分析化学基礎実験 実験テキスト...5...

20
分析化学基礎実験 実験テキスト 物質工学科 2 年 学籍番号 氏 名

Upload: others

Post on 07-Jun-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

分析化学基礎実験

実験テキスト

物質工学科 2年

学籍番号

氏 名

Page 2: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4
Page 3: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

1

分析化学基礎実験 年間計画

計画書の提出は原則として実験の前週金曜日 17 時まで

週 月 日 提出物

1 説明

2 計画 (シリカゲルの乾燥(戻す))

3 実験 (器具の確認) 計画書 (HCl)

4 実験 強酸HClと弱塩基Na2CO3の滴定

5 実験

6 まとめ

7 実験中和滴定

【Warder法】Warder法による混合アルカリの定量 レポート(HCl)

8 まとめ・計画Warder法, 強酸HClと強塩基NaOHの滴定,

弱酸CH3COOHと強塩基NaOHの滴定

9 実験計画書(NaOH)レポート (Warder)

10 実験

11 実験

12 まとめ・計画中和滴定

キレート滴定NaOHの定量, 食酢中の酢酸の定量, 硬度測定 レポート (NaOH)

13 実験計画書 (キレート)レポート (酢酸)

14 実験

15 まとめ 【補講期間】 器具の洗浄・確認・清掃 レポート (硬度)

16 工場見学

17 説明・計画

18 実験 計画書 (重量分析)

19 実験

20 実験

21 実験

22 実験

23 まとめ・計画重量分析

酸化還元滴定結晶硫酸銅中の銅の定量環境水中のCOD測定

レポート (重量分析)

24 実験 計画書 (COD)

25 実験

26 実験

27 実験

28 まとめ

29 実技試験

30 実験 【補講期間】 支給器具の洗浄・確認(支給表による) レポート (COD)

酸化還元滴定 環境水中のCOD測定

キレート滴定【硬度測定】

水の全硬度およびCa硬度の定量

重量分析 結晶硫酸銅中の銅の定量

摘  要

授業のガイダンス, 実験を安全に行うために, シリカゲルの乾燥実験操作について (洗浄, 器具の取扱い, 恒量操作など)

