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Ver.0822 1 日本保険薬局協会主要各社の ガバナンス確保、コンプライアンス対応 事例集 ――進化(深化)と好事例横展開のために―― 2018 9 (日本保険薬局協会、日本保険薬局政治連盟) 資料 2

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Page 1: 日本保険薬局協会主要各社の ガバナンス確保、コンプライアンス … · へのヒアリング・チェックと改善指導を実施している。 ・薬局店舗への監査(資金管理、医薬品在庫、法令

Ver.0822

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日本保険薬局協会主要各社の

ガバナンス確保、コンプライアンス対応

事例集

――進化(深化)と好事例横展開のために――

2018年 9月

(日本保険薬局協会、日本保険薬局政治連盟)

資料 2

Page 2: 日本保険薬局協会主要各社の ガバナンス確保、コンプライアンス … · へのヒアリング・チェックと改善指導を実施している。 ・薬局店舗への監査(資金管理、医薬品在庫、法令

2

複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状について A 社の状況

店舗数:約 500 薬局

1. 開設者、中間的総括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。)

① 薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的総括者は薬局事業部長がその任に当

たり、21 名の薬局事業部長が各エリア内の薬局を担当している。

② 薬局事業部長はそれぞれ約 30 店舗の管理者に対する責任を有し、毎月全店舗を訪問する。

午前中は訪問先の薬局で非常勤薬剤師として勤務薬剤師として業務にあたる傍ら店舗業務

のチェックを行っている。なお、事業部長の業務チェックを、同事業部内の課長や統括主任が

代行する場合もある。

③ 業務チェックの内容はルーティンとしてのチェックとともに、月ごとにテーマを設定して行う。そ

こで課題が上がった際には事業部長の上長である薬局事業本部長(2~3事業部長を統括)

への報告を行う。報告を受けた本部長は必要に応じて店舗の再チェックを行っている。

④ 本部長は毎月 1 回薬局事業本部の会議を開催し、業務上の課題や改善点に関する情報共

有や具体的な指示を行うとともに、指示に基づく改善が行われているかを確認している。

課長・統括主任 33名

薬局長管理薬剤師

内部監査室

北海道・東北/関東第一/第二/第三/中部/中四国九州 7エリア

各エリアに2~4事業部

各事業部に1~3名

開設者代表取締役社長

担当役員専務取締役

薬局事業本部長

事業部長

7名

21名

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2. 薬局管理者、中間総括者に対するガバナンス・コンプライアンス教育・研修体制

① 薬局管理者である管理薬剤師は毎年、薬局長研修(社内研修・1 日)に参加することが義務づ

けられており、薬事全般から店舗や人的マネジメントなどについて学習を行っている。これに

加え、期中に薬局管理者に就任した者については、新任管理薬剤師研修(社内研修・半日)に

参加することも義務付けている。

② 薬局長研修には中間的総括者である薬局事業部長及びその上長である薬局事業本部長も

オブザーバーとして参加しており、学習内容の共有を図っている。

③ コンプライアンスの遵守徹底については、コンプライアンス文書を刷新し、年1回全社員に対し

てコンプライアンス研修(社内研修・半日)を実施している。

3. 第三者によるチェック機能

① 薬局開設者である代表取締役社長の直属機関である内部監査室により、少なくとも毎年1回、

全店舗の業務監査、会計監査が行われている。また、必要に応じて複数回実施する。

② 内部監査実施後、当該店舗に対して改善提案書を提示し、概ね1か月以内に改善報告書を

提出させている。また、毎月開催される内部監査報告会で、店舗往査の状況や改善提案書

及び報告書についての説明及び代表取締役社長からの提案指示などが行われている。

③ 薬事以外においても会社法と日本版 SOX 法※(業務の適正確保と財務報告書の信頼性確保)

それぞれに準じた『内部統制』に対応している。

※会社法が定める内部統制は、株主から経営を委ねられた取締役が健全な会社経営のため

に果たすべき善管注意義務・忠実義務がベースとなっており、一方、日本版 SOX 法(金融商

品取引法)が定める内部統制は、証券市場への投資家の信頼確保のために、財務報告の信

頼性を確保することを目的としている。

④ 社外取締役を設置し、業務執行を行う経営陣から独立した客観的な立場で、卓越した知見・

経験をもとに職務が執行されるような体制を構築している。また、社外監査役についても同様

の立場で、財務、ビジネスに関する卓越した知見を発揮させるとともに、業務執行及び体制の

監査を社内監査室と連携して行い、必要に応じて取締役会に報告し、議論している。

⑤ 社員等からの組織的又は個人的な不正行為に関する通報及び相談を適切に処理するため

の内部通報(ホットライン)制度を定め、コンプライアンス相談・通報窓口を設置し、不正行為

等の早期発見と是正を図っている。また、通報者等が通報又は相談したことを理由として、通

報者等の職場環境が悪化することが無いよう、公益通報者保護制度を定めて、通報者の保

護にも留意している。

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4. 患者のための薬局ビジョン実現に向けて

① 薬剤師能力開発のための研修プログラムについて ( )内は 2017 年度認定者数

・各疾患ガイドライン認定制度〔ガイドライン全 23 コース〕 (538 名)

・在宅・介護基礎研修 (413 名)

・セルフ M 基礎研修 (546 名)

・漢方研修 (65 名)

・高度専門知識認定制度

〔がん、精神、高齢者薬物療法、糖尿病、在宅、緩和ターミナルケア 計 6 コース〕 (180 名)

② 各種スキルアップ研修(2017 年度受講者数)

・研修指導者インストラクター研修 (39 名)

・管理薬剤師資質向上研修 (467 名)

・無菌調剤研修 (40 名)

・〔登録販売者〕症状別研修 (331 名)

・コミュニケーション研修 (1,282 名)

・行動変容研修 (401 名)

・〔医療事務〕プレゼンテーション研修 (59 名)

・〔医療事務〕生活習慣病予防研修 (25 名)

・がん基礎研修 (229 名)

・管理業務研修 (3,061 名うち、保険薬局研修受講者数は 2,135 名)

・リスクマネジメント研修 (448 名)

・過誤撲滅研修 (436 名)

・管理職者研修 (129 名)

③ 高度管理機能薬局及び健康サポート薬局関連事業への参画など

・2017 年度 厚生労働省研究事業

『薬剤師が担う医療機関と薬局間の連携手法の検討とアウトカムの評価研究』

・2017 年度 厚生労働行政推進調査事業

『プロトコールに基づく医療機関と薬局間の連携による経口抗がん薬治療管理』

・2018 年度厚生労働行政推進調査事業(予定)

『かかりつけ薬剤師・薬局の多機関・多職種との連携に関する調査研究』 など

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 B 社の状況

店舗数:約 300 薬局

1. 法令遵守意識(コンプライアンス、ガバナンス)に対する定期的な教育訓練の実施

① 薬局開設者及び薬局の業務を行う役員を含む全ての社員 (毎年実施)

研修内容を行動・倫理規範等を中心に充実化を図っている。実施状況について内部監査室の

監査事項として継続的に確認しており、全支店、全店舗単位で実施の有無を確認し、未実施の

場合は改善の指摘している。

・薬事関係法規、コンプライアンス研修

・調剤事故過誤報告研修

・保険薬局業務研修

・不適切な処方せんの取扱い

・平均 3 ヶ月に 1 回、所属部署単位で実施している研修テーマとして以下のようなものがある。

第1回:疑義照会・薬剤服用歴 平成 29 年8月

第2回:薬歴記載とレセプト請求時期 平成 29 年 11 月

第3回:麻薬の取扱いについて 平成 30 年2月

第4回:医薬品の保管、譲渡・授受について 平成 30 年4月

第5回:処方せんの不適切な取扱いについて 平成 30 年 8 月(予定)

…理解度の確認について、毎回、テーマに沿った確認問題を実施後、解答・解説

により理解の確認と知識の定着を図っている。

② 管理職層(マネージャー以上)

管理職層には、関係法令に対する遵法意識を特に高めるため、「保険調剤の理解のために」を

ハンドブック化し、配布・携行することを義務付けている。これにより、調剤の基本についての理

解の深耕と、法令に則した 運営の徹底を図っている。

店舗運営に係る会議体においても、店舗で起きている事象に対応する根拠法令を都度確認

することで理解の深耕を図っている。

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2. 薬局の管理者が薬局開設者に対し必要な意見を述べることができる体制

① 内部監査室

薬局の管理者が、保健衛生上支障を生ずる恐れがないように、その薬局の業務につき必要な

注意等をし、及び薬局開設者に対し必要な意見を述べることができる体制を構築している。具

体的には、薬局開設者(当社の組織体においては代表取締役社長)が直轄する部署である

内部監査室を整備し、その人員を増員し機能強化をしている。

・内部監査室は、毎年に全店舗へ訪問し、店舗にて社内で定める確認項目を管理者

へのヒアリング・チェックと改善指導を実施している。

・薬局店舗への監査(資金管理、医薬品在庫、法令事項、本社指示の遵守などの項目)を行い、

店舗管理者は指摘項目について 2~4 週間以内に改善報告書を内部監査室へ提出する。

・内部監査スタッフが監査を実施する際に、コンプライアンスに関するヒアリングを薬局管理者へ

聴取・確認を実施のほかに、管理者からの意見の吸い上げを実施している。

②内部通報制度

・内部通報制度として社内(内部監査室)と第三者(社外弁護士)による窓口を設置。

通報制度の連絡先が書かれている下記のガードを、社員証と共に常時携帯することを義務

付けし、全社員が法令違反、不正行為について早期に通知する体制を設けている。

3. 自己点検制度

① リスク・コンプライアンス委員会

社員が自らの法令遵守状況を確認できるように、社内にて構築された自己点検の体制として、

・社員毎の人事評価の項目に、コンプライアンスの遵守に関する項目を設定。自己の評価及び

上司との面談を実施することで、点検と意識の醸成を図っている。

・各支店の点検として、管轄エリア内の店舗及び各支店に所属する全社員を対象として、リスク

項目を自己点検する「リスク管理点検表」を用いた点検を実施。コンプライアンス遵守状況の点

検の結果は、全社組織であるリスク・コンプライアンス委員会に報告し対応している。

表面 裏面

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4. 管理者へのマネージメント、スキルアップに関する研修 (階層別管理者研修)

① マネージャーの研修テーマとして

・問題解決プロセス(ワークアウト形式)、フレームワーク・ロジカルシンキング

・店舗オペレーション、情報伝達のスキームに関するディスカッション

・マネージメント研修

・店舗運営に関する管理者研修

・評価者研修(面談ロールプレイング含む)

② 支店長の研修テーマとして(支店長 10 人)

・問題解決プロセス(ワークアウト形式)

・ロジカルシンキング(社外) など

管理組織図

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5. 薬剤師、医療事務職員のスキルアップとして、社内で設けているスキルランクごとに年間研

修スケジュールを組んで下記の項目を実施している(昨年度受講者数)

・ 新入社員研修(87 人)

・ 薬歴基礎研修(89 人)

・ 2 年目メンター研修(103 人)

・ 薬歴応用研修(156 人)

・ 店舗管理基礎研修(170 人)

・ レセプトコンピュター医療保険研修(190 人)

・ 店舗管理応用研修(85 人)

・ ロジカルシンキング研修(15 人)

・ 在宅医療研修(27 人)

・ 認知症サポーター養成講座(338 人)

・ 疾患別研修(93 人)

・ 漢方基礎研修(74 人)

・ 中途入社研修(192 人)

・ プレゼンテーション研修(16 人)

・ 登録販売者受験支援(24 人)

・ マネージャー研修(28 人)

・ 店長研修(53 人)

・ 管理業務研修(本社向け 8 人)

・ 無菌調剤研修(6 人)

・ 管理業務研修(店舗向け 17 人)

・ 高度薬学管理機能(抗がん剤治療)研修(8 人)

・ 健康サポート薬局研修(90 人) ※薬局経験 5 年以上が対象 など

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状について C 社の状況

店舗数:約 1,000 薬局

1. 会社組織図

2. 経営方針に係るガバナンス

(1) 全体方針の決定について

① 薬局業務及び医薬品購入に関するガバナンス

薬局業務における法令順守、安全性担保、医薬品管理等に関する事項を中心にマニュアル化

(以下、薬局業務マニュアル)。さらに、それ以外の事項に関してもガイドラインを策定しています。

薬局業務マニュアルを逸脱しない範囲内、かつ、ガイドラインを参照した上で、各薬局の環境(勤

務薬剤師数、処方箋応需枚数、処方内容など)に合わせて、薬局業務の効率化に努め、薬局業

ホールディングス

他 他

大阪支店

九州支店

運営研修部

安全対策室

お客様相談室

購買部

北海道支店

東北支店

北関東支店

関東支店

調剤D社

(埼玉

調剤E社

(静岡

調剤F社

(四国

関連H社

関連G社

業務サポー

ト本部

調剤A社

調剤B社

(東海

調剤C社

(新潟

株主総会

監査役

代表取締役

運営統括本部

内部監査室

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務マニュアルやガイドラインに記載がない内容に関しては、薬局ごとに調剤内規を作成し補完して

