医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · •...

62
バイオ技術分野における 知的財産の活用 2007214日(水) 隅蔵康一(政策研究大学院大学) [email protected]

Upload: others

Post on 03-Nov-2019

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

バイオ技術分野における 知的財産の活用

2007年2月14日(水)

隅蔵康一(政策研究大学院大学)

[email protected]

Page 2: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

構成

• 創薬関連特許の現状

• 特許法69条とリサーチツール

• ライセンス契約のガイドラインによる、共有化 と私有化の均衡点の模索

• 特許権の集合的管理・流通スキーム

Page 3: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

創薬関連特許の現状

Page 4: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

知的財産

具現化

(1)ノウハウにする

(2)知的財産権にする→特許権、著作権、意匠権、商標権、

実用新案権など

(3)公知にする→論文、公開データベース、事業の実施など

アクセス

制限営業秘密(不正競

争防止法)

それ以外の秘密

(公知のものの集合

体など)

人に付随

知的財産の具現化の形態

具現化

具現化

Page 5: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

創薬関連の知的財産

• 最終製品(医薬品)を構成するための知的財産 *膨大な数の知が生み出され、選択・淘汰された後

に最終製品が生まれる。 *一つの知が最終製品において占める重要度が、他

の分野よりも大きい。

• 最終製品(医薬品)を生み出すための手段に関する 知的財産(研究インフラ)

*研究機器、試薬、モデル動物、キット

などの形で 広く活用される。

*データベース(文献、遺伝子、パスウェイなど)の形 で提供されるものもある。

Page 6: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

バイオ分野とIT分野における

特許戦略の違い

バイオ IT

審査請求までの 期間

長い(審査請求 期限ぎりぎりまで 待つ)

短い(すぐに審査 請求)

審査請求率 低い 高い

1つの製品あたり の特許数少ない 多い

Page 7: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

産学両セクターによる

ヒト遺伝子特許の取得

• 研究インフラとしてのゲノム・データベースの 拡大

• In vitro からIn silicoへ• 1990年代中盤以降に核酸関連の特許が急

増、2001年ピーク、その後減少

• 特許権者は、大手製薬メーカー、バイオベン チャー、大学・公的研究機関

Page 8: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ヒトの「パテントーム」

• 米国では、ヒト遺伝子(23,688)の18%に対し 特許が取得されている。民間がヒト全遺伝子

の14%、公的機関が3%、その他が2%の特 許を保有している。

(日経サイエンス2006年6月、92-101)• Genome, Proteome, Transcriptome,

Metabolome, Cellome, Patentome

Page 9: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

知的財産権の命題

• 知的財産権は<イノベーション、研究開発、研究 成果の普及>を促進するか、阻害するか?

• Tragedy of Anticommons (Heller & Eisenberg)• Blocking Patent• Royalty Stacking

Page 10: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ブロッキング特許の事例:

遺伝子診断

• BRCA1, BRCA2→乳癌の遺伝子診断

• Myriad Genetics社が、日本で3件、米国で8 件、カナダで4件の特許を保有。

• 同社は、BRCAnalysisという名の遺伝子診断 事業を実施

Page 11: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

欧州におけるBRCA特許

• 欧州特許庁(EPO)に異議申立が相次ぐ

• 2004年5月18日

EP699754(BRCA1)が無効 に。

• 2005年1月21日、25日

EP705902ならびに EP705903(ともにBRCA1)の権利範囲が減縮。

(特定の遺伝子プローブのみを含み診断方法は 含まない形に減縮)

• 2005年6月29日

EP785216(BRCA2)の権利 範囲が、特定の変異体の使用のみに減縮。

Page 12: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

課題:共有化と私有化の均衡

• 持続的イノベーションを実現するためには、研究開 発のフロントランナーにその成果の私有化を認める 知的財産権保護制度を基盤としつつも、一定の条

件を満たす場合には成果の共有化をする、あるい は私有化の範囲に制限を加えることにより、下流側

の研究を促進することが必要。

• すなわち、「共有化と私有化の適正なバランス」の設 計が必要。

• 適正な特許付与基準の策定と、特許流通施策(技 術移転スキーム)の構築が不可欠である。

Page 13: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

特許法69条と リサーチツール

Page 14: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

日本国特許法

• 68条 「特許権者は、業として特許発明の実施をす

る権利を有する。」

• 69条1項 「特許権の効力は、試験又は研究のために

する特許発明の実施には、及ばない。」

Page 15: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

特許法69条にいう

「試験又は研究」の解釈

• 対象:

