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Contents 九州最大の農事組合法人「かしま広域農場」が嘉島町に発足! 写真は熊本県嘉島町の₆つの集落営農組織が統合し昨年 11 月に発足した「かしま広域農場」の農地。 農地面積は町全体の農地の₇割にあたる約 480 ヘクタールと九州で最大規模。 米、麦、大豆を中心とした作物を集約して栽培し、生産コスト削減と競争力の強化を図ります。 Action 新しい農業農村を目指して 水土里ネット熊本 (熊本県土地改良事業団体連合会) 新年のご挨拶 熊本県土連 荒木泰臣会長 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 全土連 二階俊博会長 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 全国水土里ネット会長会議 進藤かねひこ顧問 ・・・ 2 農業農村整備予算の要望・要請活動特集! 九州各県が団結し、要請活動を実施 ・・・・・・・・・・・・・ 2 農業農村整備の集いが開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 特集 進藤かねひこ氏に抱負を伺う ・・・・・・・・・・・ 3 ~山下明子氏、前田富美子氏、田尻千恵氏が対談~ (一般社団法人 土地改良建設協会ご提供) 研修会特集! 土地改良区複式簿記研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 土地改良区役職員研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 熊本農業高校現地研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 会員お役立ち情報「事業のご紹介」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 第38回全国土地改良大会in青森大会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 全土連会長表彰を受賞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (渡鹿堰土地改良区の清田好弘理事長) 天明環境保全隊(事務局;天明土地改良区)が農林水産大臣賞を受賞! ・・・ 11 (豊かなむらづくり全国表彰事業) Vol.61 H 28.1 Information

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Page 1: H28 - higosanae.or.jp · Contents. 九州最大の農事組合法人「かしま広域農場」が嘉島町に発足! 写真は熊本県嘉島町の₆つの集落営農組織が統合し昨年11月に発足した「かしま広域農場」の農地。

Contents

九州最大の農事組合法人「かしま広域農場」が嘉島町に発足!◦写真は熊本県嘉島町の₆つの集落営農組織が統合し昨年11月に発足した「かしま広域農場」の農地。◦農地面積は町全体の農地の₇割にあたる約480ヘクタールと九州で最大規模。◦米、麦、大豆を中心とした作物を集約して栽培し、生産コスト削減と競争力の強化を図ります。

Action

新しい農業農村を目指して

水土里ネット熊本(熊本県土地改良事業団体連合会)

●新年のご挨拶 ◦熊本県土連 荒木泰臣会長 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1◦全土連 二階俊博会長 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1◦全国水土里ネット会長会議 進藤かねひこ顧問・・・ 2

●農業農村整備予算の要望・要請活動特集!◦九州各県が団結し、要請活動を実施 ・・・・・・・・・・・・・ 2◦農業農村整備の集いが開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

●特集 進藤かねひこ氏に抱負を伺う ・・・・・・・・・・・ 3~山下明子氏、前田富美子氏、田尻千恵氏が対談~

(一般社団法人 土地改良建設協会ご提供)

●研修会特集!◦土地改良区複式簿記研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9◦土地改良区役職員研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9◦熊本農業高校現地研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

●会員お役立ち情報「事業のご紹介」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10●第38回全国土地改良大会in青森大会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11●全土連会長表彰を受賞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11(渡鹿堰土地改良区の清田好弘理事長)

●天明環境保全隊(事務局;天明土地改良区)が農林水産大臣賞を受賞! ・・・ 11(豊かなむらづくり全国表彰事業)

Vol .61H28.1

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1 2M i d o r i N e t K u m a m o t o M i d o r i N e t K u m a m o t o

