(1)米 - maff.go.jp...(2009) 9月 22 (2010) 9月 23 (2011) 9月 24 (2012) 9月 25 (2013) 3月...

7
5 主要農畜産物の生産等の動向 (1)米 (米の消費量、生産量は減少傾向) 平成23(2011)年度における米の消費仕向量(生産量+輸入量±在庫増減量)は、前年度と同量の 902 万 t となっていますが、平成 12(2000)年度の 979 万 t から 8%(77 万 t)減少しています(図 3-5-1 )。 また、平成 23(2011)年度における 1 人当たり供給数量は、東日本大震災後に一時的に需要が増加 した前年度の59.5kgに比べて3%(1.7kg)減少し57.8kgとなっており、平成12(2000)年度の 64.6kg から 11%(6.8kg)減少しています。 このような中、米の生産量は、減少傾向にありますが、作柄等により変動があり、平成 23(2011) 年度における生産量 1 は、前年度の 855 万 t に比べて 2 万 t 増加し 857 万 t となっています。 なお、農林水産省は、毎年、過去の需要実績を基に全国及び都道府県別の米の生産数量目標を設定 し、農業者、生産者団体等との連携の下、生産数量目標に沿った米の作付を推進しています。都道府県 別の生産数量目標の設定に際しては、作付面積が生産数量目標(面積換算値)を下回った実績や都道府 県間調整 2 による生産数量目標の減少等が配慮されています。 平成 24(2012)年産の水稲作付面積(子実用) 3 は、加工用米等の作付け増加により前年産の 157 万 haに比べて5千ha増加し158万haとなりましたが、平成12(2000)年産の176万haと比べると 10%(18 万 ha)減少しています(図 3-5-2)。 この作付面積の推移を地域別にみると、平成24(2012)年産の作付面積は平成12(2000)年産に 比べて、北海道は17%、東北は13%減少しているのに対して、北陸は5%、関東・東山は6%の減少 となっており、地域によって減少率に違いがみられます。 図 3-5-1 米の生産量、消費仕向量等の推移 kg 1 人当たり供給数量 (右目盛) 輸入量 消費仕向量 生産量 万t 平成2 (1990) 12 (2000) 23 (2011) 資料:農林水産省「食料需給表」 昭和 55 年度 (1980) 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 57.8 64.6 70.0 78.9 902 979 1,048 1,121 100 88 5 3 857 949 1,050 975 図 3-5-2 水稲(子実用)の地域別作付面積 の推移 30 30 25 25 21 21 20 20 19 19 18 18 18 18 9 9 8 8 6 6 6 6 6 6 6 6 6 6 19 19 16 16 13 13 12 12 12 12 12 12 11 11 17 17 15 15 12 12 12 12 11 11 11 11 11 11 17 17 14 14 11 11 11 11 10 10 10 10 10 10 41 41 36 36 32 32 31 31 30 30 30 30 30 30 29 29 26 26 22 22 22 22 21 21 21 21 21 21 57 57 52 52 45 45 44 44 42 42 39 39 40 40 15 15 15 15 13 13 12 12 11 11 11 11 11 11 235 235 206 206 176 176 170 170 163 163 157 157 158 158 0 50 100 150 200 250 昭和 55 年産 (1980) 平成2 (1990) 12 (2000) 17 (2005) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 万ha 北海道 四国 九州 中国 近畿 東海 関東・東山 北陸 東北 資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」 1 「食料需給表」における国内生産量。飼料用、燃料用等の食用以外の生産量を含む。 2 米以外の作物振興等により生産数量目標の削減を希望する都道府県と米の生産拡大を希望する都道府県の間で生産数量目標を調整する仕組み。 3 飼料用、燃料用等の食用以外の水稲及び陸稲の作付面積を含まない。 189 13

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Page 1: (1)米 - maff.go.jp...(2009) 9月 22 (2010) 9月 23 (2011) 9月 24 (2012) 9月 25 (2013) 3月 17,000 16,000 15,000 14,000 13,000 12,000 資料:農林水産省調べ 注:1)

第5節 主要農畜産物の生産等の動向

(1)米

(米の消費量、生産量は減少傾向)

