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HIV 感染防止のための予防服用マニュアル 平成25年 6 月 島根県健康福祉部薬事衛生課

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Page 1: HIV感染防止のための予防服用マニュアル - pref.shimane.lg.jp · 服用開始前には、活動性b型肝炎、腎機能低下、糖尿病、妊娠の有無などを確認し、必要が

HIV感染防止のための予防服用マニュアル

平成25年 6 月

島根県健康福祉部薬事衛生課

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目次

●マニュアル使用上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

●暴露事故発生後の予防服用フローチャート・・・・・・・・・・・・・2

1.事故の発生した一般医療機関での対応・・・・・・・・・・・・・・3

2.予防用抗HIV薬配備医療機関での対応・・・・・・・・・・・・・4

3.事故後の拠点病院への受診・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

4.費用負担・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

5.予防服用にあたっての留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・5

●職業的暴露を受けた医療従事者用チャート・・・・・・・・・・・・・6

●予防内服薬決定チャート

基本治療を推奨された、または考慮された場合・・・・・・・・・・7

拡大治療を推奨された、または考慮された場合・・・・・・・・・・9

妊婦または妊娠の可能性が存在する場合・・・・・・・・・・・・11

●責任者(医療事故担当医)用チェックリスト・・・・・・・・・・・13

●被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリスト

基本治療用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

拡大治療用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

妊婦または妊娠している可能性のある場合用・・・・・・・・・・18

●抗HIV薬予防服用同意書様式・・・・・・・・・・・・・・・・・20

●抗HIV薬予防投与依頼書様式・・・・・・・・・・・・・・・・・20

●医療事故時の緊急連絡先リスト・・・・・・・・・・・・・・・・・21

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1

マニュアル使用上の注意

●医療事故によるHIV感染を防止するためには、事故後、できるだけ早く抗H

IV薬の服用を開始する必要があります。しかし、予防服用を開始するかどう

かは、医療事故により被害を受けた医療従事者本人が自己決定しなければなり

ません。

●事故が起きてから自己決定を求めた場合、速やかな予防服用が困難であるため、

医療従事者にはあらかじめ予防服用や副作用についての知識を周知しておき、

事故が発生した場合にどう対応するかを決定しておくための事前教育を行うこ

とが必要です。特に、医療事故担当医は、当マニュアルや薬剤の添付文書をよ

く読み、理解しておく必要があります。

●当マニュアルに基づき、予防用の抗HIV薬を配備している医療機関(以下、

エイズ予防薬配備医療機関という。)に抗HIV薬の投与を依頼する際には、

必ず本人の「抗HIV薬予防服用同意書」と医療事故担当医の「抗HIV薬予防投与

依頼書」を提出してください。

●服用開始後、4週間の服用を継続するかどうかは、被害を受けた医療従事者本

人がエイズ拠点病院等のHIV感染症の専門医と相談の上決定すべきです。

●当マニュアルは国立国際医療センター病院エイズ治療・研究センター作成の「医

療事故後のHIV感染防止のための予防服用マニュアル」及び「抗HIV治療

ガイドライン」を参考とし、専門医に受診できるまでの、緊急対応用として作

成したものです。

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暴露事故発生後の予防服用フローチャート   

曜 

体液暴露事故の発生

暴露由来患者はHIV抗体が陽性か否か

内服継続の判断

エイズ予防薬配備医療機関がエイズ拠点病院でなかった場合は、

エイズ拠点病院を受診

エイズ予防薬配備医療機関を受診

エイズ拠点病院

(2時間以内に)

①暴露由来患者の情報(内服中の抗HIV薬,薬剤耐性,B型肝炎など)収集

②被災者への予防内服の説明(p14~19)

応急処置・現場責任者に報告

陽性不明、または陰性であるがHIV抗体陽性が強く疑われる

陰性かつウインドウ期も否定できる

予防内服不要

服用を希望する

服用を希望しない

経過観察

エイズ予防薬配備医療機関(p21参照)への電話連絡・拠点病院へ診察依頼

服用を希望しない

経過観察

服用を希望する

①暴露由来患者へのHIV検査の説明及び同意→採血

②暴露由来患者の情報(B型肝炎など)収集

③被災者への予防内服の説明(p14~19)

被災者への予防内服の説明(p14~19)

エイズ予防薬配備医療機関

抗HIV薬の内服

暴露由来患者のHIV迅速検査の結果

陽性、または陰性であるが

HIV抗体陽性が強く疑われる

経過観察希望しない希望する

予防内服不要

暴露由来患者のHIV迅速検査の実施

抗HIV薬受領・内服

被災者への予防内服の説明(p14~19)

暴露由来患者のHIV迅速検査の実施

抗HIV薬受領・内服

2

可 不可

抗HIV薬の内服

希望する

希望しない

エイズ予防薬配備医療機関が

エイズ拠点病院でなかった場合は、エイズ拠点病院を受診

③同意書・依頼書(p20)の作成

※エイズ薬配備医療機関には①及び③を持参して受診する。

④同意書・依頼書(p20)の作成

※エイズ予防薬配備医療機関には①の検体、②及び④を持参して受診する。

妊娠の有無の確認 妊娠の有無の確認

実施済み等のため不要

陰性、かつウインドウ期も否定できる

服用する薬剤の確認(p7~12)責任者チェックリストの確認(p13)

