(iso14001マネジメントシステム における法順守...
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環境セミナー
環境法規制の対応について (ISO14001マネジメントシステム
における法順守対応)
(株)日本環境認証機構
技 術 部
継続的改善
マネジメント レビュー
点 検
環境方針
計 画
実施及び運用
Plan
Do
Check
Act
Plan:組織の環境方針に沿った結果を出すために必要な目的及びプロセスを設定する。
Do: それらのプロセスを実施する。
Check:方針,目的,目標,法的及びその他の要求事項に照らしてプロセスを監視し,
測定し,その結果を報告する。
Act:環境マネジメントシステムのパフォーマンスを継続的に改善するための処置をとる。
1.1 P, D, C,A とは
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1.P,D,C,Aへの対応
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1.2 法令順守におけるPDCA
方 針*環境方針の明確化
・トップが「法令を守るとの意志」の表明
計 画*環境管理の組織・役割等の明確化
・環境管理組織・体制構築
・環境管理に必要な人員、予算の確保
・本社、工場長、環境管理部門の役割の明確化
・環境管理業務の基準・手順の策定
・工場内の報告連絡体系・指揮命令体系の明確化 等
PLAN
DO
CHECK
ACT
実施・運用
点 検
マネジメントレビュー
*方針の徹底・遂行・本社内・工場内での環境方針の浸透・人員の適正配置、設備投資・工場の通常の環境管理業務における統括者ー管理者間の 活発なコミュニケーション*予防的取り組み・工場現場での「公害・汚染発生のシグナル」の自立的検地・定期的なコンプライアンス教育の実施*事後的取り組み・環境管理上発生した異常事態・不適切事実に対する迅速な事実把握、 応急対応、原因究明、是正措置*関係者との連携・地方自治体及び地域住民との日頃からの密接なコミュニケーション等
・失敗事例の分析や訓練を通じた組織・体制の有効性確認・経営者や本社による工場現場モニタリング(報告、監査)等
・環境方針、組織・体制の改善策検討
・公害防止取組状況の情報 発信(環境報告書等)
法的要求事項を明確にし
どのように適用するかを決める
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規格文;組織は,次の事項にかかわる手順を確立し, 実施し, 維持すること。
a) 組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同
意するその他の要求事項を特定し, 参照する。
b) これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決
定する。
組織は, その環境マネジメントシステムを確立し, 実施し, 維持す
るうえで, これらの適用可能な法的要求事項及びその組織が同意する
その他の要求事項を確実に考慮に入れること。
1.3 ISO14001 4.3.2 法的及びその他の要求事項
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1.4 環境側面と法規制の関連
1) 事業活動に投入されるもの (Input)との関連;
エネルギー,化学物質(材料),部品 , 商品,サービス などに
関する法規制
2) 事業活動からの意図しない Out put との関連:
排水,排ガス,騒音,振動,悪臭,廃棄物,放射線,電磁波
などに関する法規制
3) 事業活動の意図したOut put との関連;
製品.商品,サービスなどに関する法規制
4) 活動そのものとの関連;
施設,装置,作業,立地などに関する法規制
1.5 環境関連法要求事項の整理
*法令が適用されるか否かの検討
物質の種類 施設とその処理能力 地域
*要求事項整理項目の例
① 許認可 ・ 届出,報告
② 規制基準
国 地方条例の上乗せ・横だし基準
③ 測定,記録
④ 除害施設の設置
⑤ 危険・事故予防,事故時の措置
⑥保管・取扱い場所,運搬等に関する基準
⑦ 必要な資格
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↑
