医仁会武田総合病院 地域医療連携室 だより ·...

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糖尿病センターに着任しました 医仁会武田総合病院 地域医療連携室 だより 2018 年 10 月 1 日に赴任しました。何卒よろ しくお願い申し上げます。 当院では教育入院にて治療を受けて頂くこと が可能です。初診時に HbA1c ( 1 ~ 2 ヵ月 前の血糖値の平均を反映する数値 ) がとても高 い方 ( 大体 10% 以上 )、外来での治療にて HbA1c が思うように下がらない方、さらには何 回も外来にて減量するよう指導を受けても減量 できない方は入院して頂くこともご検討頂けた らと思います。 私が前任地で教育入院にて担当した患者さんを調べたところ、入院前の 平均 HbA1c11.9% が 6.7% に低下していました ( 対象者数 18 人、平均観 察期間約 2 ) 。2 型糖尿病で思うように血糖が改善しない患者さんがお られましたら入院による治療を特にお勧め致します。 ※HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー) ヘモグロビンにブドウ糖が結合したもの。余っている糖が多いと数値が高くなります 根本 浩一郎 副部長

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Page 1: 医仁会武田総合病院 地域医療連携室 だより · んが訪れ、体外衝撃波結石破砕術(eswl)を主体に、病状に応じて内視鏡手術などの選択肢も提示しています。

糖尿病センターに着任しました

医仁会武田総合病院地域医療連携室だより

 2018 年 10 月 1 日に赴任しました。何卒よろしくお願い申し上げます。 当院では教育入院にて治療を受けて頂くことが可能です。初診時に HbA1c ( 1 ~ 2 ヵ月前の血糖値の平均を反映する数値 ) がとても高い方 ( 大体 10% 以上 )、外来での治療にてHbA1c が思うように下がらない方、さらには何回も外来にて減量するよう指導を受けても減量できない方は入院して頂くこともご検討頂けたらと思います。

 私が前任地で教育入院にて担当した患者さんを調べたところ、入院前の平均 HbA1c11.9% が 6.7% に低下していました ( 対象者数 18 人、平均観察期間約 2 年 ) 。2 型糖尿病で思うように血糖が改善しない患者さんがおられましたら入院による治療を特にお勧め致します。

※HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー) ヘモグロビンにブドウ糖が結合したもの。余っている糖が多いと数値が高くなります

根本 浩一郎 副部長

Page 2: 医仁会武田総合病院 地域医療連携室 だより · んが訪れ、体外衝撃波結石破砕術(eswl)を主体に、病状に応じて内視鏡手術などの選択肢も提示しています。

4月より副院長を拝命しました川西です。これまで当院で脳脊髄神経の外科的治療に専念してまいりました。これらをさらに充実させるとともに、他科の先生方や多職種による連携、サービスの向上、人材育成にも注力してまいります。とくに、当地域の医療に貢献できるよう、かかりつけ医の先生方との連携をさらに深めていきたいと考えております。どうぞ宜しくお願いします。

専門・得意分野 :脳動脈瘤治療、バイパス術、血管内治療、脊椎の手術認定・資格など:日本脳神経外科学会専門医・日本脳神経血管内治療学会        専門医・日本脳卒中学会専門医・日本脊髄外科学会認定        医・日本脊髄外科学会指導医

「開頭しての外科的手術」「脊椎・脊髄と抹消神経の治療」   「カテーテルを使った血管内治療」を3本の柱とし

疾患に応じた適切な治療の提供につとめています脳神経外科 川西 昌浩 副院長

   科では、開頭しての外科的手術、脊椎・脊髄と抹消神経の治療、そしてカテーテルを使った血管内治   療を3本の柱として、疾患に応じた適切な治療の提供につとめています。 具体的な例で紹介します。開頭や首の切開など、直接目で見て顕微鏡を使って治療するのは最も得意とするところですが、何でもかんでも切るのではありません。脳動脈瘤では、開頭して隙間から血管の瘤をクリップでつまむなど外側からの治療を行っておりますが、可能なケースでは血管内にチューブを入れ、動脈瘤部分・出血している場所にコイルを入れる、ステントを使うなどのカテーテル治療を行っています。ほかにも血管内に狭い部分があれば、バルーンで膨らましてステントで広げるなど、心臓カテーテル手術と同じ治療を行っています。

