new iot/m2mカンファレンス2014 iot/m2m活用で実現する ビジネ … · 2014. 10. 2. ·...
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IoT/M2M活用で実現する ビジネス革新
2014年10月3日
東京大学 先端科学技術研究センター
特任教授 稲田 修一
(IoT/M2Mカンファレンス2014)
農産物の単位面積当たり収穫量の比較 (オランダ vs 日本)
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10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
トマト きゅうり なす
オラ
ンダ
日本
(単位:kg/10a)
【データの出典】 国際連合食糧農業機関(FAO)の統計データベース 1
野菜の収穫量(2012年)
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10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
19621967197219771982198719921997200220072012
オラ
ンダ
日本
(年)
(単位:kg/10a)
トマトの単位面積当たり 収穫量の推移
注: 日本の野菜は露地栽培が比較的多いので、その点の考慮が必要。例えば、ハウスを利用したトマト栽培 では、日本の収穫量が20,000kg/10a、オランダの収穫量が70,000kg/10aと差は3.5倍になる。
オランダのトマト生産におけるデータ活用の実際
植物生理と環境工学の理解に基づく植物の生長制御(※)
- 光合成能力の増大
・光透過率の高いハウス、CO2濃度の制御等による光合成速度の増大
・湿度の制御による気孔開度の調整により、病害予防とともに温度と連動した
蒸散及び養水分吸収の調整による光合成速度の増大
- 光合成産物である糖の生長過程に応じた転流(生長点、果実、根)
・温度制御による生長と発育過程の制御
例)日射強度に応じた温度の設定
糖の転流を促進する温度制御(午後の気温>午前の気温、日の入りと
同時に気温の一気低下)(注)
注:温度の高い部分に糖が多く分配される性質を利用し、すぐに温度
が下がる葉に対し、温度が高いままの果実や根に多くの糖を分配。
赤外線カメラで植物体温を測定し制御
※ エネルギー、肥料等の投入量も考慮し、最適化を実施
【出典】フゥーヴェリンク編著「トマト オランダの多収技術と理論」より
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オランダのトマト生産におけるイノベーションの本質
データ活用で最適な生育条件を割り出し、高機能ハウスの使用とコンピュータによる精密制御でそれを実現。『生育環境の最適化の実現』というパラダイムシフト、『資本と知識と経営力に基づく農業への転換』というパラダイムシフトにより圧倒的な競争力を実現
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長い期間かけて、グリーンハウス等への投資が行われ、最適な生育環境の実現というパラダイムシフトが徐々に実現 (同時に農家の大規模化も進展)
自然と勘と経験による作物栽培
高機能ハウスによる生育環境の最適化+データ活用による生育条件の最適化を実現した作物栽培
さまざまな分野でパラダイムシフトが起きている 実は、数年前からIoT/M2Mやデータの活用などで農業以外のさま
ざまな分野でもパラダイムシフトが始まっている。しかし、変化が「ゆっくり」なので、気付かない人が多い
- 医療 ⇒ 治療中心の医療から予防中心の医療へ ※ 健康診断、遺伝子、健康管理等のデータ活用で健康状態が見える化
- 教育 ⇒ 教える教育から自ら学ぶ教育へ(反転学習等) ※ 学習履歴、学習態度等のデータ活用で個々の学習進捗度等が見える化
- エネルギー ⇒ 大規模電源から再生可能な分散電源に ※ 発電量・需要量予測とデータ活用による制御高度化で分散電源の活用が本格化
- インフラ・建物管理 ⇒ 目視による管理からセンサーデータによる
管理へ ※ データ活用で構造物の変化等が可視化
- マーケティング ⇒ マスマーケティングからカスタマイズド(個
客)マーケティングへ ※ データ活用で個々の顧客の嗜好や行動特性に応じたマーケティングが可能に
- 経営 ⇒ 「勘と経験と度胸」に基づく経営から「勘と経験と度胸と
データ」に基づく経営へ ※ データ活用で企業活動やマーケット状況等の可視化範囲が拡大
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パラダイムシフトが起きている理由と対応法
IoT/M2Mの活用で今まで見えなかったものの「見える化」、データ収集・分析の高速化・リアルタイム化による迅速な「見える化」により、今までは難しかった新たなパラダイムのメリットが比較的容易に理解可能になっている
人々が新しいパラダイムのメリットを認識すると、意思決定や行動に変化が起こり、パラダイムシフトが加速する
