令和2年版 男女共同参画白書 (概要)...平成18(2006) 23(2011)...

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令和2年版 男女共同参画白書 (概要) 令和2年7月 内閣府男女共同参画局

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  • 令和2年版男女共同参画白書

    (概要)

    令和2年7月

    内閣府男女共同参画局

  • 男女共同参画白書

    男女共同参画社会基本法に基づき、 毎年国会に提出しなければならない年次報告書 (法定白書)。例年、男女共同参画週間 (毎年6月23日~29日) に合わせて閣議決定。 令和2年版は7月31日(金) に閣議決定・国会報告。

    男女共同参画社会基本法(抄)第12条 政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策につい

    ての報告を提出しなければならない。2 政府は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

    概要

    令和2年版の構成

    Ⅰ 令和元年度 男女共同参画社会の形成の状況 Ⅱ 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

    【第1部】令和元年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策令和元年度に政府が講じた施策について、「第4次男女共同参画基

    本計画」の構成(12の個別分野、推進体制)に沿って整理。

    【第2部】令和2年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策令和2年度に政府が講じようとする施策について、「第4次男女共同

    参画基本計画」の構成に沿って整理。

    (資料編)○男女共同参画社会基本法、女子差別撤廃条約○予算関連・男女共同参画基本計画関係予算(令和2年度予算額)・男女共同参画基本計画関係予算の使用実績(平成30年度決算額)○「第4次男女共同参画基本計画」における成果目標の動向(目標値、計画策定時の数値、最新値)

    <特集>「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス

    ~個人は、家庭は、社会はどう向き合っていくか~

    <現状編>「第4次男女共同参画基本計画」で設定されている「成果目標」の動

    向に言及しつつ、現状を整理。

    第1章 政策・方針決定過程への女性の参画

    第2章 就業分野における男女共同参画

    第3章 地域・農山漁村、防災・復興における男女共同参画

    第4章 教育・研究における男女共同参画

    第5章 生涯を通じた男女の健康と高齢者、ひとり親の状況

    第6章 女性に対する暴力

  • 1.「家事・育児・介護時間」と「仕事等時間」の推移2.仕事と⽣活の調和(ワーク・ライフ・バランス(WLB))をめぐる状況3.家族・世帯等の状況4.WLBや家族・世帯等の状況と「家事・育児・介護時間」・「仕事等時間」の変化との関係

    これまで「ワーク・ライフ・バランス」では、各個人の、働き過ぎ防止、仕事と生活の調和、仕事と家庭の両立に着目。 一方、我が国では、女性が「家事・育児・介護」の多くを担っている現状の中で、「仕事」での働き過ぎだけでなく、「家

    事・育児・介護」の働き過ぎの影響も考える必要がある。また、共働き世帯の増加など家族の在り方が変化する中で、「家事・育児・介護」において男性が主体的な役割を果たしていくことがますます重要になっている。

    そこで、今回の特集編では、家事・育児・介護に多くの時間を割いている人にとってのバランスをめぐる状況や家庭内での家事・育児・介護の分担に焦点を当て、あらゆる男女にとってのバランスの推移や現状、課題を整理。

    「家事・育児・介護」と「仕事」のより良いバランスや分担を考え、見直してみることの意義・重要性を示すとともに、各個人にとってだけでなく、各家庭にとって、さらには社会も含めた最善の分担・配分を考えていく材料を提供。

    1.家族類型ごとに⾒た家事・育児・介護時間と仕事等時間2.家事・家庭のマネジメントの分担3.⼩さな⼦供がいる夫婦4.介護が必要な者がいる家族5.外部サービスの利⽤

    1.バランスや分担をめぐる課題2.より良いバランス・分担に向けた視点

    第1節 「家事・育児・介護」と「仕事」のバランスをめぐる推移

    第2節 家族類型から⾒た「家事・育児・介護」と「仕事」の現状

    第3節 より良いバランス・分担に向けて

    <特集>「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス~個人は、家庭は、社会はどう向き合っていくか

  • 〇 女性の「家事・育児・介護時間」は若い世代で減少しており、晩婚化や未婚化によるもの。結婚している女性では変わらないか増加

    〇 「6歳未満の子を持つ夫婦」で、妻の「家事・育児・介護時間」は、共働き世帯でも専業主婦世帯でも増加。共働き世帯の妻の「仕事等時間」は夫の5割程度

    〇 「共働き世帯」の増加の大部分は妻がパート(短時間勤務)の共働き世帯数の増加によるもの

    〇 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に反対する者は6割程度に達し、夫婦とも「外で働く」ようになったが、依然として妻が家庭を守る役割、夫が稼得役割を分担

    〇 「家事時間」は、単独世帯では男女差がないが夫婦では女性は男性の2倍以上に。「仕事等時間」は、男性は女性の1.3倍(「夫婦+子供世帯」の仕事のある日)「育児時間」は、有業女性は有業男性の2.1~2.7倍(仕事のある日)。就業時間が長いほど夫の育児時間は短くなる。

    〇 男性は「育児」を担うか否かで「仕事等時間」に差は無いが、さらに「介護」が加わると、「介護」が無い場合と比較して「仕事等時間」が短い

    〇 「食材や日用品の在庫の把握」や「食事の献立を考える」といった「家事・家庭のマネジメント」は、妻が担っている割合が高い

    〇 30歳未満の男性介護者で仕事を持つ割合が短期間で大きく低下

    〇 外部サービス(家事・育児・介護支援サービス)の利用率は低いが潜在的な利用意向は利用率より高い(介護62.9% 育児33.5.% 家事26.3%)

    〇 有業者の仕事のある日の「育児時間」や「介護時間」の長さが、生活満足度の低下、ディストレス(抑うつ・不安)の強さにつながる傾向

    〇 末子が中学生以降では、希望の働き方を「正社員でフルタイム勤務」とする女性は4~5割だが、実際に末子が中学生以降で「正社員でフルタイム勤務」で働いている人は2割弱

    男性に期待されている「仕事」の在り方や男性自身の「仕事」への向き合い方の変革と併せて、男性の「家事・育児・介護」参画を進めることが必要

    女性の稼得役割を確保し男性が家族ケアを担えるようにしておくことは家庭単位のリスクヘッジに。家庭内分担のみならず外部サービス等の活用も

    第1節 「家事・育児・介護」と「仕事」のバランスをめぐる推移

    第2節 家族類型から⾒た「家事・育児・介護」と「仕事」の現状

    第3節 より良いバランス・分担に向けて

    特集のポイント

    8・9

    10

    11

    12

    12

    13

  • Ⅰ-特-1図 男女別に見た家事・育児・介護時間と仕事等時間の推移(週全体平均,昭和51年→平成28年)

