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ICUの適正な人員配置は? 慈恵ICU勉強会 2017/9/5 柏病院 麻酔科 鹿瀬陽一

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ICUの適正な人員配置は?

慈恵ICU勉強会 2017/9/5柏病院 麻酔科

鹿瀬陽一

最近の流れ

『Leapfrog Initiative』アメリカの保険会社の推奨週7日間の日勤帯に集中治療専門医がICUで専属に仕事をすること。集中治療医がICU患者の治療にあたること。HospitalsthatfullymeetLeapfrog'sstandardonICUPhysicianStaffinghaveintensivistspresent atleasteight hoursaday,seven daysperweek.WhennotpresentintheICU,theIntensivistrespondstopageswithinfive minutesorhasanotherphysician,physician’sassistant,nursepractitioner,ortrainednurse reachthepatientwithinfive minutes.

LeapfrogGroup

とは言っても。。。。

• The Leapfrog Group’s 2015 Hospital Survey results indicate that 44% of the responding hospitals fully meet The Leapfrog Group’s IPS Standard.

• アメリカでも集中治療をきちんとできているところは少ない。

ICUAdmission,Discharge,andTriageGuidelines:AFrameworktoEnhanceClinicalOperations,

DevelopmentofInstitutionalPolicies,andFurtherResearch.

Crit Care Med. 2016 Aug;44(8):1553-602

• 長尾先生の発表から借用

CCMのICU入退室ガイドライン集中治療に携わるスタッフ

l “high-intensity ICU model”① “Closed ICU” :集中治療医が主治医になる。

②各科が主治医になるが、必ず集中治療医が診療に携わる。

l “low-intensity ICU model”① “Open ICU”:各科が主治医であり、集中治療医は依頼を受けたときのみ診療に携わ

る。②集中治療医がいない。

l 2013年のシステマティックレビューおよびメタ解析では、high-intensity ICU modelの方が、

low-intensity ICU modelに比較して院内死亡率およびICU死亡率が少なかった。(院内死亡率:pooled RR 0.83, [95%CI, 0.70-0.99])(ICU死亡率:pooled RR 0.81, [95%CI, 0.68-0.96])

l High-intensity ICU modelではよりevidence-basedの治療を受けている傾向がある。(DVT予防、潰瘍予防、自発呼吸トライアルなど。)

Grade 1B集中治療医がICU管理を行う “high-intensity ICU model” が望ましい。

Crit Care Med 2013; 41:2253–2274

Qual Saf Health Care 2007; 16:329–333

長尾先生の発表から借用

Do Intensivist Staffing Patterns Influence HospitalMortality Following ICU Admission? A Systematic

Review and Meta-AnalysesCrit Care Med 2013; 41:2253–2274

• High intensity ICU vs Low intensity ICU– 院内死亡率

• pooled RR 0.83, [95%CI, 0.70-0.99]– ICU死亡率

• pooled RR 0.81, [95%CI, 0.68-0.96]

– 院内滞在日数• -0.17 d, 95% CI( –0.31 to –0.03 d)

– ICU滞在日数• –0.38 d, 95% CI(–0.55 to –0.20d)

• ICUに集中治療医がいる体制は院内・ICU死亡率を低下させ、滞在日数の短縮にもつながる。

集中治療医の配置が必要だとすると

• では、何人の集中治療医がいればいいのか?

• どんな勤務形態がいいのか?

Intensivist/Patient Ratios in Closed ICUs: A Statement From the Society ofCritical Care Medicine Taskforce on ICU Staffing

Crit CareMed2013;41:638–645

Intensivist-to-patient ratios in ICUs: is there a number?Curr Opin Anesthesiol 2015,28:172–179

