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Financial Services Architect Vol.36 2015年冬号 金融サービス本部 2015年、銀行業界を占う 2015年、証券業界を占う 2015年、保険業界を占う

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Page 1: Financial Services Architect Vol - Accenture · 3 「再編」「グローバル化」「デジタル化」―――。 3つのキーワードで経営改革の実行が求められる年になる。

Financial Services Architect Vol.36

2015年冬号 金融サービス本部

2015年、銀行業界を占う

2015年、証券業界を占う

2015年、保険業界を占う

Page 2: Financial Services Architect Vol - Accenture · 3 「再編」「グローバル化」「デジタル化」―――。 3つのキーワードで経営改革の実行が求められる年になる。

Financial Services Architect (FSアーキテクト)は、金融業界のトレンド、最新のIT情報、弊社サービスおよび貴重なユーザ事例を紹介する、日本オフィス発のビジネス季刊誌です。

Financial Services Architect

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1.2015年、銀行業界を占う~「再編」「グローバル化」「デジタル化」の波

マネジング・ディレクター宮良浩二

2.2015年、証券業界を占う ~トップライン拡大と規制対応 マネジング・ディレクター中野将志

3.2015年、保険業界を占う~デジタル展開後の真の勝者

マネジング・ディレクター林岳郎

4.最近話題のプロジェクト

5.アライアンスおよびパッケージ・システム

6.弊社外部講演およびレポートのご紹介

7.会社概要

目次

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Financial Services Architect

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拝啓 新春の候、貴社におかれましては益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。本誌「FS Architect」は、おかげさまで発刊 9年目を迎えました。これも皆様のご支援とご愛顧の賜物と深く感謝しております。

2012年以降の株価上昇により、本邦金融機関は投資余力を獲得し中長期の成長を見据えた戦略実行の準備に入られていると認識しております。国内市場は、従来からの利益率は低さと人口減少さらに異業種の攻勢、といった成長するには難しい局面に入ってきました。これからは総合力を活かした事業展開、新サービス・商品展開、既存概念を超えた再編が進んで行くものと考えております。一方、海外市場では本邦金融機関への期待が高まっております。本邦金融機関の収益に占める海外ウェイトも高まっていく中、多極化したグローバル市場で戦うための統合プラットフォームの構築が必要になってくると思われます。まさに 2015年は、本邦金融機関の中長期成長に向けた重要な年になると確信しております。

新年を迎え、弊社は「Growth」をテーマとしたサービス提供に注力したいと考えております。最新 IT技術や国内外での知見・人材を駆使し、皆様のビジネスの飛躍に貢献できるよう、鋭意努力する所存です。本号では、「2015年の動向を占う」と題して、銀行、証券、保険各ビジネスにおける「成長」に向けた要諦および、その成長を支援する ITサービスのあり方について、弊社の考え方、アイデアをご紹介させていただきたいと思います。ご一読いただき、貴社取り組みの一助となれば幸いです。

今後ともご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

敬具

2015 年 1月吉日

アクセンチュア株式会社金融サービス本部統括本部長 中野 将志

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「再編」「グローバル化」「デジタル化」―――。3つのキーワードで経営改革の実行が求められる年になる。

2014年3月期は史上最高水準の決算に沸いた。2014年9月の中間決算も高い利益水準を確保している。ただし、銀行の経営幹部の方と意見交換をさせていただくと、このタイミングで構造改革の手を打つことが重要との認識が大半だ。国内成熟経済下での危機意識はもちろんのこと、資本の制約・信用コストの問題など、前向きな投資のあしかせとなる経営イシューが少ない時期だからだ。

本年も、経営・IT革新に挑む金融機関の改革実行のパートナーとして、この3つのテーマを中心にしたサービス提供に力を注ぎたいと考えている。

1. 再編の波 :新たなモデルでの地域金融機関の合従連衡

横浜と東日本、肥後と鹿児島―。

地銀トップ行が仕掛けた再編、県トップ行同士の統合など、地域金融機関の再編の幕が開けた。地域銀行の貸出約定金利の低下が続いている。加えて、地域密着という強みが活かしづらい人口減少時代に直面している中、これまで以上に戦略的な合従連衡が必要となろう。3つの考え方を示したい。

①広域商圏での合従連衡

広域商圏での合従連衡にあたっては一段の経費削減につながる取組みが必要だ。地域に根ざした営業機能以外の共通プラットフォーム化が鍵になる。

今では 8割を超える地域銀行がシステム共同化の取組みに参加している。しかしながら、システム共同化と OHR(Over

Head Ratio=( 経費 / コア業務粗利益 )×100) の低下に明確な相関は見られない。これまでの取組みには共通プラットフォーム化の「範囲」と「提供者」の 2点で限界がある。

まず、「範囲」について。業態は違うが、ドイツ Sparkassen (貯蓄銀行グループ 423 銀行)は、営業などフロントの独立性を維持する一方でシステム・事務・信用格付・商品開発・外為業務などを共通化して、大手独銀比でも競争力のある OHRを達成している。本邦の地銀システム共同化のスキームやシステムソリューション自体が規模の経済を発揮できないものになっているケースがあるのも事実だが、システムだけの共通プラットフォーム化ではコスト削減の対象が小さい。

また、共通プラットフォーム化の範囲を広げる為には「提供者」となる銀行が必要だろう。ITベンダーが共同化システム

を提供するという現在の構図では、共通プラットフォーム化の範囲に限界がある。同時に、地銀 ITマーケット死守が死活問題である ITベンダーから抜本的なコスト削減の提案は期待しづらい。共通プラットフォームの「提供者」が銀行となるには、自ずと地域銀行間の機能分化を意味する。実行のハードルは高いがリーダーシップを発揮する銀行の出現を期待したい。

②同一商圏内での合従連衡

特にリテールビジネス依存度・高齢者比率の高い地域(図表 1の右上のセグメント)では、利鞘縮小による収益性の低下に加えバランスシートの縮小も避けられない。さらに一歩踏み込んだ効率化が必要だ。広域での合従連衡は、規模拡大による調達力のアップやスケールメリットによる一定の経費削減が望めるものの、打てるコスト削減施策が限定的だ。

2015年、銀行業界を占う ~「再編」「グローバル化」「デジタル化」の波

宮良 浩二

1995年 アクセンチュア入社金融サービス本部マネジング・ディレクター銀行グループ統括

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これまでのライバル同士が手を組めるかなど、実現のハードルは極めて高いが、本部コストや店舗・自行 ATMの統廃合によるチャネルコストの削減に踏み込んだ同一商圏内での再編も視野に入れる必要があろう。