    20~24歳

    25~29歳

    30~39歳

    40~49歳

    50~59歳

    60~64歳

    65歳以上

    女性は年齢により数値や増減の推移が大きく異なる。男性は年齢による数値・推移の違いが小さい25~29歳:大きく減少 30代:(昭和56年以降)一貫して最長 平成3年以降減少 40代:横ばい。65歳以上では増加傾向ほとんどの年齢層において低水準であるが増加。平成28年で女性の約2割(女性年齢計208分 男性年齢計44分)

    女性は、年齢により 女性は20歳代が長く30歳代から50歳代が短いが、男性は30歳代~50歳代が長く20歳代はより短い(平成28年)25~29歳:1.7倍に増加 平成13年以降は30代も増加。「共働き世帯の妻」は減少(昭和61年:5時間49分→平成28年:4時間56分)

    同年齢層の男性と比較すると25~29歳は男性の41.5%(昭和51年)→74.9%(平成28年)に上昇も30代 40代は40~50%前後で変化なし全体では減少しているが、30代 40代は期間を通じて8時間20分前後で横ばい

    第1節 「家事・育児・介護」と「仕事」のバランスをめぐる推移

    家事・育児・介護時間

    仕事等時間男性⼥性

    ⼥性

    男性

    ⼥性

    男性

    仕事等時間

    家事・育児・介護時間

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    550

    600

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    550

    600

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    550

    600

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    550

    600

    25~29歳は大きく減少

    低水準であるが増加

    25~29歳は1.7倍に増加

    30代も平成13年以降増加

    30代40代は期間を通じて8時間20分前後で横ばい

    同年齢層の男性の40~50%前後

    分 分

    分分

    昭和51(1976)

    平成28(2016)

    昭和51(1976)

    平成28(2016)

    1.「家事・育児・介護時間」と「仕事等時間」の推移

    (出典)総務省「社会生活基本調査」

  • 59 66 75

    520 533565

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    平成18(2006) 23(2011) 28(2016)年

    子育て期にある30代及び40代の男性において高い水準

    第1子出産前後に女性が就業を継続する割合は上昇

    昭和60年~平成21年:4割前後

    →平成22~26年:約5割

    6歳未満の⼦を持つ夫婦

    週間就業時間60時間以上の雇⽤者の割合

    ⼥性の就業継続

    共働き世帯 専業主婦世帯(夫有業・妻無業世帯)

    Ⅰ-特-3図 週間就業時間60時間以上の雇用者の割合の推移2.ワーク・ライフ・バランス(WLB)をめぐる状況

    30代40代男性は高い水準

    59 70 84

    337 368 370

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    平成18(2006) 23(2011) 28(2016)年

    夫 仕事等時間夫 家事・育児・介護時間夫 合計時間妻 仕事等時間妻 家事・育児・介護時間妻 合計時間

    「家事・育児・介護時間」は共働き世帯でも専業主婦世帯でも増加共働き世帯の妻の「仕事等時間」は4時間~4時間20分で、夫の5割程度「家事・育児・介護時間」は妻の就業状況により差が無く、60分弱から80分前後に微増。共働き世帯においても妻の2割程度「仕事等時間」は妻の就業状況にかかわらず8時間40分~9時間前後

    →妻は「家事・育児・介護」に、夫は「仕事」に多くの時間を使っている状況は変わらない

    夫 仕事等時間夫 家事・育児・介護時間夫 合計時間妻 仕事等時間妻 家事・育児・介護時間妻 合計時間

    (出典)総務省「社会生活基本調査」

    (出典)総務省「労働力調査(基本集計)」

    15.9

    6.45.1

    2.3

    22.4

    9.8

    17.2

    16.812.4

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    平成2

    (1990)

    12

    (2000)

    22

    (2010

    令和元

    (2019)

    (%)

    (年)

    男女計 女性 男性 30代男性 40代男性

    Ⅰ-特-2図 夫婦の家事・育児・介護時間と仕事等時間の推移 (参考)うち6歳未満の子を持つ夫婦(週全体平均)(共働きか否か別,平成18年→平成28年)

  • 「夫婦と子供」世帯・「3世代等」の世帯の割合が低下、単独世帯・夫婦のみ世帯の割合が上昇平成27年に「ひとり親と子供」の世帯が「3世代等」を上回る。30~50代で「夫婦と子供」世帯の割合の低下や「単独」世帯の割合増加が顕著。「単独」世帯数は高齢層での増加も顕著。特に70代、80歳以上の女性の「単独」世帯数の増加が著しい

    年々増加し、平成9年に専業主婦世帯を上回った後、平成24年頃から差が急速に拡大。共働き世帯数の増加の大部分は、妻がパートの共働き世帯数の増加によるもの。妻がフルタイムの共働き世帯数のピークは平成5年

    3.家族・世帯等の状況世帯の家族類型別割合

    Ⅰ-特-11図 共働き等世帯数の推移 Ⅰ-特-12図 妻の就業時間別共働き世帯数の推移

    高齢者人口の増加 未婚率の上昇背景

    Ⅰ-特-10図b 50歳時の未婚割合の推移

    共働き世帯数

    12.5 15.5 18.9 19.820.1 

    42.1 37.3 31.9 27.9 26.8 

    1.3 4.9 5.7 6.4 7.4 7.6 

    19.7 17.2 13.5 10.2 8.6 

    19.8 23.1 27.6 32.4 34.5 

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    90%

    100%

    昭和55(1980) 平成2(1990) 12(2000) 22(2010) 27(2015)年

    夫婦のみ 夫婦と子供 男親と子供 女親と子供 3世代等 単独

    Ⅰ-特-10図a 世帯の家族類型別割合の推移

    14.1

    23.4

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    昭和25

    (1950)

    35(1960) 45(1970) 55(1980) 平成2

    (1990)

    22(2010)

    女性

    男性

    (年)

    (%)

    27(2015)

    平成2年以降に上昇幅が拡大

    1,114

    921

    582

    614

    949

    1,245

    500

    600

    700

    800

    900

    1,000

    1,100

    1,200

    1,300

    昭和55

    (1980)

    平成2

    (1990)

    6 8 10 20

    (2008)

    24

    (2012)

    令和元

    (2019)

    男性雇用者と無業の妻から成る世帯雇用者の共働き世帯

    229

    682

    462522

    495

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    800

    昭和60

    (1985)

    平成元

    (1989)

    (1993)

    11

    (1999)

    21

    (2009)

    25

    (2013)

    令和元

    (2019)

    雇用者の共働き世帯(妻がパート(週35時間未満))雇用者の共働き世帯(妻がフルタイム(週35時間以上))

    (万世帯)(万世帯)