平成23(2011)年度における米の消費仕向量(生産量+輸入量±在庫増減量)は、前年度と同量の902万tとなっていますが、平成12(2000)年度の979万tから8%(77万t)減少しています(図3-5-1)。また、平成23(2011)年度における1人当たり供給数量は、東日本大震災後に一時的に需要が増加

した前年度の59.5kgに比べて3%(1.7kg)減少し57.8kgとなっており、平成12(2000)年度の64.6kgから11%(6.8kg)減少しています。このような中、米の生産量は、減少傾向にありますが、作柄等により変動があり、平成23(2011)

年度における生産量 1は、前年度の855万tに比べて2万t増加し857万tとなっています。なお、農林水産省は、毎年、過去の需要実績を基に全国及び都道府県別の米の生産数量目標を設定

し、農業者、生産者団体等との連携の下、生産数量目標に沿った米の作付を推進しています。都道府県別の生産数量目標の設定に際しては、作付面積が生産数量目標(面積換算値)を下回った実績や都道府県間調整2による生産数量目標の減少等が配慮されています。平成24(2012)年産の水稲作付面積(子実用)3は、加工用米等の作付け増加により前年産の157万

haに比べて5千ha増加し158万haとなりましたが、平成12(2000)年産の176万haと比べると10%(18万ha)減少しています(図3-5-2)。この作付面積の推移を地域別にみると、平成24(2012)年産の作付面積は平成12(2000)年産に

比べて、北海道は17%、東北は13%減少しているのに対して、北陸は5%、関東・東山は6%の減少となっており、地域によって減少率に違いがみられます。

図3-5-1 米の生産量、消費仕向量等の推移

kg

1人当たり供給数量(右目盛) 輸入量

消費仕向量生産量

万t

平成2(1990)

12(2000)

23(2011)

資料:農林水産省「食料需給表」

昭和55年度(1980)

1,400

1,200

1,000

800

600

400

200

0

180

160

140

120

100

80

60

40

200

57.864.670.078.9

902979

1,0481,121

1008853

8579491,050975

図3-5-2 水稲(子実用)の地域別作付面積の推移

3030 2525 2121 2020 1919 1818 1818

99 88 66 66 66 66 66

1919 1616 1313 1212 1212 1212 1111

17171515 1212 1212 1111 1111 1111

17171414 1111 1111 1010 1010 1010

41413636

3232 3131 3030 3030 3030

29292626

2222 2222 2121 2121 2121

5757

5252

4545 4444 4242 3939 4040

1515

1515

1313 1212 1111 1111 1111

235235

206206

176176 170170 163163 157157 158158

0

50

100

150

200

250

昭和55年産(1980)

平成2(1990)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

万ha北海道

四国 九州中国

近畿東海関東・東山北陸東北

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」

1「食料需給表」における国内生産量。飼料用、燃料用等の食用以外の生産量を含む。2 米以外の作物振興等により生産数量目標の削減を希望する都道府県と米の生産拡大を希望する都道府県の間で生産数量目標を調整する仕組み。3 飼料用、燃料用等の食用以外の水稲及び陸稲の作付面積を含まない。

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第1部

第3章

Page 2: (1)米 - maff.go.jp...(2009) 9月 22 (2010) 9月 23 (2011) 9月 24 (2012) 9月 25 (2013) 3月 17,000 16,000 15,000 14,000 13,000 12,000 資料:農林水産省調べ 注:1)

さらに、水稲の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模5ha以上の販売農家数の割合は平成12(2000)年の1.4%から平成22(2010)年の2.6%に1.2ポイント増加するとともに、作付面積に占める割合も14%から23%に9ポイント増加しており、水稲経営における規模拡大は着実に進んでいます(図3-5-3)。

図3-5-3 販売目的で水稲を作付けした販売農家数と作付面積の規模別割合

122万ha

147万ha

116万戸

174万戸

22(2010)

12(2000)

22(2010)

平成12年(2000)

水稲作付面積

販売農家数

76.676.6

72.872.8

40.040.0

32.332.3

19.819.8

21.221.2

36.636.6

32.632.6

2.22.2

3.33.3

9.79.7

11.811.8

1.11.1

1.91.9

8.98.9

12.612.6

0.30.3

0.70.7

4.94.9

10.710.7

資料:農林水産省「農林業センサス」0 20 40 60 80 100

10.0ha以上3.0 ~ 5.0ha

5.0 ~ 10.0ha1.0 ~ 3.0ha1.0ha未満

(米の作柄と取引価格の状況)

