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Hierarchical Sentence Structure Diagram 英文構造図 第3版公式サイト「英文構造図の館」(http://kouzouzu.web.fc2.com/)トップページより

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Hierarchical Sentence Structure Diagram

英文構造図 -第3版-

大 橋 穣 二 著

公式サイト「英文構造図の館」(http://kouzouzu.web.fc2.com/)トップページより

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i

ま え が き

本書の由来

本書『英文構造図』第3版(統合版)は、ほぼ1年半前に PDF 版として発行した『英

文構造図』第2版(三部作)の後継版であり、次のような点に変更がある。

①日本英語教育学会および外国語教育メディア学会での発表(注を参照)から得られ

た知見を加味することにより正確さを増した。

②文字サイズや色づかい等を見直すことにより読みやすくした。

③ごく易しいものも含め、原則としてすべての文に和訳を付けた。

④説明を大幅に書きあらためた。

⑤音読素材として使えるよう、各例文の白文(図にしない段階の文)を掲載した。

⑥Ⅲに仮定法の項目を新たに加えた。

⑦転換練習などの学習方法を「Ⅳ 方法編」にまとめた。

⑧三部作(3分冊)だったものを全1冊にするとともに、書籍版を用意した。

注)両学会で使用した素材は下記にてご覧いただくことができる。

http://kouzouzu.web.fc2.com/presentation/jelesdemo130316index.htm

http://kouzouzu.web.fc2.com/presentation/letdemo130808index.htm

言語は文の集まり

言語活動と言えば「話す」「書く」「聞く」「読む」であり、それぞれに多数の教材

が存在している。もちろん文法・構文面や音声面についての教材もある。しかし、言語

活動における<言語>とは、何よりも<文>を基本的な単位とした存在である。

もちろん「文」の中には更に細かな要素が存在しているが、それらは「文」の中での

位置づけ抜きに語ることはできない。他方で「文」より大きな単位(パラグラフなど)

もあるが、それも個々の「文」についての正確な理解があってこそである。以上の2つ

の意味において、「文」が持つ重要性は特別なものであると言ってよいであろう。

文を攻略するために

ゆえに、語学においては個々の「文」を確実に攻略することが極めて大切である。

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ii

では、そのために必要なことは何か? 語句の意味や語形変化を覚えることはもちろ

んである。それはそれでやるとして、文の内部構造を的確に理解し、運用(4技能すべ

て)できるようになることも必要である。

どのようにすればよいか?