います。

また、医薬品購入においては、ホールディングス業務サポート本部購買部(以下、購買部)が、グ

ループの保険薬局の帳合卸先を一括して、管理し設定しています。薬局管理者が地域の実情等

を踏まえ、自薬局の帳合を変更する場合は、購買部に帳合設定依頼申請を行い、変更希望卸変

更理由を確認し、承認された後、帳合を変更できる仕組みとなっています。

② 意思決定プロセス

ホールディングス運営統括本部(以下、運営統括本部)と、各事業会社および調剤A社の支店(以

下、各拠点)とで、薬局業務に関する検討すべき事項を協議したのち、決定されます。その中でも、

特に重要な事項に関しては、各事業会社の取締役会の決議事項となり、承認されることで決定さ

れ、ホールディングスの取締役会でも報告されます。薬局業務における意思決定のいかなる場合

も、法令順守と安全性担保が優先され、必要に応じて、厚生労働省(医薬・生活衛生局、保険局

等)、地方厚生局および保健所に確認を実施しています。

なお、ホールディングス取締役会(社外取締役を含む)の役割、役員報酬のあり方など、上場企業

が守るべき行動規範を網羅した上場企業の企業統治の指針である「コーポレートガバナンス・コ

ード」を適用した経営を行っています。また、ホールディングスの取締役会は 8 名の社内取締役、4

名の社外取締役、1 名の社内常勤監査役と、2 名の社外監査役で運営しています。

③ 各薬局へのグループ方針の伝達方法

⚫ 毎週月曜日に、各拠点をテレビ会議でつなぎ医薬運営会議を開催。運営統括本部より各拠

点にグループ方針が伝達され、各拠点から管轄薬局に伝達しています。

⚫ 定期開催している後述3.(1)の①管理薬剤師研修、②新任薬局長研修、③全国ブロック長

会議などの場で伝達しています。

⚫ グループ方針は、随時、上記のような会議や研修時に伝達することに加えて、社内イントラを

通じた文書による伝達も行っています。

④ グループ会社に対する監督体制

運営統括本部が、薬局事業に関するグループ全体を監督しています。また、グループ会社の中で

も、調剤 A 社(北海道支店、東北支店、北関東支店、関東支店、大阪支店、九州支店)、調剤 B 社

(東海)、調剤 C 社(新潟)、調剤 D 社(埼玉)、調剤 E 社(静岡)、調剤 F 社(四国)の 11 拠点を中

核拠点と位置付け、上記以外の子会社をそれぞれの拠点の監督責任下に置くことで、グループと

して統制を図っています。

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⑤ 内部監査

ホールディングス内部監査室(以下、内部監査室)による内部監査が、年 1 回実施され、保険薬局

では、現金管理 20 項目(違算、レセプト返戻等)、医薬品管理 9 項目(仕入、期限管理等)、薬局

管理 35 項目(麻薬・向精神薬等管理、処方箋・薬歴等)の監査項目において、監査を受けていま

す。指摘項目数が、4 項目以下の薬局を優良とし、10 項目以上の薬局では、半年以内に再監査

を実施しています。

⑥ 外部監査

監査法人:××××有限責任監査法人

・ 会計監査:年間 24 回程度実施(グループ会社含む)

・ 内部統制監査:年間 11 回程度実施(IT 統制監査含む)

⑦ 新規薬局開設時や他社薬局を買収した際の対応

(ア) 新規薬局開設時

開設地に応じて、前述2.(1).④で記載した 11 拠点のいずれかの監督責任下に置かれ、開局時よ

りグループの薬局業務マニュアルやガイドラインに沿った薬局業務を行っています。また、拠点の

エリア長、ブロック長による定期的(週 1 回)なラウンドや、前述2.(1).⑤で記載した内部監査室

による監査、開局後 1 年前後で地方厚生局及び都道府県によって実施される新規個別指導など

により、法令順守やマニュアルからの逸脱、医薬品管理上の問題などが見られた場合、直ちに改

善策を立案、実施し、是正しています。

(イ) 他社薬局を買収した際

開設地に応じて、前述2.(1).④で記載した 11 拠点のいずれかの監督責任下に置かれます。買収

契約締結前のデューデリジェンスにて薬局業務の法令順守、医薬品管理において問題が見られ

た場合は、契約締結後、直ちに是正しています。その後、経理・人事などの管理業務や、薬局業

務における安全管理等の優先度の高い事項から、それぞれ契約締結後 1 ヵ月、3 ヵ月、6 ヵ月、12

ヵ月を目途に、グループの各種規定や薬局業務マニュアルとガイドラインに合わせていき、前述2.

(1).⑤で記載した内部監査室による監査を実施しています。

(2) 地域ブロック、薬局単位での独自の取組について

① 独自裁量の範囲及び、決定権者

薬局業務マニュアルを逸脱しない範囲内、かつ、ガイドラインを参照した上で、各薬局の環境(勤

務薬剤師数、処方箋応需枚数、処方内容など)に合わせて、薬局業務の効率化に努め、薬局業

務マニュアルに記載がない内容に関しては調剤内規を作成し補完しています。また、独自の取組

みに関しても、ブロック長、エリア長、拠点長および開設者の承認を得た上で実施され、運営統括

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本部へ報告されますが、検討段階から薬局管理者は関与でき、薬局管理者の承認なく決定され

ることはありません。

② 法令確認の有無

取組内容の検討段階から、法令順守を最優先として検討され、必要に応じて厚生労働省(医薬・

生活衛生局、保険局等)、地方厚生局および保健所に確認を実施しています。

③ 薬局の管理者、エリアマネージャー、薬局開設者の関係性

AAA 薬局長、AAB 薬局長、AAC 薬局長、AAD 薬局長・・・

AA ブロック長、AB ブロック長、AC ブロック長、AD ブロック長・・・ 4~8薬局を管轄

A エリア長、B エリア長、C エリア長、D エリア長・・・ 3~5ブロックを管轄

拠点長 50~140 店舗を管轄

開設者

(3) リスクマネージメント体制について

① 調剤過誤や緊急事態発生時の報告体制、対応手順

(ア) 緊急対応カードの配布

万が一の調剤過誤や緊急事態発生時の対応方法を記載したカードを全社員に配布。社員証と合

わせて常に携帯することを義務付け、発生から 1 時間以内に報告・指示が完了する体制を整えて

います。

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(イ) 調剤過誤、ヒヤリ・ハット事例の収集および、配信

薬局にてヒヤリ・ハット事例が発生した際、当該薬局から即時、ホールディングス運営統括本部安

全対策室(以下、安全対策室)に第一報としてその内容と、現在の状況を報告。その後、該当拠

点のエリア長およびブロック長と、当該薬局のスタッフとで、対策を立案し、患者さまへの対応報

告と合わせて、安全対策室に報告されます。安全対策室は各薬局からのヒヤリ・ハット事例を当

社独自のリスク分類(リスクⅢ~0 に分類)別に収集し、毎週月曜日の経営会議にて報告していま

す。また、調剤過誤が発生した際は、前述2.(3).①.(ア)の緊急対応カードに沿って報告、指示が

されるが、それと合わせて、安全対策室より全薬局に情報共有され、注意喚起されます。

② 定期監査の有無

前述2.(1).⑤で記載した通り、内部監査室による年 1 回の内部監査(再監査の場合は年 2 回)を

実施しています。

③ お問い合わせ窓口の設置

ホールディングスお客様相談室(以下、お客様相談室)直通のフリーダイアルの設置や、グループ

ホームページにお問い合わせフォームを開設し、患者さまからのお問い合わせ窓口を設置してい

ます。また、ここで寄せられたご意見や、直接薬局窓口に寄せられた患者さまのご意見と、そのご

意見に対する各拠点、薬局の対応記録をお客様相談室が集計し、毎週月曜日の経営会議にて、

月に 1 回お客様相談室から報告され、全拠点、全薬局に共有しています。

3. 法令順守のための取り組み

(1) コンプライアンス研修について

全ての研修は、ホールディングス運営統括本部運営研修部が主導しており、コンプライアンスに

関する社員への研修は、下記の①管理薬剤師研修、②新任薬局長研修、③全国ブロック長会議

にて主に実施されます。

① 管理薬剤師研修

⚫ 実施状況:前述2.(1).④で記載した 11 拠点にて、毎年1回、集合研修を実施し、管理薬剤師

だけでなく、エリア長、拠点長もオブザーバーとして参加しています。2017 年は 921 人の管理

薬剤師が受講しました。

⚫ 実施内容

・ 関連法規・薬局管理業務 (医薬品管理・薬局管理全般に関するコンプライアンス)

・ 保険薬局および保険薬剤師療養担当規則 (厚生労働省令に関するコンプライアンス

事項)

・ 薬歴管理業務 (薬学管理全般に関する事項)

・ トレーシングレポートの活用について (研修枠として実施)

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② 新任薬局長研修

⚫ 実施状況:年 2~3 回、2 日間1セットの研修日程として東京での集合研修を実施しており、

2017 年は 198 人の新任薬局長が受講しました。

⚫ 実施内容

(1日目)

・ 新・××××宣言/考える薬局 PJ について(60 分) 代表取締役専務より

・ 期待される役割について(30 分) 運営研修部長より

・ 財務諸表(30 分) 運営研修部 課長より

・ 労務管理・ハラスメント(90 分) 運営研修部長より

・ 薬局管理(100 分) 運営研修部 次長より

・ 薬歴管理(65 分) 運営研修部 次長より

(2 日目)

・ 薬局長に期待すること(45 分) 運営統括本部長より

・ 部下指導(330 分休憩 45 分含) 外部講師より

・ まとめ(15 分) 運営研修部長より

③ 全国ブロック長会議

⚫ 実施状況:全国のブロック、エリア長、拠点長、開設者およびその他本部職員を集め、年 4

回実施しています。 (1 回 400 名規模) 2017 年度は 2017 年 6 月 10 日(土)、2017 年 9 月

2 日(土)、2017 年 12 月 9 日(土)、2018 年 3 月 3 日(土)の 4 回開催しました。

⚫ 実施内容

・ グループ業績および方針 代表取締役社長より

・ 仕事に対する姿勢、考え方 代表取締役専務より

・ コンプライアンスに係る事項の伝達 運営統括本部長より

・ 店舗運営施策と目標 運営研修部長より

・ ブロック長による自ブロックでの取り組みと、その成果に関する発表

・ 社会保障財政、業界環境の動向について 代表取締役専務

(2) 職員、薬局管理者から開設者への意見具申方法

① グループコンプライアンスホットライン(外部相談窓口)を設置

内部通報制度として、社員が法令に違反する行為、社内規定に違反する行為、企業倫理に違反

する行為等の「不正行為」を発見した際に、通報できる通報窓口を設置しています。また、通報者

のプライバシーの保護、通報のしやすさ、グループ全体のコンプライアンスの向上の観点より、通

報窓口は外部組織に委託しています。

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② 管薬ほっとラインの開設

2017 年 11 月 8 日に厚生労働省課長通知「薬局における適正な業務の確保等について」が発信

されました。

薬生総発 1108 第 07 号 薬生監麻発 1108 第 06 号 平成 29 年 11 月 8 日

薬局における適正な業務の確保等について

(中略)