中和滴定【HClの定量】

中和滴定【NaOHの定量】【酢酸の定量】

強酸HClと強塩基NaOHの滴定,

弱酸CH3COOHと強塩基NaOHの滴定

Page 4: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

5

分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例

レポートに関する諸注意

・レポートは A4 レポート用紙を使用し,ボールペンにより手書きで行うこと。

・文字の色は黒か青とする。

・他人のものを写さない。写した者と写させた者、判明した場合、両者共に減点対象となる。

・読み手を意識した文章表現に心がけ,丁寧に書くこと。読めないような字のレポートは減点。

・鉛筆で下書きをした場合,綺麗に消すこと。残っている場合は,減点対象となる。

・提出期限を厳守する。提出期限を超えたものは原則受け取らない。

・レポートは合同教員室前のクリップで止めること。ホッチキスで止めない。

・レポートは 10 点満点で評価を行う。

文章表現法

1. 文章作成の基本ルール

【ルール1】

句読点は「, .」あるいは「, 。」を使用する。

【ルール2】

形式名詞は,平がなで表記する。

表1 平がな書きする形式名詞

漢字 用法 漢字 用法 漢字 用法

辺 極大点あたりで 筈 増大するはずで 度 測定のたびに

上 検討したうえで 方 A より B のほう 通 以下のとおり

位 20mm くらいの長さ 程 A が小さいほど 等 A などの

事 解明したことは 様 つぎのように 時 滴定したとき

毎 試料ごとに 訳 ~のわけではない

【ルール3】

補助動詞は,平がなで表記する。

表2 平がな書きする補助動詞

漢字 用法 漢字 用法 漢字 用法

言 ~という意味である 見 計算してみる 出 動きだす

行 減少していく 置 用意しておく 付 考えつく

【ルール4】

行頭と行末では,つぎの記述をしてはならない。

行頭:,。.・:;?!― ~ ”’)}」】…々〃っゃゅょ

行末:({「【 “‘

【ルール5】

文体は「~です~ます調」ではなく「~である調」で記述する。

【ルール6】

中点,カッコ,コロンは,つぎの使い方をする。

中点「・」:名刺の並列表示,A と B と C 右 A・B・C

括弧(),[],【】:注記に使用する。

括弧「」,『』:引用文章,注記,会話文に用いる。

コロン「:」:ここで使用しているコロンの説明のように用いる。

Page 5: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

5

【ルール7】

接続詞は原則として,平がな書きする。

「並びに」→「ならびに」,「然も」→「しかも」,「又」→「また」

【ルール8】

表3の副詞は,必ずひらがな書きにすること。

表3 平がな書きする副詞

敢えて あえて 尚 なお 滅多に めったに

何れ いずれ 遂に ついに 若しも もしも

一旦 いったん 尚且つ なおかつ 勿論 もちろん

何時も いつも 何故 なぜ 尤も もっとも

全て すべて 先ず まず 僅かに わずかに

唯 ただ 益々 ますます

【ルール9】

表4の副詞は,漢字書きにすること。

表4 漢字書きする副詞

一応 偶然 全然 単に 残らず

一概に 早速 全部 都合 後ほど

一段と 終始 要するに 当然 初めて

一度に 十分に 確か 特に 再び

思いのほか 少なからず 例えば 特別に 見るからに

必ず 少し 多分 突然 最も

【ルール10】

漢数字は,つぎの場合だけに用いる。

(1)固有の専門用語(一軸応力,二段滴定,……)

(2)慣用語(一工夫,二義的,……)

(3)数詞(一つ,二つ,三つ,……)

【ルール11】

文頭は必ず1文字あける。

2. 表の作成法

表 5 に間違い箇所を示す。これを修正したものが表 6 である。両者をよく比較し,正しい表の作成方法

を理解すること。

① 表のタイトルが複数行に渡る際は 2 行目以降の先頭文字は,表の説明文の先頭文字に揃える

② 表に必要以上に罫線を引かない

③ 横線は一番上の線のみ太線で書くことが一般的だが,手書きの場合は同じ太さでも良いものとする

表5 間違い表

番号

入 力 出 力

条件 作業者 評価 能率

(秒)

1 A a 優 10.5

2 B b 劣 15.3

3 A c 秀 20.6

表6 修正表

番号

入 力 出 力

条件 作業者 評価 能率

(秒)

1 A a 優 10.5

2 B b 劣 15.3

3 A c 秀 20.6

Page 6: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

5

3. 図の作成法

図 1 に作図の間違い箇所を示す。これを修正したものが図 2 である。両者をよく比較し,正しい作図方

法を理解すること。

3

各間違い箇所についての説明は,以下のとおりである。

① 特殊な図以外では矢印を付けない

② 横軸の量記号は座標軸の下方中央に記述

③ 縦軸の量記号は,下から上に記述

④ 量記号と単位の間はスペースを設ける

⑤ 不必要な有効桁数にしない

⑥ 原点の数字が等しい時は,縦と横で 1 つの数字を記載する

⑦ 凡例に曲線を貫通させてはならない

⑧ 目盛りの欠落

⑨ 図番号と説明は,図の下部に記述する

⑩ タイトルが複数行に渡る際は 2 行目以降の先頭文字は,図の説明文の先頭文字に揃える

⑪ 単位が分数の場合標記に注意する。J・kg-1・K-1のように記載しても良い

⑫ ローマン体よりもイタリック体(斜体)で表現したほうが,区別がつきやすいが間違いではない

⑬ 下付き文字で表現

⑭ 原則としてグラフに外枠をつけておきたいが,間違いではない

参考文献

中島利勝,塚本真也.『知的な科学・技術文章の書き方』.コロナ社.1996.pp.1-46

0.0

5.0

10

.01

5.0

0.0 5.0 10.0 15.0

5

10

15

0 5 10 15

図3 比熱Cと熱膨張量Kaの

物性的変化を考慮した関係

Ka(u

m)

