慈恵icu勉強会 2016年6月28日spo 2>92%となるように酸素濃度を調整した。...

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慈恵ICU勉強会 2016628臨床工学部 渡邊拓也 JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61. doi: 10.1001/jama.2016.2711.

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Page 1: 慈恵ICU勉強会 2016年6月28日SpO 2>92%となるように酸素濃度を調整した。 開始後24時間でHFNCを終了し、必要があれば酸素 療法を施行した。

慈恵ICU勉強会 2016年6月28日

臨床工学部 渡邊拓也

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61. doi: 10.1001/jama.2016.2711.

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過去のHFNC 慈恵ICU勉強会

「Nasal high flow」 2012.10.23 奥田晃久

「Nasal high flowの最新文献紹介」 2014.9.2 池田潤平

「HFNCを真剣に考える」 2015.8.11 齋藤敬太

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HFNCは

抜管後の再挿管予防が

できるのか?

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抜管後にHFNCを使用した文献

抜管後、高流量酸素マスクとHFNCの血液ガス分析でのガス交換能を比較した場合、両者に有意差はなかった。

Journal of Critical Care 2010 ; 25 : 463–468

抜管後、HFNCの使用は酸素マスクに比べ、呼吸困難スコア・呼吸数・心拍数において優位な改善が認められた。

Respir Care 2014 ; 59 : 485-90

BMI≧30の心臓外科術後の患者で、抜管後HFNCの使用は通常酸素マスクに比べ、無気肺は改善しない

Intensive Care Med (2015) 41:887–894

慈恵ICU勉強会 2015.8.11 「HFNCを真剣に考える」より引用

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抜管後HFNCを使用して再挿管率についてOutcomeをおいてる文献

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Design: Randomized, controlled, open-label trial

Setting: イタリア 2つのICU

Patients: 105症例 人工呼吸器を24時間以上使用し、 抜管直前でP/F比300mmHg以下の患者

Methods : 抜管後48時間、HFNCまたはベンチュリーマスクを使用する。FiO2はSaO2

が92%〜98%の間で管理。HFNCの供給ガスは50L/minとした。

Primary outcome:

抜管後、24時間後のP/F比

Am J Respir Crit Care Med. 2014 Aug 1;190(3):282-8. PMID:25003980

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Am J Respir Crit Care Med. 2014 Aug 1;190(3):282-8. PMID:25003980

肺炎、多発外傷による急性呼吸不全患者が多い 患者背景

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Am J Respir Crit Care Med. 2014 Aug 1;190(3):282-8. PMID:25003980

P/F比 NHF vs Venturi mask 24時間後 287.2 ± 74.3 mmHg vs. 247.4 ± 80.6mmHg;P=0.03 36時間後 310.8 ± 87.7 mm Hg vs. 233.2 ± 75.8 mm Hg; P = 0.0003 48時間後 313.3 ± 83.8 mm Hg vs. 250.2 ± 110.1 mm Hg; P = 0.01

PaCO2・SaO2・RRのいずれの比較でもNHFの方が有効であった。

結果

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Am J Respir Crit Care Med. 2014 Aug 1;190(3):282-8. PMID:25003980

抜管後48時間以内にHFNCを使用した群は、NPPV・気管挿管の施行が少なかった。

ベンチュリーマスクを使用した群で低酸素血症・分泌物の排泄ができなかった理由で気管挿管を受けている。

結果

ICU滞在期間 NHF vs Venturi 11.7±10.2 vs. 10.4±8.5 day P = 0.44 死亡率 NHF vs Venturi 11.3% vs. 9.6%; P = 0.77

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• HFNCは急性期の呼吸不全患者の酸素化や耐性・快適性、

胸腹部の同調性、分泌物の排泄を改善させる文献が大部分である

• Maggioreらの計画的な抜管後の集団でHFNCが有益であることが示された。

• 抜管後にHFNC使用した人工呼吸器患者は再挿管リスクが高い患者と低い患者の両群が含まれている。

抜管後のHFNCの使用について再挿管をPrimary Outcomeとしている研究データは不足している

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Objective:

人工呼吸器を使用している再挿管のリスクが低い患者に絞って抜管後にHFNCを使用し、酸素療法より、再挿管の予防が優れているかを検証する

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61. doi: 10.1001/jama.2016.2711.