規制値
規 制 項 目
国の法令
上乗せ
横だし
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2.1 大防法への対応ポイント(構築・監査)①組織の業種は、組織整備法の指定業種に該当するか
②大防法対象のばい煙、特定物質、揮発性有機化合物及び粉じん等の
発生施設を保有しているか
③それらの発生施設は、法規制のどの区分に該当するか
④それらの発生施設は、施設能力・規模等からみて、大防法の管理対象か
⑤又、組織整備法の指定業種の場合、組織整備法の管理対象か
⑥法規制の対象の場合、組織の゛適用法令゛として登録されているか
⑦それらの特定施設の運転管理、届出の管理手順はどのように決めら
れているか
⑧それらの特定施設及び管理責任者は、法に従って届出がされているか
⑨その特定施設から排出されるのばい煙、特定物質、揮発性有機化合物
及び粉じん等の排出量及び特性値はいくらか
⑩それらの排出量と特性値はいつ測定されたか
⑪測定、届出の状況は、だれが、いつ確認するように決められているか
⑫その確認は、定期的に行われているか
2.法規制対応の具体例
環境セミナー
2.2 自動車NOx・PM法への対応ポイント(構築・監査)
①事業場の所在地は、自動車NOx・PM法の指定地域に該当するか
②その事業場では、自動車NOx・PM法対象の指定自動車又は特定自動車
を使用しているか
③それらの自動車は、法規制の指定、又は特定自動車のどの区分に該当
するか
④組織の゛適用法令゛として自動車NOx・PM法が登録されているか
⑤それらの指定、又は特定自動車の管理、届出の管理手順はどのように
決められているか
⑥特定自動車の場合、NOxの排出抑制のために必要な実施計画は、法に
従って届出がされているか
⑦その実施状況は、どうなっているか
⑧その実施状況は、毎年、報告されているか
⑨実施計画の届出の状況は、だれが、いつ確認するように決められて
いるか
⑩その確認は、定期的に行われているか
環境セミナー
2.3 水濁法への対応ポイント(構築・監査)
①組織の業種は、組織整備法の指定業種に該当するか
②事業場の所在地は、指定水域或いは指定地域に該当するか
③水濁法対象の特定施設、又は貯油施設を保有しているか
④それらの特定施設は、施設能力・規模等からみて、水濁法の管理対象か
⑤又、組織整備法の指定業種の場合、組織整備法の管理対象か
⑥法規制の対象の場合、組織の゛適用法令゛として登録されているか
⑦それらの特定施設の運転管理、届出の管理手順はどのように決められて
いるか
⑧それらの特定施設及び管理責任者は、法に従って届出がされているか
⑨事業場から公共用水域に排出される排出水(雨水排水を含む)の排出量
及び特性値はいくらか
⑩それらの排出量と特性値はいつ測定されたか
⑪測定、届出の状況は、だれが、いつ確認するように決められているか
⑫その確認は、定期的に行われているか
環境セミナー
2.4 土壌汚染対策法への対応ポイント(構築・監査)
①事業場では、水濁法対象の特定施設を保有している(或いは保有して
いた)か
②その特定施設では、水濁法で規制する有害物質を使用している(或いは
使用していた)か
③法規制の有害物質を使用している(或いは使用していた)場合、組織の
゛適用法令゛として登録されているか
④その特定施設の使用が廃止される場合、又は事業場の操業が廃止され
る場合の、土壌の汚染調査及び届出の手順はあるか
⑤特定施設の廃止、又は事業場の操業の廃止の場合、指定調査機関に
調査を依頼し、知事に届出ているか。或いは、事業場が引続き使用
される場合、届出を行い、知事の調査猶予の確認を得ているか
⑥この届出の有無は、だれが、いつ確認するように決められているか
⑦その確認は、定期的に行われているか
環境セミナー
2.5 廃掃法への対応ポイント(構築・監査)
①事業場から廃棄される廃棄物、或いは廃棄物処理施設はあるか
②廃棄物の種類は、法規制のどの種類に該当するか
③廃棄物の排出量は、それぞれ種類ごとにいくらか
④廃棄物の処理施設は、施設能力・規模等からみて、廃掃法の管理対象か
⑤組織の゛適用法令゛として登録されているか
⑥廃棄物の運搬・処理の委託契約書はあるか
⑦廃棄物の運搬・処理の委託先は、運搬・処理を実施するそれぞれの所在
地の自治体の許可を得ているか