提言

1. 医師と患者数に常に把握する

2. 症例の重症度を把握する

3. 直接患者管理でない業務への対応も考慮

4. 病院はICUスタッフの業務量を把握すること5. スタッフの離職、医療の質の低下はオバーワークの可能性がある

6. Telemedicineの導入、intensivist以外の医療職のICUへの導入がintensivistの過労働を和らげる

7. 教育施設では、教育にも気を配る。教育への労力も考慮する

8. Medical ICUでは、医師:病床数を1:14未満にしたほうが良いかもしれない

Intensivist-to-Bed Ratio*Association With Outcomes in the Medical ICU

CHEST2005;128:567–572

• 段階的にintensivistとmedical ICU病床数が増加した病院での研究– Intensivistは常にチームにいる形態

• Tertiary medical center in Rochester, MN

• 以下の4時期 合計n=24921. intensivist-to-bed ratio, 1:15 医師:患者 1:132. intensivist-to-bed ratio, 1:7.5 医師:患者 1:6.13. intensivist-to-bed ratio, 1: 9.5 医師:患者 1:6.94. intensivist-to-bed ratio, 1:12 医師:患者 1:7.7

• 死亡率に変化なし (ICU死亡率11.9%、院内死亡率19.3%)• ICU滞在日数はintensivist-to-bed ratioが減少とともに有意に減少した。• 注意点は intensivistと患者の比は1:8未満のほうがいいということ。

明確に医師対患者比は規定されたものはないが、1:15は参考値です。

では、Intensivistの勤務形態はどうするべきか?

• A Randomized Trial of Nighttime Physician Staffing in an Intensive Care Unit N Engl J Med 2013;368:2201-9.– High intensity、medical ICUであるという条件– Advanced practitioner 日勤帯に1名

• Do Intensivist Staffing Patterns Influence HospitalMortality Following ICU Admission? A SystematicReview and Meta-AnalysesCrit Care Med 2013; 41:2253–2274– High intensity と low intensity– ICUの形態はさまざま

集中治療に携わるスタッフ

l 集中治療医が24時間ICU管理を行うことで、治療の一貫性が保たれる、スタッフや患者家族の満足度が向上する、合併症の頻度を下げる、在院日数を減少させるといった利益はあるも

のの、死亡率への寄与についてはエビデンスが乏しい。

l 2013年のシステマティックレビューおよびメタ解析では、集中治療医による24時間ICU管理は、院内死亡率およびICU死亡率の双方において改善はみられなかった。(院内死亡率:pooled RR 0.97, [95%CI, 0.89-1.1])(ICU死亡率:pooled RR 0.88, [95%CI, 0.70-1.1])

l Kerlinらのランダム化試験では、日中は集中治療医がICU管理を行い、夜間は集中治療医が診療に当たる場合と、日中の集

中治療医が電話コンサルトを行う場合とで比較したところ、ICU滞在日数、在院日数、院内

死亡率、再入院のすべてにおいて差がなかった。

Grade 1AHigh-intensity modelのICUでは、集中治療医が24時間/7日間診療を行う必要はない。

Lancet 2000; 356:735–736, Crit Care Med 2008; 36:36–44, N Engl J Med 2012;366:2093–2101

Crit Care Med 2013; 41:2253–2274

N Engl J Med 2013;368:2201–2209

An Official American Thoracic Society Systematic Review: The Effect of Nighttime Intensivist Staffing on Mortality and Length of Stay among

Intensive Care Unit PatientsAm J Respir Crit Care Med Vol 195, Iss 3, pp 383–393, Feb 1, 2017

• Meta-Analysisで院内死亡率を検討した。– Night time intensivist vs no nighttime intensivist

• odds ratio, 0.99; (95% CI 0.75–1.29)

Subgroup analysis• 日中のintensivistの勤務が low-intensityの場合

– Night time intensivist vs no nighttime intensivist• odds ratio, 0.94; (95% CI 0.77–1.16)

• Medical ICU– Night time intensivist vs no nighttime intensivist

• odds ratio, 0.94; (95% CI 0.73–1.20)

• Surgical ICU– Night time intensivist vs no nighttime intensivist

• odds ratio, 0.98; (95% CI 0.81–1.19)

• いずれにしても、RCTではなく、観察研究の解析の結果ですが、low-intensityでも夜のintensivistがいらない可能性もある。

Postoperative Complications and OutcomesAssociated With a Transition to 24/7 Intensivist

Management of Cardiac Surgery PatientsCrit Care Med 2017;45:993–1000

• Before-and-after propensity matched cohort study, University of Alberta Hospital, Canadaの心臓外科術後ICUで管理した患者 n=3018