これは文に限ったことではないが、構造というものを理解するにはそれを図に書いて

みることが有効である。もちろん英文の構造を図式化する方法もこれまでにもいくつか

提案されている。しかし、いずれも一般学習者向けの決定版とはなっていないように筆

者には思われる。

「英文構造図」の登場

そこで開発されたのが本書で紹介する新しい英文構造図(正式には“Hierarchical

Sentence Structure Diagram”と呼ぶ)である。当初は手書きによる方法であったが、

後にパソコンを使用するものにグレードアップし、現在ではそちらを中心に展開してい

る。その特徴は、「使いやすく、読みやすく、覚えやすいものでありながら、学習者に

必要とされる程度の厳密さも充分に維持している」というところにある。もちろん、手

書きによる活用も可能である。

本書の全体構造

まずは全体構造であるが

Ⅰ 基本編

1 英文構造図とは

2 文構造の基礎知識

3 5文型

4 態と時制

5 文の種類

Ⅱ 発展編

1 発展のための予備知識

2 名詞要素① 平叙文に対応するもの

3 名詞要素② 疑問文に対応するもの

4 名詞要素③ 「連立」的関係を含むもの

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5 形容詞要素と副詞要素

6 文型に関する補足

Ⅲ 活用編

1 各種の構文

2 さまざまな事例

Ⅳ 方法編

1 例文学習の考え方

2 例文の学び方

3 例文の活かし方

という4部構成になっている。

まず「Ⅰ」は、簡単な導入から始まり、いわゆる5文型の基本について説明する。あ

わせて、修飾、態と時制、否定文と疑問文などについても扱う。ここで学ぶ内容は「基

本統語」(平野清『実用生成英文法』(開文社出版)の用語)と呼ぶべきものであり、

「Ⅱ」以降の土台となる。

次の「Ⅱ」は「発展統語」(同前)であり、「Ⅰ」で学んだ基本的な文をもとにして、

重層的な構造をもった文(複文)へと進んでいく。この編は相当程度まで体系的な構成

になっているので、ここまでを丁寧に学べば、初学者向けの『FOREST』はもちろんの

こと、『ロイヤル英文法』(綿貫陽ら、旺文社)や『英文法解説』(江川泰一郎、金子

書房)などの本格的な文法書にも自力で取り組めるだけの力が付くはずである。

さらに「Ⅲ」においては、名著『物理数学の直観的方法』(長沼伸一郎、講談社ブル

ーバックス、ただし初版は自費出版であった)の構文版たるべく、多くの学習者が手を

焼く厄介な構文を直観的に理解できるように解説している。必ずしも網羅的ではないも

のの、多くの気づきが得られるものと期待している。また、後半部分では長短さまざま

な事例について構造図を掲載している。

最後の「Ⅳ」は、例文学習に対する私の考え方や取り組み方(覚え方・活かし方)に

ついて述べる。

是非ご活用を

本書の使い方としては、最初は本書に軽く目を通して概要を把握し、その後は手元の

教科書や文法書の例文を本書の類似素材と同じ要領で一つひとつ図式化しながら学んで

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いく、というのがよいであろう。

ここで大切なのは「理解しただけで安心するのではなく、自分の頭で考えながら多く

の事例と格闘することなくしては、構造把握の力はつかない」ということである。これ

は数学などにおいて例題理解の後に多量の演習が必要であることと同じである。努力を

継続する人には、本書に掲載された多数の実例が大いに役立つはずである。

【注意1】本書はあくまでも文の構造に特化したものであるため、文構造的に容易なテ

ーマ(冠詞や助動詞の使いわけなど)には触れていない。その意味で、文法や

構文の全てを網羅するものではなく、通常の教科書・文法書との併用は必須で

ある。

【注意2】文構造の解釈については、『現代英文法講義』(安藤貞雄、開拓社)を中心

にさまざまな資料を参照したが、本書で紹介しているものが唯一絶対というわ

けではない。実のところ、生成文法的な考え方すら構造図として表現すること

が可能である。

大切なのは自分の頭で主体的に考えることであろう。となれば、考えた結果

として本書とは異なる結論に到達したとしても問題はないし、むしろ、その特

質をどう視覚化するかを考えることこそが勉強になると言えよう。そして、そ

のような場合にも対応できるだけの柔軟性を本書の方法は持っている。

世界広しといえども、本書で紹介する方法は他に類似するものを見ない画期的なもの

であると筆者は自負している。もちろん「これさえ知っていればどんなに困難な英文で

も読めるようになる」といった魔法の杖のような効能を保証するものではないが、視覚

化・図式化による補助、それも体系的なそれを普段からの学習に組み入れることで、お

使いの教材の内容理解度や吸収度を段違いに高めることができるものと確信している。

本書が多くの英語学習者、そして教育者や研究者の方々に(さらに英語に限らず他の

言語に関しても)ご利用いただけるならば、著者としてこれに優る喜びはない。もちろ

ん私自身も英文構造図の活用をとおして英語力をさらに高めるとともに、五十の手習い

ではあるが、他のいくつかの外国語にも切り込んでいきたいと思いを新たにしている。

著 者

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『英文構造図』第3版

目 次

まえがき i

Ⅰ 基本編 ·············································································· 1

1 英文構造図とは 3

1.1 既存の方法…4/1.2 新しい記法の提案…7/1.3 英文構

造図の特徴と使い方…9

2 文構造の基礎知識 15

2.1 5文型の一覧…16/2.2 動詞と助動詞…25/2.3 肯定文・

否定文と yes/no疑問文…29/2.4 修飾…34

3 5文型 45

3.1 第1文型(SV)…46/3.2 第2文型(SVC)…52/3.3 第

3文型(SVO)…58/3.4 第4文型(SVOO)…61/3.5 第5

文型(SVOC)…67

4 態と時制 73

4.1 受動態…74/4.2 時制…84

5 文の種類 89

5.1 wh疑問文…90/5.2 付加疑問文と命令文…104

Ⅱ 発展編 ··········································································· 107

1 発展のための予備知識 109

1.1 等位接続詞…110/1.2 従位接続詞…113/1.3 本編で学

ぶ要素たち…116

2 名詞要素① 平叙文に対応するもの 117

2.1 that節…118/2.2 to不定詞句(名詞用法)…123/2.3 動

名詞句…132/2.4 ネクサス目的語…138

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3 名詞要素② 疑問文に対応するもの 147

3.1 whether・if 節…148/3.2 whether+to 不定詞句…151/

3.3 疑問詞節…152/3.4 疑問詞+to 不定詞句…160/3.5

know型と think 型の wh疑問文…162

4 名詞要素③ 「連立」的関係を含むもの 165

4.1 簡単な導入…166/4.2 先行詞+関係詞節…169/4.3 先

行詞+to不定詞句(形容詞用法)…180/4.4 先行詞+現在分詞

句…184/4.5 先行詞+過去分詞句…187/4.6 自由関係詞節

(名詞節)…188/4.7 関係副詞節(名詞節としての)…195

5 形容詞要素と副詞要素 199

5.1 平叙文に対応する形容詞要素…200/5.2 平叙文に対応す

る副詞要素…202/5.3 「連立」的関係を含む副詞要素…217

6 文型に関する補足 219

6.1 他動詞とみなせる句…220/6.2 SVOXいろいろ…226

Ⅲ 活用編 ··········································································· 229

