iotの最新動向と デジタルイノベーション...2017/05/19 ·...
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Software Reliability Enhancement Center© 2017 IPA
IoTの最新動向とデジタルイノベーション
2017年5月19日
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC)
所長 松本 隆明
【大分開催】デジタル時代に向けた大分イノベーション~OITA4.0の実現に向けて~
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独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
日本のIT国家戦略を技術面、人材面から支える経済産業省所管の独立行
政法人(2004年設置)誰もが安心してITのメリットを実感できる「頼れるIT社会」の実現を目指す
・ウイルス、不正アクセス等の届出機関・情報セキュリティの調査研究、普及啓発活動・標的型サイバー攻撃への情報共有・初動対応の実施・産業サイバーセキュリティ人材の育成
● 情報セキュリティ
・国家試験「情報処理技術者試験」の実施機関・IT人材の育成・発掘・スキル明確のとりくみ。若手人材育成
● IT人材育成
● 情報処理システムの信頼性向上・重要インフラを支える情報処理システムの信頼性向上へのとりくみ・IoT時代の安全設計
IPA 検 索
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産業サイバーセキュリティセンター 2017.4設立
多様な攻撃パターンへの対応訓練(模擬プラント演習)
海外の大学や機関との交流による知見蓄積(人脈形成)
演習シナリオを自ら作成し、実践 最新の攻撃情報を調査し、対策を立案
重要インフラ・産業基盤のサイバーセキュリティ対策その根幹を担う人材の育成
電力網へのサイバー攻撃(ウクライナ、2015年)
製鉄所の溶鉱炉損傷(ドイツ、2014年)
石油パイプラインの爆発(トルコ、2008年)
※写真はすべてイメージ
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大分県とサイバーセキュリティ対策等に関する連携協定を締結都道府県レベルで初
大分県の数値目標 今後5年間で、以下を目指す。 県内の情報セキュリティマネジメント試験合格者 1,000人 県内の情報処理安全確保支援士登録者 100人
大分県知事 広瀬 勝貞氏 IPA理事長 富田 達夫
協力概要
(1) 情報セキュリティの強化大分県及び県内市町村を対象とする情報セキュリティ対策等に関するIPAからの専門的助言情報セキュリティ対策セミナー等へのIPAからの
講師派遣情報セキュリティマネジメント試験や情報処理安全確保支援士の普及に資する情報提供
(2) ITの利活用促進と人材の育成IT利活用プロジェクトに対するIPAからの専門的
助言IT先進技術に関するセミナー等へのIPAからの
講師派遣及び人材育成の支援
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アジェンダ
❶ IoT時代の到来
❷ IoTによるスマート社会の実現
❸ オープンイノベーションへの期待
❹ システムの統合化・複雑化への備え~システムズエンジニアリングアプローチ~
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様々なモノがつながる時代
デバイスセンサ
モバイルサーバーPC
サービス人データ
1990 2000 2010 2020
インターネット
IoT(Internet of Things)
IoE(Internet of Everything)
7Copyright © 2017 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center
インターネットに繋がるモノの数 (全世界)
出典:シスコシステムズ
0
100
200
300
400
500
600
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
億個
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日本国内IoT市場規模
出典:IDC Japan株式会社 「2014年~2020年における国内IoT市場の支出額予測」
0
2
4
6
8
10
12
14
16
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
兆円
CAGR: 16.9%
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IoTからCPSへ
これまでの
ITシステム
IoT時代の
ITシステム
サーバ/PC/モバイル機器 等
バーチャルデータによるやりとり
リアルデータによるやりとり
フィジカル世界
フィジカル世界
サイバー世界
サイバー世界
センサ/デバイス/機器
コンピューティングパワー
AIビッグデータハイコンピューティングパワー
構造変化
GW
直接フィードバック
CPS (or DX)
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ハードウェア性能の向上
