地産地消の推進とcsa支援プロジェクト- 目...

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地産地消の推進とCSA支援プロジェクト- プロジェクトの概要 1 プロジェクトの狙い 4 プロジェクト推進の意義 5 地産地消・CSAの現状把握 7 (1)都道府県のホームページから見た取り組み 7 (2)CSAの取り組み事例 9 (3)市における地産地消の取り組み 10 プロジェクト推進の課題 11 プロジェクトの推進 12 (1)地産地消・CSAの取り組み 12 1.地産地消・CSAの参加プレーヤーとその役割 12 2.CSAの取引方法(例) 13 3.CSA支援のタイプ(参加型農業) 14 【 参考 】 シェアによる農産物の配分(例) 15 (2)参加者の確保 16 【 参考1 】 JAに期待する役割 17 【 参考2 】 信頼性の維持・確保 18 (3)需給バランスの確保 19 【 参考1 】 CSA支援におけるミスマッチの調整 20 【 参考2 】 CSA支援と地域通貨の組み合わせ 21 【 参考3 】 CSA間の連携 22 プロジェクト推進の環境整備 23 (1)生産者による生産プラン等の情報開示 23 (2)支援者の確保と取引契約 24 (3)推進体制の整備 25 プロジェクトの評価 26

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  • -地産地消の推進とCSA支援プロジェクト-

    目 次

    1 プロジェクトの概要 1

    2 プロジェクトの狙い 4

    3 プロジェクト推進の意義 5

    4 地産地消・CSAの現状把握 7

    (1)都道府県のホームページから見た取り組み 7

    (2)CSAの取り組み事例 9

    (3)市における地産地消の取り組み 10

    5 プロジェクト推進の課題 11

    6 プロジェクトの推進 12

    (1)地産地消・CSAの取り組み 12

    1.地産地消・CSAの参加プレーヤーとその役割 12

    2.CSAの取引方法(例) 13

    3.CSA支援のタイプ(参加型農業) 14

    【 参考 】 シェアによる農産物の配分(例) 15

    (2)参加者の確保 16

    【 参考1 】 JAに期待する役割 17

    【 参考2 】 信頼性の維持・確保 18

    (3)需給バランスの確保 19

    【 参考1 】 CSA支援におけるミスマッチの調整 20

    【 参考2 】 CSA支援と地域通貨の組み合わせ 21

    【 参考3 】 CSA間の連携 22

    7 プロジェクト推進の環境整備 23

    (1)生産者による生産プラン等の情報開示 23

    (2)支援者の確保と取引契約 24

    (3)推進体制の整備 25

    8 プロジェクトの評価 26

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    1 プロジェクトの概要

    【地産地消の推進】

    ・生産者、流通・加工・食品業者、地元小売店・量販店、消費者等が連携して地元の農

    産物を優先的に利用・消費します。

    ・地元農産物の域内消費を拡大するため、産地(JA)-青果市場(丸果)、地方卸売

    市場(旭一)が連携し、地域内流通

    の規格、取扱手数料等を見直し、価格の引き下げられないか検討します。

    ・生産者は、生産履歴を管理し、地域内流通農産物のトレーサビリティの実現を目指し

    ます。

    注:市(農政部農業振興課)は、平成13年度以降、「地産地消総合推進事業」を実施(継続中)して

    います。

    このプロジェクトのポイント①

    ・市が実施している「地産地消総合推進事業」で実現することが現実的と考え、同事業

    への反映を提案します。

    ・生産者の生産履歴(記帳、伝達、公開)を管理し、消費まで一貫したトレーサビリテ

    ィの実現を図る必要(別途提案)があります。

    ・CSAによる支援は、地産地消の一形態であり、一体で進めることが有効です。

    地元産品入手(地産地消)の形態

    中間利用者(流通・加工・食品業者等)

    イベント参加、産直

    JA 直売所

    学校(給食)

    生協

    (生産委託等)青空市

    青果市場、地方卸売市場

    市町村等 朝市、日曜市等

    小売店・スーパ

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    【CSAによる農業支援の仕組み】

    ・支援を受ける生産者は、下図中央に示す生産プランを公表します。

    ・その生産プランに賛同する支援者は、前払いで農産物代金を支払い、引換券を受け取

    ります。

    ・生産者は、責任をもって栽培管理を行い、必要の都度、支援者に向けて生育の状況、

    イベント等に関する情報を発信します。

    ・支援者は、イベント(圃場見学、農作業体験、収穫)参加は自由で、収穫時には、引

    換券を渡し、収穫された農産物(豊凶等により差がある)と栽培履歴書を受け取りま

    す。

    このプロジェクトのポイント②

    ・生産プランや栽培履歴書の作成など、生産履歴管理の労力を軽減する必要(別途提案)

    があります。

    ・代金前払い(収穫量は未定)に対する支援者の理解が必要です。

    ・生産者が公表内容遵守の確認、需(支援者)給(生産者)のバランス確保が重要にな

    ります。

    CSA支援の形態

    生産プランの公表生育状況等の発信

    生産プランの公表内容(例)

    ・生産者

    (団体名、代表者名、会員数等)

    住所、会員番号

    メール・アドレス

    ・生産品目、作付面積

    収穫時期(旬単位)

    期待収穫量(最低保証~平均)

    ・生産方法(肥料、農薬、除草)

    購入代金前払いイベント等への参加

    CSA支援(コミュニティセンター)

    生産者等

    個人経営者

    任意グループ

    生産組織

    JA等

    中間利用

    食品産業

    ホテル

    飲食業

    小売・量販店生協等

    最終需要

    学 校

    各種施設

    一般消費者

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    【参考】 CSAとは

    ・CSA(Community Supported Agriculture)は、「地域全体で農業を支え合う」こと

    を意味し、アメリカ版の「地産地消」といえます。その理念は、①安全・安心な農産

    物を供給すること、②優しい環境を創造していくこと、③教育文化に寄与することで、

    地域のコミュニティの在り方に応じ、様々なパターンがあります。

    ・本プロジェクトでは、生産者の示す生産プランに賛同する者(支援者)が、資金を提

    供(農産物代金の前払い)して生産者の経営を支援する仕組みを内容とします。

    アメリカにおけるCSAの類型とその概要

    名 称 類 型 概 要

    ・地域においてCSAへの参加を希望する家族は、コミュニティ農場のテンプルウイルトン・ 協会に加入する。コミュニティ農場 基本の CSA ・会員で農業に適した土地を持っている人は、土地を使いたい