⑧産業廃棄物を排出する場合、マニフェスト伝票の管理はされているか
⑨産業廃棄物の量は、多量排出事業者に該当するか
⑩多量排出事業者の場合、処理計画は提出されているか
⑪多量排出事業者の場合、処理状況はいつ届出されたか
⑫廃棄物の保管場所は、法で定める管理がされているか
⑬廃棄物及び処理施設の管理、届出の手順はどのように決められているか
⑭管理、届出の状況は、だれが、いつ確認するように決められているか
⑮その確認は、定期的に行われているか
環境セミナー
2.6 PRTR法への対応ポイント(構築・監査)
①組織の業種は、指定23業種に該当するか
②PRTR法対象の化学物質を取り扱っているか
③それらの化学物質は、法規制のどの種類に該当するか
④それらの化学物質の年間使用量はどのくらいか
⑤その化学物質は、法規制の管理対象か
⑥法規制の対象の場合、組織の゛適用法令゛として登録されて
いるか
⑦それらの化学物質の保管管理、届出の管理の手順はどのように
決められているか
⑧その種類が、特定第1種、或いは第1種指定化学物質の場合
それぞれの排出量及び移動量はいくらか
⑨それぞれの排出量と移動量はいつ届出がされたか
⑩届出の状況は、だれが、いつ確認するように決められているか
⑪その確認は、定期的に行われているか
環境セおミナー
3.1 事 例
A製鋼所 M製鉄所(兵庫県)
基準を超す窒素酸化物などを01年~05年まで162時間排出。2112時間分、
測定値を基準値内に改ざんして県と市に報告。改ざんは29年前から。
同社N製鉄所(神戸市)でも同様の改ざん。
Bスチール O製鉄所(千葉市)
基準を超すシアン化合物や強アルカリの排水を01年~04年までに1109回排出。
測定値を基準値内に改ざんして県と市に報告。千葉海上保安部が水質汚濁
防止法違反で摘発。
05年10月、元部長らが罰金20万~30万円の略式命令
C電工 P事業所(千葉市)
CODなどが基準を超えたまま04年に58回、排出。測定値を基準値内に改ざんし
て県と市に報告。3年の記録保管義務も守らずに1年ごとに廃棄。千葉県警が水
質汚濁防止法違反で摘発し、06年8月、元総務課長補佐に罰金20万円の略式
命令。
出所:朝日新聞06-11-29
3. 最近の主な環境不祥事
環境セおミナー
Dサッシ Q工場(千葉市)
04年4月~05年3月に排水中のCODなどの測定をせずに放置。02、03年度は測
定回数を水増しして、県と市に報告。
E石油 R製油所(愛知県)
基準を超すばいじんを03年~05年に16回排出。584回分の測定値を改ざんし
て県と市に報告。
3.2 発生原因(内部調査結果)
1)水質担当者が1人しかいなかったため、チェックできなかった。
2)環境管理部門の操業部門に対する指導力が低下してした。
3)水質管理を委託していた子会社に環境管理を担当する部門がなく、委託
会社の環境管理担当者が兼任していた。
4)この環境管理担当者に環境管理、報告書作成などの業務が集中し、適切
な指導をしていなかった。
5)同担当者に環境法令、公害防止協定に対する認識が不足していた。
環境セおミナー
6)測定担当者の順法精神が欠如していた。
7)管理者のチェック機能が欠如し、機器のメンテナンス不足であった。
8)工場現場の環境保全重視の認識が欠如していた。
9)チェック体制が不備であった。
10)環境保全を担う担当者の教育システムが欠如していた。
11)不十分な人員配置であった。
12)担当者1人任せにしていた。
13)コンプライアンス意識が徹底されてなかった。
14)所内のチェック機能が不備であった。
15)現場担当者の環境管理に対する認識が希薄していた。
16)現場操業員が法令順守より、操業の継続を優先した。
17)自動記録装置の管理を一担当者に任せきりにした。
18)同装置の明確な運用の作業標準が不備であった。
19)管理職のチェックが行われていなかった。
環境セおミナー
3.3 公害防止に関する環境管理上の諸課題
背景・動機
体制・仕組み上の問
題
経営層から工場現場に至る公害防止関連業務の認識低下
工場に於ける環境法令・公害防止協定に対する重要性認識の低下
地方自治体・地域住民とのコミュニケーション不足
公害防止に関する環境管理体制の問題
人材の教育・育成に関する問題
公害防止設備等の問題
・工場現場の環境保全重視の認識欠如
・現場担当者の環境管理に対する認識希薄
・測定担当者の順法精神の欠如
・現場操業員が法令順守より操業を優先
