化学蓄熱による熱輸送技術 - 日本能率協会 · アウトライン...
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化学蓄熱による熱輸送技術
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2019.11.22 INCHEM TOKYO 2019
タテホ化学工業株式会社開発本部 研究開発部
大塚 泰弘
アウトライン
1.会社紹介(タテホ化学工業)
2.酸化マグネシウムの製造方法
3.熱輸送技術の開発背景
4.CHARGEMAG®PM-1の特徴紹介
5.CHARGEMAG®開発品の紹介
6.化学蓄熱材における造粒技術
7.まとめ
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会社紹介
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会社概要
タテホ化学工業株式会社●本社・東京営業所(東京都千代田区) ●赤穂工場・赤穂営業所(兵庫県赤穂市加里屋)●有年工場(兵庫県赤穂市有年)●響灘工場(福岡県北九州市)●大阪営業所(大阪府大阪市)
経営方針自然環境と共生し オンリーワン技術で世界をリードする 開発型企業を目指す主な製品酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、電融酸化マグネシウム、単結晶基板、電融酸化カルシウム、セラミックス製品など
電磁鋼板事業 電磁鋼板用酸化マグネシウム電 気
工業用
シーズヒーター
家電製品
ホットプレート
工業用
マグカーボンレンガ
家電製品
アイロン
熱
通信フィルター 半導体パッケージ
電 子単結晶事業 難燃剤事業
変電トランス 柱状変圧器
ヒーター事業 耐火物事業
セラミックス事業
酸化マグネシウムの製造方法
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化学蓄熱材CHARGEMAG®
化学修飾、造粒など
苦汁 生石灰
塩 水酸化マグネシウム
酸化マグネシウム
電融酸化マグネシウム
石灰石海水
焼成
電気溶融
化学反応
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蓄熱技術の比較
出展:2019.2.19 JST千葉大学新技術説明会資料より
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他の蓄熱技術との比較
蓄熱方法 蓄熱材蓄熱操作温度
単位体積当たりの蓄熱密度
潜熱蓄熱
氷 (氷⇔水) 0℃ 0.34 GJ/m3
パラフィンC18~C30 (固体⇔液体) 30~60℃ 0.20 GJ/m3
キシリトール (固体⇔液体) 94℃ 0.39 GJ/m3
エリスリトール (固体⇔液体) 121℃ 0.48 GJ/m3
化学蓄熱MgO + H2O ⇔ Mg(OH)2 350℃
1.0~1.5 GJ/m3
CaO + H2O ⇔ Ca(OH)2 500℃
化学修飾による蓄熱温度低温化技術の実用化
CHARGEMAG® 300℃以下 1.0 GJ/m3
熱輸送技術の開発背景
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未利用排熱
36%
熱利用分
64%熱エネルギー
55%
その他
45%
製造業
44%
業務他部門
18%
家庭部門
15%
運輸部門
23%
部門別最終エネルギー消費量(2014年度)
13,302PJ/年※建設業、鉱業等を除く
製造業におけるエネルギー消費量
5,813PJ/年
熱エネルギーの利用状況
3,200PJ/年
近年、省エネ法の改正により未利用熱活用制度が創設され、余剰排熱・未利用排熱を有効活用していく土壌が醸成しつつあるものの、未利用排熱の有効利用には課題が残される。
現状、製造業で発生する未利用排熱は年間1,138PJ (=日本の最終エネルギー消費の約1割)程度と推測される。(250℃以上の排熱は全体の17%程度≒193PJ)
出所:エネルギー白書2016出所:「工場群の排熱実態調査」省エネルギーセンター 平成12年度より推計
熱輸送事業として狙う市場
大部分は、距離・時間・コスト的な制約があり、有効活用が進んでいない。
=1,138PJ
現状、未利用排熱利用の距離・時間・コスト的な制約を解消できる技術は無く、未利用排熱の有効活用に向けた新たな技術革新が望まれている
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熱輸送技術の事業化モデル
蓄熱体パレット
【化学蓄熱体】
【蓄熱体パレット】
【蓄熱輸送システムイメージ】
ガスタービン発電機
工場(大規模)
蓄熱パレット輸送
蓄熱放熱工場内蒸気需要
蓄熱放熱
工場内蒸気需要
工場(中・小規模)
排熱回収設備/化学蓄熱
蓄
放
蓄熱放熱工場内蒸気需要
排熱蒸気
排熱回収設備
工場内蒸気需要
化学蓄熱
場内・隣接利用
排熱蒸気
化学蓄熱
蓄産廃等焼却施設
放放
工場(中・小規模)工場(中・小規模)
蓄
蓄熱輸送マネジメントシステム
豊田市焼却施設
排熱回収設備/化学蓄熱蓄
工場(中・小規模)コンバインド発電・隣接利用
排熱蒸気
化学蓄熱
蓄発電設備
未利用排熱の時間・距離・コスト的制約を解消し複数企業やホールディングス全体で
省エネを進めることができる技術として期待蓄熱容量:1GJ/パレット
水酸化マグネシウム系化学蓄熱材ペレット