出典:総務省 「平成26年版 情報通信白書」
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データ流通量の推移(産業計)
出典:総務省 「平成26年版 情報通信白書」
9産業分野の合計
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AI(人工知能)技術の進展
出典:文部科学省 「平成28年版科学技術白書」
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センサ技術の高度化
小型集積化 オンサイト
水質センサ(pH, O2, BOD等)
味、匂いセンサ
DNAチップグルコースセンサ
指紋認証センサ大気環境センサ(NOx, SOx,花粉)
インプランタブルバイオセンサ食品鮮度
センサ
環境抗原センサ
自動車用ガスセンサ
ワンチップ血行動態センサ
室内大気環境(匂い)センサ
ワンチップ匂いセンサ
個人DNA診断チップ
ネットワークとの連携
パーソナル
ウエラブル
ユビキタスセンサ
血流センサ血圧センサ脈拍センサ
ヘルスケアチップ
多項目大気環境モニタ(NOx, SOx. BTX,など)
MEMS: Micro Electro Mechanical System
マイクロ化(微細加工、MEMS)簡易サンプリング法
ワンチップ、低消費電力化有機材料集積化新プロセス(ナノテク)
技術進展
環境情報
生体情報
小型化、低価格化により、センサ設置の自由度が飛躍的に高まっている。
ブロードバンドネットワークや携帯電話の普及と相まって、センサが集めたデータをさま
ざまなサービスに取り込むインターネット環境が整ってきた。
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エッジコンピューティング
出典:総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる 経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究報告書(2016.3)」
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アジェンダ
❶ IoT時代の到来
❷ IoTによるスマート社会の実現
❸ オープンイノベーションへの期待
❹ システムの統合化・複雑化への備え~システムズエンジニアリングアプローチ~
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ソフトウェアがドライブ
新たなビジネスの創出
既存ビジネスの破壊
厚生
予防医療遠隔医療IT診断
金融
フィンテック電子決済
小売
在庫管理自動化リアルタイムマーケティング
製造
第4次産業革命
土木
環境センシング橋梁健全性地滑り監視
運輸
自動運転
農林林の監視農業工場6次産業
Convenienceお弁当セール
・・・
・・・
・・・
・・・ INTERNET
IoTで実現されるスマート社会
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スマート・シカゴ・プロジェクト
Source: Cisco Systems
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スマート・ルーラルエリア
Source: Fraunhofer IESE
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運転手
利用客
スマホ
評価
運転
・利用客の斡旋・仲介料を除いた運賃
・配車
UBER
シェアリングエコノミーの台頭:UBER
世界70ヵ国、450都市で展開
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シェアリングエコノミーの台頭:airbnb
旅行者
ホスト(大家・貸手) airbnb
仲介サービス
2008年にサービス開始 191ヵ国5万都市に展開 物件数は300万件(日本で
も約5万件) 利用者数は1億4000万人 借り手は宿泊料に6~12%
の手数料を上乗せ、貸手は3%の手数料を払う
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第4次産業革命
History
出典:Fraunhofer IESE Presentation, SEC Special Seminar, 2015に加筆
第1次水力・
蒸気機関
第2次電力化
第3次コンピュータ化
第4次CPS化
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Industrie 4.0
【背景:ドイツの日本と似た国情】■ 世界有数の高コスト体質 価格競争力の低下■ 資源・人手の不足■ 人口構成の変化(少子・高齢化)■ 都市化 (都市集中)
【「Industrie 4.0」プロジェクト開始 (2012)】
■ ドイツ政府主導■ 付加価値のある量産システムへの切り替えによって、製造コストの大幅削減、国際競争力の維持向上を図るのが目的
■ 製造のデジタル化を図り、自動化・省力化・ネットワーク化による生産効率向上、リアルタイム性確保、中小企業の強化・活性化