平成24(2012)年産米の作柄については、作況指数1102となりましたが、地域別にみると、北海道は107、東北は103と作柄が良くなった一方、九州では6月の日照不足や台風第16号による被害等の影響により97と作柄が悪くなりました。また、平成24(2012)年産米の相対取引価格の動向をみると、新米への切り替わり時期の前年産米在庫水準が低かったことに加え、震災の影響を懸念した集荷競争があったこと等を反映し、前年を上回る水準となっています(図3-5-4)。米の価格は、需給状況等を踏まえ、民間事業者の間での交渉により形成されることが基本です。米の生産・流通を安定させるためには、生産者と需要者の播種前契約や産地、卸及び需要者の3者による事前契約等の取組の広がりが重要となっています。

図3-5-4 米の相対取引価格の推移

0

平成20年産平成21年産

平成22年産

平成23年産

平成24年産円/玄米60kg

平成20年(2008)9月

21(2009)9月

22(2010)9月

23(2011)9月

24(2012)9月

25(2013)3月

17,000

16,000

15,000

14,000

13,000

12,000

資料:農林水産省調べ注:1) 価格には、運賃、包装代、消費税相当額が含まれている。

2) 産地銘柄ごとの前年産検査数量ウエイトで加重平均した価格。

15,163

15,000

15,169

14,106

13,040 13,283

15,19615,541

16,65016,534

1[用語の解説]参照

190

第5節 主要農畜産物の生産等の動向

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なお、平成23(2011)年8月から2年間の期間で、米の先物取引の試験上場が認可されており、平成24(2012)年における米の先物取引の出来高は、1日800枚(約3千t)程度1となっています。

(米粉用米の計画生産量の伸びが鈍化)

米の消費及び生産が減少を続ける中、食料自給率の向上、水田の有効活用に向けて、米粉の生産・利用の拡大等が進められています。米粉用米の生産量については、平成22(2010)

年度から実施された戸別所得補償制度において10a当たり8万円の助成措置が講じられたこと等により、平成20(2008)年産の600tから平成23(2011)年産には4万tまで大幅に増加しました(図3-5-5)。しかしながら、平成24(2012)年産は、米粉を使った最終製品の需要の伸びが鈍化したこと等により、前年産に比べて14%減少し3万5千tとなっています。

(規模の大きい層ほど労働力の収益性が向上)

近年における稲作部門の農業粗収益の推移をみると、平成20(2008)年から平成22(2010)年にかけて米価の下落等により販売収入等が年々低下しましたが、平成22(2010)年は戸別所得補償制度が導入されたことにより増加に転じ、平成23(2011)年は、米価の上昇等により前年に比べて7千円/10a(6%)増加しています(図3-5-6)。また、農業所得2については、農業経営費がほぼ横ばいで推移する中、農業粗収益の増加に伴い平成21(2009)年以降増加しており、平成23(2011)年は前年に比べて6千円/10a(30%)増加し2万6千円/10aとなっています。稲作の作付面積規模別に10a当たりの農業経

営費をみると、0.5ha未満層は15万9千円/10aとなっていますが、規模が拡大するにつれて減少し、7~10ha層で8万円/10aと最も低くなっています(図3-5-7)。しかしながら、10ha以上層では、新たな大規模農業機械の導入や雇用労働力の増加等に伴い、農業経営費は増加に転じています。農業経営費のうち農機具等をみると、農業経営費が最も高い0.5ha未満層は7万7千円/10aとなっ