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現在、工場等の未利用排熱に多い、中高温域(200~300℃)での蓄熱・熱回収を可能とし、1パレット当たり1GJの蓄熱・放熱が行え、繰り返し使用可能な高耐久性化学蓄熱体及び蓄熱回収・利用システムを開発中であり、製品化、事業化を目指している。
化学蓄熱材を用いた蓄熱輸送に関する取り組みは、学術論文までの取り組みに止まり事業化された例はない。潜熱蓄熱材による熱輸送事業化例はあるものの、蓄熱材の蓄熱量が少ないことで事業採算性を確保するために補助事業の活用が必須である。
化学蓄熱体の新たな技術の開発と更なる実用化により、潜熱蓄熱材の5~6倍程度の蓄熱量を確保でき、地域における熱共有ための蓄熱輸送システムの継続的・持続的な普及拡大が見込まれる。
化学蓄熱材を用いた熱輸システムの優位性
化学蓄熱材の蓄放熱原理
Mg(OH)2系化学蓄熱材の動作原理と利点
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・350 °C 以下の排熱を利用可能
・高い蓄熱密度 1.4 MJ/kg(1GJ/m3)
・安価&安全
・動作媒体が水蒸気=汎用性が高い
Mg(OH)2の利点
千葉大学 劉准教授との共同開発により塩化リチウム添加による蓄熱温度低温化技術を用いた化学蓄熱材CHARGEMAG®を商品化
排熱温度が低いほど排熱量は多い…
蓄操作(蓄熱側)
81 kJ/mol 脱水反応
Mg(OH)2 → MgO + H2O (g)
放熱操作(熱利用側)Mg(OH)2 ← MgO + H2O (g)
81 kJ/mol 水和反応
熱供給
余剰排熱
CHARGEMAG®PM-1の特徴紹介
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製品の外観:造粒径Φ3mm CHARGEMAG®PM-1の脱水挙動
熱重量測定(TG)による重量変化から反応率を算出測定条件:大気中、昇温速度10 °C min-1
一般的な水酸化マグネシウムより脱水温度を50℃程度低温化することに成功
約300℃で蓄熱操作可能
CHARGEMAG®PM-1の特徴紹介
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PM-1の脱水及び水和反応挙動試験装置熱重量測定装置(水蒸気導入型TG)
試験条件共通:Ar、100mL/min脱水(蓄熱):300℃×30min放熱(水和):110℃、
57.8 kPa(蒸気圧)85℃飽和蒸気相当
30min
80min
水蒸気導入区間
蓄熱材としての動作条件蓄熱:300℃程度の排熱放熱:85℃飽和蒸気
CHARGEMAG®PM-1の特徴紹介
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PM-1の脱水・水和の繰返し反応挙動(16サイクル)試験装置熱重量測定装置(水蒸気導入型TG)
試験条件共通:Ar、100mL/min脱水(蓄熱):300℃×30min放熱(水和):110℃、
57.8 kPa(蒸気圧)85℃飽和蒸気相当
※前スライドの試験を16回繰返し実施
脱水・水和ともに反応率90%程度を維持
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充填層試験機におけるPM-1(ペレット)の繰返し反応性評価結果
CHARGEMAG®PM-1の特徴紹介
充填層型反応試験機
ヒーター
ヒーター
重量測定
水蒸気導入
化学蓄熱体
排気温度測定
ヒーター
ヒーター
重量測定
水蒸気導入
化学蓄熱体
排気温度測定
脱水・水和ともに140回の繰返し反応においてペレット状態で反応率70~80%程度を維持
試験条件脱水:温度350℃×80min、大気雰囲気水和:温度140℃×80min、蒸気ヒーター温度
120℃、 水1.33mL/min※水和・脱水操作終了時点での反応率をプロット
反応器内の蒸気流通性の確保が今後の課題
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CHARGEMAG®PM-1の特徴紹介
繰返し使用しても主成分(Mg(OH)2/MgO)は変質しない
arb
. unit
2θ
繰返し反応試験サンプルのXRD測定結果●:Mg(OH)2
▼:MgO
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●●●
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▼ ▼
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※水和試験後のサンプルを測定
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開発品の脱水反応挙動
開発品A→新たな化学修飾
開発品B→複合金属水酸化物合成
熱重量測定(TG)による重量変化から反応率を算出測定条件:大気中、昇温速度10 °C min-1
脱水温度低温化の技術
蓄熱可能温度を更に低温化することに成功!
千葉大学 劉准教授との共同研究による成果
開発品の性能紹介
本資料をダウンロード頂き、誠にありがとうございます。
開発品に関する詳細については個別にお答えさせて頂きます。
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タテホ化学工業㈱ 開発本部 研究開発部
大塚 泰弘
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