化学物質規制の現状と動向...2-1 改正化学物質審査規制法 平成23年8月...

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化学物質規制の現状と動向 平成24年1月19日 東京都 環境局 環境改善部 化学物質対策課 (社) 産業環境管理協会 化学物質総合管理部門 化学物質管理情報センター 所長 山藤 憲明

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Page 1: 化学物質規制の現状と動向...2-1 改正化学物質審査規制法 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

化学物質規制の現状と動向

平成24年1月19日

東京都 環境局 環境改善部 化学物質対策課

(社) 産業環境管理協会 化学物質総合管理部門 化学物質管理情報センター

所長 山藤 憲明

Page 2: 化学物質規制の現状と動向...2-1 改正化学物質審査規制法 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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‘Eco-Pyon’ is the Main character of Eco-Products Exhibition in Japan. Eco-Products Exhibition has been held by JEMAI and Nikkei Inc. for these 11 years and there were 180 thousand of visitors for 3 days in 2009.

Page 3: 化学物質規制の現状と動向...2-1 改正化学物質審査規制法 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

本日のお話の内容

1.化学物質管理政策の歴史 2.国内規制の動向

2-1 改正化審法 2-2 化管法

3.化学物質管理政策に関する国際的な潮流 4.サプライチェーン情報共有の円滑化に向けた取組

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○旧来の規制 戦前~ 特定の顕著な有害性への対応 毒物劇物取締法(1960年:戦前の規則から移行) 農薬取締法(1948年):DDT、アルドリン等 公害対策、労働安全への対応 大気汚染防止法(68年)、水質汚濁防止法(70年)、労働安全衛生法(72年)

○「新規化学物質」規制 (1970年代) 新開発の化学物質(新規化学物質)は、有害性審査の上、問題なければ上市 日本:化学物質審査規制法(1973年) カネミ油症事件を契機に制定 米国:TSCA(有害物質規制法 1979年) 欧州:Directive67/548/EEC(危険な物質の分類、包装、表示に関する指令) 第6次修正(1979年) EINECS(既存化学物質名簿作成)

化学物質管理の歴史1:「新規化学物質」規制

経済産業省委託事業 平成23年度環境対応技術開発等(製品含有化学物質の情報伝達の実態に関する調査)セミナーテキスト「製品含有化学物質管理その必要性と最新動向」より

1.化学物質管理政策の歴史

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○ボパール事件を契機とした情報開示の動き インド 米国系企業による大規模化学物質漏えい事故(1984年) 米国有害化学物質排出目録制度(TRI)導入(1987年~) 「緊急対処計画及び地域住民の知る権利法」

○PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)の世界的展開 地球サミット アジェンダ21 リオ宣言で推奨(1992年) OECD理事会勧告 各国3年以内に導入(1996年) ・蘭国 1976年~ ・豪国 1998年~ ・仏国 1987年~ ・韓国 1999年~ ・加国 1993年~ ・日本 2001年~ ・英国 1996年~ (化学物質排出把握管理促進法) ・墨国 1997年~

化学物質管理の歴史2:「PRTR」(情報開示)

経済産業省委託事業 平成23年度環境対応技術開発等(製品含有化学物質の情報伝達の実態に関する調査)セミナーテキスト「製品含有化学物質管理その必要性と最新動向」より

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○新規化学物質規制、物質の有害性(ハザード)に基づく管理 ○「すべての化学物質」を対象とした「リスク評価」への転換 化学物質のヒト・環境への著しい悪影響を2020年までに最小化する国際目標 (2002年ヨハネスブルグ環境サミット(191カ国参加)) 「ハザードベース」管理から、「リスクベース」管理への転換 欧州:RoHS指令(2003年) 有害物質使用制限 REACH規則(2006年) 既存化学物質有害性情報事業者提出を義務化 日本:改正化審法(2009年) 事業者から求める有害性情報を絞り込み 米国:TSCA改正案(2010年議会上程) 成形品含有化学物質の管理(?)

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化学物質管理の歴史3:全ての化学物質を対象としたリスク評価への転換

経済産業省委託事業 平成23年度環境対応技術開発等(製品含有化学物質の情報伝達の実態に関する調査)セミナーテキスト「製品含有化学物質管理その必要性と最新動向」より