③異業態・異業種連携による新しい広域モデルの構築

多くの地域銀行がインターネット支店を開設し、地域外の顧客からの預金獲得や貸出先拡大を狙っている。魅力的な金利提示により地域外顧客の獲得に一定の成果を挙げているものの一過性となっているケースが少なくない。

地域銀行が商圏を拡大する場合、一般的に「チャネル展開」と「ブランド認知」があしかせとなる。インターネット・モバイルの進展は「チャネル展開」の障壁を相対的に低いものとした。一方、「ブランド認知」については依然悩ましい問題だ。

米国は顧客のデジタル・リテラシー(=デジタル・バンキングの受容度)が高く、取引銀行に対するロイヤリティーが必ずしも高くない(=取引銀行を変える事に抵抗が少ない)が、地域銀行の広域展開にはブランド問題がつきまとう。米国南部を中心に店舗展開をするBBVA Compassは、昨年デジタル戦略を加速する上で、Simple社を買収した。同行は、広域展開にあたって Simple社のブランドを活用し、自身は金融商品の「製造業者」に徹するという。これは一例だが、地域銀行同士の再編を超えた異業態・異業種との協業による新たな価値訴求の取組みが今後増えてくるだろう。

2.グローバル化の波 :グローバル・オペレーティングモデルの構築

ミャンマー、3メガに銀行免許―。

先般、ミャンマー政府は外国銀行 9行に銀行免許を交付したが、日本は 3メ

ガ銀行とも免許を取得、アジアにおける邦銀のプレゼンスの大きさを実感できる嬉しいニュースだった。

地域銀行からメガ銀行に目を転じると、引き続きグローバル展開の加速が最大の経営アジェンダの一つとなっている。2014 年 9月中間期決算も、利鞘確保の厳しい国内業務を、アジアを中心としたマーケットの成長果実で補完する構図が続いている。

グローバル・オペレーティングモデルの構築にあたっては、「縦串」と「横串」の両立が求められる。つまり「多様性に富む各ローカルマーケットでのプレゼンス発揮」と「オペレーション(事務・システム)部門、プロダクト部門やリスク管理部門の高度化・効率化」の 2つだ。

各行ともますます国際業務の比重が増える中、「縦串」重視の姿勢から、「横串」のインフラ整備が重要なタイミン

図表 1 再編の波

© 2015 Accenture All rights reserved.

都道府県別のリテールビジネス・高齢者依存度

高齢者依存度65歳以上人口比率

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

65.0

70.0

75.0

80.0

85.0

90.0

15.0 17.0 19.0 21.0 23.0 25.0 27.0 29.0 31.0 33.025.1

71.7

北海道

青森

岩手

秋田

宮城

山形

福島

茨城

栃木

群馬

埼玉

千葉

東京

神奈川

山梨

長野

新潟

富山

石川

福井

静岡

愛知

岐阜

三重

滋賀

京都

大阪

兵庫

奈良

和歌山

鳥取

島根

岡山

広島

山口

香川

愛媛

徳島

高知

福岡

佐賀

長崎

熊本

大分

宮崎

鹿児島

沖縄

リテール依存度

個人預金比率

1

1

1

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3

4

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33

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43

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45

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46

47

47

24

5

10

13

21

24

出所: 日銀、人口問題研究所よりアクセンチュアリサーチ作成。 なお、65歳以上人口は2013年10月、預金は2014年9月

2319

2

37

6

3142 183

44171632

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グにあるのではなかろうか。邦銀では、海外システムも東京で開発・維持、それ以外はローカルの裁量という体制も珍しくない。これは、昨年弊社が実施したグローバルプレイヤーのソーシングの実態調査結果と趣を異にするものだ。内製(インソース)か外製(アウトソース)かは各金融機関の戦略に依存しているものの、一貫してオフショアのデリバリーセンター(ITや事務の提供センター)の徹底活用を進めている(図表 2)。これは、「①コスト効率向上」や「②ビジネス展開のあしかせとならないキャパシティーの安定確保」に加え、「③デリバリーセンターを集約する事での業務・システム自体の標準化(=各国で類似の事務やシステムを作らせない事)」を企図している。

グローバル・オペレーティングモデルの構築は弊社にとって最も実績があるテーマの一つだ。また、弊社はインド・中国・フィリピン等に大規模なデリバリーセンターを抱えている。弊社の実績・人材を梃子に、邦銀のグローバル業務や

ITインフラ整備の実行スピードアップのお手伝いができればと考えている。

3.デジタル化の波 :“脱”銀行の発想転換 - “Everyday Bank”

Digital Disruption(デジタルがもたらす破壊的な変化)―。

最後のキーワードとして、地域銀行・メガ銀行の共通テーマとなる「デジタル化」を挙げたい。アクセンチュアでは、昨年アジア・パシフィック金融テクノロジーラボ(Fin-Tech Innovation Lab Asia Pacific)という取組みを香港で開催した。この取組みは、ニューヨーク・ロンドンで既に成功を収めたものでアジアで初めての開催となった。新技術をもったベンチャー企業と大手金融機関が参加し、新技術と銀行ビジネスの融合を企図するものだ。注目すべきテーマとして、「ビッグデータ・アナリティクス」「モバイル・ワイヤレス」「決済」「セキュリティ・コンプライアンス」「ソーシャルメディア・コラボレーション技術」等があった。

図表 2 グローバル化の波

© 2015 Accenture All rights reserved.

このような取組みを銀行の経営幹部の方にご紹介すると強い関心が寄せられる。銀行の ITの考え方について変化の潮目が来ていることを実感する。旧来、銀行の IT といえば「大量処理の自動化」「安定稼働」「コスト削減」がまずもって重要であり、成熟した技術の採用が常であった。しかし、「新技術を活用して新たなサービスやオペレーションを構築できないか」といった視座でプロジェクトや専任部署を立ち上げる例が増えている。背景には「テクノロジーの進展」を「顧客理解力」「商品提供力」「顧客リーチ力」といった銀行の基本機能の強化につなげようという企図がある。同時に、「業界構造の破壊」にいかに対応するかという問題意識の高まりがある。(図表 3)

”Everyday Bank”――。弊社は、デジタル化時代のリテール銀行の将来ビジョンとして「あらゆるものをつなぐ銀行」という考え方を提唱している。当然のことながら「お金」にまつわる

グローバル銀行のITソーシング

オフショア比率

内製化比率

出所: Everest Researchよりアクセンチュア作成

0%

50%

100%

0% 50% 100%

Bank H20,000

Bank G16,000

Bank D11,500

Bank A9,400 Bank B

24,000

Bank C43,400

Bank E25,700

Bank I15,050

Bank J8,400

Bank F38,000

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暮らしのニ

ーズに対するソリューシ

ョンの調整

自動車(購入・修理)