図 1 間違い箇所

図 3 比熱 C と熱膨張量 Kaの物性的変

化を考慮した関係

比熱 C J/(kg・K)

熱膨張量

Ka um

図 2 修正図

⑨ ⑩

C

(J/kg・K)

Page 7: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

5

参考

文章に強い順接・逆接関係が存在 → 接続詞、弱い順接・逆接関係が存在 → 接文語句

表7 接続詞と接文語句の用法別分類例

用法 接続詞 接文語句

選択 あるいは,それとも,では,また,または,

もしくは

一方,そのかわり,他方,まして,むしろ,も

添加 および,かつ,さて,しかも,そして,その

うえ,そのかわり,それから,それに,ただ

し,では,なお,なおかつ,なかでは,なか

でも,ならびに,また,または

いま,この場合,これに対して,さらに,そう

して,そこへ,それには,それだけでなく,そ

れに対して,ちなみに,ついで,つぎに,まし

並列 および,さて,そして,では,ところで,な

らびに

同じく,ここで,ここに,このため,~ながら,

やがて

順接 したがって,すなわち,すると,そうすると,

そうすれば,そこで,それで,それなら,そ

れゆえ,それでも,だから,では,なぜなら,

ならびに,よって

以上,以上の結果,いわゆる,結局,現に,こ

うした,この結果,このこと,このため,これ

が,これにしたがい,これによると,これにつ

いて,~すると,その結果,そのため,それに

は,たとえば,つまり,~とすると,~とする

ならば,もちろん,やがて,要するに

逆説 けれでも,しかし,しかしながら,しかも,

だが,だけど,だけれど,ただし,ところが,

なお,もっとも

~が,逆に,~けれど,これに対して,~する

ものの,そのくせ,それなのに,それにもかか

わらず,~だとしても,~でも,~といっても

表8 文末表現例

表現 具体例 表現 具体例

…い 低い。~しやすい。~がよい。 …した 判断した。示した。比較した。

…したい 実行したい。課題としたい。 … で あ っ

事実であった。利点であった。

…ない 必要としない。しなければならな

い。

…だった 影響だった。予測だった。

…う 行う。思う。逆らう。 …された 解析された。提示された。

…てしまう 隠れてしまう。 …る 述べる。劣る。~といえる。

…あろう 手段であろう。必要があろう。 …ある ~である。可能性がある。

…であろう 明白であろう。増加するであろう。 …ている 示している。異なっている。

…だろう よいだろう。必要ないだろう。 …わかる ~のことがわかる。よくわかる。

…く,…ぐ 欠く。抜く。注ぐ。 …できる 判断できる。推測できる。

…す 示す。押す。浸す。減らす。 …する 減少する。増大する。関与する。

…た わかった。なった。増えた。 …られる 考えられる。得られる。挙げられ

る。

…だ 欠点だ。~すべきだ。明らかだ。 …なる 原因となる。

…てきた 顕在化してきた。解明されてきた。 …れる 示される。思われる。

Page 8: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 8 -

レポートのフォーマット例

1.題目 強酸と弱塩基の中和滴定

2.目的 実験の目的を簡潔に述べる。本実験においては、調製と評定が目的である。

教科書に記載がある場合、同じ内容でよいが、丸写しは避けること。

3.理論(原理)

目的に記載した内容を達成するために、どのような理論・原理を利用して、実験を行うのかを

記載する。

理論に反応式を記載する場合、文章中に組み込まず、反応式だけで 1 行使うこと。本実験にお

ける中和反応は以下の式(1)のとおりである。

HCl + NaOH → H2O + NaCl (1)

4.実験

4-1 実験試薬

Na2CO3,conc. HCl,0.1M NaOH 溶液( f = 0.9952)

