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株式会社 北日本金型工業 室井 由紀夫 2019年03月05日 IoT技術で金型製造の経営課題を解決 IoT実践セミナー 01 IoT実践セミナー限り (株)北日本金型工業の紹介 02

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Page 1: IoT実践セミナー - nmda.or.jp

株式会社 北日本金型工業 室井 由紀夫

2019年03月05日

IoT技術で金型製造の経営課題を解決

IoT実践セミナー

01

IoT実践セミナー限り

(株)北日本金型工業の紹介

02

Page 2: IoT実践セミナー - nmda.or.jp

(株)北日本金型工業は、

地域に根ざした生産活動を

行っている企業です。

会津の風土をこよなく愛し、

会津の産業に貢献し、

会津の自然環境にも優しい

ものづくりを目指しています。

03

場所は、福島県会津若松市の北に位置します。

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(株)北日本金型工業の全景と概要

商 号 株式会社 北日本金型工業

所在地 〒 969-3461福島県会津若松市河東町浅山字仲田40番地1TEL 0242-75-4731 FAX 0242-75-3907

設 立 1978年12月18日

資本金 1千万円

事業内容 プラスチック金型製作プラスチック射出成形各種組立・製品開発

従業員 68名(女子16名)

平均 35.1歳

工場 土地6,400㎡、建物1,940㎡

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金型の設計・製造から、射出成形、組立といった金型を中心とした、プラスチック製品を扱っている会社です。

事業内容

試作・検証

成形量産

組 立二次加工

設計・開発 3D

プリンター

造形

金型製作

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組立工場

各製造工場の紹介

金型工場 成形工場

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〈金型工場内〉 〈成形工場内〉

〈組立工場内〉

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経営理念

我々は自己の責任を重んじ、

他人を思いやり心身の健康に気をつけ、

働くことの尊さを自覚し

常にお客様と社会発展の為に努力しなければならない

1、金型作りを通し、社員と家族を守り社会に貢献する。

2、規則、挨拶、時間、を守り、健全な社風を築く。

3、最高の技術を提供し、お客様の信頼と高収益を得る。

4、知恵と努力で完全週休二日制を目指す。

NJM 基本目標

1、守る 守る 守る 必ず守ります。

2、やります やります やります 必ずやります。

3、変わる 変わる 変わる 必ず変わります。

4、成ります 成ります 成ります 必ず成ります。

NJM 四つの誓い

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ISO認証

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3Dプリンターを利用して、本格的な量産に入る前の試作サンプル品などを作成しています。

3Dプリンターの導入

近年ニーズが高まりつつある金型レスでの試作品などにも対応

熱溶解積層法(FDM)実際の成形樹脂を溶解して積層する造形法。

使用材料ABS、PC、ULTEMの3種類

ワークサイズ406(W)×355(D)×406(H)

ストラタシス社(米国)製 FORTUS 400mc-L

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<本日の内容>

① 金型業界の現状

② データによる「ものづくり」

③ 管理資料の電子ファイル化

④ 情報データの活用

IoT技術で金型製造の経営課題を解決

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Page 7: IoT実践セミナー - nmda.or.jp

きびしい金型業界

① 金型業界の現状

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きびしい業界をIoTの活用で・・・

金型産業の事業所数は、ピーク時の13,000社から8,000社に減少している事からも推察できるように、生き残るには、きびしい業界です。

そんな中、弊社は、IoTで、生き残りをかけています。

出所:経済産業省「工業統計」

(単位:百万円)

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② データによる「ものづくり」

2次元から3次元への転換

図面レスの金型製造

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「ものづくり」の原点に位置する金型は、

私たちの身の回りにある

プラスチック製品を作るための

道具として利用されています。

そんな射出成形用金型について

どのようにIoTを駆使して

製作しているのかを

写真の製品を例に取りながら、

解説していきます。

射出成形用金型とは

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金型の構造検討CAE(流動解析)

お客様から、支給された

3D製品モデルを

CAE(流動解析)を実施して

成形時の問題点を事前に把握し、

最適な金型の構造を決定します。

経験での構造検討から、CAEによる構造検討へ転換

CAE(コンピュータ エイデッド エンジニアリング Computer Aided Engineering)

支給された製品モデル

流動解析の結果

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金型の設計 CAD

金型構造の方針が決定したのなら、その内容に基づき

3次元CADで金型を設計し、

3DCADデータとしてサーバへ保存・管理します。

CAD(コンピュータ エイデッド デザイン Computer Aided Design)

設計された金型データ 設計された入れ子データ

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金型図面の廃止

設計した金型の3Dデータは、サーバーへ保管。

3Dデータでの情報共有化を実現し

2次元図面を廃止した。(図面レスの確立)