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1.化学物質に対する国民の関心の増大

2.国際目標達成の必要性

○ 化審法(1973年制定)では、新規化学物質 についてのみ事前審査を実施。

○ 一方、法制定前の既存化学物質については、国が一部安全性評価を行ってきたが、多くの化学物質についての評価は未了。

3.国際条約との不整合

○ 国際条約(ストックホルム条約)で、禁止される対象物質について、一部例外使用を認める合意がされた。

○ 現行法では、例外使用の規定が制限的であり、我が国に必須の用途が確保できないおそれ。

(1) 既存化学物質対策

○ すべての化学物質について、一定数量以上製造・輸入した事業者に対して、その数量等の届出を新たに義務付け。

○ 国は、詳細な安全性評価の対象となる化学物質を、優先度を付けて絞り込む。

○ 製造・輸入事業者に有害性情報の提出を求め、人の健康等に与える影響を段階的に評価

○ その結果により、有害化学物質及びその含有製品を製造・使用規制等の対象とする。

(2) 国際的整合性の確保 ○ 国際条約で新たに規制対象に追加される物質について、厳格な管理の下で使用できるようにする。

- 半導体向けの用途等

改正の概要 改正の背景・必要性

包括的な化学物質管理の実施によって、有害化学物質による人や動植物へ

の悪影響を防止するため、化学物質の安全性評価に係る措置を見直すとともに、国際的動向を踏まえた規制合理化のための措置等を講ずる。

2-1 改正化学物質審査規制法 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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2.国内規制の動向

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第一種特定化学物質

【難分解・高蓄積・人への長期毒性又は高次捕食動物への長期毒性あり】

・製造・輸入の許可制(事実上禁止) ・政令指定製品の輸入禁止 ・政令指定用途(※要件の国際整合化)以外での使用の禁止 ・物質及び政令指定製品(物質使用製品)の取扱基準適合・表示義務 ・回収等措置命令

低懸念の高分子化合物

既存化学物質(約20,000物質) (化審法公布以前にすでに製造・輸入していた化学物質)

公示済み・判定済み物質(約8000物質) (規制区分該当を除く)

年間製造・輸入総量 1トン/年超

年間製造・輸入総量 1トン/年以下

政令で定める場合(中間物等)

新規化学物質

届出・審査 (民間がデータを提出)

優先評価化学物質

【人又は生活環境動植物への長期毒性の疑い、リスクがないと認められない】

・製造・輸入実績数量、詳細用途等の届出 ・取扱事業者に対する情報伝達の努力義務 ※第二種及び第三種監視化学物質は廃止。これらからも、優先評価化学物質を指定。

取扱状況の報告要求 有害性調査指示

第二種特定化学物質

【人への長期毒性又は生活環境動物への長期毒性あり・リスクあり】

・製造・輸入(予定および実績)数量、用途等の届出 ・必要に応じて製造・輸入予定数量等の変更命令 ・物質及び政令指定製品(物質使用製品)の取扱技術指針の公表 ・政令指定製品の表示義務

人又は生活環境動植物へのリスクあり

人または高次捕食動物への長期毒性あり

事前確認 (製造・輸入可)

ばく露状況、有害性等に基づく判断

難分解・低蓄積 10トン/年以下

難分解、高蓄積

一般化学物質(推定7000~8000物質) 製造・輸入数量(1トン/年以上)、用途等の届出

ばく露状況、有害性等 に基づく判断

難分解

試験成績の提出、取扱状況の報告要求 有害性調査指示

人又は生活環境動植物へのリスクが十分に低いと判断できない。

監視化学物質

【難分解・高蓄積・毒性不明】

・製造・輸入実績数量、詳細用途等の届出

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改正化審法の体系(平成23年4月1日~ ) 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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改正化審法の施行状況について

データベース、既存文献等の有害性情報から判断

優先評価化学物質

既存化学物質

(約二万種)

一般化学物質

(約八千種)

スクリーニング評価

環境排出度合いと

有害性の程度から

リスクがないとは認

められないかどう

か評価

製造・輸入量 用途

製造・輸入量1t/y以上

リスク評価

有害性情報

×

排出度合い

評価手法に

基づきリスク

が懸念され

るかどうか

評価

有害性情報 詳細用途 第

二種

特定化学物質

事業者対応 事業者対応

事業者対応

新規化学物質 (約六百種/y)

有害性調査指示 高いリスクが懸念され必要な場合は 有害性情報の提出を要求

過去に審査済・対象外 (約八千種)

有害性情報 詳細用途

平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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有害性の程度 高 低

暴露の程度

高 高 高 高

高 高 高 中

高 高 中 中

高 中 中 低

中 中 低 低

クラス外

改正化審法・リスク評価手法について(三省合同の審議会で検討)

リスク評価 (二次)

スクリーニング評価

優先評価化学物質

リスク評価 (一次)

第二種特定化学物質

有害性 調査指示

一般化学物質(

八千物質以上)

リスク低 リスク低 リスク低

リスク = 有害性 (ハザード) ×

環境排出量 (曝露量)

