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時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究 1 2016/09/15 九州工業大学大学院 情報工学府 谷村賢太、 小田部荘司

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Page 1: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

1

2016/09/15 九州工業大学大学院 情報工学府 谷村賢太、

小田部荘司

Page 2: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

背景

2

𝐽

𝐵

𝐽c 0

𝐽d 0

𝐵c2

ピンの 濃度

形状・大きさ配置

Ψ = 0 ,𝛼 > 0 𝛽 > 0

𝐽

𝐵 𝐵c2

𝐽c 0

横磁界下での超伝導体内の磁束線において、理論上、磁束線を留めるピンについての様々な条件の違いよって、𝐽cが変化すると予想されている。 しかし、それを確認することは容易ではない。

Page 3: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

研究目的

本研究では、簡易化した3次元の時間依存G-L方程式をシミュレーションを用いて解

くことによって、横磁界下での超伝導体内の磁束線において、ピンの濃度、形状・大きさ、配置、境界条件の違いが𝐽cにどのような影響を与えるのかについて調査を行う。

3

Page 4: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

GL方程式・TDGL方程式

• Ginzburg-Landau(GL)方程式 • 超伝導を説明する現象論 • オーダーパラメータ𝛹を計算 • 𝛹 2:超伝導電子密度

• 時間依存GL(TDGL)方程式 • GL方程式に時間依存性を付与したもの

4

超伝導 電子密度

磁束密度

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シミュレーションモデル

5

■形状

・真空に囲まれた超伝導体を仮定

・一辺の長さ10𝜉の立方体空間を考慮

・球型のピン(直径:𝜉)

・隣り合ったピンの中心間隔:4𝜉

※軸設定は右図のとおり

𝑥

𝑦

𝑧 10𝜉

4𝜉

Page 6: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

6

シミュレーションモデル

𝑥

𝑦

𝑧

■電流密度𝐽・磁束密度𝐵 ・𝐽 = 𝐽𝑦𝒊𝑦, 𝐵 = 𝐵𝑧𝒊𝑧 ∴ 𝐽 ⊥ 𝐵 (𝒊𝑥, 𝒊𝑦, 𝒊𝑧:それぞれの軸の単位ベクトル)

■初期条件 ・𝛹 𝑡 = 0 = cos𝜃 + i sin𝜃 ・𝑉 𝑡 = 0 = −𝐽𝑦/𝜎

■境界条件 ・𝒏 ∙ 𝛻𝛹 + i𝑨𝛹 = 0 ・𝛻𝑉 = −𝑱/𝜎 ※𝒏:面に垂直な単位ベクトル

𝐽

𝐵

Page 7: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

プロットについて ● 𝛹 2についてのプロット

・ 𝛹 2 ≤ 0.1の等位面により磁束線の構造を表示 ・位相に準じて色分け

7

0

2𝜋

𝜋

Page 8: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

TDGL方程式の簡易化

1. 非常に細い超伝導体を仮定 2. TDGL方程式でパラメータを規格化

8

Page 9: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

1. 非常に細い超伝導体を仮定

全体に磁界が進入するほどの超伝導体を仮定

ベクトルポテンシャルが磁界に支配される

ベクトルポテンシャルが磁界に依存する変数

具体的には 𝑨 = 𝐵ext𝑦𝒊𝑦 𝑩 ⊥ 𝑱 (𝑱 = 𝐽𝑦𝒊𝑦)

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Page 10: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

2. TDGL方程式でパラメータを規格化

𝜕𝛹𝜕𝑡

+ i𝑉𝛹 + −i𝛻 − 𝑨 2𝛹 − 𝛹 + 𝛹 2𝛹 = 0

※ 23

32 1

2 𝐽c𝐽 → 𝐽となるため𝐽 < 2

3

32 1

2 ≈ 0.385に設定

1𝜉𝑥 → 𝑥,

𝛼𝛾𝑡 → 𝑡,

2𝑒𝛾𝛼

𝑉 → 𝑉,

12𝜅𝐵c𝜉

𝑨 → 𝑨, 𝛽𝛼

12𝛹 → 𝛹

10

Page 11: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

実際に解く方程式 𝜕𝛹𝜕𝑡

+ i𝑉𝛹 + −i𝛻 − 𝑨 2𝛹 − 𝛹 + 𝛹 2𝛹 = 0

𝜎𝛻2𝑉 =i2𝛹∗𝛻2𝛹 − 𝛹𝛻2𝛹∗ − 𝛻 ∙ ( 𝛹 2𝑨)