Action

新年明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては、清々しい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、日頃から本会の業務運営並びに農業農村整備事業の推進につきまして、特段のご理解とご協力を賜わり厚く御礼申し上げます。さて、昨年は、阿蘇山の噴火や台風による豪雨災害などにより、農地や農業用施設、住宅などが甚大な被害を受けました。ここで、改めて、被災されました皆様方に心よりお見舞い申し上げます。また、TPP交渉が大筋合意に至った年でもあり農業農村への影響が懸念されますが、今後も動きを注視し、農業農村を守る水土里ネットとしての役割をしっかり果たしていきたいと考えています。農業・農村地域においては、担い手の減少や耕作放棄地の増加、農産物価格の低迷など依然として多くの課題が山積しておりますが、その課題の解消のためには、農地集積や農業経営規模の拡大、営農組織の育成、技術力の向上など取り組むことが多くあります。本会といたしましても職員が一丸となって農業農村整備推進のために貢献して参りますので、本年も引き続き、会員各位並びに関係機関の皆様方のご支援、ご協力を賜わりますようお願い申しあげまして新年のご挨拶と致します。

平成28年の年頭に当たり、全国の農業農村整備事業の推進にご尽力をいただいている皆様に、謹んで新年のご祝詞を申し上げます。昨年、当会の会長に就任しましてから、関係者の皆様のご支援を受けながら、これまで事業の推進に尽力して参りました。とりわけ、会長就任時には民主党政権時代に₇割近く削減された状況であった予算を、まずは復活させようと、予算獲得に向け本気になって取り組んで参りました。各都道府県連合会からは、財源不足による事業の停滞に対し、悲鳴が上がっておりましたし、₁日も早く予算確保を訴える声が届いておりました。このため「闘う土地改良」を旗印に、真剣な取り組みを訴えて参りました。おかげさまで、昨年末には平成27年度補正予算と同28年度予算とで総額4,810億円を政府予算編成案において確保することができました。私は、皆様の要望を実現するためには、いつまでも下を向いているのではなく、本会として具体的な行動を起こすことが重要である旨申し上げ、次期参議院選挙には候補者を打ち立てて、明確な意思を表明することが重要であると申しました。おかげさまで、農林水産省から進藤金日子君が現職課長を辞して立候補することとなりました。彼は秋田県の農村出身で、土地改良に熱い思いを持っており、是非、土地改良のために頑張りたいと積極的に活動してくれています。土地改良は、農業農村の整備や振興を通じて国土を維持し、発展させることを目的としております。そのためには、自分達の生活は必ずや自らが守り発展させていくという気構えが不可欠です。それを、我々の先人達が時々の時代背景の中で繰り返し最大限努めてきたことだと思うのです。現代に生きる我々が手をこまねいていることは決して許されることではありません。私は全国の土地改良関係者の皆様の協力をいただきながら、ひき続き予算の獲得や参議院選挙の勝利に向け真剣に闘う決意を新たにしたところです。本日、輝かしい年の初めに当たり、本年が全国の皆様にとってよき年でありますように、ご健勝とご発展を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶といたします。

新年あけましておめでとうございます。皆様方におかれましては、良き年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。私は、昨春、新しく全国土地改良事業団体連合会会長に就任された二階俊博先生が提唱された「闘う土地改良」に込められた真義に感銘し、また触発され、政治活動の途を志す決意を固め、昭和61年に入省以来、29年間勤めてきた農林水産省を昨年の₆月、中山間地域振興課長を最後に辞職しました。その後、₇月29日に都道府県土地改良事業団体連合会会長会議(全国水土里

ネット会長会議)顧問を仰せつかり、全国各地を回り、その実情を聞かせて頂きました。そして、様々な課題も聞かせて頂きました。農業・農村の現場で聞く声は本当に切実で、心に響きました。過去・現在・将来とも国民の食料を支える農地と水、それを可能としている土地改良は「日本の命綱」でありますが、その命綱が切れそうになっていることに強い危機感を禁じ得ません。全国各地を回り始めてから約₄か月経た時点で、私なりに全国の声を集約し、全国水土里ネット会長会