一般化学物質

優先評価化学物質

一般化学物質

現状と変更なし

リスクが十分に低いと判断できない

平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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MSDS制度 (Material Safety Data Sheet)

PRTR制度 (Pollutant Release and Transfer Register)

• 人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質について、環境中への排出量及び廃棄物に含まれての移動量を事業者が把握し、国に報告。

• 国は、事業者から届出された排出量・移動量の集計結果及び届出対象外の推計排出量を併せて公表。

• 有害性のおそれのある化学物質及び 当該化学物質を含有する製品を、事業者間で譲渡・提供する際に、化学物質の性状及び取扱い情報を提供することを義務づける制度。

• 化学物質の適正管理に必要な情報提供を義務づけ、事業者による自主管理を促進する。

<対象化学物質>

第一種指定化学物質(462物質)が対象。

<対象事業者>

・対象業種:政令で指定する24業種を営む事業者

・従業員数:常用雇用者数21人以上の事業者

・取扱量等:第一種指定化学物質の年間取扱量が1t以上(特定第一種指定化学物質の場合は0.5t以上)ある事業所を有する事業者等

<対象化学物質>

第一種指定化学物質(462物質)及び第二種指定化学物質(100物質)が対象。

<対象事業者>

・対象業種・従業員数・取扱量等に関わらず、対象物質及び対象物質を1質量%以上(特定第一種指定化学物質の場合は0.1質量%以上)含有する製品を国内において他の事業者に譲渡・提供する事業者が対象。

○平成20年度の化管法政令改正により、対象化学物質及び対象業種が変更。 ・第一種指定化学物質が354物質から462物質へ、第二種指定化学物質が81物質から100物質へと変更。 ・対象業種に医療業が追加。

目的 PRTR制度及びMSDS制度を柱として、事業者による化学物質の自主的管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止する。

2-2 化学物質排出把握管理促進法(化管法)① 2.国内規制の動向 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課

「最近の化審法・化管法の施行状況について

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11 0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

H13FY H14FY H15FY H16FY H17FY H18FY H19FY H20FY H21FY

単位:トン

下水道

廃棄物

埋立

土壌

公共用水域

大気

化学物質排出把握管理促進法(化管法)に基づくPRTR制度では、事業者から届けられた化学物質の排出・移動量について集計し、公表している。

また、平成20年度からは、個別事業所データを検索・閲覧できるシステムをインターネットにて公開している(開示請求不要)。

平成21年度は、全国38,141事業所(対前年度比▲3.6%)から届出があり、排出・移動量は合計352千トン(対前年度比▲12.4%)であった。(排出量:176千トン、移動量:176千トン)

レスポンシブルケア活動をはじめ企業の自主管理活動の進展等により、有害化学物質の環境中への排出量は毎年着実に減少している。

2-2 化学物質排出把握管理促進法(化管法)②

平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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有害大気汚染物質12物質の大気中への届出総排出量は、平成21 年度は20,240 トンであり、平成15 年度に比べて17,824 トン減少している。また、個別物質毎の届出排出量も、長期的には全ての物質で減少の傾向を示している。

38,064

33,910 33,771

30,047 28,057

23,289

20,240

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

H15FY H16FY H17FY H18FY H19FY H20FY H21FY

単位:トン

有害大気汚染物質(12物質):現在PRTRデータに基づき大気中への排出量をフォローアップしている12物質 アクリロニトリル、アセトアルデヒド、クロロエチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、

有害大気汚染物質の大気への排出量の推移について

2-2 化学物質排出把握管理促進法(化管法)③

平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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有害化学物質の排出状況の情報提供について PRTRマップは、PRTR届出データの排出量等に基づき、大気中の濃度や排出量を地図上に表示するとともに、個別事業所データを検索・閲覧ができるツールであり、インターネット上で広く公開している。

http://www.taikimap.nite.go.jp/prtr/index.html

PRTRマップ

◆PRTR届出データとPRTR届出外データ

(推計)の合計を日本全国の年間排出

量として、5km×5kmのメッシュごとに

り振り、地図上に表示。

発生源マップ

◆PRTR届出データを市区町村単位で 地図上に表示。 (排出量合計・大気への排出量・ 水域への排出量を表示) ◆届出事業所のPRTR届出データ閲覧

機能により、個別事業所の届出データ

の表示が可能。

排出量マップ

◆発生源マップのデータをもとに、 気象データや物性データを加味し

た 大気モデルにより、大気中の濃度

を 推定し、地図上に表示。

数値シュミレーションモデル: AIST-ADMER 暴露・リスク評価大気拡散モデル

濃度マップ

(参考)