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Design: Randomized clinical trial

Setting: 2012年9月〜2014年10月 スペイン7つのICU

Patients: 12時間以上挿管した患者で、SBTに成功した

再挿管のリスクが低い患者

Methods: 抜管後、HFNC(24時間実施後、酸素療法に

切り替える)を実施または、通常の酸素療法

を実施した。

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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抜管における低リスク患者

① 65歳未満

② APACHEⅡスコア12未満

③ BMI30kg/m2未満

④ 分泌物のコントロールがついている

⑤ Simple Weaning(SBT)

⑥ 併存疾患が0もしく1

⑦ 心不全なし

⑧ 中等〜重症のCOPDなし

⑨ 気道開存性の問題なし

⑩ 人工呼吸器施行期間が長期ではない(7日以内)

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除外基準

① 18歳未満

② 妊娠をしている

③ DNR do-not-resuscitate orders

④ 気管切開受けている

⑤ SBTにおいて高炭酸ガス血症があった

⑥ 自己抜管した

⑦ 再挿管リスクが高い患者

⑧ No informed consent

⑨ Weaningが困難であった

⑩ 2つ以上の共存疾患を持っている

11 7日以上人工呼吸器を使用していた

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人工呼吸器からのWeaning基準

Respiratory criteria – PaO2/FiO2 ratio >150 with FiO2 ≤0.4 – PEEP<8 cmH2O, and 動脈血 pH >7.35

Clinical criteria – 虚血性の心電図所見がない – 血管作動薬を使用していない – 少量のドパミン使用のみ(<5 μg/kg/min) – 心拍数 < 140 BPM – Hb >8 g/dL, 体温<38°C, 鎮静剤の必要がない, – presence of respiratory stimulus – appropriate spontaneous cough

→ 上記を満たしたら、spontaneous breathing trial を実施 JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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人工呼吸器からのWeaning

Spontaneous breathing trial

– TピースまたはPS7cmH2Oで30分〜120分間実施

– SBT成功後、再度人工呼吸器に接続し、気道開存や分泌物、上気道閉塞の評価を行う。

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人工呼吸器からのWeaning

Weaningのクラス分け • Simple Weaning: 最初のWeaningで困難なく抜管に成功した

• Difficult Weaning: 最初のWeaningで失敗し、SBTを3回まで必要とした場合、または、7日間以内の場合

• Prolonged Weaning: 最初のWeaningから3回以上SBTに失敗するか、7日間以上の期間を必要とする場合

→ Simple Weaningができた患者を対象とした JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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SBT失敗の定義

– 動揺、不安、うつ状態、発汗、チアノーゼ、呼吸努力、補助呼吸筋の使用、呼吸困難

– FiO2が0.5以上でもPaO2が60mmHgまたはSpO2が90%以下

– PaCO2が50mmHg以上またはベースラインから8mmHgより上がった場合

– pH7.32以下またはベースラインから0.07下がった場合

– 呼吸回数が35回/分以上またはベースラインより50%以上の回数となった場合

– 心拍数が140回/分以上またはベースラインより20%以上上がった場合

– 収縮期血圧が180mmHg以上またはベースラインより20%以上上がった場合

– 収縮期血圧が90mmHg以下または不整脈

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共存疾患の定義

• 共存疾患は、Charlson Comorbidity Indexに基づいて分類された。

– 高血圧

– 心疾患

– 末梢血管疾患

– 神経疾患

– 呼吸器疾患

– 糖尿病

– 腎疾患

– 肝疾患

– 癌

– その他(消化器潰瘍、リウマチ、HIV・AIDSなど)

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RANDOMIZATION

SBT成功後、コールセンターに電話、順序を変えたブロックによりHFNCまたは酸素療法に割り当てられる。

SBTが成功し、一時人工呼吸器に戻している後に電話にて割り付けられ、抜管となる。

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Conventional oxygen therapy

Conditioned high-flow nasal cannula oxygen therapy is defined as a gas (air/oxygen) mixture at a flow rate of ≥30 liters/minute (L/min), delivered via heated, humidified, blended Fisher and Paykel (F&P) circuit and prongs.

