日本の子どもを取り巻く貧困問題 ―貧困の再生産を中心に―第3節...

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0 日本の子どもを取り巻く貧困問題 ―貧困の再生産を中心に― 学籍番号:11151112 氏名:杉野史織 指導教員:遠藤元

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Page 1: 日本の子どもを取り巻く貧困問題 ―貧困の再生産を中心に―第3節 貧困の現状 第2章 貧困の再生産と子どもへの影響 第1節 貧困の再生産について

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日本の子どもを取り巻く貧困問題

―貧困の再生産を中心に―

学籍番号:11151112

氏名:杉野史織

指導教員:遠藤元

Page 2: 日本の子どもを取り巻く貧困問題 ―貧困の再生産を中心に―第3節 貧困の現状 第2章 貧困の再生産と子どもへの影響 第1節 貧困の再生産について

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序章 はじめに

第1章日本の所得格差と貧困

第1節 貧困の定義

第2節 所得格差の実態

第3節 貧困の現状

第2章 貧困の再生産と子どもへの影響

第1節 貧困の再生産について

(1)貧困の再生産という概念とその背景

(2)貧困の再生産の現状報告

第2節 子どもの貧困について

(1)子どもの貧困状況の数値化

(2)新聞による子どもの貧困の報道とその問題

(3)貧困研究者による子どもの貧困の実態

(4)貧困の再生産と子どもの貧困への対策

第3章 貧困の再生産を食い止めるための学習支援活動

第1節 学習支援活動に取り組む組織

(1)行政機関の取り組み

(2)民間団体の取り組み

第2節 民間団体の学習支援について

(1)アスポートの教育支援事業(埼玉県の取り組み)

(2)学習支援活動の取り組みの効果

第4章 結び

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序章 はじめに

2014 年2月、生活保護受給者が 216 万 6381 人という、生活保護制度が施行されて以来

最多の受給者数を記録した。さらに、2012 年には子どもの貧困率が 16.3%と、こちらも過

去最大の数値を記録した。日本は先進国であり、豊かな国であるとされてきたが、今日では

さまざまな貧困問題を抱える国へとなってしまった。

本論文は、日本における貧困の中でも、子どもたちに焦点を当て、その現状と課題を明ら

かにするものである。研究を進めるにあたって、「貧困の再生産」という概念をもちいて論

を展開していきたい。貧困の再生産とは、貧困の家庭で育った子どもが世帯を持つ時に、再

び貧困の家庭を形成してしまう、ということを指す。

戦後の日本社会では生活困窮者の救済のために、1950 年に新生活保護法が施行された。

これにより、戦前の深刻な不平等社会は徐々に平等に向かっていった。その後日本は高度経

済成長期を経て、所得格差も平等化していった。しかしバブル経済とバブルの崩壊をきっか

けとして所得格差が大きくなり、生活保護制度をもってしても、再びの不平化への波には逆

らえなかった。それからの日本社会は長期不況に伴い、失業者や非正規雇用労働者が増加し

た。こうした状況により、格差は拡大する一方である。

生活保護法によると、その目的は「日本国憲法第 25 条に規定する理念に基づき、国が生

活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度の応じ、必要な保護を行い、その最低限

度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(生活保護法第1条)と規定されて

いる。

しかし生活保護を受けて育った子どもが、大人になって再び生活保護を受けるという貧

困の再生産が実際に起こっている。貧困家庭で育った子どもは、学力や社会性に問題がある

ことがさまざまな調査により明らかとなっている。その原因として、貧困家庭の子どもに十

分な支援が行き渡っていないということが挙げられる。貧困家庭の子どもたちを守り、貧困

の再生産を食い止めるために、どんな取り組みを行えば良いか。筆者はこの問題を取り上げ

ることで、その課題と解決策を探求していきたい。

以下、本論では、戦後の日本から現在に至るまでの所得格差と貧困の問題を明らかにして

いく。そして、現在の貧困問題の中で最も重視すべきであると考える貧困の再生産について、

子どもの貧困の実態を踏まえて考察していく。さらに、今日行われている子どもの貧困に対

する支援活動について、現状と今後の展望、課題について検討していきたい。

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第1章日本の所得格差と貧困

第1節 貧困の定義

日本の貧困はすでに江戸時代には認知されていた。当時、貧困者は次のように定義されて

いた。「老いて子なき者、幼少にて父母なき者、老いて妻なき者、夫なき未亡人、障害者、

長期疾病者、天災を受けた者」である。これを現代風に言い換えると、単身高齢者、親を失

った子、寡婦、障害・疾病者、罹災者となる。江戸時代の貧困者は、現代のそれと重なる(橘

木・浦川 2006:4)。

20 世紀はじめ頃には、当時の貧困の実態をまとめた2つの書物が出版された。横山源之

助の『日本の下層社会』と河上肇の『貧乏物語』である。横山は著書の中で、小作人や手工

業者などの労働者が貧困者であると伝えた。河上は著書の中で貧困者には次の三種の定義

が考えられるとした。第1に富める者との比較による貧困者、第2に他者から経済救援を受

けている者、そして第3に経済学上からの貧乏線と呼ばれる所得水準以下にいる者である。

この3つの定義は現代の貧困研究にも通じるところがある。第1の定義は、いわゆる貧富の

格差に注目したものである。第2は、現代で言えば生活保護支援を受けている人とみなして

よい。第3はいわゆる絶対的貧困の見方である(橘木・浦川 2006:8)。

絶対的貧困とは、生存するために必要な栄養量や衣食住に事欠く、生きることさえ危うい

状況を指す。それに対して、相対的貧困という見方がある。これは平均的な所得と比較して、

一定のパーセンテージ以下の所得にある人を貧困とする。現在、OECD1は相対的貧困の観

点で、世界各国の貧困率を算出している。それによると、日本の子どもの貧困率は 2004 年

時点で 13.7%であり、約7人に1人が貧困状況にある。さらに 2009 年時点では、15.7%に

まで上昇していると報告されている(長谷川 2014:15)。

第2節 所得格差の実態

日本における所得格差は、貧困の増加に大きく関わっている。ここでは戦前からバブル経

済の崩壊までを概観することで、現代の貧困の歴史的原因を確認する。

戦前の日本は、深刻な不平等社会であった。まず厳格な身分制によって、華族や大土地所

有者、財閥などの高所得者が存在していた。さらに職業間の賃金格差もあり、一つの企業の

中でも階級や男女の違いによる賃金の差が大きかったことが報告されている(橘木 1998:

49)。戦後になると、財閥解体や教育の機会均等、労働民主化などの諸改革により、所得格

差は平等に向かった。

その後日本は高度経済成長を迎え、製造業では賃金上昇が広く浸透し、中小企業において

も賃金が向上した。この時の農家は兼業化の動きを見せ、さらに所得格差は平等に向かい、

1 Organization for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構の略。先進 34 カ国か

らなる国際機構である。OECD では、少子高齢化に伴う雇用問題・社会問題など共通する課題を抱える

加盟各国の政策の分析、データベースの構築、比較研究等を通じ、各国の経験の共有を図るとともに、課

題への適切な対応策等について検討しており、「世界のシンクタンク」とも呼ばれている。

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いわゆる「一億総中流」2の時代となった。しかし 1980 年代中頃からバブル経済が始まる

と、土地を持つ人と持たない人との間で所得格差が大きくなった。

ここで所得格差の指標としてよく利用されるジニ係数3をみることにする。それによると、

バブル経済期の日本の当初所得(賃金所得と財産所得の合計)による不平等度は、1986 年

で 0.405 と高い値を示している。国際比較の点からみても、ジニ係数が 0.4 を超えるのは、

所得格差がかなり大きいことを意味する。そしてバブル経済が崩壊すると、土地などの実物

資産分配の不平等度は減少傾向となったが、金融資産分配の不平等化は解消されなかった。

バブル崩壊後、1992 年のジニ係数の値は 0.439 であり、バブル経済時よりも高くなってい

る。これは先進諸国の中でも最高の不平等度である。

バブル崩壊後の日本経済は低成長時代に入り、所得格差に拍車がかかった。その主な原因

として2点考えられる。1点目は、賃金分配の不平等化である。日本の所得分配システム、

特に賃金決定の方式は中長期的にわたって変化してきた。かつて日本の賃金は、いわゆる

「春闘方式」と呼ばれる方式で決定されていた。春闘方式とは、毎年春になると、各産業別

に経営者の代表と労働組合が交渉を行い、毎年の賃金の上げ幅を決定することである。この

方式に対し、「分権化方式」というものがある。これは、中央で賃金を決めるのではなく、

各企業レベルで社員の賃金の伸び率を決める方式である。近年日本では、賃金決定の方式が

春闘方式から分権化方式へと移り変わっている。賃金の決定方式が「中央集権主義」から「分

権化」に移ることによって、3つのタイプの格差拡大が生まれる。具体的に、業績の良い企

業と悪い企業の格差が広がるという企業間格差、個人間の賃金格差、そして中央と地方とい

う地域間の所得格差である。

さらに、年功序列の賃金分配から能力・成果主義賃金分配へという変化もあり、不平等化

が見られる。

所得格差の2点目の原因として、日本の雇用システムの変化が挙げられる。不況が続く中

で、非正規雇用労働者(以下、非正規労働者)の数が非常に増えた。非正規労働者にはさまざ

まな種類があるが、代表的なものはパートタイマーである。決められた時間給(通常は正規

労働者よりも安い賃金)で、短時間の労働に従事するものである(橘木 2006:39)。雇用す

る企業側にとっては、労働コストを引き下げるだけでなく、不況期に雇用調整の手段として

利用できるなど、メリットが多い。今日、この非正規労働者の数が非常に増えている。1995

年、正規労働者 3779 万人に対し、非正規労働者は 1001 万人であった。それが、2005 年に

は、正規労働者 3374 万人に対し、非正規労働者は 1663 万人となった。つまり、この 10 年

間で正規労働者が約 400 万人減少し、非正規労働者が約 630 万人増加したことになる(橘木

2006:40)。正規労働者と非正規労働者の間には、1時間あたりの賃金格差や労働時間の差、

雇用期間の不安定さなどの格差が存在している。そのため、非正規労働者が増えるというこ

2一億総中流とは、1970 年代の日本の人口約1億人にかけて、日本国民の大多数が自分を中流階級だと考

える「意識」を指す。 3イタリアの統計学者ジニが考案した係数で、格差や不平等を計測する際に使われる数値。人々が完全平

等にいるときは0、逆に完全不平等にいるときは1となる。

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とは、格差拡大に直結すると考えられる。また、低成長期においては、不平等度が高まる恐