4-2 実験器具

ガラス棒,ビュレット,…

4-3 実験操作

4-3-1 0.05 mol/L Na2CO3標準液の調製

1) 秤量瓶を 110℃の乾燥器で 20 分間乾燥させ,20 分間デシケータ

中で放冷した。

2) 秤量瓶の重さを電子上皿天秤で測定した。

3) 1),2)の操作を繰り返し,秤量瓶の恒量値を求めた。

4) 恒量した秤量瓶に Na2CO3を 1.00 g 量り取り,1)と同様の条件

で恒量操作を行った。

5) 乾燥後の Na2CO3をビーカーに移し,適当量の純水で溶解した。これの

を三角フラスコへ移し,標線まで純水を加え 0.05 mol/L Na2CO3標準溶

液とした。

6) 5)で調整した溶液は,試薬瓶へ移しファクターを計算した。

4-3-2 0.1mol/L HCl の調製と評定

~繰り返し行った。

5.実験結果

5-1 0.05 mol/L Na2CO3標準液の調製

4-3-1 1)および 2)における秤量値を表 1 および表 2 に示す。

表 1 秤量瓶の重さ (g)

1 2 平均

重さ 26.8359 26.8357 26.8358

表 2 秤量瓶+Na2CO3の重さ (g)

1 2 3 平均

重さ 28.1370 28.1354 28.1355 28.1355 ※平均は 2,3 回目の値を使用した。

・表に縦の罫線は不要

・実験で測定した値はす

べて記載すること

・実験操作は過去形で記載すること

・“共洗いした”のような、実験をする上で当然のこ

とは、あえて書く必要はない。

・文頭は1文字あける

標準 ・このような挿入・訂正は絶対にしてはいけない

次のページから結果を書き始めると都合がいいかもしれない場合でも、余白を作らない。続けて書くこと。

・式には番号をつける

余 白を 作

らない

・表は紙面の中央に記載

・タイトルは、表の中央に記載

・単位は右上端か表中に記載

・手書きの場合、線を太くする

必要はない。

Page 9: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 9 -

表 1, 2 の結果および Na2CO3 の分子量が 105.99 であることから,3-3-1で調整した

Na2CO3溶液の濃度およびファクターは以下の通りである。

28.1355 − 26.8358

105.99×

1000

250= 0.049050 mol/L

0.049050

0.05= 0.98100 ∴ f = 0.9810

5-2 0.1 mol/L HCl 標準液の調製と評定

4-3-2 3)における滴定値を表 3 に示す。

表 3 HCl 標準液の滴定値 (ml)

1 2 3 平均

重さ 20.24 20.20 20.26 20.23

6.考察

・実験結果に基づいた考察を行う 1)。

・実験により得られた値は、妥当であるのか。妥当ではない点があるとすれば、それはどこで

何故起こったのかを考える。

・実験操作の全般にわたって,重要な点,気がついたところを自分なりに記述する 2)。

参考文献

1) 著者の名前.『書名』. 発行元. 発行年.ページ番号(p.24 or pp.24-30 のように書く)

2) 本水昌二ほか.『基礎教育シリーズ 新板 分析化学実験』. 東京数学社. 2002. pp.23-24

3) 「中和滴定」<http://www.cyuwatekitei.co.jp/kyousan/.html>(2002/10/27 アクセス)

その他の注意

・理論や考察の記載をする際、文章から主語が抜け落ちる事がよくあるのでよく注意して書く

こと。

参考にした文献に基づく文章には、文献番号+片カッコ

・読み手が理解できるよう

計算過程を記載すること

・÷は使わない

・必要に応じて文章で補足

説明をする

・考察はレポートを書く上で、最も重要な部分であるので、文献をよく読みしっかり考えて書くこと。

・考察は、現在形で書くこと。

・考察の出だしで、“Na2CO3標準溶液の fに誤差が生じた理由は…”という、文章の記載は絶対にしないこと。

・実験を行った結果、なぜ、その実験値が得られたのか、妥当なのか、そうでないのかを掘り下げて考える。

要因があるとすれば、それは実験値に対してどのような影響を与えたのか。

※Wikipediaの内容については、編集者もわからず、間違った内容が

記載されていることもあり、参考文献としては不適当。

計算結果で出た 0を適当に扱ってはいけない。0.9810は有効桁が 4桁であるが、0を省

略して 0.981 とすると有効桁数が 3桁となり、意味合いが異なってくる。

Page 10: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 10 -

フローチャート記号(例)