・自治体への報告が少なくとも3年間実行せず
・環境管理担当者1人に任せきり、管理集中
・環境管理部門の指導力不足
・管理職のチェック機能・体制不備
・有資格者への専門教育不足
・環境保全担当者の教育システム欠如
・測定機器のメンテナンス不足
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4 環境省からの水質汚濁防止法の徹底に係る通知 (2005年3月18日付け)の概要
1 特定事業場に対する監視指導関係
・今回の事案でとくに問題となったのは排出水の汚染状態及び汚濁負荷量の
測定結果記録について、排水基準等を超える測定結果等があったにもかか
わらず、長期間 にわたり虚偽の記録をおこなっていたこと
・特定事業場に対する監視指導の一層の徹底が必要
・報告徴収及び立ち入り検査を適切に行い、指導方万全を期されたい。
なお特に以下の項目について留意されたい
・測定結果が事業場内の複数の者のチェックを受ける体制になっているか否
かを、確認すること
・測定が採水後速やかに行われ、その結果が生産現場に適切に反映されて
いるか否かを確認すること
・排出水の汚染状態の測定結果について、立ち入り検査による測定排出結果
や届出値等と対比すること
環境セミナー
・排出水の汚濁負荷量の測定状態について、立ち入り検査時に自動計測器の
指示値及びその帳票を確認。またその値を届出値と対比すること
・特定排出水の汚染状態を自動で行っている場合は、その校正が適切に行
われているか否かを確認すること
2.スラグ゙の体積場浸出水等の対策について
・スラグ゙の体積場において、浸出水の処理および流出防止策が適切に行
われていなかったことから、その浸出水によると見られる排出水が防波堤場
付近から排出された
・同様の事例を生じさせないよう、適切に指導されたい。
なお以下の項目について留意されたい
・敷地境界線等の状況を調査し、届出書等に記載されていない排出口から排
出水が排出されていないかを確認する
・届出書等では「間接冷却水専用排出口」又は「雨水専用排出口」となっている
排出口から届出等と異なる排出水が排出されていないか確認すること
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5.1 事業者の公害防止に関する基本的方向性
1)実効性の高い環境管理のための「全社的環境コンプライアンスの実践
(1)方針の明確化
環境管理に於ける社会的要請、重要性を理解し、全社的な方針を作成
(2)組織の構築
(3)予防的取り組み
(4)事後的取り組み
(5)関係者との協議
2)各主体のあるべき役割分担
3)公害防止統括者、公害防止管理者等の役割の再認識
5. 公害防止に関する環境管理体制構築のポイント
(環境省、経済産業省ガイドライン案より)
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5.2 事業者の公害防止に関する環境管理の具体的方策
1)工場・現場に於ける公害防止に関する環境管理への取り組み
2)本社・管理部門に於ける全社的な公害防止に関する環境管理への取り組み
3)従業員教育への取り組み
4)利害関係者とのコミュニケーションへの取り組み
★取り組み実践上の留意点
①業種及び規模への配慮
②規模に応じた取り組み
5.2.1 工場・現場に於る公害防止に関する環境管理への取り組み
1)実効性のある環境管理体制の整備と運用
(1)公害防止統括者、公害防止主任管理者、公害防止管理者は、法律上の責務
と役割を再認識すると共に、工場内に於ける具体的な責務・役割・業務内容を
明確にする。
(2)公害防止統括者は、工場内の公害防止に関する環境管理方針を策定し、
工場内関係者が常時参照・確認できる形で周知する。
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(3)公害防止統括者は、環境管理業務の実施に当たっての担当部署・担当者
間の役割を明確にし、指揮命令系統を確認する。
(4)発生源の排出等測定データを分析する部門と、データを評価し、工場内外
に連絡する部門との役割分担と責任の所在を明確化する。
(5)従業員による公害防止管理者制度の資格取得の増加に努める。
(6)人員の適正配置、関連会社、外部機関等の有効活用等により、工場内外で
