未然防止型qcストーリーを活用して 人に起因する...

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未然防止型QCストーリーを活用して 人に起因するトラブル・事故を防ぐ 中央大学理工学部 経営システム工学科 中條 武志 第5620回QCサークル全国大会(広島) 2014年9月11日 1 全てのスライドはhttp://www.indsys.chuo-u.ac.jp/~nakajo/QCC5620.pdf よりダウンロードできます。

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未然防止型QCストーリーを活用して人に起因するトラブル・事故を防ぐ

中央大学理工学部

経営システム工学科

中條 武志

第5620回QCサークル全国大会(広島)2014年9月11日

1

全てのスライドはhttp://www.indsys.chuo-u.ac.jp/~nakajo/QCC5620.pdfよりダウンロードできます。

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近の事故・トラブルの原因を見ると

技術不良 管理不良

その発生メカニズムが、当該組織にとって今までに経験したことのない、未知の原因によるものであり、実際に発生するまで対策を考えることが難しいトラブル・事故。

一見すると新しいもののようだが、よく調べてみると「別の場所」(別の担当者、別の業務、別の事業所、別の企業など)で経験済みの原因で起こった事故・トラブル。

起因となるリスクは技術的に特定の領域に集中。重点を絞った対策の検討・実施が有効。

起因となるリスクは技術的に広い領域にわたって存在し、対策の検討・実施にはあらゆる組織・人がかかわる必要がある。

対策は新たに開発・考案する必要がある。

対策は既に開発・考案済みのことが多く、これらをうまく流用・活用する必要がある。

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技術不良・管理不良とパレート図

3

(a) 技術不良が支配的な場合 (b) 管理不良が支配的な場合

その他

原因A

原因B

原因C

原因D

原因E

原因F

原因G

原因H

0

22

44

66

88

110件数

0

20

40

60

80

100(%)

その他

原因B

原因A

原因D

原因C

原因E

原因F

原因H

原因G

0

22

44

66

88

110件数

0

20

40

60

80

100(%)

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管理不良を引き起こすもの-人の不適切な行動

4

悪意の無いノウハウからの逸脱(失敗)

悪意のあるノウハウの活用(犯罪)

意図的不順守

意図しないエラー

知識・スキル不足ト

ラブル・事故の原因

管理不良(ノウハウの不適切

な活用)

技術不良(ノウハウの

不足)

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講演の内容

1.ヒューマンエラーの特性と対策

2.未然防止の基本的な考え方

3.未然防止型QCストーリー

4.未然防止のための手法

5.未然防止の実践例

5

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1.ヒューマンエラーの特性と対策

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ヒューマンエラーに関する3つの誤解

ヒューマンエラーは注意力によって防げる

ヒューマンエラーは教育・訓練によって防げる

ヒューマンエラーは人による検査・確認によって防げる

7

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エラーは注意力によって防げる?

慌てている時、パニック時

積極活動時

休息時、定例作業時

疲労、居眠り

睡眠

生理的状態

0.1以上興奮状態Ⅳ

0.000001以下

正常明晰な状態

0.01~0.00001

正常リラクスした状態

0.1以上意識ぼけⅠ

1無意識、失神0

エラー発生率意識のモードフェーズ

出典:橋本邦衛、「安全人間工学」、中央労働災害防止協会

8

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エラーは教育・訓練によって防げる?

Yes

Yes

Yes

標 準 を 知 ら なかった(教育が有効)

標準通りできなかった(訓練が有効)

No

標準を知 っ て いたか

標 準 通 り作業できるか

標準と異なる作業をした

教育/訓練/動機付けが役立たない

標準を守る つ も りだったか

No No

標準を守る気がなかった(動機付けが有効)

9

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60%55%

65%

80%

65%

87%

95% 98% 99%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

多重度1 多重度2 多重度3 多重度4 多重度5

エラー

検出率

理論

実際

出典:島倉大輔・田中健次:「人間による防護の多重化の有効性」,品質,33巻

1-(0.35)5=0.99?

エラーは人の確認によって防げる?

10

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ミュラーリェルの錯視

a b

a と b とどちらが長い?