• 心臓外科術後のICUで外科レジデント当直からintensivistが夜間も管理する体制に変更した(看護師:患者=1:1)

• Major complications resident vs intensivist– 26.3% vs19.3% odds ratio, 0.73; 95% CI, 0.36–0.85; p < 0.01

• Mean mechanical ventilation time, resident vs intensivist– 25.2 vs 19.4 hr; p < 0.01

• Cardiac surgical ICU readmissions resident vs intensivist – 5.3% vs 1.6%; odds ratio,0.31;95% CI, 0.19–0.48; p < 0.01

• 死亡率– ICU死亡率 1.9% vs 2.5% odds ratio,1.59;95% CI, 0.96–2.64; p=0.07– 院内死亡率 3.1% vs 3.6% odds ratio,1.13;95% CI, 0.886–1.97; p=0.18

• Surgical ICUでも死亡率は変化しない、しかし、心臓などの専門性が要求されるICUでは合併症が増える可能性はある。

これらの結果から起こる疑問?High intensiveの前提で

• ICUに夜もintensivistがいなくても患者の死亡率が変わらない理由は?

• ICU医師は本当に昼だけいればいいのか?

– 誰かがintensivistの肩代わりをしている?

– あるいは、何かいいシステムが存在しているのでは?

看護師の質が違うのか?

ICU看護師の構成COMPETENCE AND CERTIFICATION OF REGISTERED NURSES

AND SAFETY OF PATIENTS IN INTENSIVE CARE UNITSAmericanJournalofCriticalCare.2009;18:106-116

看護師平均経験年数 12.4年学士(大卒の割合) 44.3%何らかの認定看護師 19.8%THPPD(1日の勤務時間) 15.8hRNの役割をしている看護職員 0.9%

以下は1000患者病日当たりの件数

MAE(誤薬) 4.9転落 1.1皮膚トラブル 4.7CV感染 2.4血流感染 1.7尿路感染 2.3

29病院の成人を対象とした48UnitのICU看護師

認定看護師などの割合が高く、基本的に看護師のレベルは高い。

高学歴、経験豊富、専門性を身に着けている看護師が多い

それでは、理想的な患者と看護師の比はどのぐらいか?

Nurse staffing and patient outcomes in critical care: A concise review

Daleen Aragon Penoyer, PhD, RN, CCRP, FCCMCrit Care Med 2010 Vol. 38, No. 7

• 看護スタッフの減少は仕事量の増加につながる。–感染–死亡率–術後合併症–事故抜管、再挿管

–などのイベントの増加をもたらす。–では看護師と患者の適切な比率は?

Impact of Critical Care Nursing on 30-Day Mortalityof Mechanically Ventilated Older Adults

Crit Care Med 2014; 42:1089–1095

• ICUに入室した高齢重症患者 n=55,198 北米での研究– カリフォルニア、フロリダ、ニュージャージー、ペンシルバニアの303病院

– ICUにて人工呼吸管理となった65歳以上– メディケア(アメリカの高齢者および障害者向け公的医療保険)加入者

• ICU看護師(registered nurse)の配置、経験、仕事量が、入院後30日目の患者死亡率に及ぼす影響を調査した。

• 評価項目– 30日目の死亡率

• 平均のICUベッド数は39.1

• Intensivistは32.7%の病院、36.6%は不在、残りはデータなし

• 半分が都市部の病院

• ICU看護師数は平均10.6人• 平均の患者:ICU看護師=1:2.15 範囲は 患者:ICU看護師 1:1.29-3.8• 半分が大卒(学士の資格)

• 労働環境は、Practice Environment Scale-Nursingというスコアで看護師が自己評価– 人員配置、病院運営への参画、看護師の医療の質を向上させる取り組み、看護師と医師の関係、看護師の管理職の能力・リーダシップの妥当性・サポート能力が31項目をICU看護師に評価させる。

– 今回は人員配置の項目は、実際の人数で評価したのでこの評価では使用しなかった。

– Better、mixed、worseは点数を四分位範囲で分類。75パーセンタイル以上がbetter、25-50がmixed、それ以下がworse.

