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1 LSI概論(4) LSIの製造フローと電気特性 VLSIセンター 藤野

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  • 1

    LSI概論(4)

    LSIの製造フローと電気特性

    VLSIセンター 藤野 毅

  • 2

    LSIの設計・製造工程

    設計工程

    CADデータ(レイアウトデータ)

    転写工程

    ドライエッチング

    成膜工程

    イオン注入

    前工程 (ウエハプロセス)

    ウエハ製造工程

    マスク製作工程フォトマスク(30枚程度)

    実装(アセンブリ)工程

    テスト工程

    後工程

    多数のトランジスタを作製して、

    相互に配線する

  • 3

    LSI回路設計工程

    システム設計

    LSIの仕様を決定する機能設計

    実現すべき機能をブロックごとに言語記述

    論理設計

    言語記述から論理回路(AND,OR)へ変換テスト設計

    LSIテスト回路を埋め込みレイアウト設計

    トランジスタを配置し相互に配線する

    *機能からレイアウト設計間で様々な検証が入る

    レイアウト設計のためにはウエハプロセスの理解が必須

  • 4

    レイアウトパターン(全体例)

    トランジスタ領域

    配線領域

  • 5

    レイアウトパターン例(詳細図)

    Vdd

    Gnd

    Out(1)素子分離形成 (2)ゲート形成

    In

    工程ごとにパターンを分離

    (3)コンタクト形成 (4)配線形成

  • 6

    マスク製作工程(1)

    工程ごとに分離したパターンを使って、下記のような構造のフォトマスクを形成する

    クロム(またはMoSi)薄膜(紫外線を遮蔽)

    6インチ(約15cm)

    石英ガラス基板(紫外線を透過)

    ~0.1μm

    ~0.5μm

    断面構造外観

  • 7

    マスク製作工程(2)

    パターンを形成するためには下記のような電子ビーム描画装置を使用する。

    電子ビーム描画装置外観(日立HL700)

    電子ビーム描画装置内部構造

  • 8

    パターンの転写と加工

    シリコン基板

    被加工膜

    フォトレジスト膜

    光照射後に現像液に浸すと光照射部が溶解する(ポジ型レジストの場合)

    光照射

    フォトマスク

    転写(リソグラフィー)

    レジスト膜塗布

    プラズマ照射

    加工(エッチング)

    レジスト膜除去

  • 9

    パターン転写原理と限界

    解像度Rは以下の式で表される光源(波長λ)

    ..ANkR λ⋅=

    コンデンサレンズ

    1/4~1/5

    解像度以下のパターンを作成するために下記の光近接効果補正が行われている

    kは0.6~0.8前後の転写プロセスによって決まる値,λは光源の波長,N.Aは投影レンズの開口数でありほぼ光源の波長(0.25~0.19μm)程度のパターンしか得られない

    フォトマスク

    投影レンズ(開口数N.A.)

    ステージ

    ステージを少しずつ動かして1つのウエハで数十回露光

    縮小投影露光装置の原理

    *シノプシス社資料より引用

  • 10

    パターン転写装置

    光転写装置(ステッパー)外観 光転写装置内部構造

    *栃木ニコンホームページより引用

  • 11

    ウエハプロセス工程(1)素子分離

    Vdd

    Out

    トランジスタの能動素子領域を作成する、隣接する能動素子間は電気的に分離される

    LOCOS (Local Oxidation of Silicon)法による素子分離形成

    In

    Gnd

    完成図素子分離形成

  • 12

    ウエハプロセス工程(2)ウエル形成

    Vdd

    Out

    トランジスタの能動素子領域に,Pch-トランジスタ領域はn型不純物を注入してNウエルに、Nch-トランジスタ領域はp型不純物を注入してPウエルにする

    P-ch Tr

    N-ch Tr

    In

    Gnd完成図ウエル形成工程

  • 13

    ウエハプロセス工程(3)ゲート電極

    Vdd

    Out

    トランジスタのゲートパターンを形成後,ソースドレイン電極を形成するために,Pch-トランジスタ領域はp型不純物を注入してP型に、Nch-トランジスタ領域はn型不純物を注入してN型にする

