作業中の気付きからhouren.soが開発されるまで
株式会社日本情報化農業研究所
齋藤 毅
建築・宿泊・食品・農業など「現場」に特化したWebで、スマホで、現場の問題をスムーズに解決!日報も作れる「報・連・相」ツールです※houren.soはグループウェアです
https://www.houren.so/
プロフィール
バイオサイエンス研究科細胞生物学専攻
大学院で植物学を学ぶ
大学院在籍中に参画し、低コストの栽培技術をまとめる
プログラミングを学び、EC CMSの開発を始め、今に至る(houren.soは設計のみ関わる)
栽培は提携農場のセレクトファームで引き続き行われている
houren.soってどんなアプリ?
2014年09月09日 09:15:24
撮影者 :齋藤毅
2014年09月09日 09:16:01
撮影者 :齋藤毅
掃除後の写真を撮影して、houren.soに投稿することで、
誰が、いつ、どこの箇所を掃除したか?
ということを知ることができる
ある飲食店でhouren.soを利用する場合、オーナーと従業員でグループを作成する。
オーナーはちゃんと掃除されていることを確認できれば良いので、掃除した箇所と時間帯が分かればいい。
従業員は掃除し終わったことだけ伝えればノルマは達成する
掃除後の写真を投稿すれば、どちらの要件も満たす
houren.soで妻に掃除をチェックされています
houren.soが開発された経緯
経緯1
数年前、実際に栽培をしていた頃
日々の作業が終わった後、業務アプリに本日の作業をまとめていた。
疲れた状態での日報の投稿はきつ過ぎる
日々の作業が終わった後、業務アプリに本日の作業をまとめていた。
当時の作業日報はブログを利用して、自由に記述をしていた
一般的な業務報告アプリであっても登録は負担になる
経緯1
作業日報に事細かく書いて報告しても誰も読まない
日報が不毛な作業となり、睡眠時間も削られ、翌日の仕事のパフォーマンスが低下する
読まなくても報告をしないとサボりと見なされる
危険
バランスを崩したら致命傷になり得る作業がたくさんある
経緯1
作業日報に事細かく書くためには作業中に事細かくメモをとる必要がある
雨の日はメモはとれないし、寒い日は手袋を外したくないし、
そもそも水回りの作業が多すぎてメモは現実的ではない
※他の農家の例:真夏の散布(暑くて作業終了後に放心状態になる)
経緯1
普段の作業で情報を保持しているものはないか?
持ち歩いていたデジカメに着目してみた
経緯1
作業開始前 作業終了後
2008年10月01日 08:54:18 2008年10月01日 10:19:31
差は大体1時間半
経緯1
使用した機械
作業の開始前、開始後と使用した機械の写真を並べてみたら、責任者に作業のほぼすべてのことが伝わった
経緯1
大事なことは写真だけで大半が伝わるのではないか?
経緯2
現在の私
Webで販促をしています
販促用の素材写真がほしい
現在の農場主「西前」
セレクトファーム
栽培をしています
経緯2
販促の立場になって分かったことは、
丁寧に作業日報を投稿されたところで、真剣に読まないし、
それ以上に、
販促で使える写真があった方が現状把握よりも遥かに有利
今まさに映しているスライドで使っている写真の大半が日々の報告で上がってきた写真を利用しています。
素材用写真を一枚も利用していません!
経緯2
どんな写真が使えるかはわからないので、日報を兼ねて写真を撮っておいてほしいと指示
こんな写真が使えたりします
写真主体の作業日報アプリのhouren.soの開発
写真を投稿しただけで大体わかるようなUIを目指す
同じ日に撮影した写真を並べて作成する簡易的な日報機能で日報をより速くわかりやすく
経緯2までのまとめ
業務報告アプリは、疲れ切ってる作業者が主に投稿するもので、作業者の投稿のハードルを下げることで良質な情報を得ることができ、結果として組織全体が強くなる。
業務報告アプリは管理者のほしい情報ではなく、作業者の投稿のしやすさを優先することで真価を発揮する!
さらに
写真内のEXIF(撮影日やGPS)を重視しているので、当日に投稿し損ねて、後日投稿しても報告の質が落ちないので、余裕のある時に一気に投稿しても問題ない!
経緯3
私
遠方からの質問を受ける
遠方の質問者
遠方の質問者が熟練者に写真で質問する「右側のニラですが、肥料を与えたのに元気がないです」という難解な問題に対して
経緯3
houren.soでは写真にお絵かきしながらコメントを投稿出来る機能があるので、遠方の熟練者は「ここが気になるので写真を撮ってきてください」とわかりやすく指示する
経緯3
指摘した箇所に問題があり、熟練者でなければ気が付かないちょっとした問題の早期発見と解決ができた。
経緯3
本来なら現場で何らかの問題が発生した場合、熟練者が現場に向かって原因の特定を行うが、写真主体の報告+印をつけることで熟練者が現場に向かわなくてもある程度の当たりが付けられるようになった。
経緯3まとめ
作業者は今後同様の問題が発生した場合、最初に同じようなところに当たりを付ければ良いと学習する機会を得たので、ノウハウの共有も行われたことになる。
経緯3まとめ
houren.soの開発中に分かったこと
植物の観察が好きな人は植物の成長のちょっとした異変を良く投稿する
機械いじりが得意な人はメンテナンスに関わる情報を良く投稿する
報告の投稿のハードルを下げることで、グループ内のメンバーの個性が見えてきて、この個性を共有することで、個々人の意識すると有利な視点というものを鍛えることができた。
https://www.houren.so/
http://www.slideshare.net/tsuyoshisaito90/cms-41687592
農場の事務作業の低減の取り組みに関して興味がある方は「SOY Shop」「売りたい」で検索してください!
引用:NHK出版 やさいの時間 2011 1月号 p52
栽培技術系のブログを書いています。「植物のミカタ」で検索!
http://farmdiary.n-i-agroinformatics.com/