衣料/靴

家電食品電子機器燃料

ペット不動産(購入・賃貸)

電気/ガス

ハウスクリーニング/ホームケア

家屋の修理

家具

ホームセキュリティ

医療サービス

個人・家族保険

自動車保険

電話/インターネット

新聞/雑誌/書籍

航空便

イベント

ホテル

レジャー活動レストラン/バー

交通機関/駐車場

購入提案 比較機能

チケット発券

各種支払い形態

クーポン/引換券/ポイント

Dマーケットプレイス

対象を絞った広告

トレーニング/教育

スポーツ活動

エコシステム内のサービス

大企業

小売業者/中小企業/企業

消費財

住居

交通機関

情報

&教育

通信旅行&レジャー

健康

&予防

アドバイザー

としての銀行

価値のま

とめ役としての銀行

アクセス支援者とし

ての銀行

金融

サービスニーズの

充足

あらゆるものをつなぐ銀行への深化銀行の基本機能の強化

Everyday Bank

顧客理解力の強化• 大量データを活用した与信精度向上• 位置情報を活用したイベント捕捉• SNSからのニーズ把握• クレジットカードの消費行動データ等から顧客嗜好捕捉• ・・・

商品提供力の強化• 金融商品のパッケージ化とダイナミック・プライシング• 声紋認証での本人確認、音声認識による画面遷移 削減等、新技術を活用したサービス提供• 銀行商品+他業種サービスのバンドル• ・・・

顧客リーチ力の強化• オムニチャネルの構築• ソーシャルメディア・モバイルバンキング• デジタル化店舗• コラボレーション技術を利用した非対面相談• ・・・

テクノロジーの進展 + 業界構造の破壊

図表 3 デジタル化の波

© 2015 Accenture All rights reserved.

ニーズはそれ単独で存在するものではなく、教育・医療・健康などの「コト」消費や消費財などの「モノ」の購買に付随する。一方で一般の顧客からすると旧来の銀行は遠い存在と感じられているケースが多い。弊社では、経済活動のあらゆるものをつなぐ銀行として、顧客の経済活動の第一接点で 3つの価値を提供しようとする考え方を”Everyday Bank”と称している。(図表3)

①アドバイザーとしての銀行:銀行は信頼できるアドバイザーとしての従来の立場を活かす。ただし、「お金」のみならず、「コト」「モノ」を含めたニーズに対して顧客の比較検討から購入・ファイナンスまでを支援する。

②価値のまとめ役としての銀行:銀行は顧客のエコシステムやコミュニティ

の重要な一端を担う。他企業との特別な提携やパートナーシップにより顧客に経済的メリットをもたらす。

③アクセス支援者としての銀行:銀行は顧客との関係を利用して、医療機関・教育産業・・・等、他のサービス業との繋がりを築く。顧客のニーズやライフスタイルに合わせた特別な商品やサービスをワンストップで提供する。

昨今の他業態からの金融ビジネスの参入も、彼らの本業を起点として、上記3つの価値提供で業界構造の破壊を企図するものと理解できる。

例えば、楽天銀行。①小売(eコマース)から得られる顧客購買データから顧客理解を深め、顧客へのレコメンドに活用。②ポイントを積極活用した「楽天

経済圏」のワンストップメリットを訴求。③小売だけでなく金融取引もダイレクトで完結できる仕組みを導入。(*1)

イオン銀行は、①実店舗から得られる顧客購買データに基づく顧客理解、②ローン顧客にイオンでの小売割引等の経済的メリットを還元、③店舗内の銀行併設、みずほ銀行等との ATM相互開放等による利便性向上、など。(*2)

このように業態を超えた競争が激化する中、銀行ビジネスを ”Utility Service”と位置付けるか、”Everyday Bank”と位置付けるか――。「テクノロジーの進展」と「業界構造の破壊」が銀行の選択を迫っているといえよう。

(*1)(*2) はいずれも公知情報に基づく

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2015年、証券業界を占う~トップライン拡大と規制対応

中野 将志

1995年 アクセンチュア㈱入社金融サービス本部統括本部長兼証券・資本市場グループ統括

1.昨今の業界動向

トップラインに貢献する投資拡大

弊社が実施した、証券会社・投資銀行(海外含む)へのアンケート調査結果からは、コストコントロールのための投資よりも、トップライン拡大に向けた投資への意欲が非常に高まっている事が伺える。将来の投資に対しては、さらにその傾向が顕著になっている。(図 1)    

その投資先は、幅広い商品・サービスを展開するというよりも、コアビジネス(収益ビジネス *1)をしっかり定義し、そこで競争力をつけようとする姿勢が見てとれる。また、新興市場や新規ビジネスにおいては、先駆者としてのビジネス展開ができるならば積極投資し、他社を追従する立場になる場合は投資を抑制しようとしているようだ。全体的なトップライン拡大を狙うのではなく、対象を絞りつ

つ勝つ算段を明確にしてから投資を実行する方針のようだ。(図 2)

*1:ここでいうコアビジネスとは、標準的な市場環境で安定的に収益を出すことが期待されるビジネス(商品軸、顧客軸など)のことである。

弊社が実施したアンケートをまとめると以下の 3点が挙げられる。

•今後数年でトップライン拡大に向けた投資は拡大する

•投資対象はコアビジネスもしくは先駆者ビジネスに絞る

•それ以外の領域は投資抑制のみならず簡素化・縮小も辞さない

戦略的規制対応

各地域や国で実施されている規制強化に関しては、各証券会社・投資銀行で重要な経営課題となっている。この規制対

応に対するコスト負担、人的負担は各社にとって重いものになってきた。(図 3)

昨今のグローバル規制を見た場合、その基本的な考え方は、各社のビジネス内容に応じたリスク対応を求めるものであり、この考え方がスタンダードになっていくと思われる。すなわち、短期的視点もしくは個別対応でこれを凌ぐのではなく、恒常的に規制強化が続くと考えて対応する必要がある。

例えば、担保管理などは、規制強化の中で「トレードサポート」の位置づけから「コア業務機能」としての位置づけへと変わっている。これにより、必要最低限の対応として、サイロ型に分断された担保情報を横断的に把握できる仕組みの整備が必要不可欠となる。このように、規制強化の流れの中で業務の位置づけも変わりつつある。

証券業界は世界的な金融危機から脱し、また日本においてはアベノミクスにより証券市場も活況であり、トップライン拡大に向けた投資が本格化している。一方で、金融危機からの教訓をもとに世界的に規制強化が推進されており、金融機関の対応コスト・労力も大きな負担になってきている。

