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Page 1: H28 gyosei sokuhou gyoseihou8-26,42-43...第43問 20,10,2,8 2 - 8 行政法総論 行政行為 正 解 5 ア × 営業許可がなされた時点においては違法事由が存しなかったのであるから、

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平成 28 年度 行政書士試験 解答速報 行政法(第8問~第 26 問,第 42,43 問)

解答一覧表

第8問 第9問 第 10問 第 11問 第 12問

5 1 2 2 4

第 13問 第 14問 第 15問 第 16問 第 17問

1 4 2 3 5

第 18問 第 19問 第 20問 第 21問 第 22問

3 3 4 3 5

第 23問 第 24問 第 25問 第 26問 第 42問

2 1 1 3 19,12,4,6

第 43問

20,10,2,8

Page 2: H28 gyosei sokuhou gyoseihou8-26,42-43...第43問 20,10,2,8 2 - 8 行政法総論 行政行為 正 解 5 ア × 営業許可がなされた時点においては違法事由が存しなかったのであるから、

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8 行政法総論 行政行為

正 解

□□ ア × 営業許可がなされた時点においては違法事由が存しなかったのであるから、Xに対してなされた取消処分は、「適法」になされた営業許可を取り消すものである。

□□ イ × Xに対してなされた取消処分は、不利益処分(行政手続法 2条 4 号)にあたるため、独立の行政行為である。

□□ ウ ○ 取消訴訟において処分が違法として取り消された場合、その処分の効力は処分当時に遡って形成的に消滅する(取消判決の形成力)。

□□ エ × Xに対してなされた取消処分は、当初は適法だった行政行為が後発的事情により違法となる場合にその効力を失わせるものであるから講学上の「撤回」にあたる。そして撤回の効果は、将来効である。よって、遡って効力を失わせるとする本肢は講学上の「取消し」に関する記述であり、誤りである。

□□ オ ○ その通りである。肢エの解説参照。 よって、正しいものの組合せはウとオであり、正解は5となる。

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9 行政裁量 裁量

正 解

□□ 1 × 本肢はマクリーン事件判決(最大判昭和 53 年 10 月4日)に関する記述であるが、同判決は結論として法務大臣のした判断に裁量権の逸脱・濫用を認めることはできないとして、「本件処分を違法であると判断することはできない」と判示している。

□□ 2 ○ 最判平成8年3月8日は、「信仰上の理由による剣道実技の履修拒否を、正当な理由のない履修拒否と区別することなく、代替措置が不可能というわけでもないのに、代替措置について何ら検討することもなく、体育科目を不認定とした担当教員らの評価を受けて、原級留置処分をし、さらに、不認定の主たる理由及び全体成績について勘案することなく、二年続けて原級留置となったため進級等規程及び退学内規に従って学則にいう『学力劣等で成業の見込みがないと認められる者』に当たるとし、退学処分をしたという上告人の措置は、考慮すべき事項を考慮しておらず、又は考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠き、その結果、社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたものと評するほかはなく、本件各処分は、裁量権の範囲を超える違法なものといわざるを得ない」として、本肢と同様のことを述べている。

□□ 3 ○ 最判昭和 46 年 10 月 28 日は、「多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、……右6条は抽象的な免許基準を定めているにすぎないのであるから、内部的にせよ、さらに、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。免許の申請人はこのような公正な手続によつて免許の許否につき判定を受くべき法的利益を有するものと解すべく、これに反する審査手続によつて免許の申請の却下処分がされたとき

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は、右利益を侵害するものとして、右処分の違法事由となるものというべきである」として、本肢と同様のことを述べている。

□□ 4 ○ 最判平4年 10 月 29 日は、「原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである」として、判旨で本肢と同様のことをいっている。

□□ 5 ○ 最判昭 52 年 12 月 20 日は、裁判所が懲戒権者の裁量権行使の適否を審査するにあたっては、「懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法」であるとする。

