「精神保健福祉法の歴史と制度」 「岩手県精神保健福祉 ... · 2020. 4....

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「精神保健福祉法の歴史と制度」 「岩手県精神保健福祉センター業務について」 岩手県精神保健福祉センター 令和2年度精神保健基礎研修資料 1

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Page 1: 「精神保健福祉法の歴史と制度」 「岩手県精神保健福祉 ... · 2020. 4. 21. · 精神保健福祉法 法律の目的(第1条) ① 精神害者の医療及び保護

「精神保健福祉法の歴史と制度」 「岩手県精神保健福祉センター業務について」

岩手県精神保健福祉センター

令和2年度精神保健基礎研修資料

1

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本日の内容

1 精神保健福祉法制定の背景と

精神科医療の歴史について

2 精神保健福祉法について

3 精神保健福祉センターの役割について

2

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1 精神保健福祉法制定の背景と 精神科医療の歴史について

3

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精神保健福祉法制定の背景と精神科医療の歴史

・治安要請の強い「私宅監置」を中心とした立法 ・都道府県が精神科病院を設置 ・地方長官が精神障害者を入院させる制度 ・都道府県に精神科病院設置義務 ・精神衛生相談所、精神衛生鑑定医 ・措置入院、保護者の同意による入院 ・「私宅監置」の廃止 等 昭和30~40年精神科病院大増設 ・緊急措置入院の新設 ・保健所の精神衛生相談や訪問指導の強化 ・各都道府県に精神衛生センターを設置 ・通院医療公費負担制度を新設 等

精神病者監護法

精神病院法

精神衛生法

明治33年

大正8年

昭和25年

昭和40年

私宅監置時代

病院収容時代

入院医療中心の治療体制から 地域におけるケアを中心とする体制へ

出典:精神科医療情報総合サイト「e-らぽ~る」精神科医療関連制度基礎テキスト資料より 4

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精神保健福祉法制定の背景と精神科医療の歴史

・法の目的、責任に社会復帰推進を明記 ・任意入院、応急入院の創設 ・入院患者の人権擁護の整備 ・社会復帰制度の創設 等 ・地域生活援助事業(グループホーム)の法制化 等 ・ 障害者基本法及び地域保健法の成立

・法の目的に自立と社会参加の促進を明記 ・社会適応訓練事業の法制化 ・精神障害者保健福祉手帳の創設 ・市町村の役割の明記 ・指定医制度の充実、入院告知義務の徹底 ・公費負担医療の保険優先化 等 ・精神保健指定医の役割強化 ・医療保護入院の要件の明確化 ・精神科病院に対する指導監督の強化 ・精神障害者の移送 ・精神障害者の保健福祉の充実 等 ・精神科病院等に対する指導監督体制の見直し ・定期病状報告制度の見直し ・長期任意入院患者に同意の再確認の仕組み導入 ・行動制限についての一覧性のある台帳の整備 ・緊急時の入院等に係る診療の特別措置の導入 等 ・ 障害者自立支援法施行

・精神障害者の医療の提供を確保するための指針の策定 ・保護者に関する規定の削除 ・医療保護入院の見直し ・精神医療審査会に関する見直し

精神保健法

精神保健及び 精神障害者福祉 に関する法律

(精神保健福祉法)

昭和62年

平成5年

平成11年

平成17年

人権擁護・社会復帰

自立・社会参加の援助

平成7年

平成25年

出典:精神科医療情報総合サイト「e-らぽ~る」精神科医療関連制度基礎テキスト資料より

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出典:平成28年度市町村等障がい福祉担当職員新任研修講義資料より 6

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出典:精神科医療情報総合サイト「e-らぽ~る」精神科医療関連制度基礎テキスト資料より

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2 精神保健福祉法について

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精神保健福祉法

○法律の目的(第1条)

① 精神障害者の医療及び保護

② 精神障害者の社会復帰の促進

③ 精神障害者の自立と社会経済活動参加促進のため

の必要な援助

④ 精神障害者の発生の予防その他国民の精神的健康

の保持及び増進によって、精神障害者の福祉及び国

民の精神保健の向上を図る。

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精神保健福祉法

○国及び地方公共団体の義務(第2条)