Recommendations for Implementing Strategic Initiative INDUSTRIE 4.0 acatech (April 2013)
投資額2億€
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Industrie 4.0 の目指す4つの方向性
水平統合:サプライヤーからお客様まで情報とアセットのつながり 垂直統合:工場内での生産オートメーションのつながり
首尾一貫したエンジニアリング:ライフサイクルを通してシステムズ・エンジニアリング
人がバリュ・チェーンの指示:人の適格性
出典: Reference Architecture Model Industrie 4.0 (RAMI4.0) 7/2015
世界中に配置された工場をネットワークでつなぎ “ひとつの世界工場” としてコントロールできなくてはならない。
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垂直統合によるダイナミックな生産ラインの実現
出典: “Recommendations for implementing the strategic initiative INDUSTRY 4.0”, acatec 2013
部品サプライヤーとも直接NW経由でつなぎ、
タイムリーかつフレキシブルに部品供給を可能化
産業構造の変革と中小企業の産業活性化
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付加価値獲得競争
出典:経産省・厚労省・文科省「平成26年度ものづくり基盤技術の振興施策」に加筆
ネットからリアルへ
リアルからネットへ
官主導民主導
26Copyright © 2017 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center
第4次産業革命を実現するデータ駆動型社会
出典:経産省、産業構造審議会情報経済小委員会中間とりまとめ報告書、2015.5.21
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IoT推進コンソーシアム
出典:IoT推進コンソーシアム http://www.iotac.jp/wg/security/
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ロボット新戦略
出典:ロボット革命イニシアティブ協議会 https://www.jmfrri.gr.jp/content/files/RRI_leaflet.pdf
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ロボット革命イニシアティブ協議会
出典:ロボット革命イニシアティブ協議会 https://www.jmfrri.gr.jp/content/files/RRI_leaflet.pdf
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アジェンダ
❶ IoT時代の到来
❷ IoTによるスマート社会の実現
❸ オープンイノベーションへの期待
❹ システムの統合化・複雑化への備え~システムズエンジニアリングアプローチ~
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CPSによるオープンイノベーションの創出
出典:経産省、産業構造審議会情報経済小委員会中間とりまとめ報告書、2015.5.21
リアルとサイバーの融合
業界/地域を跨ったオープンイノベーションの創出
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少子化を見据えたオープンイノベーションが急務
出典:(独)労働政策研究・研修機構 データブック国際労働比較2015
生産年齢人口 (15歳から64歳)の推移
-5000
0
5000
10000
15000
20000
25000
30000
35000
40000
1990 2000 2010 2014 2025 2050
日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 中国 韓国 インド ブラジル
日本ドイツ韓国
イギリスアメリカ
ブラジル
中国
インド
フランス
(万人)
40000
60000
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オープンイノベーションの実態
出典:経産省平成23年度産業技術調査「イノベーション創出に資する我が国企業の中長期的な研究開発に関する実態調査」
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IoTソリューションの導入状況
11.9
2329.6
19.8 18.424.8
6.8
8.9
8
15.19.6
5.616.8
8.1
25.6
19.828
17.6
22.123
20
25.4
33.6
32
42.437
16.8 19.810.4
20
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
出典: 総務省「平成28年版情報通信白書」
日本(N=620)
米国(N=135)
英国(N=125)
ドイツ(N=126)
韓国(N=125)
中国(N=125)
既に導入している まだ導入していないが、導入予定である
