mr. bassman (ベースマン列伝) vol. mingus 【チャールス・ミンガス】 profile...

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The Walker 24 The Walker 24 Mr. Bassman Vol.5 Charles Mingus Profile NY : http://www.mingusmingusmingus.com/ Stations Of The Elevated Manny Kirchheimer Stations Of The Elevated (RHAPSODY FIRMS) DVD NY tp, tb, sax, p, b, ds ~ Tonight At Noon Mingus Archives

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The Walker 24The Walker 24

Mr. Bassman (ベースマン列伝)  Vol.5ジャズにおいてベース弾きとは、 縁の下の力持ち、 水先案内人といったやや日陰の存在。 おまけに、 ウッドベースなら持ち運びも大変・・・。

だが、 黙々とベースをウォーキングさせ、 バンドをスイングさせることに魂を注ぐベースマンが、 一度化けの皮を剥ぐともの凄い名演・名盤が

生まれるのだ。 このコーナーでは、 そんなジャズ ・ベースマンの偉業を称えるとともに、 ジャズ ・ベースの素晴らしさを伝えていきたい。

Charles Mingus 【チャールス ・ ミンガス】

Profile1922 年 4 月 22 日、 アリゾナ州ノガルスに生まれ、 ロサンゼルスのワッツ地区で育つ。 幼い頃にトロンボーン、 チェロを学んだ後、 16 歳の頃よりレッド ・ カレンダーにベースを師事。 その後、 リー ・ ヤング、 ルイ ・ アームストロング、 ライオネル ・ハンプトン等のバンドを渡り歩き、 50 年にはレッド ・ ノーボ ・ トリオで活躍し注目を集める。 ビ ・ バップ全盛期にはウエスト ・コーストを拠点に活動していたが、51年にニューヨークに進出。後に音楽面で多大な影響を受けることになるデューク ・ エリントンをはじめ、 チャーリー ・ パーカー、 マイルス ・ デイビス等と共演を重ねる。 52年には、 マックス・ローチの協力を得て 「デビュー ・ レーベル」 を創立。 50 年代半ばには、 「ジャズ ・ ワークショップ」 を創設するなど活発に活動。 60 年代に入ると、エリック ・ ドルフィーやテッド ・カーソン等をメンバーに従え次々とリーダー作を発表し、 数々の名盤を残す。 一時ジャズ ・ シーンから退いていたが、 69 年にカムバック。 70 年代に入ると、欧州ツアー等での演奏と平行して、自伝 「敗け犬の下で」 (晶文社)を出版。ベーシストでありながらピアノもかなりの腕前で、典型的なリーダー型ミュージシャンであった。 79 年 1 月 5 日、メキシコ・シティにて最期を遂げる。 享年 56歳、 死因はルー・ゲーリック病 (筋萎縮性側索硬化症)。 その死後、未亡人スー・ミンガスが亡き夫の遺志を継ぎ、 91 年ミンガス ・ ビック ・ バンドを結成。 現在も NY を中心に活動中。 【ミンガスのオフィシャル ・サイト : http://www.mingusmingusmingus.com/】

不世出のベーシスト、 優れたバンド ・リーダー&コンポーザー

≪男、 ミンガス≫

ミンガスは偉大なベーシストにとどまらず、 バンド ・ リーダーとしての才能も発揮し、 デューク ・ エリントンにも並ぶほどの偉大な作曲家でもあった。 スモール ・ サイズのエリントン楽団というコンセプトによる独自の解釈で、 幾多の名曲や名盤を生み出したユニークで革新的なその音楽は、 現代にも確実に息づいている。 “ 主張するベース ” と称され、 グローブのような太い指でウッドベースを自在に操る驚異的達人であると同時に、 短気で、 頑固といった怒りのイメージを漂わせていた。 それらの感情の起因は、人種差別による所が大きいと言われているが、ミンガスほど純粋で、正直で、優しい男はいなかったのかもしれない。 1978 年に行なわれたカーター元アメリカ大統領主催の 「ホワイト ・ ハウス ・ ジャズ ・ フェスティバル」 で大統領の激励を受け、 男泣きするという感動的な逸話もあり、 また、 上記オフィシャル・サイトにも掲載されている愛妻スー・ミンガスとの仲むつまじいショットを見るにつけ、 怒りのイメージとは異なる優しさも垣間見ることができる。 チャールス ・ ミンガスという男の魅力は、 その音楽 ・ ジャズにも表現された硬派な男臭さ、 人間臭さだ。 ライヴやドキュメンタリー映像も多く残されており、ウッドベースのボディが壊れるんじゃないかと思える程のド迫力のプレイや、パイプや葉巻をくわえた晩年の姿も印象的だが、 彼のような強烈な個性を放つジャズマンが少なくなったのは寂しい限りだ。