① 精神障害者に対して、障害者 総合支援法の自立支援給付及 び地域生活支援事業とともに、 医療及び保護並びに保健及び福 祉に関する施策を総合的に実施 することによって精神障害者が 社会復帰をし、自立と社会経済 活動への参加をすることができる ようにする努力義務 ② 精神保健に関する知識の普 及、精神障害発生の予防等の 国民の精神保健の向上のため の施策を講じる義務

○国民の義務(第3条)

① 自らの精神的健康の保持及 び増進に努める義務 ② 精神障害者に対する理解を 深め、精神障害者が社会復 帰をし、自立と社会経済参加 へ参加することに対して協力 するよう努める義務

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精神保健福祉法 ○精神障害者の社会復帰、自立及び社会参加への配慮(第4条)

○精神障害者の定義(第5条)

① 医療施設の設置者は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済参加への参加促進を図るため、当該施設で医療を受ける精神障害者が、障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、その他の精神障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用できるよう配慮し、連携を図る。地域に即した創意と工夫を行い、地域住民等の理解と協力を得るように努める。

② 国及び地方公共団体、医療施設の設置者は、相互に連携を図りながら協力するよう努める。

精神障害者とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。

*知的障害について*

知能の障害により、周囲との意思疎通や感情表現等の障害がみられるなど精神医療を受けることが必要となる者もあるため、対象と規定されている。

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精神障害者の入院形態

精神障害者の入院形態(精神保健福祉法に基づく入院)

(目的)精神障害者の人権に配慮した適切な医療と保護

入院の基本形態 (患者本人の同意に基づく入院) その他の入院形態(患者本人の同意に基づかない入院)

書面による告知等で人権配慮規定を適用

出典:精神科医療情報総合サイト「e-らぽ~る」精神科医療関連制度基礎テキスト資料より

措置入院

医療保護入院

緊急措置入院

応急入院

任意入院

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任意入院(第20条)

• 本人の同意に基づく入院

• 人権擁護の観点からも、医療を円滑かつ効

果的に行うということからも、原則的な入院形

態としている。

・ 精神病院の管理者は、精神障害者を入院さ

せるときには、本人の同意にも基づいて入院

が行われるように努めなければならない。

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医療保護入院(第33条)

• 自傷他害のおそれはないが医療及び保護が必要な患者の入院を、患者本人の入院の同意が得られないため、家族等のうちいずれかの者の同意に基づいて行う。

• 入院の必要性の判断は、精神保健指定医の診察結果に基づく。

• 対象患者は、精神保健指定医が、任意入院に該当しないと判定した精神疾患を有する者である。

• 特定病院の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、12時間に限り精神保健指定医の代わりに特定医師が診察を行うことで医療保護入院を行うことができる。(平成18年10月から)

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医療保護入院 【家族等のうちいずれかの者の同意】(平成26年1月24日障精初0124第1号)

精神科病院の管理者は、原則として、診察の際に患者に付き添う家族等に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、当該家族等から同意を得る。

*同意する「家族等」

配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人のうちいずれ

かの者

*市町村長同意

家族等の該当がいない場合や家族等の全員がその意志を表示

することのできない心身喪失等の場合は、居住地(現在地)を管

轄する市町村長が同意の判断を行う。

ただし、家族等が存在しているが反対している場合や反対して

いないが同意することを拒否している場合は市町村長同意を行う

ことはできない。

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医療保護入院

【医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を推進するための措置】(第33条の4~第33条の6) (平成26年4月から施行)

○退院後生活環境相談員の概要

・医療保護入院者に対して退院後生活環境相談員(精神保健福祉士等)を入院後7日以内に選定し、退院後の生活環境の相談や指導を行う。

・退院後生活環境相談員1人につき、概ね50人以下の医療保護入院者を担当(常勤換算としての目安)

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医療保護入院

○退院後生活環境相談員の責務・役割

・ 医療保護入院者が可能な限り早期に退院できるように、個々の医療保護入院者の退院支援のための取組において中心的な役割を果たす。

・ 退院にむけた取組に当たっては、医師の指導を受けつつ、多職種連携のための調整を図ることに務めるとともに、行政機関を含む院外の機関との調整に努める。

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医療保護入院

○退院後生活環境相談員の業務

・入院時業務

・退院に向けた相談支援業務

・地域援助事業者等の紹介に関する業務

・医療保護入院者退院支援委員会に関する

業務

・退院調整に関する業務

・その他

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医療保護入院 【医療保護入院者退院支援委員会】

○出席者(構成メンバー)