1 各種の構文 231

1.1 相関構文…232/1.2 話法…235/1.3 程度と比較…242

/1.4 条件と仮定…255/1.5 特殊な語順…260

2 さまざまな事例 271

Ⅳ 方法編 ··········································································· 285

1 例文学習の考え方 287

1.1 例文学習の必要性・有用性…288/1.2 例文学習の落とし穴

…291/1.3 知識と能力の違い…294/1.4 ソラで聞き、ソラで

考え、ソラで言う…296

2 例文の学び方 299

2.1 音声面は初期段階で…300/2.2 例文の暗唱…303/2.3

スパイラルリプロダクション(螺旋再生)…308

3 例文の活かし方 315

3.1 語句の置換と追加…316/3.2 長崎玄弥氏の 96型ドリル…

317/3.3 転換練習…320/3.4 チャンク作成訓練…323/3.5

例文自作訓練…325

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Ⅰ 基本編

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目次

1.1 既存の方法 既存の方法 既存の方法 既存の方法

    樹形図(tree diagram)

    センテンス図(Sentence diagram)

    文法構造図

    他にも

    使いにくいのはなぜか

1.2 新しい記法の提案 新しい記法の提案 新しい記法の提案 新しい記法の提案

    どのようなものがよいか

    同時に充分な緻密さも

    さて

1.3 英文構造図の特徴と使い方 英文構造図の特徴と使い方 英文構造図の特徴と使い方 英文構造図の特徴と使い方

    英文構造図の特徴

    もたらされるもの

    手書きかパソコンか

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1.1 既存の方法 既存の方法 既存の方法 既存の方法

 

 文の構造を図で表す方式(記法)は過去にも存在している。ここでは代表的なものを紹

介したい。

樹形図(樹形図(樹形図(樹形図(tree diagram))))

 「構文木(こうぶんぎ)」などとも呼ばれ、言語学(特に生成文法)で使われている。

【出典】http://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/2/2c/EnglishSyntaxTreeSample1

 .png

 

 言語学で使われるだけあってさすがに緻密ではあるが、見慣れない略語が含まれている

こともあり、通常の学習で使用するには少し敷居が高いかもしれない。ただ、原文の語順

が維持されているのはよい。

センテンス図(センテンス図(センテンス図(センテンス図(Sentence diagram))))

 これも言語学で使われている。

【出典】http://www.german-latin-english.com/basicdiagrams21-25.htm

 

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

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 こちらは緻密さを含みつつも、難解な略語は含まれていない。しかし、図を見ながら原

文を音読しようとすると、視線をあちらこちらへと走らせなくてはならず、スムーズに実

行するのは難しい。

文法構造図文法構造図文法構造図文法構造図

 これは早坂高則・戸田征男『リストラ・学習英文法』(松柏社)で提唱されているもの

である(図は割愛する)。高校生を主なターゲットとしているが、なかなか緻密に作られ

ている。文の構造について詳細に検討したい場合に非常に有効なものの一つであろう。

他にも他にも他にも他にも

 その他、小泉保『日英対照 すべての英文構造が分かる本』(開拓社)、安藤司文『映画で

学ぶ 知能から見た日本語と英語の普遍文法』(スクリーンプレイ出版)、奥田強『チャン

クで実践! あなたの英語』(チクマ秀版社)、高見忠『クリエイティブ・ラーニングによ

る 実戦!超記憶術』(KKベストセラーズ)などにおいても独特な記法が紹介されてい

るし、英作文・英文法・英文解釈などの参考書においても各者各様のものが使われてい

る。

 日本語に関しては時枝誠記の入れ子型構造の図式がある(図は割愛する)。それ以外の

ものは多くはないようだが、酒井優子『日本語の文構造』(リーベル出版)が私と同様の

「要素を縦に並べる」手法を採用しているのが目を引く。

 本書執筆にあたっては、ネットでの検索はもちろんのこと、複数の大書店をまわって英

語関連書等を渉猟し、多くの人の工夫に感心させられた。それでもなお、私が気付いてい

ない記法が存在しているかもしれない。

 なお、私のサイト「英文構造図の館」内にある「英文構造図に関するリンク集」からも

さまざまな情報にたどり着くことができる。ぜひご利用いただきたい。

 http://kouzouzu.web.fc2.com/kzzlinks.htm

使いにくいのはなぜか使いにくいのはなぜか使いにくいのはなぜか使いにくいのはなぜか

 さて、先にも書いたように、これらの方法は学習者から見るとあまり使い勝手がよいと

は言えないように思われる。使いにくさの理由は記法により異なるが、代表的なものとし

ては

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

5

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・複雑になるとわかりにくい

  →線の種類や色(大半は黒の直線のみ)、配置などに問題

・原文を読み上げようとすると手間取る

  →原文の語順が維持されていないから

・図を自作するのも面倒

  (ただし、作成ツールが存在するケースもある)

といったことが挙げられるであろう。

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

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1.2 新しい記法の提案 新しい記法の提案 新しい記法の提案 新しい記法の提案

どのようなものがよいかどのようなものがよいかどのようなものがよいかどのようなものがよいか

 では、英文の構造を図式化して表す方法としてはどのようなものが理想的なのであろう

か?