議に報告しました。そして、その報告した内容を私に課せられた₅つの使命として承り、その使命を果たすため全身全霊で取り組んでまいります。最後に、今年は、土地改良にとって剣ヶ峰と言ってよい程の大きな節目の年となります。私は、幅広い国民の皆さんのご理解と土地改良に関わる私たちの結束を源泉として、「闘う土地改良」の先頭に立って全力疾走することを改めてお誓いします。本年が皆様お一人おひとりにとって良き年となることを祈念し、私の年頭のご挨拶と致します。

農業農村整備予算の要望・要請活動特集!●九州各県が団結し、要請活動を実施

平成27年11月26日(木)、九州農業農村整備事業推進協議会と九州土地改良事業団体連合会との合同で農林水産省及び県選出国会議員等に対し、「平成28年度農業農村整備事業概算要求1,000億円増額の満額確保」

「多面的機能支払交付金予算の確保」「水土里情報システムの更新に係る予算の確保」について要望しました。

●農業農村整備の集いが開催平成27年11月27日(金)、「農業農村整備事業の集い

~農を守り、地方を創る予算の確保に向けて~」が東京都千代田区のシェーンバッハ砂防において開催され、全国の農業農村整備関係者約800名が参集しました。集いでは、国への要請書の提案が行われ、厳しい土地改良予算の現状を踏まえて、地域の要望を十分に満たす予算の確保など₇項目が採択されました。

新年のご挨拶 “闘う土地改良”の先頭に立って

新年に当たって

平成28年₁月₄日 仕事始め式より

森山農林水産大臣への要望

祝辞を述べられる森山農林水産大臣

熊本県土地改良事業団体連合会会 長 荒木 泰臣

全国土地改良事業団体連合会会 長 二階 俊博

全国水土里ネット会長会議顧 問 進藤 かねひこ

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3 4M i d o r i N e t K u m a m o t o M i d o r i N e t K u m a m o t o

Action

東奔西走する全国水土里ネット会長会議顧問の進藤かねひこ氏に熊本の水土里ネット女子₃人が土地改良復活に向けての決意を伺った。

予算が足りない、土地改良制度の見直し、技術者不足に多くの声山下 進藤さんは精力的に全国を駆け巡っておられますが、土地改良についてどのような声が寄せられていますか。進藤 ₆月₁日に農水省を辞職してからこれまでに、33都道府県を回りました。₁月までには全国一通り回る予定でいます。土地改良については、予算が足りないという声が最も大きいです。特に若手の農家の方から圃場整備を前提にして営農計画を立てているので工期が延びるのは勘弁してほしいという切実な声があります。それから、昭和24年に土地改良法ができて、現在では法人化が進んで法が想定している事業参加資格者が現実とずれてきています。土地改良を取り巻く環境が変わってきており土地改良区の役割を整理してほしいという指摘があります。また、土地改良区の技術者が不足していて事業を進める上で支障があるという、この₃つに関しての声が多いですね。前田 土地改良事業の必要性を改めて感じられたのではないですか。進藤 おっしゃるとおりです。私の実家は秋田の農家です。圃場整備事業をやって作業は楽になり、道路もよくなりました。集落排水で生活環境もよくなり地域は劇的に改善されました。土地改良事業の効果は身を持って理解しています。 いま、世界的に人口増による食料不足が懸念されていますが、食料生産にとり水と土は基本です。日本の将来にとって食料の安定供給が不可欠であり、そのための土地改良事業は日本の命綱と言っても大げさではないほど重要なものだと強く感じています。

現場重視と土地改良区に寄り添った熊本県時代田尻 進藤さんは平成18年から₃年間熊本におられましたが、そのときの思い出なども含めてお話を聞かせてください。進藤  熊本県庁の方々には温かく迎えていただきチームワークよく仕事をさせていただきました。