シフトの量が大きければ「社会イノベーション」につながる
このようなパラダイムシフトに対応するには、既存パラダイムの枠内でビジネス展開と最適化を考えるのではなく、
①未来社会の見通しからイノベーションの方向を決め
②新しい価値を発見する「イノベーション志向の発想」
を重視し
③さまざまなサービスを開発することが必要
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データ活用で実現可能なサービス例
分野 活用するデータ 実現可能なサービス
農業 気象(温度、湿度、日射、風)、CO2濃度、土壌
成分、土壌水分、植物温度、病害虫等のデータ
データ活用型農業(野菜工場)、出荷時期の制御、高付加価値作物(高リコピントマト、低カリウムレタス等)等
医療 レセプトデータ、健康診断データ、健康管理バイタルデータ、遺伝子データ、飲食物データ等
健康管理・疾病予防、重症化予防、医師の診断支援、ストレス測定、遠隔患者の見守り、生命保険のカスタマイズ、スポーツ中の事故防止等
教育 学習履歴データ、学習態度データ、脳の反応データ等
教育のカスタマイズ、学習支援等
エネルギー
電気・ガス使用量、発電量(特に、再生可能エネルギーの発電量)等のデータ、気象データ等
発電量・使用量予測、バーチャル・パワー・プラント(エネルギー消費の遠隔制御)、ダイナミック課金、ガス漏れ検知等
インフラ・ 建物
位置、歪・ねじれ、振動、傾き、腐食、汚れ等のデータ
構造物管理・保全(建物、鉄塔、橋梁、トンネル、道路等)、漏水検知等
交通 車両位置データ、人流の動線データ、駐車場データ、公共交通機関の運行データ等
道路危険個所の特定、駐車場管理、都市計画の作成支援、緊急車両の運行迅速化、観光プランの作成、運転危険度に応じた保険料の設定等
家電 機器状態データ、機器の利用環境データ、利用者の反応データ等
製品の故障予測・診断、製品の遠隔制御、利用者に使いやすい製品開発等
防災 気象データ、ハザードマップ、モバイル人口データ、防災関連データ(河川水位、土壌水分量等)等
災害予測、注意報・警報の精密化、避難計画の作成支援、都市計画の作成支援等
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世界各地で急速に進展するM2M(機械対機械)の導入
【図の出典】 Vodafone “The M2M Adoption Barometer 2014”より ※調査は携帯電話会社の ボーダフォンがCircle Research社等に委託し実施。2014年の調査は2013年の調査より対象 を拡大し、14カ国で、M2M関連業界の603名を対象に実施。調査対象企業の従業員数は、 250-100,000以上と広範。 7
M2Mが急速に普及しているのは、アフリカ・中東・アジア太平洋地域(AMEAP)。逆に進展がゆるやかなのは米州地域。
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未検討 導入予定なし 計画あり 2年以内に導入 導入済
2013年
2014年
M2Mの導入に関する企業の動向 (%)
13 11 12 17
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米州地域 欧州地域 AMEAP
2013年
2014年
M2M導入の地域別状況 (%)
ビッグデータの活用状況 ~現状、今後(3年後)の予測~
【出典】 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「第20回企業IT 動向調査2014(13年度調査)」より
注:企業IT動向調査の調査期間は2013年10月28日~11月18日。調査対象 は、東証一部上場企業とそれに準じる企業の計4000社で、各社のIT部門 長に調査票を郵送して1016社の回答を得ている。
遅れている日本企業のビッグデータへの取り組み
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わが国においてデータ活用が遅れている理由
海外におけるデータ活用の実態を知る人が指摘する理由 - 経営者が検討を部下に委ね、自らは決断しない
- 中間管理職がデータ活用の費用対効果の明確化という無駄な作業に注力(まずはデータ活用を開始し、試行錯誤を続ける中で成果がでることが多い)
データ活用による価値創出に不慣れ - 利益確保が目的になっており、顧客目線で価値を考える力が弱体化
- 顧客の「行動」を十分に理解する努力が不足
鍵となるのは
経営者の判断とリーダシップ 失敗を許容する企業風土(データ活用はすぐには効果がでな い、多くの挑戦の上に成果) 製品に対する期待や製品の使用状況、顧客の反応を正確に
理解し、そのデータに基づき顧客価値創造(IoT/M2M活用) パラダイムシフトに伴うビジネスの環境変化への気付き
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データ活用をどのように進めるか
データ活用における良くある誤解 ・役員:データを集めたので、価値を抽出したい。知恵を貸してほしい。
・当方:データ分析で何をしたいのですか?