    平成9年に逆転「妻がパート」の共働き世帯数が増加

    差が拡大

    (出典)総務省「国勢調査」 (出典)総務省「国勢調査」

    (出典)総務省「労働力調査特別調査」「労働力調査(詳細集計)」

  • 25~29歳、30歳代で減少も結婚している女性では変わりないか増加 ・晩婚化、未婚化によるもの

    「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」に反対する者は6割程度 ・意識は変わってきているが、実際には妻が「家庭を守る」「家事・育児・介護時間」は妻が長く、夫は短い 役割を果たしている夫婦がほとんど

    妻は「仕事等時間」を削減しつつ「家事・育児・介護時間」を大幅増加 ・妻は育児を機に仕事と生活のバランスを大きく変えている夫は「仕事等時間」は変わらず「家事・育児・介護時間」が少し増えている ・夫は仕事と生活のバランスを見直すのでなく仕事が削れない

    中で可能な範囲で家事等を増やそうとしている状況

    女性は、過去20年間で男性の5割から7割程度に増加も、20歳代以外は ・晩婚化や未婚化によるもの40~50%前後で変化なく「共働き」の妻では減少 共働き世帯の増加もほとんどが、妻は短時間勤務

    男性は、全体では減少するも、30歳代40歳台は横ばい ・夫も妻も「外で働く」ようになったが、働く時間は夫の方が6歳未満の子を持つ共働き世帯では妻の約2倍 圧倒的に長く、特に子育て期の男性の仕事負担が重い

    ・稼得役割の多くを夫が担うという分担は変わっていない 7

    4.家族WLBや家族・世帯の状況と「家事・育児・介護時間」・「仕事等時間」の変化との関係

    Ⅰ-特-14図 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化(男女別)

    6.5

    8.3

    11.2

    12.4

    12.8

    19.8

    29.1

    24.6

    28.7

    32.0

    36.0

    30.5

    35.8

    41.0

    5.5

    4.5

    5.1

    2.8

    5.6

    6.1

    7.1

    38.5

    37.0

    34.2

    30.4

    29.4

    26.4

    18.3

    24.9

    21.5

    17.4

    18.4

    21.7

    11.9

    4.5

    0 20 40 60 80 100(%)

    8.6

    9.4

    14.2

    13.3

    17.2

    26.9

    35.1

    30.8

    35.3

    32.3

    41.8

    34.1

    38.8

    40.5

    4.9

    5.8

    7.0

    3.8

    6.7

    5.7

    7.0

    34.4

    32.2

    32.0

    25.2

    24.1

    20.9

    13.4

    21.2

    17.2

    14.5

    15.8

    18.0

    7.7

    4.0

    0 20 40 60 80 100

    令和元(2019)年9月

    平成28(2016)年9月

    平成26(2014)年8月

    平成24(2012)年10月

    平成14(2002)年7月

    平成4(1992)年11月

    昭和54(1979)年5月

    賛成 どちらかといえば賛成 わからない どちらかといえば反対 反対

    (%)

    <女性> <男性>

    ⼥性の「家事・育児・介護時間」の減少

    性別役割分担意識の変化

    育児によりWLBが⼤きな課題になると思われる6歳未満の⼦を持つ共働き世帯では

    「仕事等時間」の⼥性における増加、男性における減少

    (出典)総理府「婦人に関する世論調査」「男女平等に関する世論調査」内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」「女性の活躍推進に関する世論調査」

  • 62.4%

    68.3%

    46.6%

    37.9%

    45.6%

    27.0%

    28.9%

    19.5%

    17.1%

    17.8%

    20.1%

    16.4%

    19.5%

    24.7%

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    食材や日用品の

    在庫の把握

    食事の献立を考える

    ごみを分類し、まとめる

    家族の予定を調整する

    家計管理・運営

    親や親族との付き合い

    育児・子どもの教育

    妻 どちらかというと妻 妻と夫が同程度 どちらかというと夫 夫 どちらもしない

    第2節 家族類型から⾒た「家事・育児・介護」と「仕事」の現状

    Ⅰ-特-16図a 1日当たりの家事等時間と仕事等時間(有業者:仕事のある日)

    1.家族類型ごとに⾒た家事・育児・介護時間と仕事等時間

    2.家事・家庭のマネジメントの分担

    家族類型により大きく異なる⇒単独世帯ではほぼ差が無いが夫婦になると男性の2倍以上に家族類型により異ならない

    「仕事のある日」で男性の2.1~2.7倍。無業者は有業者の「仕事のない日」より約2時間長い(子が中学生になるまで)

    「就学前」の子がいる世帯が最長

    単独>夫婦のみ,夫婦+子(就学前)>夫婦+子(小中学生)単独,夫婦のみ<夫婦+子(小中学生)<夫婦+子(就学前)

    子が就学前の男女が長い

    仕事をしている夫婦+子供世帯の男女で「介護時間」や「家事・育児・介護合計時間」の男女差が少ない• 育児に加えて介護も担う状況が生じても介護分負担純増でなく家族のケア全体の一部としWLBは大幅に変わらない・ 育児と介護両方を担う状況が生じた場合に「仕事等時間」を短縮し、家事・育児・介護に振り向けている

    家事・育児・介護には、作業に要する時間や実際の作業負担以外に日々の家事をマネジメントする責任や日々の家庭生活を滞りなく送ることが出来るようにする責任もある

    「妻」「どちらかというと妻」との合計が,おおむね5割以上(「食材や日用品の在庫の把握」「食事の献立を考える」は8割超)である

    家事時間

    育児時間

    仕事等時間

    合計時間

    ⼥性

    男性

    ⼥性

    男性

    ⼥性男性

    Ⅰ-特-18図 家事・家庭のマネジメントの分担

    ⼥性

    男性

    夫婦のみ世帯 夫婦+⼦供(就学前)世帯 ※⼦は末⼦の年齢

    8:29

    1:10

    単独世帯

    8:54

    1:00

    7:39

    1:59

    8:59

    0:45

    7:40

    2:11

    2:27

    10:02

    0:471:10

    仕事等時間(学業、通勤時間含む) 家事時間 育児時間 介護時間 その他

    差が無い 2.6倍

    2.1倍

    2.8倍

    妻が多くを担っている

    ほぼ反対の傾向

    1.3倍

    介護をしている⼈の状況

    ⼥性

    男性

    (出典)「家事等と仕事のバランスに関する調査」(令和元年度内閣府委託調査・株式会社リベルタス・コンサルティング)