特許発明それ自体を対象とするもの

• 目的:

「技術の進歩」を目的とするもの

• 1.特許性調査

• 2.機能調査

• 3.改良・発展を目的とする試験

染野啓子「試験・研究における特許発明の実施(I)」、 AIPPI 33巻(1988)、138-143

Page 16: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

リサーチツールとは

• それ自体を改良・発展させることを目的とする のではなく、

• 何らかの研究目的を達成するためのツール として用いられる、

• 物(装置・細胞・マウスなど)あるいは方法の こと。

Page 17: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

リサーチツールの使用と 「試験又は研究」の関係

• 特許発明を研究ツールとして用いる場合は、特許法69 条1項の「試験又は研究」には当たらないものと解釈さ

れている。

• 大学などの学術機関でも例外ではない。

• 政府による使用であっても例外ではない。

• 学術機関等の非商業目的の研究も例外ではない。

• 基礎研究、応用研究の区別なく当てはまる。

• →大学発明の商業化が進むと、研究ツールの特許を保 有する企業が、大学に対して権利行使をする可能性が

高まる。大学間の特許紛争の可能性もある。

Page 18: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

研究者の誤解

• (1)特許化されたリサーチツールであっても、 研究室内で作って学術研究に用いるのはかま わない。

• (2)大学の研究室で生み出されたリサーチ ツールは、たとえ特許化されたとしても、学術

研究に対しては、無償でライセンス供与・マテリ アルトランスファーが行われるのが常識。

• (3)特許化されたリサーチツールを含む「キッ ト」を購入すれば、どのように使っても権利侵害

とならない。

Page 19: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

リサーチツールをめぐる

日本の研究者の現状産業構造審議会特許戦略計画関連問題

WGでの検討結果

特許法69条1項の現状の解釈に ついての啓蒙

あいまいな回答しかしない 特許権者・販売者

高まる研究者の不安感

権利行使の余地を残しておきたい権利者の戦略 大学発明の特許化

の進展

Page 20: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

大学側の現状

• 国立大学が2004年4月に法人化され、現在 は、多くの大学・公的研究機関において、発 明に関する権利は機関に帰属するものとなっ

ている。

• しかしながら、すでにそれ以前から存在して いる特許は、個人に帰属するものが多い。

• そのため現在は、個人帰属の発明と機関帰 属の発明が混在する状況である。

Page 21: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

大学側の現状

• しかしながら、現在の大学知財本部・TLOに は、リサーチツールの使用に関して調査・管 理を行う機能が備わっていない。

• 教員の研究が職務とみなされ、発明が職務 発明としてあらかじめ機関帰属となることが 決まっている場合も、大学における特許の調

査と使用許諾の獲得は、教員個人の責務と して位置づけられるケースが多くなるだろう。

Page 22: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

考えうる施策

• 【立法】立法により、大学その他の学術研究機関にお ける学術研究には特許権の効力が及ばないようにす る?

• 【運用】一定条件下で強制実施権を設定する?

• 【慣行】研究コミュニティのルールとして、大学その他 の学術研究機関における学術研究には特許権の効 力が及ばないことを明確化する?

• 【慣行】リサーチツールにアクセスしやすくする仕組み を作る(リサーチツール・コンソーシアム)?

Page 23: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

米国の現状

• Experimental Use Exceptionが、判例の法理として 展開されてきた。

• Madey v. Duke University (2002) →大学における研究活動での装置の使用は、

Experimental Useとして免責されない。• Integra v. Merck (2003, 2005) →スクリーニング段階における特許発明の使用は、

FDA認可を得るための臨床試験に関して “solely for uses reasonably related to”であるといえるか?

