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IT利活用と人材育成 (IT業界の課題と施策展開) 平成29年5月18日 経済産業省 情報処理振興課長 滝澤

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Page 1: IT利活用と人材育成 (IT業界の課題と施策展開)Ÿº調...1. 2016年12月、グーグルの自動運転プロジェクトが独立して‘Waymo‘となった。2

IT利活用と人材育成(IT業界の課題と施策展開)

平成29年5月18日経済産業省 情報処理振興課長

滝澤 豪

Page 2: IT利活用と人材育成 (IT業界の課題と施策展開)Ÿº調...1. 2016年12月、グーグルの自動運転プロジェクトが独立して‘Waymo‘となった。2

1.ITが創造する未来

2.IT産業に関する施策・IoT推進ラボ・人材育成(セキュリティ、先端人材)・その他

目次

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今起こっていること ビッグデータ、IoT、AI・・・・

データ量の増加、処理性能の向上、AIの非連続的進化が急速に進展。

2

データ量の増加 処理性能の向上 AIの非連続的進化世界のデータ量は2年ごとに倍増。

132 EB

4400 EB

44000 EB

0

15000

30000

45000

2005 2013 2020

出所:IDC「The Digital Universe of Opportunities」より経産省作成

※EB(エクサバイト) = 1018B

EB PFLOPS

ハードウェアの性能は、指数関数的に進化。

※PFLOPS=演算速度の指標

出所:TOP500.org「TOP500 list」より経産省作成

ディープラーニング等によりAI技術が非連続的に発展。

出所:東京大学・松尾准教授資料を基に経産省作成

<世界のデータ量> <最先端のスパコンの演算速度><AIの技術的発展の見通し>

次元1(現在~2年)

次元2(今後3~5年)

・ 画像・動画の認識・ 異常検知・将来予測

・ 試行行動を伴う異常検知・ 仮説生成・高度なシミュレーション

0100200300400500600700

1990 2000 2010 2020

約680PFLOPS

33.86PFLOP

S現状

現状 現状

将来予測は、18か月ごとに性能が倍になるものとして算出

次元3(今後5~10年)

2

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Physicalリアル空間

Cyberデジタル空間

3

今起こっていること・・・IoT、AI、ロボット みんなつながっている

急速な技術革新により、大量データの取得、分析、実行の循環が可能に

データのやり取り・通信

センサ、機器、ロボットによるデータの取得

ビッグデータ化

人工知能等を用いて分析

ロボット等を通じた実環境でのアクション

1

24

5

3

ロボット IoT

AI

ビッグデータ

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Google自動運転車の進化

テスト走行距離は400万kmを超えた。同時に実測データを用いたシュミレーションも実施し、技術力を蓄積。走行距離が長い割に自動運転解除の回数が少なく、技術的に優れている。

Google自動運転車の自動生成マップ

Google自動運転車プロトタイプ(33台がテスト中)

Google自動運転プロジェクトの主な動向

1. 2016年12月、グーグルの自動運転プロジェクトが独立して‘Waymo‘となった。

2. 合計で400万km以上を走行してテストデータを蓄積。市街地の難しいケースなどを

蓄積、同時に実測データを用いてクラウドでシミュレーションを行い、その距離は16

億kmを超えていると語る。

3. Google自動運転車に起因する初めての事故が発生(2016年2月)

4. 自動運転の競争が激化する中、完全自動運転に固執してきた方針を転換し、クライ

スラーやホンダなど自動車メーカーとの連携を深めるなど柔軟に対応。

5. カリフォルニア州当局のレポートによれば、走行距離が長いわりに自動運転解除の回数が少なく、

Waymoは他社と比較して明らかに性能が優れている。

6. WaymoはUberが企業秘密を盗み、開発作業に利用したとしてUberwo提訴。

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(写真Source: Google Mapより)

Google自動運転車の進化

右折しようとして、右側車線のさらに右側を徐行排水口の周囲の砂袋のために通行できず停止

右側車線の中央に戻るべく、ウインカーを出し、数台やり過ごした後に、時速3キロで進んだ。後部から来た公共バスが譲らず、Google車がバスの横にぶつかり前輪とそのフェンダーが破損した。人身事故は無し。

テストドライバーもバスが譲ると思い、自動運転モードのままであった。

この種の譲り合いに関する判断は、相手の出方の予測次第のところがあり、人間でも、AIソフトでも事故は起こる。NHTSAは、DSRCを安全基準(FMVSS)に入れることで、この種の事故を減らそうとしている。2016年1月12日にNHTSAは、ルールメーキングの提案を、大統領オフィス、OMBへ送付。Googleは、この時のデータをシミュレータで分析、ソフトを改善

Google自動運転車に起因する初めての事故(2016年2月14日発生)

GoogleのChris UrmsonのSXSWにおける発言:このような事故はある意味で、大事故を起こす前に自動運転システムソフトを改良する良い機会であるので、事故データをシミュレーションシステムで解析し、3500回テスト行い、この種の事故を2度と起こさないようにソフトの改良を行った。Googleでは、1週間に1万マイル公道テストを行うと同時に、毎月300万マイルのシミュレーションシステム上での走行を行っている。

参考

初めての事故が発生するも、譲り合いに関する判断が原因であり、Google自動運転技術のレベルの高さがあらためて示された。

テストが進むにつれ、接触事故防止の為の自動運転モードの解除件数が減ってきている。(前半7ヶ月10件⇒後半7ヶ月⇒3件)

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モビリティ・観光

Uberオンライン交通網として、相乗りや高級車、SUVなどを含むタクシーサービスを提供。利用客からドライバーへの支払いも携帯アプリでUberが仲介するため、安心感に定評。今後はロジスティクス会社としてモノの輸送などにも取り組む構えを見せている。現在世界58カ国300都市でビジネス展開中、契約ドライバー数約20万人。2009年創業、本社:サンフランシスコ、社員数:約4000人時価総額680億ドル(2016年6月) 調達資金総額 125億ドル以上(2016年6月)代表的なライバル企業:Lyft(サンフランシスコ、GMと提携)、Sidecar(サンフランシスコ、GMが資産買収)、Didi Kuaidi(中国)、Ola Cabs(インド)

日本と異なりタクシーの便が良くない国々に急拡大中のUberは、タクシーのみならず物

流市場における可能性に期待大。家を貸したい人と借りたい人のマッチングを行うAirBnBなど新しいサービスが続々と登場している。

Airbnb

空き部屋(一軒家やアパートも含む)を借りたい人と貸したい人の仲介をするウェブサイト。両方から一定の手数料がAirbnbに支払われる仕組み。Airbnbが宿泊料金の支払いを仲介し、サポートもするため貸し手、借り手とも安心感を得られる。世界190カ国、34,000都市で150万件以上の宿を提供している。日本でも認められつつある“民泊”の大きな流れを創り出したAirbnbは6,000千万人以上の旅行者に活用されている。

2008年創業、本社:サンフランシスコ 社員数:約1600人時価総額:310億ドル(2017年4月時点) 資金調達総額:34億ドル(2017年3月時点)主要なライバル企業:Flipkey(ボストン)、HomeAway(テキサス)、Vacasa(オレゴン)など

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小売店舗ではロボットが店員に代わり、顧客の買い物の手伝いをする。企業はオフィスビルなどの警備でロボットの導入を始めた。

Fellow Robots

Fellow Robotsはシリコンバレーに拠点を置くベンチャー企業で、小売店舗向けに、買い物の手助けをするロボットを開発している。このロボットは2014年11月後半からホームセンター「Orchard Hardware Supply」で運転を始めた。日本ユニシスが代理店となり、日本でも導入が開始されている。

Knightscope

「Knightscope」が開発した「K5」はMicrosoftのシリコンバレー・キャンパスを警備。ロボットは夜間、キャンパス内を移動し、警備に当たる。ロボットにはカメラが搭載され、不審者がいれば、その模様を撮影し、警備本部に送信する。ロボットが、移動できるセキュリティカメラの役割を担い、犯罪防止に努める。