・役員:???
データ活用が目的ではない。ビジネスにおける課題発見とその解決が目的。課題解決を加速する強力なツールの一つとしてデータ活用がある
ex)新商品に対するユーザの反応や評判を知りたい、新機能の使い勝手を知
りたい、商品の不具合を早期に発見したい、製品の売れ行きを正確に予
測したい、生産の不具合や手戻りをなくしたい、ヒット商品を作りたい、
必要性の薄い機能を削りたい、…
「顧客」「社会」「従業員」「企業や組織」というステーク
ホルダーそれぞれの観点から価値を考え、立てた仮説をデータ
活用で検証
課題発見とその解決という価値創造サイクルの高速回転がイノベーションを促進
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データ活用による価値の創出には段階がある
第一段階:自社組織の中でデータを収集・集積し活用する、あるいは自社製品のデータを収集・集積し、活用する
第二段階:データアグリゲータがデータを収集・集積し、活用の主体となる(データ活用のためのエコシステム構築)
第三段階:バリューチェーンの中でデータを共同で収集・集積・活用する
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【仮説】第一段階も重要だが、第二段階、第三段階に踏み込む ことで、より大きなイノベーションを実現 ex. GE:インダストリー・インターネット構想 ドイツ:インダストリー4.0
GE「インダストリアル・インターネット」ビジョン
- 2012.11「インダストリアル・インターネット」ビジョンを発表 ① 医療機器、発電機器、輸送機器などのさまざまな産業機械がインター
ネットで接続され、得られる稼働データ等の分析・活用により、運輸、エネルギー、ヘルスケア等世界経済の46%をカバーする分野で生産性改善の波が起こる
② この結果、相当の期間において米国では年間1~1.5%の生産性向上が起きるかもしれない
③ また、向こう20年間で世界全体のGDPを10~15兆ドル拡大する大きなイノベーションの波が起こる可能性がある
GEの狙いはデータ・情報・知識の集積とその活用による価値創造。組織を超えた人材の「協働」が、これらの集積とイノベーションを加速 -2014.1 日本にイノベーション拠点を開設、技術公募開始 -2014.1 コマツとの合弁会社を設立(ICT活用の次世代鉱山機器開発) -2014.3 インダストリアル・インターネット・コンソーシアムを設立 -2014.3 ローカルモーターズとモノづくりプラットフォーム「FirstBuild」を立ち上げ
⇒ 新たな価値を創出する「スマート製造業」への転換
マネジメントのリーダ―シップ
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ドイツ科学技術アカデミー等提言「Industrie 4.0」
「モノとサービスのインターネット」により現実世界(Physical System)とサイバー空間(Cyber System)を密接に連携させるサイバー・フィジカル・システムによる製造業をめざす
設計、開発、生産に関するあらゆるデータをセンサーなどを通して蓄積し、その分析によりスマート工場を実現
※ Industrie 4.0は、ドイツ政府の「高度技術戦略の2020年に向けた実行計画」という施策の枠組みの中で検討された提言(最終報告2013年4月)
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• M2M(Machine to Machine:機械対機械)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の標準化への戦略的取組み
• 企業の組織改革
“自社製品”の稼働データの活用 (コマツ機械稼働管理システム:KOMTRAX)
GPSより位置データを取得
建設機械の所在地、稼働状況などのデータを収集
サーバー
携帯電話基地局/通信衛星 GPS衛星
コマツ製の建設機械
データを集積、分析
営業拠点
販売した建設機械の稼働状況などのデータ
稼働状況などを元に営業等(データ活用)
建設機械の所在地、車両状態、稼働状況知るため、GPSやセンサーを取り付け、携帯電話や通信衛星経由でデータをサーバーに収集、集積、分析、活用。これにより、 ①建設機械の稼働データを元に配車計画や作業計画の作成支援、最適時期の点検や部品 交換など顧客ごとの「カスタマイズ化」により保守・運用サービスを向上、 ②建機の盗難防止、 ③建機の稼働状況で製品の需要動向予測、 などを実現
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製品稼働データ等の活用はさまざまな業種で実施