1.薬局開設者は、薬局における調剤及び調剤された薬剤の販売又は授与の業務若しくは医

薬品の販売又は授与の業務について、医薬品医療機器等法及び薬剤師法等の関係法令の規

定を改めて確認し、遵守すること。特に、医薬品医療機器等法第9条第2項に定めるとおり、同

法第8条第2項の規定による薬局の管理者の意見を尊重すること。そのために、薬局開設者が

薬局の管理者の意見を聞き、適切な対応を取ることができるようにするための社内体制を整備

すること。

2.薬局の管理者は、当該薬局を実地に管理し、医薬品医療機器等法第8条に基づき、保健衛

生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務につき必要な注意等をし、また、薬局

開設者に対し必要な意見を述べなければならないこと。

3.薬局開設者は、薬局において、医薬品医療機器等法の規定に違反する又はそのおそれの

ある行為を認識した際には速やかに都道府県知事等へ報告すること。

本通知を踏まえて、薬局管理者から薬局業務における意見や改善すべき事項など、薬局開設者

に対し必要な意見を伝えるためのワークフロー「管薬ほっとライン」を開設し、意見を聴取する体

制を整えています。

③ レポート提出による意見具申

前述の3.(1)であげた各種研修時のレポートにて、開設者および本部に対する意見を聴取してい

ます。

(3) 開設者及びエリア長等の上長が、薬局管理者の意見具申を尊重するための工夫・取組

⚫ 前述3.(2)で記載した①グループコンプライアンスホットラインや、②管薬ほっとラインを社

内イントラに設置し、かつ定期発刊の社内報においても周知を行っている。

⚫ 薬局管理者から意見具申があった際は、すべて開設者および本部が確認し、必ず会社とし

ての見解を示すことを徹底しています。

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4. 薬局管理者の要件

(1)実務経験

例外として、その他前職での経験の内容や年齢・スキル等により前後はあるが、概ね 5 年以上の

実務経験を基準としています。

(2) 研修受講

① ベーシック研修

入社 1 年目~5 年目までの薬剤師の集合研修受講は必須としており、4 年目薬剤師の研修にて、

管理者としての資質を醸成する研修を実施しています。

⚫ 1 年目:服薬指導、最終鑑査導入研修、調剤報酬算定、関連法規等の理解

⚫ 2 年目:妊婦、小児、高齢者への服薬指導、薬物動態、検査値の理解

⚫ 3 年目:がん化学療法、緩和医療、在宅医療、研究プロトコル+学会発表

⚫ 4 年目:薬担規則、財務諸表の理解、ネクストリーダー研修

⚫ 5 年目:役員による経営・運営方針について

⚫ 10 年研修:ホールディングス代表取締役社長による社史、経営・運営方針について

※10 年研修は勤続 10 年を経過した社員を対象としています。

② 新任薬局長研修、管理薬剤師研修

薬局管理者となったタイミングで、前述3.(1).②の新任薬局長研修に参加し、その後は毎年継続

して①の管理薬剤師研修に参加します。

③ その他の要件

経験年数で必ずしも管理者になれるわけではなく、半年に一度実施している人事考課による個人

の資質・能力等の評価および、各拠点長からの推薦により検討され、任命される流れとなります。

5. その他

(1)今後の投資に関する方針

「患者のための薬局ビジョン」の実現に向けた人材育成や、患者さまがより快適に過ごせる、かつ、

薬局スタッフが働きやすく、薬剤師としての本来業務により集中できる環境づくりに投資していきま

す。また、離島・過疎地等において医薬品等を安全かつ確実に提供すること、患者視点での医療

や薬局サービスの質向上、効率向上を実現すべく、遠隔服薬指導をはじめとした ICT 技術の活用

にも力を入れていきます。

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ペー

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(2)チェーン薬局の強み

全国に幅広く薬局を展開していることで、多くの共同指導、個別指導など行政指導を受ける機会

があり、そのご指摘と改善や、各薬局の良い取組み事例等を蓄積し、全薬局と共有することで、

法令順守、安全性、医薬品管理、薬局機能などあらゆる面で、質の高い薬局を展開できていると

考えています。

(3)患者のための薬局ビジョン実現に向けた取り組み事例

① かかりつけ薬剤師の推進

⚫ 研修認定薬剤師の取得や、地域活動への積極的な参加をサポートしています。

⚫ 各薬剤師の年次や環境に合わせた 27 種類の社内集合研修を実施しています。

⚫ 薬局業務、関連法規、薬物治療、疾患知識などに関する自己学習のためのサポートツール

を作成、配信し、日々の自己研鑽をサポートしています。

⚫ 年 2 回の定期試験を実施し、知識習得の確認をしています。

② 健康サポート薬局事業の推進

健康サポート薬局の根幹となる健康サポート機能を果たせる薬剤師の育成に力を入れています。

薬局勤務歴 4 年以上の薬剤師から優先的に、健康サポート薬局研修を受講するよう会社を上げ

てサポートしており、すでに約 800 名が研修を受講しています。

③ 高度薬学管理に関する研修

・ 高度医療シミュレーション研修(北海道大学×カレスサッポログループ)

高度薬学管理、多職種連携等、薬局薬剤師への期待に応えるために病院薬剤師と薬局薬剤師

による高度医療シミュレーション研修を実施しています。年間約 100 名が受講し、緩和ケア、無菌

調剤技術、入院・退院時多職種連携カリキュラム、フィジカルアセスメント等のノウハウを習得して

います。

・ がん専門薬剤師の育成

藤田保健衛生大学病院と連携し、日本医療薬学会認定のがん専門薬剤師育成に取り組んでおり、

大学病院にて勤務し、資格取得に必要な、がん患者さまへの薬学的介入実績を積んでいます。

・ 大学病院での研修

大学病院で勤務し、高カロリー輸液、抗がん剤の混注技術の習得、がん化学療法のレジメン知識

の習得、病棟での服薬指導の習得等、病院薬剤師のノウハウを学んでいます。

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状について D 社の状況

店舗数:450薬局

1. 開設者 中間的総括者 薬局管理者の役割と関係

(開設者は以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。】

① 薬局事業を担当する役員は、薬局開設者である代表取締役と専務取締役である。

② 450薬局を薬局事業本部長と2人の薬局事業本部副本部長が総括し、薬局事業本部は

3つの地区薬局統括部に分割している。

③ 3つの地区薬局統括部は、それぞれ17 ブロック、13 ブロック、17ブロック合計47 ブロッ

クに分割され、ブロック長がおおむね10薬局程度を管理している。

④ ブロック長は、定期的に店舗を訪問し各薬局が、業務手順書に基づいた適正な業務遂

行状況について確認、指導を行っている。ブロック長は毎月薬局長を集めブロック会議を開

催し、各薬局の課題および改善点等について協議している。

⑤ 地区統括部長、副統括部長は、毎月ブロック長を対象とした地区統括会議を開催し、各

ブロックの課題および改善点等について協議している。

⑥ 薬局事業本部長は、1~2ヶ月毎に、地区統括部長、副統括部長を対象とした薬局事業

本部会議を開催し、各地区統括部の課題および改善点等について協議している。

⑦ 各薬局の課題および改善点は、ブロック長、地区統括部長を通じて薬局事業本部長、担

当役員、開設者へ共有される。

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2. 薬局管理者、中間統括者に対する教育、研修体制

① 薬局長に昇格するためには、マネジメント研修ファーストコースで、所定の e ラーニング

15 時間、集合研修 6 日間を受講し、筆記と面接試験に合格する必要がある。研修内容は、

コンプライアンス、医薬品管理、保険薬局保険薬剤師療養担当規則、リーダーシップ、マネジ

メント、労務管理、調剤過誤対策等である。

② 薬局長就任後は、定期的に薬局長研修を実施している。

③ ブロック長に昇格するためには、アセスメント研修に合格する必要がある。

④ ブロック長就任後は、定期的にブロック長研修を実施している。

⑤ 統括部長、副統括部長に昇格するためには、マネジメント研修エキスパートコースに合

格する必要がある。

⑥ コンプライアンス研修

年 4 回全社員・派遣社員を対象に、コンプライアンス研修を実施している。研修テーマは、職

場環境改善(サービス残業とハラスメントについて)、情報セキュリティと個人情報保護、各所

属部署(門)のBCP(事業継続計画)、リスクマネジメントのPDCAなど。各部門の上長が研

修実施担当者となってコンプライアンス研修を実施後、実施状況報告を行う。

3. 薬剤師の教育体系

新入社員研修、薬局長へ昇格するためのマネジメント研修ファースト、薬局長研修、ブロック

長へ昇格するためのアセスメント研修、統括部長、副統括部長へ昇格するためのマネジメン

ト研修エキスパート、専門薬剤師のための専門薬剤師養成研修、専門薬剤師アセスメント研

修、かかりつけ薬剤師育成のためのコミュニケーション研修、在宅医療研修などを実施して

いる。薬剤師個人のキャリアアップのために、階層別 OJT 教育システムを開発し、薬局の法

規、制度、薬局実務、リスク管理、薬物治療評価、医療知識、情報、コミュニケーション分野

において、階層レベル毎の e ラーニング、筆記試験、面接試験を行い、試験結果により、薬

剤師職能の評価を行っている。

※2017 年度研修実績

新入社員研修 193 人

マネジメント研修ファースト 108 人

ブロック長研修 45人

統括部長、副統括部長へ昇格するためのマネジメント研修エキスパート 15人

専門薬剤師のための専門薬剤師養成研修 42人

専門薬剤師アセスメント研修 32人

かかりつけ薬剤師育成のためのコミュニケーション研修 54 人

在宅医療研修 11 人

健康サポート機能向上研修 24 名

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健康サポート薬局研修 681 人(2018 年 8 月現在)

認知症サポーター養成研修 薬局事業社員 2,704 人中 2,,019 人受講済み 受講率 82.1%

(2018 年 7 月現在)

4. J-SOX(内部統制報告制度)への対応

連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価

を行っている。次に、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセス統制の評価対象

に薬局事業を選定している。業務プロセスの評価においては、実際の業務を分析した上で、

財務報告の信頼性に影響を及ぼす勘定科目として「売上高」「売掛金」「仕入高」「買掛金」

「棚卸資産」に係る業務プロセスを評価の対象とし、当該業務プロセスの統制上の要点につ

いて整備及び運用状況を評価することにより、内部統制の有効性を評価している。

5. 監査部による薬局事業監査

代表取締役の直轄部門である監査部が、薬局事業の適正な運営遂行のため、法令順守、

業務の正確性、リスクマネジメントの観点から薬局の評価を行っている。薬局業務の正確性

に関しては、医療安全、医薬品の安全使用、麻薬管理、向精神薬管理、覚醒剤原料管理、

高度医療管理機器、要指導医薬品、第一類医薬品管理、分割販売管理他50項目以上の点

検項目の確認および改善が必要な項目の指摘と改善報告書による改善確認を行っている。

6. 内部通報制度(コンプライアンスホットライン)

社員が気軽に相談、通報できる体制とするため、通報窓口は社内担当者と、社外の弁護士

に委託している。社内担当者、社外担当弁護士とも、男性、女性の両性としている。相談、通

報の種類は企業理念、行動規準に関して判断に迷った時、法令違反、企業理念、行動規準

違反、社内規程違反、不正・不祥事件、ハラスメント等である。

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状について E 社の状況

店舗数:10 薬局

1. 開設者、中間総括者、中間管理者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。)

① 薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者(管理薬剤師)の中間総括者は薬局事業部長

(取締役・薬剤師)がその任に当たっている。さらに薬局事業部長の元に2名のエリアマネジャ

ーを配置し各5店舗の管理責任を有する中間管理者とする。

② 薬局事業部長は全店舗、各エリアマネジャーは各担当店舗を毎週1回訪問する。

③ 各エリアマネジャーは、月1回確認票を元に店舗業務の確認を行っている。また店舗訪問終

了後に確認票および総評を薬局事業部長に報告する。

④ 薬局事業部長は、エリアマネジャーからの報告を基に店舗に各エリアマネジャーと同行して改

善が必要であれば具体的な指導を行う。

2. 中間総括者、中間管理者、薬局管理者に対するガバナンス教育、研修体制

① 中間総括者、中間管理者、薬局管理者は、年1回保険薬局事業におけるコンプライアンス研

修およびマネジメント研修を受講する。講師は顧問弁護士、外部有識者が行う。

② 開設者、中間総括者、中間管理者、薬局管理者が一同し2カ月に1回、管理者会議を開催す

る。そこで業務上の改善点、問題点、今後の課題、昨今の他社の状況等を情報共有する。

③ 現在社内インフラの構築を計画しており、年1回全社員にコンプライアンス研修を実施する予

定である。

④ ヒヤリハット事例など緊急を要するものはメールにて各店舗、中間管理者に配信する

3. 第3者による確認機能

① 薬局開設者の直属機関である内部統制室を設置している。ここにより全薬局の業務監査、

会計監査を年1回実施している。

② 内部監査実施後に薬局開設者に実施内容を報告する。問題がある店舗には、中間総括者

および外部の有識者と共に指導を行うことがある。

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3. 患者のための薬局ビジョンに向けて

① 高度機能薬局として、無菌調剤室および検体測定室の開設を行っている

② 日本薬剤師研修センター認定薬剤師資格取得および健康サポート薬局研修の受講を推進し

た結果、専従、非専従を問わず所属する薬剤師が各々の資格を有する。

③ 地域住民のために健康サポート薬局事業を推進し2店舗新規申請を実施する予定である。

④ 地域住民のために他職種連携、地域ケア会議に参加し在宅医療を多数実施している。

4. 研修制度

新人薬剤師研修 2 名

2 年目・3 年目薬剤師研修 各8名

管理薬剤師研修 10 名

キ-人財研修(マネージメント研修)45 名

薬歴記載研修 40 名

保険調剤・医療保険研修 40 名

次世代薬剤師養成研修 10 名

アロマ研修 35 名

新人管理栄養士研修(平成 30 年より)5 名程度を想定

2・3 年目管理栄養士研修(平成 30 年度) 5 名程度を想定

店長研修 10 名

マネジャー研修 2 名

コンプライアンス研修 15 名

他職種連携研修 20 名

健康サポート薬局研修 取得者 53 名

認知症セミナー開催 社内全員

5. その他

大阪薬科大学特別講師 3 名

薬学部社会人大学院進学者 1 名(平成 31年度より2名追加)

