化合物ライブラリーを活用した 創薬等最先端研究・...
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化合物ライブラリーを活用した 創薬等最先端研究・教育基盤の整備
平成22年6月
研究振興局ライフサイエンス課
資料4-5
基礎研究
病気・創薬の種(シーズ)の探索
発明研究
化合物合成・薬効の探索
開発研究
動物での薬効・毒性・体内動態
研究・開発 非臨床試験 臨床試験 審査 医薬品の上市医薬品の上市
創薬研究の現状と課題
1.創薬プロセス1.創薬プロセス
1
2677
343 74
873
300462
2674
442 369 314269 204
0
1000
2000
3000
米国 ドイツ 日本 英国 フランス カナダ
主要医学誌論文数 (2002-2007)
基礎研究
臨床研究
出典:健康研究推進戦略(健康研究推進会議, 2009年7月),政策研ニュース(医薬産業政策研究所,2008年)
・基礎研究の主要雑誌に掲載された論文数は、欧州とほぼ同様。
・他国と比べ、基礎研究と臨床研究の活力の違いが目立っている。
臨床試験(治験)
薬事審査
販売我が国の基礎研究
のレベルは高い
スクリーニング設備
化合物ライブラリーを用いたスクリーニング
化合物ライブラリー シーズの探索等
ヒット
◎ 我が国の高い基礎研究レベルを活かして、
創薬につなげることが重要。
◎ しかしながら、 創薬の過程で必要な非常に
多くの化合物の中から創薬の種(シーズ)を探索する(スクリーニング)拠点が不足。
スクリーニング
2.主要国の創薬等の研究比較2.主要国の創薬等の研究比較
大学院生、若手研究者全国の創薬に携わる学生や若手研究
者に最先端の創薬研究環境を提供
製薬産業、再生医療、医療産業創薬・医療技術シーズを着実かつ迅速に
医薬品等に結び付ける拠点体制の整備
創薬ベンチャーの育成積極的に外部開放を行うことにより、
日本発創薬ベンチャーの活性化
積極的な外部開放創薬シーズの産業化
■我が国の創薬基盤を支える多検体スクリーニング拠点が不足
■スクリーニング拠点の整備と我が国のネットワーク強化が必要
■我が国の創薬基盤を支える多検体スクリーニング拠点が不足■スクリーニング拠点の整備と我が国のネットワーク強化が必要
現在の課題■最先端設備導入により研究者が自ら利用可能な
多検体スクリーニング拠点を整備
■大学等の最先端研究からの創薬シーズを活用
■最先端設備導入により研究者が自ら利用可能な多検体スクリーニング拠点を整備
■大学等の最先端研究からの創薬シーズを活用
新たな展開
化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備
◎高齢化社会を迎え、国民の健康を守る新規医薬品の創製(創薬)は重要性が増大。◎大学等における革新的な創薬・医療技術シーズを着実かつ迅速に医薬品に結びつける革新的創薬プロセスの実現に貢献。
創薬人材の育成
■大学、研究機関等が創薬研究に利用可能な我が国唯一の公的化合物ライブラリーを整備。■イメージング技術の開発、遺伝子解析技術の開発など、創薬プロセスや医療の現場で活用可能な技術基盤の整備が進展。■大学、研究機関等が創薬研究に利用可能な我が国唯一の公的化合物ライブラリーを整備。■イメージング技術の開発、遺伝子解析技術の開発など、創薬プロセスや医療の現場で活用可能な技術基盤の整備が進展。
現 状
大学・研究機関に新たに多検体スクリーニング設備を設置し、化合物ライブラリーを中核としたネットワークを強化
◎創薬研究の基盤として約20万サンプルの化合物を保有。
◎医学、薬学のみならず、構造生物学など異分野融合した研究が進展。
◎協議会を設置し、技術支援等を行う。
■世界最高水準の公的化合物ライブラリー(東京大学) ■スクリーニング拠点(大学・研究機関)【補助金により整備】
◎創薬・医療技術の研究・教育のための多検体スクリーニング設備を設置。
◎ライブラリーのさらなる質的高度化のために、ネットワークを強化し、若手研究者育成のための技術支援や講習会に参画し、大学等における創薬研究の促進を支援。
研究体制
大学等に多検体スクリーニング
機器を整備・強化
化合物ライブラリーを活用した、
大学等における創薬研究を支援
化合物・スク
リーニング技術
の提供・支援
協議会への参加・
連携強化等
オールジャパンでの創薬研究基盤を構築
初年度所要額:
5億円
※次年度以降は初年度の実績を踏まえ継続の可否を判断
※
文部科学省が東京大学を除いた大学等からスクリーニング拠点を公募し、設置
・多検体スクリーニングシステム3.5億円
・スクリーニング結果検証装置1.2億円
2
化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備
東京大学大学院薬学系研究科・生物機能制御化合物ライブラリー機構
長野
哲雄
3
206 499 526
49 53 45
46 93 90
99 223 247
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