• NIHのリサーチツールガイドライン 運用上の工夫:

資金受領者へのグラントポリシー

• Public-sectors Intellectual Property Resource for Agriculture (PIPRA)

Page 24: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

2004年度アンケート

• 2004年8月18-20日、科学研究費補助金・特定領 域研究「ゲノム4領域」班会議(神戸・ポートピアホテ ル)にて実施。

• 同研究班の公募研究の一つである、「ゲノム研究成 果物の知的財産権の保護ならびに活用に関する調 査研究」(代表:隅藏康一)

の一環として実施。

• 対面式で回答していただいたため、用語の不明点 などは逐次説明した。

• 回答者172名。• 所属が確認できた132名のうち、130名が大学・公

的研究機関所属、企業は2名のみ。• 肩書きが確認できた127名のうち、28名が教授、教

授以外の研究者が56名、学生が43名。

Page 25: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

a すべての研究は特許権の効力の範囲内となるべきである。 13%b 大学や独立行政法人研究所などの学術研究機関における研究

は、すべて特許権の効力の範囲外であるべきだが、民間企業などに

おける研究は、すべて特許権の効力の範囲内となるべきである

16%

c bに加えてさらに、大学や独立行政法人研究所などの学術研究

機関における研究は非商業的目的である限りは特許権の効力の範

囲外であるべきだが、商業的目的の場合(企業との共同研究の場合、

成果を特許出願した場合など)には特許権の効力の範囲内となるべ

きである。

56%

d 国の研究助成金などの公的資金を用いた研究で特許権を取得

した場合のみ、その特許権の効力は、bのようになるべきである。6%

e 国の研究助成金などの公的資金を用いた研究で特許権を取得

した場合のみ、その特許権の効力は、cのようになるべきである。7%

f その他 3%

表6

何を特許権の効力の範囲から除外すべきか

Page 26: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

a 必要である 72%

b 必要でない 4%

c わからない 24%

表7

リサーチツール・コンソーシアムの必要性

Page 27: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

a 大学・民間企業(海外の機関も含む)など すべての機関の特許発明を扱うべき

55%

b 大学など学術機関の特許発明のみを扱 うべき

31%

c 国の研究助成金などの公的資金による 研究から生まれた特許発明のみを扱うべき

9%

d いくつかの基盤的な特許発明に限定すべ き

2%

e その他 2%

表8

「リサーチツール・コンソーシアム」が取り扱う特許 発明の範囲は以下のうちどれがよいと思うか

Page 28: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

a 自分も他の特許発明を無償で使用で きるのであれば、無償で提供する

46%

b 自分にじゅうぶんな金銭的見返りがあ るのであれば、有償で提供する

27%

c どのような条件であれ、提供したくない 2%

d わからない 20%

e その他 5%

表9

「リサーチツール・コンソーシアム」があった場合、 自らが権利を持つ特許発明を提供したいか

Page 29: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ライセンス契約のガイドラインによる、

共有化と私有化の均衡点の模索

Page 30: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ライセンサー

ライセンシー

・独占的か非独占的か・ライセンス料

(イニシャル・ペイメント、

ランニング・ロイヤリティ)・デュー・ディリジェンス条項

・マイルストーン条項・サブライセンス権

・使用分野・地理的範囲

・期間など

ライセンス契約

ライセンス契約に記される内容

Page 31: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

(1)遺伝子関連発明のライセンス供与 に関するOECDガイドライン

• 2002年1月 ワークショップ(ベルリン)• ○

2003年5月

Steering Group会議(パリ)

• 2003年6月 第14回バイオテクノロジー作業部会(ガイドライン作成に合意)• ○

2003年11月 第1回専門家会合(ミュンヘン)

• ○

2004年5月 第2回専門家会合(ベルリン)

• ○

2004年10月 第3回専門家会合(ウィーン)

• ○

2004年11月 第4回専門家会合(パリ)

• 2004年12月 第17回バイオテクノロジー作業部会

(コンサルテーションのた

め秘匿解除)• 2005年2~3月

コンサルテーション(一般及び専門家)

• ○

2005年6月 第5回専門家会合(ベルリン)