登録販売者 取得者 3 名

スポーツファーマシスト 2名、禁煙支援薬剤師 1名、日本糖尿病療養指導士 2名

日本保険薬局協会 認知症認定薬剤師 取得者1名

ケアマネジャー資格所持薬剤師 4名

認定実務実習指導薬剤師資格 4名

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状について F 社の状況

店舗数:250薬局

1. 組織体制

① 当社グループは親会社(ホールディングス)傘下に調剤薬局を運営する子会社(以下事業会

社と記す)を入れ、管理をしている。

② 事業会社は 10 社あり、本社及び店舗は地域別に所在する。1 社あたり数店舗~80 店舗の

経営となっており、それぞれが法人開設者(代表取締役が責任者)となっている。地域区分は

おおよそ地方厚生局管轄ごとにまとまっており、同一都道府県内においては事業会社が混在

せず開設者 1 社となっている。

2. 開設者、統括責任者、薬局管理者の役割と関係

① 各事業会社においては、開設者(代表取締役)の下に薬局統括責任者(1 名~数名)を置き、

代表取締役と一体となって店舗を指揮する。さらに店舗数 10 を超える多店舗展開の場合は、

開設者(代表取締役)と店舗の間には各エリアにエリア統括者(1 エリア5~6店舗)を設置し、

店舗状況の把握及び指導をきめ細やかに実施する。

親会社

薬局統括部

事業会社代表取締役(開設者)

薬局統括責任者(1~数名)

エリア統括者5~6店舗を管轄

エリア統括者5~6店舗を管轄

エリア統括者5~6店舗を管轄

店長(管理薬剤師)

店長(管理薬剤師)

店長(管理薬剤師)

事業会社代表取締役(開設者)

事業会社代表取締役(開設者)

一体となって管理

店舗数 10 を超えない場合はエリア統括者を置かず、

代表取締役及び薬局統括責任者が

直接店長(管理薬剤師)を管理

F-1

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② エリア統括者は月に数回全店舗を巡回し、管理薬剤師へのヒアリングと店舗立ち入りにより

状況を把握、必要な指導及び、開設者への具申の有無を確認する。業務日誌は必ず確認し、

確認印を押すことで店舗巡回した証としている。

③ エリア統括者は店舗巡回の他に月 1 回の店長会議を開催し、業務上の課題や改善点を把

握、指導する。

④ 開設者(代表取締役)及び薬局統括責任者は月 1 回程度エリア統括者を招集し、会議または

WEB会議システムを用いて店舗の課題や改善点を把握し、必要な指示・指導を行う。会議

の内容はエリア統括者から店長(管理薬剤師)へ店長会議、メール配信、電話、巡回時等に

フィードバックされる。

⑤ 緊急性が高い事項については、定例会議や巡回を待たずに店長(管理薬剤師)⇔エリア

統括者⇔開設者(代表取締役+薬局統括責任者)で情報共有できるように原則電話で連絡

する取り決め。

3. コンプライアンス、ガバナンスに関する研修・教育

① コンプライアンスの遵守徹底については、薬事関係法規に関するコンプライアンス教育用電

子ツールを年 1 回更新発行し、親会社・事業会社の本部社員を含む全社員(薬剤師・登録販

売者・無資格者にかかわらず)へ電子配信し、各自でツールを使って研修することを義務づけ

ている。 研修を実施した証として、ツール付属のテストを実施、合格ラインをクリアできた時

のみ発行できる研修修了書を各自で印刷の上押印し、親会社へ提出する。コンプライアンス

教育用電子ツールの実施は 3 年目を迎え、研修修了書の提出率は100%である。

・平成 30 年度受講予定者:約 1,200 名

② 店長(管理薬剤師)に対しては年 1 回の集合研修を実施、受講率はほぼ100%である。万が

一受講できなかった場合には、研修を収録したDVDを配布し、視聴させることでフォローでき

る。 この研修には事業会社の開設者(代表取締役)・薬局統括責任者・エリア統括者もオブ

ザーバーとして出席し、研修内容を共有している。

・平成 30 年度受講予定者:約 260 名

③ キャリアが浅い新卒 3 年目までの勤務薬剤師については、1 年目は入社時(およそ 2 週間の

研修)及びフォローアップ(およそ 6 ヵ月後、9 ヵ月後の 2 回、それぞれ 1 日の研修)の最低年

3 回、2 年目・3 年目は最低年 1 回(それぞれ 1 日の研修)の集合研修を実施し、コンプライア

ンスを含む薬局業務について教育する。

・平成 29 年度実績:1 年目 90 名、2 年目 60 名、3 年目 30 名(新卒入社人数により変動する)

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4. グループ内チェック機能】

① 親会社に「薬局統括部」を設置し、事業会社の開設者以下の薬事関係法規をはじめ、コンプ

ライアンス遵守を目的とした業務指導を行っている。薬局統括部は薬局業務を熟知した薬剤

師を 中心とした 10~20 名程度の部署である。

② 薬局統括部の指導対象者は事業会社の開設者(代表取締役)・薬局統括責任者・エリア統括

者・店長(管理薬剤師)・薬局従業員のすべて(登録販売者・医療事務等)であり、基本的には

開設者(代表取締役)へ指導を行うが、必要に応じて下部組織への直接指導も行う。

③ 親会社の代表取締役直下に「内部監査室」を設置し、事業会社及び店舗の薬事関係法規を

含む内部統制の有効性をチェックしている。全店舗年間 1 回必ず店舗立ち入り監査を実施。

改善事項がある場合には、親会社の代表取締役及び薬局統括部、事業会社の開設者(代表

取締役)・薬局統括責任者へ報告する。

④ 親会社の薬局統括部及び内部監査室の役割分担は、薬局統括部=指導、内部監査室=牽

制(チェック)であり、内部監査室の監査結果を受けて薬局統括部が事業会社及び店舗へ指

導する。

5. 第三者によるチェック機能

① 上場企業であること自体、様々なことを市場に開示する義務があり、常に市場からのチェック

を受けている状態である。不正が発覚する事態となれば、市場からの信用を失い、会社として

の 運営が不能となる可能性もある。そのことを考えれば、上場していること自体がコンプライ

アンス遵守、適正なガバナンス、透明性のある経営であることの根拠となる。

② 親会社には社外取締役及び社外監査役が設置され、グループとしての運営状況は常に

チェックされている。

③ 監査法人(公認会計士等)と契約し、外部から会計関係・コンプライアンス遵守・適正な会社

運営がなされているかを常にチェックされている。店舗へも棚卸のタイミング(年 2 回、無作為

抽出で年間 10~20 店舗程度)立ち入り監査が実施され、会計関係はもちろんのこと、薬事関

係法規、薬担規則あるいは調剤報酬関係まで調査され、適正に運営されていることを確認さ

れる。

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6. 内部通報制度

① グループで内部通報制度を設け、社外に「コンプライアンス窓口」を設置。「コンプライアンス

窓口」は弁護士事務所に委託。通報は社員であれば誰でもできる。全社員に「コンプライアン

ス 窓口」へいつでも連絡できるように、連絡先を常に社内ウェブ上に掲示し、年に数回通達

によって社員へ周知している。不正・違法・反倫理的行為の通報をいち早く受け、迅速な調

査・実態把握を行い、これらの事実が確認された場合には、直ちに修正を図る強固な体制を

構築している。

4. その他の研修・教育実施状況

・ 入社 1~2 年目の勤務薬剤師については、薬学的知識を補完するための通信教育(年 6 回

程度)を実施している。(テキスト配布、自己点検テスト実施平成 30 年度受講予定者:約 90

名)

・ この他、外部講師による薬事関係法規、薬局業務関係やキャリアアップに関する研修も実施。

事業会社のエリア統括者、店長(管理薬剤師)、勤務薬剤師とそれぞれの層に合わせた内容

で 開催している。

・ 登録販売者においても、外部研修への受講(必須)、グループ事業会社であるドラッグストア

運営会社から講師を招いた集合研修、ドラッグストアでの実地研修、エリア単位等の小グル

ープにおける勉強会等を実施し、専門知識・スキルを向上させる教育を行っている。

・ 社内学術大会(2 年に 1 度開催、対象:全社員) 平成 30 年 10 月 21 日 1,000 名参加予

・ 健康サポート薬局研修(NPhA、薬剤師会) 平成 30 年 7 月末現在 研修終了278名

・ エリア統括者及び次期候補者に対する中間管理職スキルアップ研修(WEB 講習4回+1 日

集合研修 3 回) 平成 30 年 8 月~平成 30 年 2 月 受講者 40 名

・ 第 11 回日本薬局学会学術総会(平成 29 年大宮) 口頭発表4演題、ポスター発表3演題

・ 社内認定薬剤師制度 本年度より稼働 糖尿病・骨粗鬆症等の生活習慣に関わる疾患に

ついて、専門知識(運動療法・食事療法を含める)の認定試験に合格した者を認定薬剤師と

する。認定薬剤師は健康の保持・増進について継続的に支援する活動を行う。

初年度目標は 100 名以上の認定

※グループでの健康サポート薬局は 13 都道府県で23店舗(平成 30 年 8 月 1 日時点)

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 G 社の状況

店舗数:約60薬局

1. 会社概要

① 基本情報(2018年3月末現在)

・店舗数:62店舗、従業員数:490名、グループとして関連企業5社

② 経営理念

『人と人とのつながりを通じ、暮らしのゆたかさを願い、ニーズに添った価値を創造します』

③ クレド

全ての行動はお客様のためにあります。

1、 私たちは、相手の立場に立って心に笑顔を持って行動します。

2、 私たちは、常に先を読み、妥協せず、課題解決に向けて行動します。

3、 私たちは、プロとしての自覚を持ち、一歩先の成長に向けて行動します。

2. 開設者、中間的総括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。)

① 薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的総括者は、店舗運営部長2名とエリア

マネージャー8名がその任に当たっている。

② 全店舗を2ブロックに分割し、店舗運営部長は 4 名のエリアマネージャーを管理し、エリアマネ

ージャーは約 8 店舗の管理責任を有し、定期的に各担当店舗を訪問しながら、管理薬剤師と

は別の目線で店舗業務のチェックを行っている。

③ 業務チェックの内容はルーティンとしてのチェックし、そこで課題が上がった際にはエリアマネ

ージャーから店舗運営部長へ上げ、店舗運営部長は上長である薬局事業本部長への報告を

行う。また、報告を受けた部長・本部長は必要に応じて店舗の再チェックを行っている。

④ 本部長は毎週薬局事業本部会議を開催し、また各部長は毎月 1 回薬局事業本部のマネージ

ャー会議を開催し、業務上の課題や改善点に関する情報共有や具体的な指示を行うとともに、

指示に基づく改善が行われているか確認している。

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3. 薬局管理者、中間総括者に対するコンプライアンス、ガバナンス教育・研修体制

① 薬局管理者である管理薬剤師は薬局長研修(社内研修)に参加することが義務づけられてお

り、薬事全般から店舗や人的マネージメントなどについて学習を行っている。また、期中に薬

局管理者に就任した者については、新任管理薬剤師研修(社内研修)に参加することも義務付

けている。

② 薬局長研修の実施内容として、法令遵守の観点から、薬事関連法規や医薬品管理、厚生局

からの指導内容を、少なくとも年1回は実施している。

③ 薬局長研修には中間的総括者であるエリアマネージャー・店舗運営部長及びその上長である

薬局事業本部長もオブザーバーとして参加しており、学習内容の共有を図っている。

4. 社内点検制度

① 法令遵守のため少なくとも毎年1回は全ての薬局店舗の業務、会計、接遇などの内部監査を

行っている。また、必要に応じて複数回実施することがある。

② 内部監査実施後には当該店舗に対して、薬局事業本部より点検結果を通知し、改善の指示

を行う。

5. 法令遵守のための取り組み等

① 薬局業務に関するガバナンスとして、薬局業務における法令遵守、業務手順、安全性管理等

に関する事項を全社統一の『薬局業務マニュアル』として作成している。各薬局の状況に合わ

せて店舗内規を運用する場合には、薬局事業本部での承認体制を取っている。

② リスクマネージメント体制については、調剤過誤(渡し間違い)発覚後の対応、報告について

整備している。

報告については、発覚当日中にインシデント第一報を報告し、3日以内に今後の対策を含め

たインシデントレポートを提出する体制を取っている。

また、毎月全店舗の集計を行い、各店舗に集計分析結果を配信し、全店舗に情報共有し注

意喚起、指導を行っている。

③ 職員、薬局管理者から開設者への意見具申方法として、毎月議題として各店舗より薬局業務

における意見や改善すべき事項を聴取する体制を整備している。また聴取された意見は全社

にわかるよう通知している。

G-2

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6. マネージメント・スキルアップに関する研修

① 階層別管理者研修

マネージメント研修として、問題解決プロセス・フレームワーク・ロジカルシンキングなどを毎

月1回実施

② 一般薬剤師、医療事務職員のスキルアップ研修

・新入社員研修(33名)