11

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ミュラーリェルの錯視

a b

人間として避けられない意識の変動と人間をエラーに導くまずい作業方法とが重なって発生する望ましい作業からの逸脱

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エラープルーフ化とは

人的エラーに起因する問題を防ぐ目的で、作業を構成する人以外の要素、すなわち部品、機器、文書、手順等の「作業方法」を改

善すること

人間を作業方法に合うように改善する

作業方法を人間に

合うように改善する

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2.未然防止の基本的な考え方

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個々の発生率が非常に低い。

あらゆる作業で、あらゆる人が起こす可能性がある。

発生したものをいくら対策してももぐらたたきにしかならない

なぜ未然防止が必要か

未然防止が必要

10-5

×

106

10

残ったモグラは?106 - 10=999990

15

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実施にともなって発生すると考えられる問題を予め計画段階で洗い出し、それに対する修正や対策を講じておく。

未然防止(予防処置)とは

過去に経験した失敗の収集と類型化

+ 計画の事前の体系的な見直しと改善

同じ失敗を別の人が、別の場所で繰り返し起こしている

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未然防止(予防処置)とは

過去の失敗失敗モード

一覧表

プロセス(工程・作業・設備など)

・・・

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過去の有効な対策の活用

過去の有効な対策

プロセス(工程・作業・設備など)

・・・

発想チェックリスト対策データベース

失敗 失敗

失敗失敗

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再発防止と何が違うのか

問題が発生したときに、プロセスや仕事のしくみにお

ける原因を調査して取り除き、今後二度と同じ原因で問題が起きないように対策する。

未然防止(予防処置)

是正処置

根本対策

プロセスA

プロセスB

プロセスC

製品・プロセスを生み出すしくみ

製品 A

類似原因の

再発防止

根本原因の

再発防止

製品B

製品C

個別の再発防止

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3.未然防止型QCストーリー

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未然防止型QCストーリー

1.テーマの選定2.現状の把握と目標の設定3.活動計画の策定4.改善機会の発見

過去の失敗の収集と類型化

起こりそうな失敗の洗い出し

5.対策の共有と水平展開対策案の作成(過去の有効な対策の活用)

対策案の評価・選定・実施

6.効果の確認7.標準化と管理の定着8.反省と今後の課題

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1.テーマの選定

顧客(後工程)のニーズや職場の方針を理解する。

職場が提供している製品・サービス、行っている業務をリストアップした上で、トラブル・事故の危険性や量を点数付けする。

業務 トラブル・事故の危険性

量 総合評価(順位)

A製品の組立 中 大 2

B製品の組立 中 小 4

設備の始業前点検 大 中 1

○○不良の修正 大 小 3

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

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2.現状の把握と目標の設定

事実を集め、現状を定量的に把握(管理不良と技術不良のどちらが多いか、知識・スキル不足、意図的な不順守、意図しないエラーのどれが多いかなど)。

目標を設定(何を、いつまでに、どこまで改善するか)。

技術不良

10%

管理不良

90%

知識不足

17%

スキル不足

11%

意図的な不順守

22%

意図しないエ

ラー

50%

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3.活動計画の策定

目標を達成するまでの大まかな活動の進め方(1.テーマの設定~8.反省と今後の課題)を、日程や担当とともに示す。

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4.改善機会の発見

過去の事故・トラブルの原因となった失敗を収集・整理し、失敗モード一覧表を作成する。

テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセスフロー図/機能ブロック図などを使って目に見える形に書き出し、検討のしやすい大きさのサブプロセス/サブコンポーネントに分解する。