ていますが、規模が拡大するにつれて減少し、7~10ha層では、2万6千円/10aと0.5ha未満層の3分の1となっています。

1 東京コメ(1枚6t)と大阪コメ(1枚3t)を合計した値。2[用語の解説]を参照。

図3-5-5 米粉用米の計画生産量の推移

t50,000

40,000

30,000

20,000

10,000

0

34,52140,311

27,796

13,041

566平成20年産(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

資料:農林水産省「新規需要米の取組計画認定状況」注:計画生産量は認定数量。

図3-5-6 稲作部門の10a当たり農業粗収益及び農業所得の推移

農業所得

農業経営費

米戸別所得補償

共済・補助金等(戸別所得補償以外)販売収入等

千円/10a140

120

100

80

60

40

20

02620141920242825

10410310510895989999

130123119

127115121127124 35

65

7886 1122

11697113122108113119119

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

農業粗収益

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:平成20(2008)年から税制改正による減価償却の算定方法の変更に伴い、同年以降の農業経営費は平成19(2007)年以前と直接比較できない。

191

第1部

第3章

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図3-5-7 稲作部門の稲作作付面積規模別10a当たり農業経営費(平成23(2011)年)

その他(雇用労働費等)

賃借料・作業委託料農機具・自動車・建物光熱動力

肥料・薬剤

0.5ha未満

0.5~1.0ha

1.0~2.0ha

2.0~3.0ha

3.0~5.0ha

5.0~7.0ha

7.0~10.0ha

10.0~15.0ha

15.0~20.0ha

20.0ha以上

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

千円/10a180

160

140

120

100

80

60

40

20

0

8888878782828080858589899090104104

124124

159159

34342828282826262828262623232222

2424

3030

778877777799661515

1818

2626

262629292727262629293333393944445959

7777

555555555555666666661717161615151616161616161616171718182020

また、稲作作付面積規模別に農地と労働力の収益性をみると、作付面積当たりの農業所得は、0.5ha未満層では2万9千円/10aの赤字となっていますが、1~2ha層では3万円/10aの黒字となっています(図3-5-8)。2ha以上層では、規模が拡大するにつれて農業所得は徐々に増大しますが、20ha以上層では若干の減少に転じています。一方、家族労働1時間当たりの農業所得は、規模が拡大するにつれて増加しており、作付面積規模の大きい層ほど労働力の収益性が向上する傾向にあります。

図3-5-8 稲作部門の稲作作付面積規模別収益性(平成23(2011)年)

-293

30 37 43 47 49 50 53 51

-61

10 1420

2427

3237

40

-10

10

30

50

40

20

0

-40

0

40

80

120

160

200千円/10a

作付面積10a当たり農業所得

家族農業労働1時間当たり農業所得(右目盛)

100円/時間

0.5ha未満

0.5~1.0ha

1.0~2.0ha

2.0~3.0ha

3.0~5.0ha

5.0~7.0ha

7.0~10.0ha

10.0~15.0ha

15.0~20.0ha

20.0ha以上

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

(2)小麦

(小麦の作付面積は半数を北海道が占める)

平成23(2011)年度における小麦の消費仕向量は、前年度の638万tに比べて5%(32万t)増加し670万tとなっており、平成12(2000)年度の631万tから6%(39万t)増加しています(図3-5-9)。また、平成23(2011)年度における1人当たり供給数量は、前年度の32.7kgに比べて0.1kg増加し32.8kgとなっており、平成12(2000)年度の32.6kgから1%(0.2kg)増加しています。一方、平成23(2011)年度における生産量は、天候の影響により作柄が悪かった前年度の57万tに比べて32%(18万t)増加し75万tとなっており、平成12(2000)年度の69万tから9%(6万t)

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第5節 主要農畜産物の生産等の動向

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増加しています。なお、平成23(2011)年度における小麦の輸入量は、前年度の547万tに比べて18%(101万t)

増加し648万tとなっています。この主な背景として、とうもろこし価格の高騰を受けて、飼料用小麦の輸入が増加したこと等が挙げられます。このような中、小麦の作付面積は、米の生産調整の拡大に伴い、平成2(1990)年産には26万haまで増加しましたが、作柄・品質が不安定なことや、水稲の作付早期化に伴う裏作麦の減少等により、平成12(2000)年産には18万3千haに減少しました(図3-5-10)。平成17(2005)年産以降は、20万ha程度で推移しており、平成24(2012)年産の作付面積は、平成22(2010)年産以降の作柄が悪かったこと等から他作物への転換等が進み、前年に比べて1%(2千ha)減少し20万9千haとなっています。この作付面積を地域別にみると、北海道の作付面積は全国の57%を占めており、大規模な小麦の主