自分としては土地改良区との距離感を縮めたいと思い、あちこち出かけて理事長さんや職員の方と話をしました。その中から、水系ごとに土地改良区による上下流連携の仕組みができたことが印象に残っています。下流域の土地改良区による上流地域での植林活動をきっかけとして白川・黒川、球磨川、緑川、菊池川の₄大水系で流域連携ができました。また、こうした動きを契機に土地改良区の事務局長会議が立ち上げられ、そこに女性職員や若手の職員も参加して苦労話の交換を含め、横のつながりができたことに貢献できたことがよい思い出です。田尻 あれで土地改良区の女性職員の輪が広がりました。₁人で仕事をするのではなく、相談したり悩みを語り合える仲間ができたことは助かりましたし、励みになります。進藤 それと、中山間地域等直接支払と農地・水・環境保全向上対策について、市町村毎に交付額と農業

聞き手 ◦山下 明子 糸田堰土地改良区◦前田富美子 美里町土地改良区◦田尻 千恵 三角町土地改良区

一般社団法人 土地改良建設協会「会誌 土地改良292号」掲載記事!

元気な土地改良の復活に向けて

進藤かねひこ氏に抱負を伺う

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5 6M i d o r i N e t K u m a m o t o M i d o r i N e t K u m a m o t o

Action産出額を分析したところ、土地利用型の水田農業地帯では、直接支払施策の底上げ効果が非常に大きいことがわかりました。こうした地域政策の上に産業政策としての農業振興策が有効に機能することが重要であり、これを熊本である程度検証できたことが大きな経験です。各地でこのことを話させてもらっています。

土地改良区の運営には柔軟な発想を山下 農業水利施設は多面的な機能を有しているといわれていますが、職員₁人の土地改良区や私たちのように女性職員だけの土地改良区では、業務が多くて専門的な知識も必要で苦労しています。進藤 土地改良区の合併が進んでいます。組織の強化や事務の効率化の点で重要ですが、土地改良区と地域や現場が離れてしまうことを懸念しています。勿論、合併は重要な手段ですが、土地改良区は地域の組合員の理解を得て地域に密着しながら仕事を進めていく道を探ることが重要だと思います。前田 合併しても用水管理を一緒にすることは難しいです。ですから無理に合併せず、合同事務所のような形もあるかなと思います。ただ、事務費は一体化すれば合理化できると思います。私のところでは、₂つの町が合併した結果、土地改良区が行政と地域の間に入って役割を果たしていることについて評価されています。災害復旧で町が土地改良区の要請に応じて予算手当てしてくれたことは合併のメリットかなと思います。進藤 いいお話を伺いました。土地改良区を定型的なひな形に押し込めず、地域にあった柔軟な活動ができる組織体としていくことや、事務の効率化と組合員サービスの質の両立などについて、改良区毎に検討することも大切ですね。

農業農村の将来には基盤整備に加えて地域政策が不可欠前田 農家の高齢化や過疎化、耕作放棄地の増加、鳥獣被害の増加など特に中山間地域は厳しい環境にあります。どのような対策が必要でしょうか。進藤 国の方針は、ざっくり言えば₈割の農地を担い手や法人経営に委ね、₂割は兼業農家が地域全体を支えるという構図です。基盤整備をしっかり行って、農地を担い手や法人経営に集積し、集落周りの環境をしっかりと整備することが基本の対策です。耕作放棄地は、条件の悪いところもあり、すべてを復活させることは現実的ではありません。山に戻すところと農地として保全整備するところをメリハリをつけていくことが重要だと考えます。鳥獣害対策は、農水省では、生産局から農村振興局に移管されました。生産対策という視点に加え、農村振興対策として農村環境を守るという視点での施策推進が期待されます。前田 電気柵だけでは十分ではありません。下をくぐってイノシシが入ってきます。サルまで出ます。山下 収穫の直前にやられるんですよ。進藤 北海道で聞いたのがアライグマ。スイカの中をくり抜いて食べられてしまうそうです。いろいろな

