icu入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (soc...

34
ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予測精度 2017912看護師 大友 千夏子

Upload: others

Post on 20-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後についての医師と看護師の予測精度

2017年9月12日看護師 大友 千夏子

Page 2: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Introduction

Ø予後予測を提供することは長い間重要な医師の責任だった

(SocSciMed.1997;44(3):301-315)

Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定の不可欠な部分であり、予後評価と患者の価値や嗜好を統一する必要がある

(CritCareMed.2016;44(1):188-201)

Page 3: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Introduction

医師と重症患者の代理意思決定者の予後についての不一致の頻度と関連要因

2016年9月13日:火曜勉強会プレゼン(大友)

【目的】医師と代理意志決定者の不一致に関連する要因を明確にし、予後についての効果的な会話が行えることを目的とした

【対象】 カルフォルニア州、サンフランシスコ医療センター大学にある4つのICUで死亡リスクの高い患者の代理意思決定者

【方法】Mixed-methods研究(アンケート・インタビュー)

Page 4: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Introduction

【結果】

・予測についての医師と代理者の不一致は53%に発生し、代理者のうち43%はより楽観的であり、10%はより悲観的だった

・代理者の予後予測はあてずっぽうの推測より正確で、医師の予測は代理者の予測より統計的に正確だった

【結論】

・ICUで治療を受けた重症患者において、医師と代理意思決定者の間の予後予測についての不一致は一般的に認められた

2016年9月13日:火曜勉強会プレゼン(大友)

Page 5: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Introduction

Ø先行研究では、ICUの医師の院内死亡率の予測が適度に正確だと示していたが、より長期間の死亡率と機能予後を予測する医師の能力は、長期人工呼吸を必要とする患者に限られていた

(CritCareMed.2006;34(3):878-885)(JAMA.2016;315(19):2086-2094)

(CritCareMed.2009;37(11):2888-2894)

Ø看護師は、予後判断の査定をしたり、それを伝えることに特別な義務はないが、患者と過ごす時間が長く、看護師の精度に関してのデータはない

Page 6: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø死亡以外の好ましくない予後が発生するかどうかを判断する医療者の能力はいくつかの理由で重要である

① 将来の機能に関する知識は、ICU患者・家族・医療者にとってとても重要である (NEnglJMed.2002;346(14):1061-1066.)

(CritCareMed.2013;41(4):1136-1138.)

→ICUを生きて退出する患者がますます増えるが、長期間の認知能や全体的な機能障害を経験している

(NEnglJMed.2013;369(14):1306-1316.)(AnnInternMed.2010;153(3):167-175.)(JAMAInternMed.2015;175(4):523-529.)

②多職種による家族会議は、機能とQOLに焦点を当てるのが一般的である

(CritCareMed.2007;35(2):442-448)

Introduction

Page 7: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

③医師は患者が将来、機能障害を経験しそうな状況において生命維持の中止を提供する可能性が高く、将来の機能予測は医療者の行動に影響するかもしれない

(NEnglJMed.2003;349(12):1123-1132)

④最近の質的な研究では、 “個人の患者について、起こ

りそうな機能予後について議論する専門的責任と、機能予後を予測する能力の不確実性の間”にICUの医療者にとっての緊張の中心があると強調している

(Ann Am Thorac Soc.2016;13(9):1546-1552)

Introduction

Page 8: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

この研究は、ICUの医師及び看護師が、最近ICUに入室し生命維持を必要とした患者が、6ヶ月後に死亡するか、または好ましくない機能予後を経験するかどうかを判断する能力について検討した

Introduction

Page 9: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Methods

【実施場所】

Ø ペンシルバニアのフィラデルフィア大学の3つの病院の5つのICU(3つが内科、2つが外科)で前向きコホート研究を行った

【研究期間】

Ø 2013年10月〜2014年5月まで【患者選定】

Ø ICU入室3日目〜6日目で48時間以上連続で人工呼吸を受けたか、48時間以上連続で血管作動薬を受けたか、その両方を受けた患者

【除外基準】

Ø ICU在室期間が3日以内の患者(容易に患者の予後予測がつき、家族会議と予後評価が患者の利益になりそうにないため)