産地となっています。また、平成12(2000)年産と比べると、北海道と九州でそれぞれ16%(1万6千ha)、20%(6千ha)増加しています。

図3-5-9 小麦の生産量、消費仕向量等の推移

kg

1人当たり供給数量(右目盛)

輸入量

消費仕向量

生産量

万t700

600

500

400

300

200

1000

60.0

50.0

40.0

30.0

20.0

10.0

0.0

32.832.631.732.2

670631627605648

569531556

75699558

昭和55年度

(1980)

平成2(1990)

12(2000)

23(2011)

資料:農林水産省「食料需給表」

図3-5-10 小麦の地域別作付面積の推移

資料:農林水産省「作物統計」

24(2012)

22(2010)

23(2011)

17(2005)

12(2000)

平成2(1990)

昭和55年産(1980)

3.93.9 4.84.8 2.82.8 3.73.7 3.33.3 3.53.5 3.43.4

1.11.11.41.4

1.11.1 1.41.4 1.51.5 1.51.5 1.51.54.44.4

4.74.7

2.62.6 2.62.6 2.22.2 2.22.2 2.22.21.01.0

1.21.28.88.8

12.112.1

10.310.311.611.6 11.611.6 11.911.9 11.911.9

19.119.1

26.026.0

18.318.321.421.4 20.720.7 21.221.2 20.920.9

0

5

10

15

20

25

30万ha

北海道

九州近畿東海

関東・東山

東北

また、小麦の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模5ha以上の販売農家数の割合は、平成12(2000)年の9%から平成22(2010)年の25%まで16ポイント増加しています(図3-5-11)。また、作付面積に占める割合は、特に作付面積規模10ha以上の販売農家の割合が22%から45%に大幅に増加しており、規模拡大の進展がみられます。

図3-5-11 販売目的で小麦を作付けした販売農家数と作付面積の規模別割合

%100806040200

45.2

22.3

10.4

2.6

28.7

26.6

14.4

6.3

10.6

12.7

9.8

5.5

10.5

21.7

21.4

22.3

5.0

16.7

44.0

63.4販売農家数

小麦作付面積

平成12年(2000)

22(2010)

12(2000)

22(2010)

9万1千戸

4万3千戸

14万9千ha

15万2千ha

1.0~3.0ha1.0ha未満 3.0~5.0ha 5.0~10.0ha 10.0ha以上

資料:農林水産省「農林業センサス」

193

第1部

第3章

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(パン・中華麺用小麦の作付面積が拡大)

小麦は、そのたんぱく質含量の違いによって用途が異なり、たんぱく質含量が多い硬質(強力)小麦はパンや中華麺として、たんぱく質含量が中程度の中間質(中力)小麦はうどん等の麺類として、たんぱく質含量の少ない軟質(薄力)小麦はケーキ等として、それぞれ用いられます。我が国では、これまで、たんぱく質含量が中程度の日本麺用の品種が主に作付けされてきましたが、今後、小麦の作付けを増大させていくためには、国内産小麦の伸びる余地が大きいパン・中華麺用小麦の生産拡大を図ることが課題となっています。このような状況を踏まえ、近年、パン・中華麺用品種の開発・普及が進んでいます。北海道では、製パン適性がカナダ産小麦と同等として評価が高い「春よ恋」や、パン・中華麺用に日本麺用品種とブレンドして利用する超強力小麦「ゆめちから」が開発され、普及が進められています。また、都府県においても、製パン適性の優れた「ゆめかおり」、福岡県の博多ラーメン向けの「ちくしW2号」等が開発されました。「ちくしW2号」は、福岡県が「ラー麦」の名称とロゴマークを商標登録し、ラー麦を使ったラーメンにのみ使用許可したほか、観光資源である屋台と連携するためのサンプル麺を無償提供するなど普及促進に努めています。今後、これらの新品種の普及を進めることにより、パン・中華麺用途への供給拡大が期待されます。近年、パン・中華麺用小麦の作付面積は、着実に増加しており、平成24(2012)年産の作付面積は2万6千ha、小麦の作付面積に占める割合は12%まで増加しています(表3-5-1)。中でも、超強力小麦の「ゆめちから」については、平成24(2012)年産から1千ha以上の作付けが開始されており、大手製パンメーカーが中力小麦「きたほなみ」とブレンドして国産小麦を100%使用した食パンを発売するなど、食料自給率向上への貢献が期待されています。