    人に提供する。・その他の人々は各自の生活を続けながら、コミュニティ農場の協会を通じて農地の食べ物を受け取る。

    ・これを可能にするために、人々はお金を出し合う。金額は月割りで払える額であり、大体一ヶ月35ドルから80ドルと、各家庭が各々の経済面から判断した額を支払う。63世帯加入。

    ・栽培の季節が始まる前に農場や菜園のコストを株主の間で分グレート・バリントン 社会派 CSA 担し、生産物を株主に分配する。の CSA農場 ・1989年には約150株に達し、これがこの農園の限界。また、

    株の内容とコストは株主の要求に見合うように調整されている。

    ・「健康な土地と作物・農場全体・新たなコミュニティ」と「農場」ブルックフィールド 個性派 CSA とを直接結びつけるという概念のもと、51世帯が毎年農場運

    農場 営に必要な経済的支援を約束し、お返しに農民と農場は、果実類や野菜だけでなく、コミュニティメンバーの経済的貢献によってまかなわれる仕組み。

    ・現在この農場の農地はまだ個人所有であるが、「バイオダイナミック農地保存トラスト」に変更するプロセスが進行中である。

    ・会員となる家族は、専業農民の相応の生活費を含む農園の維自立した労働者の 持費を保証する。そして週に1度か2度野菜を会員で分ける。

    キンバートン 集団 ・約100世帯が参加し、次年度に予想される出費に基づいて予CSA農園 -内部に CSAの試み- 算を立てる。年度初めに手付金または全額を農家に支払うが、

    額は必ずしも皆が一単位に同じ額を支払うわけではなく、全体の平均が一定ドルになりさえすればよいと言う前提で、一単位あたりに支払う額に幅を持たせて徴収している。ここでの展望は「モンドラゴン方式」つまりワーカーズコレクティブである。

    生産・加工・流通 ・他の典型的なCSAとは考え方が異なり、他には例を見ない。ホーソン・バレー 連合体 ・この農場は非営利・非課税団体のルドルフ・シュタイナー教育・農業協

    農場 -内部に CSAの試み- 会のもとで運営され、学校を持ち体験学習プログラムがあり、多くの芸術化や職人が参加している。農民、加工業者、小売業者、消費者の間の経済的連帯が大きな特色である。

    ・町民がその土地を農場として使うことを投票で決め、町民のコドマン農場 自治体が支える CSA 理事会が前面に出て農場をつくり経営を助けている。収入の

    約90%は農場の経常収入で、約10%は寄付である。・コミュニティの支持は、理事会が経理、税金面でアドバイスすること、それも事業の金融面で細かく微調整して支えている。

    ・CSAの概念にまた別の特性を加える実験的な試み。コミュニティ市場 農 民運動 と し て の ・ゆくゆくは農場を作る最初の一歩として、地域の農民共済組

    CSA 合(農民相互団体として、農家の利益を守るため、1867年に創設された秘密結社。1870~80年代、アメリカ農民運動の母体となった)と協力して有機農産物をつくる農民のマーケットを組織しようとしている。

  • - 4 -

    2 プロジェクトの狙い

    (地産地消の狙い)

    ・顔の見える新鮮な農産物を安く購入(仕入れ)すること。

    ・輸送距離を短縮し、流通コストや環境負荷を軽減すること。

    ・規格品や体裁にとらわれず、規格外ロスをなくする(自給率の向上を図る)とともに、

    選別作業等の軽減を図ること。

    (CSAの狙い)

    ・支援者は、作付計画段階で購入代金を前払いすることで、豊凶によるリスクを分担し、

    農家の経営安定をバックアップすること。

    ・生産者は、生産プランを公表することで、経営者としての責任を明確にし、支援者に

    生産履歴等の開示を行うこと。

    ・産地が協力して、農作業ボランティア募集、収穫祭等を開催するなど、支援者との交

    流を深めること。

    【 達成目標 】

    【地産地消】

    直売所売り上げ:10% UP/1年

    旭川地方市場向け出荷割合:5% UP/1年

    学校、病院等における地元農産物の調達割合:5% UP/1年

    【CSA支援】

    CSA支援件数:10~50件増/1年

    【 現 状 】

    指標項目 現 状 時 点

    直売所売り上げ 千円

    旭川地方市場向け出荷割合 %

    学校における地元農産物の調達割合 %

    病院等における地元農産物の調達割合 %

    CSA支援件数 0 件 平成17年末

  • - 5 -

    3 プロジェクト推進の意義

    狙いで示したとおり、地産地消を推進することにより、

    ・消費者との直接的な取引(顔の見える取引)が増加し、生産者は有機栽培、減農薬・

    化学肥料等、品質にこだわるようになり、その分、栽培管理のためのコストは増大す

    る可能性があります。

    ・しかし、消費者の理解が進めば、見栄えを重視した規格・等級等、複雑な流通管理に

    よる管理費用を縮減し、選別作業や梱包等の作業を削減するなど、作業労力が軽減で

    きます。

    ・また、複雑な流通経路を経由することがなくなり、中間ロスが解消でき、流通コスト

    も減少します。

    ・その他、地産地消により、生産者と消費者の交流が深まり、各種のイベント等消費者

    自らが農作業等を経験したり、伝統文化に触れることができるようになります。

    【参考】

    食品流通段階別価格形成追跡調査結果の概要( 農水省統計情報部 平成13年11月青果物調査 )

    東京の5段階流通の主要青果物の小売価格を見ると、だいこんは1,401円で全価格比(生産者

    受取価格に対する小売価格の比率。以下同じ。)が4.08倍、はくさい1,260円(7.33倍)、キャベツ

    1,054円(4.50倍)、ねぎ6,003円(1.94倍)、きゅうり4,357円 (2.09倍)トマト5,625円(2.00倍)