   椎の治療も同様です。従来は大きく切開して、患部がよく見える状況にして手術を行うのが一般的な   治療でしたが、現在では切開する範囲を狭くし、可能な限り患者さんのダメージを減らして修復していくことを治療の方針としています。 例えば、骨は多くの筋肉がついており、これを切ると、回復する期間が長くなります。そこで、できるだけ切らずにネジを入れるなどの治療を選択したり、圧迫骨折の場合は骨に医療用のセメントを注入する「経皮的椎体形成術」を行うことで、“早く痛みをとって早く治る”治療につなげています。 血管内の疾患に関しては、カテーテルを用いた治療が非常に低侵襲で有効であるため、これを第一選択肢とし、専門医2人の体制で対応しています。このように、いずれの治療法についても、患者さんの負担を少なくし、スムーズな家庭復帰が出来るよう「低侵襲」な医療となることを目指しています。

   術件数は年間 300 ~ 400 件。体制は、6名の脳神   経外科学会専門医で、特に脳卒中症例においては血管内治療学会専門医 2 名。脊髄外科領域におきまして当院は日本脊髄外科学会認定の指導医2名、専門医2名が在籍しています。

 設備におきましては最先端の手術用顕微鏡3台に加え、最新式 DSA 装置、3 テスラ MRI 装置、神経内視鏡、最新型のナビゲーションシステムを保有し、24 時間体制で脳神経外科専門医が待機しありとあらゆる病態に対し迅速に治療が行えるシステムを確立しています。

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本年4月、副院長に就任した山田仁です。結石の低侵襲治療を継続しつつ、腹腔鏡手術の普及に尽力してきました。医療は患者さんのためという信念から、最善の医療を全力で提供してきました。今後当院の医療従事者一丸となって、どんな時でも最善の医療を提供できるようにと思います。かかりつけ医の先生方とともに、当地域の医療に貢献していく所存ですので、ご指導ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

専門・得意分野 :泌尿器科一般、腎尿路結石治療認定・資格など:日本泌尿器科学会専門医、同指導医・日本癌学会・        日本E&E学会・日本泌尿器科学会泌尿器腹腔鏡技術        認定

医療は患者さんのためにあるという信念から      どんな状態の患者さんでも引き受け

最善の医療を提供するよう努力しています泌尿器科 山田 仁 副院長

   尿器科領域の主要疾患のうち、最も代表的な腎尿路結石、泌尿器悪性腫瘍、前立腺疾患、尿路感染症   に対し、通院・入院に限らず精力的に取り組んでいます。特に尿路結石症は国内でも屈指の数の患者さんが訪れ、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を主体に、病状に応じて内視鏡手術などの選択肢も提示しています。 尿路悪性腫瘍手術については、いち早く体腔鏡を用いた手術に取り組み、現在では高度な技術を要する腎部分切除術や前立腺全摘、膀胱全摘も体腔鏡によるアプローチをメインにしています。また都道府県の認定が必要な腹腔鏡下前立腺全摘術では、京都府で第 1号の認定を取っています。 これらの経験をベースに、泌尿器科良性疾患でも内視鏡手術、腹腔鏡手術を行い、傷の小さな侵襲の少ない治療を提供しています。近年はレーザーを用いた結石や前立腺肥大症手術を積極的に行っています。

   来スケジュールは、午前診は月曜日~土曜日に一般診療、午後診は月曜日~金曜日に膀胱鏡検査、前   立腺癌生検、尿流量検査、膀胱神経学的検査、などの予定検査を施行。夜診は火曜日~木曜日に一般診療を行っています。また、手術日は月、水、金曜日に、主として開放手術、内視鏡手術、体腔鏡手術を行い、体外衝撃波結石破砕術は緊急を含めて、必要に応じ随時治療可能です。

   術だけでなく抗がん剤などの薬物治療も積極的に行っており、癌の集学的治療の残る柱である放射線   治療も平成 19 年度よりグループ病院の宇治武田病院に最新鋭の治療機械が導入されたおかげで、バランスの取れた治療を随時提供できるようになっています。

経皮的腎砕石術(PNL)

経尿道的尿管砕石術(TUL)