表3-5-1 パン・中華麺用小麦の作付面積の推移(単位:ha、%)

平成18年産(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

小麦全体 218,300 209,700 208,800 208,300 206,900 211,500 209,200パン・中華麺用小麦 15,839 15,692 16,882 17,726 20,210 21,550 25,949(小麦全体に占める割合) (7.3) (7.5) (8.1) (8.5) (9.8) (10.2) (12.4)ゆめちから - - - - 56 159 1,214春よ恋 8,459 7,080 6,760 6,500 7,098 7,774 9,539ミナミノカオリ 706 1,094 1,705 2,025 2,740 3,644 3,753ゆめかおり - - - 4 43 251 416ちくしW2号 - - - 149 566 767 880

資料:農林水産省調べ

また、日本麺用の品種についても収量や品質の向上を図るため、新品種の開発、普及が進められています。北海道においては、平成20(2008)年産では「ホクシン」が主に作付けされていましたが、平成21(2009)年産以降、小麦粉の色、うどんへの加工適性や製粉性が優れた多収品種「きたほなみ」への転換が進められ、平成23(2011)年産では、ほぼ全ての日本麺用品種が「きたほなみ」となっています(表3-5-2)。都府県においても、従来広く作付けされてきた「農林61号」の作付面積が近年減少傾向で推移しており、「さとのそら」等の品質や栽培性に優れた新しい品種への転換が進展しています。

194

第5節 主要農畜産物の生産等の動向

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表3-5-2 日本麺用品種の作付面積の推移(単位:ha)

平成18年産

(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

小麦全体 218,300 209,700 208,800 208,300 206,900 211,500 209,200北海道 120,500 117,100 115,700 116,300 116,300 119,200 119,200ホクシン 104,264 102,596 103,756 96,373 72,901 545 21きたほなみ - - - 6,888 29,636 106,948 104,628

都府県 97,700 92,600 93,100 92,000 90,600 92,300 90,100農林61号 36,342 32,754 30,963 29,968 27,647 26,263 19,508イワイノダイチ 2,008 3,017 3,578 4,282 4,492 5,024 4,936あやひかり 1,803 1,904 2,240 2,224 2,557 2,841 2,911さとのそら - - - 11 118 1,428 7,012

資料:農林水産省調べ

(経営安定に向け単収向上・コスト削減が課題)

水田作経営と畑作経営における麦類作部門の農業粗収益の推移についてみると、販売収入等については、平成18(2006)年から平成19(2007)年にかけて大きく減少していますが、これは、平成19(2007)年以降、麦の政府買入制度が廃止され、民間流通の下で販売価格が決定されるようになったことが要因で、販売価格の減少分を品目横断的経営安定対策で措置することにより、農業粗収益の水準が維持されました(図3-5-12)(図3-5-13)。その後、水田作では平成22(2010)年度から、畑作では平成23(2011)年度から、それぞれ戸別所得補償制度が実施されたことにより、農業粗収益の確保が図られています。このような中、近年、水田作経営における農業所得は増加傾向にある一方、畑作経営における農業所

得は低下傾向にあります。今後は、小麦の単収の向上や生産コストの削減に一層取り組むことが課題となっています。

図3-5-12 水田作経営麦類作部門の10a当たり農業粗収益及び農業所得の推移

100

80

60

40

20

90

70

50

30

100

2825191721181917

53525456

49475049

817773737064

706612

3348444018

1917

5523

1321253030465149

農業所得

農業経営費 戸別所得補償共済・補助金等(戸別所得補償以外)

販売収入等

千円/10a

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

農業粗収益

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:図3-5-6の注釈参照。

図3-5-13 畑作経営麦類作部門(北海道)の10a当たり農業粗収益及び農業所得の推移

2023

312919262326

5956

575655565858

79818985

73818184

10

58

534535

1296

46

2325364138707279

100

80

60

40

20

90

70

50

30

100

農業所得農業経営費 戸別所得補償共済・補助金等

(戸別所得補償以外)販売収入等

千円/10a

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

農業粗収益

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:図3-5-6の注釈参照。

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