Conventional oxygen therapy is defined as a blended air/oxygen that is not heated or humidified at a flow rate <15 liters/minute (L/min), applied though nasal cannula or non- rebreather face mask.

High-Flow Nasal Cannula

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Intervention

HFNC群

Fisher&Paykel社製Optiflowを使用 抜管後HFNCを装着し、Flow10L/minから開始 患者の不快とならないところまで、5L/minずつ上げていった。 SpO2>92%となるように酸素濃度を調整した。 開始後24時間でHFNCを終了し、必要があれば酸素療法を施行した。

抜管後、呼吸不全のためのNIV使用は行わないようにした。

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Intervention

酸素療法群

鼻カニューラか酸素マスクでSpO2>92%となるように酸素流量を調整した。

抜管後、呼吸不全のためのNIV使用は行わないようした。

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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Primary outcome

抜管後72時間の再挿管率

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Secondary outcome ① 抜管後の呼吸不全

② 呼吸器感染(VAP・VAT)

③ Sepsis or Multiorgan failure

④ ICUと病院滞在期間

⑤ ICUと病院死亡率

⑥ 患者の快適性を含めた、治療の失敗理由

⑦ 鼻粘膜や皮膚外傷

⑧ 再挿管までの時間

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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抜管後呼吸不全の定義

① pHまたは二酸化炭素分圧の改善が見られない、GCSが2以上落ちる

② 呼吸筋疲労(呼息筋の使用、胸郭と腹部の非同調運動、胸鎖乳突筋の使用)の改善が見られない場合

③ 30分以上補液やカテコラミンを使用しても収縮期圧が90mmHgを下回る

④ 大量の分泌物による排出困難またはアシドーシス、低酸素血症と精神状態、呼吸筋疲労が持続するような状態

⑤ FiO2>50%でもSpO2<85%の場合

→以上を満たした場合、再挿管がされた。

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呼吸器感染定義

VAP:Ventilator-associated pneumonia fever (temperature >38oC) or altered leukocyte count (>12,000/mL or <4,000/mL) plus new onset of purulent endotracheal secretions or change in sputum, with new and progressive or persistent infiltrate or consolidation or cavitation and a significant pathogen culture (>105 cfu/mL in semiquantitative endotracheal aspirate, >104 cfu/mL in bronchoalveolar lavage fluid, or >103

cfu/mL in protected brush specimens)

VAT:Ventilator-associated tracheobronchitis Ventilator-associated tracheobronchitis (VAT) was defined by the same criteria but without new infiltrates

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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Statistical Analysis

Sample Size

–サンプル:各群260人

–検出率:80%

– αエラー:0.05%

再挿管率を13%〜5%に見込まれて計算された。

最高患者離脱率は15%で計算された。

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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Statistical Analysis

全てはintention-to-treat解析で行われた。

再挿管率はCochran-Mantel-Haenszel ・カイ二乗検定と比較されて、病院によって層化された。

Pは0.1以下、結果はodds比を使用した。

再挿管の理由はカイ二乗検定

再挿管時間はマンホイットニーU検定

抜管から再挿管までの時間で用いられた。

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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Statistical Analysis

Secondary outcome、Post hoc解析はFisherの正確確率検定、スチューデントt検定、マンホイットニーU検定もしくはCochran-Mantel-Haenszel検定を用いた。

有意差はp<0.05とした。

解析にはSPSS version13.0ソフトを使用した。

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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HFNC

酸素療法

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

HFNC実施後 24時間で終了

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人工呼吸器期間の中央値が1〜2日と短い

両群背景は類似していた

結果

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

年齢は中央値で51歳で若い

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呼吸器疾患を伴わない患者の割合が半分 特に神経系疾患が多い