区 分 出 席 者

参加を必須とする者 ① 主治医(主治医が精神保健指定医でない場合は、当該主治医に加え、主治医以外の精神保健指定医が出席)

② 看護職員(担当する看護職員)

③ 退院後生活環境相談員(選任された者)

④ ①~③以外の当該病院職員(病院管理者が求める)

医療保護入院者本人 の希望に応じて参加 する者

⑤ 医療保護入院者本人

⑥ 医療保護入院者の家族等

⑦ 地域援助事業者その他退院後の生活環境に関わる者

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医療保護入院

【医療保護入院者退院支援委員会】

○開催時期

病院における医療保護入院者数等の実情に応じて、推定さ れる入院期間を経過する時期の前後概ね2週間以内に開催し、審議を行う。

○審議の内容

1 医療保護入院者の入院継続の必要性の有無とその理由

2 入院継続が必要な場合の委員会開催時点からの推定され

る入院期間

3 2の推定される入院期間における退院に向けた取組

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応急入院(第33条の7)

• 本人及び家族等の同意が得られないが、精神保健指定医の診察の結果、直ちに入院させなければ患者の医療と保護を図るうえで著しい障害があると判断した場合に72時間を限り応急入院指定病院に入院させることができる。

• 特定病院の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、12時間に限り精神保健指定医の代わりに特定医師が診察を行うことで応急入院を行うことができる。

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措置入院(第29条) 自傷他害のおそれのある精神障害者に対する医療と保護のため、通報・申請・届出に基づき、都道府県知事(指定都市は市長)は措置入院の必要性について、指定した2人以上の精神保健指定医の診察の結果が一致した場合、指定病院に措置入院させることができる。 【通報・申請・届出(第22条~第26条の3)】 ①一般人の申請 ②通報義務 (警察官、検察官、保護観察所長、矯正施設長) ③精神科病院管理者の届出義務 【自傷他害の判定(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第28条の2の規 定に基づき厚生労働大臣の定める基準)】 自傷行為・・・自殺企図等、自己の生命、身体を害する行為 他害行為・・・殺人、傷害、暴行、性的問題行動、侮辱、器物破損、強盗、恐喝、窃盗、 詐欺、放火、弄火等他の者の生命、身体、貞操、名誉、財産等又は社会 的法益等に害を及ぼす行為(原則として刑罰法令に触れる程度の行為)

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措置入院の手続き

【措置入院を行うための通常の手続き】

① 都道府県知事(指定都市は市長)が指

定した2人以上の精神保健指定医が診察

すること。

② 診察に都道府県等の職員が立ち会うこ

と。

③ 家族等に通知し、診察に立ち会わせる

こと。

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緊急措置入院(第29条の2)

都道府県知事(指定都市の市長)は、自傷他害のおそれのある精神障害者が入院治療を急速に要する場合、知事等の指定する精神保健指定医1名の診察の結果に基づいて、72時間に限って緊急措置入院をさせることができる。

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措置入院の解除

都道府県知事(指定都市の市長)は、精神保健指定医の診察の結果により自傷他害のおそれが消失した場合、措置入院者の措置の解除を行う。 ○精神保健指定医の診察の結果

・入院先の病院からの「措置症状消退届出」が提出される

場合

・知事の指定した精神保健指定医の診察結果(実地審査)

による場合

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自立支援医療(精神通院医療)及び 精神保健福祉手帳について

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自立支援医療(精神通院医療) 【法的根拠】 障害者総合支援法 第52条~第69条 【概要】 統合失調症等の精神疾患の治療のために通院医療 費が公費で負担される制度 【有効期間】 1年間 (再認定のため、診断書の提出は2年に1回)

【対象】 精神疾患を有し、通院による医療を継続的に必要な者 【支援の内容】 自己負担は原則1割(所得に応じて自己負担上限額が設定)

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精神障害者保健福祉手帳(第45条) 【概要】

身体障害者手帳、療育手帳と同様に、精神障害者についても各種

の支援策が講じやすくするために交付される。精神障害者の自立と

社会参加の促進を図ることを目的としている。(平成7年改正時創設)

【対象者】

精神障害のために長期にわたり日常生活又は社会生活への制約

がある精神疾患を有する障害者(知的障害を除く)初診日から6ケ月

以上経過していることが必要である。

【有効期間】 2年間

【受けられる主な支援の内容】(等級により異なる場合あり)