作業員が各自閲覧

必要に応じて作業員が3Dデータをサーバー

からPC画面上に読込み、金型製作に利用。

一元化される金型設計データ

改訂データは、3Dモデル修正と

同時に上書きされるため

常に最新の金型設計データが閲覧できる。

金型設計データを共有化

必要に応じて運用

金型設計部門

CAM部門

仕上げ加工部門

サーバーに3Dの金型設計データを保管

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金型設計室

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Page 11: IoT実践セミナー - nmda.or.jp

加工データ作成 CAM

3DCADで設計した金型データを元として、

加工機械へ送る加工用データをCAMにて作成します。

CAM(コンピュータ エイデッド マニュファクチュアリング Computer Aided Manufacturing)

設計された金型データ

CAMによる加工パス加工用データ

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ネットワークによる機械加工

サーバー

3Dの金型設計データを保管・運用

加工データも保管する

加工データの運用

保管された金型設計データからCAMにて

加工データを作成。

作成された加工データは、社内ネットワーク

回線を経て、各工作機械へ送信。

いろいろな金型部品を製作します。

設計された加工データは、サーバーに保管し

一元管理されます。

CAM部門

加工データを作成

各種工作機械

加工データを受ける

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図面レスによるものづくり現場図面に代わるすべての情報は、画面の中に!!

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MC(切削) 1台

EMD(放電) 2台

CAMデータ(加工情報)

3次元座標計測器(位置情報)

ワーク保管棚(96本)

システムにより

ワークを自動供給

工作機械で自動加工して

ワークを自動回収する

72時間運転が可能です

ワーク自動供給装置

夜間も休日も無人運転で加工してます。

ICチップ

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仕上げ

最後は、IoTでは対応が難しい職人による匠の世界!!全ての部品加工が終了したものに、最終工程として微細な調整加工を加え、構成部品を組み込んで仕上げ、金型を完成させます。

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金型の完成

金型が閉じている状態 金型が開いている状態

これらの行程を経て金型が完成します。

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成形

完成した金型は、成形機に取り付けられ、製品を成形します。

写真は、自動ストッカーシステムで、無人で成形品を取り出します。

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成形機の工程管理

成形機もネットワークでつながり、稼働状況も含め、工程のすべてを

データ管理しています。

不良品の出た際は、記録されている成形データから原因箇所を

見つけています。 この内容は、すべてのPCから閲覧可能です。

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成形したプラスチック製品の内、

2次加工が必要なものを組立工場に移動し

印刷、接着、溶着、組立、検査、梱包等を行います。

組立

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完成した部品を組み込んで出来た製品

成形された部品を使用して

組立てられた完成製品です。

完成部品

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3,図面では理解が難しい形状でも3Dモデルデータであれば

そのままの形状が直感的に見られる。

4,データの一元化により、形状認識が統一され、加工ミスが

低減した。

5,加工するに際して、必要な資料の検索時間が短縮された。

結果、金型製作の納期が短縮され、収益に貢献した。

金型現場の効率を上げた

1,金型設計時間が削減された。

2,図面の配布業務が無くなった。

金型設計の負担を軽減

図面レスでの金型製造におけるメリット

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③ 管理資料の電子ファイル化

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電子ファイル化の意味

ここまでの説明で、構築した社内ネットワーク(LAN)は、「ものづくり」のために設置したように思われがちですが、元々は、管理資料を電子ファイル化して、サーバーに保管・運用させるために進めたものでした。

つまり、全社員にPCを配備したのも、LANに接続された複合プリンタにスキャン機能を追加したのも、管理書類の電子化のためです。

その最終目的は、管理書類は、個人で管理するものではなく、データ化し共有化して、一元管理にて運用する事が大切であることを徹底させるためでもありました。

メモLAN( Local Area Network )の略で「構内情報通信網」と訳します。建物や敷地内などの比較的狭い地域内で構成されるコンピューターネットワークです。

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1,情報をデータ化して保管する事で共有化が出来る。

2,データ化されているため、必要に応じた加工が

自由にできる。

3,紙資源を削減でき、環境に優しい。

4,必要な情報を必要なときに、すぐ取り出すことが

できるため、不要な検索時間を削減出来る。

電子ファイル化によるメリット

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電子ファイルの運用

複合機からスキャンされたデータを

電子ファイル化し、サーバーにて

保管・管理。

データ化された書類は、各PCから

サーバーへアクセスして運用。

ネットワークによる電子ファイルの運用

サーバーにデータを保管

各PC画面で運用

生産管理の複合機

事務室の複合機

図面用複合機

金型現場の複合機

成形・品質管理の複合機

開発室の複合機

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活用事例

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顧客との打合せ資料としての

活用方法

(CADデータを利用)

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3Dモデルを画像ファイル化 金型構造検討資料として作成

2D製品図面を画像ファイル化 型割り資料として作成

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品質管理資料への活用

(各種資料)

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シボ(ムラ無き事)

ゲート凸0.5MAX.