外科患者の割合が半分 緊急手術患者の割合が多い

結果

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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抜管後の再挿管について、HFNCを受けた群が優位に少なかった。

結果 JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

Page 35: 慈恵ICU勉強会 2016年6月28日SpO 2>92%となるように酸素濃度を調整した。 開始後24時間でHFNCを終了し、必要があれば酸素 療法を施行した。

抜管後の呼吸不全について、HFNCを受けた方が優位に少なかった。

結果 JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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再挿管になった理由では、分泌物の排泄ができなかった・呼吸不全の改善しなかったことが、酸素療法群で多かった。

結果

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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挿管までの時間に有意差はなかった。 結果

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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呼吸が原因となった再挿管、抜管後の喘鳴、咽頭浮腫によって再挿管が必要となった群で、HFNC群の方が優位に低かった。

施行した酸素濃度に有意差はあったが、血液ガスには有意差はなかった。

JAMA. 2016 Apr 5;315(13):1354-61.

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Discussion

• 従来の酸素療法群の再挿管率(12.2%)は先行研究でも同様の結果が得られている。 再挿管リスクの高い患者が含まれない研究はわずかしかないため、本研究ではリスクの低い患者の再挿管率を5〜13%としたが、主にリスクの高い患者の基準に依存している。

• NPPV使用で抜管後呼吸不全を見逃して、再挿管を遅らせる心配があるが、今回の研究では再挿管を遅らせることはなかった。低リスク患者とプロトコールによるものが影響しているかもしれない。

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Discussion

• 抜管後、24時間のHFNC使用であったが、24時間以上

の使用でさらに効果があるかもしれない。(先行研究では48時間のHFNCを使用して、再挿管率が3.8%であった。)

• 再挿管は予防できたが、ICU・病院滞在期間に違いは

なかった。低リスクであるがゆえ、影響が少ないためかもしれない。

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PURPOSE:呼吸不全患者におけるHFNCの使用は挿管を回避できる。しかしながら、HFNCの失敗は挿管のタイミングを遅らせる可能性があることは明確になっていない。 Design: Retrospective analysis Setting: ICU of Asan Medical Center, Korea Patients: 175名 Methods : 2013年1月〜2014年3月まで 18歳以上でHFNCが失敗して挿管された患者 early群:HFNC導入48時間以内に挿管になった群(n=130) Late群 :HFNC導入48時間以上経過して挿管になった群(n=45)

Intensive Care Med. 2015 Apr;41(4):623-32 PMID:25691263

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HFNC使用時間はLate群で長い

early群でICU死亡率が優位に低かった。 抜管の成功、人工呼吸器のウィーニングにおいてもearly群で有意差を認めた。

Intensive Care Med. 2015 Apr;41(4):623-32 PMID:25691263

Early群が多い

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Primary outcome: HFNCを使用して、挿管が遅れた場合、ICU死亡率を上げることが示唆された。

Intensive Care Med. 2015 Apr;41(4):623-32 PMID:25691263

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Limitation

• 再挿管リスクが低い患者の基準が難しい。 (再挿管リスクが高い報告に基づいている)

• 再挿管患者で外科系・神経系患者の割合が多かった。さらに、呼吸器に関連しない場合の再挿管の割り合が多かった。

• 再挿管の最終決定は臨床基準にのっとって決められ、最も大きく関わった再挿管の理由を記録した。だが、再挿管は様々な原因に起因していることがあるため、結果の解釈を難しくする。

• 参加者に対するブラインドができなかった。

• 酸素療法群での酸素濃度が正確ではない。

• 24時間以降に使用した酸素療法器具の記載がない。

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Conclusions

再挿管リスクの低い患者に抜管後HFNCを使用すると、従来の酸素療法に比べ、72時間後の再挿管を減らした。

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Editorial

抜管後の低酸素血症にはHFNCか?NPPVか?

Flow vs Pressure?