れがあると指摘されている(橘木 1998:19‐20)。GDP(国内総生産)が下がることと、所得

分配の不平等化が進行することは同時期に発生するため、今日の日本社会はまさに格差拡

大が進行しているといえる。

このように、経済的に豊かである日本社会だが、その一方で生活保護基準以下の所得しか

ない人が確実に増え、生活保護の支援を受けなければならない人が増えているというのが

日本社会の実態である。

第3節 貧困の現状

日本では、国民の意識として、世間一般からみると自分自身は中流であるという意識が強

く、その様態は「一億総中流」であると言われてきた。しかし、1990 年代以降長期的に経済

が低迷する中で、2000 年代前後から、「格差・貧困」という問題が注目されてきた。

貧困の現状を世帯類型に注目して分析する(表1参照)。世帯類型別にみると、一番貧困率

が高い世帯は母子世帯4である。現在、日本では離婚が増加しており、母子世帯になるケー

スが増えてきている。2011 年現在、母子世帯数は 123.8 万世帯に上る。母親が働きながら

1人で子どもを育てるということが、日本社会では容易ではないという現実が浮かび上が

っている(橘木 2006:71)。また離別の原因として、元夫の不安定就労が原因の1つである

ことが予測される(長谷川 2014:81)。

母子世帯の次に貧困率高いのは高齢単身者である。単身世帯の平均年齢は、1959年に24.8

歳だったのが、1994 年には 50.5 歳へと急激に上昇している。また、高齢単身者の世帯数

は、1960 年は 129 世帯だったのに対し、2005 年には 3865 世帯に増加した。この数字は、

単身世帯の約 26.7%に値する。さらに高齢単身者世帯は、2030 年には 7173 世帯にまで増

加するという予想がなされている(2011 年 厚生労働白書)。高齢化に伴い、高齢単身者の

世帯数は増加し続けているのである。高齢者世帯5(とりわけ単身の高齢者世帯)に生活保護

基準を下回る多数の貧困世帯が存在し、高齢者世帯の所得格差を広げることに相当程度貢

献している。高齢者世帯の所得格差が大きく、かつ高齢者世帯の貧困率が高いということは、

高齢者世帯に対する再分配政策が十分に機能していないと見なすこともできる(橘木・浦川

2006:227)。

高齢者の貧困率が増加しているのに対し、若年者の貧困率も高くなっている。若者が貧困

に陥る最大の要因は日本の不景気である。長期不況の影響を受け、若者の失業率が高くなっ

ている。2010 年、若者(15~34 歳)の完全失業率は 15.6%、フリーター6の数は約 83 万人

4 死別、離別、生死不明及び未婚等により、現に配偶者がいない 65 歳未満の女子と 18 歳未満のその子

(養子を含む)のみで構成されている世帯のこと。 5 男女とも 65 歳以上の者のみで構成されている世帯か、これらに 18 歳未満の者が加わった世帯のこと。 615~34 歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者とし、雇用者のうち勤め先における呼称は「パー

ト」又は「アルバイト」である者、完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」で

ある者、非労働力人口で、家事も通学もしていない「その他」の者のうち、就業内定しておらず、希望す

る仕事の形態が「パート・アルバイト」の者の合計である。

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と、2008 年以降増加傾向にある。このような経済環境下で企業が置かれている経営環境も

厳しさが続く中、雇用面においても、非正規雇用者非確立が年々上昇を続け、2011 年 10 月

~12 月期に 37.5%となり、長期失業者割合も同期に 44.2%となるほど厳しい状況が続いて

いる。

そして 2014 年2月には、216 万 6381 人という生活保護制度が施行されてから過去最大

の生活保護受給者数を記録した。図1は、景気変動と生活保護受給世帯・人員の推移を示し

た図である。1995 年以降の長期不況により、生活保護受給世帯・人員共に急激に増加して

いることが分かる。所得格差の拡大、不況による失業などが重なり、日本の貧困は今後ます

ます深刻化することが予想される。

表1 世帯類型別の被保護世帯数と構成割合の推移

被保護世帯

総数

高齢者世帯 母子世帯 傷病・障害

者世帯

その他の

世帯

2000 年度世帯数

(構成割合(%))

750,181

(100)

341,196

(45.5)

63,126

(8.4)

290,620

(38.7)

50,240

(7.4)

世帯保護率(‰) 16.5 43.9 106.1 9.3

2010 年度世帯数

(構成割合(%))

1,405,281

(100)

603,540

(42.9)

108,794

(7.7)

465,540

(33.1)

227,407

(16.2)

世帯保護率(‰) 28.9 59.1 153.7 18.4

出所:厚生労働省「第1回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」

「資料3-2生活保護制度の状況等について」

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第2章 貧困の再生産と子どもへの影響

第1節 貧困の再生産について

(1)貧困の再生産という概念とその背景

貧困の再生産7とは、生活保護世帯で育った子どもが、大人になって再び生活保護を受け

7貧困の再生産と同義で「貧困の連鎖」という言葉があるが、本論文ではすべて「貧困の再生産」で統一す

る。

出所:2013 年 厚生労働省社会・援護局保護課 生活保護等の概要等について

図1 被保護世帯、被保護人員、保護率の年次推移

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るということである。

現在、貧困に直面している保護者の中には、その子ども時代を貧困の中で過ごし、子ども

としての福祉を保障されてこなかったという者もいる。これが貧困の再生産という現実で

ある。貧困に伴い、狭められた選択肢や機会の不平等の連続性の中で、結婚生活や出産を迎

えることになる(宇都宮・湯浅 2008:98)。

貧困の再生産が起こる要因はさまざまあるが、典型的な例として次のような連鎖が挙げ

られる。子ども時代を貧困家庭で過ごし、家庭や塾等に通えないといった理由で十分な教育

を受けられず、社会性や学力が十分でないまま大人になり、自立できず再び生活保護を受給

する。このサイクルを示したのが下の図である。問題は、自分の世代だけでなく、次世代以

降にも貧困が継承されていくという点にある。

図2 貧困の再生産

(筆者作成)

(2)貧困の再生産の現状報告

関西国際大学の道中教授の調査(アスポート 2012)によると、生活保護受給者の4人に1

人は、育った家庭も生活保護世帯であったことが分かっている。道中教授は、大阪府堺市内

の福祉事業所管内で生活保護を受ける 3942 世帯から1割の 390 世帯を無作為に抽出し、調

査を行った。その結果、世帯主が育った家庭でも生活保護を受けていたのは、390 世帯中 98

世帯(25.1%)であった。このうち、2世代続けて生活保護を受ける率がもっとも高かったの

は母子世帯で、106 世帯中 43 世帯(40.6%)が該当していた。このうち、母親が 10 代で出産

貧困家庭で育つ

十分な教育を受けられない

進学・就職に不利になる

収入が少ない・不安定

大人になって再び生活保護を受ける

子どもも自分と同じ道を歩む(可能

性)

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した世帯は、28 世帯(26.4%)に上った。また、世帯主の最終学歴を比較すると、中学卒か高