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10 行政法総論 公定力

正 解

□□ ア ○ 国家賠償法上の違法と取消訴訟上の違法とは内容的に異なるものであり、国家賠償法上の違法は、当該行為が特定規範に反するか否かのみならず、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否かによって判断される。このことから、処分取消判決が確定したときであっても、国家賠償法上、同一処分に関して違法ではないと主張することは許される。

□□ イ × 当事者訴訟(行政事件訴訟法4条)においては、行政処分が無効であることを前提に、現在の法律関係について確認を求める訴えの類型が含まれており、抗告訴訟の提起を前提としていない。

□□ ウ ○ 最判昭和 36 年4月 21 日は、「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない」としている。

□□ エ × 行政行為の公定力は刑事事件にまで及ばないと解されている。よって、あらかじめ取消訴訟において取消処分を得ておく必要はない。 よって、正しいものの組合せはアとウであり、正解は2となる。

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11 行政手続法 行政処分・行政指導

正 解

□□ 1 ○ 聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができることを教示しなければならない(行政手続法 15 条 2 項 2 号)。

□□ 2 × 行政手続法上、本肢のような規定は存在しない。

□□ 3 ○ 法令に違反する行為の是正を求める行政指導の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる(行政手続法 36条の 2第 1項本文)。

□□ 4 ○ 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる(行政手続法 36 条の3第1項)。

□□ 5 ○ 4の解説参照。

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12 行政手続法 行政庁等の義務

正 解

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□□ 1 ○ 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めなければならないため(行政手続法6条)、努力義務にとどまる。

□□ 2 ○ 行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならないため(行政手続法 10条)、努力義務にとどまる。

□□ 3 ○ 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない(行政手続法 12 条1項)とされており、努力義務にとどまる。

□□ 4 × 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない(行政手続法 35 条1項)とされており、義務である。

□□ 5 ○ 意見公募手続については、命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない(行政手続法 38 条2項)とされており、努力義務にとどまる。

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13 行政手続法 行政手続法全般

正 解

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□□ 1 × 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない(行政手続法7条)。よって、ただちに拒否してもよい。

□□ 2 ○ 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない(行政手続法8条1項本文)。

□□ 3 ○ 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない(行政手続法9条1項)。

□□ 4 ○ 不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいうが(行政手続法2条4号)、申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分(申請に対する処分)については、不利益処分の定義から除かれている(行政手続法2条4号ロ)。

□□ 5 ○ 届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする(行政手続法 37 条)。

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14 行政不服審査法 再調査の請求

正 解

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□□ 1 × 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合でも、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる(行政不服審査法5条1項)。

□□ 2 × 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間を経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができるのであり(行政不服審査法3条、4条)、再調査ができるわけではない。

□□ 3 × 再調査の請求に対しては、審査請求における行政不服審査会への諮問を要求する行審法 43 条の準用がないため、行政不服審査会への諮問は要しない(行政不服審査法 61 条)。しかし、同条は同法9条1項も準用していないため、審理は、審理員が担当しない。

□□ 4 〇 再調査においては、申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合でない限り、審理員は、申立てをした者に口頭で再調査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない(行政不服審査法 61 条、31 条 1 項)。

□□ 5 × 処分庁は、再調査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置をとることができる(行政不服審査法 61 条、25 条2項)。

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15 行政不服審査法 審理員

正 解

□□ 1 × 審理員による審理手続を定める行政不服審査法9条1項は、同法4条に基づく審査請求がなされた場合に適用されるところ、不作為についての審査請求も同条に基づく審査請求であるから(行政不服審査法3条)、審理員による審理手続が実施される。

□□ 2 ○ 審理員は、審査庁に所属する職員から指名され(行政不服審査法9条2項参照)、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない(行政不服審査法 17 条)。

□□ 3 × 執行停止を命ずることができるのは審査庁であり、審査員ではない(行政不服審査法 25 条2項)。

□□ 4 × 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し(行政不服審査法 42 条1項)、これを速やかに、審査庁に提出しなければならない(同条2項)。

