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◦北十区財産区
34,613人
飯田市の天竜川右岸に広がる河岸段丘に、地域の重要な水源と
なっている伊い
賀が
良ら
井い
と呼ばれる用水路があります。中央アルプス
に端を発する一級河川松川から切きり
石いし
の須す
志し
角かど
地籍で取水され、天
竜川に落ちるまで約9㎞の延長を持ち、500�
ha余の受益地をい
くつもの支線水路により潤してきました。起源は古く、室町時代
にはあったとも言われています。
貴重な水ゆえに水争いも繰り返されてきました。用水路の管理
のための組織は、飯田藩時代には確立されており、様々な裁定が
行われています。地元に密着した井い
守もり
と呼ばれる責任者の役名は、
今も引き継がれ、現在は、北十区財産区が伊賀良井の管理を行っ
ています。これは所有する山から得た木材や、その収入により用
水路の維持管理をするために、先人が工夫してとった組織の形態
です。
農業経営の多様化により、水稲だけでなく、野菜、果樹等の栽
培が行われるようになり、水の需要は変化してきていますが、施
設の老朽化により漏水がみられ、用水が不足している状況にあり
ました。また、高速道路の開通などにより急速に周辺の都市化が
進み、かつての恵みの用水路は、多くの排水を集め、災害の原因
になってしまう状況へと変化してきました。
こうした中、平成14年より平成20年にかけて、県営かんがい排
水事業により、取水部である頭とう
首しゅ
工こう
及び用水路の上流約1・2㎞
の改修が行われました。この区間は、魚巣ブロックや玉石積み、
化粧型枠による空石積の補強など、生態系と景観に配慮した構造
とし、市民に親しまれる水空間としての用水路を目指して整備さ
れました。
(県農地整備課
佐々木
良仁)
伊い
賀が
良ら
井い
いにしえよりの流れ
■2009年 7 月号掲載
改修された伊賀良井(写真右側石積下に魚巣ブロックを配置)
出典:農の営みをささえる 信濃の疏水