校中退が 390 世帯中 283 世帯(72.8%)を占め、学歴が経済状況に大きく影響していること

が分かった(アスポート 2012:24)。

この調査結果から、世帯主の学歴や経済状況が、子どもの将来に直接関わってくるという

ことが明らかになった。そして、親の貧困が受け継がれる可能性がもっとも高いのは、母子

世帯であるということも分かった。道中教授は、「母子世帯は生活が困窮する中で、育児で

も行き詰まるという負の連鎖が見られ、貧困の固定化につながっている。どう貧困から抜け

出せるのか、国レベルの政策が必要である」と指摘している(アスポート 2012:24‐25)。

また、親の収入と子どもの学力には深い関係がある。文部科学省が実施した「世帯所得と

児童の学力の関係」では、親の収入が高い(1200 万円から 1500 万円)と、そうではない家庭

(200万円以下)を比べた場合、100点満点で 20点くらいの差があることが明らかになった。

経済的に余裕のある家庭では、子どもの教育に対し十分なお金をかけることができる。学習

塾に通わせる、家庭教師をつけるなど、「学校以外に質問できる環境」を用意することがで

きれば、子どもの学力が伸びる可能性は大きくなる。一方で、経済的に厳しい状況下にある

家庭では、親は家族の生活を維持することが精一杯で、子どもの学習環境を考える程の余裕

はないだろう。そのため、子どもの教育面に対して疎かになってしまい、子どもの学力は低

下してしまうという傾向が多く見られる。子どもの頃の学習環境が、のちに自立できるか、

再び保護を受けるかの重要なポイントとなる。

図3から、親の収入の高さと4年制大学への進学率は比例していると読み取ることがで

きる。年収 1000 万円以上の世帯は6割以上が4年制大学へ進学し、就職、専門学校、短期

大学への進路をとる者は極めて少ない傾向にある。一方、年収が低い世帯ほど、進学ではな

く就職を選択する者の割合が高い。学歴社会という考えが根強く残る日本において、4年制

大学へ進学するか否かが、その後の人生を左右する1つの分かれ道となっている。

図3 親の収入と高校卒業後の進路格差

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出所:東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター「高校生の進路追跡調査第

1次報告書」

第2節 子どもの貧困の実態

(1)子どもの貧困状況の数値化

子どもの貧困は、子どもが経済的困難によってさまざまな機会が奪われた結果、人生全体

に影響を与えるほどの多くの不利を負ってしまうことを意味する。人間形成の重要な時期

である子ども時代を貧困の中で過ごすことは、成長・発達に大きな影響を及ぼし、進学や就

職における選択肢を狭め、自らの望む人生を選ぶことができなくなる恐れがある。本来、こ

の問題は社会全体で保障するべきであるが、現状は個々の親や家庭の責任とされ、解決が難

しい重大な社会問題として注目されている(子どもの貧困白書編集委員会編 2009:10)。

図4に示したように、子どもの貧困は、1990 年代後半から急増と深刻さがあらわになっ

てきた。子どもの貧困率(18 歳未満の子ども)は 1985 年 10.9%だったが、2012 年には 16.3%

と、過去最悪を記録した。これは子どもの6人に1人が平均的な所得の半分を下回る世帯に

暮らしているということになる。子どもの貧困率とは、子ども全体の中で何パーセントの子

どもが貧困ラインを割った世帯に属しているかを示す数値である(長谷川 2014:15)。

子どもの貧困率が上昇する要因として、3つ考えられる。第1に、家族構成の変化である。

ひとり親世帯の増加や、3世代世帯の減少などにより、家族の防貧機能が低下している。第

2に、日本の経済状況の悪化である。経済状況の悪化により世帯の所得が減少し、子どもの

貧困に拍車をかけている。そして第3に、社会保障制度の防貧機能の低下である。

図4 相対的貧困率と子どもの貧困率の年次推移

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出所:厚生労働省統計より筆者作成

(2)新聞による子どもの貧困の報道とその問題

子どもの貧困の実態は、新聞等のメディアで多数取り上げられている。以下は、朝日新聞

に掲載された子どもの貧困の記事を抜粋したものである。

・小学6年生のエイジ君(仮名)は、2部屋のアパートで母と2人暮らし。母は長く子宮筋腫

とうつ病を患い、筋腫による腰痛で動けない日もある。酒癖が悪く、暴力をふるう夫とは、

エイジ君が6歳の時に離婚している。母はタクシー運転手やパート仕事をしていたが、病状

が悪化し、数年前から生活保護だけに頼っている。母は手術が必要だが、それには1週間の

入院が伴い、その間エイジ君の面倒をみる人がいなくなってしまうため、病気は進行するが

我慢しているという状態である。母は「自分は我慢できる。でも息子には経済的な理由で将

来を諦め、希望を捨てるようなことはさせたくない。せめて高校を卒業し、自力で生活でき

るようになってほしい。しかし、こんな暮らしぶりで勉強をがんばることができるのか心配

だ」と言う。エイジ君は「勉強は苦手だけど、ちゃんと稼げるようになって、ママを助けた

い」と話す。

(『朝日新聞』2013 年 8 月 21 日)

・中学3年生に進級したばかりの頃、Aさんの父が肺がんで倒れ、仕事を辞めざるを得ない

状況となった。母が必死に内職をして、Aさんと兄を育てた。Aさんは幼い頃から保育士に

なることを夢見ていたが、そんな家計の中で夢を実現することは相当困難であった。しかし、

母の頑張りのおかげで何とか資格を取り、仕事を得て働くことができた。Aさんは、「家庭

の貧困は、子どもの人格形成に影響し、格差社会につながる負の要素が詰まった問題だと実

感する。貧困の再生産を断つために、政府は子どもが夢を諦めなくても良いように、希望を

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持てる社会を作ることに全力を尽くしてほしい。政治家の皆さんには、庶民がどんな暮らし

をしているかよく見てほしい」と話す。

(『朝日新聞』2013 年 6 月 24 日)

・「子どもは何も悪いことをしていないのに、辛い思いばかりさせてきた」Bさんは、7年

前に夫を病気で亡くした。当時小学生だった2人の息子を育てるため、病院の調理補助のパ

ートの他、仕事をいくつも掛け持ちした。それでもぎりぎりの生活で塾には通わせられず、

旅行にも連れて行ってやれなかった。父の闘病生活を見ていた長男(18)は、看護師を目指し、

2つの奨学金を借りて現在大学で学んでいる。Bさんは「返済しなくて良い給付型奨学金が

必要だと思う。やっぱり僕たちはダメなんだ、ではなく、夢に向かって進んで良いと思える

社会であってほしい」と期待を込める。

(『朝日新聞』2013 年 5 月 19 日)