• 患者の性別、ICU専門医の有無、入室経路な基礎疾患などで調整後も看護師の人員配置数および看護師の経験年数は、患者の30日時点での死亡率に影響しなかった。

• 看護師が大学卒であると、死亡率が低下する。(10%大卒が増えるごとに0.98のオッズつまり2%死亡率が低下する。) 25%が大卒と75%が大卒の病院を比較すると2%の5倍、つまり10%死亡率が低くなる可能性がある。

• 看護師にとっての労働環境が良い状況の病院では死亡率が低くなった。

Nurse staffing, medical staffing and mortality in Intensive Care: An observational study

InternationalJournalofNursingStudies51(2014)781–794

• ICU入室患者 n=38,168 UKでの研究– The intensive Care National Audit & Research Centre(ICNARC)に登録されたICU入室患者

– 65のICU– 1998年3月の前後6か月の期間のデータ

• 仮説を4個立てて検討した– H1 看護師の増加が患者死亡率を低下させる。– H2 ICU専門医の増加が死亡率を低下させる。– H3 補助スタッフの存在が死亡率の低下につながる– H4 ICUの仕事量が充足すれば、患者はより生存する。

• 赤 ICUベッド1床当たりのICU看護師数 平均4.97±1.29• 青 ICUベッド1床当たりICU専門医が半日いる数 平均1.04±0.75

縦軸1ベッド当たりのICU専門医ICU看護師

横軸は各々のICU

4

2

0

6

• H1 看護師の増加が患者死亡率を低下させる。– 1床あたりのICU看護師の増加

• OR 0.90 95%CI [0.83-0.97]• 院内死亡率低下 OK

• H2 ICU専門医の増加が死亡率を低下させる。– 1床あたりのICU専門医の増加

• OR 0.85 95%CI [0.76-0.95]• 院内死亡率低下 OK

• H3 補助スタッフの存在が死亡率の低下につながる– OR 1.00 95%CI [0.97-1.03]– 補助スタッフの存在は院内死亡率の低下に寄与しない。

– H4 ICUの仕事量が充足すれば、患者はより生存する• ICU滞在時間の増加 OR 1.53 95%CI [1.11-2.12]• ICUベッドの占有率の増加 OR 1.23 95%CI [1.03-1.48]• 入室の増加 OR 5.17 95%CI [1.50-17.8]• 上記の項目を仕事量の増加と考えると、死亡オッズの増加につながっており、仕事が減少すれば、より患者が生存する可能性がある。

• ICU死亡率16.8% 院内死亡率28.3%

ICU看護師の配置• 大学卒の看護師を集めて、労働環境が良いところでは、重症な患者の死亡率が低下する可能性が高い。

• ICU看護師の充足、ICU専門医の充足はICU患者の死亡率を低下させる。しかし、ICUでの仕事量の増加はICU患者の死亡率の増加につながる。

• もう少し、具体的にICU看護師の配置を評価する方法はないのか?

• 毎日の勤務看護師数と在室患者数が実際の集中治療の運営では気になることである。患者と看護師の比が1:1でも忙しいことなどいつもある。しかも、患者は様々な重症度のものが混在している。

重症度スコアとベッドサイド看護師の数で重症度を評価

Are high nurse workload/staffing ratios associated with decreased survival in critically ill patients? A cohort study

Anna Lee1, Yip Sing Leo Cheung2, Gavin Matthew Joynt1, Czarina Chi Hung Leung1, Wai-Tat Wong1 and Charles David Gomersall1*

Ann. Intensive Care (2017) 7:46

• 香港• 看護師以外の専門コメディカルはいない 日本と近い状況のmixed ICU

• 評価項目– 重症度スコアの合計をベッドサイドの看護師の数で割る。– Therapeutic intervention Scoring System-76

• 一定以上の値で、生存退院が減る。 (院内死亡率11%)– 看護師の労働労力がTISS<44だと95%の患者は退院できた。– TISS>52だと死亡する可能性が高く。– 1日でもTISS52をこえると odds ratio 0.35 95%CI 0.16-0.79