平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

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1992年、地球サミット(国際環境開発会議:UNCED)開催 地球環境問題解決に向けた「アジェンダ21」の取りまとめ~第19章「有害化学物質の環境上適正な管理」

・「アジェンダ21」の内容の見直し ・新たな課題への対応

2002年、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)開催 「アジェンダ21」の内容を実施する上での指針としての「ヨハネスブルグ実施計画」採択

予防的取り組み方法への留意、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順、科学的根拠に基づく リスク管理手段、化学物質がもたらす著しい悪影響を最小化する方法での使用・生産を2020年までに達成

ロッテルダム条約の 2003年までの発効 ストックホルム条約の2004年までの発効

IFCSによるバイア 宣言と2000年以降 の優先行動事項に 基づくSAICMの策定

2008年までの GHSの実施促進

化学物質・有害廃棄物の適正管理、環境関連多角的協定の実施、データ収集・利用の促進

有害化学物質と有害廃棄物の国際的不法取引の防止、国際移動・処分による損害防止

W S S D 2 0 2 0 年 目 標 ( ヨ ハ ネ ス ブ ル グ 実 施 計 画 よ り )

2012年の主要トピック

• 2012年6月: RIO+20

• 2012年9月: ICCM3(国際化学物質管理会議)

世界的な戦略の重要性 2002年 持続可能な開発に関する世界首脳会議 「アジェンダ21」の内容を実施する上での指針としての「ヨハネスブルグ実施計画」採択

3. 化学物質管理政策に関する国際的な潮流

PRTR制度のような 統合された情報取得 促進

重金属による リスクの軽減促進

平成23年12月15日、経済産業省化学物質管理課 セミナー資料 「化学物質管理政策と国際化の展望について」より抜粋、一部改変

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○サプライチェーン全体でのリスク低減推進

家庭用品、電気・電子製品、建材等の製品中に含まれる水銀等重金属、POPs、CMR物質等の廃絶、リスク低減を推進

→サプライチェーンにおける情報共有が重要課題に ○競争力、イノベーション、民間活力の重視 欧州(REACH)、米国(TCSA)におけるイノベーション重視、企業の自主管理と規制のベストバランスを追求 →グリーン・ケミストリーの推進が企業の競争力に直結する時代に

○リスクベースでの化学物質管理 新規・既存物質全てについて科学的なリスク評価結果に基づく管理を強化 →リスク評価に対応できる人材育成が急務 ○化学物質の分類・表示の国際調和(GHS)の推進

事業者が、原則として、流通する全ての化学物質についてGHSに基づく有害性情報提供や表示対応が可能となるよう、安全性データシート及び表示に関する新JISへの統合・改編の作業を厚生労働省等と共同して実施中。さらに、新統合JISを活用して、全ての化学物質を対象としたGHSに基づく有害性情報提供や表示を推進。

平成23年12月15日、経済産業省化学物質管理課 セミナー資料 「化学物質管理政策と国際化の展望について」より抜粋、一部改変 15

3. 化学物質管理政策に関する国際的な潮流

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全てのモノは“化学物質”からできています

ポリエチレン ポリプロピレン

又は 成形・加工・ 塗装・印刷

テレフタル酸 PET

キャップ

成形・加工・ 塗装・印刷

成形・ 加工

ラベル

ポリスチレンなど

例えば、ペットボトル飲料を例にとってみると・・・

容器

経済産業省委託事業 平成22年度環境対応技術開発等(化学物質用途情報サプライチェーン伝達スキーム円滑化調査)セミナー資料より

これまでは物質、つまり緑茶飲料だけを管理していましたが

今後はキャップ、ラベル、容器中の有害物の管理も必要です。

エチレン グリコール

既存、製品含有化学物質の管理

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2001年10月の“事件”をご存知ですか?

オランダ当局が、某日本メーカーの家庭用ゲーム機の調達部品から、規制値を超えるカドミウムを検出

欧州向け130万台の出荷停止

出荷再開は2カ月後

売り上げ130億円、利益60億円の損失

部品や材料のサプライヤーに対する要求

経済産業省委託事業 平成22年度環境対応技術開発等(化学物質用途情報サプライチェーン伝達スキーム円滑化調査)セミナー資料より 17

「化学物質管理なくして、受注なし」

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中国においても摘発 ~中国RoHS管理規則 表示違反~

2007年11月、北京市工商局が中国RoHS管理規則の集中取り締まりを実施したところ、同市内のショッピングセンターにて、某日本メーカーの電子レンジが摘発された。 <摘発の理由> 同製品は、国家の電子情報製品関連汚染制御基準に基づいた環境保護合格