治療方法の確認(p6) 治療方法の確認(p6)

服用する薬剤の確認(p7~12)責任者チェックリストの確認(p13)

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1.事故の発生した一般医療機関での対応

(1) 事故発生

事故とは、針刺し事故や鋭利な医療器具による切創等、皮内への HIV 汚染血液の暴露及び、

粘膜や傷のある皮膚への血液等感染性体液の暴露を指す。

(2) 応急処置

汚染事故が発生した場合は、血液又は体液に暴露された創部又は皮膚を、血液を絞り出しなが

ら流水によって十分に洗浄する。

(3) 「HIV 陽性血液」及び「陽性が強く疑われる血液」

陽性が強く疑われる血液とは、HIV 抗体検査の結果は不明だが、ニューモシスチス肺炎・ク

リプトコッカス髄膜炎等の症状があり、HIV 陽性であることが推定できる血液を指す。

(4) 医療事故担当医に報告

被災者は、事故の発生時刻・状況・程度・事故の原因となった患者の病状等を、直ちに院内の

医療事故担当医に報告する。

担当医は、事故の状況を確認し、「職業的暴露を受けた医療従事者用チャート」(p6)により、

感染のリスクが高いと判断される場合には、「予防内服薬決定チャート」(p7~p12)、「責

任者(医療事故担当医)用チェックリスト」(p13)、を確認し、「被災者本人用:服用のた

めの説明文書とチェックリスト」(p14~p19)により、服用の効果と副作用について説

明する。被害を受けた医療従事者は、予防服用の利益と不利益を考慮して服用を開始するかど

うか自己決定する。その際担当医は、被災者のプライバシーの保護について十分に留意する必

要がある。

※診療所などの医師で医療事故担当医を兼ねている場合など、自身で判断する。

(5) 妊娠の有無の確認

妊娠の有無を確認し、可能な場合は、妊娠反応検査を実施する。

(6) 同意書・依頼書作成

被災者が予防服用を希望する場合は、「抗 HIV 薬予防服用同意書」の希望薬剤チェック欄と署

名欄を被災者自身が記載し、同時に担当医が「抗 HIV 薬予防投与依頼書」を記載する。(様式

はp20)

(7) エイズ予防薬配備医療機関へ電話連絡

予防投与を依頼する場合は、「医療事故時の緊急連絡先リスト」(p21)に基づき、必ず事前

にエイズ予防薬配備医療機関担当者に電話連絡する。

(8) エイズ予防薬配備医療機関に受診、薬剤受領・服用

事故後、できるだけ早く(2時間以内に)服用を開始するため、エイズ予防薬配備医療機関に

緊急受診し、「抗 HIV 薬予防服用同意書」及び「抗 HIV 薬予防投与依頼書」を提出して薬剤

を受領後、直ちに第1回目の服用を開始する。

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なお、エイズ予防薬配備医療機関での緊急受診が不可能な場合には、事故発生医療機関と配備

医療機関との協議のうえ、代理人が薬剤を受け取ることができる。

(9) その他

暴露由来患者の抗体検査が未実施の場合は、検査について説明し、必ず患者の同意を得た上で

採血し、拠点病院及びエイズ予防薬配備医療機関において迅速検査を実施する。

また、暴露由来患者についての情報収集も行う。

2.エイズ予防薬配備医療機関での対応

(1)平時の対応

他医療機関等から、緊急の予防投与の依頼が代表電話にかかってきたときに備え、電話に出た

者が速やかに担当医に連絡できるよう、医療機関内部で緊急連絡体制を整えておく。

(2)事前準備

電話で緊急の予防投与の依頼を受けた場合、エイズ予防薬配備医療機関は、事故後、できるだ

け早く第1回目の服用が可能となるよう、直ちに薬剤の準備をする。

(3)緊急処方

エイズ予防薬配備医療機関の担当医は、「職業的暴露を受けた医療従事者用チャート」(p6)、

「予防内服薬決定チャート」(p7~p12)により治療内容を確認し、自院で扱う予防薬に

よる注意点や副作用について、「被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリスト」(p

14~p19)及び薬剤の添付文書により、被災者に説明する。初回の予防服用については、

被災者が決定する。エイズ予防薬配備医療機関では、「抗 HIV 薬予防服用同意書」及び「抗

HIV 薬予防投与依頼書」の提出があった場合は、専門医に受診できるまでの間に必要な、最

小限の緊急用薬剤を処方する。

服用開始前には、活動性 B 型肝炎、腎機能低下、糖尿病、妊娠の有無などを確認し、必要が

あれば専門医に相談する。また常用薬がある場合には、相互作用にも注意する。

(4)事後の対応

エイズ予防薬配備医療機関は、県が配備した抗 HIV 薬を使用した場合には、事故内容、薬剤処

方年月日、薬剤名、使用数量、補充の必要有無について、薬事衛生課に報告する。

3.事故後の拠点病院への受診 エイズ予防薬配備医療機関が拠点病院以外の場合、予防服用を開始した者は、事故後早めに拠点病

院に受診して服用継続の適否について相談のうえ、決定し、併せて HIV 抗体検査を実施する。専門医

は感染の有無について必要な期間評価する。

4.費用負担 (1)抗 HIV 薬の予防服用は、健康保険の給付対象ではないが、医療従事者等がHIVに汚染された

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血液等に業務上接触する機会としたことに起因してHIVに感染した場合、以下①~④につい