記号 意味 例

試薬,分析試料,標準

液,生成物質など

試薬などの添加,物質

の移しかえ

操作の指示

操作の指示のうち、既

に解説されている操作

混合成分の分離 (主となる操作手順から除

くものを引き出す)

条件によって操作手順

の流れを変える (反応状態などによる判断)

操作手順の流れの指示 (フィードバックなど)

廃液処理などのため、

いったん指定された容

器に貯蔵する

特に貯蔵を必要としな

い廃液などを捨てる

操作上の注意点,アド

バイス,ノウハウ,反応

の様子などの提示

操作手順の流れが次に

継続する場合の接続符

記録・計算などの指示

図中の数字 使用容器の容量を示す

0.1mol/L NaOH標準溶液

無水炭酸ナトリウム

約5g

BaSO4

6mol/L HCl 2mL

0.1mol/L HCl標準溶液

滴加

溶解する 正確にはかる

デカンテーション滴 定

無色 淡紅色(終点)

ろ過

ろ 液沈 殿

恒量になったか黄色 橙色に

なったかNO

YES YES

NO

中和したかNO

YES

1mol/L アンモニア水

指定容器滴定(KMnO4標準液)

指定容器

ろ過

ろ 液沈 殿

シアン化カリウム(青酸カリ)

は猛毒性であるから、

最大限注意すること1mol/L KCN

2~3滴

混 合

1

1

静 置

2

2

分 離

含有率計算 指針の振れ記録

300mL用

100mLメスフラスコ

Page 11: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 11 -

実験 1. 中和滴定

1. 中和滴定 3 テーマの流れ

【注意】各テーマで使用する試薬を確認し必要なもの,不要になるもの,必要量を確認すること

Na2CO3の恒量

弱塩基Na2CO3

標準液強酸HCl

の標定(定量)

強酸HCl標準液

強塩基NaOHの標定(定量)

強塩基NaOH標準液

弱酸CH3COOHの定量

CH3COOHの定量

NaOHの定量

HClの定量

Page 12: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 12 -

実験 1-1. 強酸と弱塩基の中和滴定

1. 試薬

Na2CO3,conc. HCl (約 12 mol/L),メチルオレンジ指示薬

2. 操作

①0.05 mol/L Na2CO3標準溶液の調製

1) 空の秤量瓶の恒量値を求める.

※恒量操作は,乾燥 20 分→放冷 20 分,恒量誤差は±1.0 mg とする.

2) 秤量瓶に Na2CO3 (分子量 105.99) g を量り取る.

3) Na2CO3の恒量値を求める.

4) メスフラスコ(250 mL)を用いて,0.05 mol/L Na2CO3標準溶液を調製する.

5) 調製した溶液を試薬瓶に移し,ラベルを貼る.

6) 0.05 mol/L Na2CO3標準溶液のファクター ( f )を計算する備考 1.

備考 1. f は表示濃度の何倍であるかを表す.

𝑓 =調製した溶液の濃度

基準とする濃度

0.05104 mol/L の Na2CO3標準液の場合,𝑓 =0.05104

0.05= 1.021

0.05 mol/L Na2CO3 ( f =1.021) と表記する.

②0.1mol/L HCl 溶液の調製

1) メスシリンダーを用いてビーカーに純水 500 mL を量り取る.

2) ドラフト内で 10 mL のメスシリンダーを用いて conc. HCl を 5 mL を量り取り,か

き混ぜながら純水に加える.

3) 調製した溶液を試薬瓶に移す.

③0.1mol/L HCl 溶液の標定

1) ホールピペットを用いて,0.05 mol/L Na2CO3 25 mL を三角フラスコに量り取り,

メチルオレンジ指示薬を 2 滴加える.

2) 0.1 mol/L HCl 溶液で赤色を呈するまで滴定する.

3) 滴定操作を 3 回行い,結果を報告する.

4) 滴定値より HCl 溶液の濃度を決定し,f を求める.