日本企業
(400品目)
米国企業
(868品目)
欧州企業
(908品目)
導入品(BV)
買収BV起源
導入品(nonBV)
自社起源
主要製薬企業の開発品目にみるオープンイノベーション
注:前臨床から承認までの開発品出所:
Pharmaprojects
(2009.1) より作成
出典:医薬産業政策研究所
「製薬産業とバイオベンチャーとのアライアンス(リサーチペーパー・シリーズNo.48, 2009年11月)
導入品
4
自社開発医薬品の割合が減少し、導入品のほとんどが日本発ではなく米国ベンチャー由来
・
研究開発テーマの設定(疾患や薬物ターゲットの選択)・
ヒット化合物の発見とリード化合物への最適化・
候補化合物の選定(スクリーニング、化合物の合成・薬物設計、最適化研究と候補化合物の選定、予備的精査研究)
探索研究
・
非臨床試験(動物を用いた研究)(薬効薬理試験、一般薬理試験、薬物動態試験、安全性試験)
・
物性検討、製剤検討、製造法検討
精査研究
・
臨床試験(ヒトを対象とした試験研究)(第I相試験、第II相試験、第III相試験)
・
化合物製造(パイロットプラント)
開発
・
申請・審査・承認、薬価基準収載、発売・
生産、販売・
市販後調査(第IV相試験)
(副作用報告、再審査、再評価)
審査
流通・使用
3~7年
1~2年
再審査
6年
大学における創薬研究のボトルネック
医薬品研究開発のプロセス
創薬研究のボトルネック
創薬研究のボトルネック
公的な化合
物ライブラ
リーが整備さ
れていない事
による創薬研
究の遅滞
公的な化合
物ライブラ
リーが整備さ
れていない事
による創薬研
究の遅滞
5
日本において、大学の最先端で創薬の標的タンパク質が精力的に研究されており、標的は豊富にあるが、
その活性を制御するヒット化合物(医薬候補化合物)創出のスクリーニング過程がボトルネック
6
Molecular Libraries Initiative(年間予算70-80億円)
がNIH
主導の下, 2004年より開始され、化合物ライブ
ラリーとスクリーニングセンターが整備された。アッ
セイ系の構築、スクリーニング、ヒット化合物の誘導
化をそれぞれ別の研究機関が担い分業制を取っている
海外の状況(米国)
●
●
●
●▲
▲
▲
● ▲Comprehensive Screening Center
Specialized Screening Center
Specialized Chemistry Center
■■
■
大学 化合物数
Broad Institute
>250,000
UCSF >150,000
Stanford >130,000
Kalamazoo Valley Community College
>100,000
UCLA >
75,000
創薬研究は特に米国において国家主導で極めて精力的に進められており、70以上の機関がそれぞれ化合物ライブラリーとスクリーニング基盤を有している
米国アカデミアやベンチャー発の創薬シーズが多いゆえん
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海外の状況(韓国)
・ 設立経緯2000年
開設2004年
ナショナル・バンクの位置づけ(韓国文科省)2008年
国のプロジェクトで合成した化合物を全て収集
・ 化合物ライブラリー17万の化合物、国内160研究機関から収集(市販品5万化合物,
天然物抽出物4万化合物を含む)LC-MSによる純度チェック、DMSO溶解、凍結保管依頼に応じて化合物プレートを各研究機関に無償配布
・ スクリーニング国内120のHTS施設で実施
・韓国においても創薬研究は10年前より国
家主導で精力的に進められている
・国際共同治験の数から判断しても韓国の
勢いが増している
18
4557
42 42 4231 28 27
38
97
7590
46
62
95
18
5
17
96
566060
43
63
5254
71
95
104115
160 国際共同治験の数
日本 韓国<
1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
日本(初回治験届) 韓国(国内のみ) 韓国(国際共同治験)
厚生労働省(日本のデータ)、KFDAデータ(韓国)より厚労省研究開発振興課長新木一弘、日本薬学会懇話会、厚労省研究開発振興課長新木一弘、日本薬学会懇話会、20072007年年
日本と韓国の治験数比較
細胞実験室
東京大学生物機能制御化合物ライブラリー機構B1F:化合物ライブリー保管庫、スクリーニング機器室4F:計算機室(in silico approach), 5F:有機合成実験室
HTS室
溶液サン
プル倉庫
細胞実
験室
サンプル調
製室
我が国唯一・世界最大規模の公的化合物ライブラリー
8
粉末サン
プル倉庫
化合物ライブラリーの構成(2010年3月)
General Libraryタンパク質親和性候補化合物を広く選択。化合物のクラスタリングによる代表化合物の収集・合成