【医師と看護師の選定】

Ø 対象となる医師は患者の担当医で、看護師は患者が登録された日の受け持ち看護師(医師は少なくとも2日、看護師は1日患者を受け持つ)

StudyPopulation(研究対象者)

Page 10: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø医療者は、パイロット試験中に患者、代理者、そして医師が容易に理解できる6つの予後を予測するよう求められた

MethodsClinicians’Predictions(医療者の予測)

Page 11: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø医療者は、パイロット試験中に患者、代理者、そして医師が容易に理解できる6つの予後を予測するよう求められた

MethodsClinicians’Predictions(医療者の予測)

院内死亡

6ヶ月死亡

元の住居に帰る

トイレに行ける

歩ける

認識

Page 12: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø 6ヶ月後患者が生きているだろうと仮定して、トイレに行ったり、歩いたり、認識したりすることについて医療者は予測を求められた

MethodsClinicians’Predictions(医療者の予測)

Ø 医療者は、YESかNOで予測する必要があり、その予測の自信を1点(自信がない)から5点(非常に自信がある)までの5点のリッカート尺度を用いて回答した

Ø 患者が研究登録されてから24時間以内に予測が行われた

Page 13: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø 6ヶ月後患者が生きているだろうと仮定して、トイレに行ったり、歩いたり、認識したりすることについて医療者は予測を求められた

MethodsClinicians’Predictions(医療者の予測)

Ø 医療者は、YESかNOで予測する必要があり、その予測の自信を1点(自信がない)から5点(非常に自信がある)までの5点のリッカート尺度を用いて回答した

Ø 患者が研究登録されてから24時間以内に予測が行われた

患者が入院して生き残ると思いますか?

あなたの答えはどれくらい自信がありますか?

患者は6ヶ月生きると思いますか?

Page 14: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø基本的な患者情報は、電子カルテと患者または代理者に直接か電話インタビューで収集した

Ø評価される臨床変数は、以前の身体、認知機能と既往歴、APACHEⅢスコア

Ø 患者と代理者のインタビューは、患者の基本的な機能(元々トイレに行けたか、歩けたか、認識できたか)と入院前の住居の決定に使われ、最終的に使用されたものと同じスケールを使って評価された

MethodsPatientDataCollection(患者のデータ収集)

Page 15: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø院内死亡は電子カルテを調べることで特定された

Ø 6ヶ月後に死亡しているか確認ができなかった患者は、医療者の予測を知らない訓練を受けた研究助手が、患者の生死や機能を決定するためにメールや電話で生存者に連絡をした

Ø最初の患者への連絡が失敗した場合、患者と代理者の両方に週2回連絡を試み、最初の連絡が取れた方に対してインタビューした

Ø患者は5回連絡の試みが失敗した場合に追跡不能と判断された

Methods6-MonthPatientDataCollection(6ヶ月の患者のデータ収集)

Page 16: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø全ての患者は院内死亡、6ヶ月死亡と元々の住居に帰ったかどうかについて分析された

Ø 6ヶ月後に生存していた患者は歩行運動、トイレに行くこと、認識について分析された

Ø 6ヶ月後の予後についての患者と代理者の報告は同じように扱われた

Ø各々の予後について、医師と看護師の予測についての8つの分析(感度・特異度・C統計・陽性予測値・陰性予測値・陽性尤度比・陰性尤度比・オッズ比)は別々に計算された。

MethodsStatisticalAnalysis(統計分析)

Page 17: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Ø主要な結果は尤度比(LRs)とC統計で示した(感度と特異度の両方を兼ね備えており、予測の分布による影響が最小限)

Ø医師と看護師間の一致はkappaスコアを使って算出された

Ø医者と看護師の楽観的または悲観的予測の違いを評価するために、McNema検定が用いられた

Ø 6つの予後のそれぞれについての医師と看護師の区別精度は、C統計を使って比較された

MethodsStatisticalAnalysis(統計分析)