3. 注意事項

「共洗い」について

・「共洗い」は少ない量で2回行う.

・しなければならないとき →

・しなくてもいいとき →

・してはいけないとき →

Page 13: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 13 -

4. 実験フローチャート

0.1mol/L HCl標準溶液の調製

ビーカー

混合

500mL

純水 (500mL) メスシリンダー

conc.HCl (約5mL)  ドラフト内

保護眼鏡着用

試薬瓶 500mL (白)

0.1mol/L HCl標準溶液 (未標定)

0.1mol/L HCl標準溶液の標定

0.05mol/L Na2CO3標準溶液

ホールピペットで25mL

三角フラスコ 300mL

メチルオレンジ 2滴

加えすぎに注意

赤色を呈したか

ビュレット

YES

NO

終点

捨てる

3つの値が誤差内に入ったか

NO

YES

0.1mol/L HCl標準溶液の濃度とファクターを計算

当量点付近では1滴ずつ慎重に

しばらく混ぜても黄色に戻らなくなったら終点

共洗いする

共洗いする

Page 14: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 14 -

実験 1-2. 強酸と強塩基の中和滴定

1. 試薬

NaOH (粒状),0.1 mol/L HCl 標準溶液(前回までに調製したもの),

フェノールフタレイン指示薬

2. 操作

①0.1mol/L NaOH 溶液の調製

1) NaOH (分子量 40.00) 約 g を手早く時計皿にとり,500 mL ビーカーに移す.

2) メスシリンダーで純水を 500 mL とり,ビーカーに移し NaOH を溶解する.

3) 調製した溶液は試薬瓶に移し,ゴム栓で栓をする.

②0.1mol/L NaOH 溶液の標定

1) ホールピペットを用いて,0.1 mol/L HCl 標準溶液 25 mL を三角フラスコに量り取

り,フェノールフタレイン指示薬を 2 滴加える.

2) 0.1 mol/L NaOH 溶液で微赤色になるまで滴定する.

3) 滴定操作を 3 回行い,結果を報告する.

3. 備考

◎NaOH について

・苛性ソーダ(かせいソーダ, caustic soda)とも呼ばれる.「劇物」指定.

・潮解性が強く,空気中に放置すると徐々に吸湿して溶液状となる.

※潮解 … 空気中の水をとりこんで自発的に水溶液となる現象

・二酸化炭素を吸収する能力が強く,炭酸ナトリウム Na2CO3に変化する.

2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O

Page 15: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 15 -

実験 1-3. 弱酸と強塩基の中和滴定

1. 試薬

食酢 (市販の米酢)

0.1 mol/L NaOH 標準溶液(前回までに調製したもの)

フェノールフタレイン指示薬

2. 操作

①10 倍希釈食酢溶液の調製

1) 食酢 25 mL をホールピペットで量り取り,メスフラスコ(250 mL)で調製する.

②10 倍希釈食酢溶液中の酢酸の定量

1) ①で調製した食酢 25 mL をホールピペットで三角フラスコに量り取り,フェノール

フタレイン指示薬を 2 滴加える.

2) 0.1 mol/L NaOH 溶液で微赤色になるまで滴定する.

3) 滴定操作を 3 回行い,結果を報告する.

4) 食酢原液(希釈前のもの)中に含まれる酢酸の量を次の値で示せ.

質量容量百分率,質量百分率,モル濃度

※ただし食酢原液の比重を 1.02,分子量を 60.05 とする.

3. 備考

Page 16: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 16 -

実験 1-4. 水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム混合物の定量 (Warder 法)

0.1mol/L HCl標準液未知試料

300mLビーカー 300mLビーカー濡れていれば共洗い

ビュレットホールピペットで25mL

三角フラスコ 300mL

フェノールフタレイン指示薬 2滴

滴定赤紫色→無色 (第1終点)

滴定黄色→橙色 (第2終点)