  • 36.335.1

    9.6

    11.9

    3

    0.9

    0.4

    0.9

    1.7

    0

    0.1

    0

    0.5

    0.3

    0.1

    2.8

    7.0

    8.8

    10.9

    31.3

    29.8

    4.8

    3.3

    0.5

    0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

    5日未満

    5日~2週間

    2週間~1か月

    1か月~3か月

    3か月~6か月

    6か月~8か月

    8か月~10か月

    10か月~12か月

    12か月~18か月

    18か月~24か月

    24か月~36か月

    36か月以上

    女性 男性

    おおむね妻7割、夫3割(子供の年齢が低いほど、わずかに分担割合が上昇。妻の育児負担は子どもの成長により軽くなるとはいえ

    ない。)妻は日常的な育児(毎日、毎回)を担い、夫は限定的な場面(週に1~2回、月に1~2回等)で関わる傾向 妻が「フルタイム勤務」の夫は、妻が「短時間勤務」または「無業」の夫より育児に関わる傾向があるが、「育児に関する予定管

    理」や「育児に関する情報収集」「保護者会活動」などは、妻の就業状況にかかわらず、夫の関わりが薄い夫の週間就業時間が長いほど,育児時間が短くなり,育児分担割合も低くなる

    3.⼩さな⼦供がいる夫婦

    Ⅰ-特-20図 未就学児のいる夫の育児時間(週間就業時間別)

    Ⅰ-特-22図 育児休業取得期間別割合(民間企業・平成30年度)

    育児の分担

    夫の⻑時間労働との関係

    男性の育児休業等

    71.1115.0

    99.8

    74.751.3

    42.354.9

    0 50 100 150 200 250

    全体

    30時間未満

    30~39時間

    40~48時間

    49~59時間

    60時間以上

    きまっていない

    (分)

    202.8240.0

    212.5

    203.4186.9194.0

    187.5

    0 50 100 150 200 250

    全体

    30時間未満

    30~39時間

    40~48時間

    49~59時間

    60時間以上

    きまっていない

    (分)

    仕事のある⽇

    仕事のない⽇

    取得率は上昇するも、依然として低水準(平成30年度:民間企業6.16%、国家公務員12.4%、地方公務員5.6%)

    期間も女性が1年弱以上であるのに対して極端に短い 直近では「5日未満」が大幅減少し、「5日~2週

    間」が大幅に増加する変化も平成27年度 平成30年度

    「5日未満」 56.9% ⇒ 36.3%「5日~2週間未満」 17.8% ⇒ 35.1%

    ⺠間企業

    長時間労働層で育児時間が短い

    「仕事のある日」ほどの差はない。

    取得期間が極端に短い

    (出典)「家事等と仕事のバランスに関する調査」(令和元年度内閣府委託調査・株式会社リベルタス・コンサルティング)

    (出典)厚生労働省「雇用均等基本調査」(平成30年度)

  • 介護者 仕事を持つ介護者 フルタイム勤務の介護者

    人口比(%) 介護者に占める割合(%) 介護者に占める割合(%)

    30歳未満 1.3 73.5 55.6

    30代 3.7 63.4 40.5

    40代 6.6 72.7 39.0

    50代 15.6 68.5 35.2

    60代 13.3 40.1 12.7

    70歳以上 6.2 14.8 2.2

    30歳未満 1.5 51.1 39.0

    30代 1.6 85.5 70.2

    40代 3.8 90.1 74.4

    50代 9.4 90.8 70.7

    60代 9.5 65.3 30.070歳以上 6.4 21.8 4.0

    女性

    男性

    性別 年代介護者 仕事を持つ介護者 フルタイム勤務の介護者

    人口比(%) 介護者に占める割合(%) 介護者に占める割合(%)

    30歳未満 2.5 52.3 39.2

    30代 3.8 58.9 35.1

    40代 6.7 59.5 27.7

    50代 16.1 61.8 28.4

    60代 11.1 40.8 11.1

    70歳以上 6.0 14.5 1.7

    30歳未満 1.6 73.5 51.9

    30代 1.7 92.2 71.4

    40代 4.1 91.3 74.4

    50代 9.1 90.8 61.4

    60代 8.9 65.4 29.070歳以上 6.2 23.8 1.5

    女性

    男性

    性別 年代

    10

    4.介護が必要な者がいる家族

    Ⅰ-特-24図 同居の主な介護者の推移 Ⅰ-特-25表 仕事を持つ介護者・フルタイム勤務の介護者の割合(平成23年/平成28年)

    介護者の男性割合が増⼤

    働きながら介護をしている⼈の割合等

    家族による介護の実施内容

    「嫁が舅や姑の介護をする」パターンが減り、「夫婦がそれぞれ実親を」「未婚男性が親を」「既婚男性が妻を」と介護を担う男性が増えてきた

    介護者の担い手のボリュームゾーンは50~60代特に50代においてフルタイム勤務の割合が上昇

    平成23年

    平成28年

    若い介護者(30歳未満)において、男女の違いの様相が急速に変化~平成23年時と平成28年時で、「仕事を持つ割合」「フルタイム勤務の割合」とも男女の数値が逆転

    介護者は近年男女ともに増加(平成28(2016)年:女性介護者421万1千人 男性介護者277万6千人。男性の割合は39.7%) 同居の主な介護者を続柄別に見ると「子の配偶者(女性)」が大きく減少し(平成10(1998)年:27.4%⇒平成28(2016)年:16.3%)「息子」(6.4%⇒17.2%)及び「夫」(11.3%⇒15.6%)が増加している

    介護者のボリュームゾーン(50~60代)で仕事を持つ割合は高い。特に50代においてフルタイム勤務の割合も上昇 30歳未満の男性介護者は、最近5年間で、仕事を持つ割合やフルタイム勤務の割合が大きく低下。この年代の男性介護者における仕事と介護の在り方が短期間で大きく様変わりしている可能性(女性30歳未満は上昇し男性30歳未満と割合逆転。概ね全ての年代で上昇か横ばい)

    家族が実施している介護の内容や頻度は、育児と比較して男女差が大幅に少ない 様々な続柄の者が行うようになり,単独で行う場合、複数で分担して行う場合など多様な形が想定される

    (出典)厚生労働省「国民生活基礎調査」

    (出典)総務省「社会生活基本調査」(平成23年・平成28年)

  • ■コラム■⽣活時間の国際⽐較〜OECD(経済協⼒開発機構)の国際⽐較データより

    5.外部サービスの利⽤

    「現在、利用している」1.8%、「過去に利用していたことがある」4.7%(平成30年)(ベビーシッター、ファミリーサポートセンターなど)「利用している」3.6%(令和2年)「介護サービスや、ボランティア等の外部の支援」は最も多い「入浴介護」で27.3%(令和2年)「外部サービスを利用しながら行いたい」【介護】62.9%【育児】33.5%【家事】26.3%

