octaとlammpsによる 粗視化mdoctaとlammpsによる 粗視化mdの産業利用...
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OCTAとLAMMPSによる
粗視化MDの産業利用
2016年2月19日(金)
「京」における材料系ワークショップ
〜 LAMMPSを中⼼として〜
旭化成(株) 基盤技術研究所
青柳 岳司
1
旭化成基盤技術研究所のご紹介
旭化成グループの中の位置づけ
2
旭化成ケミカルズ
旭化成せんい
ケミカル・繊維事業領域
旭化成ホームズ
旭化成建材
住宅・建材事業領域
旭化成エレクトロニクス
旭化成イ-マテリアルズ
ポリポア・インターナショナル
エレクトロニクス事業領域
旭化成ファーマ
旭化成メディカル
ゾール・メディカル
医薬・医療事業領域
グループ
全体戦略の
立案
グループ
資源の
最適化
グループ
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管理
コーポレート
R&D
“Creating for Tomorrow”
環境エネ研究開発センター
ヘルスケア研究開発センター
基盤技術研究所 融合ソリューション研究所
新事業企画開発室
知的財産部
・
・
研究・開発本部
2016/2/19時点
将来/不確実
既存事業
事業会社
直近研究
将来研究 持株会社 新規
既存
直近/確実 市場の確度
事業の新旧
新製品開発
数年~20年後に 役立つ技術開発
製造/販売
基盤技術研究所
製品中の不純物解析
新規現象のメカニズム究明
競合優位性の確認
解析技術とシミュレーション技術を武器に 旭化成G全ての事業活動をサポート
旭化成基盤技術研究所のミッション
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旭化成基盤技術研究所のシミュレーション技術
4
空間スケール
時間スケール
10-9 10-6 10-3 100
(nm) (mm) (mm) (m)
100 (sec)
10-3 (msec)
10-6 (msec)
10-9 (nsec)
10-12 (psec)
10-15 (fsec)
計算工学
計算化学
メソスケール (粗視化)
攪拌槽の設計
流体解析
住宅邸別 シミュレーション
相分離構造
粘弾性予測
熱・機械物性
分子設計・触媒設計
技術的課題の解決
原子(nm)から実生活(m)サイズまでの領域をモデル化
旭化成基盤技術研究所における
分子動力学(MD)シミュレーションの利用環境
計算規模(原子数、タイムステップ)
モデリング
OCTA (OCTA Users group)
Material Studio (Dassault Systems)
SciMAPS (Scienomics)
VMD (Illinois Univ.)
ソルバー
CASTEP (Dassault Systems)
合成高分子
有機材料
生体高分子
DFT-B (Dassault Systems)
Forcite (Dassault Systems)
COGNAC (OCTA Users group)
LAMMPS (Sandia National Lab.)
NAMD (Illinois Univ.)
5
第一原理MD
古典MD
粗視化MDの産業応用
• よくある意見
– “材料開発のためには、化学構造を与えないと意味がない”
– “粗視化すると、分子の個性が失われるので実際の材料開発には使えない”
– “仮に粗視化するにしても、分子構造を定量的に反映する粗視化モデルを用いるべき”
粗視化MDは産業界における材料開発に使えない?
否:粗視化でしか扱えない構造・現象は多い
6
全原子MDでは不可能
分子量、分子量分布
高分子材料:構造の多階層性
*
H2C
CH2
*
化学構造
相分離構造
結晶構造 モノマー構造
立体規則性
分岐形状
単位格子
ラメラ
シシカバブ 球晶
ミクロ相分離
マクロ相分離
分散構造
7
高分子材料開発:プロセスの多様性
モノマー設計 化学構造
ポリマー設計 分子量、分岐、
コポリマー組成等
配合設計 ポリマーブレンド、
コンポジット
プロセス設計 温度、時間、
エネルギー
物性、機能、性能
高次構造 結晶-非晶構造、相分離構造、
分子配向
粗視化
シミュレーションの
出番は多い
8
実材料とのリンクのポイント
• 一つの粗視化モデルで材料(分子)の特性をすべて再現することは無理
• 知りたいことに応じたモデル、パラメータを構築する必要がある
• すくなくともこの物性は再現したい…
– 高分子鎖の構造?
– 相溶性、相分離構造?
– 機械的物性(弾性率、粘弾性)?