ては、労災保険の給付対象とされている。

①受傷部位の洗浄、消毒等の処置

②受傷後の被災者のHIV抗体検査等の検査(暴露由来患者の検査は対象外)

③受傷後のHIV感染の有無が確認されるまでの間に行われた抗HIV薬の投与

④HIV感染判明後の治療

なお、労災保険の給付対象にならなかった場合の費用の請求については、県が配備した抗 HIV

薬は県が取扱いを決定し、それ以外は受診先医療機関が取扱いを決定する。

また、医療機関内の医療事故による医療従事者の感染予防策は、各医療機関の責任において実

施されるべきものであるので、費用の請求があった場合は、事故が発生した医療機関が支払う。

※平成5年10月29日付け基発第619号(平成22年9月9日付け基発0909第1号によ

り改正)「C 型肝炎、エイズ及び MRSA 感染症にかかる労災保険における取扱いについて」

参照

5.予防服用にあたっての留意事項

(1)HIV の医療事故による感染確率は、B 型・C 型肝炎の感染確率と比較してかなり低く、B 型肝

炎の100分の1、C 型肝炎の10分の1程度で、感染の平均リスクは0.3%である。

しかし、以下のような、大量の血液や HIV 量の多い血液に暴露された場合、そのリスクは上昇

する。

①傷が深部に達しているとき

②けがを起こした器具が目に見えるほど血液が付着している場合

③HIV 患者の静脈・動脈に使われた器具による事故の場合

(2)抗 HIV 薬の予防服用の効果については科学的に十分に証明されたものではなく、予防服用に

より100%感染が防止できるものではないが、医療事故の際の感染率は5分の1以下に低下

すると考えられている。そして、現在行われている抗 HIV 薬の多剤併用療法を行うことで、

暴露後の予防効果は更に高まると考えられている。

(3)予防服用の副作用のリスクについては、明らかになっていない。特に妊娠中の予防服用の安全

性や胎児への安全性は確認されていない。

(4)抗 HIV 薬は副作用が強い薬であるため、予防服用は安易に開始すべきではない。事故の原因

となった血液等が HIV 抗体陽性であることが明らかな場合及び、抗体の有無が不明であって

も、患者の症状等から陽性であることが推定出来る場合にのみ実施すべきである。

(5)初回の予防服用の実施については、担当医とよく相談のうえで被災者本人が自己決定する。

(6)予防服用に際しては、インフォームドコンセントが必要である。

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職業的暴露を受けた医療従事者用チャート

質問:暴露した部位はどこですか?

① 針刺し・切創事故で部位は皮下組織・・・表1へ

② 粘膜・・・・・・・・・・・・・・・・・表2へ

③ 傷(損傷のある)皮膚・・・・・・・・・表2へ

④ 正常な皮膚・・・・・・・・・・・・・・予防内服不要

表1 経皮的な HIV 暴露時の感染予防

暴露タイプ

患者の状況

軽傷

(非中空針による浅い傷など)

重傷

(太い中空針、可視量の血液付着、血管内

留置針による経費暴露や深い刺創など)

HIV 感染者(classⅠ) 基本治療推奨 拡大治療推奨

HIV 感染者(classⅡ) 拡大治療推奨 拡大治療推奨

HIV 感染不明の患者 通常予防内服不要

患者が HIV 感染のリスクファクターがある場合は基本治療を考慮する。

HIV 陰性が判明したら中止。

対象が特定できない 通常予防内服不要

HIV 陽性患者由来であった可能性が高ければ基本治療を考慮。

HIV 陰性患者 予防内服不要

1) classⅠ:無症候性 HIV 感染者や血中 HIV RNA 量 1,500 コピー/mL 未満

2) classⅡ:AIDS 発症者、急性感染期、血中 HIV RNA 量高値

表2 粘膜・正常でない皮膚への HIV 暴露時の感染予防

暴露タイプ※

患者の状況

少量(2,3滴の体液など) 多量(吹き出した体液など)

HIV 感染者(classⅠ) 基本治療考慮 基本治療推奨

HIV 感染者(classⅡ) 基本治療推奨 拡大治療推奨

HIV 感染不明の患者 通常予防内服不要

患者が HIV 感染のリスクファクターがある場合は基本治療を考慮

する。HIV 陰性が判明したら中止。

対象が特定できない 通常予防内服不要

HIV 陽性患者由来であった可能性が高ければ基本治療を考慮。

HIV 陰性患者 予防内服不要

※皮膚暴露に関しては、正常でない皮膚(皮膚炎、擦過傷、解放創など)への暴露の場合の

みフォローアップが必要

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予防内服薬決定チャート:基本治療を推奨された、または考慮された場合

