恒星とは? その1 - 東京工業大学恒星とは?•...
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恒星1
恒星とは? その1
恒星とは?
• 宇宙における基本要素である。
• 宇宙における位置づけ– 宇宙における、原子炉: 宇宙にエネルギーを供給する
– 核反応を通して、酸素、窒素、鉄などを作る、「元素工場」
– これらの、元素生成物、エネルギーを、星の放射や、超新星爆発により、宇宙に供給
– 銀河の形成・進化に対し恒星の役割が大きい
• これらのことを説明するのが、本講義の大きな主題。
恒星の誕生
分子雲と生まれたばかりの星
• 散開星団の誕生
兄弟の星々(散開星団)
すでに寿命の尽きかかる重い星
ガスが濃く集まっているところNGC3603 http://apod.nasa.gov/apod/ap990604.html
生まれたばかりの星
生まれたばかりの星
原始惑星系円盤(数100AU)http://spacetelescope.org/images/heic0917ab/
生まれたばかりの星
分子雲と分子雲コア
星の生まれる過程
太陽の10倍程度の大きさ
3000K
分子雲コア(~0.1光年)
分子雲(~100光年)
赤ちゃんの星
核融合の点火
• 光を放射して冷える
• 圧力が低くなり、重力で縮む
• 縮むと、重力エネルギーが解放され熱くなる
3000K
100万K
1000万K核融合の点火
太陽の10倍
太陽の大きさ
6000K
これを、比熱が負という
放射によって、エネルギーが抜ける
負の比熱とは?• 通常の物質----
– 光を放射(エネルギーが抜ける)と冷える: 比熱が正
• 重力で固まっているガス球
– エネルギーが抜けると熱くなる: 比熱が負
少しは縮む
すごく縮む
地上のガス
宇宙のガス球
つまり、恒星とは(その1)• ガス球が、光を出して冷えながら、重力エネルギーを解放して、熱くなる星
• ついに核融合が点火
• もう冷えないので縮まない
• 安定に光り続ける星になる
1600万K
核融合
21 2
12 2 41 14
GMGM M CR R Rπ
≈
2
1 4
GMP C
R≈
3 31 2
43
PV P R C PR N Tπ= ≈ = ℜ
23
2 1 4
2 1
GMC C R N T
R
CGMT
N R
= ℜ
=ℜ
星の中では、重力と圧力が釣り合っている。星の真ん中らへん(R1)で、単位面積の上に乗っているもの(M2)の重さは、中にある質量をM1として、
これが圧力と釣り合っている。
ボイルシャルルの法則より
つまり、TはRoに反比例。星が冷えて収縮すると、その結果温度が上がる。
R1
R
M1
M2
M
全質量
負の比熱の説明
ここで問題です
• 木星も太陽と同じようなガス球です。なぜ核融合が点火しないのでしょうか?– 天文学科の修士学生の大部分は答えられないと思います。
• 不正確・不十分な答え– 木星は小さいから
– 木星には岩石でできた中心核があるから
• よい答えは、– 木星中心部で、電子ガスが縮退するから
– 縮退: ガスが固体と似た性質を持つこと
星のエネルギー源• 水素の核融合
– エネルギーの単位
• 化学反応のエネルギーの1千万倍
+4H He + 2e 2 2 26.7MeVeν γ→ + + +
水素原子核(陽子) ヘリウム原子核 電子ニュートリノ 光
中性子
陽電子
-19 -201 eV=1.6 10 J=3.82 10 cal× ×
2 2 21H O H O 2.95eV2
+ → +
もうちょっと細かく見ると• pp-chain (陽子・陽子連鎖)
1H +1H 2H+ e+ + ν+ 1.442 MeV2H +1H 3He + γ +5.494 MeV3He +3He 4He + 2 1H + 12.860 MeV
http://csep10.phys.utk.edu/astr162/lect/energy/ppchain.html
核反応とポテンシャル障壁
+ +
+
引力(核力)
斥力(電磁気力)
核力の届く距離
引力(核力)のポテンシャル
原子核間の距離
原子核の大きさ
斥力(電磁気力)のポテンシャル
エネルギー
核反応とポテンシャル障壁
引力(核力)のポテンシャル
原子核間の距離
ポテ
ンシャ
ル
原子核の大きさ
斥力(電磁気力)のポテンシャル 水素原子核
高速度で接近した場合
水素原子核
低速度で接近した場合
粒子的描像:水素原子核はぶつかることなく反発する
エネルギー
核反応とポテンシャル障壁
引力(核力)のポテンシャル
原子核間の距離
ポテ
ンシャ
ル
原子核の大きさ
斥力(電磁気力)のポテンシャル
水素原子核
高速度で接近した場合
水素原子核は波の性質も持っている(量子力学)・高速度だと、波が透過しやすい(トンネル効果)
エネルギー
核反応とポテンシャル障壁
引力(核力)のポテンシャル
原子核間の距離
ポテ
ンシャ
ル
原子核の大きさ
斥力(電磁気力)のポテンシャル
水素原子核
低速度で接近した場合
水素原子核は波の性質も持っている・低速度だと、波が透過しにくい(トンネル効果小)
熱核反応• 高温なほど、水素原子核は激しく運動
• より高温なら高速で水素原子核をぶつけることができる
• 核反応が起こる確率は、高温なほど高い
– (反応率∝温度の4乗)
• 水素爆弾は1億度以上といわれている
• 太陽の中心核は1600万度 : 非常に低温
水素原子核
低速度で接近した場合、反発
水素原子核
高速度で接近した場合
最接近時に低確率で反応が起きる
• 通常の物質---- エネルギー供給されると熱くなる:比熱が正
• 重力で固まっているガス球
– エネルギーが抜けると冷たくなる: 比熱が負
核反応の自己調節
膨張するが温度が上がる
膨張すると温度が下がる
地上のガス
宇宙のガス球
より激しい核反応:(正のフィードバック)
核反応が収まる(負のフィードバック)
つまり、恒星とは(その2)• 一旦、核融合が点火すれば・・・
• 核融合が激しくなると
– 温度が下がり、反応が収まる
• 核融合が収まってくると
– 温度が上がり、反応が激しくなる
• このようにして
安定に光り続けるのが恒星
1600万K
核融合
参考文献
• Astronomy Today, Chaisson and Mcmillan 著,Pearson
• 「現代の天文学7 恒星」、野本憲一ほか編、日本評論社
• 「現代天文学講座6 恒星の世界」小平桂一編、恒星社