    みかん温州3,534円(2.78倍)、りんごふじ5,503円(2.48倍)となっています。

    地産地消の効果

    流通経費削減交通混雑緩和環境負荷軽減

    倉庫等流通施設

    作業の軽減・迅速化低価格化

    鮮度保持

    自給率向上残渣処理費用の軽減

    地産地消

    脱規格・等級

    輸送距離の短縮

    管理作業を軽減

    ロスを解消

    作業時間を短縮

    選別・梱包等を省力

  • - 6 -

    CSA推進の意義は、地産地消の推進と同様ですが、CSAは、農産物の購入代金を

    生産プラン策定時に前払いするもので、

    ・直接的には生産者の経営安定を支援することであり、多くの参加によって地域農業を

    支え、地域の自然・環境・文化、農山村が果たしている多面的機能の維持に貢献する

    ことになります。

    ・支援者(シエアホルダー)は、生産のリスクを負うことになりますが、生育状況や生

    産状況に関心を持つようになり、栽培圃場の視察や収穫作業等に参加するなど、生産

    者との交流も可能です。

    また、収穫物については、栽培履歴の確認も可能となります。

    ・支援者のうちの中間利用業者は、計画的な調達ができ、生産者から提供される生育状

    況をもとに調達計画の変更が可能になります。

    CSAの効果

    コーディネート機能

    不作時(従来)価格の暴騰調達の競合不規則流通

    生産過剰(従来)価格の暴落産地廃棄コスト割れ

    経営支援(前払い金)

    多面的機能の維持

    生育情報等の入手

    原材料調達の調整

    リスク分散

    中間利用

    最終需要

    食品産業

    ホテル

    飲食業

    小売・量販・生協等

    学 校

    各種施設

    一般消費者

    生産者

    農業経営者

    任意グループ

    生産組織

    JA等

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    4 地産地消・CSAの現状把握

    (1)都道府県のホームページから見た取り組み-1

    ・都道府県のホームページから見た、地産地消の取り組みは次表のホームページアド

    レスから確認できます。

    地産地消への取り組み

    都道府県 運動・事業等 ホームページアドレス

    北海道 産消協働 http://www.pref.hokkaido.jp/tseisaku/ts-sanji/sk/sansho/sansho-top.htm

    青森県 ふるさと産品消費県民運動 http://www.umai-aomori.jp/know/chisan/chisan.phtml

    岩手県 地産地消 http://www.pref.iwate.jp/~hp0505/tisantisyou/faq/tisanfaq.htm

    宮城県 学校給食地域食材利用推進事業 http://www.pref.miyagi.jp/nosan-engei/genba-nouen.files/gakkoukyusyoku.htm

    秋田県 地産地消 http://www2.e-komachi.jp/chisan/index.html

    山形県 庄内産品食の日 http://www.pref.yamagata.jp/ss/shonai/new/new05.html

    福島県 地産地消 http://www.pref.fukushima.jp/kikaku/tsts_index.htm

    茨城県 うまいもんどころ食彩運動 http://www.ibaraki-shokusai.net/intro/index.html

    栃木県 栃木地産地消県民運動 http://www2.shimotsuke.co.jp/chisan/index.html

    群馬県 群馬県地産地消推進モデル事業 http://www.pref.gunma.jp/e/04/sanen/shokaku/cscs/model/top.htm

    埼玉県 地産地消 http://www.pref.saitama.lg.jp/A06/B200/undo/undoindex.htm

    千葉県 千産千消 http://www.agri.pref.chiba.jp/nourinsui/08seisan/hanbai/cc/index.htm

    東京都 東京の農産物等共同直売所ガイド http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/norin/chokubai/chokubai.htm

    神奈川県 かながわ地産地消ネットワーク http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/nogyosinko/tisantisyo/index.htm

    新潟県 にいがた21地産地消運動 http://www.pref.niigata.jp/norin/syokutomidori/syok/chisanchisyo/index.html

    富山県 とやま地産地消推進会議 http://www.toyama-shokuseikatu-hiroba.jp/

    石川県 男女共同参画i&i(あいあい)プラン http://www.pref.ishikawa.jp/nousan/i_iplan/index.htm

    福井県 とれたてふくいの日 http://info.pref.fukui.jp/syokuanryu/syokuseikatu/toretate/top.html

    山梨県 地産地消 http://www.pref.yamanashi.jp/nouseibu/kajyu/tisan/

    長野県 地産地消推進プラン http://www.pref.nagano.jp/xtihou/simoina/nousei/suisinplan/top.htm

    岐阜県 地産地消 http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11411/kakuho/keikaku.pdf

    静岡県 しずおか地産地消推進運動展開事業 http://www.pref.shizuoka.jp/nousei/ns-04/

    愛知県 いいともあいち http://www.pref.aichi.jp/nourin/iitomo/

    三重県 地産地消ネットワークみえ http://www.chisan-chisho.net/mie/

  • - 8 -

    ・農林水産省の補助事業を活用した地産地消の取組事例については、

    http://www.maff.go.jp/chisanchisyo/torikumi_jirei.html

    を参照してください。

    ・それぞれ、各ホームページから、現状を整理しました(平成 17 年 12 月現在)。

    ・地産地消のコーナー(ホームページ)を設けているところと、基本計画や実施方針等の文書形式

    のものが混在しています。

    ・この結果を見ると、都道府県のすべてで、取り組みが行われていることがわかります。

    家計消費状況調査から見たインターネット利用可能なパソコン等の保有状況

    都道府県 運動・事業等 ホームページアドレス

    滋賀県 こだわり滋賀ネットワーク http://www.pref.shiga.jp/g/kodawari/

    京都府 「いただきます。地元産」プラン http://www.pref.kyoto.jp/nosan/ap2/index.htm

    大阪府 大阪を食べよう http://www.pref.osaka.jp/nosei/eat/index.html

    兵庫県 農産物直売所整備促進事業 http://web.pref.hyogo.jp/nrkeiei/html/framepage05.html

    奈良県 奈良の「食」行動計画 http://www.pref.nara.jp/norinbu/kenmin-kaigi/koudou-keikaku/3.suisin-housaku.html

    和歌山県 食の安全・安心・信頼確保基本方針 http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/031600/frames/03_frame.html

    鳥取県 地産地消推進事業 http://www.pref.tottori.jp/shijou/

    島根県 しまね・ふるさと食の日 http://www2.pref.shimane.jp/brand/chisanchisho/syokunohi.html

    岡山県 地産地消 http://www.pref.okayama.jp/norin/nosei/momoppy/index.html

    広島県 新農林水産業・農村漁村活性化行動計画 http://www.pref.hiroshima.jp/nourin/noukikaku/index.html

    山口県 見つめて!やまぐち農産物愛用推進委員会 http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/seisan/tisan/tisan.htm

    香川県 地産地消 http://www.pref.kagawa.jp/nousei/santa/

    徳島県 地産地消 http://ourtokushima.net/chisan/index.php

    愛媛県 地産地消・愛あるサポーター制度 http://www.pref.ehime.jp/060nourinsuisan/060nousan/00004446040209/index.html