の排出等測定データの改ざんや隠蔽を防止する仕組みを構築する。
<具体例>
・測定データを複数の担当者でチェックする。
・データ測定において、外部の測定機関を活用する。
・測定データや異常、危機的状況が一目でわかる監視システムを導入する。
・データ改ざんが物理的に不可能な計測システムを導入する。
・人為ミスが起きにくい設備配置にする。
・方針を数値的・定量的に示すことにより、方針を明確にすると共に、社内報へ
の掲載、現場での掲示などにより周知する。
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(7)データの計測、記録、監視、評価、報告、保管等の一連のプロセスに複数の者
が関与する等、多重的なチェックが働く仕組みを構築する。
<具体例>
・管理職は特定の部門や担当者の意見だけでなく、複数の部門、社員からも
状況の説明を受ける。
(8)トラブルの未然防止のための情報が、現場から公害防止統括者に届き、改
善が行われる仕組みを構築する。
<具体例>
・測定・報告データの履歴がいつでも閲覧・参照できるようにする。
・地方自治体の立ち入り検査には公害防止管理者が立ち会う。
・公害防止統括者は文書決済だけでなく、定期巡視等により現場の確認をする。
・公害防止管理者は自ら行った点検・指導内容を記録し、フォロー可能とする。
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(9)人為ミスが起こることを前提に、操業部門と管理部門が協働して、人為ミスを
発見し、改善・対応する仕組みを体制面・設備面で整備する。
<具体例>
・生産部門、管理部門が合同で公害防止や環境管理を検討する委員会を作り、
定期的に開催すると共に、工場幹部は出来る限り出席する。
2)本社とのコミュニケーション
(1)基準値超過データやトラブル情報を迅速かつ的確に本社管理部門に報告し、
全社的な情報共有を図る。
(2)設備や機器の劣化による公害防止の発生を予防するため、メンテナンス情
報等を定期的に本社に報告し、必要な設備、体制面の改善を提示する。
<具体例>
・実際に起きた事故・トラブルだけでなく、未然防止案件についても重大なもの
は報告し、情報・認識を共有する。
・環境管理情報をデータベース化し、本社、各工場担当者が確認可能とする。
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3)異常発生時等の危機管理体制の整備
(1)公害防止統括者の指揮のもと、平常時だけでなく、異常発生時の機器管理
体制を整備し、異常発生時に備えた訓練を行う。
<具体例>
・異常値が検出された場合を想定し、その際の初動・報告・処理・情報公開に関
して、各管理者、担当者の役割・責任を明記したマニュアルを整備する。
・工場の環境状況を把握できる「連続測定装置」を設置したり、工場外まで汚染
物質排出が予想される物質の場合は、休日・夜間における情報提供者等を予
め選任し、その者から情報を得る等して汚染拡大を防止する体制を整備する。
・事故やトラブルが発生した場合、対策のフォローアップとして、工場長等が自
ら現場に足を運び、事故対策を確認する。
4)環境管理手順の明文化と業務の記録・保管
(1)一連の公害防止に関する環境管理業務手順を明文化し、マニュアル化する。
(2)公害防止統括者等が行う環境管理業務自体の記録・保管体制を整備する。
環境セミナー
<具体例>
・公害防止統括者は現場を訪れ、環境管理方針の普及、現場の実態把握に
努める。
・公害防止統括者は自ら行った点検・指導内容を記録し、地方自治体との意見
交換や、各種報告の際に活用する。
・設備等の異常を検知した時には原因を調査、処置すると共に、設備トラブル
の事例として記録、管理する。
5)関係会社・委託先などとの連携強化
(1)環境管理業務・生産工程等を委託する場合は、公害防止に必要な役割、責
任、連絡、検証体制について、明確化する。
5.2.2 本社・管理部門に於る全社的な環境管理体制への取り組み
1)環境管理業務の企業経営リスクとしての認識
(1)本社・経営層は環境管理が企業経営の前提であると共に、排出基準の超過
等公害の発生や、データ改ざんが長期の経営リスクになることを認識する。
環境セミナー
(2)不適正事案は常に起こり得ると認識し、法令違反が起きた場合の経営上の
深刻な損失(法的処罰、操業停止、社会的信用失墜等)を想定し、長期のリ