□□ 5 × 行政不服審査会に諮問するのは審査庁であり、審理員ではない(行政不服審査法 43 条1項)。

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16 行政不服審査法 審査請求に対する裁決

正 解

□□ 1 × 審査請求が不適法である場合や審査請求が理由がない場合には、審査庁は裁決をしなければならず、裁決をする場合には、裁決書によらなければならず、裁決書には理由を記載しなければならない(行政不服審査法 50 条1項柱書、同項4号)。しかし、審査請求が理由がない場合、却下ではなく、審査請求を棄却する(同法 45 条2項)。

□□ 2 × 処分の変更をすることができるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁の場合に限られるのは、正しい(行政不服審査法 46 条1項)。しかし、審査庁が処分庁の場合であっても、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない(同法 48 条)。

□□ 3 ○ 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する(行政不服審査法 49 条1項)。

□□ 4 × 不作為についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言した上で、不作為庁が審査庁である場合には、当該処分をし、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合には、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる(行政不服審査法 49 条3項)。

□□ 5 × 4の解説の通り。

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17 行政事件訴訟法 法律上の利益

正 解

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□□ ア ○ 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができないため(行政事件訴訟法 10 条1項)、これのみを理由とする請求は棄却される。

□□ イ ○ 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる(行政事件訴訟法 36 条)。

□□ ウ ○ 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴えは、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分又は裁決の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる(行政事件訴訟法9条1項)。

□□ エ × 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる(行政事件訴訟法 37 条)。

□□ オ × 民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう(行政事件訴訟法5条)。国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟は機関訴訟である(行政事件訴訟法6条)。 以上より、誤っているものの組合せはエとオであり、正解は5となる。

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18 行政法総論 行政行為

正 解

□□ 1 × 公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法 432 条1項本文に基づく審査の申出及び同法 434 条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得る(最判平成 22 年6月3日)。同判例は、「行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではな」く、「このことは、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならない」としている。

□□ 2 × 最大判昭和 45 年7月 15 日は、「供託事務を取り扱うのは国家機関である供託官であり(供託法一条、同条ノ二)、供託官が弁済者から供託物取戻の請求を受けた場合において、その請求を理由がないと認めるときは、これを却下しなければならず(供託規則三八条)、右却下処分を不当とする者は監督法務局または地方法務局の長に審査請求をすることができ、右の長は、審査請求を理由ありとするときは供託官に相当の処分を命ずることを要する(供託法一条ノ三ないし六)と定められており、実定法は、供託官の右行為につき、とくに、「却下」および「処分」という字句を用い、さらに、供託官の却下処分に対しては特別の不服審査手続をもうけている」ことを理由として、弁済供託における供託金取戻請求に対する供託官の却下は行政処分に当たるとしている。

□□ 3 ○ 原子炉設置の設置者を被告として、人格権等に基づき原子炉の設置ないし運転の差止めを求める訴訟を提起することができるとしても、無効等確認訴訟の提起は妨げられない(最判平成4年9月 22 日)。

□□ 4 ×

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国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金支給をしない旨の決定が行われた場合、当該年金の裁定の請求者は、公法上の当事者訴訟及び年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起することができる(最判平成7年 11 月7日)。

□□ 5 × 最判平成 17 年4月 14 日は、「登録免許税法 31 条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である」としている。

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19 行政救済法 処分性

正 解

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□□ 1 ○ 最判平成 21 年 11 月 26 日は、「本件改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。」としている。

□□ 2 ○ 建築基準法 42 条2項の指定について、最判平成 14 年1月 17 日は、「特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。」としている。

□□ 3 × 最判平成 17 年7月 15 日は、「医療法 30 条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。」とし、処分性を肯定している。

□□ 4 ○ 最大判平成 20 年9月 10 日は、「市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。」としている。