小売

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ドローンによる橋梁、鉄道、送電網などの監視オペレーションシステムの提供のみならず、上空から動画や写真を撮影して解析し、農業の精緻化に必要な詳細分析などバックエンドまでのサービスを提供するビジネスモデルも登場。

PrecisionHawk

PrecisionHawkのキャッチフレーズは、「データ収集からアクションへ」である。ドローンのハードウエア、目的により取り付けが変わる多様なセンサー群、収集したデータのクラウドでのマッピング、そしてデータ解析による診断と具体的なアクションの提案までの総合的な精密農業のソリューションを提供している。作物の数量、一本一本の生育状況、作柄の状況をシーズンを通し把握できる。暴風雨などの被害状況も正確に測定できることから、保険会社及び農家からも歓迎されている。ドローンを用いた精密農業で初めてドローンデータ解析アプリケーションストアーを開設している。これを通じてパートナーがそれぞれの得意分野のアルゴリズムを提供することになる。アプリストアーを通じて、すでに50以上のアルゴリズムを提供することが可能となっている。

出典 :PrecisionHawk

公共インフラ・建設

Skycatch

Web上でコマツとの協力関係を強調し、ネパールの地震災害にも協力しているSkycatchは、サンフランシスコに本拠を置く、ベンチャー企業で、2014年、シリーズAで$13.4 Millionの調達に成功。Skycatchが提供するドローンは、自動航行で飛行し、バッテリを自動的に

交換するための、地上に設置するベースステーションを提供している。バッテリが無くなると自動的にベースステーションに戻ってくるように設計されている。 多様なセンサーによる地図の作成、メインテナンスのための監視などに利用され、ユーザは、鉱山、石油、ガス、風力発電機、太陽電池などの企業である。

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医療・健康分野

Proteus

Proteusは錠剤型IoTを口から飲み込み、体内から心臓の鼓動

数、睡眠状態などのあらゆるデータを分析し、スマートフォンでその情報を確認することができる。人だけでなく、牛、犬、猫などあらゆる動物に適応可能。Health techの市場高騰により、これまで様々なデバイス類が開発されてきたが、体内に摂取するタイプのものは無かった。Oracleや大手金融機関から合計$315.5Mを調達している。

ウェアラブル機器のみならず、体内に摂取する錠剤型タイプの診断機を開発するベンチャー企業や人工知能を応用して、画像解析結果から医師の癌診断をサポートするシステムも登場している。

Enlitic

Enliticはサンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業で、人工知能を医療に応用したシステムを開発している。システムはX線写真、MRI、CTスキャン、顕微鏡写真などのイメージデータから細胞の異常を判定する。Deep Learningの手法で、イメージデータの中にガンが存在するかなどを判定する 。製品の基礎研究はスタンフォードで行われ、Enliticがこれを製品化した。累計投資額は$5M。

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Page 11: IT利活用と人材育成 (IT業界の課題と施策展開)Ÿº調...1. 2016年12月、グーグルの自動運転プロジェクトが独立して‘Waymo‘となった。2

IoTビッグデータ

AI

第四次産業革命

人口減少・少子高齢化・製造現場における「匠の技」の伝承・工事・インフラの安全確保や建機自動化

医療・介護費の増大・個人特性に合わせた医療の提供・ロボットによる介護負担の軽減

地域経済の活性化・データに基づく農業の生産性向上・きめ細かなおもてなしによる観光活性化

エネルギー制約・家庭・工場のエネルギーマネージメント・物流・流通の効率化

IoT・ビッグデータ・AIが日本の直面する社会課題を解決する可能性

人の能力を補完 ⇒ より創造的な仕事に移行し、担い手不足を解消。個人の趣向に合わせた製品やサービスの提供 ⇒ 国民生活の質の向上。関連情報の見える化 ⇒ 生産性、効率性の飛躍的な向上。

日本は「社会課題先進国」

世界有数の大容量通信ネットワーク・ブロードバンド普及率世界第2位

日本には高いIoTのポテンシャル

レセプト(診療報酬明細書)の電子化・電子化率98%以上

成長可能性の高い産業・製造業、ヘルスケア、農業 等

スマートメーターの普及・2024年までに全世帯導入

すべてがネットワークで連結(IoT)実社会のあらゆる事象・情報がデータ化、ネットワークを通じて自由にやりとり可能に

大量の情報(ビッグデータ)分析集まったビッグデータを分析し、新たな価値を生む形で(様々に)利用が可能に

人工知能(AI)の発展機械が自ら学習し、人間を超える高度な判断が可能に、その成果は広範に社会に適用

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データによる新たな社会の創造を目指す企業①

エアロセンス・ALSOK・セコムエアロセンス・ALSOK・セコムドローンカメラを活用した建築の施工管理等ドローンで建設現場を上空から撮影。高層ビルディング建設現場で、鉄骨の施工状況を確認し、クラウド上で設計図と照合することで建設工事の安全性を担保。

<建材の在庫を上空から撮影>

危険の伴う作業からの開放

人間の果たす役割・機能自体も変化

エクスメディオエクスメディオ

AIを活用した皮膚病診断支援システムの開発提携皮膚科医を活用し、スマホアプリを通じて送られた患部の写真と問診情報をもとに、無料で皮膚病の診断支援サービスを提供する「ヒフミル」を開発。

AIが医師の診断をサポート

AIを活用する診断支援システムの迅速な医薬品医療機器法の審査

○課題 ○課題

ロボットタクシーロボットタクシー

無人のタクシーサービスの実現車の周囲の状況の把握等の自動運転に関する技術活用により、将来的には、無人のタクシー事業の実現を志向。空港と都内を結ぶ特定区間での実施を目指している。また、同技術はドライバー不足に悩む地方のバス等の公共交通機関の維持にも貢献が期待。

人々の移動・生活のあり方を変革

自動走行に関し、道路交通法、道路運送車両法や、国際条約における制度的手当

○課題目視外飛行、長距離通信、衝突防止、利活用促進などに対する制度的手当

11出所:第2回官民対話 冨山氏提出資料

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データによる新たな社会の創造を目指す企業②非連続なカスタマイズの世界へ

セーレンセーレン消費者ニーズに応じた迅速な個別化生産の実現顧客が、自分好みの生地やデザインを組み合わせたデータから、タイムラグなくプリントし、最終製品にする独自のシステム「ビスコテックス」を開発。アルミ、木板、窯業材料などにも応用可能。

あらゆる製品でテイラーメイド品が量産品と変わらない価格に。

将来、消費者が製造に関与するようになった場合、製造物責任の在り方

○課題 ○課題

テルモテルモレセプト・健診・健康データ活用による生活習慣病の予防

レセプト健診データ

活動量歩数バイタル

個別化された健康サービスで健康寿命を延伸。

○課題改正個人情報保護法に基づく、医療・健康情報の提供及び利活用の在り方に関する整理

参加社員の同意のもと、日常の運動等の健康データを活用し、肥満症状などの健診データと組み合わせて、ウォーキングによる健康改善の効果等を分析し、健康増進・生活習慣病予防につなげる。

リクルートリクルート理解度に合わせた学習(アダプティブラーニング)の提供

個別化・最適化された学習支援サービスで効果的な学習を実現。

レベル別、進捗度別に学ぶことが出来る様々なweb学習コンテンツを提供する学習プラットフォーム「受験サプリ」「勉強サプリ」を展開。更に、人工知能を活用して、個人の習熟度、苦手分野に応じた最適な学習のリコメンドを行うことも検討中。

○課題学校教育との連携や、学校における活用のためのインフラ整備。

12出所:第2回官民対話 冨山氏提出資料

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データによる新たな社会の創造を目指す企業③

DeNADeNA自家用車の稼働率を高める個人間カーシェアリング平均稼働率は約3%といわれる自家用車の個人間の共同使用をマッチングするAnyca(エニカ)事業を開始。