Page 18: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

①信頼性のある予測(Likertスコアで医療者によって4または5と評価されたものとして定義)を、C統計を用いて信頼性のない予測と比較した(医師と看護師で別々に実施)

②医師と看護師が一致し、両方の医療者が自信を持った予測について分析

③6ヶ月死亡についての医師と看護師の予測のLRを、患者のAPACHEIIIスコアを4つに分けて比較④利用可能な患者背景と診療情報データを用いて、病院死亡率および6ヶ月後の予後についてC統計を計算

<標的サンプル>

Ø感度と特異度が約75%と仮定し、その95%CIが20%を超えないような検出力が80%の確率で得られるように、症例数を300人とした

Methods四つのSecondaryAnalyses

Page 19: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsPatientandClinicianCharacteristics(患者と医療者の特徴)

参加資格のある340人の患者

303人の患者が参加することに同意した

Page 20: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsPatientandClinicianCharacteristics

((患者と医療者の特徴)

Ø患者の年齢の中央値は62歳Ø173人(57%)が男性Ø内科ICUは190(63%)、外科ICUは113(37%)

Ø重篤な病気になる前は、283人の患者(94%)が自宅に住み、243人(81%)は一人で10段登ることができ、267人(88%)は一人でトイレにいけ、249人(83%)の認知は正常だった

Ø299人(99%)で6ヶ月後の結果が確認された

Ø6ヶ月後に生存している169人の患者(57%)のうち、機能予後は87人(51%)の患者と82%の代理者によって確認された

Page 21: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsPatientandClinicianCharacteristics

(患者と医療者の特徴)

Ø41名の医師と128名の看護師が少なくとも1名の患者の予測に関わった(患者の47%はICU3日目に登録され、残りは4日目から6日目に登録された)

Øインタビューの時点で、医師の84%と看護師の90%が患者の未来の予後をすでに考えていると報告したが、それぞれ39%と31%しか患者または代理者と議論していなかった

Page 22: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsConfident,Concordant,andStratifiedPredictions(自信、一致、層別予測)

Page 23: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsConfident,Concordant,andStratifiedPredictions(自信、一致、層別予測)

Ø医師は6つの予測において41%から55%の予測で自信を持っていた(Likertスケールで4または5と評価)

Ø看護師は予測の44%から57%に自信があった

院内死亡

6ヶ月後元の住んでいる場所に帰れな

6ヶ月後10段登れない

6ヶ月後死亡

6ヶ月後トイレに行けない

6ヶ月後の異常認知

Page 24: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsOverallPredictions(総合予測)

Ø医師は6ヶ月死亡と6ヶ月後にトイレ歩行できない予測の陽性LR値が高い

Ø看護師は院内死亡の陽性LR値が高く、陰性LR値は6ヶ月後にトイレ歩行できない・10段登れないが低い値

Ø医師と看護師は、医師の予測が良好だった6ヶ月死亡を除いて、全ての予測で同等に正確だった

Page 25: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsOverallPredictions(総合予測)

Ø同じ患者の予後についての医師と看護師の予測の一致はfairからmoderate(Kスコアは0.32〜0,51の範囲)

ØMcNemarにおいて、医師は元の住居に戻る、トイレに行ける予測について、看護師よりも楽観的だった(看護師は悪い予測をする傾向にあり、医師は良い予測をする傾向があった)

Page 26: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsConfident,Concordant,andStratifiedPredictions(自信、一致、層別予測)

Ø 医師が自信のある予測をした時は自信がない時に比べ、6ヶ月死亡、元の住居へ戻れない、1人でトイレに行けない、10段までの歩行ができない予測が有意に正確だった

Ø 看護師は、6ヶ月死亡と、元の住居へ戻れない予測について、自信のない予測よりも有意に正確だった

Page 27: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

ResultsConfident,Concordant,andStratifiedPredictions(自信、一致、層別予測)