グローバル市場系ビジネス領域という範囲でとらえた場合、メガバンクや大手証券会社では分散したオペレーション体制を再編し、営業力の強化・規制負荷の最適化・コスト効率の最適化を得ようとするために、3つのトレンドが顕著になるであろう。

また、リテールビジネス領域においては、顧客との距離をより縮めるためにアナリティクスの活用がますます重要になってきている。直感と経験に基づく営業から科学的な営業への移行と共に、経営管理基盤の構築がなされ、機動的なビジネスジャッジの実現が期待されている。

本稿ではまず証券会社・投資銀行への投資に関するアンケート結果や規制対応の状況について記載したうえで、グローバル市場系ビジネス領域およびリテールビジネス領域の今後について述べていきたい。

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Source: Accenture 2014 High Performance Finance Study, capital markets respondents, September 2014

19%

12%

69%

9%

19%

72%

コストコントロール

ビジネス成長

その他

Today In 2 years

Source: Accenture 2014 High Performance Finance Study, capital markets respondents, September 2014

69%

72%

コアビジネスへの投資

新興市場(ただし先駆者の場合)

選択された既存ビジネスにおけるシェア拡大

投資の抑制

その他

Past 2 years Next 2 years

79%

28%

72%

83%

22%

85%

60%

66%

2%

0%

上記を踏まえると、規制対応に関しては以下の 2点を踏まえた経営判断が求められるだろう。

•規制対応の経営負担は増加しており、中期的な視点でこれを軽減する必要がある

•中長期的視点でのビジネスモデルをベースとし、オペレーティングモデル(業務・システム)のあり方を規制負荷の軽減という観点でも検討する必要がある

このような動向を踏まえた上で、グローバル市場系ビジネス領域とリテールビジネス領域におけるそれぞれの動向を述べていきたい。

2.グローバル市場系ビジネス領域における 3つのトレンド

証券会社、投資銀行は、トップラインの拡大余地もあり、投資余力もある中、

規制強化が進展しコスト負担・人的負担が高まるという、資源配分が悩ましい状況にある。また、中長期視点を持った対応をしなければ、今後のビジネス展開や経営的負担が大きく左右される可能性が高い。

こういった中、2015年は 3つのトレンドがあらわれてくると思われる。

トレンド1.コア業務とノンコア業務の切り分け

多くのプレイヤーがこれまで、オフショアリング、アウトソーシング、内部シェアードサービス等の取組みを実施してきており、コスト効率化の取組みは限界に達しつつある。

また、金融規制強化の流れの中、規制対応のためのデータ整備に多大な負荷がかかることが予想されている。一方、

トップライン拡大に向けてコア業務に人的資源を集中投下する必要がある。

このようなビジネス環境の中、各社はコア業務とノンコア業務の切り分けを鮮明にし、そのオペレーティングモデルを大きく変革する可能性がある。その最も大胆なモデルが、ノンコア業務に対する「ユーティリティサービス」の活用である。

ここ数年、業界全体の効率化推進のために、ユーティリティサービス(共同利用サービス)が出現してきた。ユーティリティサービスは、他の業界では成功してきたモデルである。海外の投資銀行では既に活用事例がみられる。例えば、エクイティトレードのコストカーブをとってみると、上位 5社に入らないプレイヤーについては、この業界で生き残っていくためにユーティリティサービスなどを活

図表 1 投資目的 図表 2 ビジネス成長

© 2015 Accenture All rights reserved.

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用してコスト競争力を高めることが有力な打ち手であることが示唆される。これにより人的資源をしっかり確保する事が重要である。

日本金融機関においては、海外ビジネスにおいて活用する可能性が最も高いと考えられる。

トレンド2.拠点、エンティティ間での統合プラットフォーム

ビジネス展開上の社内ステークホルダーはトップラインの拡大、規制対応に向けたそれぞれの考えを持っている。

•顧客に向き合っている営業担当は、顧客のニーズにそった商品をスピーディに提供する事が重要で、成果がきちんと評価されるなら、どのエンティティの商品かは関係ない

•一方で経営から見た場合、規制・税制負荷が軽減できるエンティティ・拠点でブッキングしたい

•業務・ITの観点からは、可能な限り投資と労力を極小化すると共に、ビジネス展開のスピード向上に貢献したい

•規制対応の観点に立つと、より中央集権的な管理が求められており、共通プラットフォーム化する領域を切り出したい。また各種規制対応を極小化したい

これらを踏まえた場合、金融グループ内での顧客基盤、業務・IT資産を有効活用する事で、ビジネス展開のスピードを向上し、業務・IT負荷を軽減できる可能性が高い。

これまでの日本の金融機関は、支店もしくは拠点主義でありサイロ的に業務・システムが構築されてきた。その結果、IT基盤も多様であり、業務もシステム化されている拠点もあればオペレーションリスクが高い状態で行われている拠点もある。こういった状態でグローバル規制対応をしていくことは中期的に見た場合、非常に困難である。こういった観点からも、拠点もしくはエンティティ横断でのプラットフォーム化が必要になってくるだろう。

トレンド3.パッケージソリューションの活用

ITに関して、カスタムメイドが主流の大手金融機関においても、パッケージソリューションの活用も本格化すると考えられる。これまでのパッケージソリューションの多くは、「どの金融機関でも使われる機能のみが実装されている」というものだった。しかし近年ではパッケージソリューションを導入する金融機関が増えたことで、パッケージベンダと金融機関との対話が進み、必要となる機能を先取りして実装するまでに至る。グローバル規制に関してもその範疇に入る。

各国のローカル規制に関しては、パッケージ外で構築し連携するケースが多いものの、時間を買うという点と共通プラットフォームという点の 2つの観点で、パッケージソリューションを活用する機会は増えると考えられる。

上記、グローバル市場系ビジネス領域においては、国内外拠点またグループ内での大胆なトランスフォーメーションが本格化する年になるだろう。

図表 3 コンプライアンス・リスク管理に対する支出割合(収益対比)

図表 4 コストカーブ(例 :エクイティ取引)

© 2015 Accenture All rights reserved.

1%未満 1 - 2.9% 3 - 4.9% 5%以上

70

60

50

40

30

20

10

0

•全体 •欧州 •北米取引1件当たりコスト(£)

取引件数

トップ5以外のプレイヤー トップ5のポジション

ユーティリティ利用候補者の典型的なコストポジション

トップ5のコストポジション

大手プレイヤーのコストポジション

0.10

x1 x2 x8

ユーティリティサービス利用により、取引当たりのコストは、大手プレイヤー並みに安くなってきている

© 2015 Accenture All rights reserved.