まだ導入しておらず、導入の予定もないが、今後導入したいとは考えている
まだ導入しておらず、今後の導入も考えていない
わからない
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中小企業の海外展開
日本 ドイツ フランス イタリア スペイン
輸出を行う企業の割合 2.8% 19.2% 19.0% 27.3% 23.8%
対外直接投資を行う企業の割合
0.3% 2.3% 0.2% 1.6% 2.1%
出典: 経産省「通商白書2012」
日本の中小企業は従業者数300人以下EUの中小企業は従業者数250人未満
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地域別の製造業中小企業の輸出比率の変化
1.0 1.0
1.6
1.2 1.2 1.0
1.3
2.0
0.7
0.3
2.0 2.0 1.8
2.0 1.9
2.9
3.2 3.1
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
2002/2003 2013/2014
(%)
出典: 経産省「通商白書2016」
2002年と2003年の合計、及び2013年と2014年の合計に関する、直接輸出額÷合計出荷額
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IoT時代の競争戦略
出典:経産省「通商白書2015」
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有効なビジネス分野
出典:文部科学省 「平成28年版科学技術白書」
IoT/ビッグデータの活用で効果がある/期待される分野
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先進テクノロジのハイプ・サイクル:2015年
出典:ガートナージャパン、2015.8.27に加筆
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アジェンダ
❶ IoT時代の到来
❷ IoTによるスマート社会の実現
❸ オープンイノベーションへの期待
❹ システムの統合化・複雑化への備え~システムズエンジニアリングアプローチ~
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システム・オブ・システムズ(SoS)の出現
出典:経済産業省 スマートコミュニティのイメージ http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/smart
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システムの大きなトレンド
システムは、統合化に向かっている
情報システム
組込みシステム
モバイルシステム
サイバーフィジカルシステム (CPS)
スマートエコシステム
データ量の増大(宝の山)
出典: “Smart Ecosystems”, Fraunhofer IESE
統合化された全体システムとして実現する時代へ
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システムの統合化・複雑化で増大するビジネスリスク
想定リスク
例:医療と健康ビジネスの融合など
従来は想定されなかったようなモノ・コトのつながり
新サービスが生まれることによるビジネス環境の変化
考慮すべき条件の拡大
例:自動車(乗り心地、安全性、燃費)など
例:スマートフォンと家電の連携など
転ばぬ先の杖(新たなアプローチ)の導入が必要
例:シェアリングエコノミーの拡大など
単一分野でのビジネスルールが通用しない
隣接する分野の事業への進出
つながる相手への迷惑、相手からの迷惑
現ビジネス領域の衰退
考慮もれによる失敗(不備、遅延、事故)
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開発順序の柔軟化、全体を俯瞰して手戻りを低減(全プロセスの発想転換)
個別の製品、サービス
複数の製品、サービスの連携
新たなアプローチ ~システムズエンジニアリング~
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システムズエンジニアリングの4つのポイント
解決策を考える前に本来の目的を明確にし、常に目的を意識しながら考える。
視点と視野を変えながら俯瞰して捉える。視点としては、時間的視点、空間的視点、意味的視点がある。
多様な分野(技術、事業、領域、環境、文化、社会など)の知見を総合する。
抽象化の視点を柔軟に設定し、多視点から対象を構造化し、システムに関する様々なネットワークを通じて、システムを明らかにする。
モデルを利用することによって異なる分野の人たちの間での概念共有、情報共有による共通理解の促進を図る。
適切に再評価とフィードバックを反復して、新たな解決方法を発見し、段階的に明確化・進化させる。
目的指向と全体俯瞰
抽象化・モデル化
多様な分野の知見を総合
反復による発見と進化
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システムズエンジニアリング適用事例(その1)
◆開発における課題現行システムに影響しない新システムの検証方法や、運行を維持しながらの新システムへの迅速な切り替えを行えることが必要。