マークを標示しておらず(表示違反)、電源コードの外皮、プッシュ・ボタン、変圧器

内のプラスチック等の部材で、鉛、カドミウム、六価クロムとPBDE

濃度が、中国電子工業標準(SJ/T11364)を超過していた。(鉛は基準値の30倍)

同型製品の回収(2728台)と北京市内での販売禁止

18 「化学物質管理なくして、受注なし」

経済産業省委託事業 平成22年度環境対応技術開発等(化学物質用途情報サプライチェーン伝達スキーム円滑化調査)セミナー資料より

「化学物質管理なくして、受注なし」

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規制範囲はどんどん広がっています

化学物質規制は各国に次々と波及→大手企業も個別に管理強化

タイ版RoHS:2009年2月

トルコ版RoHS: 2009年6月

J-Moss :2005年12月 改正化審法:2010年4月

中国版RoHS:2007年3月

インドRoHS 2012年1月1日発効

韓国版RoHS:2008年1月、REACH導入予定

マレーシア 有害性情報届出制度

欧州RoHS:2006年7月 欧州REACH: 2007年6月

台湾版REACH:2009年11月

改正化学物質管理弁法:2010年10月

TSCA改正案: 2011年

経済産業省委託事業 平成22年度環境対応技術開発等(化学物質用途情報サプライチェーン伝達スキーム円滑化調査)セミナー資料より一部改変

諸外国における化学物質規制の強化

19

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RoHS:電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令 Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment

< 欧州 RoHS指令 >

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諸外国における化学物質規制の強化

要求事項 製品への下記6有害物質の閾値以上含有禁止

対象物質 ①鉛 ②水銀 ③カドミウム ④6価クロム

特定臭素系難燃剤(⑤PBB ⑥PBDE)

< 2011年 改正 > 2011年7月1日 改正RoHS指令公布、 EU加盟各国は、18ヵ月後(2013年1月2日)までに国内法を制定

項目 内容

1 適用範囲の拡大 • 「その他の電子電気機器」が追加

• 医療機器、計測・分析・制御機器の適用除外が解除

2 禁止物質追加 • 禁止物質はこれまで同様に6物質が規定されているが、

優先的に禁止を検討すべき物質として4物質が挙げられ、3年後を目処に追加検討が行われる

3 除外項目更新 • 適用除外項目のリストの内容の見直しに加え、期限、猶予

期間が設定されている

4 適合証明とCEマーク • RoHS指令適合製品はCEマーキング貼付、適合宣言書及

び技術文書の作成・保管が義務付けられた

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REACH とは

2007年6月1日にスタートした欧州の総合的な登録・評価・認可・制限の規則

REACHの目的

人の健康・環境の保護/欧州化学産業の競争力維持向上 など

REACHの特徴

• 新規化学物質と既存化学物質の取扱いをほぼ同等にする • 成形品に含まれる物質も一部は規制の対象とする • 化学物質のリスク評価を産業界の義務にする • 商流(サプライチェーン)を通じて物質の安全性・取扱い情報を共有する • 同一化学物質の取扱い業者は安全性のデータを共有する

評価

認可

制限

事業者が、欧州での製造・輸入量が年間1㌧以上の「化学物質」を登録

欧州化学品庁(ECHA)が、登録書類を評価/物質そのものを評価

ECHAが、高い懸念のある物質(SVHC)を対象に、製造・使用等を認可

ECHAおよび各国の政府が、リスク評価結果を基に製造・上市・使用を制限

登録

Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals

21

*登録のない物質は上市禁止 < 欧州 REACH規則 >

諸外国における化学物質規制の強化

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物質 CAS No. 主な用途例 フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) 117-81-7 汎用可塑剤

フタル酸ジブチル 84-74-2 汎用可塑剤 三酸化二砒素 1327-53-3 ガラス消泡剤 アルミノシリケート、 耐熱性セラミック繊維

ガスケット、断熱材

ジルコニアアルミノシリケート、 耐熱性セラミック繊維

ガスケット、断熱材

ホウ酸 10043-35-3, 11113-50-1

難燃剤、ガラス、セラミックス、ゴム、殺生物剤、食品添加物など

七酸化二ナトリウム四ホウ素 1330-43-4 洗剤、クリーナー、接着剤、ガラス、セラミックスなど

SVHCには、一般的に使用されている物質もあり 関係業界団体等動向などに留意し対応の検討必要

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REACH 一般的に使用される可能性の大きいSVHC (参考)

Page 24: 化学物質規制の現状と動向...2-1 改正化学物質審査規制法 平成23年8月 経済産業省化学物質管理課 「最近の化審法・化管法の施行状況について

(写真/記事:CHEMICALWATCH社の2009.9.16の記事

から引用)