9
非常に簡単な事例
[1] 可視化によるヒント提供
グラフトタンパク吸着膜の表面構造
[2] 高次構造と機械的物性との相関
MWCNT分散構造
[3] 高次構造の定量化
フッ素系電解質ポリマーの相分離構造
10
[1]可視化によるヒント提供
グラフトタンパク吸着膜の表面構造
• 側鎖構造の差異による、水中のグラフト鎖構造に関するイメージを与える
– 粗視化ユニットの質量、結合の長さは含まれる原子団より決める
– 分子の広がりを決める粒子間の相互作用は、全原子MDを用いたオリゴマーの水中シミュレーションにより得られた値(慣性半径)にあわせて決定
CH
CH2
H3C C
O
OH2C
HC CH2
O
CH
CH2
H3C C
O
OH2C
HC
H2C
OH
NH2C CH3
CH2
CH3
疎水性側鎖 親水性側鎖
粗視化ユニット
11
スナップショット (左端の図のみ水粒子も表示)
疎水性側鎖
親水性側鎖
22.5nm
親水性基の付加により、グラフト鎖の広がりが倍程度になる
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たんぱく質との相互作用イメージ
• 長鎖グラフトと短鎖グラフトの表面構造を予測しタンパク質との相互作用に関してイメージを与える
– グラフト鎖:重合度N=500, グラフト密度 0.02分子/nm2
– 短鎖:重合度n=5,グラフト密度 1.0分子/nm2
• 官能基密度としてはグラフト鎖は短鎖の2倍
→タンパク質との相互作用は2倍以上期待される
グラフト鎖 短鎖
30nm
親水鎖5量体の
全原子モデル
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[2] 高次構造と機械的物性との相関
MWCNT分散構造
• 市販のMWCNTの形態観察より求めた持続長、弾性率等の文献値より、粗視化モデルのパラメータ(平衡結合角、ばね定数等)を決定する
SEM写真
0.0
50.0
100.0
150.0
200.0
250.0
300.0
350.0
400.0
450.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0
L(μ m)
R2
Contour lengthと末端間距離二乗の関係
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
0 5 10 15 20 25 30
L [μ m]
R^2
[μ
m]
持続長のフィッティング CNTモデル構造の例
14
CNT分散構造モデル
• 表面処理を想定し、CNT-マトリクス間(相対的にはCNT間)の相互作用を可変する
CNT間引力 大 小
CNT-マトリクス間引力 小 大
15
濃度依存性
• 分散性が良い場合の例
0.5wt% 1.5wt% 2.5wt% 5.0wt%
16
CNTネットワークのずり弾性率の見積
せん断変形 S-Sカーブ
Du et al,
Macromolecules,
2004,37,9048.
ずり弾性率の濃度依存性
17
[3] 高次構造の定量化
フッ素系電解質ポリマーの相分離構造
• フッ素系電解質ポリマー
– Nafion®(du Pont), Acipex®(旭化成), Flemion® (旭硝子)etc.
• 用途
– 燃料電池、食塩電解 等
CF2-CF2 x
OCF2CF-OCF2CF2X-
CF3 n
CF2-CF y
nH2O Cation
x:SO3-, COO-
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相分離構造の例
10-1
100
101
102
103
1 10
SAXS
Simulation
100
1000
104
105
106
Intensity
2
実測(SAXS)と
の相関距離の比較
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
0 1000 2000 3000
Time [τ ]
MSD
[nm
2]
Water
Cation
水およびイオンの拡散(平均自乗変位)
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散乱データとの比較により、相互作用パラメータを決定する
ポリマー設計の事例
ポリマーA
ポリマーB
両者は同じイオン等量。水分量、解離度も同じでシミュレーション
構造はほぼ同一であるが拡散挙動が大きく異なる
0
50
100
150
200
250
0 1000 2000 3000
Time [τ ]
MSD
[nm
2]
PolymerA
PolymerB
101
102
103
104
105
1 10
PolymerAPolymerB
Intensity
2
20
相分離構造の定量的解析
• 相分離構造を定量的に解析する試み
– 水ドメイン内に球とシリンダーを配置する
– 球/シリンダの数、サイズ、分布等を解析
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解析結果
ポリマーA ポリマーB
22
終わりに
• 粗視化MDを実施する場合重要なのはモデル化と解析(勘と経験とツール)
• MDの実行自体は、材料開発全体の中のウエイトとしては大きくはない
– 大きくしたくない(手間、時間はかけたくない)
• ユーザーが気軽に粗視化MDを実行できる環境が提供されることを期待します
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