・東京都内の男性(21)は、時々バイトをしながら夜間大学に通っている。生まれたときから

父はおらず、母は精神的に不安定で働くことができない。中学生の時、育ててくれていた祖

父母が職を失い、生活保護で暮らすことになった。いつも成績は学年上位で、都立の進学校

に入学した。しかし、祖母は亡くなり、祖父は認知症になり、男性は学校を休みがちになっ

た。男性は「お金が無いなら学校に行かず働けばいいなんていうのは恵まれている人の意見。

お金が無いと不利が重なり、選べることが減っていく。そして、子どもから選択肢を奪って

いる。」と話す。

(『朝日新聞』2013 年 5 月 19 日)

以上、朝日新聞の4つの記事を概観してきたが、子どもの貧困に共通して言えるのは、経

済的に苦しいことやさまざまな家庭事情によって、子どもは自由な将来選択ができないと

いうことである。ただ、ここで取り上げられた人々は、苦しい環境下でも夢を実現しようと

いう努力ができている。しかし、実際には将来を諦めて無気力な状態に陥ったり、努力をし

ても無駄だ、と諦めてしまったりする人も多く存在する。このように偏った事例ばかりが取

り上げられてしまうと、貧困の訴えが単なる感動話にすり替えられてしまうのではないか。

さらにそのような見方が定着してしまうと、貧困の深刻さが軽く扱われてしまうのではな

いかと危惧する。そのため新聞記事は、より公平に貧困問題を取り上げるべきだと考える。

(3)貧困研究者による子どもの貧困の実態

前項では、新聞メディアは一見貧困問題を社会に伝えているように思われるが、実は貧困

世帯の中でも努力することができる子どもしか取り上げていないという問題を明らかにし

た。本項では貧困研究者の著作から、貧困世帯の子どものより具体的な報告を掲載したい。

立教大学の浅井教授は、貧困世帯では、「学校給食だけが1日の中で唯一の食事」という

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子どもや、経済的理由で高校を退学したり、大学進学を諦めてしまったりしている子どもが