 もし仮に理論的な検討が主目的であれば、何よりも緻密さが最優先されるべきであろう

し、そのためにわかりやすさがある程度犠牲になることはやむを得ない。上で紹介したい

くつかの記法(特に樹形図)がそれに当てはまる。

 しかし、英文を学習するという観点からは、一目で理解できるだけのわかりやすさがヨ

リ重要であろう。具体的には、

・原文の語順が保存されていて、復元が容易である(簡単に音読できる)。

・文全体における各チャンク(ひとまとまりの要素)間の相互関係が明瞭である。

・チャンクの種類や役割が識別しやすい。

・各チャンクの内部構造が分かりやすい。

・複数階層の入れ子構造であっても無理なく視覚化することができる。

・受信にも発信にも、また文字言語にも音声言語にも、活用することができる。

のような要件を充たすことが望ましいのではないだろうか。

同時に充分な緻密さも同時に充分な緻密さも同時に充分な緻密さも同時に充分な緻密さも

 一方で、前出の早坂・戸田『リストラ・学習英文法』では、構造図によって示されるべ

き文法関係として

1. 動詞とその主語,目的語,補語との関係

2. 前置詞とその目的語,補語との関係

3. 修飾関係

4. 補文化子と節の関係

5. 等位関係

6. 同格関係

7. 独立関係

8. 引 用

9. 動詞構成関係

を提示(p.19)したうえで、

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

7

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これだけのものを段階的に cyclic に用いることによって英文のすべての構造を記述し

ようとするものである。従来の文法教科書・学習参考書等に含まれている数多くの項

目も、考え方を統一し視点を定めて整理すれば、このわずか9項目で整然と収まりが

つく。

と述べている(p.20)。これらの文法関係を的確に表示できることは、新しい方式におい

ても重要なポイントであると考えられる。

さてさてさてさて

 これらの要求を満たすような新しい構造図が欲しいわけであるが、はたしてそんなこと

が可能なのか? 答えは YES であり、具体的な方法を提示するとともに、それを最大限

に活用して英文の構造を攻略することが本書のテーマである。

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

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1.3 英文構造図の特徴と使い方 英文構造図の特徴と使い方 英文構造図の特徴と使い方 英文構造図の特徴と使い方

英文構造図の特徴英文構造図の特徴英文構造図の特徴英文構造図の特徴

 まず、この文をご覧いただきたい。

 

例文例文例文例文

・・・・I wonder why the food the person next to you is eating always

looks so good.

 

 それほど長いものではないが、構造は少し複雑である。構造がわかりやすくなるように

最低限の記号を入れると

I wonder[[[[why the food ((((the person (next to you) is eating)))) always looks so

good.]]]]

のようになるであろうか。

 

 では、次に下の図をご覧いただきたい(本書の扉ページにあるものと同じである)。

 

SSSS I

VVVV wonder

OOOO M why SSSS the food

m OOOO φ

SSSS the person

m next to you

VVVV is eating

OOOO t

VVVV always looks

CCCC so good

M t.

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

9

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 これが本書で紹介する「英文構造図(Hierarchical Sentence Structure Diagram)」で

ある。上図の左端を縦に見ると“I wonder why”とあるが、これが文の一番大きな枠組み

を示しているのがおわかりいただけよう。そのうち“why”の部分の右側をタテに見ると

“the food always looks so good”とある。さらに“the food”の右下にある「m」の部分

をタテに見ると“the person is eating”とあり(“t”については今は気にしなくてよい)、

この“person”に“next to you”という「m」がぶら下がっている。

 

 このように英文構造図は意味のかたまり意味のかたまり意味のかたまり意味のかたまりごとに視覚的なまとまりを作り、それらをまず

はタテに配置していくタテに配置していくタテに配置していくタテに配置していく(これは本書の「Ⅰ 基本編」で扱う)。そして、階層構造になる階層構造になる階層構造になる階層構造になる

部分部分部分部分は、横にずらす横にずらす横にずらす横にずらすことで表示する(「Ⅱ 発展編」以降で扱う)。そのようにタテとヨコ

を使い分けることにより、要素間の立体的な関係要素間の立体的な関係要素間の立体的な関係要素間の立体的な関係が非常に明確になる。それは、文の構造文の構造文の構造文の構造

と要素とを、それらの間の密接な関係を断ち切ることなく、視覚的に分離することがでと要素とを、それらの間の密接な関係を断ち切ることなく、視覚的に分離することがでと要素とを、それらの間の密接な関係を断ち切ることなく、視覚的に分離することがでと要素とを、それらの間の密接な関係を断ち切ることなく、視覚的に分離することがで

きるきるきるきるということである。

 

 また、本方式には、原文の語順が完全に保存される原文の語順が完全に保存される原文の語順が完全に保存される原文の語順が完全に保存されるという特徴がある。そのため、完成