・全体会議研修(約500名)

・薬剤師カンファレンス研修(200名)

・エリア会議での法令関連研修(60名)

・保険調剤基礎研修(33名)

・薬学的管理指導業務(10名)

・薬局管理研修(10名)

・情報セキュリティー研修(全店舗)

・イニシャルトレーニング:経営理念、クレド説明(毎月5~10名実施)

7. 患者のための薬局ビジョン実現に向けた取り組み

① かかりつけ薬剤師推進のため、研修認定薬剤師取得の e-ラーニングや各団体主催の研修

等への参加をサポート、また健康フェアなど地域活動を実施。

② 健康サポート薬局は平成 30 年 7 月末現在 2 薬局。健康サポート機能を果たせる薬剤師の

育成を実施。薬局勤務歴 4 年以上の薬剤師から優先的に健康サポート薬局研修を受講する

よう会社を上げてサポートしており、すでに約 100 名が研修を受講。

③ 管理栄養士の資格を有したスタッフなど、薬剤師以外の職種雇用の促進、研修なども熱心に

行っている。また薬剤師および管理栄養士が「地域ケア会議」へ定期的に参加する等、地域

包括ケアシステムにおける多職種・他業種連携に積極的に関与している。

④ 高度薬学機能への具体的な取り組みとして、大型総合病院で修練生として勤務し、高カロリ

ー輸液、抗がん剤の混注技術の習得、がん化学療法のレジメン知識の習得、病棟での服薬

指導の習得等、病院薬剤師のノウハウを習得。年1回の薬剤師カンファレンスにて研修内容

を発表し共有している。

以 上

G-3

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30

複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 H 社の状況

店舗数約130

1. 開設者、中間管理者、薬局管理者の役割と関係

① 全店を10店前後のエリアに分割し、中間管理者であるエリアマネジャーが各エリアを統括し

ています。

② エリアマネジャーはエリアの各薬局に少なくとも1回/月以上訪問し、薬局管理者である管理

薬剤師からヒアリングを行い、その意見をくみ上げると共に、薬局が適切に運営されているか

どうかの確認を行っています。

③ 各エリアを統括する薬局事業本部では、社長である薬局開設者の命により、2回/月エリアマ

ネジャー会議を必ず行っています。

④ エリアマネジャー会議には薬局開設者が必ず参加し、エリアマネジャーから各エリアの薬局の

状況を直接確認しています。

⑤ 薬局開設者は薬局管理者からの意見、薬局の運営状況等を踏まえ、薬局事業本部に対して

改善事項、運営方針等を命じます。薬局事業本部長は中間管理者であるエリアマネジャーを

通して、薬局管理者に伝達しています。

2. 薬局管理者、中間管理者に対するコンプライアンス、ガバナンス教育・研修体制

① 薬局管理者である管理薬剤師は必ず薬局長会議(年2回)に参加し、薬事に関する事項の

伝達及び指導を受けています。また、それとは別に薬局長研修に参加することが義務付けら

れており、そこではマネジメントなどについて学びます。薬局長研修には中間管理者であるエ

リアマネジャーもオブザーバーとして参加する方針をとっており、実施内容の共有を図ってい

ます。期中に新たに薬局管理者に就任した者については、就任時薬局長研修(社内・2日間)

に参加することを義務付けています。

3. チェック体制・内部監査

① 代表取締役(薬局開設者)の直轄部門に内部監査室を設置しています。

② 内部監査室は原則として内部監査規定に従って原則 1 回/年、少なくとも1回/2年、全店舗

に対して内部監査を実施しています。監査責任者は毎期、「監査計画書」を作成してあらかじ

め薬局開設者の許可を得なければなりません。

③ 内部監査は会計監査と業務監査とに区別し、全店舗を対象として、次の事項を主体に監査し

ます。

ア、業務活動の効率、合理性 イ、法令、諸規定の順守 ウ、内部牽制組織の有効性 エ、

資産管理の適正 オ、会計記録及び報告の妥当性 カ、経費削減 キ、その他必要な事項

H-1

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④ 内部監査実施後、内部監査指摘事項に基づき薬局開設者から薬局事業本部長へ、指摘事

項を改善するよう指示が出ます。薬局事業本部長はエリアマネジャー及び薬局管理者に対し

て、指摘事項を改善するよう指示します。薬局管理者は指摘事項に対して改善を行い、おお

むね2か月以内に改善報告書を提出します。そして、改善報告書が提出されてからおおむね

2か月後にエリアマネジャーが改善状況を確認し改善状況確認書を薬局開設者に提出しま

す。

4. 平成 30 年度内部監査実施計画

《監査方針》

①法令遵守の観点

・薬局関連法規(薬機法、薬担規則等)は遵守されているか。

②社内ルール遵守の観点

・社内ルールは守られているか

・社内ルールを見直す必要はないか

③リスク・アプローチの観点

・調剤過誤、事故防止は適切か

・売掛金管理は適切か

・調剤用医薬品の管理は適切か

④平成29年度監査の改善状況の確認

・昨年度の指摘事項は改善されているか

⑤クリンリネス

《監査の重点項目》

①DL業務基準書※1、法律の遵守

②時間外労働申告、サービス残業

③店舗運営管理(各種書類の最新版確認、上長印、承認確認印漏れ等)

④掲示物(法的に必要な掲示物、掲示内容の不備)

⑤ 登録薬剤師の確認(表札、掲示物記入漏れ等)

⑥ 麻薬、覚醒剤原料、毒薬等の帳簿類(出入庫日付確認、調剤者印漏れ、麻薬の開封確認、

訂正印等)、保管管理

⑦ 管理薬剤師の業務(他店舗勤務、麻薬覚原毒薬帳簿の訂正印等)

H-2

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5. DL業務基準書 ※1

薬局における業務を文章化したもので、会社の理念に基づき誰が担当しても同じ成果が得られる

最も効果的かつ効率的な仕事の進め方を記した業務の指標となるものです。開店から閉店ま

で、受付業務、現預金管理、レセプト、発注・在庫管理、調剤業務、在宅関連等すべての業務はこ

のルールにより統率されています。

6. 医薬品の購入及び管理

・医薬品の購入は、本社調達部において取引先卸を指定しています。偽造医薬品の流通防止の

観点から、指定以外の卸とは取引をしていません。改正施行規則に従い、業務手順書の改定、

手順書に従った流通管理を行っています。

医薬品管理においては、各種法令を遵守しています。定期的に実施している実地棚卸において

医薬品の品質期限もチェックを義務付け、不良品の流通を防いでいます。

7. 企業として健全性を保つための各種体制

① グループ親会社によるコンプライアンス体制

・グループ親会社憲章および行動規範に基づきコンプライアンスの取り組みに関する基本的事項

を定め、これを適切に運用することでコンプライアンスの徹底を図り、当社グループ全役員およ

び全従業員挙げてコンプライアンスを尊重しています。

・親会社社長が任命するコンプライアンス委員長、取締役、執行役員および重要な子会社の代表

取締役が委員となりコンプライアンス委員会を設置し、四半期ごとに開催されます。

・「グループ・コンプライアンス・マニュアル」を作成し、全従業員に配布しています。

・内部通報制度を定め、従業員等からの通報に対し、コンプライアンス委員会にて適切に対応す

る体制が取られています。

② 財務報告の適正性を確保するための体制

・J-SOX 法に準じた「内部統制」を整備・運用し、維持しています。

全社的な統制状況および各業務プロセスの統制状況を評価することで、内部統制の有効性を

評価しています。

また、評価結果について、親会社による監査および監査法人による監査を実施し、結果が取締

役会に報告されます。

③ 取締役職務の執行が効率的に行われるための体制

・「取締役会規則」、「職務権限規程」、「組織規程」、「業務分掌規程」等を制定し、職務権限、業務

分掌及び意思決定のルールを明確にしています。

また、執行役員制度を導入し、迅速で効率性の高い経営の実現を図っています。

H-3

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④ リスクマネジメント体制

・毎年リスク管理項目を見直し、中間レビューおよび期末においてリスクの極小化が図られている

ことを確認しています。(定期的なKYTトレーニングなど)また、当社の経営又は事業活動に重

大な支障を与えるおそれのある自然災害など緊急事態が発生した際の影響を最小限にとどめ

るための体制整備および事業継続のためのBCPを策定しています。

⑤ 取引先との不正防止

・医薬品については薬事審議会を設置し、不正防止への取り組みをおこなっています。

また、独占禁止法で禁止されている「優越的地位の濫用」の発生有無を確認するため、定期的

に取引先へのアンケートを実施しています。

⑥ 内部通報制度

・コンプライアンス違反などに関する通報について、社内窓口のみでなく親会社など複数の窓口を

設けることで、相談・通報しやすい体制を構築することで、不正・違法などの行為に対して迅速な

対応をおこなっています。

⑦ 反社会的勢力の排除

・反社会的勢力に対しては断固たる行動をとることを周知徹底するとともに、反社会的勢力に関す

る情報が一元的に管理されたデータベースを参照することで、反社会的勢力との取引を発生さ

せないための体制をとっています。

⑧ 情報管理

・「個人情報保護基本規程」、「特定個人情報取扱規程」等を制定し、情報管理強化をおこなって

います。また、情報漏洩対策としてのデータ持出制御をおこなうなど、システム面での対策も実

施しています。

⑨ 運用ルールの明確化

・各店舗で発生する業務についてのルールをDL業務基準書としてとりまとめ、全社で運用すると

ともに担当エリアマネジャーや医療事務リーダーによるチェックをおこなうとともに、内部監査に

おける監査項目とすることで全社への浸透、運用の徹底を図っています。

記載されるルールは、金銭授受方法や書類への押印箇所など細部に至るのみでなく、正しい運

用にとどまらず、禁止されている手順についても記載されています。

H-4

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8. その他、各種研修内容

① 階層別研修

入社 1 年目~4 年目までの薬剤師は年 1 回集合研修を実施しており、該当者は必ず参加。

・1 年目研修…社会人マナー、認知症サポーター養成講座、模擬薬局での実技習得 等

・2 年目研修…服薬指導と薬歴、業務の優先順位、在宅 等

・3 年目研修…症例検討、患者対応、リスクマネジメント、在宅 等

・4 年目研修…かかりつけ機能・健康サポート機能の理解、在宅 等

② 健康サポート薬局研修

健康サポート機能において活躍できる薬剤師を育成すべく、薬局での実務経験 4 年以上で一定

の要件を満たす薬剤師を対象に、取得に必要な費用のバックアップを行っています。また、集合

研修の開催が少ない北陸地区や岐阜地区では、健康サポート薬局研修を社内開催するなど、

受講しやすい環境に整えることにも努めています。

③ e-ラーニングによる知識習得

疾患別に社内独自のテキストを利用したインターネット研修です。各項目終了時にはテスト問題

に取り組んで習熟度を確認できます。

④ 各種専門薬剤師の育成

高度薬学管理機能、多職種連携等、今後薬局薬剤師へ求められる役割・機能に対応できる薬

剤師を育成するため、専門資格の取得支援も積極的に行っています。

・外来がん治療認定薬剤師

地域がん医療において、患者とその家族をトータルサポートできる薬剤師の養成を目指して創

設された「外来がん治療認定薬剤師」の取得希望者に対し、必要な費用をバックアップしていま

す。高度薬学管理機能において、重要な役割が期待されます。

・認知症研修認定薬剤師

認知症領域において医薬品に関わる専門的立場から医療・介護・福祉チームの一員として薬物

療法を中心に参画するための能力と適正を備え、さらに認知症の人とその家族等に対して薬学

的視点をふまえた適切な助言及び対応ができる薬剤師の養成を目的とした「認知症研修認定

薬剤師」の取得希望者に対し、必要な費用をバックアップしています。

・地域糖尿病療養指導士(CDEL)

糖尿病の重症化予防において活躍できる薬剤師を育成すべく、「地域糖尿病療養指導士

(CDEL))の取得希望者に対し、必要な費用をバックアップしています。

H-5

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⑤ 年間研修実績

薬剤師および医療事務の各階層におけるレベルアップ、機能維持のため下記の研修を実施し

ました。(昨年度)

・ 新入社員研修(47 人)

・ 1 年目フォローアップ研修(34 人)

・ 1 年目総まとめ研修(34 人)

・ 2 年目レベルアップ研修(62 人)

・ 3 年目ステップアップ研修(51 人)

・ 4 年目かかりつけ薬剤師育成研修(35 人)

・ 薬局長研修(120 人)

・ MS主務者研修(120 人)

・ 就任時薬局長研修(14 人)

・ 中途採用者研修(54 人)

・ エリアマネジャー研修(13 人)

・ MSリーダー研修(13 人)

・ エリア別MS研修(257 人)

・ 健康サポート薬局研修(72 人)-

以上

H-6

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 I 社の状況

店舗数:約 40 薬局

1. 開設者、中間的統括者、薬局管理者の役割と関係(開設者は、以下のルートで

様々な現場の情報把握に努めている)

