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12年度 雄物川水系魚介類調査結果 H 本調査の調査時期および調査回数は、魚の活動が活発になる春から秋にかけて2回実 施しました。実施内訳は下表の通りです。 河川名 第1回調査(春・夏季) 第2回調査(秋季) 雄物川 平成12年5月~9月 平成12年9月~11月 (1)調査概要 調査地点は、本川12地点、支川草生津川・旭川・岩見川の各1地点、淀川2地点、玉川 3地点、桧木内川1地点、横手川2地点、西馬音内川・皆瀬川の各1地点、成瀬川2地点 役内川1地点の合計28地点で実施しました。調査は目合いの異なる種類の投網や刺網、 タモ網、サデ網、地曳網、はえなわ、どう、セルびん等による捕獲を実施し、エビ・カニ ・貝類についても付随的に調査を実施しました。 (2)調査結果 今回の現地調査で確認された魚種は、61種及び亜種となっており、個体数は全部で14, 042尾となっております。最も多く確認された魚種はウグイで3,006尾と全体の21.4 % 占め、次いでアブラハヤが2,234尾 15.9 、オイカワが1,210尾 8.6 、ヤリタナゴが86 % % 8尾 6.2 、ドジョウが856尾 6.1 の順となっています。又、エビ・カニ・貝類では、1 % % 6種及び亜種、個体数で510個体確認されております。 % % 確認された魚種の生活型別内訳をみると 純淡水魚が33種54.1 回遊魚が15種24.6 % % % 汽水・海水魚が13種21.3 となっており、個体数では純淡水魚が67.7 、回遊魚が28.0 汽水・海水魚が4.3 となっております。 % 魚種別個体組成 ウグイ 21.4% アブラハヤ 15.9% オイカワ 8.6% ヤリタナゴ 6.2% ドジョウ 6.1% その他 58種 41.8% 生活型種類数 回遊魚 15種 24.6% 汽水・海水魚 13種 21.3% 純淡水魚 33種 54.1%

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12年度 雄物川水系魚介類調査結果H

本調査の調査時期および調査回数は、魚の活動が活発になる春から秋にかけて2回実

施しました。実施内訳は下表の通りです。

河川名 第1回調査(春・夏季) 第2回調査(秋季)

雄物川 平成12年5月~9月 平成12年9月~11月

(1)調査概要

調査地点は、本川12地点、支川草生津川・旭川・岩見川の各1地点、淀川2地点、玉川

3地点、桧木内川1地点、横手川2地点、西馬音内川・皆瀬川の各1地点、成瀬川2地点

役内川1地点の合計28地点で実施しました。調査は目合いの異なる種類の投網や刺網、

タモ網、サデ網、地曳網、はえなわ、どう、セルびん等による捕獲を実施し、エビ・カニ

・貝類についても付随的に調査を実施しました。

(2)調査結果

今回の現地調査で確認された魚種は、61種及び亜種となっており、個体数は全部で14,

042尾となっております。最も多く確認された魚種はウグイで3,006尾と全体の21.4 を%占め、次いでアブラハヤが2,234尾 15.9 、オイカワが1,210尾 8.6 、ヤリタナゴが86% %8尾 6.2 、ドジョウが856尾 6.1 の順となっています。又、エビ・カニ・貝類では、1% %6種及び亜種、個体数で510個体確認されております。