クルマの所有・利用のあり方を変革

社会に存在するあらゆる資源・資産が有効利用

ガイアックスガイアックス地元案内人の「シェアリング」による地方創生

地域の魅力を最も知る地元案内人と旅人をマッチングする観光サービス“TABICA(タビカ)”を展開。

地域シニア人材に活躍の場を提供

シェアリング文化の国民への浸透とサービスの普及

旅行者の安全確保と多様な観光サービスの両立

○課題 ○課題

13出所:第2回官民対話 冨山氏提出資料

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IoTの効果

自動走行

• 交通事故の減少• 交通渋滞の解消• 移動時間の有効活用• 高齢者の移動確保(消費拡大等)• クルマの稼働率向上

農業、観光

• 農業、食品産業等の効率化、付加価値の向上• 農家の高齢化による影響の回避• 地域資源の再発見、カスタマイズされた観光体験の

提供

医療・健康

• 予防サービスの普及に伴う生活習慣病の低減• 健康寿命延伸に伴う介護負担の軽減• 創薬、医療機器の開発加速による医療の高度

化・効率化

製造現場、流通・物流・インフラ

• 製造プロセスの効率化、付加価値の向上• メンテナンス(補修)の効率化• 顧客・製品情報の収集によるサービス等の品質

の向上• 在庫管理の改善• エネルギー消費の低減

アクセンチュア社の試算では、2030年には、IoT市場は世界全体で約1,670兆円、日本では131兆円。シスコ社の試算では、2013年から2023年までの企業の経済価値(資産の有効活用、従業員の生産性向上、サプライチェーンの効率化、イノベーションの加速等)として全世界で1,440兆円、日本では87兆円。

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リアルデータの利活用の重要性第4次産業革命では、「データ」の利活用が付加価値の源泉に。

バーチャルデータWeb(検索等)、SNSなどのネット空間での活動から生じるデータ→海外のIT企業がプラットフォームを支配(グーグル、アマゾン、アップル等)

リアルデータ健康情報、走行データ、工場設備の稼働データ等、個人・企業の実世界

での活動についてセンサー等により取得されるデータ→うまく対応すれば、日本でプラットフォームを獲得できる可能性

リアルデータには、各企業の競争上の機密となるデータと、協調してビッグデータ化する方がメリットが大きいデータとが存在。「協調領域」と「競争領域」を峻別し、事務所・企業・系列の枠を超えてデータを共有・活用する 「プラットフォーム」の形成が鍵。

第一幕

第二幕

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第4次産業革命の2つのシナリオ~日本は今、「分かれ目」~

第4次産業革命

データ利活用の企業・系列・業種の壁、自前主義の温存データのプラットフォームを海外に依存労働市場の固定化既存産業の温存従来の人材教育の継続

AI等技術革新・データを活かした新たな需要の発掘・獲得→革新的なサービス・製品の創出企業や系列の壁を越えたデータプラットフォーム形成柔軟な労働市場、外国人の活用産業の新陳代謝データ活用を軸とした人材教育システムへの転換国際的なネットワークの核に

(人材、技術、資金、データ)

海外のプラットフォーマーが付加価値を吸収そのプラットフォームの上で、我が国産業が下請け化、ジリ貧中間層の崩壊・二極化(機械化・デジタル化による雇用機会の喪失、賃金の低下)ハード中心の漸進的イノベーションに留まる

新たなサービス・製品創出による社会課題の解決、グローバルな市場・付加価値の獲得労働力人口減少を補う生産性向上、賃金上昇中小企業や地域経済にも果実波及一方で、産業の再編、雇用の流動化ソフトも含めた破壊的イノベーションの実現

【現状放置シナリオ】 ~産業・雇用の縦割り温存~

【変革シナリオ】~産業・雇用の転換・流動化~

痛みを伴う転換をするか、安定したジリ貧を取るか転換するならスピード勝負

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1.ITが創造する未来

2.IT産業に関する施策・IoT推進ラボ・人材育成(セキュリティ、先端人材)・その他

目次

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企業連携支援資金支援 規制改革・標準化等

Lab Selection(先進的IoTプロジェクト選考会議)→テーマを区切らず、個別企業・短期的取組を支援・IPA,NEDOによる開発・実証支援(委託費)

・金融機関,ベンチャーキャピタルによる出融資

・グレーゾーン解消制度、企業実証特例 等

・メンター(相談者)派遣

Lab Demonstration(テストベッド実証)→テーマ別に複数企業を巻き込んだ中長期的実証

・FS調査(テーマ募集・公募)

・テストベッド実証(公募)

規制改革・ルール整備等

Lab Connection(ソリューション・マッチング)

→テーマ別に企業、団体、自治体等をマッチング※創出したPJは、必要に応じて資金・規制等支援へ

ビッグデータ分析コンテスト

→テーマ別のアルゴリズム開発コンテスト

短期的プロジェクト~中長期的プロジェクト

グローバル版

グローバル版IoT推進ラボ→テーマを区切らず、海外ベンチャー企業とラボ会員をマッチング。※創出したPJは、必要に応じてLab Selection、Lab Connection等へ

地方版

地方版IoT推進ラボ→IoTビジネスの創出を推進する地域の取組を「地方版IoT推進ラボ」として選定、地域単位でマッチング、プロジェクト(商品開

発、イベント等)、実証試験等を実施。※創出したPJは、必要に応じてLab Selection、Lab Connection等へ

18

CEATECとの連携(Selectionファイナリストの展示、分野別Connection実施、グローバル版マッチング実施 等)

○IoT推進ラボでは、①個別企業の短期的な尖った取組支援「Lab Selection」(資金・メンター・規制手続支援)と、②複数企業の中長期的な社会実装を見据えた取組支援「Lab Demonstration」(テストベッド実証・規制/ルール改革)を柱に、③①、②を生み出すための企業連携支援「Lab Connection」を定期的に実施。

○こうした①~③の活動を、 地方やグローバルにも展開。 CEATECとの連携も含め、対外的プレゼンスを高め、地方発のプロジェクト創出や、グローバル企業との連携等も推進。

IoT推進ラボの取組の全体像

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★グランプリ★(株)Liquid

~指紋による訪日観光客の個人認証(決済・本人確認)~

指紋のみで個人認証を可能とする生体認証システムを開発。人工知能を用いて指紋を特徴ごとに分類することで、現在100万個の認証に数百秒かかるものを0.05秒で実現。2本の指で認証することで誤認リスクを1兆分の1に。本プロジェクトでは、プリンスホテル等と連携し、訪日観光客向けに、ホテル、店舗における指紋のみ(パスポートやカード不要)での本人確認や決済等を行う実証を実施。

★準グランプリ★(株)aba

~点滴栽培の水と液肥を最適制御する農業システム~世界的に普及が拡大する点滴栽培について、水や液肥の与え方を最適に制御するシステムを明治大学との産学連携により開発。ハウス栽培では12品目に導入し、収穫量が平均25~30%増加。1年での投資回収を実現。かん水や施肥の作業時間を90%削減。本プロジェクトでは、より市場規模の大きい露地栽培への拡大を目指す。また、点滴栽培のハードウェアの世界最大手ネタフィムと連携し、グローバル展開を目指す。

★準グランプリ★ルートレックネットワークス(株)

介護負担軽減を実現する排泄検知シートLifi~

パラマウントベッドと共同で、におい成分から被介護者の排泄を検知し介護者に通知するシステムを開発。におい成分と排泄パターンの学習により施設環境や個人の差異も踏まえた検知を実現。適切なタイミングでのおむつ交換や、排泄パターンを踏まえた事前のトイレ誘導なども可能に。これまで定時交換時のおむつ確認によっていた排泄検知を本システムで自動化することで、介護者の負担軽減と被介護者の生活の質の向上を同時に実現。

総申請数522件の中から、第1~3回で37件のファイナリストを選出。1次・2次審査を経て選ばれた28件のファイナリストが公開プレゼンを行い、特に優秀なプロジェクトを表彰。