いる。また、学用品はすべて 100 円ショップで買うほかないという現実も少なくない。こ

のように、生活実態の不平等があるだけでなく、新自由主義が強調する機会の平等さえ保障

されていないというのが現実である。これらの「子どもの貧困」の実態が、希望・意欲の喪

失、人生そのものへの諦めへと繋がっており、人生の早い時期からドロップアウトしていく

可能性を高めていく、と報告している(宇都宮・湯浅編 2008:108)。

また、琉球大学の長谷川教授は、貧困家庭には貧困特有の文化があると報告している。そ

の中で育つ子どもたちはその文化の影響を強く受けているが、学校は中流階級文化に基づ

いた社会的制度の側面を持っているため、貧困家庭の子どもたちは、社会だけでなく、学校

においても周縁化、疎遠化されることとなるという(長谷川 2014:23)。

さらに社会福祉士の大山氏は、学校生活になじめず進学できなかった子どもたちは、低学

歴でかつ十分な社会性が育たないまま社会に出ることになる、と報告している。そうなると

彼らが経済的に自立することは難しくなり、アルバイトや派遣労働者といった仕事をして

も、職場に馴染めず、ひきこもり状態が続き、精神疾患を発症することもある、としている。

その上で、「特別な支援が必要な子ども」と「社会性を身につけられない若者」は、地続き

であることが理解されなければならない、と警鐘を鳴らしている(子どもの貧困白書編集委

員会編 2009:231)。

以上のように貧困の研究者たちは、新聞報道がするものよりもずっと深刻に、子どもたち

の貧困を伝えている。しかしこうした研究書は、一般の人々の目に触れる機会は少ないと考

えられる。そのため、子どもの貧困は長い間見過ごされてきたのではないか。行政が本格的

に子どもの貧困対策を講じるようになってきた今日、メディアや学校は研究者の発言を正

しく認識し、理解する必要があると考えられる。

(4)貧困の再生産と子どもの貧困への対策

前述してきたように、貧困の再生産の多くは親の収入によって決定されるものである。そ

のため対策は、家庭の収入を上げるなどの金銭に関する支援が議論の中心となってきた。

しかし子どもの貧困を考える時に、当事者である子どもの視点で見直すと、彼らの精神面

の支援も必要であることが分かる。子ども主体で貧困を考えるために、マズロー8の欲求5

段階説を引用する(図5を参照)。それによると、人間の欲求は5段階のピラミッドのように

構成されている。程度の低い欲求順に「生理的欲求」、「安全の欲求」、「所属と愛情の欲求」

という3つの外的欲求がある。生理的欲求とは、食欲や睡眠欲など人間の本能的な欲求であ

る。安全の欲求とは、身の安全や安心感を求めるものである。所属と愛情の欲求とは、集団

に属し仲間が欲しいという欲求である。その上に「自己尊重の欲求」、「自己実現の欲求」と

いう順で内的欲求が挙げられている。自己尊重の欲求は、他者から尊敬されたいという欲求

である。そして自己実現の欲求とは、自己のなり得るあらゆるものになろうと思う欲求であ

8アブラハム・ハロルド・マズロー(1908-1970)アメリカ合衆国の心理学者。

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る。

貧困世帯の子どもは、家庭内で経済的な理由から生理的欲求や安全欲求が満たされてい

ない場合がある。そのため、より高度な欲求を求めることができないのである。不登校の子

どもは、集団に属したいという社会的欲求を満たされることを阻害されたり、そもそも社会

的欲求を求めていなかったりすることが、その一因であると考えられる。学校に通う子ども

たちの中でも、他者から認められたいという尊厳欲求や、自己目標を達成したいという自己

実現欲求が満たされていない場合がほとんどである。「誰からも必要とされず、邪魔者のよ

うに扱われ、自分を否定するしかない子どもたち」が増えているという報告もある(アスポー

ト 2012:29)。

図5 マズローの欲求5段階説

出所:ホフマン・エドワード (2002)より筆者作成

以上のように、貧困の再生産と子どもの貧困の対策には、金銭面だけでなく、子どもたち

の精神的な支援も必要である。貧困家庭の子どもには「頑張る」「努力する」「褒められる」

といった経験が少ない。そのため、自分に自信を無くしてしまい、自身の将来を見失いがち

である。今後、家庭はもちろんのこと、学校や地域でも子どもたちの自己肯定感を感じられ

るようにすることが求められるだろう。

第3章 貧困の再生産を食い止めるための学習支援活動

本章では、前章までに述べてきた貧困の再生産に対して、それを打開するための手助けを

自己実現の欲求

自己尊重の

欲求

所属と愛情の欲求

安全の欲求

生理的欲求

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している行政活動や民間団体の学習支援活動を取り上げていく。第1節では全国的な視野

で、ここ数年の行政や民間団体の教育支援活動の取り組みとそこでの課題を明らかにする。

第2節では、埼玉県の民間団体の取り組みについて取り上げる。その理由は、筆者が生活保

護受給者チャレンジ支援事業(以下アスポート)に参加した経験があるためである。筆者が

実際にその活動に接してみて考えたことを報告したい。

第1節 学習支援活動に取り組む組織

(1)行政機関の取り組みと課題

貧困世帯と関わりのある省庁は、社会保障を謳う厚生労働省である。厚生労働省には雇

用均等・児童家庭局9という部署が組織されており、その中の家庭福祉課が貧困世帯の支援

活動に取り組んでいる。具体的には、1996 年度から「ひとり親家庭生活支援事業」という

取り組みが始められた。この事業の目的は、ひとり親家庭の児童生徒が生活の中で直面する

諸問題を解決することや、彼らの精神的安定を図ることである。その活動の中で、児童生徒

の教育を考える動きも高まってきた。それが学習支援ボランティア事業である。

学習支援ボランティア事業は、2012 年度に創設された。それは、十分な教育が受けられ

ないひとり親家庭の児童生徒に、学習の支援や進路相談の機会を与えるものである。事業実

施主体は基本都道府県や市町村であるが、母子寡婦福祉団体やNPO法人等に委託も可能

となっている。当該の学習支援員やボランティアは、地域の施設を借りて学習支援を行った

り、進学相談にのったりする。場合によっては家庭に支援員を派遣したりもする(厚生労働

省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課 2014)。

学習支援ボランティア事業が全国的に広がり、各地でモデル事業が実施された。その中で

も、福岡県春日市で現在もなお続けられている学習支援事業の要項を以下の表2で紹介する。

表2 福岡県春日市 社会福祉法人福岡県母子寡婦福祉連合会 学習支援事業

事業名 ひとり親家庭のための学習支援ボランティア

所管部署 福岡県福祉労働部児童家庭課

9雇用均等・児童家庭局とは、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策、職業生活と家庭

生活との両立支援対策、パートタイム労働対策、家内労働対策、在宅ワーク対策など、雇用の場をはじめ

家庭、地域に男女が共同して参画できる社会の実現のための施策を総合的に展開するとともに、急速に進

行する少子化などに対し、保育サービスなどの子育て支援対策、児童虐待防止対策、母子家庭及び寡婦の

自立支援対策、児童の健全育成対策、児童手当、母子保健医療対策など、子どもと家庭に関する福祉、保健

医療、手当の諸対策を総合的に推進する。

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事業開始時期 2013 年4月

事業立ち上げの経緯 ひとり親家庭の児童に学習支援や進路相談を行

うことで、学力の向上を目指し、将来的に子ども

たちの安定的な就労につなげることを目的に、厚

生労働省雇用均等・児童家庭局が 2012 年度から

始めた学習支援ボランティア事業について、福岡

県でも 2013 年度から取り組むことにした。年度

前半で、学習支援の担い手となるボランティアを

公募し、担い手が確保できた地域から順次、子ど

もの利用希望の把握、活動場所の確保を進め、

2013 年8月以降各地で活動を立ち上げている。

対象となる子どもの学年 主に小学生・中学生

対象となる子どもの世帯要件 ひとり親家庭

・個人情報管理はリスクが高いため、資格要件を

確認する書類の提出等を求めることはなく、利用

申請時の家族構成の自己申告をそのまま受け入

れている。

・事業趣旨からみて、世帯要件はある程度柔軟に

解釈できた方が良い印象である。

対象となる子どもの居住地域の要件 福岡県内全域(ただし、北九州、福岡市及び久留米

市を除く)

支援対象者数 ・学習塾形式:12 ヶ所、117 世帯 158 人

・家庭教師形式:4世帯6人

・申込者数は 270 人

・口コミで情報が広まり、当初計画していた人数

より利用者は多くなっている。

※2014 年1月 21 日現在

事業の実施主体 福岡県福祉労働部児童家庭課

事業の委託先(実施機関) 社会福祉法人福岡県母子寡婦福祉連合会

学習支援を行っているスタッフ 連合会に、学習支援ボランティアの募集・選定、

教材の作成、派遣調整等の管理を行うコーディネ

ーターを1名配置している。実際に支援を行うの

は、大学生、教員 OB 等のボランティアで、特に

資格要件等は課していない。交通費事実費として

1000 円/回

出所:加瀬(2014)70‐71 頁より筆者作成

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学習支援事業を実施する上での課題として、以下の点が挙げられている。