・税制上の優遇措置(所得税・住民税の障害者控除、自動車税の減免等)

・生活保護の障害者加算(等級が1級・2級)

・公共交通機関の運賃割引(県内路線バス、IGR、三陸鉄道等)

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手帳交付の判定

【医師の診断書による申請】

精神保健福祉センターで手帳交付の判定を行う。

障害等級の判定は、精神疾患(機能障害)の状態と生活能力

障害の状態とで総合的に判定される。

・手帳用診断書

【障害年金証書等による申請】

精神保健福祉センターの判定は不要となり、原則、年金1級

は手帳1級、年金2級は手帳2級、年金3級は手帳3級となる。

・特別障害給付金の受給者証

・精神障害を事由とする障害年金証書

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精神障害者保健福祉手帳の等級

日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生

活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度の

もの

1級

2級

3級

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手帳への写真添付

• 平成18年10月より新規の申請分から原則として写真を添付する。

• 既に交付されている手帳は更新時に順次写真添付している。

• 平成26年4月以降、性同一性障害の方に配慮する観点から性別欄が削除されている。

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3 精神保健福祉センターの役割 について

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* 全国 69ヶ所

精神保健福祉センターとは

○組織 ・総務 ・地域精神保健福祉部門、教育研修部門、精神保健福相談部門 ・精神医療審査会、自立支援医療・精神保健福祉手帳判定部門 ○職種 医師(精神科医師)、精神保健福祉士、臨床心理技術者、 保健師、看護師、作業療法士、その他

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・ 精神保健福祉法第6条に規定。 ・ 都道府県、指定都市に設置。 ・ 保健及び精神障害者の福祉に関する総合的技術センターとして、地域 精神保健福祉活動推進の中核的機能を担う機関。 * 全国 69ヶ所 ・ 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、調査研究を 行い、並びに相談及び指導のうち複雑困難なものを行うとともに、精神医療 審査会の事務並びに精神保健福祉手帳の申請及び自立支援医療費(精神 通院)の支給認定に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とする ものを行う。

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岩手県 精神保健福祉センター

【概要】 昭和48年 岩手県精神衛生センター設置。業務開始。

平成13年 中央児童相談所、婦人相談所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所と統合し、岩手県福祉総合相談センターとなる。ただし「岩手県精神保健福祉センター」の名称は継続。

平成21年「岩手県自殺予防情報センター(H28.5~岩手県自殺対策推進センターに名称変更)」「岩手県ひきこもり支援センター」が精神保健福祉センター内に設置。

【職員配置】 所長、次長、保健師、心理判定員、こころの健康相談員、自殺対策活動専門員、ひきこもり相談支援員ほか

住所:盛岡市本町通三丁目19-1 電話:019-629-9617 こころの電話:019-622-6955

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精神保健福祉センターの業務 (精神保健福祉センター運営要領抜粋)

1 企画立案 地域精神保健福祉を推進するため、都道府県の精神保 健福祉主管部局及び関係諸機関に対し、専門的立場か ら、社会復帰の推進方策や、地域における精神保健福祉 施策の計画的推進に関する事項等を含め、精神保健福 祉に関する提案、意見具申等をする。 ○各種会議への出席(自殺対策推進会議、精神科救急 医療システム連絡調整委員会等)

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2 技術指導及び技術支援 地域精神保健福祉活動を推進するため、保健所、市町村 及び関係諸機関に対し、専門的な立場から、積極的な技 術指導及び技術援助を行う。 ○ケース会議での助言、地域に出向いた講師業務、各 種ネットワーク会議等での助言等

3 人材育成 保健所、市町村、福祉事務所、障害者自立支援法に規定 する障害福祉サービス事業所等その他の関係機関で精神 保健福祉業務に従事する職員等に、専門的研修等の教育 研修を行ない、人材の育成技術水準の向上を図る。 ○研修会(精神保健基礎、災害支援、ひきこもり支援、薬物 依存、認知行動療法、自死遺族ケア、ケアマネジメント等) の実施等

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4 普及啓発 一般住民に対し精神保健福祉の知識、精神障害につい ての正しい知識、精神障害者の権利擁護等について普及 啓発を行うとともに、保健所や市町村が行う普及啓発活動 に対して専門的立場から協力、指導及び援助を行う。 ○地域住民への公開講座、民生児童委員、保健推進員等 の研修会の開催、教材の貸し出し、関係機関への資料、 パンフレット等の提供