1. あるNGOが、スウェーデンの靴販売会社に 製品中におけるSVHCの含有の有無を確認

2. 販売会社は、靴の供給元に問い合わせ、 SVHCの含有が無いと回答

3. しかし、NGOの分析の結果、SVHC物質の DEHPとDBPを検出

4. 販売会社は陳謝、全製品の市場回収を表明

5. NGOは27種の輸入靴を分析 17種の靴からSVHCや重金属、アゾ染料、有機スズ 化合物など、他の禁止物質を検出

成型品供給者は使用者への伝達義務がある (REACH第33条問題:既に施行済)

SVHCを含有していること 物質名、安全取扱方法

また、消費者から提供要求があれば、45 日以内に 無料で情報を提供する義務がある

SVHCが成形品に0.1%を超えて含まれる場合

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REACH規則違反事例 (参考)

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中国版RoHSは含有禁止ではなく各種表示義務

自主認証制度導入(2011/11/1) 白物家電に拡大する電子電気製品汚染制御管理弁法策定中

その他

含有有無

リサイクル可否

地方政府部門は基準値をより厳しく制定することが可能。2011年改正公布、2012年施行予定。 備考

「重点管理目録」製品のみ、CCC認証を実施(見込み)/2011年 自主認証制度(自主認証目録)導入 検査/認証制度

なし(ただし,包装材などで一部リサイクル可表示)

あり(含有の場合環境保護使用期限の表示が必要)

含有情報開示、包装材表示

電子信息製品汚染制限管理法 正式名称

2007年3月1日 施行日

あり 罰則規定

関連基準にて定める(但しRoHSと同様) 許容濃度

6物質 + α(政府指定物質)

当面はEUと同一の6物質だけ

対象物質

中国国内(香港・マカオは除く) 対象地域

白物家電(電磁系除く)、軍用機器、輸出品 対象除外製品

「電子情報機器目録」34号による

AV、通信、情報、FA機器、部品とその部材,電池等(11分野39種類)

対象製品

表示義務

中国版RoHS

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諸外国における化学物質規制の強化

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<米国の動き(新TCSA法案 –April 14, 2011 )> •The bill requires chemical companies to develop and submit a minimum data set for

each chemical they produce or import. EPA would have full authority to require any data beyond the minimum data set needed to determine safety of a chemical.

•Require EPA to conduct an initial evaluation of the safety of all chemicals and place those that meet certain criteria into one of three classes:

–immediate risk management,

–safety standard determination

–no immediate action.

○EPA のTSCA運用強化案 • Final Amended IUR (Inventory Update Reporting) Rule (Aug. 2, 2011)

–IUR →CDR (Chemical Data Reporting)

–Manufacturers & importers (Not processors)

–Reporting frequency changes from 5 years to 4 years

–Reporting volume >25,000 pounds (in any calendar year) (some exceptions may apply)

–Submission period: Feb. 1, 2012 –June 30, 2012 (based on 2011 data)

諸外国における化学物質規制の強化

平成23年12月15日、経済産業省化学物質管理課 セミナー資料 「化学物質管理政策と国際化の展望について」より

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00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

ELV指令 (廃車指令) ・水銀等6物質の含有を原則的禁止(例外部品有り) ・リサイクル義務 00年発効

RoHS指令 ・6物質の含有禁止 (Pb,Hd,Cr(6+),PBB,PBDE:0.1%以下許容、Cd:0.01%以下許容) ・免除用途有。 ・2010年11月の改正により、対象製品拡大(全ての機器へ)。 RoHS適合証明(CE宣言書及び技術文書作成保管)

06年発効

REACH規則 ・全ての化学物質(及び一部の製品)の製造・輸入者に登録義務。 (製造等の数量に応じ登録期限は~2018) ・高懸念物質を含製品(意図的放出があるもの)の登録義務。 (0.1%の場合及び用途の登録がある場合は免除)。 ・高懸念物質(SVC、最終的に1500~3000物質の見込)は使用承認。(製品毎、用途毎。期限付)

07年発効

ICCM-1 SAICM採択 06年

WSSD 02年

SAICM目標 20年

Rio+20、ICCM3 12年

WEEE指令 ・廃棄電気電子製品を回収、再使用、再利用するシステム構築 ・生産者の回収処理責任。

06年発効

加州グリーンケミストリー法 ・懸念化学物質を含む消費者用製品について ・10年 規則案を公表 1)DTSCによる優先付け 2)製造者による届出・代替品評価等 3)販売禁止措置