□= チェック欄(□にチェックを入れ、確認しながら進んでください。)

□ このチャートは「職業的暴露を受けた医療従事者用チャート」で予防内服を推奨された、または

考慮された場合の早見指針です。

□ 皮膚暴露に関しては、正常ではない皮膚(皮膚炎、擦過傷、開放創など)への暴露の場合のみ、

予防内服の検討が必要であり、フォローアップが必要です。

□ 基本治療は核酸系逆転写酵素阻害剤を2種類併用します。

□ 島根県では、2種類が合剤となっているTDF/FTC(ツルバダ)を配置しています。

□ 下記の条件に問題がなければ、TDF/FTC(ツルバダ)を内服して下さい。

<検討事項1>

活動性B型肝炎(慢性B型肝炎や急性B型肝炎やB型肝炎ウイルス肝硬変) に関して

□ 活動性B型肝炎が存在しない。

→ → TDF/FTC( ツルバダ)を内服。(HBs 抗体が陽性である場合は使用可能です。)

□ 活動性B型肝炎が存在する。

→ → 薬剤中断後に肝炎が増悪する可能性があります。

速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項2>

腎機能低下や糖尿病が考慮されるか否かに関して

□ 腎機能低下や糖尿病が存在しない。

→ → TDF/FTC(ツルバダ)を内服。

□ 腎機能低下や糖尿病が存在する。

→ → TDF により腎機能障害が出現する可能性があります。

速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項3>

妊娠の可能性が存在するか否かに関して

□ 妊娠の可能性が存在しない。

→ → TDF/FTC(ツルバダ)を内服。

□ 妊娠の可能性が存在する。

→ → 「予防内服決定チャート:妊婦又は妊娠の可能性が存在する場合」を参照してください。

<検討事項4>

□ 暴露源患者の抗HIV薬に対する耐性や予想される副作用などを考慮し、可能な限りエイズ拠点病

院等の専門医からのアドバイスを受けた上で、自己決定してください。

□ 内服開始は可及的速やかに開始してください。24~36 時間以後では効果が減弱します。

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□ 4週間の内服を継続してください。

<参考資料>

基本治療TDF/FTC(ツルバダ)の服用方法は以下の通りです。

☆ 1日1回1錠。食事は無関係。剤型は1錠ですがこの中に2剤が含まれています。

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予防内服薬決定チャート:拡大治療を推奨された、または考慮された場合

□= チェック欄(□にチェックを入れ、確認しながら進んでください。)

□ このチャートは「職業的暴露を受けた医療従事者用チャート」で予防内服を推奨された、または

考慮された場合の早見指針です。

□ 皮膚暴露に関しては、正常ではない皮膚(皮膚炎、擦過傷、開放創など)への暴露の場合のみ、

予防内服の検討が必要であり、フォローアップが必要です。

□ 拡大治療は核酸系逆転写酵素阻害剤2種類(=基本治療)にプロテアーゼ阻害剤を追加します。

□ 島根県では、プロテアーゼ阻害剤としてLPVrtv(カレトラ錠)を配置しています。

□ 下記の条件に問題がなければ、LPVrtv(カレトラ錠)+TDF/FTC(ツルバダ)を内服して下さ

い。

<検討事項1>

活動性B型肝炎( 慢性B型肝炎、急性B型肝炎、B型肝炎ウイルス肝硬変)

に関して

□ 活動性B型肝炎が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+TDF/FTC(ツルバダ) を内服。

(HBs 抗体が陽性である場合は使用可能です。)

□ 活動性B型肝炎が存在する。

→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項2>

腎機能低下や糖尿病が考慮されるか否かに関して

□ 腎機能低下や糖尿病が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+TDF/FTC(ツルバダ)を内服。

□ 腎機能低下や糖尿病が存在する。

→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項3>

妊娠の可能性が存在するか否かに関して

□ 妊娠の可能性が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+TDF/FTC(ツルバダ)を内服。

□ 妊娠の可能性が存在する。

→ → 「予防内服決定チャート:妊婦又は妊娠の可能性が存在する場合」を参照してください。

<検討事項4>

既に常用する内服薬があるか否かに関して

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□ 常用する内服薬が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+TDF/FTC(ツルバダ)を内服。

□ 常用する内服薬が存在する。

→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。併用禁忌・併用注意の薬剤が

あります。

<検討事項5>

□ 暴露源患者の抗HIV薬に対する耐性や予想される副作用などを考慮し、可能な限りエイズ拠点病院

等の専門医からのアドバイスを受けた上で、自己決定してください。

□ 内服開始は可及的速やかに開始してください。24~36 時間以後では効果が減弱します。

□ 4週間の内服を継続してください。

※参考:LPVrtv(カレトラ錠)はチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的

阻害作用により以下薬剤とは併用禁忌とされている。

ピモジド(オーラップ)、エルゴタミン酒石酸塩(クリアミン)、ジヒドロエルゴタ

ミンメシル酸塩(ジヒデルゴットなど)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメト

リン)、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギンなど)、ミダゾラム(ドル

ミカム)、トリアゾラム(ハルシオン)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、

シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセ

リン(ロナセン)、アゼルニジピン(カルブロックなど)、ボリコナゾール(ブイフ

ェンド)