• 2005年9月 第18回バイオテクノロジー作業部会(最終案に合意、秘匿解除)• 2006年2月

OECD理事会においてガイドラインの勧告を採択

http://www.jba.or.jp/ ○:隅蔵が参加したもの

Page 32: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

OECDガイドラインにおける

「遺伝子関連発明」の定義

• 本ガイドラインにいう「遺伝子関連発明」とは、 核酸、ヌクレオチド配列及びそれらの発現産

物、形質転換細胞株、ベクター、またそれら 核酸、ヌクレオチド配列、形質転換細胞株又 はベクターの作成や使用、あるいは分析のた めの方法、技術及び材料を含む。この定義は、

特に関連性の高そうな将来の派生的技術を も視野に入れている。

Page 33: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

原則

• 1.A ライセンス実務(ライセンシング・プラク ティス)は、人のヘルスケアに係わる新しい遺

伝子関連発明を開発する上でのイノベーション を促進し、かつそのような発明を駆使した治療 や診断、またその他製品及びサービスが合理 的に利用できるように保証すべきである。

• 1.B ライセンス実務(ライセンシング・プラク ティス)は、遺伝子関連発明に関する情報の迅

速な普及を奨励すべきである。

Page 34: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ベストプラクティス

• 1.1 ライセンス契約は、ライセンスされた遺伝 子関連発明を開発し、さらに改良することをラ イセンシーに許可すべきである。

• 2.1 権利者は、研究及び調査の目的のため に遺伝子関連発明を広範にライセンス供与

すべきである。

Page 35: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

原則

• 3.A ライセンス実務(ライセンシング・プラク ティス)は、研究目的の遺伝子関連発明への

アクセスを減少させるのではなく、むしろ増大 させるべきである。

• 3.B 公共の研究活動において商業化を考慮 する場合、研究者の学術的な自由を不当に

妨げるべきではない。

Page 36: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ベストプラクティス

• 3.1 ライセンス契約では、研究者及び学生が投稿論文や学 位論文などを刊行・発表すると機密保持条項違反となってし まう研究分野、情報及びタイムフレームを正確に記述すべき である。ライセンサー及びライセンシーは、学生を含むすべ

ての関係個人に、機密保持条項の範囲をタイムリーに通知 すべきである。

• 3.2 ライセンサー及びライセンシーは、当該機関に所属する 研究者に対し、知的財産法、特に発明の特許性に対する公 表の効果、機密保持義務、ならびに契約に共通して含まれ

る制限について教育すべきである。• 3.3 機密保持条項は、ライセンス契約に従って行われる学

問的研究が、ライセンシーに開示した、もしくはこうした研究 から派生した秘密情報を保護することを条件に、また遅れを 最小限にとどめて、自由に発表できるように規定すべきであ る。

Page 37: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

原則

• 4.A 基礎的遺伝子関連発明は、広汎にアク セスできるようにライセンスされるべきである。

• 5.B ライセンス実務(ライセンシング・プラク ティス)は、関連する知的財産権の範囲を超 えて、独占的権利の広さを拡大するために用 いるべきではない。

Page 38: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ベストプラクティス

• 4.1 複数のライセンスが必要とされる場合、 ライセンス契約には、リサーチツールを含む 遺伝子関連発明による製品やサービスに対 する正当な全体としてのロイヤルティ負担を 示せるメカニズムが含まれるべきである。

