な被害形態を示している

(登米市登米町)成虫・幼虫

成虫

幼虫

写真提供:林業技術総合センター

佐々木技師

48

Page 11: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ケヤキフシアブラムシ

○ 加害樹種ケヤキ,ニレ

○ 虫の特徴,被害の発症・ ケヤキの葉表に壺形の虫コブをつくるアブラムシ

・ 葉裏に寄生したこの虫の刺激で,葉が凹む

・ 虫コブは次第に黒褐色に変わり大量に発生すると美観を損ねる

・ 葉が枯れるため,樹勢が損なわれる

・ 夏の間は,ササ類の根に寄主し,秋にケヤキに戻る

○ 防除法・ 中間寄主のササや竹類を遠ざける

・ 新芽が出る4月中の孵化期に,ディプテレックス乳剤1000倍

液の散布が効果的

上:壺形になった虫コブ

右:衰弱し先端部が枯れかかっている

49

Page 12: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ツツジグンバイムシ

○ 加害樹種ツツジ,サツキ,アザレア

○ 虫の特徴,被害の発症・ 成虫の翅は透明で軍配に似たことが名の由来

・ 成虫,幼虫とも,葉裏から長い口針を刺し込み樹液を吸汁する

・ 葉裏から樹液を吸汁されるため,葉の色が脱色される

・ 葉表からは,カスリ状の被害が見え,緑色が退色する

○ 防除法・ 葉裏に付いた虫を圧力の高い水道水で吹き飛ばす

・ 5月初めから出方を確認しながら,薬剤を散布する

・ 薬剤は,葉裏を重点にアクテリック,スミチオン,カルホス等の

乳剤を散布する

・ ダイシストン粒剤など,土壌に撒く薬剤は薬効期間が長く効果的

被害葉はカスリ状になる

緑色が薄く見た目が悪い(気仙沼市)

50

Page 13: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

ハ ダ ニ 類

○ 加害樹種スギ,マツ類,ビャクシン,モクセイ,ツゲ,バラなど

○ 虫の特徴,被害の発症・ ハダニは昆虫でなく,クモの仲間(脚が4対,8本)である

・ 葉から樹液を吸汁されるため,葉色は急激にあせる

・ 各樹種に寄生するハダニは,それぞれ別の種類である

代表的な樹木に寄生するハダニには次のものがある

➢スギ(スギノハダニ) ➢モミ・マツ(トドマツハダニ)

➢ ビャクシン(ビャクシンハダニ) ➢バラ(ナミハダニ)

➢ツゲ(チビコブハダニ)

○ 防除法・ スギ造林地に発生するスギノハダニは,過去,林業害虫として

幼齢林に発生する重要な害虫であった

・ 虫の発生状況を確認しながら,薬剤を散布する。薬剤には,

殺ダニ剤のケルセン,アカールなどがある

・ ダイシストン粒剤など土壌処理薬剤は薬効期間が長く効果的

スギハダニに加害された枝は黄色味を帯びる

51

Page 14: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

踏 圧

衰退が進むシダレザクラ根の周辺を改変され,人が入り込むようになった

○ 被害の原因と現れ方・ 人や車による根元周辺の踏みつけは,根への負担が大きくなり,

樹木の衰退が進展する大きな原因

・ 根元周辺部の踏みつけにより,土壌が硬くなり樹木への水分,

養分及び酸素等の供給量を減少させ,年々樹勢を衰えさせ,最

後には枯死に至らせる原因となる

○ 対策・ 自然に成立する樹木の根系は,枝の張りだした地下の範囲まで

及ぶことから,この範囲への立ち入りを禁止する

・ 立ち入り防止柵を設置する。根への負担を少なくすることが肝要

・ 土壌が固結している場合には,土壌を軟らかくするため,土の入

れ替えや土壌改良を行う

52

Page 15: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

コケ類の着生

○ 被害の現れ方・ ツツジ類やウメの古木などの幹や小枝に,コケ状のものがビッシ

リと付着し,その先の枝が自然と衰退している樹木をよく見かける

・ コケの付着により,生育が妨げられると思われがちだが,この

コケは着生植物(多くはウメノキゴケ科の地衣類)であり,樹木の

養分を吸収するものでない

・ コケは,衰退又は枯死した部分に,二次的に着生するもので,

樹木が衰退する原因は別にある。その原因究明が先決である

○ 対策・ コケが樹木の衰退となる原因にならないので,コケの着生を気

にする必要はない

・ 何らかの原因で樹勢の衰退が起こるので,樹木の環境改善に

より,樹木に活力を与える

サツキへの着生(名取市)

ヤマツツジへの着生(南三陸町)

53

Page 16: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

薬 害

○ 被害の現れ方・ 農薬を散布した時に樹木の外観に異常をきたし,ひどい場合に

は枯れるなどの症状が現れる

・ 薬害は,農薬が持つ植物に対する毒性で発症するもので,農薬

の種類,樹種,樹齢,生育環境などの条件で異なることが多い。

しかも,単独の条件だけでなく重なり合った条件によるなど,発症

の仕組みは色々である

・ 薬害が発症する部位には,根系,樹幹,枝葉及び樹体全体に出

現するなど各種ある。

・ 又,症状の現れ方にも,穿孔,壊死,落葉,奇形,生育抑制,枯

死などがある

○ 対策・ その農薬にだけ感受性の高い植物があるので,農薬散布時に

は散布対象樹木だけでなく周辺樹木に配慮しながら散布する

・ 散布濃度の間違いで発症する例が多いので,薬剤の希釈倍数

や散布基準を適正に守ること

殺虫剤によりジンチョウゲに発生した葉の縮れ

54

Page 17: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

太枝の切除

○ 被害の現れ方・ 太い枝の切除や間違った剪定をしたことにより,腐朽が樹幹の

表面だけに留まらず,上下に拡大したり,材内部まで腐朽が進行

し,空洞化に及ぶことがある

・ これらの被害は,人の生活と密接な関係に多いサクラ類に多く,

邪魔になった下枝や太枝を安易な気持ちで切除することが原因と

なる例が多い

○ 対策・ 将来にわたって,太枝を切らないよう,樹木の小さい時期から

目標を持った仕立て方をすることが大切である

・ やむなく枝を切除する場合には,鋭利な刃物で適正な位置で切

除すること

・ 切り取った切断面には,必ずトップジンMペーストなどの殺菌剤

を塗布し,適切な防菌処理を行うこと

・ 昔の諺に「桜切る馬鹿,梅切らぬ馬鹿」と言われ,桜の枝は切っ

てはならないとされている。十分留意しながらの剪定が必要である

森舞台のモミジ(登米市)一目千本桜(大河原町)

55

Page 18: コウモリガ,キマダラコウモリコウモリガ,キマダラコウモリ 加害樹種 スギ,ヒノキ,ポプラ,ヤナギなど各種の樹木や草本 被害の発症

固定ひもの締め付け

○ 被害の現れ方・ 植栽した樹木が,風などで揺れたり倒伏しないよう設置した支柱

の結束用に用いるシュロ縄などが,その後の樹木の成長に伴い,

樹幹等に食い込んでしまう結果になる

・ これらの食い込み被害により,その箇所の上部から折損したり枯

損の原因となる。また,穿孔性害虫が附着しやすい原因にもなる

○ 対策・ 樹木を支柱に設置する場合には,幹と支柱の接点には杉皮等を

幹に巻いてからシュロ縄で固定する。

・ 樹木の活着や生長と共に支柱の役割りが済んだなら,できるだ

け早期に結束縄を除去する。

(仙台市青葉区)

(仙台市宮城野区)

56