出典 :Accenture Compliance Risk Survey, 2014 出典 :Accenture Research

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成功想起による活性化

成功想起予備軍

過去との決別による活性化 証券取引ヘビーユーザ

証券会社への収益

顧客自身の収益

-高

0

図表 5 顧客分析–顧客 /証券会社の収益相関に基づく分類

3.リテールビジネス領域のアナリティクス活用と CMOの確立

技術の進展に伴い、ビジネスに有効活用できるデータは増加してきている。これらのデータを活用し分析する事で顧客対応に必要なインサイト(示唆)を導き出す取組みが、リテールビジネス領域を中心に進展すると考えられる。ただし、様々なデータをかき集め、分析基盤に取込めばインサイトが生まれるわけではない。データを意味ある情報にするためには、どういった観点で分析すべきかを考え抜かなくてはならない。

例えば、証券会社にとって優良顧客とは収益をもたらしてくれる顧客と定義されているケースが多い。収益をもたらしてくれた顧客の特徴を分析し、その特徴と類似する潜在顧客を見出し、アクションをとる。一見正しそうだが、これがなかなか成果が出て来ない。

一方、顧客にとっていい証券会社とはどんな会社であろうか。顧客にとっていい証券会社であれば継続して取引を

したいはずだ。単純化して言えば、顧客にとっていい証券会社とは、過去に儲けさせてくれた証券会社である。実は多くのケースで、過去に儲けている顧客だが、証券会社にとっての手数料収入が大きくないため、営業強化対象となっていない顧客が多くいる。このような顧客に営業活動を行い、過去の成功経験を想起してもらい次なる金融商品の販売につなげる、といった取組みで成果を出している企業もある。

つまり、アナリティクスはシステム技術が話題として先行しがちだが、やはり分析の切り口あってこそ成果を出せる。(図 5)

2015年は、分析の観点を持ち、システム技術にも精通した真の CMO(マーケティング責任者)が日本証券業界にも必要であろう。CMOはマーケティングに関する業務・システムの双方の責任・権限を持つポジションである。長らく業務とシステムは分離したガバナンスで運営されてきた。アナリティクスを架け橋に、その 2つが融合され、スピード感あるビジネス展開が期待される。

4.まとめ

経済環境が大きく変わる中、各証券会社・投資銀行はトップラインの拡大に向け、投資意欲を高めている。その一方で、世界的な規制強化に対応するためには業務及び ITの構造改革が必要であり、コスト負担や人的負担の増大が資源配分に影響を及ぼす可能性を否定できない状況にある。

このコスト負担や人的負担の高まりによる影響を抑制しながらトップラインを拡大するためにも、外的要因に左右されにくいビジネス基盤の構築を推進する必要があろう。

証券会社・投資銀行における 2015 年は今後のビジネス拡大のターニングポイントとなる 1年になるのではなかろうか。

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逆ざや解消、アベノミクスがもたらした株高・円安トレンドを受け、2014年度の保険各社の業績は一定の結果を得るものと思われる。

しかし、人口減少、保険離れ等、保険業界を取り巻く環境は依然として厳しいうえに、技術革新がもたらすイノベーションにより、もはや業界内でのみ競争優位性を保つのでは足りない状況にさらされており、2015年は強固で新しい経営土台を作れるか否かの分岐点に差し掛かる年になると考えている。

保険各社は、現在進めている「デジタル化」の次のステップである「デジタル展開」後の真の勝者となるために、保有する潤沢な資産・人材をどのように活用するべきなのか。弊社が考える3つの進化に沿って述べていきたい。

2015年、保険業界を占う~デジタル展開後の真の勝者

林 岳郎

2000年 アクセンチュア㈱入社金融サービスグループマネジング・ディレクター保険グループ統括

1.デジタル化の進化

保険各社は積極的にデジタル投資を進めている。生保各社においてはシミュレーション・設計・申込、損保各社においては新契約・契約管理・事故対応等で、大半の会社がマルチデバイス化や情報の電子化を完了しており(図表1)、デジタル化の次のステップへ進もうとしている。

弊社では、ビジネスデジタル化の発展段階を3つのステージに分類(図表2)しているが、各社ともステージ1の半ばに来ていると考えている。

また、デジタル化の浸透により、保険に対する顧客ニーズも変化している。弊社調査結果でも、71%の顧客がデジタルチャネルによる商品購入を求めていること、80%の顧客がパーソナライズ化された商品・サービスを求めていること、

また、保険料の最適化や個人に合った商品提供を受けるためであれば、保険会社が自分の利用状況・行動に関する情報にアクセスしても良いと思っていることが分かっている。

顧客ニーズの多様化を受けて、保険各社は次のステージへの戦略を模索することになるが、今後は全ての企業が上のステージを狙える時代であり、伝統的企業が新たな価値を創造し、競争優位を築くチャンスになるであろう。

2.ビジネスモデルの進化

保険各社はどのように独自戦略をもち、上のステージへ進むことができるのか。

キーワードは『カンパニーセントリックからカスタマーセントリックへのシフトチェンジ』である。

これは、より顧客の視点でのライフアドバイザーとしての機能をもち、一方的・受動的なスタンスから、より顧客視点で能動的なスタンスへシフトすることを意味する。

大企業は顧客が最も必要とするアドバイスを提供できる人材・ノウハウ、および情報を保有しているものと思われる。

経営上の最重要事項である顧客保護・満足度達成への注力のみならず、ビジネスモデルをより顧客視点にシフトできる企業こそが、結果ビジネスでの勝者になるものと考える。

この判断・行動様式を実践する保険会社が、ビジネスモデルの進化における勝者となり、上のステージに進むことができるであろう。

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凡例

 :開発済み   :開発中 / 開発予定:開発当面無し / 不明

3.商品・サービスの進化

新しい技術の台頭による新たな商品・サービスの進化:

新しい技術を活用した商品・サービスの展開は、保険会社に限らず全ての企業にも勝利をもたらす一つの機会であると考える。

Googleドライバーレスカー、ウェアラブル機器の浸透、既にサービス提供が始まっているテレマティクス等、保険ビジネスに影響をおよぼす可能性のある新しい技術の台頭は枚挙にいとまがない。現在の保険商品・サービスの根底を覆す技術革新に対して、勝負を挑む会社こそが、保険ビジネスにおける勢力地図を塗り替える会社になるであろう。

技術革新がもたらす新たな商品・サービスの今後と併せ、マイナンバー制度の導

入、レセプトの有効活用等、常に変化するビジネス環境での勝利に向けて、弊社クライアント経営者の方々からは、新ビジネスの在り方や次に述べる企業間連携の機会に対する問い合わせが絶えない。

企業間提携や連携による新たな商品・サービスの進化:

既に、アリアンツとBMWの提携、東京海上日動とNTTドコモの提携等、大企業間の提携は拡大している。しかし、直接的にはビジネスシナジーがないと考えられている企業間連携には、まだ十分に手が付けられているとは言い難い。

保険各社が注力すべきポイントは、さまざまな企業とサービスを結び付けるエコシステム(データを企業全体、ひいては各企業のパートナーに容易にそして有益に循環させることができるシステム)にあ

ると考えており、考え方次第でそのすそ野は広がるものと思われる。

電力会社やガス会社との提携は無いか?通信業が保有している情報を最大限活用する提携はないか?クレジットカード会社の情報にリーチし、これまでにないリード生成ができないのか?等、保険各社が検討すべき企業間連携の切り口は幅広い。

位置情報を活用し事故を防ぐサービス、ウェアラブル・グーグルグラス等を活用し契約者の病気を防ぐサービス、ライフライン利用率を活用した契約者確認サービス等、これらは結果、付加保険料を下げ、サービスも充実するなど顧客満足につながるだけではなく、保険会社もメリットを享受できる。

図表 1 保険会社のマルチデバイス化や情報の電子化状況

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分類 リード管理 シミュレーション 設計 申込 自動査定 決済

1 国内生保

2 国内生保

3 国内生保

4 国内生保

5 外資生保

6 外資生保

7 外資生保

8 国内生保

9 カタカナ生保

10 国内生保

11 外資生保

12 国内生保

13 国内生保

14 外資生保

15 ひらがな生保

16 国内生保

分類 デジタル商品 マーケティングソーシャル 新契約 契約管理 事故対応 決済

1 国内損保

2 国内損保

3 国内損保

4 国内損保

5 国内損保

6 国内損保

7 国内損保

8 ダイレクト損保

9 外資系損保

10 外資系損保

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次の保険ビジネスを創出する企業が新たに表れる可能性は十分にありえる。今、保険各社は保険ビジネスにおける現在の位置を他に奪われるか、現状を維持・拡大できるかの分岐点に立っていると考えている。

各進化がもたらす企業の復権

日本ではシリコンバレーのような大規模ベンチャーによる新たなビジネスの台頭は難しく、日本版のベンチャーは大企業の関与を避けて通れないと考えている。これまでに述べた3つの進化を経て、大企業は復権と次世代企業としての勝者(図表3)となる。

イノベーションによって競争のルールが瞬時に変わることを、弊社は「ビッグバン型破壊」と呼んでおり、今日ではほぼすべての業界がデジタル化のメリットを享受

している一方、弊社が呼ぶ「ビッグバン型破壊」を被る可能性にもさらされている。

破壊的変化を最も被りやすいのは、情報を基盤としたサービスを扱い、それらをデジタルで提供できる業界だ。その典型が保険業界である。

弊社の推計によると、今後1年間で最大4000億ドルの保険料が、業界内で移転する。弊社が世界各国で行ったアンケートでは、3分の2以上の顧客が、保険会社以外から保険商品を購入することを検討すると答えた。そして23%が、グーグルやアマゾンといったオンラインサービスのプロバイダーからの購入を検討すると答えた。

業界外の企業は既にこの傾向に対応しており、デジタルを通じて保険を扱う実

験を行っている。中国の2大インターネット企業、テンセントとアリババは最近、中国平安保険と組んで保険商品をオンラインで販売すると発表した。グーグルは2011 年、保険商品比較サイトのビートザットクオート・ドットコム(BeatThatQuart .com)を買収し、イギリスとドイツ、フランスで保険商品の価格比較サイトを立ち上げた。

もちろん、市場調査と販売力だけで保険会社になれるわけではない。また、新規参入企業には規制という高い障壁があり、特に自己資本に関する要件は厳しい。加えて、他社が複製しにくい重要な「ハード」資産もある。保険金の支払いを支える大規模な投資ポートフォリオや、複雑なバックオフィスのシステム、専門知識などだ。

図表 2 ビジネスデジタル化の発展段階

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コスト効率化

新たな収益源の獲得

デジタル化のステージ 各ステージの代表的シーン(例)

ステージ1プロセスのデジタル化

ステージ2商品・サービスの

デジタル化

ステージ1チャネルの デジタル化

ステージ3デジタルビジネス コンバージェンス

• モバイル機器/ゲーミフィケーションを 活用した新規顧客の開拓• 街頭における顧客情報に応じた デジタルサイネージ広告の提供 など

• センサーテクノロジーを活用した 生産工程・倉庫ピッキング業務の効率化• 金融機関における申請承認プロセスの  自動化 など

• GPS/機器稼働センサーを活用した 産業機器のサービス化• ウェアラブルデバイスを付けた衣料品 • 輸送業のリアルデータのマネタイズ など

• ネット・メディア企業、医療機器メーカー、 保険会社等が連携したヘルスケア   サービスなど

チャネルの デジタル化

プロセスの デジタル化

商品・ サービスの デジタル化

デジタル ビジネス コンバー ジェンス

ステージ1

ステージ2

ステージ3

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テクノロジープレイヤーによる既存市場への侵食 デジタル化による企業の復権

テクノロジーを活用した場の確立とビジネス成長 テクノロジーとビジネス資産活用による破壊的変化

• AmazonやGoogleは大規模投資を一気呵成に行い吸引力ある 「場」を形成•「場」を梃子に多くのサービスを立上げデジタル化を牽引し、 リアルビジネスのフィールドにも侵食

• 企業は自社の持つ膨大な顧客ベースや設備等ビジネス資産の 新たな異なる価値に気づき始めた• テクノロジーとビジネス資産の組合せにより新たな価値を 創造することで、企業が復権を遂げる

既存 企業

テクノロジー 企業

Google

自動 運転車

携帯 電話

発電広告

amazon

Kindle 家電 販売

マーケット プレイスAWS

YAHOO!

facebook

電力

送配電

家庭顧客

設備

GMS

物流

顧客店舗

倉庫

金融

取引情報

顧客店舗

メディア

顧客

写真動画

記事

しかしこうした資産も、変化する顧客の需要に合わせて保険会社がデジタル面での能力を開発しなければ、価値を失うだろう。他業界のサービス提供者と同様に保険会社も、単なる商品販売から「価値ある体験」の提供へと戦略を移行させる必要がある。

既述の通り、多くの企業は、「デジタル化」を既に進めている。すなわち、デジタル技術を用いて自社の効率化を図り、顧客へのサービスを向上させている。

次のステップとなるのは「デジタル展開」、つまりデジタル技術を用いて、新たなビジネスモデルや製品・サービスを創造することだ。それは従来の事業の枠を超えるものであってもいい。既存の大企業は、デジタル技術がチャンスとなること