した構造図は、単純に左上から順に読んでいけば、原文を再現することができる単純に左上から順に読んでいけば、原文を再現することができる単純に左上から順に読んでいけば、原文を再現することができる単純に左上から順に読んでいけば、原文を再現することができる。音読

するときにもストレスを感じないだけでなく、構造が把握しやすい分、原文よりも読みや

すいとさえ言える。逆に英文を図式化するときにも、余計なことに頭を使わなくて済む。

 

 つまり、この方式の主な特長は

 ①原文の語順語順語順語順が維持されている。

 ②多段入れ子構造多段入れ子構造多段入れ子構造多段入れ子構造を見やすい配置で示している。

・同じ階層では、要素をタテに並べる。

・入れ子構造は、右への移動で示す。

 ③色分け等色分け等色分け等色分け等により識別しやすい。

というところにある。中でも①②が本方式の本質的な性格であり、先般の日本英語教育学

会(2013/03/16)および外国語教育メディア学会(2013/08/08)で発表する機会を得たと

ころである(まえがき参照)。

【補足】樹形図などで使われる枝分かれ表示と本方式のような領域分割による表示とを

比較すると、両者には基本的には1対1の対応が存在する。しかしながら本方式

では要素の「配置」に独特な工夫を加えているため、樹形図などよりも高い表現

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

10

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力を発揮できる場合がある(具体例は本書「4.2 時制」の「M との関係」をご

覧いただきたい)。

 その一方で、樹形図において交差した線で表されるような構造については、括

弧書きで注釈を入れることによりカバーしている。

 

 これらの特長のおかげで、本方式は文法・構文プロパーの学習だけではなく、4技能す

べての学習で活用することができる。具体的には、

・たいていの英文は本方式で簡単に図式化できる。

・図式化することにより、より基礎的な構造とのつながりが理解できる。

・図式化の出来具合で構造理解の程度が端的に示される。

・図式化の過程で悩むことが更なる問題意識の涵養につながることも多い。

・文中の語句を同時に学ぶことができる。

・見直すときにも分かりやすい。

・語順が維持されているので音読しやすい。

といったメリットがあると言えよう。

もたらされるものもたらされるものもたらされるものもたらされるもの

 そのため、構造図を作成することにより、「英文の語順はそのままに、構造を視覚化

し、理解する」ことが可能となる。端的には、

①理解する(像を明確にする)時に役立つ。

 ・図式化の過程で文の構造が明確に分かる。

②記憶する(像を定着させる)時に役立つ。

 ・意味と構造とが一体化となってスムーズに頭に入る。

 ・個々の語句も、文中での位置づけと同時に記憶される。

③応用する(像を変化させる)時に役立つ。

 ・語句の入れ替えも簡単に試みることができる。

  ※類似表現や言い換えなどもまとめて学習できる。

 ・転換時の語句移動も分かりやすい。

 ・サイトラでも暗唱でも、英語の語順で考えられる。

という効果がある。また、他の方法と同様、

④その他

 ・何百例かやれば、ソラでもできるようになる。

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

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ということも言える。

手書きかパソコンか手書きかパソコンか手書きかパソコンか手書きかパソコンか

 本書の場合、JavaScript で書かれた専用ツールで作成している。出力結果は HTML で

あるため、拡大してもギザギザ模様が出ず、PDF 化したときも非常に軽いという長所があ

る。

 しかし、普段の学習では、語句の配置さえシッカリしていれば走り書きでも足りる。自

己流で簡略化して書けば、時間はほとんどかからないであろう。

 

 手書きの場合、B5 判か A5 判のノートで充分であり、よほど複雑な例文でもない限りは

携帯用のノートでも足りるであろう。必要スペースは学ぼうとしている素材によって違っ

てくるので、本書に掲載されているサンプルを参考にして、実地に試されたい。

 筆記用具としては書き直し可能なシャーペンが使いやすいが、仕上がりの面からはコン

トラストが高いボールペンも捨てがたい。現在はフリクションペンと呼ばれるものが

PILOT から発売されているので、利用してみるのもよいであろう。

 

 なお、筆者のサイトには、「英文構造図作成ツール」というものが用意されている。

【出典】http://kouzouzu.web.fc2.com/kzzmaker.htm

 

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

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 このツールでは、実際に構造図を作成することが可能であるだけでなく、そのために必

要な元データの書き方も解説されている。また、自作したデータはさまざまなかたちで流

用していただいて構わない(そのための方法もいくつか用意されている)。是非ご活用い

ただきたい。

Ⅰ 基本編 / 1 英文構造図とは

13

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目次

2.1 5文型の一覧 5文型の一覧 5文型の一覧 5文型の一覧

  第1文型(第1文型(第1文型(第1文型(SV))))

  第2文型(第2文型(第2文型(第2文型(SVC))))

  第3文型(第3文型(第3文型(第3文型(SVO))))

  第4文型(第4文型(第4文型(第4文型(SVOO))))