・低学年は2時間も勉強が続かないため、活動方法を工夫する必要がある。

・ボランティアの中には「勉強を邪魔する子どもは来させない方がよい」といった意見もあ

るため、この事業は子どもの居場所づくりでもあることを理解してもらう必要がある。

・県内全域で活動し、活動曜日、時間帯がさまざまなので、ボランティア全員が集まって研

修を開くことが難しい。

・ボランティアに対し交通費を支弁しているが、今後活動が拡大した場合に、財源が確保で

きるかが課題である。

・子どもが在籍する学校と連携が取れると、必要な子どもに支援が届きやすくなると考えら

れる。ただし、この事業は厚生労働省所管の事業であるため、現在は教育委員会にも情報

を提供していない。学校との連携は今後の課題である。

この学習支援事業の効果として、子どもの学力が上がってきた等の報告がされている。

今後はこのような事業の取り組みの効果を具体的に示し、より効率的に支援をしなければ

ならないと考えられる。また、学習支援事業は長期的支援にあたるため、市町村が持ち出

しで立ち上げることは、財政状況の面でかなり難しい。そのため、市町村に比べ財源の確

保がしやすい都道府県が、リードして事業を立ち上げることの意義は大きく、重視する必

要がある。

子どもの貧困の支援事業の問題として、行政の取り組みの開始が遅いことが指摘される。

子どもの貧困率の調査は 1985 年に開始されているにもかかわらず、具体的な対策は 20 年

以上も講じられなかったのである。次項で取り上げる民間団体の中には、1980 年代に組織

されていたものまである。このことから、行政機関は子どもの貧困に対して、まだ認識が甘

いのではないかと考えられる。今年はこの学習支援ボランティア事業が開始されてまだ2

年目であるため、今後の発展に期待したい。

(2)民間団体の取り組み

本項では、貧困世帯の子どもたちに学習支援を施している民間団体について取り上げる。

前項でも述べたように、民間団体は行政機関よりも子どもの貧困に対して、早い時期から対

策を講じていた。近年子どもの貧困を支援する民間団体が各地で増加しているが、その先駆

けと言われているのは、1987 年に東京都江戸川区で始められた「江戸川中3勉強会」であ

る。

この団体は、生活保護世帯のケースワーカーや福祉事務所、区職員有志が始めたものであ

る。毎年5月から2か所の集会所を会場とし、週に1回2時間の学習支援を行っている。ま

た、学習だけでなく「子どもが安心して相談できる居場所」としての役割も果たしている。

活動資金は寄付金に頼っているために、対象となる子どもたちは生活保護受給世帯の中学

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3年生に限られている。この団体の長年にわたる活動の成果として、同じような学習支援事

業が全国各地に広がった。たとえば首都圏では、2008 年に横浜市で始まった「あすなろ塾」

や、2009 年に「杉並中3勉強会」などがある(加瀬 2014:121-122)。

福祉事務所や職員有志が始めた事業のほかに、元教員と定時制・通信制高校に通う子ども

をもつ親が始めた学習支援事業もある。名古屋市の「ポトスの部屋」という無料学習教室で

ある。ここは2012年に代表者が当時経営していた鉄工所の事務所を教室にして始められた。

以下、朝日新聞に掲載されたポトスの部屋に関する記事を紹介する。

名古屋市には、「ポトスの部屋」という無料学習教室がある。この学習教室は、元教員 19

人と、子どもを定時制・通信制高校に通わせた親でつくられた。代表の山田さんは、娘の

不登校に悩んだ経験があり、親の相談にのる活動をしてきたが、子どもの居場所もつくる

べきだと、2012 年7月に、当時経営していた鉄工所の事務所を教室にしたという。「ポト

スの部屋」は、学習支援だけでなく、生活や健康面にも気を配っている。服が汚れていて、

十分な養育を受けていないことがうかがえる利用者には、スタッフが一緒に銭湯へ行き、

体や髪の洗い方を教える。家庭で十分な教育を受けられない子どもたちに、親目線での支

援を施している。

(『朝日新聞』2014 年 1 月 21 日)

この他にも、弁護士が個人資産を投じて基金を設立し、貧困の再生産を断ち切るための資

金援助をしている活動も行われている。

このように、社会福祉事務所や元教員、また大学生のボランティアなどが貧困家庭の子ど

もたちの支援をする団体が、全国各地で多数存在する。その多くは「学習」が中心の支援事業

である。またこれらの支援事業で、支援の対象となる子どもの学年については、中学3年生

が最も多く 94.9%、続いて中学2年生が 79.5%、中学1年生が 76.9%となっている(加瀬

2014)。支援の中心が中学生であるということから、高校進学を1つの大きな目標としてい

るということがうかがえる。

第2節 民間団体の学習支援について

(1)アスポートの教育支援事業(埼玉県の取り組み)

埼玉県では、「いつでも、どこでも、何度でも、誰でも」挑戦できるような社会をつくる

ことを県政の基本理念としている。アスポートはこの理念に基づき、埼玉県の福祉政策の一

環として、2010 年9月に発足した。この団体は、生活保護受給者を教育・就労・住宅の3

つの分野で支援する取り組みを行っている。こうした総合的な支援制度によって、貧困の再

生産を食い止めるために活動している。本項ではその中でも、教育支援事業に焦点を絞って

みていきたい。

アスポートの教育支援事業は、生活保護受給世帯の中学生の子どもたちを対象にしてい

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る。生活保護を受けて育った子どもたちが、大人になって再び生活保護を受けることがない