    高知県 地産地消 http://www.pref.kochi.jp/~chisan/index.htm

    福岡県 福岡の農産物 http://www.pref.fukuoka.lg.jp/wbase.nsf/FukuokaPref?OpenForm&UQ=%92n%8EY%92n%8F%C1+AND+%8F%B3%94F%8D%CF%82%DD&CM=&AD=&P=1

    佐賀県 さが農業・農村ふれあい運動 http://www.pref.saga.jp/shigoto/nogyo/fureai/shusi.html

    長崎県 地産地消 http://www.n-nourin.jp/ah/sesaku/nouseika/chiikishinkou/tisan.htm

    熊本県 くまもと食・農ネットワーク http://cyber.pref.kumamoto.jp/chisan/

    大分県 “地産地消「とよの国食彩」運動” http://www.pref.oita.jp/15350/syokusai/

    宮崎県 地産地消 http://www.yappamiyazaki.jp/chisan/index.html

    鹿児島県 地産地消 http://www.pref.kagoshima.jp/home/keigika/joseinetwork/tisanntisyou.html

    沖縄県 地産地消 http://www.pref.okinawa.jp/Ryutu/rogo.pdf

  • - 9 -

    (2)CSAの取り組み事例

    ・我が国におけるCSAの取り組みを見ると、 計画書(例:第3期北海道農業・農村

    振興推進計画、新たな山形県農林水産業振興計画等)の記述は増えつつありますが、

    取り組みの具体的事例は多くはありません。

    ・以下に、笹山登生氏のホームページに紹介されている道内の2つの事例を示します。

    ■ メノビレッジ長沼

    ・メノビレッジでは、CSAの会員を「メノピープル」と呼んでいます。そして、

    メノピープルは設定された7段階(一括払い 59,000、62,000、5,000、68,0

    00、71,000、74,000、77,000 千円)の年会費から、好きな金額を払うこと

    ができます。

    しかし、金額によって受け取る野菜の量は変わりません。それは、「食

    べ物を商品として扱わず、全ての人が食べ物を手にすることのできる地域

    社会の実現を願うから」としています。

    また、「職業も世代も家族構成も違う私たちが互いに助け、支え合うこ

    とで、この取り組みが可能になればと願っている」としています。

    ・年会費は、CSAの運営費として種や肥料代などにあてられるため、原則とし

    て春に集められ、分割払いとして年3回(4月、7月、10月)に分けて支払う

    ことも可能です。

    http://www.warp10.hotcn.ne.jp/~mennoville/japanese.htm

    ■ えにわ田舎倶楽部

    ・ジャガイモやかぼちゃなどを契約農家にお願いし、春先に代金を前払いし

    てつくっていただく。

    ・冷害などで収穫できなくても代金は戻らないなど、生産に伴うリスクは消

    費者が負担します。草取りなどもボランティアで手伝い、収穫作業に参加

    します。

    ・生産者サイドに足場を置いた生産者と消費者の交流、顔の見える関係を構

    築しようという取り組みです。

    ・生産者は売り先や代金の回収のことを心配しないで、おいしいかぼちゃの

    栽培などに専念できます。

    ・消費者が生産者に1歩近づくことことによって、市場で流通する農産物と

    は違う本物・こだわりの農産物にありつくことができ、こうした取り組み

    を始めておよそ10年が経過、最近では恵庭市だけではなく、南幌町、江別

    市、北村などに広がっています。

    http://www.pref.hokkaido.jp/nousei/ns-rtsak/sfft/pdf/slowfoodsengen.pdf

  • - 10 -

    (3)市における地産地消の取り組み

    ・市は、平成14年度から、地産地消総合推進事業を推進し、平成17年度は、208万9千円

    の予算措置が講じられております。

    ・また、18年度事業計画の評価は、「推進」すべき事業として区分されており、「商工観

    光部とも連携を図りながら,地場産品の消費拡大につながるよう事業手法を工夫する

    こと。」との指示事項があります。

    ・ 総事業費

    14,909千円 (国:1,285千円 一般: 13,624千円)

    ・ 主な事業費内訳(17年度予算額 2,089千円 )

    農業まつり等負担金1,057(千円)

    地場農産物PR支援584(千円)

    地場野菜直売支援285(千円)

    http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/gyoukaku/1-021.pdf

    ■ 事業の概要

    ・ 生産者と消費者の交流機会の提供のため、

    ⅰ.地場農産物の直売支援

    ⅱ.地場農産物の流通支援

    ⅲ.学校給食等での活用促進

    ⅳ.地場農産物PR事業の実施 など

    ■ 事業の設定目標

    ・ 直売農業者グループ数,直売店舗数の拡大

    ・ 系統流通による取扱店舗数増

    ■ 事業の「妥当性」、「緊急性」、「有効性」

    ・ 学校給食への活用などは農業者だけでは困難であり、当面、行政支援

    が必要。

    ・ 地場消費を拡大する取組は喫緊の課題。

    ・ 市民の旭川の農業,農業者,農産物への理解を深める。

    http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/kikaku/jigyoukeikaku/tyousakekka.pdf

  • - 11 -

    5 プロジェクト推進の課題

    ・地産地消、CSA支援は、生産(供給)サイドと消費サイド(需要)の相互の信頼の

    上に成り立ちます。

    ・CSA支援では、通常いわれる信頼性については、顔が見える取引(支援)によって、

    より高まると考えますが、取引ルールの不明確さや需要と供給のアンバランスが頻繁

    に起こることが信頼性を損なう要因となります。

    ・地産地消、CSA支援を継続的に実施するには、生産者と購入(支援)者が合議の下、

    一定の参加者の確保が必要です。

    ・そのためには、生産者と購入(支援)者双方にとってメリットがあり、購入(支援)

    者は農産物生産の実態を理解する一方、生産者は購入(支援)者のニーズに耳を傾け、

    生産やイベント等に反映させることが必要と考えます。

    【 検 討 課 題 】

    ⅰ 参加者にとってメリットの感じられる仕組みの構築

    ⅱ 取引ルールの明確化

    ⅲ 参加者の確保とコーディネート機能の整備

    ⅳ 信頼性の確保(イベント交流、栽培履歴の開示)