デートマーク(月)デートマーク(年)

ウエルド注意

ヒケ注意

②123.3

±0.1

①144+0-0.2

2次元図面を電子ファイル化

外観検査基準書を作成

切り貼り加工した図

書類に貼り付け

ゲート

シルク印刷

熱カシメレンズ

②123.3±0.1

導電塗装測定位置

測定位置

①144+0-0.2

切り貼り加工した図

出荷検査表を作成

貼り付け

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2次元図面を電子ファイル化寸法測定用図面を作成

番号を追加

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品質管理で運用している、日々の提出書類を電子ファイル化して保管

成形樹脂のMSDSファイルを保管(製品安全データシート)

顧客からの要求に応じ、印刷して提出する

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情報システムのインフラを確立(社内ネットワーク)

クライアント/サーバ型システムを構築

(クライアントの一元管理のため)

作業者全員へのPC配備(原則一人一台)

運用に必要な機械

IoTに対応した工作機械の導入

スキャン作業が身近で出来る複合機の設置

人材育成

CAE/CAD/CAM等の各種ソフトの技術習得

IoTを職場で活用する能力

情報システム管理者

システム環境を構築・管理・運営ができ

情報機器のメンテナンスもできる技術者

まとめ データを活用するために必要な事

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④ 情報データの活用

「ものづくり」だけでないデータの活用

金型製造管理システム

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金型価格に利益の根拠がない件

製品製作に必要な金型費用の総額を決定

総額から、ユニットごとの金型費用が割り当てられ価格が決定

ユニット内の費用で、型の大きさや構造の違いなどを考慮して、個々の金型の価格を分割して決定する。

2次請け

1次請け

メーカー

金型業界は、金型の価格や相場がはっきりしない業界です。作成した見積書にも絶対的な根拠がないため、時には、指し値で価格を提示される事も多々あります。価格は、全体の決定プロセスの中で大枠が既に決められていることが多く、最後は、顧客の発注者との話し合いの中で決定することがほとんどです。

最終請け すでに、金型の価格がほほ決まっている中で、受注するかを決定する。

金型価格決定の流れ

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IoTで経営の課題を解決する

金型見積書の課題点とは

理想的な金型見積書

見積りをする場合、必要な内訳

・金型設計費・材料費(材料単価)・購入部品費(そのまま使用する部材)・加工費(加工時間/加工レート)・外注費・組立調整費・管理費(営業/荷造り運搬費)・試作成形費

顧客の製品モデルや図面を参考にした上、下記の要素を考慮して価格予測を行います。

・製品重量・製品サイズ・生産数・図面の寸法値(公差の精度)・特異形状の部位数

現実の金型見積書

見積書提出段階では、金型設計図がなく必要な内訳が出せないため、正確な積算見積りを出すことが不可能。

見積り担当者の経験則を加味して見積書を作成します。

見積書に積算根拠は無く、利益が出るかはやってみないと分からない部分が多い

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IoTで経営課題を解決する手順

どのような経営課題を解決しなければならないか

それでは、具体例を解説したいと思います。

解決のためには、どのような情報が必要か

必要な情報を得るためには、どんなデータがあれば良いか

① 金型価格に利益の根拠がない

② 金型価格の損益がわかる情報

③ 過去に製作した金型の内訳費用の実績データ

具体例

金型製造管理を作成

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損益分岐点の価格を知るデータの蓄積

データベースソフト アクセスで運用

① 金型製造管理という実績データを入力するシステムを作成

金型の見積書作成に必要な内訳項目の実績データを日々入力するシステムのため、損益を含めた実績の情報が蓄積される。

蓄積された実績情報から類似金型の損益分岐点の価格を読み取ることで、見積り金型の適正価格を見極めた。

営業的にも妥協点が明確になることで、不利益な金型の受注を取らないようにもなる。

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まとめ 経営課題対策は、情報データの活用で

製造業でIoTを活用した「ものづくり」は、今や特別なことではなく、ネットワークを利用したCAD/CAMの運用は当たり前で、ペーパレスや自動加工運転も多くの製造業で導入されつつあります。

今後のIoT運用は、「ものづくり」のための道具だけではなく、経営課題の解決にも活用する事です。

記録した蓄積データを価値ある情報と捉え、分析や抽出をする事で、業務改善の手助けをするツールにするのです。

どうか、IoTを駆使して、「ものづくり」も情報収集システムもうまく活用して下さい。

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最後にNJMの目指す「ものづくり」は多くの雑誌に紹介されていることをお伝えして、終わりたいと思います。

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ご静聴ありがとうございました。

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