  第5文型(第5文型(第5文型(第5文型(SVOC))))

  5文型を並べてみる5文型を並べてみる5文型を並べてみる5文型を並べてみる

  文の要素と品詞との関係文の要素と品詞との関係文の要素と品詞との関係文の要素と品詞との関係

2.2 動詞と助動詞 動詞と助動詞 動詞と助動詞 動詞と助動詞

  述語動詞と助動詞述語動詞と助動詞述語動詞と助動詞述語動詞と助動詞

  主な助動詞主な助動詞主な助動詞主な助動詞

2.3 肯定文・否定文と 肯定文・否定文と 肯定文・否定文と 肯定文・否定文と yes/no 疑問文疑問文疑問文疑問文

  V がががが be 動詞(助動詞なし)の場合動詞(助動詞なし)の場合動詞(助動詞なし)の場合動詞(助動詞なし)の場合

  V が一般動詞(助動詞なし)の場合が一般動詞(助動詞なし)の場合が一般動詞(助動詞なし)の場合が一般動詞(助動詞なし)の場合

  助動詞がある場合助動詞がある場合助動詞がある場合助動詞がある場合

2.4 修飾 修飾 修飾 修飾

  修飾語と被修飾語の組み合わせ修飾語と被修飾語の組み合わせ修飾語と被修飾語の組み合わせ修飾語と被修飾語の組み合わせ

  形容詞(名詞を修飾する)形容詞(名詞を修飾する)形容詞(名詞を修飾する)形容詞(名詞を修飾する)

    単純な形容詞 / 前置詞句との比較

    組み合わせて利用される場合 / m が離れたところにある場合

    形容詞類の並べ方 / 参考)名詞の分類

  副詞①(動詞や文全体を修飾するもの)副詞①(動詞や文全体を修飾するもの)副詞①(動詞や文全体を修飾するもの)副詞①(動詞や文全体を修飾するもの)

    動詞を修飾する単純な副詞と「前置詞句」

    文を修飾する場合との比較 / M と m の双方を含む例

    前置詞句の2つの働き / 動詞句と単独の動詞との比較

    副詞の位置 / M の種類と置き場所

  副詞②(形容詞・副詞を修飾するもの)副詞②(形容詞・副詞を修飾するもの)副詞②(形容詞・副詞を修飾するもの)副詞②(形容詞・副詞を修飾するもの)

    形容詞を修飾する副詞 / 副詞を修飾する副詞

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2.1 5文型の一覧 5文型の一覧 5文型の一覧 5文型の一覧

 

 文の要素のうち、主部(あるいは単に「主語」とも)S と動詞 V はすべての文型に含ま

れているので、文型によって異なるのは目的語 O と補語 C ということになる。

 一つひとつの文型については後でやや詳しく学ぶことにして、ここでは概略を掴むこと

に専念していただきたい。

 

第1文型(第1文型(第1文型(第1文型(SV))))

 

例文例文例文例文

①①①① Birds sing.

②②②② I work in the factory.

 

基本パターン

SSSS 主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)

VVVV 動詞(する)動詞(する)動詞(する)動詞(する) … 

①単純な例

SSSS Birds

VVVV sing.・

②修飾語が付いた例

SSSS I

VVVV work

M in the factory.

【説明】それぞれ「鳥は鳥は鳥は鳥はさえずるさえずるさえずるさえずる」「私は私は私は私はその工場で 働く働く働く働く」の意。

 文型を決める要素としては、主語主語主語主語 S(Subject)と述語動詞述語動詞述語動詞述語動詞 V(Verb)のみが

存在している。

 一方、修飾語句 M / m はいくつでも含まれうるが、ここでは動詞を修飾する M

が1つだけ存在するものを例②に掲げた。修飾語句については「2.4 修飾」で

扱う。

【注意】主語の日本語訳を「○○は」と「○○が」のどちらにすべきかは個々の英文を

見るだけでは判断できないため、本書においては便宜的に「○○は」で統一して

おくこととする。

【補足】このように、意味のカタマリごとに改行するのが本方式の最大の特徴である。

これは上例のような簡単な文においては無駄なことのように見えるかもしれない

が、文が複雑になればなるほど威力を発揮する。

 

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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類例

・The shops close on Sundays.

 (その店は日曜日は閉まっている。)

・Heavy rain fell all day.

 (一日中大雨が降った。)

・The train started on time.

 (その列車は定刻に出発した。)

 

【注】本書では上記のような「例文」および「類例」が各所に登場する。「例文」につ

いてはそのすぐ下に構造図と説明が付いているが、「類例」については読者各位が

自力で(再)確認することを期待している。これは数学などにおける「例題」と

「練習問題」のようなものである。

 使い方としては、最初の「例文」を白文のまま読んでみる最初の「例文」を白文のまま読んでみる最初の「例文」を白文のまま読んでみる最初の「例文」を白文のまま読んでみる →→→→ 構造図で読んでみ構造図で読んでみ構造図で読んでみ構造図で読んでみ

るるるる →→→→ もう一度白文で読んでみるもう一度白文で読んでみるもう一度白文で読んでみるもう一度白文で読んでみる →→→→「類例」で腕試しをする「類例」で腕試しをする「類例」で腕試しをする「類例」で腕試しをする、という感じでよい

であろう。なお、類例には和訳しか付けていないが、順に学んでいけば解答・解説

は不要と考えられるからである。

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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第2文型(第2文型(第2文型(第2文型(SVC))))

 

例文例文例文例文

①①①① He is a doctor.