Validated Compound Library既知薬理活性物質
Fragment/Scaffold Library分子量250/350以下の溶解性が高めでタン
パク質への結合のとっかかりとなり、化学修飾
を加えることで親和性をさらに高めることので
きる化合物の収集
Natural Product Library市販天然化合物類の収集
718 化合物
天然物化学:日本の強み
Focused Libraryキナーゼ、GPCRなど特定の標的ファミリーあるいは特定
の標的タンパク質に焦点を絞ってin silico で予測・収
集・合成
大学発化合物を含むライブラリー
タンパク質構造情報の活用 ヒット率向上
新規母核/化合物の発見ケミカルスペースの拡大
9化合物数、質共に世界最高水準の公的化合物ライブラリー
Diversity65,982
Core deriv.45,959
Scaffold17,063
Scaffold deriv.28,176
Fragment3,915 (9,883)
Univ 5,366Validated 3,186
GPCR 12,139Kinases 5,906
Ion ch.4,461 Other focus 2,004
Protein Inter. 2,235
In-house syn. 578
196,970compounds
化合物提供実績
1. 提供開始以降、絶え間なく問い合わせが続いており、化合物サンプルの需要や化合物ライブラリーへの期待は極めて大きい
2. その一方で、化合物を通じた共同・連携研究を行うことで、日本における本格的創薬に大きな問題点があることが浮き彫りになってきた
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現在までの化合物サンプル申請件数:208件
創薬研究を開始して実質的にわずか1年半の間に
・前臨床段階に入っているプロジェクト:
1件・動物試験レベルに入っているプロジェクト:
1件
・活性(IC50
,EC50
等)がナノモルレベルのプロジェクト:15件
の進捗となっており、当化合物ライブラリーを中心として、世界 最先端研究拠点となりつつあり、競争の激しい創薬研究分野でよ り一層の加速を望む。
スクリーニング設備での正確な分注は、1枚数十秒で終了する
スクリーニング設備の必要性
手動では加える穴を間違える上、腱鞘炎になり、数千~数万の化合物スクリーニングは行えない
8連ピペットと384穴マイクロプレート
スクリーニングに必要不可欠な設備であり、
これがないと本格的な創薬研究は不可能
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上記ピペットを用いて80,000化合物をアッセイする場合、1つの試薬を加えるの
に約1万回の操作を行うことになる。1万種類を超える化合物スクリーニング
は化合物ライブラリー機構に遠方より来て行うことになり、研究の遅滞の原
因となっている。
創薬等最先端研究・教育基盤の充実
地域共用としてスクリーニング設備を整備し、最先端創薬研究を促進
化合物ライブラリー(東京大学)
日本各地に創薬チーム
スクリーニング設備(例)
ノウハウとともに化合物サンプル提供
◎
・世界最高水準の公的化合物ライブラリーを中心とする創薬研究を加速
・研究基盤のない若手研究者等
を支援・創薬研究者の育成・輩出i) 企業への有為な人材の供給ii)日本の医薬品産業の底力を
UP
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各拠点の使命・拠点機関内の創薬連携研究と教育の推進・地域の外部機関へのスクリーニング設備
開放と創薬研究牽引役としての奉仕
外部研究者の短期受入も担う
創薬等最先端研究・教育の先導
◎高齢社会を迎え、国民の健康を守る新規医薬品の創製(創薬)は重要性が増大。
◎大学・大学院教育において本格的創薬研究を担う若手育成と最先端基礎研究により得られた革新的な創薬標的や技術を着実かつ迅速に医薬品に結びつける本格的創薬プロセスの実現が可能となる。
国民に夢と希望
稀少・難治疾患治療薬
国民に夢と希望
稀少・難治疾患治療薬
細胞実験室細胞実験室細胞実験室 HTS室
溶液サンプル倉庫
粉末サンプル倉庫
細胞実験室
サンプル調製室
東京大学生物機能制御化合物ライブラリー機構
創薬研究の中枢基盤設備:化合物ライブラリー
精密有機化学 スーパーコンピュータ
スプリング8
GCOE 「疾患のケミカルバイオロジー」、複数
の医薬基盤研のプロジェクト、
文科省iPSプ
ロジェクト「再生医療の実現化プロジェクト」、
CREST、最先端プロジェクト等
ビッグプロジェクトへの支援
異分野・他機関研究者の融合
化学 生物学
薬学
医学
計算化学
構造生物学ファルマコゲ
ノミックス
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我が国唯一の公的大規模化合物ライブラリーを中心にした先導的創薬研究と教育の
基盤構築により、創薬シーズと若手の創薬研究者を数多く輩出する