<参考資料>

拡大治療LPVrtv(カレトラ錠)+TDF/FTC(ツルバダ)での服用方法は以下の通りです。

☆ LPVrtv(カレトラ錠) 1日2回、1回2錠。1日の総量として4錠。食事は無関係。

☆ TDF/FTC(ツルバダ) 1日1回1錠。食事は無関係。剤型は1錠ですがこの中に2剤

が含まれています。

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予防内服薬決定チャート:妊婦または妊娠の可能性が存在する場合

□= チェック欄(□にチェックを入れ、確認しながら進んでください。)

□ このチャートは「職業的暴露を受けた医療従事者用チャート」で予防内服を推奨された、または

考慮された場合の早見指針です。

□ 皮膚暴露に関しては、正常ではない皮膚(皮膚炎、擦過傷、開放創など)への暴露の場合のみ、

予防内服の検討が必要であり、フォローアップが必要です。

□ 妊婦には、LPVrtv(カレトラ錠)+AZT(レトロビルカプセル)+3TC(エピビル錠)の組み

合わせが推奨されており、島根県では、LPVrtv(カレトラ錠)、AZT+3TCを合剤とした

AZT/3TC(コンビビル)を配置しています。

□ しかし、妊婦に推奨される薬剤であっても、妊婦(特に妊娠3ヶ月以内)に投与した場合の胎児

への安全性は確認されていません。妊婦又は妊娠している可能性のある人には,治療上の有益性

が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することになっています。可能な限り専門家から

のアドバイスを受けてから判断してください。

<検討事項1>

活動性B型肝炎( 慢性B型肝炎や急性B型肝炎やB型肝炎ウイルス肝硬変)

に関して

□ 活動性B型肝炎が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+AZT/3TC(コンビビル) を内服。

(HBs 抗体が陽性である場合は使用可能です。)

□ 活動性B型肝炎が存在する。

→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項2>

腎機能低下や糖尿病が考慮されるか否かに関して

□ 腎機能低下や糖尿病が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+AZT/3TC(コンビビル)を内服。

□ 腎機能低下や糖尿病が存在する。

→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項3>

好中球数及びヘモグロビン値に関して

□好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少していない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+AZT/3TC(コンビビル)を内服。

□ 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少している。

(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを

除く)

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→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。

<検討事項4>

既に常用する内服薬があるか否かに関して

□ 常用する内服薬が存在しない。

→ → LPVrtv(カレトラ錠)+AZT/3TC(コンビビル)を内服。

□ 常用する内服薬が存在する。

→ → 速やかにエイズ拠点病院等の専門医に相談してください。併用禁忌・併用注意の薬剤が

あります。

<検討事項5>

□ 暴露源患者の抗HIV薬に対する耐性や予想される副作用などを考慮し、可能な限りエイズ拠点病院

等の専門医からのアドバイスを受けた上で、自己決定してください。

□ 内服開始は可及的速やかに開始してください。24~36 時間以後では効果が減弱します。

□ 4 週間の内服を継続してください。

□ 予防薬を服用後に妊娠していないことがわかった場合には、少なくとも4週間は避妊してくださ

い。

<参考資料>

妊婦の場合 LPVrtv(カレトラ錠)+AZT/3TC(コンビビル)での服用方法は以下の

通りです。

☆ LPVrtv(カレトラ錠) 1日2回、1回2錠。1日の総量として4錠。食事は無関係。

☆ AZT/3TC(コンビビル) 1日2回 1回1錠。1日の総量として2錠。食事は無関係。

※参考:

①LPVrtv(カレトラ錠)はチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作

用により以下薬剤とは併用禁忌。

ピモジド(オーラップ)、エルゴタミン酒石酸塩(クリアミン)、ジヒドロエルゴタミ

ンメシル酸塩(ジヒデルゴットなど)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリ

ン)、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギンなど)、ミダゾラム(ドルミカ

ム)、トリアゾラム(ハルシオン)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、シル

デナフィルクエン酸塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセリン(ロ

ナセン)、アゼルニジピン(カルブロックなど)、ボリコナゾール(ブイフェンド)②

AZT/3TC(コンビビル)はイブプロフェン投与中患者には併用禁忌。

また、好中球数750/ mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した

患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経

験が無いものを除く)

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責任者(医療事故担当医)用チェックリスト

針刺し後の有効な予防のためには第1回目の服用が最も大事と考えられます。できるだけ速やかに

第1回目を服用させてください。24~36時間以後では効果が減弱すると考えられます。

しかし、例え36時間を超えていても、必要と判断された場合には予防内服を開始すべきであると

されています。もしも、基本投与と拡大投与のどちらを選択すべきか迷った場合には、開始時期が遅

れるよりは、すぐに基本投与を開始したほうが良いでしょう。

服用する場合の投与期間は、4週間です。

1. 基本治療について

標準的な薬剤の服用方法例は以下の通りです。

TDF/FTC(ツルバダ) 1日1回1錠。食事は無関係。

2. 拡大治療について

標準的な薬剤の服用方法例は以下の通りです。

LPVrtv(カレトラ) 1日2回、1回2錠。1日の総量として4錠。食事は無関係。

TDF/FTC(ツルバダ) 1日1回1錠。食事は無関係。

※LPVrtv(カレトラ)では下痢を合併することがあります。必要時はロペラミド(ロペミン)