08年発効

TSCA改正法案提出 10年及び11年

CDR施行 ・報告頻度の増加 ・考えうる曝露、生産量、製造工場や加工および用途に関連した最新データ等の届出義務

11年施行

中国版RoHS ・鉛、水銀等6物質+αの含有禁止(目録記載製品)。 ・含有製品には要ラベル表示。 ・対象は電子情報製品(代物家電は対象外)。

07年発効

改正新化学物質環境管理弁法 ・年間1t以上の輸入・製造に事前登録。 10年施行

改正危険化学品安全管理条例 ・GHS分類該当物質7000のMSDS、ラベル提供義務化 11年施行

危険化学品安全管理条例 ・危険化学品の全般的な取り扱い、安全管理を規定 02年施行

化学物質登録及び評価等に関する法律 ・全ての化学物質に製造・輸入量報告、評価対象 物質に安全性情報登録を義務付け

13年施行予定

欧州

米州

中国

韓国

海外規制の動向(未定稿) 平成23年12月15日、経済産業省化学物質管理課 セミナー資料 「化学物質管理政策と国際化の展望について」より

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4.サプライチェーン情報共有の円滑化に向けた取組

サプライチェーンにおける製品含有化学物質の管理の円滑を目指し、川中の中小企業における負担の実

態調査を行う他、化学物質管理に係るガイドラインの標準化の推進等を実施。アジア地域との化学物質管

理に関する調和(アジアン・サステイナブル・ケミカル・セーフティー構想)に向けた取組や、欧州当局との直

接的な協議も実施。 民間の取組であるアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)においても、国内はもとより広くアジアも

含むサプライチェーンにおいて、製品含有化学物質の情報共有の円滑に向けて、管理手法の普及展開を

推進。 1.中小企業支援事業 (1)中小企業経営者、実務担当者に対する製品含有化学物質管理の重要性について

の啓発 (2)川中の中小企業における製品含有化学物質の管理についての負担の実態を調査

(産業環境管理協会HPにて、アンケート調査実施中) 2.国際的な規制の調和 (1)REACH規制について、国内外企業がどのように対応しているのか実態を調査 (2)AOTSによる化学物質管理に関する研修事業(タイ・マレーシア) (3)ERIA(東アジア・アセアン経済研究機構)によるアジア最適化学物質管理のあり方

研究 3.その他 製品含有化学物質の管理ガイドライン標準化(ISOを視野に入れたJIS化)検討

平成23年12月15日、経済産業省化学物質管理課 セミナー資料 「化学物質管理政策と国際化の展望について」より 27

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2011年度 調査事業の窓口 http://www.biz.jemai.or.jp/csm/

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アンケート開始

アンケート 説明会申込み

無料相談窓口

いずれも、 ワンクリック

してください。

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R & D 製造 販売 使用・消費

廃棄

サプライチェーンにおいて製品中の化学物質含有情報を共有 使用現場の実態に応じたリスク評価・リスク管理を促進

環境排出実態(PRTR)、消費者製品リスク評価等を情報公開 消費者の安全・安心を確保

化学物質の有害性等の分類・表示(GHS)情報を共有

膨大な数の製品による複雑なサプライチェーンにおいて、効率的にリスク低減を行うためには、化学物質の製造・輸入段階において有害性等を適切に分類・表示し、サプライチェーン全体で化学物質含有状況等に関する情報共有を進め、その使用実態に応じたリスク管理を促進することが重要。 さらに、排出実態、リスク評価情報等の公開により消費者の安全・安心を確保すべき。

サプライチェーン全体でのリスク低減について

平成23年12月15日、経済産業省化学物質管理課 セミナー資料 「化学物質管理政策と国際化の展望について」より

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企業活動の国際化と、各国法規制強化により、厳しい管理を行っている海外企業との競合で、法的義務のない国内企業が海外法規制の影響を受けるおそれ

化学以外のメーカー、商社などにも影響が拡大するおそれ

直接製品を輸出していなくても,間接製品に規制化学物質を含有し,事故を起こした場合

巨額の損害賠償を求められる可能性大

輸入原材料は国内での製造輸入禁止物質が 混入している可能性あり

輸出先国での

含有物規制違反

廃棄処理禁止

罰金、損害賠償

取引停止

など

商流の国際化、海外法規適合の内外差拡大

輸入原料中に規制化学物質含有り

情報請求・損害賠償の流れ 物流の流れ

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製品含有化学物質管理情報要求の背景

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サプライヤー全体での製品含有化学物質の管理を行うことが市場・国際競争力の確保につながる(=貿易障壁化を回避できる) 規制が厳しい成分を含む場合