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顧客の求める価値
イノベーション・価値の発生場所
「モノ」 ⇒ 「モノを使ったソリューション」
提供する側 ⇒ 使う側
製品等をフォローし、集積したデータの活用で生まれる価値が ビジネスチャンスにつながる時代
建設機械、医療機械、通信機器、事務機械、工作機械、印刷機械、農業機械、 発電機、航空機エンジン、鉄道車両、自動車、タイヤ、エレベータ、自販機、 測量機、冷暖房装置、給湯装置、コインランドリー用洗濯機、 太陽光パネル、
建物、公共インフラ、マンホール、運動靴、家電製品、医療用ベッド、 高機能ハウス、センサー付シャツ、コンタクトレンズ、歯ブラシ、…
※ 稼働管理により「製造業」とその製品を利用して価値を創出する 「サービス業」の境界が変化し、運用・保守の一部分が製造業側に移行 ※ 新しい機能を有する製品により今までにない価値を創出
稼働管理を超える新たな価値創出(コマツの情報化施工、無人稼働)
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情報通信機能付き建設機械が、土木工事の自動化やモノの運搬の自動化を実現。 ○高精度な三次元GPSデータに基づく、設計図面に基づく建設機械の自動制御(1cm単位の高い掘削精度を実現)の実現(情報化施工) ○鉱山における無人ダンプトラックの自動運行
情報化施工のイメージ 情報通信機能付きブルドーザが設計図面どおりの作業を実施。押し土量も自動調整し、過負荷を防止。これにより、施工位置把握のための杭打ち作業や施工後の測量がほぼ不要に
オーストラリアの鉄鉱山で無人稼働する超大型ダンプトラック。鉱山作業の安全性向上、夜間オペレーションの実現などによる生産コストの削減などに貢献。コマツがオペレーションを担当
【出典】コマツのホームページ IR資料室「2011年度アニュアルレポート」 及び「コマツレポート2013」より
新しい技術により稼働管理で新たな価値を創出 (NECの機械学習技術活用による大規模プラント管理)
17 【図の出典】 NEC技報Vol.65, No2, 2012 ビッグデータ活用を支える基盤技術・ソリューション特集,特集概説「ビッグデータを価値に変えるNECのITインフラ」より
プラント内に設置されたセンサーから微小震動などの大量データを取得。 機械学習などの技術により正常稼働時の振る舞いモデルを自動的に導出。 正常モデルとリアルタイムデータの比較、過去の不具合事例の予兆データ などからプラントの異常予兆を監視・検知。⇒ 人間が気付かなかったも のもdeepに見て検出。安全性の向上に貢献。 暗黙知の可視化、経験則の集積と合わせ、機械学習技術の活用が新たな価 値を創出。この価値が今後の産業競争力の源泉化
図 プラント・建造物の異常予兆監視サービスの例
データアグリゲータによるデータの集積と活用(アグリノバ)
契約農家に無償でセンサーシステムを貸与しデータ収集。集積したデータを活用し、栽培制御を実施。その結果、収穫量が増加(平均で2.6倍)
農家のフランチャイズ化と収穫した全作物の買い上げにより、小売市場に安定供給(収穫時期の予測制御により、納入先の希望に合わせた品質や量で生産)
【図の出典】 MCPCモバイルM2M委員会報告「ユーザー観点のM2M市場調査2014」より 18
製造業でも起きているパラダイムシフト
『企画⇒設計⇒開発⇒生産⇒流通⇒購入⇒利用⇒(企画)』と幅広い範囲にまたがるデータ活用のバリューチェーン構築によって、今までにない価値を創出
【例】 - 深いレベルの消費者理解を推進
- ヒットする確率の高い商品を開発(3/1000という
ヒット率の経験則を打ち破る)
- 廃棄ロスや在庫切れのない適正量の生産を実現
- 製造業のサービス業化を実現
- 不具合、手戻りのない生産を実現
- 「見える化」による気付きの誘発
など
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顧客の深い理解を可能にする方法
P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)※
- 陳列した製品を巨大なスクリーン上に映し出し(バーチャルストア)、被験者の心拍数、発汗状態、目や手の動きをセンサーで捉え商品を「選ぶ」瞬間の消費者の行動を理解。
- 小型遠隔監視カメラで消費者の「使う」瞬間の行動を把握
- これらの瞬間の行動データやPOSデータなどをデータ解析や統計分析の専門家に加え、心理学、文化人類学、経済学などの専門家を交え分析。消費者がP&Gブランドに抱く印象の分析、商品ごとにターゲットとする顧客層の明確化、パッケージデザインの成否、顧客の満足度の推定、顧客の期待が満たされなかった場合の対応の検討、販売量や利益の予測などを行っている。