    ⅴ 意見・要望・苦情処理の在り方

    プロジェクトの推進手順

    ミスマッチの需給調整策の検討

    取引の仕組み検討

    コーディネート機能

    意見・要望・苦情等の対応策の検討

    参加者の確保策の検討

    参加プレーヤーの役割取引ルール

    事業PR信頼性の維持・確保

  • - 12 -

    6 プロジェクトの推進

    (1)地産地消・CSAの取り組み

    1. 地産地消・CSAの参加プレーヤーとその役割

    ・地産地消・CSAにおけるプレーヤーは、生産者(個別経営者や任意グループ、生

    産組織やJA等)と購入(支援)をする人(一般消費者や中間利用者)に分かれ、

    両者を仲介する役割も重要になります。

    ・生産者は、生産プランを実行し、購入(支援)者に新鮮、安全・安心、低価格な農

    産物等を提供します。

    ・CSA支援者は、生産者が開示する生産プランを選択し、取引契約を交わし、原則

    として、その時点で支払い代金を前納し、収穫時に所定の農産物を取得します。

    支払金額は固定ですから、豊凶等による恩恵(リスク)を受ける(負担する)ことに

    なります。

    ・地産地消は、直売所や地方市場等で地元農産物を優先的に購入(調達)します。

    ・CSA支援では、生産サイドの供給事情と需要サイドの多様なニーズとのミスマッ

    チを解消し、需給バランスの高位安定を図ることが必要です。そのため、CSA支

    援の意義を周知し、生産者・支援者双方の参加の輪を拡げていく必要があります。

    主要プレーヤーの役割

    生産者

    ・生産プランの作成・公表

    ・生産履歴の管理・開示

    ・生育情報等産地情報の提供

    ・産地イベント企画、実施

    ・購入(支援)者ニーズの反映

    購入(支援)者

    ・地産地消・CSA購入(支援)

    ・支払金額の前納(CSA支援)

    ・地元農産物のPR(中間利用者)

    ・産地イベントへの参加

    ・意見・要望等の発信

    コーディネーター

    ・取引ルールの決定、普及・啓蒙

    ・開示システムの開設と開示情報の作成支援

    ・参加プレーヤーの確保

    ・需給のミスマッチを調整

    ・生産プランの実行の確認(苦情処理等)

  • - 13 -

    2. CSAの取引方法(例)

    ・生産者が公表する生産プランに支援者が合意し、支援者が支払金を前納した時点で

    契約が成立したとみなします。

    ・一旦成立した契約は、原則として途中での解約を認めません。但し、生産者の都合

    で、生産プランの実施が不可能となった場合は、前渡し金を返済することにより、

    解約することができることとします。

    ・支援者は、生産物のシェア相当分に対してのみ受け取る権利を有し、災害等により、

    生産者が受け取った見舞金、共済金、保険金等は請求することはできないこととし

    ます。

    ・コーディネーターは、取引に関するトラブルを解消するため、必要な措置を講じま

    す。

    契約成立のプロセス

    生産プランの検索・照合

    支援内容の確認

    生産物配分方法の決定

    シェアによる配分

    ほ場区画の割り当て

    家庭菜園用ほ場

    収穫物をシェアで配分する

    割り当てほ場区画の生産物を配分する

    生産プランの公表

    支援者への区画割り当て

    前渡し金額の確定支援内容の確認

    前渡し金額の納入契約成立

    引換券、地域通貨付与

    生産者 コーディネーター 支援者

    支援者ごとのシェアを確定

  • - 14 -

    3. CSA支援のタイプ(参加型農業)

    ・CSA支援者は、収穫期に生産物を受け取るだけではなく、自らも農山漁村におけ

    る各種イベントに参加して、体験や自然に触れあう機会を得るなど、多様な参加の

    形態が想定されます。

    【 CSA支援の形態 】

    ⅰ 家庭菜園タイプ

    生産農家から、一定面積の土地を借り受け、自ら、作物を選び、肥培管理、収穫

    を行います。

    CSAにおける生産農家は、技術指導、便宜供与(農機具等の貸し出し)に止め、

    全ての作業は原則として支援者が行います。

    ⅱ オーナータイプ(仮称)

    生産者とほ場や他の農業資産(果樹、家畜、山林等)について事前に契約を結び、

    収穫時等にその契約に基づき生産物の一部又は全てを取得します。肥培管理、収穫

    作業のすべてを生産者が行う場合と、収穫作業等の節目となる主要作業に支援者(一

    般消費者)が参加する場合とがあります。通常のCSAはこの支援方法を指します。

    ⅲ 観光農業、体験農業

    生産者のほ場において、収穫や農作業の経験を行います。通常、収穫した生産物

    は購入して持ち帰ります。オーナー支援との違いは、事前の契約はなく、オープン

    なほ場等に入園料等を支払い農業体験等を行うところです。

    生産プランと支援者との関係

    生産者(耕種農業)生産者のほ場イメージ

    観光農業用ほ場

    家庭菜園用ほ場

    一般支援用ほ場

    (オーナータイプ)

    CSA対象外ほ場

    体験農業用ほ場

    生産者は、このタイプの一部又はすべてのほ場を有する。イベントとして生産

    プランに盛り込む

    家庭菜園用として

    区画単位に募集

    期待収穫量の範囲内で

    一般募集

    【ケース1】

    生産物を収穫期に支援者

    のシェアに応じて配分する

    方法(シェアによる配分)

    【ケース2】

    シェア分の面積を事前に

    支援者に割り当て、割り当

    てられた区画からの生産物

    を支援者に配分する方法(ほ

    場区画割り当てによる配分)

  • - 15 -

    【参考】 シェアによる農産物の配分(例)

    ・CSAによる支援には、1つの生産プランに複数の支援者が対応する場合やグルー

    プ調達、大量調達を行う場合が想定されます。

    ・複数の支援者に対しては、収穫時の農産物の配分方法を定める必要があります。

    【 複数支援者に対する農産物配分 】

    ⅰ 支援者の購入予定量の総合計γが生産者の期待収穫量αを下回る場合

    各支援者ごとの購入予定量を収穫時の収量(=実績収量β)で調整した分(=

    購入予定量の総合計β÷期待収量α)を配分します。

    ⅱ 支援者の購入予定量の総合計γが生産者の期待収穫量αを上回る場合

    供給予定数量を上回る支援者をお断りする場合と、支援者の了解の下、他の

    生産者と連携して支援者の需要に応える場合が考えられます。

    ⅲ 総合計に対する支援者ごとの比率(シェア)で総収穫量(他の生産者と連携

    する場合はそれに見合った収量をプラス)配分します。

    シェアによる農産物配分の考え方

    支援者のシェア(生産プランごと)

    A:100×a÷γ (%)B:100×b÷γ (%)C:100×c÷γ (%)D:100×d÷γ (%)

    生産者(生産プラン)(期待収穫量:α Kg)