を認識し、的確にデジタル展開を行うことにより、生き残る可能性を手にできる。そしてみずからが破壊者となって、自社が創造した新しい環境で繁栄することさえ可能になる。

まとめ

各社の状況により、各テーマの優先順位は変わる点、またグローバル展開や、リスクマネジメント、働き方の進化、ダイバシティー等その他取組むべきテーマは他にもあるものと理解しているが、本稿であげた3つのテーマは経営テーマとして不可避であると考えている。今回は紙面の都合上、各テーマに対する具体的な事例や進め方について、記載できなかったが、今後、各社の方々と議論を深めていければと考えている。

図表 3 “Big is the Next Big Thing” デジタル化の進展は企業の復権をもたらす

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最近話題のプロジェクト昨今の営業力強化に関する引き合いに加えて、システム刷新や次世代システム検討といった新たな成長に向けた案件のご支援をさせていただいております。

また、弊社でも注力しているグローバル案件やトレーディング・リスク管理に関するお問合せ・プロジェクトご支援の機会も数多く頂いております。

このような引き合いの増加は、全社をあげた取組みが活発化している証左であり、弊社としても、お客様のパートナーとして、幅広い分野でより一層のご支援ができればと考えております。

(略)CS:コンサルティング、TC:テクノロジー

業態 案件概要 CS TC

銀行 基幹系刷新後の「次の成長」に向けたIT戦略立案・ガバナンス改革構想立案 ○

証券 エクイティ営業強化に向けたグローバルCRMシステム構築

今後の金融規制に向けたトレーディングシステム刷新計画の立案

保険 契約設計書・申込書の電子化(タブレット化)システム構築プロジェクト

本社組織・要員の目指すべき姿の検討、および働き方改革の検討支援

カード 次期クレジットカードシステムの要件定義・機能配置検討支援

次期クレジットカードシステム構築プロジェクトのPMO支援

その他 市況商品の成約・リスク管理におけるシステム化計画立案 ○ ○

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アライアンスおよびパッケージ・システム社名/ソリューション名 ソリューションタイプ ソリューション概要

弊社/ Accenture Multi Channel Platform (MCP)

銀行向けプラットフォーム

グローバルも含めた銀行業経験と先進トレンドを反映した次世代ハブソリューション。フロントエンドとバックエンドを分離し、商品・サービスの多様化や顧客志向のクロスセル営業プロセスをマルチチャネルで実現する。顧客チャネル追加やバックエンドシステム統廃合を想定したSOA2.0型の柔軟なシステム間連携機能や、マルチチャネルでの顧客情報統合管理、複数商品を跨るバンドル商品も含めた新商品・サービス生成、先進のチャネルフロント構築機能をベースに、あるべき銀行のシステム全体像構築を効率的かつ強力に支援。

弊社/ Accenture Mobility Managed Service (AMMS)

銀行・カード会社向けプラットフォーム

モバイルコマースのサービスデリバリープラットフォーム。モバイルバンキング・ポイント管理・ペイメント(NFC含む)・クーポン・マーケティングなどのモバイルマネー系のコンポーネントを有する。従来、携帯キャリアが提供していたモバイルマネー系のサービスを金融プレーヤーが主導で構築できるため、スマートデバイスを新たな攻めのチャネルとして活用することが可能。欧米において多数の導入実績を有する。

弊社/ Accenture Life Insurance Platform (ALIP)

生命保険会社向け契約管理システム

生命保険・年金保険の契約管理(サイクル)業務を包括的に支援する基幹系パッケージシステム。コンポーネント単位の組み合わせによって、最適な機能のみの導入が可能。北米を中心に60社以上に提供中。2006年8月アクセンチュアがNaviSys社を買収後、ソリューション名をアクセンチュア生命保険プラットフォーム(Accenture Life Insurance Platform–ALIP)に改称。

弊社/ Claim Components Solution(CCS)

損害保険会社向けパッケージシステム

損害サービス業務全般をカバーするグローバルNo.1のソリューション。北米トップ三社のうち二社が導入しており、約7万人の事案担当者が日々CCSを使用、米国個人保険損害全事案中36%はCCS で処理されている。初期導入は1998年で、16社に導入済。個人保険、企業保険といった全商品に対応。業務分析ツール等変革に必要となる要素を包括的に含む。

弊社/Underwriting Components Solution (UWC)

損害保険会社向け引受業務支援パッケージ

アカウント管理、リスクセグメンテーション、外部データとの統合、指標管理といった機能に強みを持つ全商品に対応し、引受業務全般をカバー。より迅速かつ適切な見積・引受を可能にし新たなリスクセグメントの開拓、コンバインド・レシオの改善に大きな効果をもたらす。英RSAや米Allstate, Travelersといった欧米トップ企業9社が既に採用済。

弊社/ Memetrics (Digital Marketing Optimization)

マーケティングチャネル最適化ソリューション

Webサイトのランディングページ、E-mail、DM、リスティング広告、コールセンター等ダイレクトマーケティング手段の活用を最適化し、売上増加、口座開設率の向上等、ROIの最大化を科学的かつ自動的に実現。2007年12月アクセンチュアがMemetrics社を買収したことにより、コンサルティングを含めたより総合的なソリューションとして提供可能。

Pega BPMCRMルールエンジンソフトウェア

業務プロセス・ルールベースのシステムを構築するための統合開発プラットフォームで、Pegaの活用によりビジネスプロセスとシステムは一体となり、整合性のある柔軟なシステム構築を実現。Next-Best-Action Marketingにより、市場・消費者動向に応じた機動性の高い柔軟な対応ができ、クロスセル・アップセルの強化、営業推進の強化が行える。弊社はPlatinum Partnerとして、多くの海外事例に基づいた銀行、保険などの金融機関へのシステム提供が可能。

Calypso Murex

トレーディング・リスク管理システム

デリバティブ(株式、金利、コモデティ、クレジット)、外為関連のディーリングフロントオフィス・リスク管理やバックオフィス業務を行うための市場系システムの導入支援。欧州を中心に世界で200名以上のエンジニア(国内では約20名)と多数の導入経験により培った方法論を最大活用。

日興システムソリューションズ(NKSOL)

証券・資産運用系システム&コンサルテーション

銀行、証券、投信投資顧問等を主要顧客として、総合証券システム、オンライントレーディングシステム、投信窓販システム、投信経理システム等を、ASP型のシステムサービスとして提供。また、豊富な実務・運用経験に基づく、業務・システム・技術コンサルティングを展開。2005年、より高度で幅広いサービスをワンストップで提供すべく、アクセンチュアとアライアンスを締結。