医師と看護師は予測全体の22%〜33%で一致かつ自信を持っており、6ヶ月の死亡(陽性LR:40.35、陰性LR:0.18)と6ヶ月後トイレに行けない(陽性LR:15.75、陰性LR:0.11)ことについての自信のある予測は特に正確だった。

Page 28: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

DiscussionØ多様な重症患者の中で、生存しているかどうか、6ヶ月後に好ましくない機能予後を経験するかどうかを予測するICUの医師と看護師の能力は、予測される予後と、彼らの予測への自信と一致によって変化した

Øこれらの医療者の予測は、臨床で一般的に使用される診断検査よりも将来の予後予測の確率を変えるのに十分であり、APACHEスコアや他の臨床変数を用いて得られた予測モデルの識別精度を著しく改善した

本研究のいくつかの特定の所見は、ICUの医療者が予後判定の能力と限界を理解するのに役立つかもしれない

Page 29: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Discussion① 医師の院内死亡率、6ヶ月死亡率、6ヶ月後に元々住んでいる場所に戻る、6ヶ月後の認知と機能的予後の予測はすべて偶然より正確だったが、患者全体ではあまり良くなかった

Ø看護師においても認知の予測以外は同様の結果が見られた

Øベットサイドでこのような予測を伝える時は、医療者は不確実であることを認識することが重要である

Øほとんどの家族はICUの医療者からの予後予測を望んでいて、不確実性が避けられないことを認識している

(AmJRespirCritCareMed.2009;179(1):48-53.)

Page 30: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Discussion②ICUの医師と看護師が自信のある予測をするのはICU患者の約半分であり、これらの予測精度はかなり高そうに思われる

Ø医師の自信のある予測についてと同じくらい高い陽性LRsは、ほとんどの臨床診断テストには見られない

(Jgen InternMed.2002;17(8):646-649.)

Ø医師と看護師の予測が一致してかつ両方の医療者の予測に自信があった時に、精度が最大限となった

Ø ICUの医師は、患者や代理者に予後の評価をどのように伝えるかを決定するときに、自分自身の自信と看護師との予測の一致について考慮する必要がある

Page 31: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Discussion③医療者の予測精度は6つの予後で異なり、6ヶ月後の死亡率と6ヶ月後1人でトイレに行けるかの予測で最も正確で、認知能の予測がもっとも不正確だった

Øそのような結果は、死ぬと予測した患者の生命維持の中止を医療者がより多く推奨するという自己充足的予言(self-fulfillingprophecy)に起因しているかもしれない

Øどちらにしろ、患者や家族にとって長期生存するかどうかは重要であり、患者や家族との話し合いにおいて6ヶ月後の死亡率と機能予後に焦点を合わせることは合理的かもしれない

Page 32: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Limitations① 医療者の予後を区別する能力に焦点を当てており(discrimination)、予測のcalibrationは評価していない。今後は予測の確率を評価するような研究が期待される

② このデータはICU入室後3日〜6日に行われた予測のみ適用されており、医療者が自信を持って患者の予測ができる状態になる前の可能性がある

③ ほとんどの予後が電話を通じて患者や代理者に確認された。また、患者や代理者はこれらの予後評価に関して異なる応答をした可能性がある

Page 33: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

Conclusions

Ø重症患者の6ヶ月の予後を予測するICUの医師と看護師の区別する精度は、予測される予後と予測因子への自信によって変化した

Ø医療者が長期予後の予後予測をどのように導くかを、よりよく理解するためには、更なる研究が必要である

Page 34: ICU入室6ヶ月後の生存と機能予後 についての医師と看護師の予 … · (Soc Sci Med. 1997;44(3):301-315) Ø 予後予測を提供することは共通の意思決定

私見

Ø医師の予測は自信があれば確率的には正確だったが、患者の予後を予測していても、実際、患者本人や家族に伝えるとなると躊躇してしまうのではないかと感じた

Ø予測が正確だとわかっていても介入が難しいなと感じた

Ø ICUでは、急変時の対応に目が行きがちだが、生命は維持出来ても、QOLが維持されていなければ、本当の意味で患者予後には繋がらないのかもしれないと感じた