②②②② Leaves turn red in autumn.

 

基本パターン

SSSS 主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)

VVVV 動詞(である動詞(である動詞(である動詞(である etc.))))

CCCC 主格補語主格補語主格補語主格補語

 … 

①単純な例

SSSS He

VVVV is

CCCC a doctor.

②修飾語句が付いた例

SSSS Leaves

VVVV turn

CCCC red

M in autumn.

【説明】それぞれ「彼は彼は彼は彼は医者医者医者医者であるであるであるである」「葉(複数)は葉(複数)は葉(複数)は葉(複数)は秋に 赤く赤く赤く赤くなるなるなるなる」の意。

 文型を決める要素としては、主語主語主語主語 S(Subject)と述語動詞述語動詞述語動詞述語動詞 V(Verb)の他に

主格補語主格補語主格補語主格補語 C(subjective Complement)が存在している。

 この C は新しい登場人物ではなく、ごく大ざっぱに言えば「S=C」の関係に

ある。つまり、「彼=医者」「葉=赤」ということである。(「=」というのはあ

まり正確な表現ではないが、便宜的に使用する。)

【補足】C が“a doctor”のような名詞句の場合は普通の長方形であるが、“red”のよ

うな形容詞句の場合には角を丸くして区別している。

【注意】ここで「名詞句」「形容詞句」はそれぞれ「名詞として働く句」「形容詞として

働く句」という意味で使用している(「副詞句」も同様)。文法書によって異なる

呼び方をすることもあるので注意されたい。

 なお、“in autumn”のような表現は「2.4 修飾」で扱う。

 

類例

・My parents were very angry then.

 (私の両親はそのときとても怒っていた。)

・He is a serious student.

 (彼はまじめな学生だ。)

・He appears well but he is really sick.

 (彼は健康そうに見えるが、本当は病気だ。)

・Silk feels soft and smooth.

 (絹は柔らかくすべすべしている。)

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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第3文型(第3文型(第3文型(第3文型(SVO))))

 

例文例文例文例文

①①①① I study English.

②②②② He plays tennis very well.

 

基本パターン

SSSS 主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)

VVVV 動詞(する)動詞(する)動詞(する)動詞(する)

OOOO 目的語(を)目的語(を)目的語(を)目的語(を)

 … 

①単純な例

SSSS I

VVVV study

OOOO English.

②修飾語句が付いた例

SSSS He

VVVV plays

OOOO tennis

M very well.

【説明】それぞれ「私は私は私は私は英語を英語を英語を英語を勉強する勉強する勉強する勉強する」「彼は彼は彼は彼はテニスをテニスをテニスをテニスをとてもうまく プレイするプレイするプレイするプレイする(彼

はテニスが上手だ)」の意。

 文型を決める要素としては、主語主語主語主語 S(Subject)と述語動詞述語動詞述語動詞述語動詞 V(Verb)の他に

目的語目的語目的語目的語 O(Object)が存在している。

 基本的に目的語 O は S とは別の存在。つまり、「S≠O」である。

 

類例

・She plays tennis every day.

 (彼女は毎日テニスをします。)

・My brother wants a new dictionary.

 (私の兄/弟は新しい辞書をほしがっています。)

・We have a lot of rain in June.

 (私たちのところでは6月に多量の雨が降ります。)

・I have coffee for breakfast.

 (私は朝食にコーヒーを飲みます。)

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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第4文型(第4文型(第4文型(第4文型(SVOO))))

 

例文例文例文例文

①①①① Mr.Sato teaches us English.

②②②② I gave him a book.

 

基本パターン

SSSS 主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)

VVVV 動詞(する)動詞(する)動詞(する)動詞(する)

OOOO 間接目的語(に)間接目的語(に)間接目的語(に)間接目的語(に)

OOOO 直接目的語(を)直接目的語(を)直接目的語(を)直接目的語(を)

 … 

①単純な例

SSSS Mr.Sato

VVVV teaches

OOOO us

OOOO English.

②単純な例

SSSS I

VVVV gave

OOOO him

OOOO a book.