IoT Lab Selection 受賞プロジェクト

★審査員特別賞★エブリセンスジャパン(株)

~企業ビッグデータや個人データの取引を仲介するシステムによりデータ取引のプラットフォーマーを目指す~ 19

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~画像及び問診データによる眼科疾患識別技術~非眼科医向けに、画像及び問診データによる眼科疾患の自動識別・診断支援を可能とするAIを開発し、モバイルアプリ 『メミルちゃん』へ搭載する

★審査員特別賞★(株)エクスメディオ

20専門医非専門医

★準グランプリ★(株)フェニックスソリューション

~世界初! 金属の裏側でも読取可能なRFID~

同社の開発したRFID技術は、汎用リーダーで金属対象物、特に金属の裏側、積層状態でも読み取り可能な特殊金属タグ(電池不要)である。金属製資材を多用する製造業、建設業、リース業、物流やインフラ施設などで、業務効率改善、管理コスト削減が期待できる。(用途例:金属製パレット、カゴ車、ボンベ、建設仮設足場など)サプライチェーンへの応用や、センサー、ドローンとの連携で更なる用途拡大を目指す。本技術は世界初の独自技術であり、多品種開発により、世界的な大量普及、金属製品のIoT実現を目指す。

金属

RFIDタグ金属の裏でも読取可能

~ドローンの都市内安全飛行の実現に向けた3次元地図情報の実証プロジェクト~

同社は、ドローン活用の究極形態である「都市部等の有人地帯での目視外飛行」(レベル4)実現の基盤となるドローン自動飛行支援システムを開発を目指している。今回は、その一環として、推奨飛行ルートや障害物などを含む「空の3次元地図」の実現や、ドローンプローブ情報の収集・解析によるルート離脱のリアルタイム把握等によって、有人地帯におけるドローンの安全な飛行を可能とする技術の確立等を目指す。

★準グランプリ★(株)ゼンリン

★グランプリ★ユニファ(株)

~保育園内見守り業務のデジタル化支援~経験の浅い保育士でも園児を安全に見守ることができる保育園向け業務支援を、スマートフォン/センサー/ロボット等のテクノロジーを駆使することで実現。具体的には、業務負荷の大きい手書きのアナログ書類のデジタル化(お便り帳・午睡チェック表・検温表等)や死亡事故に繫がり得る園児のお昼寝中の見守り業務支援(動画カメラ/ベッドセンサー活用)のサービスを開発。

→グレーゾーン解消!

20IoT Lab Selection 受賞プロジェクト

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グランプリCoaido株式会社

審査員特別賞合同会社Keychain

東京を救命ワースト都市から救命先進都市に「Coaido119」は、発見者がアプリから119をすることで①救急車の要請、②周囲へSOSを発信、③周囲のAED設置施設の固定電話への一斉に架電を同時に行う、患者の発生情報を確実に伝達し、AED使用率を大幅に向上することで、世界最高のAED設置環境をもつ東京都を救命。

~ブロックチェーンによるIoT分散認証プラットフォーム~

今後、IoTデバイスの爆発的な拡大において、デバイスの認証はサイバーセキュリティの大きな課題。ブロックチェーン技術を活用してIoTの基盤となるデバイスの分散認証を大幅に低コストで実現。デバイスからのデータの信頼性確保やデバイスがハッキングされにくいプラットフォームを開発。

準グランプリ準グランプリ小林博樹(東京大学空間情報センター)

野生動物装着センサ網による時空間情報ネットワーク野生動物の習性を利用して、省電力での非接触データ収集・回収、給電等を行うシステムの研究。家畜の伝染病対策、地雷探知支援など、これまでデータ収集が困難であった、電源・情報・道路インフラが存在しない区域での利活用を目指す。

IoT Lab Selection 受賞プロジェクト

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申請者 プロジェクト名求める支援内容

資金 メンター 規制

★グランプリ★ 株式会社Liquid 指紋による訪日観光客の個人認証(決済・本人確認) ○ - ○★準グランプリ★ 株式会社aba 介護負担軽減を実現する排泄検知シートLifi ○ ○ -★準グランプリ★

株式会社ルートレック・ネットワークス点滴栽培の水と液肥を最適制御する農業システム

○ ○ -

★審査員特別賞★

エブリセンスジャパン株式会社日本発のデータ取引所を日米でビジネス化

○ ○ △

オムロン株式会社 センサー・データがリアルタイムに流通する取引システムの構築 - - △

ZEROBILLBANK LTD ブロックチェーンを活用して、個人のアイデア・行動を目に見える価値(コイン)に変換 ○ ○ △

株式会社ホットリンク 日本発SNSビッグデータのグローバル・プレイヤーに ○ - -株式会社Strobo 圧力センサーにより身体状況を見える化するスマートチェ

ア ○ ○ -

ビーサイズ株式会社 IoT向けの新たな通信事業の実現 ○ ○ △株式会社アフロ 「スマートフォンによるタクシーの業務効率化 ○ - ○株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ 利益と社会性を両立する資産運用アドバイスが誰でも利

用できる自動システム ○ ○ -

北海道大学大学院情報科学研究科 健康データを活用した個別医療サービスの実現 ○ - ○株式会社Cerevo 安価なホームセキュリティの実現 - - ○ソニー株式会社 IoT時代に対応したプロジェクターの実現 - - ○ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム(WiPoT)

長距離マイクロ波無線送電システムの実用実証- - ○

アルカデア・システムズ株式会社 身体状況に応じた個別運動プログラム ○ - -

IoT Lab Selection(ファイナリスト一覧)

△・・・今後、ビジネスモデルが明確化してきたタイミング等で、ルール整備や規制支援改革等を希望。 22

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~ 第2回 IoT Lab Selection ファイナリスト一覧 ~事業者名 プロジェクト名

支援要望規制等

資金 メンター

★グランプリ★ユニファ株式会社

保育園内見守り業務のデジタル化支援 ○ ○ ○

★準グランプリ★株式会社フェニックスソリューション

世界初 ! 金属の裏側からでも読み取り可能なRFID ー ○ ○

★準グランプリ★株式会社ゼンリン

ドローンの都市内安全飛行の実現に向けた3次元地図情報の実証プロジェクト ー ○ ー★審査員特別賞★株式会社エクスメディオ

画像及び問診データによる眼科疾患識別技術 ー ○ ○

株式会社オリィ研究所 分身ロボットOriHimeによる存在伝達社会の実現 ○ ○ ○GNN Machinery Japan 株式会社 生コンクリート品質連続管理システム(スマートアジテーター) ○ ○ ○株式会社ディー・エヌ・エー 地域消費エコシステムを強化する買い物代行サービスの実現 ○ ○ ー株式会社smart-FOA 日本の製造業を底上げするIoT時代のデータフロー型情報基盤「FOAシステム」 ー ○ ○コニカミノルタ株式会社 非接触呼吸センシングによる在宅医支援システム ー ○ ーエアロセンス株式会社 安全・簡便・高精度な3Dモデル化オペレーションの実現 ○ ○ ー株式会社JVCケンウッド 呼吸音の自己記録による健康管理・遠隔診断サービスの構築 ○ ○ ー株式会社スペースマーケット

場所のシェアリングビジネスによる地方創生実現とマイクロアントレプレナーの創出 ○ ○ ○

株式会社ABEJA IoT化社会に向けた雑多なデータを包括的に管理可能なデータシステムの研究 ○ ○ ○23

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(株)Liquid ~指紋による訪日観光客の個人認証(決済・本人確認)~指紋のみで個人認証を可能とする生体認証システムを開発。人工知能を用いて指紋を特徴ごとに分類することで、現在100万個の認証に数百秒かかるものを0.05秒で実現。2本の指で認証することで誤認リスクを1兆分の1に。本プロジェクトでは、大手ホテル等と連携し、訪日観光客向けに、ホテル、店舗における指紋のみ(パスポートやカード不要)での本人確認や決済等を行う実証を実施。

IoT Lab Selectionを踏まえて、4件の規制支援が進捗

Liquidが開発した指紋認証システムによるチェックイン時のパスポート確認の扱いが明らかに

(株)アフロ ~スマートフォンによるタクシー業務効率化~スマートフォンにタクシーメーター機能を実装するアプリケーションを開発。車に接続して走行距離情報を取得し運賃計算を行うだけでなく、現在、手作業の日報業務(乗車記録)の自動化や、各タクシーの運行状況(場所、乗客の有無等)の即時把握による運行業務効率化の実現など、高度な機能を専用器の作り込みよりも遥かに低いコストで実現。

タクシーメーターの具体的な「電子的封印」の要件を明らかに

ソニー(株) ~IoT時代に適した表示デバイスの開発・事業化~焦点合わせが不要(フォーカス・フリー)であり、IoT社会において有用な表示機器として考えられるレーザー方式の表示デバイスの商品化を目指す。

消費生活用製品安全法にかかる省令を一部改正

グレーゾーン解消!