□□ 5 ○

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最判昭和 57 年4月 22 日は、「都市計画区域内において工業地域を指定する決定……が、当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、その限度で一定の法状態の変動を生ぜしめるものであることは否定できないが、かかる効果は、あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があつたものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。」としている。

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20 行政救済法 国家賠償法

正 解

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□□ 1 × 国家賠償法1条及び2条の規定によって「国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる」(同法3条1項)とされている。

□□ 2 × 国家賠償法は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り適用される(同法6条)。相互の保証があるときとは、その外国人の本国で日本国民が加害行為を受けた際に、日本におけると同様の国家賠償による救済が認められていることをいう。

□□ 3 × 「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」(国家賠償法1条1項)。この場合、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する(同条2項)。

□□ 4 ○ 選任及び監督について相当の注意をしていた場合に免責を認めるという民法 715 条1項ただし書のような規定は国家賠償法にはなく、判例においてもこのような場合における国又は公共団体の免責は認められていない。

□□ 5 × 被害者による加害公務員に対する直接の損害賠償請求の可否については、国家賠償法上明文の規定はなく、判例もこれを否定している(最判昭和 30年4月 19 日)。

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21 行政救済法 損失補償

正 解

□□ 1 × 消防長等は、「消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために緊急の必要があるときは、前2項に規定する消防対象物及び土地以外の消防対象物及び土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる」(消防法 29条3項前段)。最判昭和 47 年5月 30 日は、上記の処分等がなされた場合について、「そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があれば、その損失を補償しなければならないことが明らかである。」としている。

□□ 2 × 都市計画法では、調査のための土地の立入り等によって損失を与えられた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならないとの規定はあるが(同法 28 条1項)、土地の利用規定を受けることとなった者に対する損失補償規定はない。

□□ 3 ○ 最判昭和 48 年 10 月 18 日は、「土地が都市計画事業のために収用される場合、……被収用地については、街路計画等施設の計画決定がなされたときには建築基準法 44 条2項に定める建築制限が、また、都市計画事業決定がなされたときには旧都市計画法 11 条、同法施行令 11 条、12 条等に定める建築制限が課せられているが、前記のような土地収用における損失補償の趣旨からすれば、被収用者に対し土地収用法 72 条によって補償すべき相当な価格とは、被収用地が、右のような建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと解すべきである。」としている。

□□ 4 × 収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない(土地収用法 133 条3項、2項、形式的当事者訴訟)。

□□ 5 ×

Page 19: H28 gyosei sokuhou gyoseihou8-26,42-43...第43問 20,10,2,8 2 - 8 行政法総論 行政行為 正 解 5 ア × 営業許可がなされた時点においては違法事由が存しなかったのであるから、

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最判昭和 58 年2月 18 日は、本問のような場合について、「警察法規が一定の危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことなどを内容とする技術上の基準を定めている場合において、道路工事の施行の結果、警察違反の状態を生じ、危険物保有者が右技術上の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされ、これによつて損失を被つたとしても、それは道路工事の施行によつて警察規制に基づく損失がたまたま現実化するに至つたものにすぎず、このような損失は、道路法 70 条1項の定める補償の対象には属しないものというべきである。」として、損失補償請求を否定している。

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22 地方自治法 条例

正 解

□□ 1 ○ 地方公共団体の休日は条例で定めることとされている(地方自治法4条の2第1項)。また、当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日で、当該地方公共団体の休日とすることについて広く国民の理解を得られるようなものは、第1項の地方公共団体の休日として定めることができる(同条第3項)。

□□ 2 ○ 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役もしくは禁錮、100 万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(地方自治法 14 条3項)。よって、自主条例によっても、一定の範囲内で懲役を科する旨の規定を設けることができる。

□□ 3 ○ 都道府県及び市町村の議会の議員の定数は条例で定めることとされている(地方自治法 90 条1項、91 条1項)。普通地方公共団体の議会の議員の任期は 4年であり(同法 93 条1項)、条例で定めることはできない。