5 調査研究 地域精神保健福祉活動の推進や精神障害者の社会復帰 の促進及び自立と社会経済活動への参加推進等について 調査研究するとともに、必要な統計及び資料を収集整備し、 保健所や市町村に情報提供する。 ○調査の実施、統計資料の分析、関係機関への情報提供

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6 精神保健福祉相談 精神保健及び精神障害者福祉に関する相談及び指導の うち、複雑又は困難なものを行う。心の健康相談から、精神 医療に係る相談、社会復帰相談をはじめ、アルコール、薬 物、思春期、認知症等の特定相談を含め、精神保健福祉 全般の相談を実施する。 ○こころの電話相談、来所相談等

7 組織育成 家族会、患者会、社会復帰事業団体など都道府県単位 の組織育成に努めるとともに、保健所、市町村や地区単位 の組織の活動に協力する。 ○うつ、アルコール、薬物家族教室、自死遺族交流会の 開催、当事者会、精神保健ボランテイア等の活動支援等

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8 精神医療審査会の審査に関する事務

精神医療審査会の開催事務及び審査遂行上必要な

調査など審査会の審査に関する事務を行う。

退院請求、処遇改善請求に係る意見聴取の実施を

行う。

9 自立支援医療及び精神障害者保健福祉手帳の判定

自立支援医療の支給認定及び精神障害者保健福祉

手帳の申請に対する判定業務を行う。

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岩手県ひきこもり支援センター

ひきこもりに対する地域の理解、相談支援体制及び関係機関との連携を 強化し、ひきこもり対策のより一層の推進を図る。

・ 平成21年に当センター内に「岩手県ひきこもり支援センター」が設置さ れ、以下の事業を実施している。 【事業の内容】

1 ひきこもり専門相談 ひきこもり本人及び家族のための専門相談を実施。

2 ひきこもり当事者支援事業「小さな集まり」 ひきこもりの状態にある成年の小グループを開催

3 教育研修 ひきこもりに関する研修の開催 4 地域ネットワークの構築 地域ひきこもり支援ネットワーク連絡会の開催 5 技術支援 県内の相談機関が開催するひきこもり事業関連の講演 会、研修会、家族教室、相談会、連絡会議等への技術支援

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岩手県自殺対策推進センター

• 岩手県は、全国的に自殺率が高率県で、自殺対策は本県における重要な政策課題となっており、平成21年に当センター内に岩手県自殺予防情報センターが設置され、以下の事業を実施している。(平成28年5月「岩手県自殺対策推進センター」となる。)

【事業の内容】 1 情報の提供等 ・警察庁、人口動態統計を基にした情報収集、分析、 ・県内の自殺対策(久慈モデル)に関する実施状況調査 2 自殺対策計画支援 ・データの集計・分析、市町村等への情報提供 ・市町村等に対する自殺対策計画策定の取組状況等の把握 ・市町村の状況を踏まえた支援

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保健・福祉・医療・労働・教育・警察等関係機関と連携を図りながら、市町村等に対し適切な助言や情報提供等を行うとともに、地域における自殺対策関係者等に対し研修等を行うことにより、全ての市町村等において地域の状況に応じた自殺対策が総合的かつ効率的に推進されることで、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す。

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3 連絡調整 ・岩手県自殺対策推進協議会、圏域・市町村における関係機関の自殺対策推進連絡会議、 ネットワーク連絡会、岩手県自死遺族支援実務者連絡会等の連絡調整 4 市町村及び民間団体への支援 ・自殺対策推進連絡会議等への出席、助言等 ・ボランテイア団体等への協力支援 5 人材育成研修 (1)当センターにおける研修等開催 ・関係機関対象とした自殺対策に関する研修 ・保健所、市町村自殺対策企画担当者を対象とした研修 ・自死遺族支援公開講座 ・地域ケア会議 (2)地域への技術支援等 ・ケア会議等への職員講師派遣 ・各種研修会等への講師(職員)派遣 6 自殺未遂者及び自死遺族等支援に対する指導等 ・自殺未遂者支援 二戸地域において「なやみ解決こころサポート事業」の実施 ・自死遺族支援 自助グループの支援及び交流会の開催支援 ・必要に応じて、圏域、市町村等に対して適切な指導又は助言等の支援 7 相談支援の強化 ・「こころの電話相談」(午前9時から午後9時まで)による相談実施 8 専門職員の配置

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