グレーゾーン解消!

ファイナリストの具体的な進捗状況(規制見直し) 24

ユニファ(株) ~保育園内見守り業務のデジタル化支援~業務負荷の大きい手書きのアナログ書類のデジタル化(お便り帳・午睡チェック表・検温表等)や園児の見守り業務支援(動画カメラ/スマートベッド等のセンサー活用)のサービスを開発。経験の浅い保育士でも園児を安全に見守ることができる保育園向け業務支援を、スマートフォン/センサー/ロボット等のテクノロジーを駆使することで実現。

児童福祉法に基づく「帳簿書類」等のデジタル化が可能か明らかに グレーゾーン解消!

24

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スピード感のある規制改革等• 11月5日に「未来投資に向けた官民対話」を開催。• IoT推進ラボ 冨山座長、及び民間企業3社から、先進的なIoTビジネスの取り組みに

ついてプレゼンを行った。• そのうち、民間企業から自動運転、ドローン配達・施工管理、医療診断支援システムに

関する規制等の課題が示され、安倍総理は、企業から示された課題に対して、その場で具体的な方針を決定。関係閣僚に規制緩和等の検討について指示が出された。

● 無人自動走行による移動サービスや、高速道路での自動運転ができるよう、制度やインフラを整備。

1. 自動走行

3. 電波

●来年夏までに、使用できる周波数帯の拡大や出力アップなど、新たな電波利用の制度を整備する。

2. ドローン

●早ければ3年以内に、ドローンを使った荷物配送を目指し、利用者と関係府省庁が制度を協議する「官民協議会」を立ち上げる。

4. 健康医療●人工知能を活用した医療診断支援システムを医療の現場で活用できるよう、ソフトウェアの審査に共通して活用できる新たな指針を公表する。 25

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〈第二回の概要〉主 催: IoT推進ラボ 経済産業省後 援: 文部科学省、国立研究開発法人産

業技術総合研究所、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構

設計運営: 株式会社オプトホールディング実施期間: 2016年7月11日~2016年9月1日参加者数:150名応募件数:2,226件(複数応募可)

ビッグデータ分析コンテスト企業等から提供されたビッグデータとそれを活用したデータ分析の精度等を競うアルゴリズム開発コンテストを、学生を含め広く一般から参加を募り、参加のしやすいオンライン形式で実施。産業界の課題・データを対象にデータ分析を行うことにより、優秀なデータサイエンティストの発掘やデータ提供企業等とのマッチング・育成を目指す。第1回(2015年12月~1月)は観光をテーマに観光客数予測のアルゴリズム開発を、第2回は流通・小売(売上予測のアルゴリズム開発・新商品開発)で実施。

ナチュラルローソンのオリジナル菓子の実際のデータを提供

26

【売上予測】○データから最新月の売上データの予測精度を競うもの【新商品開発】○データから30代男性が好む新たなお菓子の商品開発の提案を競うもの

→大学生、社会人が受賞

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社会実装に向けた制度整備 ( IoT Lab Demonstration)『IoT Lab Demonstration』は、複数企業の連携を前提として、既存ルールの見直しや、新たなルール・仕様作り等を必要とする中長期的取組に対して支援。①テーマ募集、②FS調査、③(必要に応じて)ソリューションマッチング、④本格実証、⑤評価・フォローアップのサイクルを回し、複数企業連携によるプロジェクト創出、ルール整備等の環境整備を推進することで、点から面へと展開。

27

ウェアラブル端末等により、活動量・体重・血圧等の情報を取得し、本人にフィードバックするとともに産業医・保健師等とも共有し、行動変容を促進。

プラント、インフラ等の老朽化等による事故を防止するため、ロボットやセンサ等によって各種データを収集、分析し、保安のためのノウハウを得る実証事業を実施中。産業保安の取組は多くの企業で共通しているため、コンビナート内の企業連携等による、データ共有の進展・効果が期待される。

センサ等によるデータ取得(振動、音、変位、温度、運転状況等)

データを蓄積・分析し、保安のためのノウハウを得る

実際の保安に活用(安全性の向上、コストの低減)

データ転送

健康・医療情報等を活用した行動変容促進 プラント保安

健康診査

健康診査

悪化した場合にはアラートを通知

(アラート情報)

要精密検査

現状が視覚化され継続しやすい

(モニタリング情報)

改善

健康情報取得

健康情報取得

健康情報取得

健康情報取得運動指導

継続支援

日々の自分の状態が不安。医師に相談

保安力に応じて「スーパー認定事業所」を認定し、法定検査頻度の緩和といった優遇措置を講じる制度整備など。

制度整備 制度整備

例えば、健康的な生活習慣の者には保険料を優遇するなどのインセンティブを付与し、社会保障費の適正化につなげる。

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地方版IoT推進ラボに対するサポート1. 「地方版IoT推進ラボ」マークの使用権付与

2. メルマガ、ラボイベント等によるIoT推進ラボ会員への広報

3. 地域のプロジェクト・企業等の実現・発展に資するメンターの派遣

※その他、事業の進捗状況に応じて、協力企業による支援や各種助成制度との連携を検討。

地方版IoT推進ラボについて

選定の基準(地方版IoT推進ラボ3原則)

1. 地域性2. 自治体の積極性と継続性(自立

化シナリオ、キーパーソン)3. 多様性と一体感

IoTビジネスの創出を推進する地域の取組みを、地方版IoT推進ラボとして選定。

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「地方版IoT推進ラボ」の第一弾選定

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• 「地方版IoT推進ラボ」として7月31日に29地域を選定。今後、メンター派遣などIoT推進ラボと連携し、全国でIoTの取組を盛り上げていく。

(選定された29地域)北海道札幌市/北海道釧路市/北海道士幌町/宮城県/福島県会津若松市/茨城県/富山県石川県/石川県加賀市/福井県/長野県伊那市/岐阜県/静岡県/愛知県/三重県/京都府京都市/大阪府大阪市/兵庫県神戸市/奈良県/和歌山県/島根県/広島県/高知県福岡県/福岡県北九州市/福岡県福岡市/熊本県/鹿児島県/沖縄県

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第一弾選定地域の類型

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• 「地方版IoT推進ラボ」は大きく①支援型と②プロジェクト型が存在。各地域の特性・課題に合わせた多様な取組を選定し、支援を行っている。

支援型ラボ

自治体もしくは関係団体中心に構成され、IoTビジネスを行おうとする企業等を支援するラボ。

プロジェクト型ラボ

事業者中心に構成され、具体的な1つのプロジェクトを自ら実施するラボ。

(例)北海道士幌町・地元の士幌高校が所有する実証農場等にPSソリューションズが展開する農業 IoTデバイス「e-kakashi」を設置。収集した環境データを生物学的に分析解析することで、データを活用した栽培技術を生徒が身に付ける。それが科学的農業の実践となり、優れた農業人材の育成にも貢献する。・データを活用した栽培方法(=レシピ)を定式化することによって、高校生を通じ栽培技術の伝承、域内農家への横展開による地域全体の生産性向上を目指す。