    家事⽀援サービス育児⽀援

    介護サービスなど利⽤意向

    東アジアの都市における家事等の特色(日本国外の調査対象:台北、上海、香港、ソウル)【台北】屋台をはじめとした外食文化の発達=炊事の外部化→家事負担の軽減に【上海】男性の家事参加が多い 家事労働者を雇うことも珍しくないほか、夫婦の親が積極的に家事・育児に協力【香港】外国人の家事労働者を雇うことが多い東京の特色・東京の男性は「意識面」で最もジェンダー平等を志向している反面、家事・育児・介護の頻度など「行動面」では相対的に最も低い結果・最も配偶者間年収格差が大きい

    ⇒夫の年収を100%とした場合の配偶者の年収の割合:東京40%、ソウル61.3%、上海65.8%、香港74.6%、台北92.8%

    ■コラム■東アジアの都市における家事・育児の⾵景(笹川平和財団2019年7⽉「新しい男性の役割に関する調査報告書」)

    以前は短かった女性の有償労働時間が伸び、男性も女性も有償労働時間が長い特に男性の有償労働時間は極端に長く、最長・ 日本女性の有償労働時間:

    2014年:206分(OECD平均は215分)→2020年:272分(OECD平均は274分)・ 有償労働時間が長いのは、日本男性(452分)韓国男性(419分)カナダ男性(341分)

    無償労働が女性に偏るという傾向が極端に強い・ 無償労働時間が短いのは、日本男性(41分)韓国男性(49分)イタリア男性(131分)

    男女とも、有償・無償をあわせた総労働時間が長い総労働時間は日本女性が最長(496分)、次いでスウェーデン女性(495分)日本男性(493分)

    日本と同じく男女ともに総労働時間が長いのは、スウェーデン、カナダ。女性の傾向は2国と似通っているが、男性の有償労働時間が極端に長いのが違い

    ・ 総労働時間に占める割合が92%。2国は65~70%程度

    日本男性は「もっと家事・育児・介護を分担しましょう!」と言われても有償労働時間がそのままでは難しい

    ⇒・「仕事にかける時間を見直してその分を家事・育児・介護に」・夫婦とも時間当たり収入が増えることが必要

    15〜64歳の男⼥全体の国際⽐較データ(2020年)から⾒た我が国の特徴

    268 341 

    272 

    452 

    275  313 

    224 148  224 

    41 

    220  171 

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    女性 男性 女性 男性 女性 男性

    カナダ 日本 スウェーデン

    有償労働 無償労働

    (分) 男⼥別に⾒た⽣活時間〜総労働時間が⻑い3国

    特に家事・育児は、一般的な利用からはほど遠い

    介護も外部支援に頼らない場合が多い

    極端に長い

    11

    (出典)OECD「Balancing paid work, unpaid work and leisure」(2020)

  • 第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由は「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が最も高く過半数。次いで「子育てに専念したかったから」「自分の体や胎児を大事にしたいと考えたから」が4割以上

    「正社員でフルタイム勤務」の希望と現実〜 希望する女性は、末子が未就園児の時は

    約1割だが中学生以降は4~5割。実際は末子が中学生以降でも2割弱

    保育園・幼稚園段階でいったん上昇し、小学生段階で未就園段階と同等まで落ち込み「非正社員で短時間勤務」が増加 12

    第3節 より良いバランス・分担に向けて1.バランスや分担をめぐる課題

    育児時間の⻑さ〜 仕事をしている女性の「仕事のある日」

    の育児時間が長くなるほど、生活満足度が低下し、ディストレス(抑うつ・不安)が強くなる傾向

    男女とも育児時間が特に長い層は、ディストレスが強い傾向

    介護時間の⻑さ〜 男女とも「仕事のある日」の介護時間が

    長いほど生活満足度が下がり、ディストレスが強い傾向

    Ⅰ-特-32・34図 「育児時間」「介護時間」の長さと生活満足度との関係

    「家事・育児・介護」の働き過ぎ〜⽣活満⾜度等との関係

    就業継続等の難しさ〜育児をしている場合

    「育児時間」や「介護時間」の長さが、生活の質を下げることにつながっていることも

    考察 仕事のある⽇

    仕事のない⽇

    仕事のある⽇

    仕事のない⽇

    ⼥性

    介護時間

    男性

    育児時間

    26.1%

    19.4%

    21.2%

    15.2%

    15.7%

    21.7%

    25.2%

    22.1%

    25.4%

    23.8%

    52.2%

    55.3%

    56.6%

    59.4%

    60.6%

    6時間超

    ~ 6時間

    ~ 4時間

    ~ 3時間

    ~ 1時間

    4.5%

    21.7%

    17.5%

    9.7%

    13.7%

    18.2%

    23.9%

    30.0%

    18.8%

    22.7%

    77.3%

    54.3%

    52.5%

    71.4%

    63.6%

    22.4%

    16.2%

    16.4%

    14.2%

    15.9%

    20.6%

    31.3%

    23.3%

    21.6%

    25.7%

    57.0%

    52.5%

    60.3%

    64.2%

    58.4%

    6時間超

    ~ 6時間

    ~ 4時間

    ~ 3時間

    ~ 1時間

    13.9%

    13.0%

    13.1%

    11.3%

    14.1%

    21.3%

    20.7%

    22.9%

    16.5%

    25.5%

    64.8%

    66.3%

    64.1%

    72.2%

    60.4%

    54.5%

    24.0%

    20.9%

    15.6%

    16.0%

    9.1%

    36.0%

    30.2%

    22.2%

    24.0%

    36.4%

    40.0%

    48.8%

    62.2%

    60.0%

    ~ 6時間

    ~ 4時間

    ~ 2時間

    ~ 1時間

    ~ 5分

    41.4%

    14.6%

    18.8%

    15.4%

    16.4%

    24.1%

    39.0%

    22.9%

    21.5%

    21.3%

    34.5%

    46.3%

    58.3%

    63.1%

    62.3%

    0.0%

    26.3%

    20.5%

    10.8%

    10.8%

    33.3%

    21.1%

    23.1%

    31.7%

    24.7%

    66.7%

    52.6%

    56.4%

    57.5%

    64.5%

    ~ 6時間

    ~ 4時間

    ~ 2時間

    ~ 1時間

    ~ 5分

    32.4%

    11.9%

    10.2%

    9.9%

    10.4%

    11.8%

    26.2%

    34.7%

    32.1%

    23.9%

    55.9%

    61.9%

    55.1%

    58.0%

    65.7%

    不満寄り(0~4点) 中程度(5点) 満足寄り(6~10点)

    「不満寄り」が増加

    「不満寄り」が増加 「不満寄り」が増加

    未就学児のいる女性は「仕事等時間」「育児・家事時間」の合計が最長であることと関連。また、子供の成長に応じて、必ずしも育児・家事負担が軽くならず、希望していたとおりに働けないことも