• 4.2 ライセンス契約は、遺伝子関連発明への アクセスに対して低いバリアを維持するような 条件を含むべきである。例えば、過大な前払

い手数料をライセンス契約に盛り込まないこ とがあげられる。

Page 39: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ベストプラクティス

• 4.3 ライセンス契約は、後続するイノベーショ ンを思い止まらせたり、抑制したりすることな

く、遺伝子関連発明の広汎かつ妨げられない 利用を助長するよう、リーチ・スルー権を除く

べきである。

• 4.4 公共及び民間部門の当事者は、技術を 使用する権利を取得する際の取引コストを削 減するメカニズムを整備すべきである。

Page 40: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

ベストプラクティス

• 5.1 ライセンス契約において、不当に制限的な抱き 合わせ販売は契約に盛り込むべきでない。

• 5.2 ライセンス契約において、ライセンスされた遺 伝子関連発明の範囲を超えた分野における非競争

的条項は契約に盛り込むべきでない。

• 5.3 基礎的遺伝子関連発明に係わるライセンス契 約は、研究者や患者の幅広いアクセスや遺伝子関 連発明の幅広い使用が促進されるよう、一般的に

非独占的契約とすべきである。

Page 41: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

(2)研究ライセンス指針

• 総合科学技術会議では、知的財産戦略専門調査会 の下に「研究における特許使用円滑化に関するプロ ジェクトチーム」が設けられ、2005年の3月から7月

にかけて議論を行った。• これに続いて、「研究における特許使用円滑化検討

ワーキンググループ」が設けられ、2006年の1月か ら3月まで議論を行った。

• 2006年3月23日、同ワーキンググループにより「大 学等における政府資金を原資とする研究開発から 生じた知的財産権についての研究ライセンスに関す

る指針(案)」が発表された。• 2006年5月23日、総合科学技術会議の本会議で同

指針(以下、「研究ライセンス指針」)が決定された。

Page 42: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

「研究ライセンス指針」における定義

• 研究ライセンス:

非営利目的の研究のため の知的財産権の非排他的な実施許諾

• 非営利目的の研究:

大学等において行われ る基礎研究や事業化段階に入る前の研究

Page 43: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

研究ライセンスの基本的な考え方

• (1)研究ライセンスの供与 大学等の知的財産権者は、他の大学等から、非営

利目的の研究のための知的財産権の非排他的な 実施許諾(以下、「研究ライセンス」という。)を求めら

れた場合、当該研究を差し止めることなく、その求 めに応じて研究ライセンスを供与するものとする。な

お、研究ライセンスの供与等に関しては、別紙に示 す留意点に配慮するものとする。

• (2)研究ライセンスの対価 研究ライセンスに対する対価については、原則とし

てロイヤリティ・フリー(実費を除き無償)又は合理的 なロイヤリティとする。ここでいう「合理的」の判断に

あたっては、非営利目的の研究が対象であることを 考慮に入れるものとする。

Page 44: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

研究ライセンスの基本的な考え方

• (5)研究者との認識共有 大学等の研究の場において研究ライセンスが円滑

に活用されるためには、発明者である研究者の理 解と協力が不可欠である。このため、大学等は、研 究ライセンスに関するポリシー策定にあたっての周 知や研究者の意思の確認などにより、研究者との

認識共有を進めることが望ましい。

Page 45: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

研究ライセンスの普及等

• (4)特許情報等の活用 大学等は、紛争の予防及び重複研究や重複

出願の防止のため、研究者による事前の特 許情報等の調査を推奨することが望ましい。

• (5)特許情報等の検索環境の整備 関係府省は、大学等における特許情報等の

活用を促進するため、特許情報の検索システ ム等の整備を進める。

Page 46: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

研究ライセンスに関する留意点

• (1)大学等の知的財産権者は、研究開発成果の実用化その 他の有効活用を図るために、排他的なライセンスを供与する 場合においても、可能な範囲で、他の大学等に対し研究ライ センスを供与する権利を留保しておくことが望ましい。

• (2)大学等の研究者が他の大学等へ異動した場合、その異 動先において自己の非営利目的の研究が継続できるよう、

その研究者の発明に係る大学等の知的財産権者は、当該 研究者の求めに応じて速やかに研究ライセンスを供与する ことが要請される。

• (3)大学等の知的財産権者は、研究ライセンスに対するロイ ヤリティの支払の如何に関わらず、その知的財産権の対象

となっている有体物の作製・提供に要する費用その他の合 理的な対価の支払を求めることができる。また、大学等の知

的財産権者は、有体物の使用に関し、再分譲の制限などの 制約を課すことができ、これに反する行為に対する差止めは 妨げられない。

Page 47: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

研究ライセンスに関する留意点

• (4)研究ライセンスにより研究を行う者には、後続する研究 開発の成果の公表の自由が原則として認められるべきであ り、公表に対する制約は、未公開の発明を保護する必要が ある場合など、合理的な理由がある場合に限られる。