ⅰ)ビジネスコンテスト型ラボプロジェクトに焦点を当て、その完成度や新規性について競わせ、優れたプロジェクトを支援・表彰するラボ。

ⅱ)人材育成型ラボ人材に焦点を当て、ラボ内で優れたIoT人材の育成を目指すラボ。

ⅲ)テストベッド型ラボラボ内企業が自由に実証に参加出来るテストベッドを用意し、トライ&エラーの中で優れたプロジェクトの創出を目指すラボ。

⇒地域で自立的に新たなIoTビジネスが創出されるエコシステムの構築を目指す

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【テストベッド型ラボ】

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【市のテストベッド化とICTオフィスによる産業集積】

■ 大阪府大阪市

【テストベッド型ラボ】

・IoT・人工知能・ビッグデータの技術進展により産業構造や社会構造が大きく変化する中、神戸経済の活性化を目指し、アクセラレーションプログラムの提供を中心とした、IoTスタートアップ支援を実施。

■ 兵庫県神戸市

・シリコンバレーでアクセラレーションプログラムの提供を行っている世界トップレベルのアクセラレータ(スタートアップの育成支援団体)である「500 Startups」のプログラムを日本で初めて誘致。国内外から多くの優秀な若い世代を集めて人の流れを生み出すとともに、神戸を起業しやすい街にすることを目指している。

地方版IoT推進ラボ先進事例①:ビジネスコンテスト型ラボ

アクセラレーションプログラムの提供・メンタリング・活動資金・デモデイの場

メンター派遣パートナー企業

スタートアップ

運営事業者

成長型起業家の輩出各分野のイノベ―ション惹起

・大阪市内は中小企業が98%を占める中、中小企業が稼ぐ力、競争力を得るためにIoTを活用した新たなビジネス・サービスを創出させるため、IoTビジネスに特化した起業家育成プログラム「AIDOR」を開始。

・情報電気通信分野の研究等を行っている国際電気通信基礎技術研究所、創業から事業継承までニーズに沿った支援を行っている大阪市都市型産業振興センターが中心となり、専門家のメンタリング等を行うことでビジネスをブラッシュアップ。大阪市における新規事業の創出やビジネスマインドの醸成より経済発展に寄与することを目指している。

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【市のテストベッド化とICTオフィスによる産業集積】【テストベッド型ラボ】

・地域課題の解決に資するIoTプロジェクトに対して、産・学・官・民・金からなる「e-PORTパートナー」によるノウハウ及び技術的支援や、実証実験の場の提供、資金的な支援、地域情報基盤の提供運用など、様々な視点からプロジェクト推進及び事業化を支援。

■ 福岡県北九州市

・特に地元のプロサッカーチーム「ギラヴァンツ北九州」のホームスタジアムとなる北九州スタジアム周辺で安川情報システム(株)、ヒューマンメディア財団等を中心ににぎわい創出実証事業を推進中。(2017年3月に完成予定)

・都心部にビーコン、センサーを設置し、にぎわい創出、人の流れの見える化による地域活性化、行政課題の解決に取り組む。

地方版IoT推進ラボ先進事例②:テストベッド型ラボ

北九州スタジアム(イメージ)

【テストベッド型ラボ】

・IT専門大学である会津大学の立地を強みに、IT産業の集積によって、東京以上の収入が得られる質の高い雇用による地域活性化を志向。

・「スマートシティ会津若松」として同市をデータ分析/活用のメッカとするため、下記を検討中。①市内に設置したセンサ等から取得されるデータを開放し(例:公共交通車両走行情報等)、事業者がビジネスへの活用可能性を検証可能とする市街のテストベッド化

②地域内外のIT企業・IoT関連企業が入居するICTオフィスの構築を検討

■ 福島県会津若松市

・なお、同市の取組に対しては、アクセンチュアが現地での拠点を設置し重点的に支援し、連携を主導。(現在30社以上に連携を打診中。) ICTオフィス(イメージ)※出典:会津若松市HP

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第二弾選定地域について

北海道函館市宮城県仙台市秋田県仙北市埼玉県千葉県神奈川県神奈川県横浜市神奈川県相模原市神奈川県横須賀市

第二弾については3月13日(月)のIoT推進ラボイベントにおいて、以下の全24ヶ所(11府県17市町)を選定。

山口県福岡県飯塚市・嘉麻市・桂川町佐賀県長崎県長崎県長崎市大分県宮崎県

(注)地方自治体主導の地域だけではなく、地域の民間組織が主導するケースも含む。 33

神奈川県藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町

新潟県石川県白山市福井県鯖江市愛知県名古屋市愛知県豊田市滋賀県大阪府

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地方版IoT推進ラボ 第二弾選定地域の概要①

■ 宮城県仙台市・センサー、クラウド、ドローンを得意分野とする3つのIoT関連団体と仙台市・東北大学IIS研究センターを軸とした産学官連携により、製造業、農業、水産業、食品加工業、卸売業などにおいて、IoTを活用した地域課題の解決に挑戦する。

・構成メンバーの取組として、漁協・企業・大学等が連携し、タラの超音波エコー画像から雌雄判別を行う機器の開発を進めている事例がある。

判別結果○:白子 ○:鱈子 ○:その他

画像提供:東杜シーテック株式会社

【テストベッド型ラボ】■ 秋田県仙北市 (図書配送)

(競技会の様子)

・日本最北の近未来技術実証特区として、ドローンの飛行実証や遭難救助、農業への活用に止まらず、地域事業者と情報産業事業者が連携し、数多くのIoT実証事業等を実施中。①ドローンによる図書配送実証実験②無人運転バス公道実証実験(協力企業:DeNA)③アジア7カ国が参加するドローン競技会「ドローンインパクトチャレンジアジアカップ」の実施

・2,400社以上の会員企業を抱えるIoT推進ラボと連携し企業とマッチングすることにより、実証事業で終わらせない、ビジネスとして「自立した事業」への深化を行い、労働人口減少などの地域課題を解決する産業づくりを進めていく。

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地方版IoT推進ラボ 第二弾選定地域の概要②

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■ 神奈川県横浜市・「IoT」「ビッグデータ(オープンデータ含む)」「AI」の産業利活用や新ビジネス創出を促進し、横浜経済の成長と社会課題解決への貢献を目指す取組として、

「I▫TOP横浜~IоTオープンイノベーション・パートナーズ~」を実施。①中小企業とIoT関連企業との交流・連携②個別プロジェクトのスタートアップ支援(データ活用ビジネス化支援も含む)・生産性の向上や販路開拓支援など中小製造業の導入支援プロジェクト・「ドローンフィールド」の整備による操縦者の育成と新規ビジネスの創出・大規模商業施設「横浜ワールドポーターズ」や「パシフィコ横浜」におけるロボット活用等

③地元大学と連携した中小企業のセキュリティ対策・人材育成支援 ドローンビジネスセミナー

生産工程の見える化

住民

行政企業等

大学

IoT

実空間データ収集データ利活用

地域課題データ公開情報力

サービス提供

行動変容

技術提供

(事業イメージ)■ 神奈川県藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町・藤沢市等がフィールドとデータを開放・提供し、慶應義塾大学SFC研究所のIoTデータ流通プラットフォームを介して、企業等が多種多様なリアルタイム情報と既存のオープンデータを活用して住民にサービスを提供する。様々な地域課題を解決することによって、住民のQOL向上を目指す。

・具体的には以下の情報を収集・解析することで、ビジネスベースで地域課題解決に資するサービスや製品の実用化を目指す。①清掃車によるゴミ・資源収集情報、大気情報、路面情報(路面標示の擦れ自動検出技術等の活用)②AI技術を用いた不法投棄物や落書等の識別・発見③地域特化型SNSによる高齢者を中心としたパーソナルデータ