    考察

    (出典)「家事等と仕事のバランスに関する調査」(令和元年度内閣府委託調査・株式会社リベルタス・コンサルティング)

  • 13

    2.より良いバランス・分担に向けた視点

    ■コラム■男性介護者への⽀援〜「男性介護者と⽀援者の全国ネットワーク」 介護をしている人の離職割合は1~2割程

    度。介護を理由とした離職者は9.9万人(女性7.5万人、男性2.4万人)(平成29年)

    実際に介護が必要な親がいるか否かに関わらず,男女ともに7割以上が不安を感じている(40代50代の就労者)

    不安の内容〜「自分の仕事を代わってくれる人がいないこと」「介護休業制度等の両立支援制度を利用すると収入が減ること」等。介護が必要な親がいない就労者では「介護サービスや施設の利用方法が分からないこと」も

    離職割合が低いことは必ずしも両立しやすいことを意味しておらず、特に男性は介護負担が重くてもなかなか仕事を休まず業務上の過失等につながる可能性が高いという指摘も

    介護離職の状況

    介護との両⽴をめぐる困難・不安

    男性の「家事・育児・介護」参画と個⼈や家庭の対応⼒向上

    「家事・育児・介護」における「働き過ぎ」を防ぐ視点

    性介護者が多い集まりに行っても孤立しがち。我慢しないでSOSをというが「介護者になったからといってもすぐには泣けないんですよ!」という男性も。夫や息子たちが男性の介護ネットワークという自助的な「場」を経験することに意味があり、回り道のようではあるがジェンダー平等には有効

    • 中高年男性は家族の体に触れて世話をしてこなかったので排せつの世話や着替え等に抵抗感。男性も育児を積極的に行うようになると将来介護を担うときの抵抗感への免疫にもなるのでは

    • 「仕事」のように介護することが男性介護者の特徴。介護にのめりこんでしまう人もそれまでの仕事中心の生き方が介護にも影響。「家事=女性」規範が自縄自縛に

    • 介護離職した人が(両立の困難さから)「仕事を辞めて良かった」と言う一方、両立生活を選択し、24時間365日介護漬けにならずに済んだということも

    • 仕事と介護の両立は在宅介護者の生活の質をあげることにもつながる。働いている介護者を前提とした介護サービスが必要。たまの徘徊で仕事中に呼び出しがかかる等の状況に対応した介護サービスが有益

    • 男性介護者同志だからこそ深まる「共感のネットワーク」がポイント。男性介護者は女

    ■コラム■男性従業員の育児参加に積極的な企業の例①(有限会社COCO-LO)■コラム■男性従業員の育児参加に積極的な企業の例②(株式会社あわしま堂)■コラム■「シェアリングエコノミーを活⽤した家事⽀援サービス」(⼀般社団法⼈シェアリングエコノミー協会)

    「家事・育児・介護」の負担が女性に偏り、生活の質への影響、就業継続や仕事との両立の難しさにつながっている状況を改善するためには、男性に期待されている「仕事」の在り方や男性自身の「仕事」への向き合い方の変革と併せて、男性の「家事・育児・介護」への参画を進めていくことが必要

    女性の「仕事」による稼得役割を確保し男性が家族ケアを担えるようにしておくことは家庭単位で見た場合のリスクヘッジという側面も

    小さな子供がいる家庭やひとり親家庭では,男女にかかわらず,仕事時間も家事・育児時間も長い。また、介護時間の長さによる負担や仕事との両立困難は,もはや男女にかかわらない

    「家事・育児・介護」を家庭内で分担するのみならず、担い手の多様化や多様な外部サービスの活用等が重要

  • 第1章 政策・方針決定過程への女性の参画

    第1節 国の政策・方針決定過程への女性の参画【国会議員に占める女性の割合】衆議院9.9%、参議院22.9%(令和2年6月現在)【国家公務員に占める女性の割合】指定職相当4.2%、本省課室長相当職5.3%、地方機関課長・本省課長補佐相当職11.6%

    第2節 地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画 全ての都道府県議会に女性議員がいる一方で、市区議会の3.8%、町村議会の30.2%で女性議員がゼロ(令和元年12月末現在) 地方公務員課長相当職以上に占める女性割合は上昇傾向(都道府県10.3%、政令指定都市14.8%、市区町村15.3%)

    第3節 様々な分野における女性の参画 司法分野における女性の割合は着実に増加 GGI(ジェンダー・ギャップ指数)は153か国中121位

    Ⅰ-1-1図 衆議院議員総選挙における候補者、当選者に占める女性の割合の推移

    14

    2.9

    16.7

    16.6

    17.8

    8.4

    11.3

    9.5

    10.1

    0

    5

    10

    15

    20

    昭和21年4月

    22年4月

    24年1月

    27年10月

    28年4月

    30年2月

    33年5月

    35年11月

    38年11月

    42年1月

    44年12月

    47年12月

    51年12月

    54年10月

    55年6月

    58年12月

    61年7月

    平成2年2月

    5年7月

    8年10月

    12年6月

    15年11月

    17年9月

    21年8月

    24年12月

    26年12月

    29年10月

    候補者

    当選者(%)

    3.3

    27.624.7

    28.1

    4.0

    21.5

    23.122.6

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    昭和22年4月

    25年6月

    28年4月

    31年7月

    34年6月

    37年7月

    40年7月

    43年7月

    46年6月

    49年7月

    52年7月

    55年6月

    58年6月

    61年7月

    平成元年7月

    4年7月

    7年7月

    10年7月

    13年7月

    16年7月

    19年7月

    22年7月

    25年7月

    28年7月

    令和元年7月

    (出典)総務省「参議院議員通常選挙結果調」

    Ⅰ-1-2図 参議院議員通常選挙における候補者、当選者に占める女性の割合の推移

    (出典)総務省「衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調」

  • 38.1

    56.1 56.0

    28.4

    39.831.1

    29.828.2

    42.437.9 37.0

    49.752.5 51.6

    44.8

    58.2 57.7

    45.0

    67.967.7

    50.0

    81.382.0

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    平成

    (1990)

    7 12 13 15 17 19 21 23 25 27 29 令和元

    (2019)

    (%)

    (年)

    年齢計

    15~24歳(うち在学中を除く)

    25~34歳

    35~44歳

    45~54歳

    55~64歳

    65歳以上

    <女性>

    第2章 就業分野における男女共同参画

    第1節 就業をめぐる状況【就業者数・就業率】就業者数は女性2,992万人、男性3,733万人。生産年齢人口(15~64歳)の就業率は女性70.9%、男性84.2%【M字カーブ(女性の年齢階級別労働力率)】底となる年齢階級は上昇、谷にあたる期間も短縮【非正規雇用者の割合】女性の非正規雇用者の割合(56.0%)は前年に比べてやや低下