• (5)研究ライセンスに対する対価については、3.(2)に示す 考え方を尊重するものとし、大学等の間における研究ライセ

ンスにおいて、後続する研究開発の成果に関して義務を課 す条項は、できる限り控えることが望ましい。なお、こうした 条項に限らず、研究ライセンスにあたり義務を課す場合には、

「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指 針」(平成11年7月)を踏まえ、独占禁止法上の問題が生じ ることのないよう留意する。

Page 48: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

「研究ライセンス指針」の 特徴と今後の課題

• 特徴 ①対象とする研究開発を「政府資金を原資とする」

ものに限定している ②特許権者を大学等のみに限定している

③特許権を使用する場面を大学等の非営利目的の 研究のみに限定している

• 今後の課題 (a)大学における自主的な取り組みとして、非営利

目的の研究を超えて適用すべきか (b)民間企業を含めた研究コミュニティ全体を包含す

るルール作り (c)技術分野ごとの特徴を踏まえたルール作り

(d)指針のコンセプトを具現化するための技術移転 スキーム作り

Page 49: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

特許権の集合的管理・流通 スキーム

Page 50: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

①ライセンス・データベースの例: PIPRA

• Public Intellectual Property Resource for Agriculture• 途上国の食糧事情の改善をめざす。

• 公的研究機関(大学を含む)の保有する、アグリバイオ の特許権・植物新品種の権利について、FTOを確保す る。

• 改良された作物(staple crops、specialty crops)、基 盤技術、細菌等が対象。

• 2004年7月スタート。ロックフェラー財団等の資金。

• UC Davisがホスト機関

• UC OTTのDr. Alan BennettがExecutive Director。• 総員5名のスタッフ。

Page 51: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

①ライセンス・データベースの例: PIPRA

• メンバー機関が保有する特許(あるいは登録前の特 許)をデータベース化している。

• 現在、4500件以上の特許が収録されており、メン バーだけがアクセスできるようになっている。

• 後日、部分的にはメンバー以外にも公開される予定 である。

• このようなデータベースはオーストラリアのCenter for Application of Molecular Biology in Agriculture (CAMBIA)に先例があるが、PIPRAの

データベースは最新のライセンス条件の情報を含 み、年4回更新されるという特徴がある。

Page 52: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

(尾崎英男、加藤恒「MPEGパテントポートフォリオライセンス」知財管理48巻329-337頁、1998 より)

A社 B社 C社 D社

特許管理会社

必須特許B必須特許A 必須特許C 必須特許D

L1社 L2社 L3社 L4社 L5社

非独占的・非差別的に一括ライセンス供与

ロイヤリティ

ロイヤリティの

分配

必須特許のサブラ

イセンス権を供与(ライセンサー)

(ライセンシー)

②-1

MPEG型パテント・プール

Page 53: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

②-2

3G型パテント・プール

(パテント・プラットフォーム)• 3Gパテントプラットフォームにおいては、必須特許

権者(3G規格を技術的に実施する上で必須と認定 された特許の権利者)とライセンシーは、原則として、

基本取極めを定めたフレームワーク契約の下で、特 許評価機構およびライセンシング管理者を仲介とし

て、標準ライセンス契約を締結することになっている。

• ただし、特許権者とライセンシーが希望する場合に は、標準ライセンス契約とは異なる当事者相互間で 合意した別の対価構造からなるクロスライセンス等

の双務ライセンス契約を締結する弾力性を認めて いる。これが、MPEG-LAと大きく異なる点である。

加藤恒「第三世代移動体通信のためのパテントプラットフォームライセンス」、知財管理

Vol.51 No.4 p559-569、2001

Page 54: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

②-2

3G型パテント・プール

(パテント・プラットフォーム)• フレームワーク契約は、必須特許権者とプラット

フォーム管理会社「3G

Patents

Limited」との間 で締結される。次の事項が規定されている。

• (1) 低い標準ロイヤリティ率(例:1特許当たり0.1%) でライセンス付与する。

• (2) 特許が使用される各製品のカテゴリー(端末等) ごとに個々のライセンシーが支払うロイヤリティの合 計値について、最大累積ロイヤリティ率(例:5%)の 上限を設定する。