    実績収量:β Kg

    ⅰ 収穫量の配分(α>γの場合)

    A:a×β÷αB:b×β÷αC:c×β÷αD:d×β÷α

    ⅱ 収穫量の配分(α<γの場合)α>(a+b+c:先着順)として

    A:a×β÷αB:b×β÷αC:c×β÷αD:0

    収穫量の配分(α<γの場合)(α+α′)>γとして(α′は他の生産者)

    A:a×(β+β′)÷(α+α′)B:b×(β+β′)÷(α+α′)C:c×(β+β′)÷(α+α′)D:d×(β+β′)÷(α+α′)

    β′はα′の実績収量

    (a+b+c+d) Kg

    支援の申し出

    支援者

    A(購入予定量:a Kg)

    B(購入予定量:b Kg)

    D(購入予定量:d Kg)

    C(購入予定量:c Kg)

  • - 16 -

    (2)参加者の確保

    ・地産地消の取り組みは、全国に波及しつつありますが、CSAはそれほど多くの例を

    見ません。また海外の例を見ても小規模で行われているのが実態のようです。

    ・参加者が少なければ、需給のバランスを保つことが難しいなど、継続も危ぶまれます。

    多くの参加者を確保するため、生産者は当然、中間利用者や消費者等にその意義、参

    加のメリットを理解していただき、その普及・啓蒙に努める必要があります。

    ・また、取引を継続するためには、生産者、取引(支援)者の相互信頼を維持・確保す

    ることが重要です。

    【普及・啓蒙等の方策】

    ・ ホームページ、市の広報、JAによるPR等

    ・ 研究会の開催、地域説明会・研修会等の実施、先進事例の紹介 等

    参加者が享受するメリット

    個別メリット

    ・顔の見える取引で安全・安心を確保

    ・供給量と調達・需要量の事前調整

    ・取引の継続で経営安定(生産者、中間利用者)

    コーディネート機能

    地元農産物の優先需要リズナブルな価格の設定

    地域メリット

    ・生産履歴管理による信頼性の確保

    ・省エネルギーによる環境負荷の軽減

    ・生・流・消交流による地域の活性化

    参加者 参加のメリット

    生産者 規格外を減少、選別の労力を軽減、流通経費を削減等で手取り価格が増大

    J A 直売所等に女性・高齢者の活路、地元消費者等との関係強化

    地方卸売市場 地元生産物の取扱量増大で活性化(生産者と小売・量販店の仲介役)

    食品加工・製造 食材の地元調達を定着、肥培管理や安全性の確認が可能

    小売店・量販店 新鮮・安心・安全・低価格産品で集客力アップ

    外食産業等 地元食材を利用したメニューで食材調達コストの軽減、集客力アップ

    生 協 地元生産者・JA等との連携を強化し、調達コストを軽減

    学校(給食) 地元の安全・安心な食材による食の提供、食農教育の実践

    消費者 新鮮・安心・安全・低価格生産物を入手、農山漁村との交流機会の増大

  • - 17 -

    【 参考1 】 JAに期待する役割

    JAは生産(供給)サイドにあって、購入(支援)者に対し、安全・安心農産物を安

    定的に供給するため、次のような役割が期待されます。

    ・産地の特徴を生かした、栽培技術等の普及・指導と生産履歴管理の徹底を図り、産地

    ブランド化を進めること。

    ・地産地消・CSA支援の取り引きにおいては、規格・等級の見直し、梱包資材の簡素

    化、輸送コストの軽減を図り、消費者に新鮮、安全・安心、低価格な農産物を届ける

    こと。

    ・CSA支援の産地コーディネーターとして、普及・啓蒙、斡旋を行うとともに、生産

    者と購入(支援)者とのミスマッチを調整て地域のバランスを確保し、過不足が生じ

    た農産物は、必要に応じ外部JA等と連携して調整を行うこと。

    その他の機能

    ・CSA支援の要請 ・ブランド化の推進

    ・農産物の安定供給と産地情報の発信 ・販売チャネルの開拓

    ・他地域JAとの連携による需給バランスの確保

    JAの役割

    安全・安心農産物の供給新鮮・低価格で提供

    ミスマッチの調整

    イベントの

    企画・実施

    生産者生産者支援・栽培技術等の指導(環境に優しい農業)・流通形態の改善・生産履歴管理指導

    消費者

    近隣市町村

    地産地消(CSA支援)

    J A

    中食・外食

    外部JA等

    産直

    朝市、日曜市等

    直売所

    小売・スーパー等

    学校給食等

    収穫祭等

    地方市場

  • - 18 -

    【 参考2 】 信頼性の維持・確保

    地産地消・CSA支援は、産地と中間利用者、消費者等の直接取り引きにより、相互

    の信頼関係が強化されると考えます。

    それを維持、発展させるためには、①生産プランの励行による高品質農産物の安定供

    給、②生産履歴情報の管理と開示、③都市住民の参加が望める農業イベントの開催等が

    必要です。

    【 自己管理責任と地域連携 】

    ・信頼の確保は、それぞれが管理責任を果たすことであり、個人の不注意等が地域全

    体の評価に結びつくことを十分に理解する必要があります。

    ・生産者は公表する生産プランの内容、プランの実行、安全性の確保に責任を持ち、

    説明責任を果たすことにより、購入(支援)者の理解を得ることが重要です。

    ・また、契約後の途中解約、不注意や不可抗力によるトラブル等に対しても産地とし

    て、ルールを明確化し、被害の事前防止、救済、苦情処理等の対応窓口を設置する

    ことも必要です。

    信頼の維持・確保のために

    コーディネーター

    ・ 品目別栽培基準の統一(品質の標準化)

    ・ 栽培管理記録の徹底と必要な情報の開示を支援

    ・ 栽培面積、生育状況等の発信と需給のマッチング

    ・ 交流イベントの企画・実施

    ・ 苦情処理、相談窓口の開設

    ・ プロジェクト評価

    購入(支援)者

    ・規格外品への理解

    ・農業イベントへの積極的参加

    ・取り引きの経年継続

    ・農作業ボランティアへの登録・参加

    ・意見・要望・応援メッセージの発信

    生産者(自己管理責任)

    ・生産プランの励行(栽培基準の遵守)

    ・必要情報の開示

    ・経営の効率化(安価な農産物生産)