    女性は15~24歳(29.8%)から年齢層が上がるごとに高くなるが、男性は55~64歳で反転するまで順に低くなる女性の就業希望者(231万人)のうち、非求職の理由「出産・育児のため」が31.1%で最多

    15

    Ⅰ-2-3図 女性の年齢階級別労働力率の推移

    48.2 47.5

    69.7

    56.7

    22.1

    76.385.1 77.5 76.7

    80.2 81.4 80.0

    74.7

    59.9

    39.0

    11.9

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~

    (%)

    (歳)

    昭和54(1979)年

    平成11(1999)年

    令和元(2019)年

    8.8

    22.222.8

    20.3

    28.8

    21.0 21.6

    3.2

    14.4 14.63.3 9.3 9.34.3 8.6 8.7

    22.7

    29.2

    28.4

    50.9

    72.473.3

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    平成

    (1990)

    7 12 13 15 17 19 21 23 25 27 29 令和元

    (2019)

    <男性>

    (出典)総務省「労働力調査(基本集計)」

    (出典)総務庁「労働力調査特別調査」及び総務省「労働力調査(詳細集計)」

    Ⅰ-2-6図 年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移(男女別)

  • 第2節 企業における女性の参画【役職者に占める女性の割合】 係長級18.9%、課長級11.4%、部長級6.9%(令和元年)【上場企業の役員に占める女性の割合】 5.2%(令和元年)

    就業者に占める女性の割合(44.5%)は諸外国と大差ないが、管理的職業従事者に占める女性の割合(14.8%)は諸外国と比べて低水準

    16

    Ⅰ-2-13図 就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)

    (出典)総務省「労働力調査(基本集計)」及びILO“ILOSTAT”

  • 第3章 地域・農山漁村、防災における男女共同参画

    第1節 地域・農山漁村における男女共同参画【男女共同参画計画の策定率】 ほぼ全ての市区で策定済(98.0%)町村も6割が策定済(60.7%) 農業委員に占める女性の割合(12.1%)及び農業協同組合の個人正組合員及び役員に占める女性の割合(22.4%、8.4%)は年々上昇

    第2節 防災・復興における男女共同参画 女性委員のいない防災会議は全体の2割強。うち86%が町村の防災会議 女性消防団員がいない消防団数は年々減少(消防団数の27.2%) 災害に関係したボランティア活動を行った者の割合は、男女とも1.5%。50代で行動者率が高い

    Ⅰ-3-1図 市区町村における男女共同参画計画策定割合の推移

    17

    23.4

    76.778.2

    74.8

    97.2 98.0

    9.3

    58.760.7

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    平成14

    (2002)

    16

    (2004)

    18

    (2006)

    20

    (2008)

    22

    (2010)

    24

    (2012)

    26

    (2014)

    28

    (2016)

    30

    (2018)

    31

    (2019)

    (%)

    (年)

    市区町村計 市区 町村

    (出典)内閣府「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」

    Ⅰ-3-5図 地方防災会議の委員に占める女性の割合の推移

    2.1

    15.716.0

    7.1

    8.4 8.7

    0

    3

    6

    9

    12

    15

    18

    平成16

    (2004)

    18

    (2006)

    20

    (2008)

    22

    (2010)

    24

    (2012)

    26

    (2014)

    28

    (2016)

    30

    (2018)

    31

    (2019)

    (%)

    (年)

    都道府県

    市区町村

    (出典)内閣府「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」

  • 第4章 教育・研究における男女共同参画

    第1節 教育をめぐる状況 女子の大学(学部)への進学率は平成期を通じて大きく上昇したが、なお男子より低い 社会人の学びの理由は、仕事のためが男女とも最多。家庭のためは女性が男性より多い 教員に占める女性の割合は、教育段階が上がるほど、また上位の職になるほど低い傾向がある

    第2節 研究分野における男女共同参画 研究者に占める女性の割合は緩やかな上昇傾向にあるが、16.6%と諸外国と比べて低い 研究者の大半を占める工学・理学分野の女性研究者割合が特に少ない

    Ⅰ-4-1図 学校種類別進学率の推移

    18

    Ⅰ-4-11図 専門分野別研究者数(平成31(2019)年)

    20,627 

    25,034 

    27,797 

    8,115 

    24,863 

    6,028 

    47,232 

    141,652 

    399,538 

    19,863 

    65,685 

    15,179 

    67,859 

    166,686 

    427,335 

    27,978 

    90,548 

    21,207 

    0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000

    人文・社会科学

    理学

    工学

    農学

    医学・歯学

    薬学

    (人)

    女性 男性

    (出典)総務省「科学技術研究調査」

    36.7

    96.5 96.0

    5.3

    26.2 27.1

    2.4

    50.1 50.7

    1.95.8 5.5

    48.0

    96.0 95.6

    1.8

    19.3 20.613.3

    56.3 56.6

    4.714.8 14.3

    2.2

    24.9

    8.3 7.9

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    昭和25

    (1 9 5 0 )

    3 5 ( 1 9 6 0 ) 4 5 ( 1 9 7 0 ) 5 5 ( 1 9 8 0 ) 1 0 ( 1 9 9 8 ) 2 0 ( 2 0 0 8 ) 3 0 ( 2 0 1 8 )

    (%)

    (年度)高等学校等(女子) 専修学校(専門課程,女子)大学(学部,女子) 大学院(女子)高等学校等(男子) 専修学校(専門課程,男子)大学(学部,男子) 大学院(男子)短期大学(本科,女子)

    昭和25 30 35 40 45 55 60 平成元 5 10 15 20 25 30 令和元

    (出典)文部科学省「学校基本統計」

  • 84.60

    87.1487.26 87.32

    72.6574.21

    74.79

    77.72

    80.9881.09

    81.25

    69.4071.19

    72.14

    60

    65

    70

    75

    80

    85

    90

    平成12

    (2000)

    14

    (2 00 2)

    1 6

    ( 2 00 4)

    1 8

    ( 2 00 6)

    2 0

    ( 2 00 8)

    2 2

    ( 2 01 0)

    2 4

    ( 2 01 2)

    2 6

    ( 2 01 4)

    2 8

    ( 2 01 6)

    3 0

    ( 2 01 8)

    (年)平均寿命(女性) 健康寿命(女性)

    平均寿命(男性) 健康寿命(男性)

    (年)