【説明】それぞれ「佐藤氏は佐藤氏は佐藤氏は佐藤氏は私たちに私たちに私たちに私たちに 英語を英語を英語を英語を教える教える教える教える」「私は私は私は私は彼に彼に彼に彼に 1冊の本を1冊の本を1冊の本を1冊の本を与えた与えた与えた与えた」

の意。

 文型を決める要素としては、主語主語主語主語 S(Subject)と述語動詞述語動詞述語動詞述語動詞 V(Verb)の他に

間接目的語間接目的語間接目的語間接目的語 O (Indirect Object)および直接目的語直接目的語直接目的語直接目的語 O(Direct Object)とが存

在している。図中では両者の記号はいずれも「O」としてあるが、区別するため

に「IO」「DO」が使われることも多い。

 先の第3文型と比較すると、登場する人(ないし物)が増えている。ここで

も、S と2つの O は別々の存在である。

【補足】直接目的語は普通の長方形で、間接目的語の方は角を丸くして、それぞれ表示

している。

 

類例

・My mother gave me a nice present.

 (私の母は私にすてきなプレゼントをくれました。)

・My grandfather told me an old story.

 (私の祖父は私に昔話をしてくれました。)

・He wrote me a long letter.

 (彼は私に長い手紙を書いてよこしました。)

・The boy asked his teacher some questions.

 (その少年は先生にいくつかの質問をしました。)

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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第5文型(第5文型(第5文型(第5文型(SVOC))))

 

例文例文例文例文

①①①① I call him Bonta.

②②②② He made her happy.

③③③③ He made her cry.

 

基本パターン

SSSS 主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)主語(は/が)

VVVV 動詞(する)動詞(する)動詞(する)動詞(する)

OOOO 目的語(が)目的語(が)目的語(が)目的語(が)

CCCC 目的格補語(多義的)目的格補語(多義的)目的格補語(多義的)目的格補語(多義的)

 … 

①単純な例

SSSS I

VVVV call

OOOO him

CCCC Bonta.

②単純な例

SSSS He

VVVV made

OOOO her

CCCC happy.

③単純な例

SSSS He

VVVV made

OOOO her

CCCC cry.

【説明】それぞれ「私は私は私は私は彼を彼を彼を彼をボン太とボン太とボン太とボン太と呼ぶ呼ぶ呼ぶ呼ぶ」「彼は彼は彼は彼は彼女を彼女を彼女を彼女を幸せに幸せに幸せに幸せにしたしたしたした」「彼は彼は彼は彼は彼女を彼女を彼女を彼女を泣泣泣泣

かかかかせたせたせたせた」の意。

 文型を決める要素としては、主語主語主語主語 S(Subject)と述語動詞述語動詞述語動詞述語動詞 V(Verb)の他に

目的語目的語目的語目的語 O(Object)および目的格補語目的格補語目的格補語目的格補語 C(Objective Complement)とが存在し

ている。

 上の例において C は名詞(Bonta)、形容詞(happy)、動詞(cry)とさまざ

まであるが、O との間には“He is Bonta.”“She is happy.”“She cries.”の関

係がある点に注意されたい。この関係は「ネクサス」と呼ばれ、今後も何度か登

場する。

 

類例

・I felt my knees tremble.

 (私は膝が震えるのを感じた。)

・I watched the girl dance.

 (私はその少女が踊るのを見た。)

・I find this book very interesting.

 (私はこの本はとても面白いと思う。)

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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5文型を並べてみる5文型を並べてみる5文型を並べてみる5文型を並べてみる

 

第1文型

SSSS 主語

VVVV 動詞 ・

第2文型

SSSS 主語

VVVV 動詞

CCCC 主格補語

第3文型

SSSS 主語

VVVV 動詞

OOOO 目的語

第4文型

SSSS 主語

VVVV 動詞

OOOO 間接目的語

OOOO 直接目的語

第5文型

SSSS 主語

VVVV 動詞

OOOO 目的語

CCCC 目的格補語

【説明】この表は本書全体の基本となるものなので、①どの文型にどの要素が含まれて①どの文型にどの要素が含まれて①どの文型にどの要素が含まれて①どの文型にどの要素が含まれて

いるかいるかいるかいるか、②どのような具体例があるか②どのような具体例があるか②どのような具体例があるか②どのような具体例があるかの2点を、確実に押さえていただきた

い。もちろん大切なのは実際の働きであって文法用語ではないが、自身の考えを

整理したり他者とコミュニケーションをとったりするためにも、基礎的な用語は

正確に覚えておいた方がよい。

【補足】第1および第2文型は目的語が不要なのに対し、第3~5文型には必要であ

る。そこで、目的語を必要としない第1・2文型の動詞を「自動詞」、目的語を

必要とする第3~5文型の動詞を「他動詞」と呼ぶ。

 一方、第1・3・4文型には補語が不要なのに対し、第2および第5文型には

必要である。そこで、補語を必要としない第1・3・4文型の動詞を「完全動

詞」、補語を必要とする第2・5文型の動詞を「不完全動詞」という。

 結局、両者を組み合わせると、動詞の種類は第1文型から順に「完全自動詞」

「不完全自動詞」「完全他動詞」「完全他動詞」「不完全他動詞」ということにな

る。

Ⅰ 基本編 / 2 文構造の基礎知識

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