    ・中間利用者、消費者ニーズの反映

    ・交流イベントへの参画

  • - 19 -

    (3)需給バランスの確保

    ・地産地消・CSA支援の定着には、

    ⅰ)生産者にとっては、地元における購入(支援)が安定すること

    ⅱ)中間利用者にとっては、地元からの材料が安定して調達でき、取り扱う製品の需

    要が安定すること

    ⅲ)消費者にとっては、地元商品が優位(新鮮、安全・安心、低価格)であり、かつ、

    安定して供給されること

    が必要不可欠です。

    ・そのたにはめ、生産者、中間利用者、消費者がそれぞれ、地産地消の意義を理解し、

    その優位性を享受できるよう連携して取り組むことにより、参加者の安定確保を図る

    ことが重要です。

    ・また、参加者同士が、情報(栽培、生育、購入予定等)を開示仕合い、早い段階から

    調整を行うことが有効になります。

    3者間の連携

    学校(給食)

    消費者

    生産者

    JA

    地方市場

    中間利用者(流通・小売業者等)

    中食・外食

    地産地消・CSA

    労力軽減受取価格の増大

    輸送コスト軽減原材料調達の安定

    新鮮・安全・安心低価格

  • - 20 -

    【 参考1 】 CSA支援におけるミスマッチの調整

    ・CSA支援においては、需要(支援者ニーズ)と供給(生産プラン)のバランスが一

    致する保証はありません。

    ・そのため、こうしたミスマッチを解消するため、生産者と支援者を仲介するコーディ

    ネーターが重要になり、産地が連携して支援者のニーズに応えることが考えられます。

    ・通常、一つの生産プランに複数の支援者が支援を申し出るようなケースも想定されま

    す。

    【 需要と供給のミスマッチのケース 】

    ⅰ 生産者が提供を予定する数量と支援者が需要したいとする総量の不一致

    ⅱ 特別栽培農産物等の需要ニーズに対する需給の過不足

    ⅲ 個別生産者の生産プランに支援者がいない、また、その逆に支援したくとも適

    当な生産プランが見つからない

    ミスマッチとその解消策

    総量の不足

    品質等の不揃い

    特定の生産者等に集中

    生産者・支援者の不足

    参加者確保のPR等

    栽培基準による標準化

    支援条件の緩和

    コーディネーターによる

    調整機能

    【ミスマッチ】 【 解消策 】

    コーディネーターによる調整

    ・JA、産地が連携し、支援者のニーズに対応する。

    ・CSA参加のためのインセンティブとして地域通貨を活用する。

    ・生産者相互、支援者相互に連携して需要・供給の調整を図る。

    ・将来的には、近隣のCSA間で調整し、需給のバランスを確保する。

    コーディネーター

  • - 21 -

    【 参考2 】 CSA支援と地域通貨の組み合わせ

    CSA支援を別途検討する地域通貨のプロジェクトと組み合わせることで参加者の拡

    大を図ります。

    【 地域通貨導入のイメージ 】

    ⅰ 生産者の公表する生産プランを公表に賛同し、支援者が生産者等に農産物代

    金を前払いした時点で、双方に、前払い金の一定割合(例:50 %)にボーナス点 10 %を加えた地域通貨を発行します。

    ⅱ 収穫時には、支援者は、「引換券」に添え前払い金の一定割合(例:50 %)相当の地域通貨を納め、生産者から収穫した農産物を受け取ります。

    ⅲ 地域通貨の発行は、コミュニティセンターが行い、前払い金の一定割合(例:50%)は生産者に支払わずに保留し、収穫時に農産物を引き渡した時に地域通貨と

    交換します。

    ⅳ 支援者は、公表される生産プランを受け入れるばかりではなく、どのような内

    容の生産プランを支援したいかを意思表示し、それを生産プランに反映させミス

    マッチの調整を図ります。

    地域通貨の組み合わせ

    生産プラン(様式例)

    ・生産者、住所、会員番号

    ・メール・アドレス

    ・生産品目、作付面積、生産方法(肥料、農薬、除草)

    ・収穫時期(旬単位)、収穫予想(最低保証~平均)

    ・提供価格、配送方法(荷姿、送料、負担、支払い方法)

    ・イベント(支援者の参加メニュー)

    支援内容(様式例)

    ・支援者、住所、会員番号・メール・アドレス・希望品目、希望数量(Kg)・選択条件

    (個人、地域、指定なし)・イベント参加の意志・引き取りの方法(宅配、コンビニ、産地で収穫)

    ・その他要望事項等

    生産農家(生産プラン公表)

    支援者(支援相手を選択)

    地域通貨

    地域通貨(手数料)

    [ 契約時 ]

    [ 収穫時 ]

    コミュニティセンター①

    前払い代金

    引換券

    農産物 ⑤

    ③引換券

  • - 22 -

    【 参考3 】 CSA間の連携

    ・CSA支援は、散発的に展開することが予想されます。しかし、その場合、これま

    で触れてきたとおり、支援者との需給バランスが確保できなくなることが懸念されます。

    ・そこで、近隣のCSAのコーディネーターが連携し、ノウハウ・情報を共有するな

    ど、需給のバランスを調整・確保することが重要になってきます。

    ・連携によって、次のような効果が期待できます。

    ⅰ 栽培基準や取り引きルールを統一することにより、どの支援者にも、品質の均

    一な農産物を提供します。

    ⅱ 公開する生産プランの様式や取り引きに掛かる情報システムを一元管理するこ

    とにより、システムの重複を回避し、管理業務を簡素化します。

    ⅲ 品目の異なる農産物を生産しているCSAが連携することによって、他品目の

    農産物が供給できます。

    支援する生産者の選定プロセス

    【 CSA連携に必要な機能 】

    ・コミュニケーションツール(ネットワーク、開示情報項目・様式の統一)の整備

    ・栽培基準の統一(品質の均一化)、取り引きルールの統一

    ・情報検索ツールの整備、情報のカテゴリー分類

    ・相談・苦情処理等窓口の一元化

    コーディネーター連携○○生産者

    ○○支援者

    △△生産者

    △△支援者

    ※※生産者 ※※支援者

    連携による効果

    CSA内需給のミスマッチを調整

    システムの標準化、開発コストの軽減

    豊富な品揃え

    ※※CSAグループ

    ○○CSAグループ [ コミュニケーションツール ] △△CSAグループ

  • - 23 -

    7 プロジェクト推進の環境整備

    (1)生産者による生産プラン等の情報開示

    ・食の安全・安心に対する関心の高まりから、生産農家における栽培管理の記帳、必要

    情報の開示は不可欠となっています。

    ・特に、中間利用者、消費者が生産者の開示する生産プランに対して支援を行うCSA

    プロジェクトでは、そのことが最も基本となります。

    ・そのため、記帳~生産プラン作成~開示を連動させ、容易に実施できることが必要に

    なります。

    ・また、地産地消の接点となる直売所の取り引き等における値札、生産管理情報の開示、

    決済等についても統一したシステム化が必要になります。

    ・コーディネーターを始め、参加生産者が協議し、その具体化を図ります。

    【 参加生産者への協力要請 】

    ・参加者登録

    ・生産プランの作成と開示

    ・支援者(形態別)台帳の作成・管理、生産管理記録の実行

    ・支援者への生育情報、生産管理情報等の発信(生育ステージ、被害発生時、収穫

    時)