① 当薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的統括者は医薬事業部エリア薬局長

がその任に当たり、8 名が各エリアを担当している。

② 医薬事業部エリア薬局長はそれぞれ約 5 店舗から 8 店舗の管理責任を有し、毎月全店舗を

訪問し、店舗業務のチェックを行い薬局管理者と面談を行っている。

③ 業務チェック内容に対して課題が上がった際には医薬事業部エリア薬局長の上長である医

薬事業部統括部長への報告を行う。また、報告を受けた医薬事業部統括部長は必要に応じ

て店舗の再チェックを行い、医薬事業部本部長に報告を行う。

④ 薬局開設者(代表取締役社長)、内部監査室長、本部長は隔月薬局会議を開催し、薬局管

理者に対して業務上の課題や改善点に関する情報共有や具体的な指示を行うとともに、指

示に基づく改善が行われているか確認している。

2. 薬局管理者、中間的統括者に対するコンプライアンス、ガバナンス研修

① 薬局管理者である管理薬剤師は毎年、管理薬剤師セミナー(社内研修・半日)に参加するこ

とが義務付けられており、薬事全般から店舗や人的マネジメントなどについて学習を行って

いる。また期中に薬局管理者に就任した者については、新任管理薬剤師研修(社内研修・半

日)に参加することも義務付けている。

② 管理薬剤師セミナーには中間的統括者である医薬事業部エリア薬局長及びその上長である

医薬事業部統括部長、医薬事業部本部長もオブザーバーとして参加しており、学習内容の

共有を図っている。

③ コンプライアンスの遵守徹底については、コンプライアンス文書を刷新し、年 1 回全社員に対

してコンプライアンス研修(e-ラ-ニング)を実施している。

④ 薬局管理者が直接相談できる体制として、ホットラインを開設し、問題があれば薬局開設者

(代表取締役社長)に直接連絡できる体制を整えている。

3. 第三者によるチェック機能

① 薬局開設者である代表取締役社長の直属機関である内部監査室により少なくとも毎年 1 回

はすべての薬局店舗の業務監査、会計監査が行われている。また、必要に応じて複数回実

施することがある。

I-1

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I-1

② 内部監査実施後には当該店舗に対して改善提案書を提示し、概ね 1 ヵ月以内に改善報告

書を提出させることとなっている。また、毎月 1 回内部監査内部監査報告会で店舗往査の状

況や改善提案書及び報告書についての説明および代表取締役社長からの提案指示などが

行われている。

③ 薬事以外においても会社法と日本版SOX法※(業務の適正確保と財務報告書の信頼性確

保)それぞれに準じた『内部統制』に対応している。

※会社法が定める内部統制は、株主から経営に委ねられた取締役が健全な会社経営のために

果たすべき善管注意義務・忠実義務がベースになっており、一方日本版SOX法(金融商品取引

法)が定める内部統制は、証券市場への投資家の信頼確保のために、財務報告の信頼性を確保

することを目的としています。

④ 社外取締役を設置企業として、業務執行を行う経営陣から独立した客観的な立場で、卓越し

た知見・経験をもとに職務が執行されるような体制を構築しております。また、社外監査役に

ついても、同様の立場で、財務、ビジネスに関する卓越した知見を発揮していただくとともに、

業務執行体制の監査を社内監査室と連携して行い、必要に応じて取締役会に報告し、議論

を行っている。

4. 患者のための薬局ビジョン実現に向けて

① 薬剤師能力開発のための研修プログラム

・インストラクター研修 ・かかりつけ薬剤師セミナー ・薬局長セミナー・社長塾(管理者育成セミ

ナー) ・マネジメントアドバンス研修 ・管理薬剤師セミナー ・新任管理薬剤師研修、労務管理研

② 健康サポート薬局事業の推進

健康サポート薬局の根幹となる健康サポート機能を果たせる薬剤師の育成に注力。

薬局勤務歴 4 年以上の薬剤師から優先的に、健康サポート薬局研修を受講するよう会社

を上げてサポートしている。

③ 高度薬学管理に関する研修

大学教授によるハイリスク薬、麻薬、乳幼児研修

糖尿病専門医師による糖尿病勉強会の実施(年 2 回)

緩和ケア研修の実施(年 5 回)

大学教授による症例検討勉強会(年 3 回)

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 J 社の状況

店舗数:約 500 店舗

1 会社概要

⑤ 店舗数、従業員数、法人数(平成 30 年 3 月 31 日時点)

ア 店舗数

476 店舗(調剤薬局 465 店舗、その他 11 店舗)

イ 従業員数

3,495 人(正社員、パート従業員の総数)。うち、正社員 2,323 人、パート従業員 1,172 人、正社

員薬剤師 1,315 人、登録販売者(パート含む)201 人、管理栄養士(パート含む)103 人。

ウ グループ法人数(子会社、関連会社及び関連会社の子会社を含む)

55 法人(薬局事業会社 44 法人、その他 11 法人)

⑥ 経営理念、経営目標

ア 経営理念

「信頼」:患者・医療機関に対しベストを尽くす。

「挑戦」:技術・情報・知識向上のため、日々挑戦する。

イ 経営目標

地域医療に信頼される経営を行う。

社会に信任される経営を行う。

2 グループ全体の経営方針の策定、実行

(1) グループ全体の意思決定の方法

ホールディング取締役会にて決定。全国を4つのブロック(中部及び関西、九州、北海道及び

関東、東北)に分け、毎月ブロック会議を開催し、ホールディング取締役会での意思決定にあた

っては、地域に根差した経営のため、各事業会社の経営幹部の意見を斟酌する。

意思決定にあたっては、法令順守が最優先され、事案毎の必要性に応じて、社外及び社内の

専門家(弁護士、公認会計士、税理士、薬剤師等)が主体となり、関係各省庁に確認を実施す

る。

J-1

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(2) 各事業会社へのグループ全体の経営方針の伝達方法

ア 毎月実施している上記2(1)のブロック会議にて、ホールディングの取締役及び各ブロック担

当者より、各事業会社の経営幹部に伝達。業務上の課題や改善点に関する情報共有や具体

的な指示を行い、指示に基づく改善が行われているかどうかの確認を実施。

イ 後述する社内研修を通じて伝達。

ウ 上記の他、重要事項は電子メールによって書面を配信して伝達。

3 コンプライアンスに関する取り組み

③ 内部監査

ホールディングの内部監査室が主体となり、各事業会社を訪問し、法令順守の徹底(保険

薬局に関する法令のほか、労働関係も含む)、調剤過誤・調剤事故防止のための取り組み

等に関する監査を実施。

内部監査実施後は、当該店舗に対してフィードバックを行い、改善報告書の提示を求める。

優良と評価された店舗の情報について、全事業会社に情報の共有を行う。

④ 外部監査

有限責任監査法人が主体となり、会計監査を実施。

⑤ コンプライアンス、ガバナンスに関する社内研修等

ア 経営幹部層

株式会社と業務委託を締結し、ホールディング経営幹部及び各事業会社の

社長に対して、各種ハラスメントに関する研修を開催。

イ その他の従業員

ホールディングの教育研修部が主体となり、法令順守(健康保険法、保険薬局及び保険薬

剤師療養担当規則、医療法、医薬品医療機器等法、薬剤師法、調剤報酬点数表、医療情報シ

ステムの安全管理に関するガイドライン、e‐文書法等)に関する研修、店舗及び人的マネジメン

トに関する研修を実施。

ウ 定期的な情報共有

全国に薬局を展開しており各地域毎の情報が集約されることを活かし、各薬局への行政指

導の内容及び改善策、良い取り組みの事例について、上記2(1)のブロック会議や社内研修に

おいて定期的に情報共有を行う。これにより、質の高いサービスの実施を目指す。

J-2

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⑥ 社内倫理審査委員会の設置

薬剤師が行う調査・研究の倫理的妥当性の審査を目的として、平成30年8月中に、社内倫

理審査委員会を設置予定。

J-3

⑦ 外部相談窓口の設置

各種ハラスメント、法令違反の問題が生じた場合に、グループの全従業員が相談することが

できる窓口を設置。相談者のプライバシー保護の観点から、相談窓口は外部である(株)クオ

レ・シー・キューブに委託。必要に応じて社内弁護士による対応も行う。相談のしやすさを考慮

し、外部の相談窓口と社内弁護士の構成は、男性、女性の両性としている。

4 患者のための薬局ビジョンに向けた取り組み

(1) かかりつけ薬剤師の推進

以下の内容の 3 年間のフォローアップ研修を実施。

ア 1年次:3 ヶ月半の初期研修を通じて基本的な知識を身に付け、店内業務ができるようにす

る。

イ 2 年次:幅広い知識を身につけ店舗運営ができるようになる。

ウ 3 年次;マネジメント能力を身につけ店舗管理ができるようになる。

(2) 高度薬学管理機能の推進

以下の内容の研修、共同研究を実施。

ア 病院研修:大学病院において 1 年間レジデントとして勤務し、最先端医療現場において臨床

経験を積み、修了者にはレジデント修了証書を発行。

イ 海外研修:アメリカ、ドイツ、オーストラリアのいずれかで 1 週間の研修を受講。

ウ 特定疾患の研修:疾病やがんをテーマに薬剤師としての知見を深めるための勉強会、研修

会を実施。

エ 大学との共同研究:大阪大学大学院と共同で、抗がん剤による副作用、特に味覚障害(主

に苦み)についての研究を実施。

J-3

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(3) 健康サポート機能の推進

ア 外部との共同での取り組み

スポーツアカデミーの運営、スポーツイベントの企画開催を手掛ける一般社団法人

IWAJAPAN と業務提携を締結し、共同で健康イベントを開催。

イ 社内での取り組み

店舗における各種健康イベント(栄養相談会、肩こり解消フェア等)の開催、各地域における

地域貢献活動 (他職種連携会議、学校薬剤師の業務、認知症セミナー等のイベント)への積

極的な参加の推進。

(4)認定薬剤師資格取得のサポート

社内認定薬剤師(がん領域認定薬剤師、栄養サポート認定療法士等)及び特定領域認定

剤師(外来がん治療認定薬剤師、在宅療養支援認定薬剤師等)の資格取得のサポートを実施。

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状(実態)について K 社の状況

店舗数:約 90 薬局

1. 開設者、中間的総括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている)

① 当社における薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的総括者は薬局本部部長

がその任に当たり、4 名が各部を担当している。

② 薬局本部部長はそれぞれ約 10~30 薬局の管理責任を有し、毎月全薬局の状況をエリア長

(7名・それぞれ約 10~15 薬局を担当)の訪問・立入時のチェック結果に基づき管理監督を行

っている。そこで課題に上がった際には薬局本部部長の上長である薬局本部長(1 名)への報

告を行う。また、報告を受けた薬局本部長は必要に応じてチェックを行い、開設者と情報共有

する。

③ 薬局本部部長は、毎月薬局本部の会議を開催し、業務上の課題や改善点に関する情報共

有や具体的な指示を行うとともに、指示に基づく改善が行われているか確認している。

④ 年 2 回、エリア長もしくはブロック長(各エリアに約2名所属)が法令・医薬品管理のチェックを

行うために全社一斉に立入を実施。適正な業務が行われているか確認し、不適切事項があ

る場合は、速やかに薬局管理者(管理薬剤師)に改善を指示する。

また、その内容は、薬局本部部長へ報告され、不適切事項については薬局本部部長の上長

である薬局本部長への報告を行う。また、報告を受けた薬局本部長は必要に応じてチェック

を行い、開設者と情報共有する。

2. 薬局管理者・中間総括者に対するコンプライアンス、ガバナンス教育・研修体制

① 薬局管理者である管理薬剤師は毎年、薬局長研修(社内研修・2 日)に参加することが義務付

けられており、薬事全般から薬局店舗や人的マネジメント・コンプライアンス遵守などについ

て研修を行っている。また、期中に新任した者については、新任薬局長研修(社内研修・半

日)を随時実施後、年 2 回の新任薬局長フォロー研修(社内研修・2 日)に参加することも義務

付けている。

※ 今期より薬局長研修を廃止し、コンプライアンス・ガバナンス遵守に特化した研修へ移行

予定です。

② 薬局長研修には中間的総括者である薬局本部部長及びその上長である薬局本部長もオブ

ザーバーとして参加しており、学習内容の共有を図っている。

K-1

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43

③ 2017 年度研修実績

薬局長研修:参加者 90 名

・店舗運営

・労務管理

・人事考課(面談ロールプレイング含む)

・リスクマネジメント

・薬事関係法規関連

新任薬局長研修:参加者 10 名

・店舗運営

・労務管理

・人事考課(面談ロールプレイング含む)

・リスクマネジメント

・薬事関係法規関連

マネジャー研修(社外):参加者 40 名

・エリア運営マネジメント

・労務管理

・人事考課(面談ロールプレイング含む)