FMEA(失敗モード影響分析)などを活用し、得られたサブプロセス/サブコンポーネントに失敗モード一覧表を適用し、起こりそうな失敗を洗い出す。

洗い出された失敗についてRPN(危険優先指数)などを求め、対策の必要な失敗を明確にする

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4.改善機会の発見

サブプロセス/

サブコンポーネント

失敗 影響 原因

失敗モード一覧表

① ・・・・② ・・・・③ ・・・・

起こったものではなく、起こりそうなものをすべてあげる。

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5.対策の共有と水平展開

過去に成功した失敗防止対策を収集・整理し、対策発想チェックリストや対策事例集にまとめる。

対策の必要な失敗に対して対策発想チェックリストや対策事例集を適用し、対策案をできるだけ多く作成する。

対策分析表などを活用し、作成した対策案について、有効そうなものとそうでないものを振り分ける。

有効そうな対策案を組み合わせて 終的な案にまとめ、実施する。

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6.効果の確認

対策を実施した後に、適切なデータを収集・分析し、その効果を確認する。

RPNなどを用いて効果を予想する。

0

10

20

30

40

50

60

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

トラブル・事故の件数 目標5件

N=250 N-250

48以上

15%

48未満32以上

20%

32未満16以上

15%

16未満

50%

48以上

0%

48未満32以上

5%32未満16以上

10%

16未満

85%

(a) トラブル・事故の件数による効果の確認 (b) RPNによる効果の確認

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7.標準化と管理の定着

他の人たちが学べるように活動のプロセスを文書化する、成果を発表する。

作業標準書や技術標準書、対策発想チェックリスト、対策事例集、失敗モード一覧表、FMEAなどに反映する。

対策が不十分なものは、継続的な監視・検討が必要なものとする。

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8.反省と今後の課題

活動を振り返り、今後の活動へ活かす。

活動を通したメンバーの能力向上・成長を評価する。

30

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QCストーリーの使い分け

取り組むテーマ?の対象は

過去に経験の?ある問題か

未然防止型1. テーマの選定

2. 現状の把握と目標の設定3. 活動計画の作成4. 改善機会の発見

5. 対策の共有と水平展開6. 効果の確認

7. 標準化と管理の定着8. 反省と今後の課題

課題達成型1. テーマの選定

2. 攻め所と目標の設定3. 活動計画の作成

4. 方策の立案5. 成功シナリオの追求と実施

6. 効果の確認7. 標準化と管理の定着8. 反省と今後の課題

問題解決型1. テーマの選定

2. 現状の把握と目標設定3. 活動計画の作成

4. 要因の解析5. 対策の検討と実施

6. 効果の確認7. 標準化と管理の定着8. 反省と今後の課題

要因や対策が?見えているか

テーマ

今までに経験のない仕事

要因や対策が見えている

従来から行ってきた仕事

要因や対策の検討がつかない

?目的は

過去に経験した問題の繰り返し

過去に経験の無い問題

新しい顧客価値の創造

失敗の防止

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3.未然防止のための手法

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未然防止のための手法

1.失敗モード一覧表2.プロセスフロー図/

機能ブロック図3.FMEA(失敗モード影響分析)4.RPN(危険優先指数)5.対策発想チェックリスト6.対策事例集7.対策分析表

33

Page 34: 未然防止型QCストーリーを活用して 人に起因する …nakajo/QCC5620.pdfし、失敗モード一覧表を作成する。 テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセ

失敗モード一覧表の例

①抜け

②回数の間違い

③順序の間違い

④実施時間の間違い

⑤不要な作業の実施

⑥選び間違い

⑦数え間違い・計算間違い

⑧見逃し

⑨認識間違い

⑩決定間違い

⑪動作位置・方向・量の間違い

⑫保持の間違い

⑬記入・入力の間違い

⑭不正確な動作

⑮不確実な保持

⑯不充分な回避

34

Page 35: 未然防止型QCストーリーを活用して 人に起因する …nakajo/QCC5620.pdfし、失敗モード一覧表を作成する。 テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセ

プロセスフロー図/機能ブロック図の例

対象を決める

その状態(形・位置・特性等)を認識する、又は変える

ステップ: ステップ: ステップ: ステップ:

○○業務のプロセス

サブプロセス:

○○○○

○○○○

・・・

サブプロセス:

○○○○

○○○○

サブプロセス:

○○○○

○○○○

サブプロセス:

○○○○

○○○○

・・・

サブプロセスの大きさ

35

Page 36: 未然防止型QCストーリーを活用して 人に起因する …nakajo/QCC5620.pdfし、失敗モード一覧表を作成する。 テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセ

出庫作業のプロセスフロー図

部品番号入力

トレー番号表示

トレー

パレット

注1)部品番号を入力すると部品の入ったパレットが自動的に正面にくる

注2)一つのパレットには複数のトレーがのっている

36

1

ステップ 1

出庫箱と出庫伝票を取り、部品棚のところに移動する

ステップ 2

棚から部品を選び、出庫箱に入れる

ステップ 3

出庫箱を出庫棚まで持って行く

サブプロセス: サブプロセス: サブプロセス:

3a 出庫伝票を確認する(すべての部品に出庫済みマークが付いているかどうか)

3b. 出庫伝票の出庫者欄にサインする

3c. 出庫伝票を出庫箱に入れる

3d. 出庫箱を出庫棚まで持って行く

3e. 出庫箱を出庫棚の所定の位置に置く

1a 出庫計画表を見て、出庫すべき伝票 No.を調べる

1b. 出庫伝票を選ぶ 1c. 出庫伝票の No と出庫

計画表の No を照合する

1d. 出庫計画表の出庫者名の欄にサインする

1e. 出庫伝票を持って出庫箱の棚まで移動する

1f. 出庫箱を選ぶ 1g. 出庫伝票と出庫箱を

もって部品棚まで移動する

2a 出庫伝票の部品番号を端末に打ち込む

(該当パレットが自動的に手前に回ってくる)

2b. 端末に表示されるトレー番号(1,2,・・・)を見る

2c. パレットから該当する番号のトレーを選ぶ

2d. トレーの部品番号と出庫伝票の部品番号を照合する

2e. 出庫伝票に記されている数量を取り、出庫箱に入れる

2f. 出庫番号の該当部品欄に出庫済みマークを付ける

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FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)

手順1: 対象とするプロセスをその流れに沿って

書き下し、サブプロセス/サブコンポーネントに

区分する。

手順2: サブプロセス/サブコンポーネント毎に「失敗モード

一覧表」を当てはめ、発生する可能性のある失敗を

列挙する。

手順3: 列挙した各々の失敗の発生の頻度・影響の厳しさ

などを評価し、対策が必要な失敗を絞り込む。

37

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FMEAの例

38

No

サブプロセス

エラー

影 響

発 生 原 因

発生

の可

能性

影響

の致

命度

波及

の防

止度

1 部品番号を端末に

入力する

番号欄の見間違い 欠品 1枚に複数部品が記載 2 3 2 12

入力間違い 異品出庫 入力桁が多い 3 4 3 36

端末に表示される

トレー番号を見る

抜け 欠品 付随的作業 2 3 2 12

違う番号を見る 異品出庫 1 4 3 12

番号の見間違い 異品出庫 数字が小さい 2 4 3 24

3 パレットからトレ

ーを取る

抜け 欠品 中断が入る場合がある 2 3 2 12

パレット違い 異品出庫 複数のパレットがある 2 4 3 24

トレー取り違い 異品出庫 トレー位置がよく見えない 3 4 3 36

4 トレーの部品番号

を照合する

抜け 異品出庫 付随的作業 4 2 4 24

相違に気づかない 異品出庫 桁数が多い 4 2 4 24

部品を取る 抜け 欠品 中断が入る場合がある 2 3 4 24

数え間違い 員数不足/余り 1 3 4 12

6 出庫箱に入れる 一部入れ損なう 員数不足 1 3 4 12

7 出庫済み欄にマー

クを付ける

抜け 重複出庫 付随的作業 2 3 4 24

別の欄に付ける 重複出庫/欠品 1枚に複数部品が記載 1 3 4 12

8 トレーをもとに戻

抜け 異品出庫 付随的作業 2 4 2 16

別の場所に戻す 異品出庫 トレーが複数ある、動く 2 4 4 24

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RPN(Risk Priority Number)発生度、致命度、検出度等を4~5段階で評点付けし、その積でリスクの大きさを見積もる。

発 生 度:エラーの発生頻度

致 命 度:エラーによって引き起こされる影響の大きさ

検 出 度:エラーが影響を起こさないよう取られている対策の程度

エラー 影響

発生度 致命度

検出度

39

Page 40: 未然防止型QCストーリーを活用して 人に起因する …nakajo/QCC5620.pdfし、失敗モード一覧表を作成する。 テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセ

対策 1

対策 2

対策 3

対策 N-1

対策 N

自分の経験に基づく対策

有効な対策

対策案を思い付かないのは

問題

40

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対策発想チェックリストの例

<排除>

作業を取り除けないか?