タイプに対応する対策が必要ですね。

中山間直接支払、多面的機能支払でムラを元気に前田 これからのムラの将来像についてどうお考えですか。進藤 昨年12月、中山間地域振興課長になって以来、山村振興法の改正で国会対応に明け暮れました。農山村をどうするかいろいろ勉強しました。答えの₁つは、まずは中山間地域等直接支払い、多面的機能支払いを可能な限り活用し、ムラの活動の支えをしっかり確保することです。比較的元気な地域では、基盤がしっかりと整備され、その上で直接支払を積極的に活用し、法人化や₆次産業化が進んでいるのです。また、広域連携を進めることも重要です。拠点集落とのネットワークを構築し、地域おこし協力隊の積極的な活用も含め、地域独自の将来像を描いていくことが重要だと思います。田尻 土地改良区では、21世紀土地改良区創造運動に取り組んでいます。進藤さんは、熊本県の課長時代に農地・水・環境保全活動を推進されてきました。これが、多面的機能支払い交付金に発展しています。農村地域の環境保全についてのお考えをお聞かせください。進藤 この対策は、平成16年度からモデル事業をやって、平成19年度に制度化されました。熊本県では職員が一丸になってモデル事業に取り組み、制度化に貢献しました。それまでも熊本では集落で取り組む普請作業に砂利代などの支援をしていた市町村がありました。農地・水・環境保全向上対策では、こうした市町村がこれまで出していた支援が₄倍にもなるという上手い説明で県職員が解説しながら、新しい制度の普及に努めました。このことを全国にも発信し、熊本の実情に合う形で制度の適用ができたと思っています。

工夫次第で美しか、楽しいムラができる!田尻 地元では、あれはできない、これもできないといった話になりがちですが、地域の実情に合わせて、いろいろな制度や仕組みを工夫しながら利用していくことも大事ですよね。進藤 国に対して、これはできるのかと判断を求めるよりも、色々な事例を教えてもらって積極的に制度を自分達のものとして利用していくという姿勢が大事だと思います。前田 例えば、「軽微な補修」とはどこまでが軽微なのかとか。あと、書類作りは大変です。田尻 最初の頃は大変だったけどだいぶ簡素化されてきたと思います。やはり税金をいただいているのですから書類は必要です。前田 中山間地域等直接支払は、制度化されてからずっと取り組んでいます。もう₄期目です。平成25年からは、農地・水にも取り組みを始めました。

前田富美子氏(美里町土地改良区)

山下明子氏(糸田堰土地改良区)

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7 8M i d o r i N e t K u m a m o t o M i d o r i N e t K u m a m o t o

Action田尻 多面的機能支払いでは、農道沿いに皆で花を植えたり、子供たちの里芋堀をやったり、田植え体験をやったり多くの活動が活発化しています。地域の色々な話が出てきてお年寄りが元気になります。進藤 故郷の秋田ではムラの寄り合いが多くありました。明治37年生まれの祖父は圃場整備の換地委員長で大変苦労して地域の合意を図りました。酔っ払って口論したり妥協したりと。子供はそうしたコミュニティの中で育つんです。

地元産の食材で食の安全と安心を山下 国民の食の安全と安心について関心が高まってきています。地域農業のあり方や食についてどのようにお考えですか。進藤 食の安全と安心は継続的に取り組まなければならない大きな課題です。食料安全保障の確保、食品添加物の問題などいろいろありますが、食育は将来の世代を見据えた重要な取り組みです。また、原産地表示は、食の安全を確保する上で重要ですが、加工品になると不十分な面も見受けられます。安全・安心な国産農産物の普及定着には、食育と適正な表示が鍵でないかと思います。山下 孫の食事には特に気を遣っています。家では徹底して和食です。進藤 学校給食は、熊本の子供達には思い切って全て熊本産のものを使うといった地産地消の取り組みを徹底しても良いと思います。田尻 今の給食は昔と違って、味も栄養もよくなっています。自分たちで作ったものがおいしい。地元産のおいしいものを給食でどんどん使ってほしいです。進藤 米価が下がっていますが、需要が減っているのが大きな原因です。安全でおいしい日本のおコメ。コメの消費拡大に皆で取り組む必要を感じています。