    ・支援者等への農業イベントの発信、一般消費者向け産直情報の発信

    記帳システムと連携した開示情報の作成

    支援者への開示方法については、品目ごとに取り引きの形態も含めテンプレートを整備します。

    記帳システム

    2.できごと

    3.計 画

    4.作業記録

    5.帳 票

    1.初期設定

    生産プラン(収穫期別の作付計画)

    圃場・施設名・コード番号・予定面積

    作付1 作付… 作付ii

    品目名 予 定 面 積 … 予定面積圃場・施設名 (a) …… … 圃場・施設名 (a)(コード番号) … (コード番号)

    慣 特 有 慣 特 有行 栽 機 行 栽 機

    だいこん △△-01 △△-ii(αα-01) (αα-ii)

    きゃべつ △△-02(αα-02)

    ……

    年間計画に変更があった場合のみ、予定面積を上書き修正します。

    生産者情報(氏名、メールアドレス等)は初期設定データを複製

    3.計画の内容

    年間計画(圃場別の作付計画)

    生産プラン(品目別の作付計画)

    出 荷(2週間後の日別)

  • - 24 -

    (2)支援者の確保と取引契約

    ・通常、個別の消費者は、一定量の農産物を必要としますが、CSA支援では、豊凶に

    よって受け取る農産物の量は変動します。

    ・また、支援は、ほ場ごと・品目ごとの生産プランに対し行われますが、複数の支援者

    (シエアホルダー)が、そのほ場で収穫された農産物をシェアに応じて分け合うこと

    になります。

    ・生産プランの開示、支援の申請等は、原則、Web上で行いますが、生産者と支援者の

    需給を調整するためのコーディネーター機能が必要と思われます。

    コーディネーターは、消費者、中間利用者に働き掛け、参加を要請し、ほ場(生産

    プラン)の割り当て、需給の調整を図り、生産者、支援者の合意による取引の成立に

    導きます。

    【 参加支援者の確保策 】

    ・CSA支援の優位性をPRします。

    ・中間利用者(ホテル、中食・外食業者、量販店・小売店等)の勧誘に努めます。

    ・参加生産者の拡大等による品目メニューの拡大を図ります。

    ・リピーターに対する優遇措置(地域通貨によるボーナスポイント等)を検討しま

    す。

    ・地域通貨を利用する場合の地域外からの支援者やインターネット利用ができない

    支援者にも対応します。

    参加者が享受するメリット

    ・米農家・畑作(馬鈴薯、雑穀等)・野菜農家

    コーディネーター

    ・中間利用者

    ・一般家庭

    生産者 支援者

    ・生産プランの見直し・産地(生産者)連携

    ・支援数量の見直し・支援する生産プランの変

    ・対象品目の拡大(少量多品目)

    ・参加農家の拡大

    ・域外支援者の確保・産直の導入

    参加の呼び掛け

    需給の調整

    参加者の拡大

  • - 25 -

    (3)推進体制の整備

    ・当プロジェクトは、生産サイドの会員、購入(支援)サイドの会員を構成員として推

    進する考えです。

    ・CSAは地産地消の一形態で、参加者の確保等共通する点も多くありますが、国内に

    も例が少ないことや仕組みが多少複雑になることから、地産地消とは切り離して取り

    組むことにします。

    ・推進体制の機能・役割は、これまでコーディネーターの機能として述べてきたことに

    尽きますが、情報システムの開発、運用なども含まれます。

    ・下表に地産地消、CSA固有の取り組む検討課題を示します。

    【 地産地消の推進に向けて検討する課題 】

    ・規格・等級の改善・見直しと周知

    ・輸送を簡素化するための輸送単位・資材、通いコンテナ

    ・産地と地方市場の連携策

    ・トレーサビリティの推進(栽培基準、生産履歴等の開示)

    ・インショップ、直売所の在り方(冬期間の運用を含む)と情報システム化

    ・地元農産物を使用した農産加工品、外食メニュー等の開発・普及

    ・農業イベントの企画・実施

    【 CSAの推進に向けて検討する固有の課題 】

    ・CSA支援事業の普及・啓蒙、参加者の確保

    ・取り引き規則(参加資格、支援形態、価格設定基準、契約等)の制定

    ・生産プラン、オーダー票等のテンプレート作成

    ・加入者台帳・取り引き台帳の作成、Web 公開システムの整備・中間利用者開拓(コンポストとの組み合わせ)

    ・地域通貨との組み合わせ

    ・事業収支と収支見通し

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    8 プロジェクトの評価

    ・このプロジェクトの目標は、表現を変えると「地域で必要なものはできる限りその地

    域で賄う」こと、つまり、“地給地足”にあります。じ じ

    ・これには、農産物の供給側である生産者と需要側の消費者(中間利用者)双方の理解

    と継続的な参加があって始めて実現できるものです。

    ・達成目標を再掲しますが、これには、関係者がこのプロジェクトに前向きに取り組も

    うとする雰囲気作りが必要となります。

    ・その上で、「推進体制の整備」で記述した検討課題のそれぞれについて、関係者間で

    合意を得ることが必要です。

    ・達成目標を伸び率で表示していますが、当面、生産量(額)の1~2割注程度を地産

    地消・CSA(“地給地足”)に回すことを目標に取り組みます。じ じ

    ・CSA支援は、プロジェクト立ち上げ時は、ルール作りや周知期間として、2年目

    以降(地産地消は初年度から)、目標達成に向け、必要な見直しを図りつつ、推進す

    る考えです。

    注:生産額の割合については、現行実績を見て検討します。

    【 達成目標(再掲) 】

    【地産地消】

    直売所売り上げ:10% UP/1年

    旭川地方市場向け出荷割合:5% UP/1年

    学校、病院等における地元農産物の調達割合:5% UP/1年

    【CSA支援】

    CSA支援件数:10~50件増/1年