危険な物・性質を取り除けないか?

<代替化>

自動化できないか?

指示、基準、ガイド等の支援を与えられないか?

<容易化>

変化・相違を少なくできないか?

(標準化・単純化できないか、似たもの・関連するものをまとめられないか?)

変化・相違を明確にできないか?(色の利用、特殊な形にできないか?)

人間の能力に合ったものにできないか?

<異常検出>

異常な動作を検知できないか?

異常な動作が行えないようにできないか?

異常な物・状態を検知できないか?

<影響緩和>

影響が生じないよう作業を並列にできないか、物を冗長にできないか?

危険な状態にならないようにできないか?

危険な状態になっても損傷が発生しないよう保護を設けられないか?

41

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適用例(トレーの取り間違い)

発想チェックリスト

対策案

自動化できないか

トレーの前にランプを取り付けて品名を入力すると対応するトレーのランプが点灯するようにする

変化・相違を明確にできないか

パレットのそれぞれのトレーに対応する位置に番号のラベルを貼る

異常な物・状態を検知できないか

トレーにチェック用の1桁の数字を付けるとともに品名を入力するとこの数字が表示されるようにしておき両者を確認する

物を冗長にできないか

品名が違う部品を出庫しても後工程で気付いた時にすぐに取り替えられるように、予備の部品を用意しておく

42

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作業 ワイヤーによる製品吊り下げ作業

エラー きず防止用の当て木のし忘れ

改善の着眼

(原理)

当て木が必要となる工具の属性を取り除き、当て木をする作業そのものを

不要にする。(排除)

改善前:

改善後:

効果の確認: 費用:

実施時期: 組長 班長 課長 実施工程:

発案者:

登録番号

対策事例集(データベース)の例

43

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メンバー

主張 理由

Aさん 対策1がよい

効果がある

Bさん 対策2がよい

コストが安い

Cさん 対策3がよい

継続が容易

1次元的な見方

対策 効果がある

コストが安い

継続が容易

対策1 3 1 1

対策2 2 3 2

対策3 1 2 3

対策案の評価・選定が難しいのは

声の大きさの勝負

多次元的な見方

論理的な評価

44

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エラープルーフ化の対策案 効果 コスト 実施 SPN

トレーの前にランプを取り付けて品名を入力すると対応するトレーのランプが点灯する

3 1 3 9

パレットのそれぞれのトレーの対応する位置に番号のラベルを貼る

2 3 3 18

トレーにチェック用の1桁の数字を付けておき確認する

1 2 2 4

後工程に予備の部品を用意しておく

1 2 3 6

採用

対策分析表の例

45

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4.未然防止活動の実践例

46

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実践例1:電子機器の組立作業

一ロット数台を一人の作業者が組立てている

大部分の部品は台数分だけセット支給されるが、ネジ、ワッシャー、ラベル等の小物類については作業場所に部品箱が設置されている

作業標準書は一つ一つの手順が図示され、1冊のファイルとなっており、作業者はこれを見ながら組み立てる

終検査で発見される不良の55%がヒューマンエラーによるもの

47

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改善機会の発見

約1時間の作業を約200の作業要素に分解。対策の必要なエラーモード約70が洗い出された。

48

No

サブプロセス

エラー

影 響

発 生 原 因

発生

の可

能性

影響

の致

命度

検出

の難

しさ

1 部品Aを取る 抜け A欠品 1 4 2 8

部品箱から

ネジを取る

抜け A欠品 類似作業の繰り返し 1 4 2 8

選び間違い Aの緩み 種類不明確、標準書との対応が複雑 2 3 4 24

3 良否を確認する 抜け 外観不良 付随的作業、動作を伴なわない 2 2 3 12

部品箱から

スプリングを取る

抜け Aの緩み 類似作業の繰り返し、付随的作業 4 3 3 36

選び間違い Aの緩み 種類不明確、標準書との対応が複雑 2 3 4 24

5 良否を確認する 抜け 外観不良 付随的作業、動作を伴なわない 2 2 3 12

6 ネジにスプリング

を入れる

抜け Aの緩み 実施結果が外観で不明、付随的作業 4 3 3 36

ネジで部品Aを

本体に仮組みする

抜け A欠品 1 4 2 8

位置の間違い Aの作動不良 1 4 2 8

8 電気ドライバーの

トルク設定

抜け Aの緩み やったりやらなかったりする、付随的

作業

2 3 3 18

9 電気ドライバーで

本締めする

抜け Aの緩み 実施結果が外観で不明、類似作業の繰

り返し

4 3 4 48

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対策の作成と実施 エラー エラープルーフ化の方法

a)ネジ・ワッシャー

類の取り忘れ、及び

b)選び間違い

1)作業標準書に番号を記入して作業の順序を固定し、その順序に

従ってネジ・ワッシャー類を配列する(共通化・集中化)

2)作業標準書の図及びそれと対応する現物(ネジ・ワッシャー類

の箱)とに、同色同形のラベルを貼付する(共通化・集中化)

3)一台分のネジ・ワッシャー類を区分けされたパレットに用意

し、作業終了後に余りの有無を確認する(異常検出)

〔このパレットに対して1)2)の対策を行った〕

c)仮組みネジの本締

め忘れ

4)外観上明らかに仮組みネジとわかる専用の治具を用いるように

し、仮組みネジで組立てた後一本一本普通のネジと交換して締め

付けていくようにする(特別化・個別化)

5)電気ドライバーの使用回数をカウントし、それを基準値と比較

して異常ならブザーを鳴らすようにする(異常検出)

d)締付トルクの不足 6)トルクドライバーを用いる(代替化)

7)手順を締付けが行ないやすいように入れ替える(適合化)

e)ラベルの貼付間違

い、位置ずれ

8)作業標準書の図に現物表示をする(共通化・集中化)

9)位置決め用の専用貼付け治具を用いる(代替化)

49

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効果の確認

4 0 0

3 0 0

2 0 0

1 0 0

01 0 1 1 1 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0

表 9 の 5 ) の フ ー ル

プ ル ー フ の 適 用

表 9 の 1 ) ~ 4 ) 及 び

6 ) ~ 9 ) の フ ー ル プ

ル ー フ の 適 用

不良

率(

ppm)

表 12 の5)を除くフー

ルプルーフ化の適用

表 12 の5)のフールプ

ルーフ化の適用

エラープルーフ化a)~d)

エラープルーフ化e)

50

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実践例2:大型機械の組立作業

板合わせ、骨組立、穴あけ、打鋲、部品の組付などを経て完成した製品は検査で確認され、問題があるものは修正・手直しとなる

一つのヒューマンエラーで大きな修正工数が発生したこと、上位方針の「損失コスト半減」を受けて、エラーに起因する不良の発生やそれにともなう修正工数の低減を改善活動のテーマに取り上げた。

1台ごとの修正工数のばらつきが大きい、「骨組立」の工程に活動を絞り込んだ

51

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エラーモード(作業ミスの種類) 影響度 骨組立工程の作業の流れ ①