・リスクマネジメント

・薬事関係法規関連

3. 第三者によるチェック機能

① 監査部門である薬局コンプライアンス部により、2 年に 1 回の頻度ですべての薬局店舗の立

入監査が行われている。また、必要に応じて随時・複数回実施する場合がある。

② 立入監査実施後には、当該薬局店舗に対して立入監査結果報告書を提示し、概ね 1 週間

以内に改善計画書の提出、改善計画書に基づき改善が完了しだい改善報告書の提出をさ

せることになっている。すべての状況は、代表取締役社長へ報告される。

③ 年 1 回の自己申告書により、全従業員の意見を吸い上げている。また、内部通報制度を運

用しており、通報窓口を薬局管理部門以外(総務部)とし、通報内容の調査・是正を薬局コン

プライアンス部へ指示する。薬局コンプライアンス部は調査・是正結果を代表取締役社長へ

報告する。

④ 社外監査役による、経営側から独立した客観的立場から、業務体制の監査を行なっており、

必要に応じて取締役会および経営会議で議論されている。

以上

K-2

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状について

店舗数:約 30 薬局

1. 開設者、中間的総括者、薬局管理者の役割と関係

① 当社における薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的総括者は調剤事業部長

がその任に当たり、全エリアを担当している。エリアは3つに分かれており、各エリア長が10

店舗ずつ担当している。

② エリア長は、定期的に薬局管理者を対象とした管理者会議を開催し、各エリアの課題および

改善点等について協議している。

③ 各店の業務チェックについては毎月薬局管理者から社長、営業本部長、管理本部長、調剤

事業部長へ提出される月報にて行い、毎週月曜日に開催されている幹部会議において業務

上の課題や改善点に関する情報共有や具体的な指示を行うとともに、指示に基づく改善が

行われているか確認している。また全店舗の管理責任を有する調剤事業部長が定期的にリ

スクマネジメント委員会内の内部監査委員と共に全店舗を訪問し、店舗業務について内部監

査チェックシートに基づき、業務指針や調剤マニュアルに従って業務が遂行されているか確

認し、社長、営業本部長、管理本部長へ報告を行っている。

2. 薬局管理者、中間総括者に対するコンプライアンス、ガバナンス教育・研修体制

① コンプライアンスの遵守徹底については、コンプライアンス委員会責任者を配置し、役員会、

社内研修会、朝礼においてコンプライアンスについての注意喚起を行っている。

3. 第三者によるチェック機能

① 親会社グループ監査室による薬局事業監査を、薬局事業の適正な運営遂行のため、法令順

守、業務の正確性、リスクマネジメントの観点から薬局の評価を行っている。薬局業務の正

確性に関しては、医療安全、医薬品の安全使用、麻薬管理、向精神薬管理、覚醒剤原料管

理、高度医療管理機器、要指導医薬品、第一類医薬品管理等の点検項目の確認および改

善が必要な項目の指摘と改善報告書による改善確認を行っている。

② 薬事以外においても会社法と日本版 SOX 法(業務の適正確保と財務報告書の信頼性確保)

それぞれに準じた『内部統制』に対応している。

L-1

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 M 社の状況

店舗数:約 150 店舗

1. 開設者、中間総括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている)

① 開設者と薬局管理者の中間的総括者はエリアマネジャーがその任にあたり 17 名が各エリア

を担当している。

② エリアマネジャーは各店舗の管理責任を有し、毎月各店舗を訪問し店舗業務のチェックを行

う。

③ 業務チェックはチェックシートによって行われ、その結果を薬剤本部長へ報告する。

④ エリアマネジャーは定期的に会議を行い、会社からの通達や薬局内課題の共有や改善指導

を行う。

⑤ 開設者も各店舗直接店舗へ訪問しヒアリングを実施(年 1 回/店舗)

2. 薬局管理者、中間総括者に対するガバナンス教育・研修体制

① 新任の薬局長には薬局長研修、フォローアップ研修(2 日間を合計 2 回)を実施している。

② 中間総括者には年 1 回の集合研修(3 日間)を実施している。

③ コンプライアンスの順守には E-ラーニングを用い全社員が受講・テスト(年 1 回)を実施して

いる。

3. 第三者によるチェック機能

① 薬局開設者の直属である内部統制監査室による業務監査(2 年に 1 回)

→社外取締役を含む

② 外部機関に委託した会計監査(3 年に 1 回)

③ 監査結果は開設者へ報告される。報告内容によっては担当部署へ改善提案書の作成指示

がでる。

④ 改善提案書にそって中間総括者と薬局管理者が改善報告書を提出する

以上

M-1

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状(実態)について N 社の状況

店舗数:100 薬局

1. 開設者、中間的総括者、薬局管理者の役割と関係

① 薬局開設者と中間的統括者は、地区長及び事業部長がその任に当たり、10 名が各エリアを

担当している。

② 事業部長は、店舗の管理監督責任を有し、毎月店舗訪問のうえ、業務管理の徹底を図って

いる。

③ 業務の内容は通常管理の他、問題が生じた際には、上長である地区長へ報告を行い、適宜

対応等する。

④ 薬局開設者は毎月 1 回薬局事業本部会議を開催し、業務上の課題や問題点を把握する。こ

れに対し、具体的な指示を行い、指示に対する結果確認を徹底する。

2. 中間総括者、薬局管理者に対するコンプライアンス、ガバナンス教育・研修体制

① 調剤報酬改定 前月である 3 月に外部講師を招いての改定説明会を実施し、中間総括者及

び管理薬剤師に要点を理解させる。

② 中間総括者である事業部長は、薬局責任者会議を毎月 1 回開催し、薬事全般から店舗・人的

マネジメント等の指導を行っている。

③ コンプライアンスマニュアルを制定して周知徹底を図る他、年 2 回全薬剤師を対象として開催

する薬剤師教育セミナーの機会を通じ、その都度確認を行っている。

④ 各規則は全社員に対し、メール通達で周知を図っている。

3. 内部監査の徹底

① 社内監査室により、全ての薬局店舗の業務監査、会計監査を実施し、問題点の把握に努め

ている。

② 社内監査実施後は、当該店舗に対し問題点があれば改善提案書を提示し、事業部長から開

設者を通じて、改善報告書を提出させる。

4. 内部通報制度の運用

① ヘルプライン運用マニュアルを策定し、社員等から法令違反に関する通報、セクシャルハラ

スメント又はパワーハラスメントに関する通報等がなされた場合、監査室に通報する。

② 内部通報の処理に従事する者は、通報に関する秘密を漏らさない。

③ 内部通報者の保護を図るため、氏名の公表、不利益な取り扱い及び報復行為をしてはなら

ないとする。

N-2

N-1

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5. 薬剤師、医療事務社員の年間研修スケジュール

4 月 新入社員研修、中途採用薬剤師研修

5 月 新卒 3 年目研修(在宅医療、他職種連携)

6 月 薬剤師教育セミナー、医療事務スキルアップ研修

7 月 新卒 4 年目研修(医療コミュニケーション)

8 月 中途採用薬剤研修

9 月 新卒 2 年目研修(歴管算定の要件)

10 月 新卒 5 年目研修(プレゼン、伝え方に関する研修)

11 月 薬剤師教育セミナー、医療事務スキルアップ研修

12 月 中途採用薬剤師研修

1 月 新卒 1 年目研修(安全な調剤)

2 月 新卒 3 年目・4 年目合同研修(医療コミュニケーション)

3 月 新卒 2 年目研修(服薬支援)

N-2

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状(実態)について O 社の状況

店舗数:約 150 店舗

1. 開設者、中間的統括者、薬局管理者の役割と関係

① 開設者

薬局を運営する法人各社(5 社)に個別に開設者がおり、複数店舗を運営している。また各薬

局に管理者を置いて管理。薬局の管理者から提案された意見を尊重するため、直通の連絡先

を開示している。また、管理者が開設者含めた対象に対して意見提案を第 3 者を通して行う事

もできるようにしており、社内・社外、男性・女性の相談窓口(外部の弁護士等含む)を設置をし

ている。また、意見や優秀な活動を管理者自身が開設者のみならず全社に提案できるように、

全社へ発信できるメーリングリストなどの体制整備を行っている。

② 中間管理者

開設者が取締役会、並びに決裁会議において決定した全体方針を薬局の管理者に伝え、各

店舗の年度活動を策定する支援する役割。また薬局の管理者と最低毎月 1 回面談を行い、意

見や不安材料、良い事例などを収集し、開設者が毎週主催する経営会議に参加し、管理者の

意見として起案する。

③ 薬局管理者

保健衛生上必要な薬局の業務、構造設備や医薬品その他の物品の管理、および社員の監督

による顧客の安全性の担保。保健衛生上、顧客の安全性の担保における開設者への意見具申。

なお、上下の関係性から意見具申できない点を考慮し、コンプライアンス上の別ルートを設置。

2. 薬局管理者・中間統括者に対するガバナンス教育・研修体制

① 実施状況(対象者、頻度)

全社員・パートタイマーともに、入社時の集合研修時に講義形式で講座を実施。コンテンツはコ

ンプライアンスに対する基本的な考え方、業務マニュアル等。 また薬局管理者・中間統括者を含

む社員については年 1 回の集合研修時に講義形式で、パートタイマーについては同時期にイント

ラネットを介して資料を閲覧し、完了連絡を受領。

薬局管理者はさらに管理者就任時に集合研修を実施。初回は 2 日間の日程でコンプライアン

ス、目標管理、マネジメント、チームコミュニケーション等の講座を実施、以降 3 か月経過後、6 ヵ

月経過後にフォローアップ講座を開催。

O-1

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3. 第三者によるチェック機能

① 定期監査の有無

監査部門が、毎年度定期監査を実施。 期首及び半期経過後に選定したテーマに関して、無作

為に選出した複数部署での実地確認を実施後、経営層へ報告。 不備事項が発見された場合に

は、当該部署の管理者に対して改善勧告を実施。 また全社的課題と推測される事象が発見され

た場合には、関連部署へ抜本的な改善策の立案を提案。

② 職員からの内部通報窓口の有無

全従業員(派遣社員・出向者等も含む)が利用できる内部通報窓口を設置。 窓口は社内取

締役・コンプライアンス推進室長・外部弁護士が担当。 制度の概要及び利用方法については

入社時に全従業員へ周知し、その後も継続的に毎月社内報で周知。 年 1 回、利用件数を全

従業員へ開示。

また、発生事例は、個人を特定できる情報を削除した上で、次回の全社講座にて共有する。

③ グループ会社に対する監督責任体制

監督責任者である代表取締役の依頼に基づきコンプライアンス推進室が各グループの定期監

査を行う。

④ 外部監査の受入の有無

監査法人とアドバイザリー契約を締結。

4. 薬剤師、医療事務職員のスキルアップとして、社内で設けている研修

① 必須

・新入社員研修

・2 年次研修

・新任ストアマネジャー&チームリーダー研修

・中途入社研修

・全社員ミックス研修

・マネジメント研修(コンプライアンス研修等含む)

・健康サポート薬局研修

・認知症サポーター養成講座

・登録販売者資質向上研修

O-2

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② その他

・スキルアップ講座(11 回/年開催)

・国際中医臨床薬膳師(初級)講座

・健康サポート薬局のための栄養講座

・行動科学に基づくコミュニケーション講座 (4 回シリーズ)

・薬剤師/登録販売者のためのセルフメディケーション講座

・バイタルサイン講座(3 回シリーズ)

O-3

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 P 社の状況

店舗数:約 40 薬局

1. 開設者、中間的総括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。)

① 当社における薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的総括者はエリア長 6 名が

各エリアでその任に当たっている。

② エリア長はそれぞれ約 6 店舗の管理を負っており、毎月全店舗を訪問し、各管理薬剤師およ

び他スタッフと面談を行っている。

③ 店舗で課題が上がった際にはエリア長の上長である保険調剤課課長への報告を行う。また、

報告を受けた課長は必要に応じて店舗の再チェックを行っている。

④ 課長は毎月 1 回保険調剤部の会議を開催し、業務上の課題や改善点に関する情報共有や

具体的な指示を行っている。

2. コンプライアンス向上、ガバナンス強化のための研修

① 法令遵守意識に対する定期的な教育訓練の実施(全社員共有 毎年実施)。

集合研修にて毎年実施

・調剤事故過誤報告研修

・医療安全対策研修(KYT 研修、ヒューマンエラー研修等)

・個人情報保護研修

② 管理職層(マネージャー以上)

管理職層には、2 ヶ月に 1 回の管理者会議にて、店舗で起きている事象に対応する根拠法令を

都度確認することで理解の深耕を図っている。

3. 薬局の管理者が薬局開設者に対し必要な意見を述べることができる体制

① 薬局の管理者が、保健衛生上支障を生ずる恐れがないように、その薬局の業務につき必要

な注意等をし、及び薬局開設者に対し必要な意見を述べることができる体制として、各エリア

の代表が薬局の管理者から意見を吸い上げ薬局開設者と会議を行っている。

P-1

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4. 自己点検制度

① 社員が自らの法令遵守状況を確認できるように、社内にて構築された自己点検の体制として、

・毎月管理者による「店舗管理チェックリスト」(51 項目)に基づき自己点検を行っている。

・社員毎の人事評価の項目に、コンプライアンスの遵守に関する項目を設定。

自己の評価及び上司との面談を実施することで、点検と意識の醸成を図っている。

② 管理者対象研修(昨年度受講者数)

