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導入事例
e-JALプロジェクトによる業務改革の一環として、Windows 2000 Advanced Server、SQL Server 2000をベースに、SAP R/3、SAP BWなどをビッグバン方式により一挙に導入。
日本航空株式会社は、新しいグループ経営の仕組みを導入し、ITインフ
ラをベースに業務改革を推進するために“e-JALプロジェクト”を展
開。2002年4月、JALグループ27社においてWindows 2000
Advanced Server、SQL Server 2000をプラットフォームとして、
SAP R/3、SAP BW、SAP EBP、mySAP.comWorkplaceが本格
稼働。連結会計をはじめ、調達、人事、路線収支分析などの業務をグルー
プ共通の基盤で効率的に行うことが可能になった。このe-JAL/ERP
は、2003年4月にはJALグループ60数社に拡張される予定だ。
■ソリューション概要
●ユーザー :日本航空株式会社本社所在地 :〒140-8637 品川区東品川2-4 -11 JALビル設立 :1951年8月代表取締役社長 :羽根田勝夫資本金 :1,885億円売上高 :1兆1,695億円(単体:2001年度)
1兆6,087億円(連結:2001年度)JALグループ :連結子会社104社
関連会社 209社従業員数 :16,486名(単体:2002年5月31日現在)
約43,000名(JALグループ総計)事業概要 :定期航空運送事業および不定期航空運送事業、
航空機整備事業ならびにこれに附帯または関連する事業
●システム概要SAP R/3、SAP BW、SAP EBP、mySAP.com WorkplaceによるERPシステムの構築
●使用ソフトウェア・Microsoft Windows 2000 Advanced Server・Microsoft SQL Server 2000・SAP R/3 4.6C・SAP BW 2.1C・SAP EBP 2.0・mySAP.com Workplace 2.11
●システム導入のメリット・SAP R/3を導入したことにより、単体の会計から連結会計へと移行し、調達業務のリードタイムを短縮・効率化することができた。・SAP R/3 HRモジュールの導入により、JALグループの誰でも閲覧可能な社員情報システム(イエローページ)を公開。・SAPBWの導入により、路線別収支の分析を効率的に行うことが可能になった。・Windows、SQL Server、SAP R/3というJALグループ共通のITインフラを構築したことにより、新規のグループ共通のアプリケーションの導入、新たな企業のグループへの統合などにも迅速に対応することが可能。
日本航空株式会社
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日本航空株式会社は、1951年8月に設立。1953年10月日
航法に基づいて新たに日本航空株式会社が設立され、1987年に
完全に民営化された。2002年10月には、日本航空株式会社と
株式会社日本エアシステムが経営統合され、共同持株会社として
株式会社日本航空システムが設立された。
航空業界では、グローバル化による国際競争の激化により、関
連企業を含めたグループ全体の効率化が求められている。株式会
社日本航空システムITシステム統合プロジェクト本部部長浜田達
夫氏は、約4万3千名にものぼるJALグループの追究する新しい
グループ経営について、以下のように述べている。
「単体の企業経営から、新しいグループ経営へと変革を遂げるた
めには、従来の延長線上の伝統的な方法では困難です。常にベス
トプラクティスを実現することが可能な新たなビジネスモデルの
株式会社日本航空システムITシステム統合プロジェクト本部部長(運営統括)浜田達夫氏
構築が必要でした。このために、当社は2000年4月から“e-
JALプロジェクト”をスタートしました」
e-JALプロジェクトは、JALグループ経営のスピードアップと
効率化を実現し、最新のITを活用したベストプラクティス企業に
なることを目標にしている。e-JALプロジェクトでは、ITを基盤
として、以下の3つのレベルから変革を推進している。
・経営レベル:激化する経営環境の変化に、迅速に対応すること
が可能な新たなグループ経営の仕組みを実現。
・業務プロセスレベル:顧客、取引先企業のIT化が進んでいる状
況にあって、JALグループ全体の業務を根底から標準化し、ベ
ストプラクティスに合わせていく。
・社員の仕事環境レベル:ITリテラシーを向上させることにより、
業務のスタートから終了までの質と創造性を高める。
e-JALプロジェクトには、SAP R/3をはじめとするERPシス
テムの導入とBPRの推進、およびグループウェアなどにより業務
の電子化を進める“e-WorkStyle”が含まれている。
●SAP R/3コアデータベースサーバー(No.1/2) ・IBM eserver xSERIES 370(2台)・Pentium III Xeon(900MHz 8way)・メモリ5GB・Windows 2000 Advanced Server・SQL Server 2000 Enterprise Edition・ディスク容量:400GB・MSクラスター構成