𝑱s =i2𝛹∗𝛻𝛹 − 𝛹𝛻𝛹∗ − 𝛹 2𝑨, 𝑱n = −𝜎𝛻𝑉

第一方程式:超伝導領域の𝛹について 第二方程式:𝑉について

11

※常伝導領域は強制的に𝛹 = 0

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シミュレーション結果

上部臨界磁界 𝐵c2

0 0.5 10

0.1

0.2

0.3

B

J

0.385

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𝑬 = −𝛁𝑉

𝐸

𝐽 0 0.1 0.2 0.3

0

0.1

0.2

𝐵 = 0.1

0.25

0.7

𝐵 = 0.25~0.7まで0.05刻み グラフ1番下の曲線は𝐵 = 0.1

𝐸-𝐽特性

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常伝導部𝛹 = 0の シミュレーションの問題点

常伝導部分で強制的に オーダーパラメータ𝛹 = 0

非常に強いピン 現実的でない

常伝導部の𝛹 = 0に代わる方程式の導入

𝜕𝛹𝜕𝑡

+ i𝑉𝛹 + −i𝛻 − 𝑨 2𝛹 + 𝜂𝛹 = 0 , 𝜂 =𝜉𝜉n

2

Page 15: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

実際に解く方程式 𝜕𝛹𝜕𝑡

+ i𝑉𝛹 + −i𝛻 − 𝑨 2𝛹 − 𝛹 + 𝛹 2𝛹 = 0

𝜕𝛹𝜕𝑡

+ i𝑉𝛹 + −i𝛻 − 𝑨 2𝛹 + 𝜂𝛹 = 0 , 𝜂 =𝜉𝜉n

2

𝜎𝛻2𝑉 =i2𝛹∗𝛻2𝛹 −𝛹𝛻2𝛹∗ − 𝛻 ∙ ( 𝛹 2𝑨)

𝑱s =i2𝛹∗𝛻𝛹 − 𝛹𝛻𝛹∗ − 𝛹 2𝑨, 𝑱n = −𝜎𝛻𝑉

第一方程式:超伝導領域の𝛹について 第二方程式:常伝導領域の𝛹について 第三方程式:𝑉について 15

𝜉n:常伝導領域のコヒーレンス長

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2𝑑n 2𝑑s

常伝導 超伝導

0 𝑑n 𝑑n + 𝑑s 𝑥

E.S. Otabe and T. Matsushita, Cryogenics (1993) 33 531-540

𝜂 = 0.4

𝑥

𝛹 2

近接効果

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.2

0.4

0.6

0.8

1

0.8

1.2

1.6 2.0

𝜂 =𝜉𝜉n

2

𝑑n: 0~0.6 𝑑s: 0.6~3 𝑑n 𝑑s

規格化 1𝜉 𝑥 → 𝑥

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𝑥

𝜂 = 1.2

𝑥

𝜂 = 2.0

規格化 1𝜉 𝑥 → 𝑥

図の実線は過去の研究から引用*、 点線はTDGLシミュレーション

𝑑n: 0~0.6 𝑑s: 0.6~3

𝛹 2 𝛹 2

𝜂 = 0.4

𝑥

𝛹 2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.2

0.4

0.6

0.8

1

0.8

1.2

1.6 2.0

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

(*)E.S. Otabe and T. Matsushita, Cryogenics (1993) 33 531-540

𝑥

𝜂 = 1.6

𝛹 2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

Page 18: Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における …時間依存Ginzburg-Landau方程式を用いた 横磁界下における超伝導体内の磁束線についての研究

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𝑥

𝜂 = 0.4

𝑥

𝜂 = 0.8

𝛹 2 𝛹 2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

(*)E.S. Otabe and T. Matsushita, Cryogenics (1993) 33 531-540

規格化 1𝜉 𝑥 → 𝑥

図の実線は過去の研究から引用*、 点線はTDGLシミュレーション

𝜂 = 0.4

𝑥

𝛹 2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 30.2

0.4

0.6

0.8

1

0.8

1.2

1.6 2.0

𝑑n: 0~0.6 𝑑s: 0.6~3

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まとめ • 簡易化した3次元のTDGL方程式をシミュレーションを用いて

解いて、𝐽c-𝐵特性を明らかにした。 • 常伝導部𝛹 = 0に代わる方程式を導入し、近接効果が表現

できていることを確認した。 • 常伝導部の配置や大きさなどを変更して𝐽c-𝐵特性を調査す

る必要がある

19 0 0.5 1

0

0.1

0.2

0.3

B

J

0.385