1日1カプセルから4カプセルを併用することで内服継続可能となります。

3. 対象者が女性の場合、妊娠に注意してください。

妊婦に推奨される薬剤の服用方法例は以下の通りです。

AZT/3TC(コンビビル)は1日2回、1回1錠。1日の総量として2錠。食事は無関係。

しかし、妊婦に推奨される薬剤であっても、妊婦に投与した場合の安全性は確認されていません。

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場

合にのみ投与することになっています。従って、妊婦が服用を決意するには十分な自己決定が不

可欠です。

また、対象者が妊娠していなかった場合には、予防薬を服用する対象者に対しては少なくとも4

週間は避妊するよう指導してください。

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被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリスト(基本治療用)

被災者は、以下、チェックリストに従い感染予防のための服薬についての説明文書を良く読み、服

用の意義、注意点等について確認して下さい。(□=チェック欄)

□ 服用の意義

針刺し事故などでHIV 汚染血液に暴露された場合の感染のリスクは、最も高い場合でも0.3~

0.5%とされており、B型肝炎やC型肝炎の同じ様な事故の場合の感染リスクに比べそれぞれ1/100

~1/10と低いことは知られています。

しかし、低いとはいえ感染リスクは0%ではなく、1,000 回の事故につき3~5 人は感染すると

いうことを意味しています。しかも、今のところ感染が成立してしまった場合、治癒できるような治

療法は確立されておりません。

一方、感染直後にAZT を服用することで感染のリスクを約80%低下させうることが分かっていま

す。今回すすめている2剤併用の服用方法であればさらに効果的であろうと考えられています。予防

服用により100%感染を防げるわけではありませんが、予防服用を強くすすめる理由はこのためです。

服用の意義を理解し、次に進んで下さい。

□ 服用に当たっての注意点

感染予防の効果をあげるためには、事故後できるだけ早く予防薬を服用するのが望ましく、24~

36時間以後では効果が減弱する可能性があります。このため専門医に相談できる前に自己判断で服

用を開始せざるを得ない場合もあります。どうして良いかわからない場合、妊娠の可能性がなければ、

とりあえず第1 回目の服用をする事をすすめます。

□ 妊娠の可能性のある場合

大至急妊娠の有無を調べて下さい。今回の予防服用については、妊婦に投与した場合の安全性は確

認されておりません。妊娠している可能性がある場合には、「予防内服薬決定チャート:妊婦または

妊娠の可能性が存在する場合」(p11)及び「被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリ

スト(妊婦または妊娠している可能性のある場合用)」(p18)を御覧いただき、医師と大至急服

薬について相談して下さい。

□ 基本治療において予防服用される抗HIV薬の注意点及び副作用

☆ TDF/FTC:ツルバダ ※詳しい副作用等は薬剤添付文書を参照して下さい。

1回1錠、1日1回服用。この薬剤は、TDF とFTCの合剤です。HIV-1逆転写酵素の活性を

阻害し、感染力のあるウイルスの増殖を抑えます。

<注意点>

○B型慢性肝炎にかかっている人では、この薬の使用を中止するとB型慢性肝炎が悪化するこ

とがあります。特に進行したB型慢性肝炎の場合は、症状が重くなることがあります。

○次の人は、この薬を使用することはできません。

・過去にツルバダ配合錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人

○次の人は、慎重に使う必要があります。使用する前に医師に告げてください。

・腎臓に障害のある人

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○この薬には併用を注意すべき薬があります。他の薬を使用している場合や、新たに使用する

場合は、必ず医師に相談してください。

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被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリスト(拡大治療用)

被災者は、以下、チェックリストに従い感染予防のための服薬についての説明文書を良く読み、服用

の意義、注意点等について確認して下さい。(□=チェック欄)