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Editorial

• 大きな手術や長期人工呼吸器使用の抜管後呼吸不全はしばしば再挿管を必要とする。再挿管によりICU滞在期間・病院滞在期間を長期化し、死亡率を上げる。

• 標準的な酸素療法に変わる、再挿管を減少させ、患者Outcomeを改善させる戦略が求められる。

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Editorial

• NIVは特にCOPD、心原性肺水腫に推奨される。

• 機能的残気量の増加によりガス交換能が改善する(Pressureによる効果)

• しかしながら、患者はマスクの不快感や閉塞感に耐えらえない場合があり、使用時間に限界がある。

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Editorial

• HFNCの酸素は加湿され、体温に近い温度で患者に供給するため、酸素療法やNIVに比べ快適性が良い。

• 呼吸困難感による高い吸気流速に合わせたガスを供給するため、室内気の吸い込みを減らし、信頼された酸素濃度を提供できる。

• 上気道の解剖学的死腔を洗い流すことで換気効率を上げ、頻呼吸を減少させる。

• 低いPEEPもかけられ、加湿は分泌物の排出を促す。

• NIVとは違い、継続的な使用ができる。

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Editorial

2つの文献を通して

• 呼吸不全を軽減し、抜管後の再挿管率を減らすというEBMがさらに蓄積された。

• 多施設研究から比較的多数の患者を登録している。挿管の定義を事前に特定しており、クロスオーバーを最小限にしている。

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Editorial

2つの文献を通してたWeaknesses

• NIVの文献ではコントロール群よりもNIV群でCOPD患者が多かった。(19.6% vs 12.6%)これによりNIV群の結果が良くなった可能性がある。

• HFNCの文献では最初から分泌物の排泄が問題となる神経疾患を含んでいた。これによりHFNC群の結果が良くなった可能性がある。

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Editorial

どちらの文献においても答えより、疑問を多く提供した。

• 手術後・抜管後の最適なセッティングと期間はどれくらいであるのか?また、どのように比較するのか?

• HFNCでは持続的には続かず(吸気時に圧力は下がり、呼気時に上がる。)高いPEEPが求められるCOPD患者では限界がある。

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Editorial

• 近いうちに術後または抜管後、mildからmoderateの低酸素血症の患者でNIVとHFNCを比較した研究が出てくるだろう。しかし、他の1つを推奨するのに十分ではない。

• HFNCは患者の快適性に優れ、ほぼ24時間の使用を可能にするということが、標準的酸素療法に代わるものとしてHFNCを正当化する。

• いずれにせよ、研究デザインは挿管が遅れないようにするべきである。

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批判的吟味

• 多施設RCTであり、治療についてランダム化

割り付けがされている。

• 治療についての盲検はできないかった。

(無理か?)

• 呼吸不全などの定義を明確化している。

• サンプルサイズは十分であった。 (Low-risk患者の割には13%〜5%計算されている?)

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批判的吟味

• 抜管後HFNCを24時間の使用で終了している。さら

に長時間使用することによる効果は?

• 本文献では再挿管低リスクの割には再挿管率が高

い気がする?(12.2%)

• 低流量システムの酸素療法では患者一回換気量に

良い酸素濃度が変わるという点について、安定した

酸素濃度が提供できなかったのではないか?

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私見

• HFNCのデメリットを挙げる文献はほとんどない。

• NPPVに比べ患者の不快感・閉塞感は少なく、使用し

やすい装置であると言える。

• 再挿管について少しでも懸念があればHFNCの使用

は有用なのかもしれない。

• しかしながら、再挿管のタイミングを遅らせないように

注意が必要である。(HFNC失敗の基準が求められる。)

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治療における一つのデバイスとして 確固たる地位にまた一歩近づいた?

人工呼吸器

NPPV

酸素療法

HFNC

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まとめ

• 再挿管低リスク患者におけるHFNCは、酸素療法に比べ再挿管率を低下させる。

• NIV施行による不快感・閉塞感などのデメリットがHFNCにはなく、長時間の使用が可能である。

• 再挿管を遅らせてしまう懸念を考慮して、使用すべきである。