腎 (尿管 )摘出術、腎部分切除術(腹腔鏡手術を含む)膀胱(前立腺尿道)全摘術(一部腹腔鏡補助あり)

副腎摘除術(全例腹腔鏡手術)

経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-Bt)

前立腺精嚢全摘術(腹腔鏡手術を含む)

経尿道的前立腺切除(TUR-P)(類似手術を含む)

高位精巣摘除術

陰嚢水腫根治術

被膜下精巣摘除術

他、腎盂形成術、尿膜管摘出術、精巣固定術など

361 例

143 例

98 例

45 例

10 例

462 例

80 例

139 例

16 例

19 例

2 例

●代表的な手術 (5年) 手術症例(ESWLを除く)  1,919例 (内 腹腔鏡手術:245例)

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淺野直子院長(金久医院)

総合診療科倉石佳奈研修医

石原広章院長(石原クリニック)

産婦人科伴千秋部長

森田陸司院長

京都大学大学院平井豊博教授

呼吸器内科前川晃一副部長

武田道子 副理事長伏見医師会 辻光 会長受付時間 :月~金曜日 午前 8:30~午後19:00 / 土曜日 午前 8:30~午後17:00※日曜日・祝日・祭日・年末年始はお休みさせていただいております。※時間外は医事部にて対応いたします ▶ ☎075-572-6331(代表) 

第56回 特別講演会を開催(医仁会武田総合病院・伏見医師会・第一三協 共催 )iPS 細胞を活用した呼吸器治療など最新知見を地域で共有第56回 特別講演会を開催(医仁会武田総合病院・伏見医師会・第一三協 共催 )iPS 細胞を活用した呼吸器治療など最新知見を地域で共有

呼吸器疾患と骨粗鬆症の関連など最新の知見と、様々な症例・治療法を共有する第 56回「特別講演会」が 9月 27日、京都ホテルオークラで開催され、南部地域の開業医や医療従事者らが参加し熱心に意見交換を行いました。

 演題発表では、伏見医師会(金久医院)の淺野直子院長が座長を務められ、「左側頭部痛を主訴に受診した巨細胞性動脈炎の一例」と題し、当院総合診療科の倉石佳奈研修医が発表しました。 巨細胞性動脈炎は本邦では大変珍しい症例です。側頭部動脈エコーを行なったところ、両側側頭動脈で壁肥厚が認められ、その後、頭部CT、PET-CT、生検を経て診断を確定。ステロイド治療が大変良好で、投与 32日目に消失が確認されたことを説明しました。

 続いて、伏見医師会(石原クリニック)の石原広章院長が座長を務められ、「巨大な卵巣腫瘍を合併した子宮体癌の2例」と題し、当院産婦人科の伴千秋部長が発表しました。 伴部長は冒頭、確定診断は術後の病理診断によるものと標準治療を挙げたうえで、「切ってみないことには詳しく分からないという説明では、患者さんが治療法を判断する助けにならない」と指摘。「患者さんが、病状、治療法、予後を理解したうえで主体的に治療を選択するのが理想。そのためには、手術前に出来るだけ詳しい診断が明らかになることが望ましい」と語りました。

 特別講演では、当院呼吸器内科の前川晃一副部長が座長を務め、「肺の機能から理解する多様な呼吸器疾患~ COPD と骨粗鬆症を例として~」との演題で、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学の平井豊博教授が講演しました。 平井教授は、COPDが全身に影響を与え、中でも骨粗鬆症と密接な関係があることを解説し「COPD患者の約 35%が骨粗鬆症であり、重症ほどリスクが高く、胸椎骨折が多い」ことを紹介しました。 また平井教授は、iPS 細胞を用いた研究にも取り組んでいることを明らかにし、「肺胞は非常に複雑であり細胞を再生させるのはまだまだ先の話。しかしながら、iPS 細胞を気道上皮細胞へと分化誘導し、薬剤を評価したり、新しいバイオマーカーを開発する研究が進んでいる」と最新の知見を語りました。

 伏見医師会の辻光会長は、温もりを感じる医療について語りつつ、「これからも伏見医師会と医仁会武田総合病院が良い関係でいることを願います」と挨拶しました。

これからも“手の温もりを感じる医療”を地域に