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IT利活用拡大とともに、サイバー攻撃の脅威も増大。ーサイバー攻撃の事案は増加傾向ー攻撃の手口が巧妙化ー政府関係機関や企業への標的型サイバー攻撃(※)により、個人情報や重要技術等の情報漏洩

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【過去5年間に経験した重大なインシデント件数】

(出典)IPA「企業CISOやCSIRTに関する実態調査2016」より経済産業省作成

(※)ターゲットに対し、マルウェアに感染させるためのファイルを添付したメールを送り、開封させることにより、コンピューター上に保存されているファイルを窃取する攻撃

【攻撃の手口の巧妙化】

不正なプログラムによる感染(従来)メールに不正なプログラムを添付

(最近)ウェブサイトを改ざんし、閲覧するだけで、不正なプログラムが自動的にダウンロード

ID・パスワードの不正利用(従来)ID・パス入力を総当たり

(最近)取得済みのID・パスワードのリストを当てはめ、様々なサイトで成功率高く不正ログイン

37.3

10.432.8

11.96

1.5

0件

1件

2~5件

6~10件

11件以上

無回答

(%)n-66

6割以上の企業が過去に重大な

インシデントを経験

サイバー攻撃の脅威

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自動車へのハッキングよる遠隔操作 監視カメラの映像がインターネット上に公開

携帯電話網経由で遠隔地からハッキング

カーナビ経由でハンドル、ブレーキを含む制御全体を奪取。

人命にも関わる事故が起こせることが証明され、自動車会社は140万台にも及ぶリコールを実施。

セキュリティ対策が不十分な日本国内の多数の監視カメラの映像が海外のインターネット上に公開。(ID, パスワードなどの初期設定が必要)

利用者が気づかないまま、WiFi等を通じてインターネットに接続

攻撃者攻撃者

IoTの新たなセキュリティ上の脅威

IoTでは、これまで接続されていなかった自動車やカメラなどの機器が、WiFiや携帯電話網などを介してインターネットに接続されることにより、新たな脅威が発生し、それに対するセキュリティ対策が必要となった。

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何者かが石油事業者のネットワークに侵入。パイプラインの圧力を高めて爆発。

毎秒約1万件の不正通信。開会式会場の電力システムへの攻撃情報。手動に切り替え。

発電所の制御システムがウィルスに感染。制御システムが約5時間にわたって停止。

何者かが製鉄所の制御システムに侵入し、不正操作をしたため、生産設備が損傷。

マルウェアの感染により、変電所が遠隔制御された結果、数万世帯で3~6時間にわたる大停電が発生。

発電所へのサイバー攻撃(ウクライナ、2015年)

38

近年は社会インフラを標的として物理的なダメージを与えるサイバー攻撃のリスクが増大。テロリストや他国家からなされるサイバー攻撃には、産業界に直接攻撃がなされ、大規模停電のような国民の生命や財産を脅かす明確な意図を持って行われるものがある。このため、国民の安全の確保に責任を持つ政府と、インフラの安定的な運用に責任を持つ事業者が連携し、対策に取り組む必要がある。

原発の制御システム停止(米国、2003年) 石油パイプラインの爆発(トルコ、2008年)

ロンドン五輪への攻撃(イギリス、2012年) 製鉄所の溶鉱炉損傷(ドイツ、2014年)

社会インフラを狙った攻撃の増加

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IT・データ人材を巡る現状と将来

• IT人材は2015年現在で約17万人が不足し、2030年には約79万人が不足すると推定される• AI・IoT・ビッグデータにより、先端IT技術に関する市場は拡大する見込み

IT・データ人材の需給に関する推計

深刻な人材不足の推計

現 在:約17.1万人不足2020年:約36.9万人不足2030年:約78.9万人不足

経済産業省 平成26年度補正先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(報告書概要版)」より

人材不足が深刻化するため、多様な人材の活用、スキルアップ支援による生産性の向上が急務

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2017年度未踏PM

竹内 郁雄 氏東京大学名誉教授

夏野 剛 氏慶應義塾大学大学院特別招聘教授

首藤 一幸 氏東京工業大学准教授

石黒 浩 氏大阪大学教授(特別教授)

藤井 彰人 氏KDDI株式会社副本部長 兼 クラウドサービス企画部長

竹迫 良範 氏株式会社リクルートマーケティングパートナーズ専門役員

五十嵐 悠紀 氏明治大学専任講師

人材施策① 若手IT人材の育成(未踏IT人材発掘・育成事業)• 突出したITの能力を持つ人材の発掘・育成を目的に、25歳未満の天才的な個人を対象

に開発費を支援、9か月間の独創的なソフトウェア開発に挑戦。産学界のトップで活躍する方をプロジェクトマネージャー(PM)として登用、PM独自の観点で天才を発掘・育成。

• 2000年の事業開始以降培われたコミュニティ等を活用して、事業化・起業支援の人材育成プログラム「未踏アドバンスト」を創設し、シード期の資金供給不足や、大企業発のイノベーション創出の難しさなどの課題に対応していく。

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<参考> 未踏卒業生による起業・事業化の事例IPAにおいて、2000年の事業開始以降、のべ1650人の未踏IT人材を発掘・育成。1650人のうち、約255名が起業・事業化を行い、産業界の第一線で活躍している。

西川 徹氏2005年度未踏採択(株)プリファードインフラストラクチャー代表取締役

ビッグデータをリアルタイムに処理する世界最高水準の技術を開発

自動運転等の実現に向けた、人工知能の研究開発に着手

落合 陽一氏

2009年度未踏採択筑波大学助教Pixie Dust Technologies .IncCEO

メディアアート作品の研究、制作により「現代の魔法使い」と呼ばれる

人型ロボット用のOSとも言える制御ソフトウェアV-Sidoを開発

吉崎 航氏2009年度未踏採択(株)V-Sido代表

鈴木 健氏2002年度未踏採択スマートニュース(株)代表取締役会長

ニュースキュレーションアプリの開発

福島 良典氏

2012年度未踏採択(株)Gunosy創業者代表取締役CEO

ニュースキュレーションアプリの開発

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高度複雑・高度化するサイバー攻撃に適切に対応するため、若年層のセキュリティ人材発掘の裾野を拡大し、世界に通用するトップクラス人材を創出することが必要。官民一丸となって、若年層セキュリティ人材の育成合宿を開催し、倫理面も含めたセキュリティ技術と、最新ノウハウを、第一線の技術者から伝授する場を創出。これまで累計で581名が受講。2017年度は規模を拡充して実施予定。

人材施策② 若手IT人材の育成(セキュリティ・キャンプ)

清水郁美さん2015年修了(15歳)

毎年夏に、米国ラスベガスで開催される世界最大のハッカーの祭典「DEFCON(デフコン)。その目玉イベントのハッカー大会において、3位入賞を果たした。プログラミングや暗号解読をはじめとしたサイバーセキュリティ分野の技術力と知識を、150名以上の大人達に交じって勝ち抜き、セキュリティ・キャンプ修了生が有する高い技術力を発揮した。

セキュリティ・キャンプ卒業生の例

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IT人材の能力向上及び人材流動化を図るため、各企業の企業戦略や人材育成活動等に応じて求められるITスキルを明確化することが重要。また、日本再興戦略2016(平成28年6月2日閣議決定)において、「第4次産業革命に対応したIT技術者の能力評価を行うためのスキル標準の整備を行う。」とされている。

新たなスキル標準を策定する一環として、主に従来ITSSが対象としている情報サービスの提供やユーザ企業の情報システム部門に関わっている既存の人材が、「セキュリティ領域」や「データサイエンス領域」のスキル強化を図るための“学び直し”をするための指針として、“ITSS+(プラス)”を平成29年4月7日に公開。

更に4月以降、アジャイル型開発のような主流となりつつある開発手法や、第4次産業革命の中で普及が進む新技術に対応できるIT人材に焦点をあてた、新スキル標準の検討を継続していく。