1.治具を整備 ○ ○ ○ ○ 0 1

2.部品を確認 ○ ○ ○ 1 0

3.部品を棚から取り出す ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 4 2

4.作業台の上に集める ○ ○ 2 1

5.部品にラインを入れる ○ ○ ○ 3 1

6.工具を選ぶ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 2

7.穴をあけ、バリを取る ○ ○ ○ ◎ ◎ 4 1

8.取り付け位置を調べる ○ ○ ◎ ◎ 2 0

9.コンターを合わせる ○ ○ ○ 1 2

10.部品を治具にセット ○ ◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ 4 2

11.ロケータを取り出す ○ ○ ○ 0 0

12.ロケータをセットし合わせる ○ ○ ○ ◎ ◎ ● ○ ○ ◎ ○ ● ○ 4 2

13.下穴を通す ○ ○ ○ ○ 2 2

14.ロケータ部の下穴あけ ○ ○ ○ ○ ○ 3 2

15.治具から外す ○ ○ ○ 2 1

16.治具上であけられない穴あけ ○ ○ ◎ ○ ○ 3 2

17.バリとり ○ ○ ○ 0 0

52

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効果の確認

年間20~30件あった修正が年間1件になった

改善提案件数が急増した

実績

299 件

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

400

300

100

200

目標 400 件

目標 130 件

改善提案件数

53

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実践例3:自動加工機械の操作作業

汎用自動加工機械を初めて導入。

今まで行ったことのない作業であるため、ヒューマンエラーによる事故が危ぶまれた。

作業の形態としては、3名の作業者が①材料の運搬・取付け・取外し、②治工具の交換、③機械の操作を実施。

54

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改善機会の発見

55

発生頻度 影 波及防止度 対

実 可 響致 異出 影和 策必

No サブプロセス エラー 影 響 発生原因 能 の命 常能 響度 の要

績 性 度 検力 緩 性

1 吊具を取る 選び間違える ワーク落下、怪我 選択の対象となる 小 大 大 小 小

物が多い

2 完成品に吊具を 忘れる ワーク落下、怪我 類似作業の繰り 小 大 中 小 小

掛ける 返しである

3 エンチングして 忘れる ワーク落下、怪我 付随的な作業で 小 大 小 中 小

確認する ある

4 ワークのアンクラ 忘れる ワーク固定治具破損 小 中 小 中 小

ンプボタンを押す 選び間違える ワーク固定治具破損 ボタンが多数ある 中 中 小 小 大

5 締金を外す 忘れる ワーク固定治具破損 類似作業の繰り返 中 中 小 小 大

し、付随的作業

6 完成品を吊り上げ 壁にぶつける ワーク落下、怪我 中 大 小 小 大

コンベアまで運ぶ

7 「段取中」のスイ 忘れる 他の作業者の操作 付随的な作業で 中 大 中 小 大

ッチを押す によりコンベアに ある

巻き込まれる

8 他の作業者の有無 忘れる 他の作業者をコン 動作を伴なわない 中 大 小 小 大

を確認する ベアに巻き込む 作業である

9 コンベアの駆動ス 長く押し過ぎる 前の完成品がコン 中 小 小 小 中

イッチを押し完成 ベアの端から落ち

品の置場を作る る、破損

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効果の確認

N=536 N=536

大(31)

中(145)

小(360) 小(483)

中(53)