経営の視点と女性パワーで土地改良区を元気に前田 土地改良区の健全な運営についてどのようにお考えですか。進藤 土地改良区には、用水管理と耕地整理の₂つのルーツがあります。また土地改良区の事情はまさに千差万別で、改良区ごとに丁寧にみていかなければならないと思います。維持管理の支出はかさみ、補助金は厳しくなる状況の中で、小水力など地域資源が活用できないか、経営基盤をどう評価するかといった視点は多くあります。支出をどう抑え、収入をどう確保するか、経営の視点が求められます。複式簿記の導入も進んでいますね。土地改良区自らが経営診断して対策を考えていく必要があります。そうしたきめの細かい取り組みに対する支援ができればと思っています。山下・前田・田尻 私たちのような女性職員だけの土地改良区が全国にはたくさんあると思います。農業農村の活性化には女性パワーが不可欠だと思います。進藤さんの土地改良に対する熱い思いが実現されるよう願っております。本日は長時間のインタビューありがとうございました。 

進藤 土地改良区の女性の輪が広がっていってほしいと願っています。私も精一杯応援していきたいと思います。私は、いろんな意見を伝えるキャッチボールのボールのようなもので皆さんから推進力をもらって土地改良のために全身全霊で努力する覚悟です。 今日はありがとうございました。

熊本県宇城市三角町生まれ。平成12年から三角町土地改良区

に勤務。県営圃場整備事業、担い手育成畑地帯総合整備事業、県営地域水田農業支援排水対策特別事業、多面的機能支払交付金、21世紀土地改良区創造運動などの業務に従事。「土地改良区の仕事では、県営地

域水田農業支援排水対策特別事業により完成した排水機場により安定した収穫が出来るようになり、地域の皆さんが大変喜んでいる事が特に印象的でした。」

昭和38年秋田県協和町(現大仙市)生まれ。秋田の実家の圃場整備で土地改良の効果と必要性を実感。岩手大学農学部卒業後、昭和61年農林水産省入省。佐賀県や宮崎県の国営事業所などで現場経験を積んだ後に、本省に戻り農業農村整備事業の予算を総括する要職で活躍。平成18年から20年には、熊本県農村計画・技術管理課長として、土地改良区の支援や農地・水環境保全対策、中山間

直接支払い制度の取り組みに手腕を発揮。平成26年には中山間地域振興課長に就任し、山村振興法の改正等に従事。平成27年₆月に退職し、現在、全国水土里ネット会長会議顧問。

熊本県上益城郡御船町生まれ。平成₆年から糸田堰土地改良区に

勤務。県営事業(堰の改修、水路の補修)や団体営事業(かん排事業、暗渠排水、元気交付金、農地耕作条件改善事業)などの業務に従事。「現在の土地改良区は、皆さんの

たまり場的な感じで、そうした雰囲気の中で皆さんの困っている事や要望を聞いて事業に取り組み。難しいことも多々ありますが、基本的に農家の方は優しいので、前向きな気持ちで頑張ってます。」

熊本県下益城郡美里町(旧砥用町)生まれ。

昭和47年から美里町土地改良区に勤務。団体営かん排事業、畑地総合整備事業、土地改良施設維持管理適正化事業、21世紀土地改良区創造運動(平成19年創造運動大賞受賞)、激甚災害復旧、中山間地域等直接支払交付金、土地改良区の合併などの業務に従事。「土地改良区の合併では、土地改

良区が行政と地域の間に入って重要な役割を果たしていることを新町に説明し、町から土地改良の仕事への助成を獲得したのが印象的です。」

田た じ り

尻 千ち え

恵 前ま え だ

田 富ふ み こ

美子 山やました

下 明め い こ

進しんどう

藤 かねひこ

田尻千恵氏(三角町土地改良区)

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10M i d o r i N e t K u m a m o t o9 M i d o r i N e t K u m a m o t o

Information

「個別版水土里GIS」のご紹介

個別版水土里GISでは、利用機関が持つさまざまな情報と地図情報を結びつけて表示することができます。システム利用機関における、情報の蓄積による業務の効率化を支援しています。