≪ Stations Of The Elevated ≫ ≪ミンガス ・ビッグ ・バンド ≫ミンガスの音楽がバックに流れ、 嘗てニューヨークの名物で

あった落書きだらけのサブウェイの姿を追いかける Manny Kirchheimer 監修によるドキュメンタリー映像 『Stations Of The Elevated』 (RHAPSODY FIRMS) という作品を

見たことがあるだろうか。 ミンガスが音楽を担当したこの映

像作品は 1980 年に米国で発売され、 現在 DVD 化されて

いるか不明だが、 ミンガスのジャズと 70 年代の NY の街並

みが何ともいえぬ独特の雰囲気を醸し出す異色作。 入手困

難だが、 お薦め! グラフィティ ・アート ・ ファンも必見!!

ミンガスの偉業を称え、 その音楽遺産を後世に伝えていくた

めに、 未亡人のスー ・ ミンガス主宰のもと、 “ ミンガス ・ ダイ

ナスティ ” を母体として 1991 年に結成されたミンガス ・ ビッ

グ・バンド。 基本編成は 14人 (3tp, 3tb, 5sax, p, b, ds)で、

その顔ぶれは豪華そのもの。 昨年 2005 年 12 月 26~31 日

に 「ブルーノート東京」 に登場し、 カウントダウンを行ったの

も記憶に新しい。 近年では、 エルヴィス ・ コステロをゲストに

迎えたアルバム 『Tonight At Noon』 がグラミー賞にノミネー

トされるなど、 結成以来ミンガスの魂を継承し続けている。

Mingus Archives

The Walker 25The Walker 25

CM's Leader Album

CM's Support Album

それぞれのアルバムが本当に個性的で、 己の主張や魂をぎっしりと詰め込んだ名盤をたくさん

遺してくれたミンガス。 自身はピアノに徹した『Oh Yeah』など、全て紹介できないのが残念だ…。

優れたバンド ・ リーダーでもあった為に、 リーダー作ばかりが目立ってしまうミンガスだが、

脇役に徹するミンガスの魅力も捨てたものじゃない。ズシリと重いウォーキングを聴いて欲しい。

��

内容�良���������渋�!

欧州����演奏�収�����盤

��

���������������収録

�����魅力�����!�

名曲

Pithecanthropus ErectusCharles Mingus(ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-25029)

Money JungleDuke Ellington( 東芝 EMI : TOCJ-9471)

Blue HazeMiles Davis(ビクターエンタイテメント : VICJ-41155)

Jazz At Massey Hall MoreBud Powell(ビクターエンタテイメント: VICJ-41105)

This Is How I Feel About JazzQuincy Jones( ユニバーサル : UCCU-5162)

Jazz At Massey HallCharlie Parker(ビクターエンタテイメント: VICJ-41236)

The Pen Of Johnny Richards & Jazz At Hi-Hat / Sonny Stitt( 東芝 EMI : TOCJ-9423)

Mingus,Mingus,Mingus,Mingus,MingusCharles Mingus(ユニバーサル:UCCU-5260)

ParkerianaCharles Mingus(Bandstand: BDCD-1530)

Charles Mingus (b), J.R.Monterose (ts), Jackie McLean (as), Mal Waldron (p), Willie Jones (ds)

Charles Mingus (b, p), Eddie Preston, Richard Williams (tp), Britt Woodman (tb), Jerome Richardson (ss, bs, fl), Don Butterfield (tu), Dick Hafer (ts, cl, ft), etc

Charles Mingus (b), Johnny Coles (tp), Eric Dolphy, Charles McPherson (as), Clifford Jordan (ts), Jaki Byard, John Foster (p), Dannie Richmond, Roy Brooks (ds)

決してミンガス自身を形容したわけではなく、 「進化」 「優越感」 「衰退」 「滅亡」 という 4 つのテーマからなるタイトル曲の 「直立猿人」。 ガーシュイン作の「霧深き日」に、J・マクリーンをフューチャーしたバラード「ジャッキーの肖像」。14分にも及ぶ大作「ラヴ・チャント」の全 4曲を収録。録音は 1956年。ビ ・ バップ全盛期を経て、 モダン ・ ジャズが台頭しつつあったこの時代に、 ミンガスは己のジャズ道を頑ななまでに守り続け進化していった。 ミンガスという超強力エンジンを搭載した戦車の如く、 5 人の精鋭達がオーケストラを思わせるド迫力のプレイを展開。 脂の乗りきった 33 歳のミンガスが、 その後の自身の主張 (ジャズ) を端的に表現した革新的で、 ひと際異彩を放つ傑作!