(a) 対策前 (b) 対策後

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医薬品アレルギー情報の収集と使用

実践例4:医療職場の情報処理作業

57

1.アレルギー情報を収集する 3.入力された情報を使用する 2.情報をシステムへ入力する

サブプロセス

1a.看護師/薬剤師等が患者/家

族等からアレルギー情報を

得る

1b.アレルギー情報を文書化す

1c.カルテの表に付ける

サブプロセス

2a.入力するシステムを選ぶ

2b.アレルギー情報を入力する

2c.反応タイプを入力する

サブプロセス

3a.与薬する前に看護師がアレ

ルギーを確認する

3b.薬のオーダーごとに薬剤師

が確認する

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改善機会の発見

58

サブプロセ

エラー 影響 原因 発

2a. 入力 シ

ス テ ム

を選ぶ

2a1.間違ったシステムを

選ぶ

間違った情報に

基づく与薬

2a1a.システムに関する知識

不足

4 4 2 32

2a2.入力を抜かす 間違った情報に

基づく与薬

2a2a.中断

2a2b.時間がない

4 4 4 64

2b. アレ ル

ギ ー 情

報 を 入

力する

2b1.間違った/不統一な

アレルギー情報に気

づかない

間違った情報に

基づく与薬

2b1a.システム間の相互参照

ができない

4 4 4 64

2b2.途中までしか入力し

ない

間違った情報に

基づく与薬

2b2a.緊急事態による中断 4 4 4 64

2b3.入力すべきところに

NAを入力する

間違った情報に

基づく与薬

2b3a.NA が標準になっている 4 4 4 64

2b4.アレルギー一覧から

選び間違える

間違った情報に

基づく与薬

2b4a.アルファベット順に並

んでいる

4 4 4 64

2b5.患者を間違える 間違った情報に

基づく与薬

2b5a.似た名前の患者がいる 3 4 4 48

2c. 反応 タ

イ プ を

入 力 す

2c1.反応タイプの入力を

抜かす

患者・家族への

再確認が必要と

なる

2c1a. 後の入力である 4 1 3 12

・・・ ・・・

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対策案の作成エラー: 2b4.(アレルギー情報を入力する際に)アレルギー一覧から選び間違える

原理 質問 対策案

排除

エラーしやすい作業または危険な物を取り除けないか

ほかの病院のアレルギー情報を利用する

作業を自分自身で完結するようにできないか。

患者に自分で入力してもらう

・・・ ・・・

代替化

問題を解決するために、プロセスを自動化できないか

記入用紙をマークシート式にする

人による作業を支援するために予め行えることはないか

質問に対し、Yes、Noで答え、候補リストを絞り込む

・・・ ・・・

容易化

人による作業を容易にするために、類似の、誤解しやすいものを取り除けないか

大まかなカテゴリィを選び、次に細目を選ぶようにする

・・・ ・・・

・・・ ・・・

59

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対策案の評価・選定エラー: 2b4.(アレルギー情報を入力する際に)アレルギー一覧から選び間違える

対策案 有効性 コスト 実施容易さ

SPN

ほかの病院のアレルギー情報を利用する

3 1 3 9

患者に自分で入力してもらう 1 3 1 3

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

記入用紙をマークシート式にする 2 2 2 8

質問に対してYes、Noで答え、候補リストを絞り込む

2 2 3 12

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

大まかなカテゴリィを選び、次に細目を選ぶようにする

3 2 3 18

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

注)対策すべきエラー36に対して151の対策を生成し、35を選定

60

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0

10

20

30

40

50

60

70

80

イン

シデ

ント

数効果の確認

医薬品アレルギーのインシデント数

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未然防止型QCストーリーの聞きどころ「未然防止」が必要なことを、どのようにして気づいたか、上司に訴えたか。「同じ問題が別の場所で起こっている」ことを、データを用いてどのように把握したか。

過去の事故・トラブルの原因となったエラーをどのように収集し、似たものをどうまとめてどのような「失敗モード一覧表」を作ったか。

対象となる業務をどのように見える化し、検討のしやすい大きさに分けたか。また、いかに「系統的」に数多くのエラーを洗い出したか。

どのような基準を用いてリスクの点数付けを行い、どのような考えでいくつのものまでを要対策と判断したか。

過去に効果のあった対策をどのように収集し、どのように整理して「対策発想チェックリスト」や「対策データベース」を作ったか。これらを使ってどれだけ数多くの対策案を作ったか。

対策案をどのように評価・選定し、有効な対策に仕上げたか。多くの人の協力を得てどのような体制で実施したのか。

FMEAなどの新しい手法をどうやって学び、活用したか。

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まとめ

近のトラブル・事故の大半は管理不良。人の失敗(意図しないエラーや意図的な不遵守など)をいかに防ぐかがポイント。

人に起因するトラブル・事故を防ぐためには未然防止活動が必要。

未然防止活動とは、過去のトラブル・事故を類型化し、自分のプロセスに系統的に当てはめて起こりそうな失敗を洗い出し、事前に対策する活動。

未然防止活動のためのストーリーや手法をうまく活用することが大切。

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参考文献中條武志(2008):ヒューマンエラーによるトラブル・事故を防ぐ-トラブル・事故0を達成する方法を学ぼう-、「QCサークル」、 No.558 ~No.563 。中條武志(2012):「未然防止型QCストーリーを活用しよう」、品質月間委員会。

中條武志(2010):「人に起因するトラブル・事故の未然防止とRCA」、日本規格協会。

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