看護必要度をさらに細かくしたようなもの

集中治療に携わるスタッフ

l ChoとYunの報告では、ICUおよび一般病棟の看護師数の増員により、院内死亡率および30日死亡率が下がった。

l Needlemanらは、不適切な看護師の配置と院内死亡率増加との相関を示した。

l 政府はすでに、ICUや熱傷センターなどの重症患者の診療を行う場所では、看護師-患者比を1:2と明確に定めているが、ICUの看護師-患者比に対する十分なエビデンスはない。

Grade 2D看護資源、患者ニーズ、患者の重症度を考慮して、看護資源をできるたけ効率的に利用し、看護師-患者比を決める。

Int J Nurs Stud 2009; 46:1092–1101

N Engl J Med 2011; 364:1037–1045

Centers for Medicare & Medicaid Services: The Provider Reimbursement Manual - Part 1.Baltimore, MD, Centers for Medicare & Medicaid Services, 2013

長尾先生の発表から借用

適正な看護師数をどう評価するか?

• 患者:看護師=1:2よりも重症度での運営を目指す。

• ICUに入室している患者の重症度を評価して、全合計点数を、ベッドサイドで勤務している看護師の数で割って、ICU全体の当日の重症度に合わせて、看護師の勤務数が調整できるといいかもしれない。

• 看護師が労働力が不足していると認識しない環境を作る。

• 雰囲気のよい職場環境が必要• 極論 できるだけ、大学卒の看護師をそろえる。

他の形態の看護師が存在している

Nurse practitionerPhysician assistant

Crit CareMed2008;36:2888–2897

• 米国ではAcute care nurse practitionerの68%、Physician assistantの24%がICUで働いている。

NPの診療範囲

• 薬の処方• A-line挿入• 縫合• 胸部ドレーン挿入

Nurse Practitioner/Physician Assistant Staffing and Critical Care Mortality

CHEST 2014; 146(6): 1566 - 1573• 22の病院の29の成人ICU• 評価項目 NP・PAの参画が院内死亡率及ぼす影響• 72.4%のICUでPA/NAが治療に参加していた。

NP・PAの参画は、全患者、人工呼吸器装着患者、重症患者、low-intensity ICU、研修医のいる施設の院内死亡率に影響を与えなかった。逆に医師のいないことを補完している可能性もある

• UPMC– NP/PAは医師の仕事を肩代わりしてくれるadvanced practitionerとされています。

– 60名がICUに在籍していた。集中治療部に所属

– NP/PAは、ICU当直業務も許されており、夜間はフェローの代わりにICU当直をしています。

– CVなどの確保も許されています。

– フェローと比較しても、当直の対応能力が劣らないという報告がされている。

– 給料が安くコスト削減のため、夜間の当直の数名はNP/PAにすることが決められていました。

医師でも集中治療医を補完してくれる存在がいないのか?

Hospitalist

• 病院勤務専門の医師• 日本にはあまりいない。

• 現在では全米で約5万人のホスピタリストが働いている。

• 病院に常駐する総合診療医、「ホスピタリスト」です。ホスピタリストは、プライマリ・ケア医同様、特定の診療科に属することなく、あらゆる疾患を総合的にみるジェネラリスト

• ホスピタリストは集中治療医にちかい存在。

Hospitalists and Intensivists in the Medical ICU: A ProspectiveObservational Study Comparing Mortality and Length of Stay

Between Two Staffing ModelsJournalofHospitalMedicine2012;7:183–189

• 患者は内科系疾患。MICUに入室した1356人– MICUは56床

• 人工呼吸器装着の有無で、hospitalistあるいはintensivistが担当– 人工呼吸器装着患者が必要な患者はintensivist

• Intensivistとfellow、resident

– それ以外の患者は、ICUに専従のHospitalistがICU管理を担当した。• Hospitalistは内科専門医で、集中治療専門医にコンサルトをすることができる。

• 院内死亡率と入院期間を評価した。

• Hospitalist、Intensivistのどちらが管理しても院内死亡率(15.7%)、入院期間に差がなかった。

• intensivistのほうが重症な患者を対象にしていた。(調整後は差がないが)

• HospitalistもIntensivistにコンサルトをできる状況であった。• Intensvistが不足している現状では、専属のhospitalistが管理しても内科系のMICU患者の死亡率に差がない。

• Intensivistにコンサルトをできる状況であれば、内科専門医がICU専属医となっても、死亡率は変わらない。(実際にはHospitalistは軽症な患者が割り当てられるので、重症をIntensivistに任せる効率な運用が可能である。

Nephrology nurse• 専門看護師• 仕事内容

– 腎機能障害患者の管理・教育– 透析一般

• The average dialysis nurse salary is $70,636 per year. The lowest 10 percent earn about $52,158 per year and the highest 10 percent earn an average of $90,459 per year.