冒頭から強烈なパンチが土手腹に一発!ミンガスの怒涛の如く雄叫びにも似たド迫力ベースに乗って、 ドルフィー、 アーヴィンが突っ走り、 バンド全体が武闘派集団と化す。 だが、 優しさも持ち合わせたミンガス。ムードあるスロー ・ ナンバー 「l X Love」~ 「Mood Indigo」 で一息つくと思いきや、「Better Get Hit In Yo'Soul」 でもう一発噛まし、 「Theme For Lester Young」 で、しっとりと深い感傷に浸らせてくれ、 最後に「Hora Decubitus」 でおまけのもう一発!これぞ、 男ミンガスのジャズ。 短髪に髭面でベースを構える内ジャケを見よ! バットを構え鋭い視線で白球を見つめるコワモテのバリー ・ ボンズの如く、 その佇まいはまさにジャズのホームラン王! 1963年録音。

1964 年と 1972 年のヨーロッパ ・ ツアーのライヴ演奏を収めたアルバム。 特筆すべきはジャケットの渋いイラストだが、 日本人イラストレーター、 早乙女道春氏によるものだ。タイトル通り、 バードに捧げたミンガスのオリジナル 「Parkeriana」 は、 E・ドルフィー、C ・ ジョーダン等のプレイも素晴らしく、 演奏時間は 24 分にも及ぶ。 この 1 曲のみ 64年の演奏で、「Body And Soul 」と 「Stormy Weather」 に続くエリントン ・ メドレー 「In A Sentimental Mood」 ~ 「Take The 'A' Train」 は 72 年のもの。 チャールス ・ マクファーソンがフィーチャーされたカルテットによる演奏で、 この 2 曲もミンガスのベースは勿論、 エリントン ・ ミュージックを継承するミンガスの魂が迸る。 国内盤発売に期待!

ミンガスとマックス ・ ローチ (ds) が、 敬愛するデューク ・ エリントン (p) と共演した 62年 9月録音のトリオ作品。 前衛的でかなりパワフルなピアノを弾くエリントンに真っ向から挑むミンガスのベースが最高!

所謂、 「苦闘の時代」 と言われた若きマイルス ・ デイビスの作品。 何とミンガスはベースではなく、 ピアノで 4 曲に参加。ベースはパーシー ・ ヒースが担当した。ミンガスが参加したのは、 53年の録音。

左記の 『Jazz At Massey Hall』 同日夜に行われたトリオ ・ セットに、 バド ・ パウエル ・ トリオのクラブ ・ ギグとミンガスのトリオ ・ セッションの音源を追加収録したアルバム。 ジャケットのバドの表情もいい。

1953年 5月 15日、 トロントの 「マッセイ・ホール」 で、 C・パーカー、 D・ガレスピー、B ・ パウエル、 C ・ ミンガス、 M ・ ローチという 5 人のビ ・ バップの巨星が共演した記録を刻んだジャズ史を飾る歴史的名盤。

ソニー ・ スティットがルーストに吹き込んだ 2 枚の 10 インチ盤をカップリングした作品。 ミンガスが参加したジョニー ・ リチャーズ楽団とのスタジオ録音と 「ハイ ・ハット ・ クラブ」 でのライヴ録音を収録。

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究極�����的������!

�������������第�弾

若干 23 歳のクインシー ・ ジョーンズが放った初リーダー作。 邦題は 『私の考えるジャズ』。 ベースはミンガスが 4 曲、 ポール ・ チェンバースが 2 曲担当。 クインシーのアレンジが冴え渡る。 1956年録音。

1. Pithecanthropus Erectus 2. A Foggy Day 3. Profile Of Jackie 4. Love Chant

1. ll B.S. 2. l X Love 3. Celia 4. Mood Indigo 5. Better Get Hit In Yo'Soul 6. Theme For Lester Young 7. Hora Decubitus

1. Parkeriana 2. Body And Soul 3. Stormy Weather ~ In A Sentimental Mood ~ Take The 'A' Train