    第5章 生涯を通じた男女の健康と高齢者、ひとり親の状況

    第1節 生涯を通じた男女の健康【健康寿命】 女性74.79年、男性72.14年。平成25年より延伸。健康寿命と平均寿命の差は男性に比べて女性の方が大きい【女性のがん検診受診率(過去2年間)】上昇傾向。子宮がん(子宮頸がん)検診42.4%、乳がん検診44.9%(平成28年)

    乳がん検診受診率は、正規の職員に比べて非正規の職員、仕事なしで家事を担う者の方が低い

    Ⅰ-5-1図 平均寿命と健康寿命の推移(男女別) Ⅰ-5-4図 女性のがん検診受診率(抜粋)

    12.35年

    8.84年

    19

    11.3 6.1 

    9.4 

    31.7 

    24.8  25.4 

    58.9 

    49.3 46.2 

    60.3 

    49.0 43.9 

    46.3 

    37.6  37.0 

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    正規の職員・従業員 非正規の職員・従業員 仕事なしで家事を担う者

    (乳がん検診)

    20代 30代 40代 50代 60代

    (%)

    (出典)厚生労働省「完全生命表」及び「簡易生命表」、厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」及び「健康寿命及び地域格差の要因分析と健康増進対策の効果検証に関する研究」

    (出典)厚生労働省「国民生活基礎調査」

  • 第2節 高齢者、ひとり親の状況 女性の3割、男性の2割以上が65歳以上の高齢者(平成27年10月1日現在)【高齢者の就業】過去10年間に、65歳以上の就業者数は女性1.7倍、男性1.5倍、65~69歳女性の就業率は12.3%ポイント上昇

    65歳以上の雇用者は女性の8割以上、男性の7割以上が非正規雇用

    【ひとり親世帯】平成15年以降、同水準で推移。ひとり親世帯のうち86.8%が母子世帯母子世帯の37.6%が年間所得額200万円未満、45.1%が生活を「大変苦しい」と実感離婚相手から養育費を受けているのは、母子世帯で24.3%、父子世帯で3.2%

    Ⅰ-5-8図 65歳以上の就業者数の推移(男女別)

    20

    Ⅰ-5-11図 母子世帯及び父子世帯における養育費の受給状況(平成28(2016)年)

    351 350 349 365 390416 443 462

    483 512 531

    214 221 222 231247

    267288

    308324

    350 361

    565 570 571596

    637682

    732770

    807862

    892

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    800

    900

    1000

    (万人)

    (年)

    男性 女性

    24.3

    3.2

    15.5

    4.9

    56.0

    86.0

    4.2

    5.8

    0 20 40 60 80 100

    母子世帯

    父子世帯

    現在も養育費を受けている 養育費を受けたことがある

    養育費を受けたことがない 不詳

    (%)

    (出典)総務省「労働力調査」 (出典)厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」

  • 第6章 女性に対する暴力

    第1節 配偶者等からの暴力の実態【配偶者(※)からの暴力】女性の3割、男性の2割に被害経験あり。複数回あった者の割合は女性が13.8%、男性が4.8%

    女性の4割、男性の7割がどこ(だれ)にも相談していない ※事実婚や別居中の夫婦、元配偶者も含む 配偶者暴力相談支援センターは、全国287か所。センターへの相談件数は年間10万件を超える高水準で推移 配偶者暴力防止法に基づく保護命令件数は、1,591件(令和元年)

    第2節 ストーカー行為、性犯罪、子供に対する性的暴力、売買春、人身取引の実態 令和元年のストーカー事案の相談等件数は2万912件、ストーカー規制法違反の検挙件数は864件でいずれも昨年より減少 令和元年の強制性交等の認知件数(1,405件)は前年に比べて増加、強制わいせつの認知件数(4,900件)は前年に比べて減少 令和元年の検挙件数は児童買春事犯784件、児童ポルノ事犯3,059件でいずれも前年に比べて減少

    21

    Ⅰ-6-1図 配偶者からの被害経験(男女別) Ⅰ-6-4図 配偶者からの被害経験のある者のうち誰かに相談した者の割合の推移

    4.8

    13.8

    15.1

    17.5

    78.9

    66.9

    1.2

    1.8

    0 20 40 60 80 100

    男性

    女性

    何度もあった 1,2度あった まったくない 無回答

    あった(計)

    (31.3%)

    (19.9%)

    あった(計)

    (%)

    48.0

    45.9

    55.0

    50.3

    57.6

    46.9

    53.0

    41.4

    44.9

    38.2

    5.0

    1.1

    3.6

    4.8

    4.2

    0 50 100

    平成17

    (2005)

    20

    (2008)

    23

    (2011)

    26

    (2014)

    29

    (2017)

    相談した

    どこ(だれ)にも相談しなかった

    無回答

    <女性>(年)

    (%)

    15.6

    21.7

    19.3

    16.6

    26.9

    84.4

    77.2

    76.1

    75.4

    69.5

    0.0

    1.1

    4.5

    8.1

    3.6

    0 50 100

    平成17

    (2005)

    20

    (2008)

    23

    (2011)

    26

    (2014)

    29

    (2017)

    <男性>

    (出典)内閣府「男女間における暴力に関する調査」 (出典)内閣府「男女間における暴力に関する調査」

  • 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

    政府が、「令和元年度に講じた施策」及び「令和2年度に講じようとする施策」について、「第4次男女共同参画基本計画」の構成(12の個別分野、推進体制)に沿って記載

    22

    第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進

    第2章 男性中心型労働慣行等の変革と女性の活躍

    第3章 政策・方針決定過程への女性の参画拡大

    第4章 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和

    第5章 地域・農山漁村、環境分野における男女共同参画の推進

    第6章 科学技術・学術における男女共同参画の推進

    第7章 生涯を通じた女性の健康支援

    第8章 女性に対するあらゆる暴力の根絶

    第9章 貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備

    第10章 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備

    第11章 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進

    第12章 男女共同参画の視点に立った防災・復興体制の確立

    第13章 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

    【政治分野の男女共同参画推進のための政党への要請】

    【パープル・ライトアップ】

    平成30年5月に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が公布されたことを踏まえ、橋本大臣より各政党に対して、ポジティブ・アクションの自主的な導入や女性議員が活躍しやすい環境の整備等を要請。(令和元年12月~令和2年1月)

    【ミス・インターナショナル世界大会出場者への「Wリボン贈呈式」】

    ミス・インターナショナル世界大会出場者の代表者に対し、「女性に対する暴力根絶」と「児童虐待防止」のシンボルであるW(ダブル)リボンバッジを贈呈。(令和元年10月28日)

    「女性に対する暴力をなくす運動」の一環として、東京スカイツリー、六本木ヒルズ、さっぽろテレビ塔、二条城を始めとする全国のタワー、施設等においてパープル・ライトアップを実施。(令和元年11月12日~25日)