●SAP R/3コアアプリケーションサーバー(No.5/6) ・IBM eserver xSERIES 370(2台)・Pentium III Xeon(900MHz 8way)・メモリ5GB・Windows 2000 Advanced Server
●SAP R/3コアアプリケーションサーバー(No.1~4)・IBM eserver xSERIES 360(No.1~4の4台)・Pentium III Xeon MP(1.4GHz 4way)・メモリ4GB・Windows 2000 Advanced Server
●SAP R/3コアアプリケーションサーバー(No.7)・IBM eserver xSERIES 370・Pentium III Xeon(900MHz 8way)・メモリ5GB・Windows 2000 Advanced Server
●SAP R/3コアデータベースサーバー(Log Shipping)・IBM eserver xSERIES 370・Pentium III Xeon(900MHz 8way)・メモリ5GB・Windows 2000 Advanced Server・SQL Server 2000 Enterprise Edition・15~20分間隔のログシッピング
日本航空の田町データセンターには、e-JALプロジェクト関連のサーバー群が、200台以上も設置されている。このうち、e-JAL/ERPのSAP R/3、SAP BW、SAP EBP、mySAP.com Workplaceを搭載したサーバーは、100台以上。ここでは、SAP R/3アプリケーションサーバー、SAP R/3データベースサーバーなどを収容したメインのラックのみを紹介した。
●e-JAL/ERPサーバー群の一部(田町データセンター内)
ベストプラクティスを追求するため、ERPシステム導入によりビジネスモデルを再構築
日本航空株式会社ITセンター 副センター長高橋純一氏
※サーバーのスペックは2001年時点のデータによる。
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e-JALプロジェクトのERPシステム導入については、2000
年4月よりプラットフォーム、アプリケーションの検討が開始さ
れ、同年末にはWindowsプラットフォーム、SQL Server
2000、SAP R/3の導入が決定し、2002年4月にはe-
JAL/ERPが本稼働した。
まず、ERPパッケージソフトウェアの決定に関しては、SAP
R/3がデファクトスタンダードであり、グローバルな規模で使用
することができ、しかも豊富な導入実績のあるERPシステムとい
う点が決め手となった。SAP R/3 4.6Cのモジュールは、購買・
在庫管理(MM)、財務会計(FI)、管理会計(CO)、販売管理(SD)、
人材管理(HR)、サブモジュールのEC-CS(連結会計)を導入。ま
た、SAP BW、SAP EBP(電子調達・管理)、mySAP.com
Workplace(Webインターフェース)も一挙に導入された。
(×9台)
●SAP R/3 APサーバー Windows 2000 Advanced Server
●SAP R/3 DBサーバー Windows 2000 Advanced Server SQL Server 2000 Enterprise Edition MSクラスター構成 (SAP/R3 コア:ディスク容量 400GB) ログシッピング(15~20分間隔)
MSCS
Log shipping
IDCインターネット接続
National Network
International Network
Storage System(Hitachi SANRISE 2800)
Legacy System
●SAP BW APサーバー Windows 2000 Advanced Server
(×3台)
Log shipping
●SAP BW DBサーバー Windows 2000 Advanced Server SQL Server 2000 Enterprise Edition ログシッピング(15~20分間隔)
その他のSAP関連サーバー:100台以上Windows 2000 Advanced ServerSQL Server 2000 Enterprise Edition
SANStorageAreaNetwork
JALインフォテック株式会社エアライン事業本部 システム基盤事業部
e-基盤グループ 課長補佐大島 彰氏
●システム構成図
e-JALプロジェクト全体では、サーバー数が200台以上(こ
のうち半数以上がERP関連)という大規模な導入であったため、
サーバーOS、データベースについて、コスト、信頼性、安定性、
開発体制などを徹底的に調査した。日本航空株式会社ITセンター
副センター長高橋純一氏は、OS、データベースの選択に関して
以下のように語っている。
「まず、ERPパッケージとしてSAP R/3の導入を決定しました。
つぎに、SAP R/3をフルに稼働させることが可能なOSとデー
タベースは何か、という調査を行いました。UNIXとの比較とい
う点では、コスト面では確かにWindowsが優位にありました。
また、OS、データベースについて、個々の機能を比較検討し
たのはもちろんですが、それだけではなく、WindowsとSQL