ICU運用をうまくするいいシステムは?

ICU運用の構成について考慮する

The Association Between Daytime Intensivist Physician Staffing and Mortality in the Context of Other ICU Organizational Practices: A Multicenter Cohort Study

Crit CareMed2015;43:2275–2282

• Acute Physiology and Chronic Health Evaluation(APACHE) clinical information systemに蓄積された米国の49のICUデータを検討

• N=65,752• 期間2009-2010年

1. 日勤のみintensivistがいるhigh intensity ICU2. 多職種連携のもとでのICUラウンド3. 人工呼吸器のウィーニング・プロトコルの存在

• 上記3個の指標が院内死亡率に及ぼす影響を調査した。

• 55%のICUは日勤帯のみhigh intensity ICU• 45%のICUは日勤帯がlow intensity ICU• 85%のICUは多職種連携のもとでのICUラウンド• 31%のICUに人工呼吸器のウィーニング・プロトコルが存在した。

• 日勤帯のHigh intensity ICU、多職種連携ラウンド、呼吸器プロトコルのどれも死亡率の低下に関与しなかった。(院内死亡率は13%)

• しかし、夜勤帯に集中治療医がいない場合、日勤帯にラウンドして、プロトコルがあると院内死亡率が改善する可能性がある。

病院によっては、ラウンドと呼吸器のプロトコルを作成すると治療成績が改善するかも

Multidisciplinary Critical Care and Intensivist Staffing: Results of a Statewide Survey and Association With Mortality

JournalofIntensiveCareMedicine2016,Vol.31(5)325-332

• California Hospital Assessment and Reporting Taskforce (CHART)のデータベースから181病院の216ICUのICU患者 n=60,330

• 期間 2010年11月から2011年6月

1. ICUの管理の形態– medical patient 48,445(80%)– Surgical patient 11,885(20%)

2. Multidisciplinary team– 74%のICUに多職種連携チームが存在

3. High-intensity staffing – 37% medical ICU、22% surgical ICU

• ICUの管理形態、Multidisciplinary team、High-intensity staffingが院内死亡率に及ぼす影響

• Medical patient院内死亡率13.5%、surgical patient 5.7%• High-intensityと多職種の連携チームラウンドの組み合わせは予後を改善しない。

• 多職種連携チームラウンドが術後ICU患者の予後を改善する可能性がある。

Intensivistが常にいなくてもICUが効率的に運用されている理由

• 集中治療医の仕事を補完する役割の職種– 医師 ホスピタリスト– Advanced practitioner

• 出身はRNだが仕事内容は医師の業務補完• NP/AP • Nephrology nurse

– Respiratory therapist

– 看護師 正看護師の構成が違う• 認定看護師が多い• 専門看護師

ICUの効率運用のための取組• 多職種連携ラウンド

• 治療プロトコールの拡充

• 患者移送– 今回は触れていないが、重症患者を適材適所に集約する• 例 ECMO センター

• telemedicine

例えば 海外のマンパワーがあるところ

との比較をしてみました。

• ピッツバーグ– UPMCの集中治療部の状況

– 11種類のICUを90人のスタッフと40人のフェローで運営しています。

– 東京の範囲がピッツバーグと同等です。– 慈恵も8名のスタッフと3名ぐらいのフェローでどこまで4病院約50床のICUを管理できるようになるでしょうか?

QUIZ

•729床の病院

–ICUのベッド数は?

• 集中治療専門医– 90人のfaculty

• 11種類のICUを管理

• Fellowは20名×2

• 専属のMET(旗艦病院)– Fellow1名とFaculty1名専属

• 事務員CCM専属– 30名以上

• 729床の25%(旗艦病院)– 185床が集中治療室