% %確認された魚種の生活型別内訳をみると 純淡水魚が33種54.1 回遊魚が15種24.6、 、

% % %汽水・海水魚が13種21.3 となっており、個体数では純淡水魚が67.7 、回遊魚が28.0

汽水・海水魚が4.3 となっております。%

魚種別個体組成

ウグイ

21.4%

アブラハヤ

15.9%

オイカワ

8.6%ヤリタナゴ

6.2%

ドジョウ

6.1%

その他 58種

41.8%

生活型種類数

回遊魚 15種

24.6%

汽水・海水魚

13種

21.3%

純淡水魚

33種

54.1%

(3)特定種

雄物川水系における貴重な魚類として、環境庁レッドリスト絶滅危惧ⅠA類に指定さ

れているイバラトミヨ雄物型が6地点で確認されました。イバラトミヨ雄物型を含め全

部で13種の貴重な魚介類を確認しました(下表参照)。

特定種一覧表

特定種指定区分種名

環境庁レッドリスト 秋田県レッドリスト

スナヤツメ 絶滅危惧Ⅱ類 留意種

アカヒレタビラ - 準絶滅危惧種

エゾウグイ - 準絶滅危惧種

ギバチ 絶滅危惧Ⅱ類 準絶滅危惧種

アカザ 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧ⅠB類

メダカ 絶滅危惧Ⅱ類 留意種

トミヨ - 準絶滅危惧種

イバラトミヨ雄物型 絶滅危惧ⅠA類 絶滅危惧ⅠA類

カマキリ - 準絶滅危惧種

シロウオ 準絶滅危惧種 留意種

マルタニシ 準絶滅危惧種 -

モノアラガイ 準絶滅危惧種 -

カワシンジュガイ 絶滅危惧Ⅱ類 -

(4)秋田県初記録種

今回の調査で確認された魚類のうち、ギギは秋田県初記録となる種です。本来は本州

、 。の中部以西に分布する種ですが アユの放流に混じって入ってきたものと推察されます

(5)外来種

今回の現地調査で確認された魚介類のうち、外来種(国外由来の種)はタイリクバラタ

ナゴ、ブラックバス(オオクチバス)、カムルチー、アメリカザリガニです。ブラックバ

ス カムルチー アメリカザリガニについては 前回調査時よりも採捕数が増えました(下、 、 、

表参照)。

外来種(国外由来の種)一覧表

採捕数 )(単位 尾:種 名

平成7年度 平成12年度

タイリクバラタナゴ 164 139

ブラックバス (オオクチバス) 5 14

カムルチー 3 5

アメリカザリガニ 18 38

(6)まとめ

今回の調査では、春に遡上してくる回遊魚や 移入種であるブラウントラウト、ニジマ

スなどの特殊な種を除けば、雄物川に生息している基本的な種の確認はできました。全

国的に減少してきている13種類の特定種が確認されたことは、雄物川の良好な環境が維

。 、 、 、持されていることを反映した結果だと推察されます また サケ・サクラマス マルタ

カマキリなどの回遊魚が比較的上流域でも確認されていることから、魚類が移動しやす

い環境が保たれているものと推察されます。

※なお、今回の調査にあたっては、河川水辺の国勢調査アドバイザーである杉山秀樹氏

【秋田県水産振興センター、海洋資源部長(現当センター、内水面利用部長 】および)

【 、 】 、水谷 寿氏 秋田県水産振興センター 内水面利用部(現秋田県水産漁港課) に調査方法

同定等の指導を頂きました。

【雄物川魚介類調査結果一覧表】

環境庁レッドリスト

秋田県レッドリスト

個体数 % 個体数 %

1 スナヤツメ Lethenteron reissneri 淡 VU N 109 1.14 134 0.952 カワヤツメ Lethenteron japonicum 回 13 0.14 7 0.053 カタクチイワシ Engraulis japonica 汽・海 2 0.02 3 0.02 環境庁RL:環境庁レッドリスト4 コイ Cyprinus carpio 淡 64 0.67 171 1.22 EX:絶滅

コイ(ニシキゴイ) Cyprinus carpio 淡 2 0.02 2 0.01 EW:野生絶滅

コイ(ドイツゴイ) Cyprinus carpio 淡 1 0.01 CR+EN:絶滅危惧Ⅰ類5 ゲンゴロウブナ Carassius cuvieri 淡 141 1.48 198 1.41 CR:絶滅危惧ⅠA類6 ギンブナ Carassius auratus langsdorfii 淡 415 4.35 664 4.73 EN:絶滅危惧ⅠB類フナ属の一種 Carassius sp. 淡 1 0.01 VU:絶滅危惧Ⅱ類

7 キンギョ Carassius auratusauratus 淡 1 0.01 1 0.01 NT:準絶滅危惧種8 ヤリタナゴ Tanakia lanceolata 淡 380 3.98 868 6.18 DD:情報不足種9 アブラボテ Tanakialimbata 淡 5 0.04 LP:地域個体群10 アカヒレタビラ Acheilognathus tabira subsp. 1 淡 NT 202 2.12 293 2.09ヤリタナゴ・アカヒレタビラ天然交雑種