・KYT(危険予知トレーニング)研修(205 名)

・大規模災害時対策店舗危機管理(47 名)

・人間力基礎向上基礎研修(31 名)

・ヒューマンエラー自己分析・調剤ミス対策実践トレーニング(39 名) など

5. 第三者によるチェック機能

① 「患者満足度調査」を年に 2 回行い、改善点の洗い出しを行い PDCA にて継続的に業務改善

を行っている。

6. 患者のための薬局ビジョン実現に向けて

① 健康サポート薬局は平成 30 年 8 月末現在、1薬局が適合となっている。健康サポート薬局の

研修受講者は 41 名である。

② 管理栄養士、登録販売者の資格を有した医療事務など、薬剤師以外の職種雇用の促進、研

修なども熱心に行っている。また薬剤師および管理栄養士が「地域ケア会議」へ定期的に参

加する等、地域包括ケアシステムにおける多職種・他業種連携に積極的に関与している。

③ 2025 年に向けた高度薬学機能への具体的な取り組みとして、外来がん認定薬剤師等の認定

取得に関しても積極的に支援(経済的支援を含む)を行っている。

④ 薬剤師、医療事務職員のスキルアップとして、社内で設けているスキルランクごとに年間研修

スケジュールを組んで下記の項目を実施している。(昨年度受講者数:63 名)

・新入社員研修(保険薬局におけるビジネスマナー、電話応対、話し方など)

・薬剤師、保険薬剤師関連法令研修 ・保険調剤のしくみと実務研修

・地域活動(清掃やボランティア活動) ・Web を使った薬剤情報収集研修

・店舗管理研修 ・調剤報酬請求関連研修

P-2

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・疾患別研修 ・在宅医療研修

・無菌調剤研修 ・臨床漢方研修

・ファーマシューティカルコミュニケーション研修

・薬物動態、相互作用を活用した処方提案と服薬指導研修

・服薬指導ロールプレイング ・プレゼンテーション研修

・禁煙指導研修 ・健康サポート薬局研修

・クレーム応対研修 ・栄養療法研修

・麻薬、向精神薬、覚せい剤原料の管理と服薬指導研修

・管理業務研修(部下のコーチング) ・セルフメディケーション研修

・ポリファーマシー研修 ・医療安全研修 など

⑤ 薬剤師、医療事務職員のスキルアップとして、スキルランクに関係なく全職員対象とした下記

社内研修を年 1 回以上実施している。(昨年度受講者数)

・ステップアップ研修(医療人としての自覚、接遇について、ロールプレイング)(51 名)

・検体測定室の運営に関する研修会(49 名)

・麻薬と抗がん剤の服薬指導研修会(32 名)

・抗認知症薬 適材適所 薬剤師のための公開講座(24 名)

・かかりつけ薬剤師機能を発揮するためのコミュニケーション(15 名)

・解決ポリファーマシー(43 名)

以 上

P-3

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状(実態)について Q 社の状況

店舗数:40 薬局

1. 開設者、中間総括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。)

① 薬局事業を担当する役員は、薬局開設者である代表取締役会長と代表取締役社長である。

② 当社における薬局開設者(代表取締役会長)と薬局管理者の中間的総括者はエリア統括マ

ネージャーがその任に当たり、3 名のエリアマネージャーと共に担当している。

③ エリアマネージャーはそれぞれ 7 店舗から 18 店舗の管理責任を有し、毎月店舗を訪問し店

舗業務のチェックを行っている。

④ 業務チェックの内容は基本的内容のチェックとともに、店舗ごとに毎月開催される過誤ミーテ

ィングの内容を確認し、上長であるエリア統括マネージャーに報告を行う。報告を受けた統括

マネージャーは、必要に応じ店舗への再確認を行っている。

⑤ エリア統括マネージャー及びエリアマネージャーは、定期的(基本的に週一回)に開催される

統括部門会議において業務上の課題や問題点を共有し、会議での協議内容や決定事項に

ついて指示、実施の確認を行っている。

開設者

代表取締役会長

代表取締役社長

エリア統括

マネージャー

内部監査室

A地区

エリアマネージャー

B地区

エリアマネージャー

C地区

エリアマネージャー

薬局長

管理薬剤師

18 薬局

薬局長

管理薬剤師

17薬局

薬局長

管理薬剤師

7薬局

Q-1

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2. 薬局管理者、中間総括者に対するガバナンス教育、研修体制

① 薬局管理者である管理薬剤師は、毎年開催される薬局長研修(1 日)の参加が義務とされ、

薬事全般から店舗や人的マネジメントなどについて研修を行っている。

Q-2

② 薬局長研修には、エリアマネージャー、統括マネージャー及び業務全般担当の取締役もオブ

ザーバーとして参加し、研修内容の共有を図っている。

③ 薬剤師への研修には、新入社員、2,3 年目社員へのブラッシュアップ、管理者になるための

マネジメント等の研修が開催され、各階層に応じて疾患病態や服薬指導、コミュニケーション

ツール、地域包括センターの概要学習と地域包括ケア会議参画等の内容で、年間計画と系

統だった複数年計画に基づいて行われている。

④ 事務職への研修は、入社時に実施する導入研修と、年1回事務研修を開催している。

⑤ コンプライアンスの遵守については、全社員参加の全社大会(年1回)、薬剤師への各研修

及び事務職員への研修の中で、必ずコンプライアンス研修の時間(1~2時間)を設け、開設

者や取締役が講師となり、事例の共有や遵守の意義について研修を実施している。

⑥ 各店舗において、プレアボイドの報告を制度化しており、収集と管理を業務支援部において

実施している。収集したプレアボイドは、一定期間ごとにプレアボイド集として冊子およびデー

タ化し、各薬局に設置。プレアボイド集の情報を共有化し、服薬指導や薬局内ミーティングな

どの日常業務において有効に活用している。

3. 社内におけるチェック機能

① 薬局開設者である代表取締役会長の直属機関である内部監査室により少なくとも毎年 1 回

はすべての薬局店舗の業務監査、会計監査が行われている。また、必要に応じて複数回実

施することがある。

② 内部通報制度として、「みんなの相談室」の名称で部門を創設し、男性女性1名ずつの担当

者を設け、メール形式による相談窓口を設置している。業務上の悩みや心配事、職場環境の

改善や効率化、些細なことでも気軽に相談できる体制を構築している。当該部署で収集した

情報は、直接取締役会に報告され協議し、代表取締役から提案指示が行われる。

③ 介護保険における居宅療養管理指導算定に対する店舗機能のチェックを、点検票に基づき

毎年6月、店舗ごとに自主点検を実施し、在宅事業部へ報告、管理している。必要に応じて

介護施設運営会社への提出もしている。

Q-2

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4. 患者のための薬局ビジョン実現に向けて

① 地域活動として薬局単体や複数薬局と連携し、年間一回以上健康相談会等の名称で、公的

施設において健康への情報発信業務を実施している。内容は、骨密度測定や、非侵襲性の

機器を用いたヘモグロビン測定、皮膚水分計、呼気の一酸化炭素濃度測定等数種類の測定

機器を用い、測定値など提示しながら、地域住民に対し健康情報の発信と未病への提案を

実施している。

② 健康サポート薬局については、平成30年8月現在1店舗認定されており、健康サポート薬剤

師は全社で 67 名在籍し、薬剤師については今後も研修受講要件を満たしたものから順次受

講し、取得する計画である。

③ 本年より全店舗において「体調不良と思ったら薬局へ」の啓発活動として、熱中症対策や予

防、発症時の避難対処施設となっている。危険性を感じた方はもちろん、どなたでも来局いた

だけ、来局者には、涼める場所の提供と症状に応じて冷水や塩飴等の提供等、適切な対処

ができるよう全店意思統一している。

Q-3

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状 R 社の状況

店舗数:90薬局

1. 開設者、中間的総括者、薬局管理者役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている。)

① 当社における薬局開設者(代表取締役社長)と薬局管理者の中間的総括者はエリアマネージ

ャーがその任に当たり、4名が各エリアを担当している。

② エリアマネージャーはそれぞれ約25店舗の管理責任を有し、毎月全店舗を訪問し、実績管

理表を基に店舗業務のチェックを行っている。

③ 業務チェックの内容はルーティンとしてのチェックとともに、月ごとにテーマを設定して行い、

そこで課題が上がった際にはエリアマネージャー上長である事業部長への報告を行う。また、

報告を受けた事業部長は必要に応じて店舗の再チェックを行っている。

④ 事業部長は毎月2回事業部の会議を開催し、業務上の課題や改善点に関する情報共有や

具体的な指示を行うとともに、指示に基づく改善が行われているか確認している。

2. 薬局管理者、中間総括者に対するコンプライアンス、ガバナンス教育・研修体制

① 薬局管理者である管理薬剤師は毎年、薬局長研修(社内研修・1 日)に参加することが義務づ

けられており、薬事全般から店舗や人的マネジメントなどについて学習を行っている。また、

期中に薬局管理者に就任した者については、キャリアアップ研修(次期薬局長候補社内研

修・1日)に参加することも義務付けている。

② 薬局長研修には中間的総括者である事業部長及びその上長である薬局運営本部長もオブ

ザーバーとして参加しており、学習内容の共有を図っている。

③ コンプライアンスの遵守徹底については、コンプライアンス文書を刷新し、年1回薬局長に対

してコンプライアンス研修(社内研修)を実施し薬局長から各店舗の従業員への周知を行って

いる。

R-1

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3. 第三者によるチェック機能

① 親会社の直属機関である内部監査室により、少なくとも毎年1回は全ての薬局店舗の業務

監査、会計監査が行われている。また、必要に応じて複数回実施することがある。

② 内部監査実施後には当該店舗に対して改善提案書を提示し、概ね1か月以内に改善報告書

を提出させることとなっている。

③ 薬事以外においても会社法と日本版 SOX 法(業務の適正確保と財務報告書の信頼性確保)

それぞれに準じた『内部統制』に対応している。

4. その他、各研修内容及び昨年度受講者数

新人社員研修 (10人)

接遇マナー・コミニュニケーション研修(423人)

健康サポート薬局研修(113 人)

保険薬局研修(415人)

キャリアアップ研修 「初級マネジメント」「保険薬局管理業務」「在宅業務」「薬局長マニュアル(薬

局長業務)について」「人事考課研修」(8人)

薬局長研修 「保険薬局の現状について」「患者様応対等について」「人事考課研修」

「医薬品管理について」(92人)

コンプライアンス研修 (98人)

マネージャー研修 「マネジメントとコーチング」(7人)

本社幹部研修 「コンプライアンスについて」「経営管理」(11人)

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Page 59: 日本保険薬局協会主要各社の ガバナンス確保、コンプライアンス … · へのヒアリング・チェックと改善指導を実施している。 ・薬局店舗への監査(資金管理、医薬品在庫、法令

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複数薬局開設企業におけるガバナンスの現状(実態)について S 社の状況

店舗数:約 600 薬局

1. 開設者、中間統括者、薬局管理者の役割と関係

(開設者は、以下のルートで様々な現場の情報把握に努めている)

① 組織体系

開設者 ― ブロック長 ― エリア長 ― 管理薬剤師

② 業務連絡体制

全体会議としてブロック長や本社関係スタッフで会議

ブロック会議、エリア会議など、各地域で開催

縦ではなく横串を入れて招集したメンバーによるテーマ別各委員会設置、開催

その他、グループウェアを使った回覧、ワークフロー処理や、グループアドレスを使った一斉メ

ール送信など使用。

ネットでの画像通信会議など。

2. 薬局管理者、中間統括者に対するガバナンス教育・研修体制 チェック体制

① 以下のすべての研修において法令遵守に関する講義を行う

新入社員研修、フォローアップ研修

2年目研修

3年目研修

スキルアップ研修

管理薬剤師研修

薬局運用研修

正社員事務研修

② 社内構築のe-ラーニング研修

③ ネットでの画像通信会議など

④ 外部弁護士を講師に、年に数回コンプライアンス研修を実施

(薬局運用部署の管理職以上と、本社全役員、スタッフ対象)

⑤ ジョブローテーションの定期的見直し

3. 第三者によるチェック機能

① 内部通報制度および公益通報者保護規程の周知徹底、それ以外に薬務・保険等に関する

別の相談窓口の設置(社内でも事案ごとの相談窓口の設置)

② 四半期に一度、法令遵守の自己点検、確認テストの実施、その集計保存

③ 毎月内部監査室による立ち入りチェックを行い、報告書を全役員、全部門長出席の会議で毎

月報告

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