出典:SEC Journal 35号(IPA)アシュアランス技術を用いた鉄道信号の革新
◆対策開発当初から全工程の課題を見据え(時間的視点の俯瞰)、システムの切り替え・移行についても設計時より焦点をあてて方式の設計を行い、旧システムで運転中に新システムの電文の送信、チェックが可能な方式を採用した。システムのライフサイクルを俯瞰して妥当な対策を施した事例。
山手・京浜東北線のラッシュ時の混雑(上野・御徒町間で約240%)緩和の社会的要請が強まっていたのに対し、運転本数を増加できる新しい列車制御システムを2008年までに導入した事例。
◆効果テスト、および切り替えを短時間でできるシステムを実現した。これにより、運行サービスに影響することなくシステム移行を実践することができた。
鉄道・列車制御システムの更新とサービス継続 JR東日本 デジタルATC(D-ATC)
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システムズエンジニアリング適用事例(その2)
◆開発における課題多様な要求を「同時に」実現するための機能開発として、多様な要素についての高度な技術革新が必要。
◆対策
エンジン、トランスミッション、ボディ、シャーシに至るまで、車に搭載するすべての技術と、それらを総合する技術の革新を実施。
その中核となったのが、それぞれのメカニズムの解明など技術的研究を深めるとともに、それらの結果を可視化し、予測などにも使用できるモデルとして確立したこと。これにより共通理解を促進し、シミュレーション技術も総合して全体最適を図る設計につながった。
乗り心地、運転の楽しさ、安全、燃費、環境性能等を高度な次元で満足させる自動車の開発の事例。
◆効果低燃費で安定した走りを実現する製品群の開発に成功。
多様な要求に同時に応える自動車の開発 マツダ SKYACTIVテクノロジー
出典:SEC Journal 29号(IPA) SKYACTIVテクノロジーの誕生を支えたモデルベース開発
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システムズエンジニアリング適用事例(その3)
◆開発における課題先進国で実績のある製品を転用して使用を開始したが、自然環境、インフラ環境の関係で故障が多発した上に、部品が入手できないことから修理網も整備されず、普及に失敗していた。
◆対策
保育器の本来の目的に立ち返り、新たな製品企画から取り組み(目的指向と全体俯瞰)。
抽象度を上げた分析により本質的な要件を関係者で共有し、物理的条件の前提を設けずに実現策を検討(機能と物理の分離)により解決策を見出した。
乳児死亡数が年間400万人に達している途上国に向け、より多くの生命を救うべく、新生児向けの保育器を普及させることを目的に開発が行われた事例。
◆効果
途上国で入手できる部品で、保守もできる「暖める
機能をもった保育器」を新たに開発して普及を開始する
ことができた。
発展途上国の実情に合わせた保育器の開発
出典: SEBoK(Guide to the Systems Engineering Body of Knowledge)
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システムズエンジニアリングに転換した動機・セーフティ・セキュリティ要件を満たすため・顧客要求の多様化・製品の複雑化・ソリューションとしてH/W、S/W、サービスを一体となって求められるようになってきた
ドイツでは、90年代に自動車業界から転換が始まる・機械制御からアナログ制御システムを経て、完全にソフトウェア制御のシステムに転換していった時期
ここ数年(2010~2015年)で、全産業においてシステムズエンジニアリングが普及していったことが確認されている。(IESE調査報告書より)
システムズエンジニアリングに転換した動機は?
ドイツでのシステムズエンジニアリング実践調査(1)
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直面する製品開発での課題は?
現在のシステム開発の課題 5年以内の変化の見通し
現状多くの企業が直面している開発課題 システム要求の複雑化 市場投入時間(TTM)の短縮 製品の多様化の増大
今後(5年以内)の変化の見通しとして現状に加え、さらに、 複数の専門分野にまたがる開発が
増加
ドイツでのシステムズエンジニアリング実践調査(2)
システムズエンジニアリングによる解決が求められる
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まとめ
IoTによってサイバー世界とリアル世界とがダイレクトに結び付いたシステム(CPS or DX)の展開が急
速に進む
様々なスマートサービスが実現され、社会生活はますます便利にかつ高度になる
今後は、さらに業界や地域を超えたオープンイノベーションの出現が期待される
より複雑化するシステムの設計のためにはシステムズエンジニアリングが重要となる
52Copyright © 2017 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center
ご清聴ありがとうございました
独立行政法人 情報処理推進機構
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