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職種 マーケティング セールスコンサルタ

ントITアーキテクト

プロジェ クトマネジメント

ITスペシャリスト

アプリケーショ ン

スペシャリスト

ソフトウェ アデベロップメント

カスタマサービス

専門分野

マーケティングマネジメント

販売チャネル戦略

マーケットコミュニケーション

訪問型コンサルティングセールス

訪問型製品セールス

メディア利用型セールス

インダストリ

ビジネスファンクション

アプリケーションアーキテクチャ

インテグレーションアーキテクチャ

インフラストラクチャアーキテクチャ

システム開発

ITアウトソーシング

ネットワークサービス

ソフトウェア製品開発

プラットフォーム

ネットワーク

データベース

アプリケーション共通基盤

システム管理

セキュリティ

業務システム

業務パッケージ

基本ソフト

ミドルソフト

応用ソフト

ハードウェア

ソフトウェア

ファシリティマネジメント

レベル7

レベル6

レベル5

レベル4

レベル3

レベル2

レベル1

ITスキル標準(ITSS)

伝統的な情報サービスの提供や情報システム(IS)部門に従事しているIT人材

学び直し

データサイエンス

セキュリティ

ITSS+

人材施策③ ITスキル標準の見直し

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<参考> ITSS+の活用について

■キャリア・フレームワーク■専門分野の説明

<セキュリティ領域の例>■専門分野の説明

ITSS+は、キャリアフレームワークとして、ビジネスの実状に沿うように専門分野を分類定義し、IT技術者個人の能力や実績のレベルに対して個人のスキルを評価する尺度を提供。セキュリティやデータサイエンス分野における企業内の「タスク(業務)」と、それを担うべき「専門人材」や「スキル」の把握、人材育成計画の立案、研修プログラムの開発を効率的に進めることが可能となる。

今後、セキュリティやデータサイエンス分野の専門家だけでなく、より多くの研修事業者や教育機関等においてIT人材育成の取組みが活発に行われるよう、各レベル毎に求められるスキルの達成方法がIT専門家以外の者にも理解しやすい内容としていく予定。

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情報処理技術者試験は約50年の歴史を持ち、毎年約40万人が受験する国家試験。最近では、情報セキュリティの重要性に鑑み、2016年から「情報セキュリティマネジメント試験」が創設された。情報セキュリティの専門人材を確保できるよう、人材の質の識別を容易にするとともに、専門人材へのアクセスを確保するため、国家資格「情報処理安全確保支援士」(RISS:登録情報セキュリティスペシャリスト、登録セキスペ)制度を創設するとともに、登録制度を整備。2020年までに登録者3万人超を目指し、講習の実施などに引き続き取り組んでいく。

情報処理安全確保支援士登録情報セキュリティスペシャリスト

2016年10月21日 情報処理の促進に関する法律施行

2017年4月 1日 経過措置により第1回登録で

4,172名のRISSが誕生4月16日 第1回試験(25,130名応募)4月17日 E-Learning講習開始6月下旬 集合講習開始予定

人材施策④ 国家試験・資格制度の活用

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2017年4月、IPAに産業サイバーセキュリティセンター(Industrial Cyber Security Center of Excellence,ICSCoE)を設置。電力、ガス、鉄鋼、石油、化学、自動車、鉄道、ビル、空港、放送、通信、住宅等の各業界60社以上から約80名の研修生を受け入れ、実践的な演習・対策立案等のトレーニングを行う。情報共有体制の強化など重要インフラ政策を実装させるには、重要インフラ事業者自身の能力強化が不可欠。センターは、各業界における中核人材の育成やリスク評価の実施等を進めることにより、戦略本部が目指す「国民が安全で安心して暮らせる社会の実現」に貢献していく。

模擬プラントを用いた対策立案情報系システムから制御系システムまでを想定した模擬プラントを設置。専門家とともに安全性・信頼性の検証や早期復旧の演習を行う。海外との連携も積極的に実施。

実際の制御システムの安全性・信頼性検証等ユーザーからの依頼に基づき、実際の制御システムやIoT機器の安全性・信頼性を検証。あらゆる攻撃可能性を検証し、必要な対策立案を行う。

攻撃情報の調査・分析おとりシステムの観察や民間専門機関が持つ攻撃情報を収集。新たな攻撃手法等を調査・分析。

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IPA産業サイバーセキュリティセン

ター

政府関係機関有名大学

ベンチャー企業

国内大学研究機関等制御システム

セキュリティセンター

海外

など

人材施策⑤ 産業サイバーセキュリティセンターの設立

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<参考>平成28年11月16日 第3回働き方改革実現会議 塩崎厚労大臣資料より抜粋

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人材施策⑥ 「第4次産業革命スキル習得講座認定制度(仮称)」の創設

第4次産業革命の下では求められる能力・スキルが大きく変化してくと考えられる中、産業界のニーズに対応した人材育成・教育が重要。特に、IT・データ分野を中心とした社会人向けの教育訓練のうち、専門性・実践性の高い講座を経済産業大臣が認定する制度を新たに創設する。

<IT・データ分野の例> <有識者検討会委員> (五十音順、敬称略)(座長)川田 誠一 産業技術大学院大学 学長

東 純一 富士通株式会社 執行役員五十嵐 悠紀 明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 専

任講師大久保 幸夫 株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究

所 所長金丸 恭文 フューチャー株式会社 代表取締役会長 兼 社長 グループ

CEO小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構 特任フェロー田口 潤 株式会社インプレス IT Leaders編集部 編集主幹 兼プ

ロデューサー室井 雅博 株式会社野村総合研究所 取締役宮原 良幸 株式会社ウチダ人材開発センタ 代表取締役社長

<スケジュール>4月25日 第1回検討会開催5月17日 第2回検討会開催※今後、6月までに1~2回の検討会を開催し、とりまとめ予定

① IT業界のIT技術者が、将来成長が見込める新しい技術・システムを身につける

② IT業界のIT技術者が、高度な(上級・応用)スキルを身につける③ ITを使った新しいビジネスを創造する、新たな付加価値を生み出す力を身

につける④ ITを活用することで、ものづくり等の産業の高度化につなげる力を身につける

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<参考> IT業界における柔軟な働き方に向けた取組IT業界では業界団体が中心となり、速やかに平均残業時間を1日1時間以内(月20時間以内)といった意欲的な目標で、長時間労働の是正に取り組んでいくとともに、週1日以上のテレワーク比率50%以上といった数値目標を設定して、テレワーク、副業・兼業、フリーランス等のワークスタイル、ライフスタイルにあった柔軟な働き方の実現に取り組んでいく。

業界の労働日数を20日分(総労働時間の1ヶ月分相当)削減※現状2,056時間から、速やかに1,978時間(残業時間では月20時間程度)、

その後1,900時間に(残業時間では月13時間程度)ICTを活用した働き方(テレワーク比率2020年20%以上)

働き方改革宣言の内容

JISA(一社)情報サービス産業協会

CSAJ(一社)コンピューターソフトウェア協会

JEITA(一社)電子情報技術産業協会

<ソリューションサービス事業委員会>

※4月6日に「働き改革宣言」を発表済み。

会員数:521社(法人)会 長:東京海上日動システムズ(株) 横塚裕志 顧問主な企業:NTTデータ、野村総研、TIS、インテック、

SCSK、新日鉄住金ソリューションズ、伊藤忠CTC

会員数:439社(正会員)会 長:(株)豆蔵ホールディングス

荻原紀男 代表取締役社長主な企業:サイボウズOBC、ワークスアプリケーションズ、

さくらインターネット、ヤフージャパン

委員長:富士通(株) 東純一 執行役員主な企業:富士通、日立製作所、NEC

長時間労働の根絶(現行水準は時間外労働時間月20時間程度)中小の会員向けテレワークガイドラインを作成2020年までにテレワーカー比率30%

平均残業時間を月20時間以下週1日以上のテレワーク比率50%以上

※3月31日に「ソリューションサービス事業における働き方改革の取組み方針」を発表済み。

※2月6日に「働き方改革宣言」を発表済み。

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