メチルオレンジ指示薬 2滴

捨てる

共洗い

3つの値が誤差内に入ったか

NO

YES

Na2CO3 , NaOHの計算 (g/L)

f =

※滴定量の誤差判定は、 第1終点および第2終点 それぞれの値で行う。

約100mL 約100mL

濡れていれば共洗い

濡れていれば共洗い

Page 17: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 17 -

実験 2. キレート滴定

1. 試薬

・EDTA・2Na ・NH4Cl ・conc.NH4OH

・KOH ・NN 指示薬 ・EBT 指示薬

2. 操作

①0.01mol/L EDTA・2Na 標準液の調製

1) 空の秤量瓶の重量を求める.(乾燥 15 分 → 放冷 15 分,2 回)

2) 秤量瓶に EDTA・2Na・2H2O (分子量 372.24) g を取り,正確に秤量する.

(80℃で 乾燥 15 分 → 放冷 15 分,2 回)

3) メスフラスコ(250 mL)を用いて,0.01mol/L EDTA・2Na 標準溶液を調製する.

4) ポリ試薬瓶に保管する.

②pH 緩衝液(アンモニウム緩衝液)の調製 (テーブル 4 人で 1 つ)

1) NH4Cl 約 7g に conc.NH4OH 約 57mL を加え,純水約 40mL をさらに加える.

2) ポリ試薬瓶に保管する.

③3mol/L KOH 溶液の調製(テーブル 4 人で 1 つ)

1) KOH 約 g を純水 100mL に溶解し,ポリ試薬瓶に保管する.

④全硬度の測定

1) ホールピペットで試料水 50mL を量りとり,pH 緩衝液 1mL,EBT 指示薬 2 滴を加

え,0.01mol/L EDTA・2Na 標準液で赤みが消えるまで滴定する.

2) 滴定操作を 3 回行い,結果を報告する.

⑤カルシウム硬度の測定

1) ホールピペットで試料水 50mL を量りとり,3mol/L KOH を約 2mL 加え,よく振

り混ぜたのち,5 分間程度放置する.

2) 1)に NN 指示薬 0.05g を電子天秤で量りとり加え,0.01mol/L EDTA・2Na 標準液で

赤みが消えるまで滴定する.

3) 滴定操作を 3 回行い,結果を報告する.

⑥マグネシウム硬度の算出

Page 18: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 18 -

実験 3. 結晶硫酸銅中の銅の定量

1. 試薬

CuSO4・5H2O, NaOH(粒状), フェノールフタレイン指示薬, conc HNO3

2. 操作

① 約 1 g の精製硫酸銅結晶を恒量にした秤量瓶を用いて正確に秤量し,秤量瓶本体やふた

についているかもれない硫酸銅結晶の微粉も洗瓶の水でビーカーに全て移し,約 200 mL

の純水を加えて溶解させる.

② 純水 25 mL に約 g の NaOH を加え,1 M NaOH 溶液(dil.NaOH 溶液)を作る.

③ 硫酸銅溶液をほとんど沸騰点近くまで加熱する.この時,時計皿でふたをし,加熱をや

めたら時計皿についているかもしれない硫酸銅をビーカー中に洗い落とす.

④ 加熱した硫酸銅溶液を撹拌しながら dil.NaOH 溶液を徐々に加え,もはや沈殿の生じな

いことを確かめてから,数分間放置する.dil.NaOH 溶液の量が十分であるか上澄み液を

赤色リトマス紙につけて確認し,青くならなければ dil.NaOH 溶液をさらに加える.

Cu2+ + 2OH- → Cu(OH)2(青色) → CuO(黒褐色) + H2O

沈殿が青色であるなら加熱が足りないので,さらに加熱をする.

⑤ 黒褐色の沈殿が沈降したらデカンテーションにより熱湯で沈殿を洗いながら,最後に沈

殿をろ紙(No.5B)上に移しろ過する.ガラス棒によってビーカー壁の沈殿を完全にろ紙

内に移し,熱湯により洗浄を反復する.この時ろ紙はアルカリで弱くなっているので,

十分注意する.指示薬により洗浄液がアルカリ性を示さなくなれば洗浄は完全である.

⑥ 沈殿をろ紙と共に,乾燥器の中で約 110℃の温度で乾燥させる.