システムのバージョンアップについて今年度から平成28年度にかけて、個別版水土里GISのバージョンアップを実施しています。バー

ジョンアップ後は、Windows₈以降のOSへ正式対応になるとともに、現在利用中のオルソ画像(航空写真)より新しい画像を利用できるようになります。(新しいバージョンのシステムは平成28年度後半より運用開始予定です。)

操作研修会について今年度はこれまで実施しておりました新規担当者

向け操作研修会に加え、少人数制の個別操作研修会を平成27年₆月より実施してまいりました。毎月第₂第₄水曜日に午前午後の₂回開催しており、多数の方にご参加いただいております。今年度は残すところ₂月10日、24日の₄回のみとなりましたが、まだ多少の空席がありますので、参加を希望される方はお問い合わせください。

お問い合わせ先

熊本県水土里情報利活用協議会(県土連会員支援課 水土里情報係)TEL:096-348-8802

「多面的機能支払」について

熊本県の農振農用地約12万₁千haの₈割、₉万₇千haの取組を目標に推進を行っています。推進の一環として熊本日日新聞の

「あれんじ」に掲載し広報活動を行い取組面積の拡大に努めています。

水田での取組は₆割を超える中、畑(樹園地)の取組は₃割程度にとどまっている状況です。熊本県多面的機能支払推進協議会は畑地での取組の指導助言や取組拡大につながる組織の広域化に関する指導助言も実施しております。

活動内容等お困りの際はぜひご相談をお願いします。また、₃月には推進協議会のホームページをリニューアルし役

立つ情報をお伝えしていく予定です。

お問い合わせ先

熊本県多面的機能支払推進協議会(県土連 農地・水推進室)TEL:096-348-8802

土地改良区複式簿記研修会平成27年10月₆日(火)、熊本県下土地改良区に対し全土連主

催による「平成27年度水土里ネット複式簿記研修会」を熊本市で開催しました。

研修会には県内各地の土地改良区等40団体が出席。講師には、全土連及び九州農政局土地改良管理課にお願いし、(₁)会計制度や複式簿記の基本、(₂)検査指導基準や会計基準について、(₃)会計基準に基づく会計記帳実務、(₄)土地改良区会計基準と特殊実務、(₅)資産評価と減価償却の演習、(₆)小水力発電会計について、の₆項目について研修しました。

土地改良区役職員研修会平成27年11月₇日(金)、水土里ネットの運営基盤の強化を目

的に、本会と熊本県農村計画課との共催で「平成27年度水土里ネット役職員研修会」を開催しました。研修会には、県内67の水土里ネットから260名を超える参加をいただきました。研修内容については次のとおりです。(₁)土地改良区の役割と責任について

熊本県農村計画課 池田雄一 課長(₂)法令遵守について

特定社会保険労務士 菅原孝二 氏(₃)農業基盤整備資金について

日本政策金融公庫 松尾英樹 課長、友川由理香 課長代理(₄)水や土と水土里ネットについて 熊本大学 濱武英 准教授    (₅)地域の農地と農業は『農業生産法人』で守る

農事組合法人 熊本すぎかみ農場 大澤洋一 代表理事長、徳永今朝憲 事務局長(₆)21世紀土地改良区創造運動事例発表 水土里ネット三角 田尻千恵 氏

熊本農業高校現地研修会平成27年12月₉日(水)、農業土木科₂年生(42名)を対象に授

業の一環として、農業土木(ほ場整備)の必要性と理解を深め、将来の農業土木技術者育成を目的として、県央広域本部農地整備課及び本会農地・農村整備課職員が講師となり、₂回目の現地研修会を開催しました。

今回の研修内容は、前回の「減水深調査」(平成27年₉月₂日実施)に引き続き、「地耐力調査」について、午前中は①「地耐力調査の目的・必要性・測定方法・資料分析」②「測定機器(コーンペネトロメータ)の操作説明」③「測定後のデータ分析について」を座学にて行い、午後からは、実習田にて実際に測定機器を用いて現地測定後、測定結果を用いてデータ分析まで行いました。

会員お役立ち情報研修会特集!

