いにしえよりの流れ北十区財産区34,613人...

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ha 14 20 いにしえよりの流れ ■2009年 7 月号掲載 改修された伊賀良井(写真右側石積下に魚巣ブロックを配置) 出典:農の営みをささえる 信濃の疏水

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Page 1: いにしえよりの流れ北十区財産区34,613人 飯田市の天竜川右岸に広がる河岸段丘に、地域の重要な水源と なっている伊 賀い 良が 井ら

◦北十区財産区

34,613人

 

飯田市の天竜川右岸に広がる河岸段丘に、地域の重要な水源と

なっている伊い

賀が

良ら

井い

と呼ばれる用水路があります。中央アルプス

に端を発する一級河川松川から切きり

石いし

の須す

志し

角かど

地籍で取水され、天

竜川に落ちるまで約9㎞の延長を持ち、500�

ha余の受益地をい

くつもの支線水路により潤してきました。起源は古く、室町時代

にはあったとも言われています。

 

貴重な水ゆえに水争いも繰り返されてきました。用水路の管理

のための組織は、飯田藩時代には確立されており、様々な裁定が

行われています。地元に密着した井い

守もり

と呼ばれる責任者の役名は、

今も引き継がれ、現在は、北十区財産区が伊賀良井の管理を行っ

ています。これは所有する山から得た木材や、その収入により用

水路の維持管理をするために、先人が工夫してとった組織の形態

です。

 

農業経営の多様化により、水稲だけでなく、野菜、果樹等の栽

培が行われるようになり、水の需要は変化してきていますが、施

設の老朽化により漏水がみられ、用水が不足している状況にあり

ました。また、高速道路の開通などにより急速に周辺の都市化が

進み、かつての恵みの用水路は、多くの排水を集め、災害の原因

になってしまう状況へと変化してきました。

 

こうした中、平成14年より平成20年にかけて、県営かんがい排

水事業により、取水部である頭とう

首しゅ

工こう

及び用水路の上流約1・2㎞

の改修が行われました。この区間は、魚巣ブロックや玉石積み、

化粧型枠による空石積の補強など、生態系と景観に配慮した構造

とし、市民に親しまれる水空間としての用水路を目指して整備さ

れました。

(県農地整備課

佐々木

良仁)

伊い

賀が

良ら

井い

いにしえよりの流れ

■2009年 7 月号掲載

改修された伊賀良井(写真右側石積下に魚巣ブロックを配置)

出典:農の営みをささえる 信濃の疏水