□ 服用の意義

針刺し事故などでHIV 汚染血液に暴露された場合の感染のリスクは、最も高い場合でも0.3~

0.5%とされており、B型肝炎やC型肝炎の同じ様な事故の場合の感染リスクに比べそれぞれ1/100

~1/10と低いことは知られています。

しかし、低いとはいえ感染リスクは0%ではなく、1,000回の事故につき3~5 人は感染するとい

うことを意味しています。しかも、今のところ感染が成立してしまった場合、治癒できるような治療

法は確立されておりません。

一方、感染直後にAZTを服用することで感染のリスクを約80%低下させうることが分かりました。

今回すすめている多剤併用の服用方法であればさらに効果的であろうと考えられています。予防服用

により100%感染を防げるわけではありませんが、予防服用を強くすすめる理由はこのためです。服

用の意義を理解し、次に進んで下さい。

□ 服用に当たっての注意点

感染予防の効果をあげるためには、事故後できるだけ早く予防薬を服用するのが望ましく、24~

36時間以後では効果が減弱する可能性があります。このため専門医に相談できる前に自己判断で服

用を開始せざるを得ない場合もあります。どうして良いかわからない場合、妊娠の可能性がなければ、

とりあえず第1 回目の服用をする事をすすめます。

□ 妊娠の可能性のある場合

大至急妊娠の有無を調べて下さい。今回の予防服用については、妊婦に投与した場合の安全性は確

認されておりません。妊娠している可能性がある場合には、「予防内服薬決定チャート:妊婦または

妊娠の可能性が存在する場合」(p11)及び「被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリ

スト(妊婦または妊娠している可能性のある場合用)」(p18)を御覧いただき、医師と大至急服

薬について相談して下さい。

□ 拡大治療において予防服用される抗HIV 薬の注意点及び副作用

☆ TDF/FTC:ツルバダ ※詳しい副作用等は薬剤添付文書を参照して下さい。

1回1錠、1日1回服用。この薬剤は、TDF とFTCの合剤です。HIV-1逆転写酵素の活性を

阻害し、感染力のあるウイルスの増殖を抑えます。

<注意点>

○B型慢性肝炎にかかっている人では、この薬の使用を中止するとB型慢性肝炎が悪化するこ

とがあります。特に進行したB型慢性肝炎の場合は、症状が重くなることがあります。

○次の人は、この薬を使用することはできません。

・過去にツルバダ配合錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人

○次の人は、慎重に使う必要があります。使用する前に医師に告げてください。

・腎臓に障害のある人

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○この薬には併用を注意すべき薬があります。他の薬を使用している場合や、新たに使用する

場合は、必ず医師に相談してください。

☆ LPVrtv:カレトラ錠 ※詳しい副作用等は薬剤添付文書を参照して下さい。

1回2錠、1日2回服用。この薬剤は、LPVとRTVの合剤です。HIVプロテアーゼの働きを

阻害することにより、感染性を持つウイルスの産生を阻害します。

<注意点>

○次の人は、この薬を使用することはできません。

・過去にカレトラ配合錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人

・次の薬を使用している人

ピモジド(オーラップ)、エルゴタミン酒石酸塩(クリアミン)、ジヒドロエルゴタミンメ

シル酸塩(ジヒデルゴットなど)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリン)、メチ

ルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギンなど)、ミダゾラム(ドルミカム)、トリアゾ

ラム(ハルシオン)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、シルデナフィルクエン酸

塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセリン(ロナセン)、アゼルニジピ

ン(カルブロックなど)、ボリコナゾール(ブイフェンド)

○次の人は、慎重に使う必要があります。使い始める前に医師に告げてください。

・肝臓に障害のある人

・血友病の人、著しく出血しやすい人

・心臓に障害のある人、脈を遅くする作用をもつ薬などを使用している人

○この薬には併用してはいけない薬や、併用を注意すべき薬があります。他の薬を使用してい

る場合や、新たに使用する場合は、必ず医師に相談してください。

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被災者本人用:服用のための説明文書とチェックリスト(妊婦または妊娠して

いる可能性のある場合用) 被災者は、以下、チェックリストに従い感染予防のための服薬についての説明文書を良く読み、服

用の意義、注意点等について確認して下さい。(□=チェック欄)

□ 服用の意義

針刺し事故などでHIV 汚染血液に暴露された場合の感染のリスクは、最も高い場合でも0.3~

0.5%とされており、B型肝炎やC型肝炎の同じ様な事故の場合の感染リスクに比べそれぞれ1/100

~1/10と低いことは知られています。

しかし、低いとはいえ感染リスクは0%ではなく、1,000 回の事故につき3~5 人は感染すると

いうことを意味しています。しかも、今のところ感染が成立してしまった場合、治癒できるような治

療法は確立されておりません。

一方、感染直後にAZTを服用することで感染のリスクを約80%低下させうることが示されました。

今回すすめている多剤併用の服用方法であればさらに効果的であろうと考えられています。予防服用

により100%感染を防げるわけではありませんが、予防服用を強くすすめる理由はこのためです。服

用の意義を理解し、次に進んで下さい。

□ 服用に当たっての注意点

感染予防の効果をあげるためには、事故後できるだけ早く予防薬を服用するのが望ましく、24~

36時間以後では効果が減弱する可能性があります。このため専門医に相談できる前に自己判断で服

用を開始せざるを得ない場合もあります。

しかし、妊娠の可能性のある場合には、特に妊娠初期(最後に生理のあった日から14 週間)の胎

児に対する安全性は確立されておりません。従って、医師と大至急服薬について相談して下さい。

□ 妊婦または妊娠している可能性のある場合において予防服用される抗HIV薬の注意点及び副作用

☆ LPVrtv:カレトラ錠 ※詳しい副作用等は薬剤添付文書を参照して下さい。

1回2錠、1日2回服用。この薬剤は、LPVとRTVの合剤です。HIVプロテアーゼの働きを

阻害することにより、感染性を持つウイルスの産生を阻害します。

<注意点>

○次の人は、この薬を使用することはできません。

・過去にカレトラ配合錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人

・次の薬を使用している人

ピモジド(オーラップ)、エルゴタミン酒石酸塩(クリアミン)、ジヒドロエルゴタミンメ

シル酸塩(ジヒデルゴットなど)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリン)、メチ

ルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギンなど)、ミダゾラム(ドルミカム)、トリアゾ

ラム(ハルシオン)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、シルデナフィルクエン酸

塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセリン(ロナセン)、アゼルニジピ

ン(カルブロックなど)、ボリコナゾール(ブイフェンド)