現地研修会の様子

研修会の様子

研修会の様子

個別操作研修会の様子

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http://www.higosanae.or.jp11

熊本市北区龍田陳内3丁目15-1

新しい農業農村を目指して

■発行所/水土里ネット熊本(熊本県土地改良事業団体連合会)■編集発行人/ 荒木 泰臣

熊本県からの参加者

清田理事長

Vol .61 平成28年1月号

●編集後記今号の「大地」はいかがだったでしょうか?初の試みとして熊本県にも縁が深

い進藤かねひこ氏と水土里ネット女子₃人との対談を掲載しております。将来の明るい農業農村整備に向けて共に頑張っていきたいと思います。

第38回全国土地改良大会in青森大会平成27年10月15日(木)、青森市において「~あづましの風流れる青

森大会~土地改良の路繋ぎ 明日への確かな途拓く」をテーマに、「第38回全国土地改良大会青森大会」が開催され、熊本県からは、62名が参加しました。全国からは約3,600名の水土里ネット関係者及び農業農村整備事業関係者が参集し、「農業農村の重要性」「農業農村整備事業の役割」を広くアピールし、農業・農村の礎である「水・土・里」を健全な姿で次世代に引き継いでいくとの大会宣言が採択されました。

また、大会では、渡鹿堰土地改良区理事長で前熊本県土地改良事業団体連合会監事の清田好弘様が、これまでのご功績により、土地改良事業功績者として全国土地改良事業団体連合会会長表彰を受賞されました。誠におめでとうございます。清田理事長のお喜びの声をお届けします。

渡鹿堰土地改良区 清き よ た

田 好よしひろ

弘 理事長 お喜びの声平成25年度、熊本県の農業振興と発展に寄与したとして県知事より農業功労

賞を受け、さらに今回、第38回全国土地改良大会において全土連会長表彰を頂き、この上ない喜びと共に大変驚いているところです。 

これも県土地改良事業団体連合会の皆様方の温かいご推薦のおかげだと感謝いたしております。現在我が国においては、TPP問題により農業の将来が危惧されており心配しているところです。今後も熊本市土地改良区連絡協議会長として微力ではありますが、引き続き行政及び各関係機関と連携を取りながら土地改良事業発展の為取り組んで参ります。

今後とも皆様方のご指導を賜りますようお願い申し上げます。

天明環境保全隊(事務局;天明土地改良区)が農林水産大臣賞を受賞!~豊かなむらづくり全国表彰事業~

天明環境保全隊(事務局;天明土地改良区)が「豊かなむらづくり全国表彰事業」で大臣賞を受賞されました。表彰式は、平成27年11月₉日(月)に九州農政局にて行われております。誠におめでとうございます。

今後の予定について ~ご出席の方よろしくお願いします~

開催月日 行事の名称 開催場所₁月21日(木) 土地改良区役職員専門研修(賦課金) 県土連₃階会議室₁月28日(木) 県土連 第₃回監事会 県土連₁階役員室₁月28日(木) 土地改良区役職員専門研修(合併) 県土連₃階会議室₂月₄日(木) 県土連 第₄回理事会 熊本テルサ₂月₄日(木) 土地改良区役職員専門研修(土地改良施設維持管理) 県土連₃階会議室₂月₈日(月)

~19日(金) 県土連 平成27年度支部協議会 各支部にて

₂月₉日(火) 土地改良区役職員専門研修(天草地区) 県天草広域本部₃月₃日(木) 県土連 第59回通常総会 メルパルク熊本₃月₄日(金) 平成27年度「くまもと.むらの再生フォーラム」 熊本県立劇場₃月16日(水) 熊本県水土里情報利活用協議会 総会 県土連₃階会議室

「 みどり通信」のお知らせ

本会の田上哲哉常務理事がNN情報を毎月₂回配信しています。

皆様方の情報提供をお待ちしております。