    P-ch Tr

    ウエル形成時とは逆の不純物を注入することに注意

    In

    N-ch TrGnd完成図ゲート形成

  • 14

    ウエハプロセス工程(4)配線工程

    Vdd

    Out

    本例は,第1層の配線までしか図示していない

    実際は,「絶縁膜の塗布⇒コンタクト開口⇒配線パターン作成」を何回も繰り返し,多層の配線構造が形成される

    コンタクト形成 配線形成

    (注) 2層以降の穴は、ビアホールまたはスルーホールと呼ばれる

    In

    Gnd

  • 15

    ウエハプロセス完了後の構造

    上層の配線ほど膜厚,線幅を大きくして配線抵抗を下げている

    Cu配線

    トレンチ分離

  • 16

    デザインルール

    レイアウト設計者は,プロセス部門から提示されるデザインマニュアルのルールを遵守してレイアウトを行わなければならない

    ルールを守っているかを計算機で確認するため,DRC (Design Rule Check)を行う:ケイデンス社のDraculaなど微細化に伴って,DRC以外にも近接効果補正,アンテナルール,CMP充填ルールなど様々なルールが必要になってきている。

    デザインルールの一例

    ③②

    【同一レイア間のルール】①素子分離の最小幅②ゲートパターンの最小間隔③ゲートパターンの最小寸法

    【異種レイア間のルール】

    ④素子分離領域へのゲートパターン寸法⑤ゲートーコンタクト間隔

  • 17

    配線抵抗の計算

    LSIのスピードを律速しているのは配線の抵抗と容量

    W:配線幅L:配線長さH:配線膜厚

    ・配線抵抗Rは下式で計算できる

    ρ××

    =WHLR

    L

    cmAl Ω≈ µρ 3)(H

    ・レイアウト設計者はHを変えられないので,シート抵抗ρsの方が使いやすいW

    □/1.0)( Ω≈Alsρ

    sWLR ρ×=

    通常,この値はデザインマニュアルに記載されている

    ・Alの膜厚が0.3μmの場合は下記の値となる

  • 18

    配線の容量

    配線は隣接配線,上下配線の間に寄生容量を持つ

    SL

    この値もデザインマニュアルに記載されるが,最先端のAl配線では通常0.1~0.5fF/μm程度である

    配線本数を少なくできるのであれば,

    (1)隣接配線間隔Sを広くすれば寄生容量を小さくできる

    (2)配線幅Lを太くすると,対上下配線の容量が増加するため容量は増加するが,抵抗は小さくなるため,信号遅延を小さくすることができる

  • 19

    信号の遅延モデル

    トランジスタが,容量と抵抗を持つ配線を経由して,次段のトランジスタのゲート容量を駆動している

    遅延時間

    Vdd

    0V

    Vdd

    0V0V0V

    0V

  • 20

    LSI中の様々な寄生容量

    LSI中には前スライドのほかに様々な寄生抵抗,寄生容量があるLSIの信号遅延の正確な計算には,これらの値を求めることが必要で,LPE(Layout Parameter Extractor)というCADツールが使われる

    ③①ソースドレイン容量

    ②コンタクト抵抗

    ③ゲート配線抵抗

  • 21

    寄生抵抗を低減するプロセス

    シリサイド:シリコンと金属の化合物⇒シリコンと金属の接触点の抵抗を低減例:WSi,TiSi,CoSi,NiSiサリサイド:トランジスタのゲート,ソース,ドレイン領域に自己整合的にシリサイドを形成する⇒Self Aligned Silicide

  • 22

    LSI中の容量素子・抵抗素子

    LSIで回路を構成する,受動素子としては,容量や抵抗素子も必要

    容量としてはMOS容量抵抗としてはシリサイド化しないN+,P+拡散抵抗拡散抵抗値はプロセスに大きく依存するが50~500Ω/□程度

    N型

    P+型

    LSI概論(4)LSIの設計・製造工程LSI回路設計工程レイアウトパターン(全体例)レイアウトパターン例(詳細図)マスク製作工程(1)マスク製作工程(2)パターンの転写と加工パターン転写原理と限界パターン転写装置ウエハプロセス工程(1)素子分離ウエハプロセス工程(2)ウエル形成ウエハプロセス工程(3)ゲート電極ウエハプロセス工程(4)配線工程ウエハプロセス完了後の構造デザインルール配線抵抗の計算配線の容量信号の遅延モデルLSI中の様々な寄生容量寄生抵抗を低減するプロセスLSI中の容量素子・抵抗素子