□□ 4 ○ 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に、当該公の施設の管理を行わせることができる(地方自治法 244 条の2第3項)。

□□ 5 × 指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設けることができる(地方自治法 252 条の 20 第1項)が、特別区(同法 281 条)を設けることはできない。

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23 地方自治法 地方公共団体の事務

正 解

□□ ア × 「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう(地方自治法2条8項)というように控除的に定義されており、自らの条例またはこれに基づく規則により都道府県、市町村または特別区が処理することとした事務ではない。

□□ イ ○ 第一号法定受託事務とは、法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいう(同2条9項1号)。

□□ ウ ○ 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる(地方地自法 245 条の5第1項)。

□□ エ ○ 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる(地方自治法 245 条の7第1項)。

□□ オ × 各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定に違反するものがある場合、期限を定めて、当該違反を是正すべきことを勧告することができ(地方自治法 245 条の8第1項)、都道府県知事が期限までに是正を行わないと

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きは、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる(同条3項)。各大臣が訴えを提起することができるのは地方裁判所ではなく高等裁判所である。 以上より、誤っているものの組合せはアとオであり、正解は2となる。

Page 23: H28 gyosei sokuhou gyoseihou8-26,42-43...第43問 20,10,2,8 2 - 8 行政法総論 行政行為 正 解 5 ア × 営業許可がなされた時点においては違法事由が存しなかったのであるから、

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24 地方自治法 地方財務

正 解

□□ 1 × 普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる(地方自治法 230 条1項)。もっとも、議会の議決を受ければ足り(同法 96 条1項2号)、起債前に財務大臣の許可を受けなければならないとする規定はない。

□□ 2 ○ 分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない(地方地自法 228 条1項)。

□□ 3 ○ 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者……は、政令の定めるところにより、その総数の 50 分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる(地方自治法 74 条1項)とされており、地方税の賦課徴収については改廃請求の対象から除外されている。

□□ 4 ○ 市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても憲法 84 条の趣旨が及ぶと解すべきである(最大判平成 18 年3月1日)とされている。

□□ 5 ○ 最高裁は、「法定普通税に関する条例において、地方税法の定める法定普通税についての強行規定の内容を変更することが同法に違反して許されないことはもとより、法定外普通税に関する条例において、同法の定める法定普通税についての強行規定に反する内容の定めを設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することも、これと同様に、同法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されないと解される。」(最判平 25 年3月 21 日)としている。

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25 行政法総論 上水道の利用関係

正 解

□□ 1 ○ 最判平成 11 年1月 21 日は、「(水道)法 15 条 1 項にいう『正当の理由』とは、水道事業者の正常な企業努力にもかかわらず給水契約の締結を拒まざるを得ない理由を指す……近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、……新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法 15 条1項にいう『正当の理由』があるということができるものと解される。」としている。

□□ 2 × 最判平成元年 11 月8日は、教育施設負担金の納付を求める指導要綱に基づく行政指導には従わない意思を明確に表明し、かつ、給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もない場合に、給水契約の締結を拒むことは許されないとしており、任意の教育施設負担金を求めることまでは違法とされていない。

□□ 3 × 最判平成 18 年7月 14 日は、別荘給水契約者の基本料金がそれ以外の者の基本料金の約 3.57 倍となった事案において、これを地方自治法 244 条3項にいう「不当な差別的取扱い」にあたるとしたが、一般論としては、「夏季等の一時期に水道使用が集中する別荘給水契約者に対し年間を通じて平均して相応な水道料金を負担させるために、別荘給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金よりも高額に設定すること自体は、水道事業者の裁量として許されないものではない。」としている。

□□ 4 × 最判平成 18 年7月 14 日は、「本件改正条例は、……水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行

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為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである。」として、条例制定行為の処分性を否定している。