スクマネジメントの一環として取り組む。
(3)環境管理業務を担当部門に丸投げするのではなく、責任と権限を明確に
した社内規定やマニュアル等を整備する。
<具体例>
・経営幹部による「マネジメントサイトパトロール」を実施するとともに、安全方針
を直接現場に伝達する。
・設備の劣化・欠如による環境管理上の問題に対しては、社内監査部門等の
合意を得て、設備投資など行う。
・工場のリスクを階層別に分け、優先度の高いリスクに関しては、(本社)環境
部門長の指示で特別の設備対策費を配分できるようにする。
・設備の設計や運転に関して、法令よりも厳しい基準の内規を定める。
環境セミナー
(4)工場・現場からの提案を把握しつつ、環境管理に必要かつ十分な人的・物的
資源の確保をはかる。
2)公害防止管理者等有資格者の育成と配置
(1)工場に対し公害防止管理者等の資格取得増加のための取り組みを促す。
(2)工場・現場において、公害防止管理者等の資格取得者を適正配置する。
3)関係会社等を含めた全社的リスク把握・対処のための仕組みの整備
(1)基準値超過データやトラブル発生情報を本社レベルで的確に把握し、経営
層に報告できる体制や仕組みを構築する。
(2)不適正事案の早期把握、是正、再発防止策を速やかに行える体制の構築。
<具体例>
・社内認識の共有に努めるよう、定期的な意見交換の場を設定し、各部門が抱
えている課題の収集に努める。
・異常値が検出された場合、現場の責任でとるべき内容、本社に連絡してとる
べき内容を整理し、ルール化する。
環境セミナー
・公害防止統括者による環境管理業務の確認、問題の早期発見を励行する。
・現場からのリスク情報の通報ホットラインを整備するとともに、通報者が不利
益処分を受けないように措置する。
・設備、工程、人事、規則等に変更があった場合そのリスク評価する。
・その評価結果を分類し、必要に応じて対策を講ずる。
・環境対策の検証作業として、定期的に特定の現場を題材に、環境対策を
確認・議論する。
(3)子会社、関係会社、委託先など、直接的なコントロールが及びにくい主体が
ある場合、それらの環境管理業務の実情を把握できるよう、環境管理に直接
的に関係する作業工程を調査するとともに、必要に応じて当該作業工程につ
いて、委託要領や確認リストを策定する。
4)多重的なチェック・監視体制の整備
(1)本社スタッフなどが工場に対して行うモニタリングや監査の実行性を高める。
その際監査者に十分な情報提供が行われるよう配慮する。
環境セミナー
<具体例>
・他の地域、工場、部署からのスタッフを含め職場相互点検・監査チームを編
成し、監査や情報交換を行う。
5)危機管理体制の整備と検証
(1)本社環境管理部門が緊急措置を講じるための権限、基準等を整備する。
(2)異常時発生時の連絡、処理、情報公開等危機管理体制を整備するとともに
教育や訓練の実施状況の把握により、体制の実効性を確保する。
<具体例>
・緊急時(火災・漏洩等)は発見した時点で、状況・場合により現場主任が地方
自治体に遅滞なく連絡・通報できる体制を構築する。
・緊急時において、地方自治体と連携して、地位近住民等へ広報する手順を
整備する。
・異常発生時の初期段階の情報について、発生部門長から本社へ第一報が
伝達されるよう情報伝達系統を改善する。
環境セミナー
5.2.3 従業員教育への取り組み
1)真のコンプライアンス教育への取り組み
(1)工場長から従業員に至るまで、単に環境法令の順守だけでなく、背後にある
社会的な要請を理解して、自立的に対応できるよう、法令の要旨、環境管理
の重要性、個々の役割等に重点を置いた教育を行う。う
(2)公害防止統括者等への教育により、工場幹部の公害防止業務の重要性、環
境法令の知識を深める等環境管理への意識を高め、工場全体の環境管理へ
の取り組みを促進する。
<具体例>
・社内啓発用冊子等を作成し、全社に配分する。
・担当者個人レベルのミスや不適切行為を抑止するための社員教育の徹底
・環境コンプライアンス関係の基礎知識をチェックするシステムは活用する。
・ライン、スタッフ全員参加による「環境・安全クイズ大会」を開催し、分り易い
形で、知識普及を図る
・事故・トラブルが起こった場合、「マニュアルを守らなかったのが原因」で片付
けづ、根本的な原因を究明する方策を社内全体に定着させる。
環境セミナー
2)公害防止に関するノウハウの継承