⑦ 紙の上で,ろ紙上の沈殿を恒量にしたるつぼの片隅に移す.

⑧ ろ紙を焼き,灰をるつぼの中の沈殿の横に落とす.

⑨ 約 15~20 分間強熱し,一度るつぼを冷却し conc.HNO3溶液を数滴加える.

⑩ 褐色気体の出なくなるまで徐熱し,その後強熱し,ろ紙を完全に灰化させる.

⑪ デシケータ中で 30 分放冷し秤量する.CuO は吸湿性があるため,手早く秤量する.

⑫ 恒量になるまで強熱,放冷,秤量を繰り返す.

⑬ 試料中の Cu の量(%),絶対誤差と相対誤差(%)を計算する.

3. 備考

バーナーを使用している間,自分の席から離れないこと.

Page 19: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 19 -

実験 4. 酸化還元滴定【COD 測定】

1. 実験操作について

実験操作のフローについては各自で調べる (JIS K 0102 に準拠する)

・シュウ酸ナトリウム標準液の調製

・過マンガン酸カリウム用液の調製と標定

・硫酸の調製

・COD 測定におけるブランク測定とサンプル測定

2. 制限事項等

・硝酸銀水溶液(Cl-のマスキング剤)は使用しない

・硫酸は 2 人で 150mL 調製する。

・KMnO4は 2 人で 500mL 調製する。

・KMnO4調製時、煮沸は 1 時間とし、終了 10 分前に元の水位まで純水を足す。

・KMnO4の標定は Na2C2O4 10mL、KMnO4 の加熱前添加量を 8mL とする。

・ブランク測定をした場合の COD 計算式と、ブランク測定をしなかった場合の COD

計算式を事前に調べておく

3. 実験スケジュール

1 回目:秤量瓶の恒量,シュウ酸ナトリウムの恒量, KMnO4溶液の煮沸

2 回目:KMnO4溶液の濾過および標定

3 回目:ブランク測定

4 回目:サンプル測定

Page 20: 分析化学基礎実験 実験テキスト...5 分析化学基礎実験におけるレポート作成時の注意点と記載例 レポートに関する諸注意 ・レポートはA4

- 20 -

分析化学基礎実験 器具点検表

※点検時、余剰な器具があった場合は実験室の中央テーブルに回収する

※ 〃 不足 〃 報告すること

※数量が 1/2 のものは 2 人で 1 つ使用する。ピペット台以外は流しの下にある

 月  日  月  日  月  日  月  日  月  日  月  日

ビュレット 透明50mL 1 磁製るつぼ 蓋付30mL 2

ビュレット 褐色25mL 1 ト ン グ 1

ビュレット台 1 時 計 皿 ∮120mm 1

ホールピペット 50mL 1 時 計 皿 ∮70mm 1

ホールピペット 25mL 1 アルコール温度計 100℃ 1

ホールピペット 10mL 2 ウォーターバス ∮180mm 1

ピペット台 1/2 三 角 架 1

メスフラスコ 250mL 1 ガラスフィルター 1G4 1

ビーカー 500mL 1 ガラスアダプター 1/2

ビーカー 300mL 2 ロート台 1/2

三角フラスコ 500mL 1 ブフナーロート 1/2

三角フラスコ 300mL 1 ろ 過 瓶 1/2

細口試薬瓶 透明500mL 3 アスピレータ 1/2

細口試薬瓶 褐色500mL 1 安全ピペッター 1

細口試薬瓶 透明250mL 2 駒込ピペット 2mL 1

細口試薬瓶 褐色250mL 1 薬 さ じ 1

細口試薬瓶 透明120mL 1 洗 浄 瓶 500mL 1

ポリ試薬瓶 250mL 1 バーナー 1

ポリ試薬瓶 100mL 1 三 脚 1

秤 量 瓶 ∮30×50mm 1 セラミック金網 1

デシケータ 1 保護眼鏡 1

ロ ー ト ∮70mm 1 軍 手 1組 1

ガラス棒 1

品 名 規 格 数量品 名 規 格 数量確認日 確認日