Cyprinidae sp. 淡 1 0.01秋田県RL:秋田県版レッドリスト

11 タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus 淡 164 1.72 139 0.99 EX:絶滅種12 ハス Opsariichthys uncirostris uncirostris 淡 2 0.02 CR:絶滅危惧ⅠA類13 オイカワ Zacco platypus 淡 679 7.11 1,210 8.62 EN:絶滅危惧ⅠB類14 カワムツB型 Zacco temminckii 淡 2 0.02 23 0.16 VU:絶滅危惧Ⅱ類15 アブラハヤ Phoxinus lagowskii steindachneri 淡 1,076 11.27 2,234 15.91 NT:準絶滅危惧種16 マルタ Tribolodon brandti 回 2 0.02 1 0.01 DD:情報不足種17 エゾウグイ Tribolodon ezoe 淡 NT 125 1.31 288 2.05 LP:地域個体群18 ウグイ Tribolodon hakonensis 回 2,846 29.80 3,006 21.41 RH:分布上希少な雑種19 モツゴ Pseudorasbora parva 淡 191 2.00 457 3.25 N:留意種20 シナイモツゴ Pseudorasbora pumila pumila 淡 20 0.2121 ビワヒガイ Sarcocheilichthys variegatus microoculus 淡 48 0.50 38 0.2722 タモロコ Gnathopogon elongatus elongatus 淡 27 0.28 138 0.9823 カマツカ Pseudogobio esocinus esocinus 淡 71 0.74 132 0.9424 ニゴイ Hemibarbus barbus 淡 143 1.50 307 2.19

コイ科稚魚 Cyprinidae sp. 淡 82 0.8625 ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus 淡 439 4.60 856 6.1026 シマドジョウ Cobitis biwae 淡 162 1.70 127 0.9027 ギギ Pseudobagrus nudiceps 淡 2 0.0128 ギバチ Pseudobagrus tokiensis 淡 VU NT 11 0.12 35 0.2529 ナマズ Silurus asotus 淡 38 0.40 43 0.3130 アカザ Liobagrus reini 淡 VU EN 2 0.02 10 0.0731 ワカサギ Hypomesus transpacificus nipponensis 回 25 0.2632 アユ Plecoglossus altivelis altivelis 回 692 7.25 316 2.2533 ブラウントラウト Salmo trutta 淡 11 0.1234 エゾイワナ Salvelinus leucomaenis leucomaenis 淡 11 0.12 29 0.2135 ニッコウイワナ Salvelinus leucomaenis pluvius 淡 42 0.44 1 0.0136 サケ Oncorhynchus keta 回 19 0.20 11 0.0837 サクラマス Oncorhynchus masou masou 回 2 0.02 4 0.03

ヤマメ Oncorhynchus masou masou 淡 217 2.27 114 0.8138 ニジマス Oncorhynchus mykiss 淡 5 0.0539 メダカ Oryzias latipes 淡 VU N 26 0.27 21 0.1540 サヨリ Hyporhamphus sajori 汽・海 4 0.0341 トミヨ Pungitius sinensis 淡 NT 95 0.99 292 2.0842 イバラトミヨ雄物型 Pungitius sp. 2 淡 CR CR 16 0.17 34 0.2443 マゴチ Platycephalus sp. 2 汽・海 1 0.0144 カマキリ Cottus kazika 回 NT 54 0.57 84 0.6045 カジカ Cottus pollux 淡 230 2.41 613 4.3746 スズキ Lateolabrax japonicus 汽・海 4 0.04 152 1.0847 シマイサキ Rhyncopelates oxyrhynchus 汽・海 1 0.0148 ブラックバス(オオクチバス) Micropterus salmoides 淡 5 0.05 14 0.1049 マアジ Trachurus japonicus 汽・海 1 0.0150 ボラ Mugilcephaluscephalus 汽・海 1 0.01 17 0.1251 メナダ Chelon haematocheilus 汽・海 2 0.02 29 0.21