• (3) 必須特許権者は、自己の誠意ある判断により、 3G規格に必須と思われる特許を、評価認定のため に全て提出する。

加藤恒「第三世代移動体通信のためのパテントプラットフォームライセンス」、知財管理

Vol.51 No.4 p559-569、2001

Page 55: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

特許権者仲

企業

大学 特許権者

特許権者

①使いたい特許をリクエスト

②使用許諾

パテント・クリアリングハウス(概念図)

③特許権者に報告

・・

バリエーション・特許ごとに価格が決まっているか、ライセンス契約

の形をとるか・1件ごとに特許権者に使用許諾の確認を取るか、

報告だけにするか・・

・クリアリングハウスで取り扱うことを、特許権者

によってあらかじめ了解された特許群

Page 56: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

A大学 B大学 C大学

▲●▲

●▲

研究者X 研究者Y 研究者Z

機関帰属特許の集合 個人帰属特許の集合

パテント・コンソーシアム

一般研究者・機関

希望する特許について、有償(商業向けと非商業向

けを区別)でライセンス供与が受けられる。

参加大学の研究者は、機関

帰属特許の集合体について、無

償で使用できる。

参加している個人研究者は、

個人帰属特許の集合体について、

無償で使用できる。

パテント・コンソーシアム(隅蔵、2005)

無償提供無償提供D企業

有償提供

企業保有特許

大学保有特許の集合

研究者保有特許

Page 57: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

パテント・コンソーシアム(1)

• 参加している大学・公的研究機関(以下、「参 加大学」)は、保有特許(機関帰属の特許)を コンソーシアムに無償で提出。→「大学特許

コレクション」

• 参加大学に所属する研究者は、 「大学特許 コレクション」

の特許を無償で使用できる。

Page 58: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

パテント・コンソーシアム(2)• コンソーシアムのオペレーターは、主要な個人帰

属の特許を探し出し、それらを保有する個人に対 し、コンソーシアムへの参加を呼びかける。

• コンソーシアムに参加する個人研究者は、自ら保 有する個人帰属特許をコンソーシアムに無償で

提出。→「個人特許コレクション」

• 参加している個人研究者は、 「個人特許コレク ション」

の特許を無償で使用できる。

Page 59: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

パテント・コンソーシアム(3)

• コンソーシアムのオペレーターには、ライセンス 契約交渉のスキルを持つ担当者を配置する。

• コンソーシアムで提供すべき特許の中に、企業 保有のものがある場合は、コンソーシアムが企 業に対し契約料を支払うことにより、コンソーシア

ムで取り扱うことに対する許諾を受ける。

• こうして「企業特許コレクション」が出来上がる。

Page 60: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

パテント・コンソーシアム(4)• コンソーシアムに特許権者として参加していない

外部者は、コンソーシアムに入っている特許を、 定められた価格(ライセンス条件)で使用すること ができる(パテント・クリアリングハウスと同様)。

• 学術目的の使用と、商業的使用では、ライセンス 条件が異なる。

• コンソーシアムに特許権者として参加している大 学の研究者、ならびに個人研究者は、無償になる

以外のコレクションを、ディスカウント価格(コン ソーシアムのオペレーターが決定する)で使用す

ることができる。

Page 61: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

パテント・コンソーシアム(5)• コンソーシアムで扱われている特許は、使用される

たびにカウントされ、使用頻度上位の特許につい てはランキングが発表される。

• 使用頻度は、価格(ライセンス条件)の決定にも用 いられる。

• プロジェクトにより生み出された特許をこのようなコ ンソーシアムで扱うことを、ファンディングの条件に することも可能。

Page 62: 医療・ライフサイエンスイノベーションの経営 医療・医薬分野に … · • 創薬関連特許の現状 • 特許法69条とリサーチツール • ライセンス契約のガイドラインによる、共有化

MPEG型

パテント・プールライセンス・

データベース

3G型パテント・

プラットフォーム

パテント・

クリアリングハウス

PIPRA

データ

ベースパッケー

+ライセンス条件の固定化 +契約形態の

柔軟性

+独禁リスクの回避

パテント・

コンソーシアム

+メンバー間で

自由に使いあう