○次の人は、慎重に使う必要があります。使い始める前に医師に告げてください。

・肝臓に障害のある人

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・血友病の人、著しく出血しやすい人

・心臓に障害のある人、脈を遅くする作用をもつ薬などを使用している人

○この薬には併用してはいけない薬や、併用を注意すべき薬があります。他の薬を使用してい

る場合や、新たに使用する場合は、必ず医師に相談してください。

☆ AZT/3TC:コンビビル ※詳しい副作用等は薬剤添付文書を参照して下さい。

1回1錠、1日2回服用。この薬剤は、AZTと3TCの合剤です。HIV(ヒト免疫不全ウイ

ルス)の逆転写酵素を阻害してウイルスの増殖をおさえます。

<注意点>

○この薬の使用中に骨髄抑制があらわれるので、この薬を飲んでいる間は頻回に血液検査など

が行われます。

○B型慢性肝炎にかかっている人では、この薬の使用を中止するとB型慢性肝炎が悪化するこ

とがあります。特に進行したB型慢性肝炎の場合は、症状が重くなることがあります。

○次の人は、この薬を使用することはできません。

・好中球数が 750/mm3 未満、またはヘモグロビン濃度が 7.5g/dL 未満に減少している人

(ただし、この減少がHIV感染症によるものであり、また、この薬や他のHIV感染症

の薬を服用したことのない人は除く)

・過去にコンビビル配合錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人

・イブプロフェンを使用中の人

○次の人は、慎重に使う必要があります。使い始める前に医師に告げてください。

・好中球数が 1,000/mm3 未満、ヘモグロビン濃度が 9.5g/dL 未満の人

・ビタミン B12 欠乏症の人

・膵炎を発症する可能性がある人(過去に膵炎になったことがある人、膵炎を起こすことが

知られている薬を併用している人)

・肝機能障害のある人

・高齢の人

・妊婦または妊娠している可能性のある人

○この薬には併用してはいけない薬[イブプロフェン製剤(ブルフェン等)]や、併用を注意す

べき薬があります。他の薬を使用している場合や、新たに使用する場合は、必ず医師に相談

してください。

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抗HIV薬予防服用同意書

私は、HIV感染血液等暴露後の抗HIV薬予防服用における利益と不利益について説明を受

け、妊婦への安全性が確認されていないことを含め、十分に理解しました。

私は、自らの意志により予防服用を行います。

●服用希望剤(必ず被災者本人がチェックすること)

□ TDF /FTC(ツルバダ)

□ LPVrtv(カレトラ錠)

□ AZT/3TC(コンビビル)

エイズ予防薬配備医療機関 病院長 様

年 月 日

署名 :

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

抗HIV薬予防投与依頼書

被災者

氏名: 生年月日: 年 月 日生

性別: 男 ・ 女 妊娠: 有 ( 週) ・ 無

活動性B型肝炎: 有 ・ 無 腎機能低下: 有 ・ 無 糖尿病: 有 ・ 無

現在服用中の薬剤:

備考:

事故状況

発生日時: 年 月 日 時 分頃

事故内容:

原因患者の病状: AIDS ・ HIV抗体陽性 ・ HIV抗体陽性疑い ・ 不明

上記の者は、HIV感染の恐れがあり、予防服用について同意したため、抗HIV薬の投与を

依頼します。

エイズ予防薬配備医療機関 病院長 様

依頼医療機関所在地:

医療機関名:

連絡先:

年 月 日 時 分 担当医署名:

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21

医療事故時の緊急連絡先リスト

☆必ず、事前に電話連絡してから、緊急受診すること。

☆エイズ予防薬配備医療機関には、「抗 HIV 薬予防服用同意書」及び「抗 HIV 薬予防投与

依頼書」(p20)を必ず持参すること。

☆どの医療機関にもツルバダ、カレトラ錠、コンビビルが配備されている。

<エイズ予防薬配備医療機関>

区分 病院名 所在地 連絡先(代表)

エイズ

拠点病院

島根大学医学部

附属病院

(中核拠点病院)

出雲市塩冶町 89-1 0853-23-2111

松江赤十字病院 松江市母衣町 200 0852-24-2111

国立病院機構

浜田医療センター 浜田市浅井町 777-12 0855-25-0505

益田赤十字病院 益田市乙吉町イ 103-1 0856-22-1480

エイズ

対策

協力病院

雲南市立病院 雲南市大東町飯田 96-1 0854-43-2390

大田市立病院 大田市大田町吉永 1428-3 0854-82-0330

隠岐広域連合立

隠岐病院 隠岐郡隠岐の島町城北町 355 08512-2-1356

その他 隠岐広域連合立

隠岐島前病院 隠岐郡西ノ島町大字美田 2071-1 08514-7-8211