ボラ科稚魚 Mugilidae sp. 汽・海 3 0.0352 シロウオ Leucopsarion petersii 回 NT N 1 0.0153 スミウキゴリ Chaenogobius sp.1 回 1 0.01 2 0.0154 シマウキゴリ Chaenogobius sp. 2 回 2 0.02 32 0.2355 ウキゴリ Chaenogobius urotaenia 回 52 0.54 87 0.6256 ジュズカケハゼ Chaenogobius laevis 淡 8 0.08 11 0.0857 マハゼ Acanthogobius flavimanus 汽・海 49 0.51 325 2.3158 アシシロハゼ Acanthogobius lactipes 汽・海 14 0.15 31 0.22

平成7年度

秋田県初記録

平成12年度

魚                    類

特定種指定区分No. 種名 学名

区分

生活型

1 マルタニシ Cipangopaludina chinensis laeta NT 6 1.66 1 0.202 オオタニシ Cipangopaludina japonica 8 2.21 11 2.163 カワニナ Semisulcospira libertina 79 21.82 19 3.73

カワニナ科の一種 Pleuroceridae sp 0.00 85 16.674 モノアラガイ Radix auricularia japonica NT 6 1.66 1 0.20

モノアラガイ科の一種 Lymnaeidae sp 0.00 11 2.165 サカマキガイ Physa acuta 1 0.286 カワシンジュガイ Margaritifera laevis VU 0.00 40 7.847 ドブガイ Anodonta woodiana 0.00 5 0.988 イシガイ Cristaria plicata plicata 4 1.109 マシジミ Corbicula leana 20 5.52 21 4.1210 ニッポンヨコエビ Gammarus nipponensis 82 22.6511 スジエビ Palaemon paucidens 44 12.15 115 22.5512 スジエビモドキ Palaemon serrifer 5 1.38 4 0.7813 エビジャコ Crangonaffinis 0.00 1 0.2014 ヌマエビ Paratya compressa compressa 0.00 6 1.1815 ヌカエビ Paratya compressa improvisa 39 10.77 29 5.6916 アメリカザリガニ Procambarus clarkii 18 4.97 38 7.4517 クロベンケイガニ Chiromantes dehaani 0.00 1 0.2018 モクズガニ Portunustrituberculatus 50 13.81 121 23.7319 アリアケモドキ Deiratonotus cristatus 1 0.20

362 100.00 510 100.00

種類数合計

※「河川水辺の国勢調査の為の生物リスト 平成11年度版  発行:財団法人 リバーフロント整備センター」による

13 16

個体数合計

エビ・カニ・貝類

【雄物川特定種写真票】

1.魚 類

Lethenteron reissneriスナヤツメ

環境庁レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類

秋田県レッドリスト:留 意 種

.1アカヒレタビラ Acheilognathus tabira subsp

秋田県レッドリスト:準絶滅危惧種

Tribolodon ezoeエゾウグイ

秋田県レッドリスト:準絶滅危惧種

Pseudobagrus tokiensisギバチ

環境庁レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類

秋田県レッドリスト:準絶滅危惧種

Liobagrus reiniアカザ

環境庁レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類

秋田県レッドリスト:絶滅危惧ⅠB類

Oryzias latipesメダカ

環境庁レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類

秋田県レッドリスト:留 意 種

Pungitius sinensisトミヨ

秋田県レッドリスト:準絶滅危惧種

. 2イバラトミヨ雄物型 Pungitius sp

環境庁レッドリスト:絶滅危惧ⅠA類

秋田県レッドリスト:絶滅危惧ⅠA類

Cottus kazikaカマキリ

秋田県レッドリスト:準絶滅危惧種

Leucopsarion petersiiシロウオ

環境庁レッドリスト:準絶滅危惧種

秋田県レッドリスト:留 意 種

2.エビ・カニ・貝類

Cipangopaludina chinensis laetaマルタニシ

環境庁レッドリスト:準絶滅危惧種

Radix auricularia japonicaモノアラガイ

境庁レッドリスト:準絶滅危惧種

Clithon sowerbianusカワシンジュガイ

環境庁レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類

【秋田県初記録種写真票】

Pseudobagrus nudicepsギギ

秋田県初記録種

【外来魚写真票】

Micropterus salmoidesブラックバス(オオクチバス)

Channa argusカムルチー