□□ 5 × 給水の停止措置は、水道法 15 条3項に基づく措置であるから、条例を根拠とするものではない。また、最判平成 18 年7月 14 日は、未払水道料金がある者に対する簡易水道の給水停止の禁止を求める民事上の差止訴訟を認容している。これは、給水契約は私法上の契約であって、「給水契約における水の継続的供給と水道料金の支払とは、双務契約における対価的牽連関係にあ」るから、「水道事業者は需用者に料金不払があるときは給水を停止することができるものと解され、水道法 15 条3項はこれを明確にした規定」(最判平 18.7.14 の第一審である甲府地判平 13.11.27)であるとの考えに基づくものである。

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26 行政訴訟 朝日訴訟

正 解

□□ 1 × 本問の判例は、保護受給権は、「被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡し得ないし(59 条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである。……また、……所論不当利得返還請求権は、保護受給権を前提としてはじめて成立するものであり、その保護受給権が右に述べたように一身専属の権利である以上、相続の対象となり得ないと解するのが相当である」としている。

□□ 2 × 本問の判例は、保護受給権は「被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利」であるとしており、反射的利益とはしていない。

□□ 3 ○ 本問の判例は、「被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利についても、医療扶助の場合はもちろんのこと、金銭給付を内容とする生活扶助の場合でも、それは当該被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであって、法の予定する目的以外に流用することを許さないものであるから、当該被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象となり得ない、と解するのが相当である。」としている。

□□ 4 × 本問の判例は、肢1の解説で述べたように、不当利得返還請求訴訟は相続により承継されないと解している。

□□ 5 × 本問の判例は、保護受給権は「被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡し得ないし(59 条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである」と述べている。

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42 適正手続 適正手続の保障(成田新法事件)

正 解

19,12,4,6

最大判平成4年7月1日民集 46巻5号 437 頁の多数意見は以下のように判示している。 「憲法三一条の定める法定手続の保障は、直接には(ウ)刑事手続に関するものであるが、(エ)行政手続については、それが(ウ)刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。」「しかしながら、同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、一般に、(エ)行政手続は、(ウ)刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、(ア)行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、(ア)行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、(ア)行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である。」 また、同判決における裁判官可部恒雄の意見では、以下のように述べている。 「(エ)行政手続がそれぞれの行政目的に応じて多種多様である実情に照らせば、同条の保障が(ア)行政処分全般につき一律に妥当し、当該処分につき告知・聴聞を含む(イ)事前手続を欠くことが直ちに違憲・無効の結論を招来する、と解するのは相当でない。」 したがって、(ア)19、(イ)12、(ウ)4、(エ)6となる。

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43 行政行為 行政処分の無効

正 解

20,10,2,8

最判昭和 42 年4月7日民集 21 巻3号 572 頁は、以下のように判示している。 「旧行政事件訴訟特例法のもとにおいても、また、行政事件訴訟法のもとにおいても、行政庁の(ア)裁量に任された(イ)行政処分の(ウ)無効確認

を求める訴訟においては、その(ウ)無効確認を求める者において、行政庁が右(イ)行政処分をするにあたつてした(ア)裁量権の行使がその範囲をこえまたは濫用にわたり、したがつて、右(イ)行政処分が違法であり、かつ、その違法が(エ)重大かつ明白であることを主張および立証することを要するものと解するのが相当である。これを本件についてみるに、本件……売渡処分は、旧自作農創設特別措置法四一条一項二号および同法施行規則二八条の八に基づいてされたものであるから、右売渡処分をするにあたつて、右法条に規定されたものの相互の間で、いずれのものを売渡の相手方とするかは、政府の(ア)裁量に任されているものというべきである。しかるに、上告人らは、政府のした右(ア)裁量権の行使がその範囲をこえもしくは濫用にわたり、したがつて違法視されるべき旨の具体的事実の主張または右違法が(エ)重大かつ明白である旨の具体的事実の主張のいずれをもしていない」。 したがって、(ア)20、(イ)10、(ウ)2、(エ)8となる。