※ 米国に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカで家庭用製品、化粧品、工業用製品の製造、販売を行っている
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廃棄ロスや在庫切れのない適正規模の生産量の実現 ~食べるラー油~
テレビ報道の変化 クチコミ数の変化
棒グラフ : 食べるラー油の売上高 (単位:千円) ピンク:桃屋、オレンジ:その他
クチコミを分析すると、ヒットの予兆は実際のマーケットでのヒットの6~12週間前に現れていた。
【出典】 エム・データ社プレゼン資料 21
不具合、手戻りのない生産の実現
KMC 佐藤 声喜社長:ICTによる電子系列網構築を提唱。人が行う作業を知識化・自動化し、人は創造力領域にシフトすべき。また、バリューチェーン全体でデータを活用し、不具合、手戻りのない製造を実施し、製造業の競争力を回復すべき
工程管理全体の迅速な「見える化」により、工程全体の最適化実現が容易化(個々の工程で全体最適に向けた管理が実施可能。他の工程の進捗状況が見えない状況では、自らの工程のみの最適化=部分最適しかできない)
22 【図の出典】KMCホームページ(http://www.kmc-j.com/jp/)より
建築・土木分野では不具合、手戻りを設計段階で解消する動き
建築・土木分野では、施工段階、運用段階で判明する問題を設計段階で解決するため、
①鉄筋やケーブル、構造物などが干渉する個所をBIM/CIM(Building Information Modeling /Construction Information Modeling)で自動的に検出
②構造物の見通しや圧迫感、メンテナンス性などをVRで確認
などの取り組みを開始している。これにより設計段階で不具合や手戻りを防止することが可能になり、効率化とコスト削減を達成
【図の出典】 土木学会 土木情報学委員会 国土基盤モデル小委員会 「第4期活動報告書 資料集(平成26年5月)-白土正美「国土交通省におけるCIMの取り組みについて」より
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「見える化」による気付きの誘発
東京デリカフーズが開発中の野菜の品質評価指標「デリカスコア」:収集するデータを消費者目線の価値に置き換え、生産、流通の両段階で使える評価指標を設けることにより、野菜の品質アップにつながる気付きを誘発することが可能になる
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鮮度
外観
品温
施設・設備
生産量
安定供給
土作り・栽培技術
環境(化学肥料使用率)
環境(化学農薬使用率) 環境認証(エコファーマー等) 安全認証(GAP)
栽培履歴
残留農薬
有害重金属(土壌・水)
有害微生物(土壌・水)
硝酸イオン
抗酸化力(機能性)
ビタミンC(栄養素)
糖度(おいしさ)
安全
中身成分
栽培
流通
【図の出典】 東京デリカフーズ 有井執行役員「加工・業務用野菜流通セミナー」プレゼン資料より 24
「見える化」による気付きの具体化例(品温管理)
異なるプレイヤーが担当する生産・流通・消費の現場で客観的な価値共有が可能(商品価値の変化が「見える化」)
「見える化」が現場の気付きを誘発。さらに、品質アップに対する効果的なインセンティブを付与
このような仕組みの存在とその活用が消費者に安全、安心、信頼を提供
25 【図の出典】酪農学園大学2012年度消費経済学研究室ゼミ(鈴木忠敏教授) 調査「食の安全・安心としての輸送時の温度管理等の実態」から
【最適貯蔵温度の例】 完熟トマト:0~4度 キュウリ:7~10度 レタス:0~1度 トウモロコシ:-0.5~0度 サツマイモ:11~13度 ワイン:15度 日本酒:0~5度 王禄酒造有限会社:-5度
航空便利用による道内産地から道外輸送時の温度変化 (とうもろこし)
ビジネスの革新に向けて
さまざまな分野でパラダイムシフトが進行中
パラダイムシフトに対応するには、気付きと意識変革が不可欠
ビジネスの課題発見とその解決を加速するには、IoT/M2Mによるデータ収集と集積したデータ活用が重要
データ活用による価値創出に向けて、企業単独のチャレンジのみではなく、データ活用のエコシステム構築やバリューチェーン構築も考えるべき
これらを進める上での重要な鍵は、経営者のリーダーシップと失敗を許容する組織風土の醸成
⇒ “迅速な判断” と“Nice Try!”の考え方が重要
IoT/M2Mやデータの活用によりさまざまな事象を「見える化」することが可能な時代においては、成功の反対は失敗ではない。それは「何もしないこと」 26