取扱が難しい製品は敬遠

リサイクルや廃棄処分でコストアップ

競争が激しい製品の場合

「安全」の要求が高い製品の場合

高価でも安全性が高い製品を選ぶ傾向増加

一部の発展途上国も含め、海外では厳格に対応

対応が遅れると顧客・市場を失う可能性もあり

(1)市場確保のために製品含有化学物質の情報伝達が必要

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市場の確保

国際競争力の確保・強化

我が国企業に求められること

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商流 川上

化学メーカー 川中

部品メーカー 川下

組立製品メーカー

対象製品

化学物質、 混合物質

部品 一般組立製品

(成形品)

伝達ツール

MSDS MSDSplus

AIS,JIG,IMDS AIS,JIG,IMDS

化学的 物理的 変化

化学的 物理的 変化

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(2) 含有情報伝達様式の作成 情報の流れと伝達手段の例

我が国企業に求められること

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(3) 製品含有化学物質管理ガイドライン

何を、どのようにするかを具体的に示すガイド 販売者、購入者がお互いに理解・遵守することにより以下の

効果を発揮 伝達する情報の質を保証 理想的には、不使用証明書や分析データの添付を不要に

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<標準化の意味> 「製品含有化学物質管理に必要なことを、体系的にとりまとめて規格化することで、川上~川中~川下の事業者、専業の加工業者、商社、中小企業などまで、サプライチェーンに関わるすべて事業者が、参考とすることができる。」 →個社における製品含有化学物質管理の実践、レベル向上 →(余計な分析に依らない、)情報伝達による製品含有化学物質管理の実現 →SCにおけるコミュケーションの促進 →SCにおけるボトルネックの解消、SC全体の管理レベル向上、管理効率化に貢献

METIは、2008年JAMP発行の製品含有化学物質管理ガイドラインを基にした、製品含有化学物質管理に関するJIS原案を作成

我が国の主要産業界 (電気電子、自動車、自動車部品、化学、鉄鋼、JAMP等)の参画

我が国企業に求められること

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全員参加による企業体質改善 (経営、経理、調達、設計、生産、管理、営業)

技術力向上、革新的生産プロセスの改善 下請け先の評価と改善の推進 教育・指導力強化 ⇒ 永続的な自立的レベルアップ マネジメント信頼性強化 営業力強化 大手製造メーカーの関心事把握 環境管理(ISO 14000)、 品質管理(ISO 9000)体制の整備 グリーン調達ガイドラインの遵守→将来を含めた規制強化への対応 CO2排出量管理・削減 社会的責任(ISO 26000)

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(4) 経営基盤の強化

我が国企業に求められること

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JEMAIにお気軽にご相談ください

ご静聴有難うございました。

化学物質管理情報センター~化学物質管理の駆け込み寺 〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-2-1(三井住友銀行神田駅前ビル7階) 社団法人産業環境管理協会 http://www.jemai.or.jp/JEMAI_DYNAMIC/index.cfm

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参考資料

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参考Web Site ① REACH 規則における義務確認支援 ECHA Website

http://guidance.echa.europa.eu/navigator_en.htm 物質、混合物、成型品のメーカー、販売、輸入の企業は、物質ごとに欧州REACH規則における義務を確認できる。取扱条件を順次入力してゆくと、対応する義務の表が出てくる。

② 欧州REACH規則における制限物質リスト http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:164:0007:0031:EN:PDF 危険な物質・調剤及び成形品の製造・上市・使用の制限

③ SVHCリスト検索先: http://echa.europa.eu/chem_data/authorisation_process/candidate_list_table_en.asp

④REACH(欧州化学品規制)について http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/reach.html

⑤化学物質管理・情報伝達(主にREACH)に係るe-ラーニングソフト http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/100226e-ran.htm

⑥ REACH・CLP規則に関する解説書(平成23年7月) 中小企業向けのわかりやすい解説書です。平成20年11月に公開した「REACH規則に関する解説書」を更新し、REACH規則やCLP規則への具体的な対応方法、Q&Aなどが掲載されています。

http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/REACH_and_CLP_kaisetsusyo_honyakuban.pdf

⑦製造業の成長戦略 製品の化学物質管理~ビジネス上の重要性 (meti channel @youtube) http://www.youtube.com/watch?v=_xfOr9GrqzE

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参考Web Site ⑧社団法人日本化学工業協会 REACH規則関連情報として、具体的な対応方法、登録などのサービス提供機関、最新動向などが提供されています。

http://www.nikkakyo.org/reach

⑨独立行政法人製品評価技術基盤機構 (NITE) 化学物質の総合的なリスク評価・管理に関するさまざまな情報を提供しています。

http://www.safe.nite.go.jp/index.html

⑩J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト REACH規則、RoHS指令に関するQ&Aが提供されています。

http://j-net21.smrj.go.jp/well/rohs/reach/001.html

⑪アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)の各種情報: http://www.jamp-info.com/

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