Serverの組み合わせが、世の中の標準となっていくだろうとい
う、見込み、将来性を選択したといえるでしょう。この組み合わ
せでSAP R/3を導入した大企業の実例も見学させていただき、
さらにこの確信を強めました」
日本航空株式会社ITセンター マネジャー
安達靖人氏
マイクロソフト製品の将来に向けたプラットフォーム戦略を高く評価し、Windows、SQL Server 2000を選択
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●日本航空株式会社 ITセンター〒140-8637 東京都品川区東品川2-4-11TEL.03-5460-3842 FAX.03-5460-5998http://www.jal.co.jp
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日本航空株式会社ITセンターマネジャー安達靖人氏は、e-
JAL/ERPの導入効果に関して、以下のように評価している。
「e-JAL/ERPは、JALグループとして、はじめて統一されたイ
ンフラを利用するという大規模なプロジェクトでした。FI、CO、
EC-CSによる単体会計、連結会計の実現をはじめ、SAP EBPに
よりグループとしての一括調達、直接調達が可能になりました。
HRでは、JALグループの社員の誰でも閲覧することができる“イ
エローページ”(社員情報システム)を公開。また、SAP BWに
より路線収支の分析業務が可能になりました」
JALインフォテック株式会社エアライン事業本部システム基盤
事業部e-基盤グループ課長補佐大島彰氏は、JALグループの一員
としての一体感、社員レベルの改革の効果を指摘している。
「e-JAL/ERP導入以前は、JALグループ内でも各社が別々の
業務システムを使用していましたが、ERPを統一して導入してか
らは、業務効率向上に加え、同一のインターフェースを使用して
業務を行っているJALグループとしての自覚と一体感が生まれま
した」
現在、SAP R/3のnamed userは約3,000、クライアント
PCはグループで4万台以上、ディスク容量はERP関連で当初の
400GBから1.5TB程度まで拡張を予定している。日本航空で
は、グループ共通のインフラとしてe-JAL/ERPを導入したこと
により、JAL/JAS統合のような大きな変革にも、システム面で
フレキシブルに対応することができたと高く評価している。
マイクロソフト株式会社コンサルティング本部 シニアコンサルタント
SAP認定 R/3テクニカルコンサルタント内海敦史氏
株式会社日本航空システムITシステム統合プロジェクト本部部長
浜田達夫氏は、e-JALプロジェクトの目標であるベストプラクティ
スの実現のためには、大きなマインドの変革が必要であると指摘し
ている。「当社は、2003年4月までに、e-JAL/ERPをJALグルー
プ60社以上にまで拡張しようとしています。このような規模の業務
改革は、SAP R/3という共通のアプリケーションをベースに、個々
の企業の業務に細かく合わせるのではなく、トップダウンで行う必
要があります」
また、日本航空株式会社ITセンター副センター長高橋純一氏は
「航空会社の合併・再編、国際会計基準の採用、株主・投資家への適
切な情報提供などのさまざまな変化・要請に応えるには、ひとつひ
とつの業務のニーズに基づくのではなく、先行主導型のマクロのコ
ンセプトが不可欠です。JALグループがマイクロソフトに期待する
のは、e-JALプロジェクト実現のために、常に最新のITを活用した
ベストプラクティスを示してほしいということです」と語っている。
マイクロソフト株式会社コンサルティング本部プリンシパルコン
サルタント小池雅夫氏は、2000年秋からe-JALプロジェクトに加
わっている。「システムのスムーズな導入には、トップダウンである
こと、目標が明確であることという2点の要素が不可欠です。e-JAL
プロジェクトの場合、システム開発に携わるベンダーを集めてe-
JALのコンセプトを徹底させ、現場への権限委譲による責任の所在
の明確化を図りました。マイクロソフトが今後できることは、製品
の個々の機能を示すことではなく、常にソリューション型の提案を
示していくことです」
マイクロソフト株式会社コンサルティング本部シニアコンサルタ
ント内海敦史氏は、2000年末からインフラ(OS、ハードウェア)
チーム、ベイシス(SAP R/3)チームの双方に参加し、e-JAL/ERP
全体をサポートしてきた。「e-JAL/ERPでは、100台以上のサーバー
の導入に加えて、データベースサーバーのMSクラスター構成および
ログシッピングを採用しています。SAP R/3の各モジュール、バッ
チ処理のパフォーマンステストにも多大な時間をかけ、本稼働以降
の深刻なトラブルは発生していません。今後も、JALグループに最
適化したソリューションベースのサポート体制を提案していきたい
と考えています」
マイクロソフト株式会社コンサルティング本部プリンシパルコンサルタント小池雅夫氏
“ベストプラクティスを提案してほしい!”という、JALグループの大きな期待に応えるため、マイクロソフトのコンサルティング体制を強化
JALグループ共通のインフラとしてe-JAL/ERPを使用することにより、グループ経営の効率化と一体感を達成
●JALグループイエローページ