(1)現場熟練者の退職等により、公害防止の管理業務のノウハウが継承しに
くくなっていることを認識し、過去の失敗事例、改善事例の収集、マニュアル
を用いた教育等により、ノウハウの継承、社内への周知を図る。
<具体例>
・過去の失敗事例(工場での事故、トラブル、苦情処理事例など)を収集、保存、
データベース化し、研修会等で活用するとともに、現場職員が常時アクセス・
学習できるようにする。
・他工場の事例を題材に再現した事故・トラブルを疑似体験する。
・作業手順書の中に各人の持つノウハウ(暗黙知)を記載するとともに少なくと
も3年に1回は見直す。
・「見える化」をキーワードにビデオ、デジカメを活用し、危険ポイントの認識・
可視化を通じて、社員に注意を喚起する。
・環境管理作業における基本的勘所を織り込んだ技能伝承ソフトを作成し、
研修等で活用する。
・ベテランの退職前に計画的にOJTによる技能伝承のための機会を設ける。
環境セミナー
3)公害防止管理者等の資格取得を含む環境実施研修の充実
(1)従業員の公害防止管理者等の資格取得を推進する。
(2)環境法令の改正や環境技術の進展に対応する社内外の研修を継続的に
活用する。
<具体例>
・公害防止管理者等の資格取得を昇進や昇給等に反映する。
・公害防止管理者等の受験勉強や環境法令の社内勉強会の開催に手当てを
支給する。
5.2.4 利害関係者とのコミュニケーションへの取り組み
1)行政(地方自治体)とのコミュニケーション
(1)平常時、異常発生時におけるコミュニケーションの方策を確立する。
(2)平常時においては、公害防止体制や取り組みに関する意見交換等を通じて、
行政との信頼関係を構築するとともに、異常事態発生時の報告・連絡体制等
コミュニケーションについて行政と確認する。
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(3)異常発生時においては、周辺環境への汚染拡大の前に速やかに行政へ
連絡し、平常時に構築した信頼関係を基に、円滑かつ継続的に連絡を取る。
<具体例>
・行政関係者と常時率直な意見交換が行えるようさまざまなコミュニケーション
の機会を活用する。
・行政関係者や地域関係者をメンバーとした情報・ノウハウ共用の交流会を組
織化する。
・環境管理活動の状況をまとめたレポートを毎年発行し、公開する。
・事故・トラブルや基準超過等の件数や講じた対応策・改善策を環境レポート
にまとめて、公表する。
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2)地域とのコミュニケーション
(1)地域住民等に対し、事業者にとって不利益な情報も含め、環境管理活動に
関する情報公開を積極的に行う。
また環境問題が生じた場合は環境負荷の多寡、対応措置、再発防止策を分
かり易く、具体的に説明し、地域から信頼が得られるように努める。
(2)工場は地域住民からの相談や情報開示請求に積極的に対応するとともに、
地域住民等との定期会合や工場見学等、密接なコミュニケーションを図る。
(3)地域住民との対話で得られた要望事項については迅速かつ率直に対応する
とともに、結果をフィードバックする。
<具体例>
・フリーダイヤルや電子メールを利用した地域住民向け「目安箱」の開設。
・近隣の代表者や地域関係者との「定期モニター会」の定期的開催。
・施設や工場の新増設を利用し、近隣住民等の見学会の開催。
・環境管理活動の状況をまとめたレポートを毎年発行し、公表する。
・事故・トラブルや基準超過等の件数や講じた対応策・改善策の公表。
環境セミナー
3)関係会社・取引先とのコミュニケーション
(1)関連会社や取引先が環境管理の役割や一端を担う場合、事業者としての
環境管理方針及び方策を関係者に周知徹底する。
(2)関係会社や委託先に対して、環境方針の順守状況について」、定期的報告
を求める。
<具体例>
・子会社、関係会社、委託先と定期的な意見交換及び現場見学を実施し、向上
の意見を吸い上げ、実態を把握する。
・構内協力会社の従業員を含めた環境管理の周知・教育活動を行い、環境管
理方針や方策について、共通理解を図る。併せて、小さいことも隠さない風通し
のよい関係を醸成し、事故情報等についても共有化を図る。
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