Oracle Financial Services Software

銀行勘定系システム コア・バンキングパッケージとして、新規顧客獲得数4年連続世界第一位にランキング(2002~2005年、IBS誌)。現在の顧客数500以上、115ヵ国以上でサービスを提供している「Oracle FLEXCUBE」。モジュール・アーキテクチャとして、機能が部品化されており、必要な機能のみの導入が可能。また、商品をパラメータで設定可能なため、新商品の導入が容易。

SAP BaselⅡ対応システム銀行勘定系システムERP(人事・会計)システムデータベース・システム

高品質・高付加価値な導入コンサルテーション、豊富な成功事例に裏づけされた安全・確実なシステム導入、およびSAP社とのグローバルアライアンスに基づく手厚いサポートを提供。“BWを中核とした情報系システムの再構築”等、個別課題へのソリューションとして提供可能。

SAS Institute イベント・ベースト・マーケティングクレジットライン最適化リスク・マネジメントサステナビリティ

CRM、リスクマネジメント、サステナビリティ等同社ソフトウェア・コンポーネントにより、金融業界では、個人・法人向け顧客営業支援、クレジットカード与信分析、BaselⅡAMA分析、カーボンモデリング等のCSR環境アプローチ等、様々な分野における高度データ分析をリードするソフトウェア。

Temenos 銀行勘定系システム バンキング・システムとして、世界120カ国、600顧客サイトで利用されている「Temenos」。「T24」は、オープン・アーキテクチャにもとづき、カスタマイズ性と拡張性を提供し、リアルタイム対応を可能とするモジュラー構造。ハイ・パフォーマンスをリードするコア・バンキング・ソフトウェア。

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弊社外部講演およびレポートのご紹介

外部講演のご案内

セミナーインフォ社主催Insurance Forum 2014「デジタルが保険ビジネスを加速する ~新たな局面を迎えたデジタル化の波~」

11月 27日 (木 )弊社マネジング・ディレクター石井教介およびシニア・プリンシパル大窪章敬が講演致しました。沢山の方にご参加頂き、特にタブレットを使ったデモはご好評頂きました。内容にご関心があれば遠慮なくお声かけください。

レポートのご案内

「CMO-CIO調査 2014:浮き彫りとなったCMOとCIOのマインドギャップ」 「日本企業の 8 割以上の CMO(マーケティング責任者)が IT部門を戦略的パートナーとみなしていない」、「5割近くのCIOが、マーケティング部門との踏み込んだ連携・協働は不要と考えている」。このような事実が弊社が実施した 2014CMO-CIO Alignment Surveyにより明らかになり、各種メディアで取り上げられています。調査結果の分析に加え、デジタル・マーケティングの重要性・必然性、日本企業に向けた提言をレポートにまとめました。是非ご一読下さい。www.accenture.com/jp/cmociosurvey2014

新聞・雑誌への掲載11月中旬にファイナンス& リスクサービスのGlobalリードであるスティーブ・カルプ及びアジア・太平洋地域のリードであるアリエッタ・ルルーが来日しました。金融経済新聞 11月 24日号に日本のリードである山本晋五も交えたインタビュー記事が「グローバル戦略、決めては『デジタル』」と題され掲載されました。ご関心があれば遠慮なくお声かけください。

以上ご不明な点などございましたら、金融サービス本部マーケティング担当([email protected])までお問い合わせ下さい。

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会社概要

グローバル拠点数:世界 56カ国200 都市以上

売上高:300 億米ドル (2014 年 8月期)

従業員数:約 30万 5千人

会長兼最高経営責任者 :ピエール・ナンテルム(Pierre Nanterme)

アクセンチュア株式会社

本社所在地:〒 107-8672 東京都港区赤坂 1-11-44赤坂インターシティ

電話番号 :03-3588-3000(代表)

FAX:03-3588-3001

従業員数:約 5,400名(2014 年 11月 30日時点)

代表者:代表取締役社長 程 近智

URL:www.accenture.com/jp

金融サービス本部トップページwww.accenture.com/jp/fs

お問合せ先

ニューズレターの掲載内容に関するお問合せは、 金融サービス本部FS Architect担当シニア・マネジャー松濤真人[email protected]へご連絡ください。

送付先の変更 ・停止等に関するご連絡は、同封の Fax用紙・ご郵送にてご連絡ください。

03-3588-3000( 代表 )03-3588-3001(FAX)

FS Architect専用サイトwww.accenture.com/jp/fsarchitect

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アクセンチュア金融サービスについてアクセンチュア金融サービスは、バンキング、キャピタル・マーケット及び保険の3セクターにおける様々な金融機関に対し、世界各国で経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供しています。

国内外の金融業界の変化をいち早く捉え、金融機関の中核戦略及びオペレーションに重要な役割を果たすことで、企業のみならず業界全体の成長に貢献したいと考えています。

クライアント企業のトップラインの拡大、コスト削減、高まる規制やリスクへの対応、合併・買収に伴う統合作業、新しいテクノロジーや複数チャネルサービスの導入等、支援領域は多岐に亘ります。

アクセンチュア金融サービスは、約5万人の金融業界の専門家を擁し、世界各国でサービスを提供しています。

2014年会計年度の売上高は65億1千万US ドルでした。

3つのセクターにおける主な金融機関は以下の通りです。

• バンキング:リテール銀行、商業銀行、総合金融機関、政府系金融機関、クレジット・信販会社、リース会社

• キャピタル・マーケット:証券会社、信託銀行、投資/投資顧問会社、資産運用会社、証券保管機関、各種金融商品取引所、清算及び決済機関

• 保険:損害保険会社、生命保険会社、年金保険会社、再保険会社、保険ブローカー

当社はグローバルのトップ顧客20社の全てと、14年間或いはそれ以上に亘る長期の関係を築いています。

そのうちの8割に対しは、15年以上継続してサービスを提供しています。

アクセンチュア株式会社金融サービスの詳細はwww.accenture.com/jp/fsをご覧ください。

アクセンチュアについてアクセンチュアは、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業です。31万9,000人の社員を擁し、世界120カ国以上のお客様にサービスを提供しています。豊富な経験、あらゆる業界や業務に対応できる能力、世界で最も成功を収めている企業に関する広範囲に及ぶリサーチなどの強みを活かし、民間企業や官公庁のお客様がより高いビジネス・パフォーマンスを達成できるよう、その実現に向けてお客様とともに取り組んでいます。2014年8月31日を期末とする2014年会計年度の売上高は、300億USドルでした(2001年7月19日NYSE上場、略号:ACN)。

アクセンチュアの詳細は www.accenture.comを、 アクセンチュア株式会社の詳細は www.accenture.com/jpをご覧ください。

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