ようにするには、まず教育が必要である。つまり教育によって、子どもたちの貧困の再生産

を防ぐことになるのである。そして対象年齢の設定理由は、高校への進学が貧困の再生産の

重要なポイントになるからである。高校に進学し、無事に卒業したかどうかで、貧困の再生

産の発生率は大きく変わることが報告されている。

初年度のアスポートは、教育支援員 30 人に加え、県内の大学から学生ボランティアを募

り、教育支援事業を始めた。当時はマンツーマンの指導を徹底するために、中学3年生のみ

を対象としていた。しかし現在では、他学年の子どもを持つ家庭からのニーズの増加と、学

生ボランティアの増加を受けて、中学生のみならず高校生の学習支援も行っている。

さらにアスポートでは、七夕会やクリスマス会など季節ごとのイベントも企画している。

これは、子どもたちがボランティアとの交流を通して、社会性や協調性も身につけてほしい

という期待からである。そうした集団活動を経験させることによって、高校進学だけでなく、

退学をさせないというアフターケアもしている。

このように、アスポートの教育支援事業は、教育支援員と大学生ボランティアによる中学

生対象のマンツーマン指導であること、さらに高校進学だけでなく、退学をさせない取り組

みも行っている。そうすることが、貧困の再生産を防ぐのに重要な役割を担っているのであ

る。

(2)学習支援活動の取り組みの効果

貧困家庭の子どもの多くは、低学力という問題に直面している。中学校1年生で習う正負

の数の計算で躓いている子だけでなく、小学校低学年で習っている「掛け算九九」の練習が

必要な子さえいる。基礎ができていないために学校の勉強についていけない、勉強について

いけないから学校が嫌になってしまう、という負のサイクルに陥っている子も少なくない。

また、子どもたちは勉強に関して「何がわからないのかわからない」「どこから手をつけてい

いのかわからない」というような悩みを抱えている。このように、勉強が好きな子はほとん

どいない。

ここで、学習支援事業の効果をアスポートの取り組みを例にみていく。2009 年度の埼玉

県の生活保護世帯の高校進学率は 86.9%で、県全体の高校進学率と比較すると 10 ポイント

低くなっている(アスポート 2012:51)。今日の社会状況を考えると、彼らが中学校卒業程

度の学歴で、安定した就職先を見つけ自立するのは困難である。幅広い進路選択を可能にし、

将来の自立の基盤をつくるために、高校への進学は大きな意味がある(アスポート 2012:

62)。

2011 年度は教室に参加した中学3年生 305 人のうち、292 人が高校に進学した。進学率

は 95.7%であり、事業開始前の 86.9%と比べ、10 ポイント近く進学率を向上させることが

できた。この成果の背景には、学生ボランティアによるマンツーマンでの支援というのがあ

る。どのような困難な条件にある子どもに対しても、ボランティアが一人一人にあった学習

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支援を丁寧に施している。また勉強だけでなく、「成績が悪くて受験が心配」「一人では勉強

の仕方がわからない」という子どもの精神面をサポートする役割も果たしている。アスポー

トだけでなく、学習支援事業の多くがマンツーマンでの支援を取り入れている。

学習支援事業は、貧困の最中にある生活保護世帯の子どもたちが、複合的な困難を抱えが

ちであること、しかし周囲から手助けがあればみずからの力で人生を切り開いていくエネ

ルギーを持っていることを示している(アスポート 2012:62)。

朝日新聞社の全国世論調査10によると、9割近くの人が教育予算を充実させるべきだと回

答した(『朝日新聞』2011 年 1 月 1 日)。子どもたちの将来を明るくするために何が一番必

要かという質問には、「経済など社会の仕組み全体を改善する」が 49%、「家庭や家族がし

っかりする」が 37%、「学校教育を良くする」が 11%と最も少数であった。子どもの未来は

学校だけで切り開くのは難しく、社会や家庭全体が関わっていくことが必要だということ

がうかがえる。また、子どもにかかる費用について「社会全体で支援するべき、公的な支出

をもっと増やすべきだ」が 60%、「個人の責任でするべきだから公的な支出は今の程度で良

い」は 37%だった。学ぶ機会に関しては、子どもが受けられる教育の内容に差が出ないよ

うにすべきだという意見が多かった。特に貧困世帯の子どもに対して、国や自治体がその支

援をすべきだという意見には、実に 81%の人が賛成した。経済力によって子どもが受ける

教育の内容に差が出ないこと、全ての子どもに基礎的な学力を身につけさせることという

平等意識が広がっている。長く問題視されてこなかった子どもの貧困問題だが、今日では国

民の多くが認識しているということが分かる。そしてこの調査の結果から、子どもの学ぶ機

会の均等化が、子どもの貧困を削減に導く1つの要点であると考えられる。

第4章 結び

子どもの貧困が悪化する中、近年ではこの問題が広く注目され始め、新たな対策が始めら

10 調査方法:全国の有権者から選挙人名簿で 3000 人を選び、2010 年 12 月に調査員が個別に面接調査を

実施した。有効回答は 1995 人、回答率は 67%で、回答者の内訳は男性 49%、女性 51%である。

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れようとしている。

「文部科学省は所得の低い家庭が多い公立小中学校の教員を 2015 年度からの 10 年間で

2000 人増やす方針を固めた。塾に行けない子に放課後補修を行うことで貧困の再生産を断

ち切るのが狙いである。低所得者対策として教員を増やすという取り組みは、初めてのこと

である」(『朝日新聞』2014 年 8 月 26 日)。

これは子どもの貧困問題に関して、文部科学省が新たに始めようとしている対策が書か

れた朝日新聞掲載記事の一部である。子どもの貧困率が増加する中、学力調査により年収の

低い家庭ほど成績がふるわない傾向にあることが分かっている。貧困家庭の子が、放課後の

補習や少人数教育を受けやすくするために、教員の定数を増やすこととなった。教員を増や

すのは、所得が低い世帯が 25%を占める生徒数 100 人以上の学校で、現在全国に約 2000

校存在する。今後 10 年間で教員を各校に1人ずつ配分し、2015 年度の概算要求に 200 人

分の約4億円を盛り込むという計画である。さらに、中学生を対象に大学生や教員OBらが

講師となって教える「未来地域塾」を公立中 2000 校で実施するとされている。文部科学省

はこの他、貧困家庭の相談を受けるスクールソーシャルワーカーを約4100人に大幅増員や、

年収の低い世帯の高校生向けの奨学給付金を 115 億円に拡充するなどの対策を検討してい

る。

子どもの貧困について、ロンドン大学政治経済学院のデビッド・ピアショ教授の研究によ

ると、ライフチャンスのかなりの部分が4歳前後までに決まるということが調査により明

らかになっている。学習習熟度や、仕事について社会性が身についているかについて、16 歳

で心配し始めるのは遅いという。また、貧困対策プロジェクト自体と同じくらい、その効果

測定の研究にお金をかけることが大事であるということも指摘している。日本ではさまざ

まな支援活動がなされているが、その影響が評価されているかどうか、研究を続ける必要が

あるという。この彼の研究からみると、今日日本で行われている学習支援事業の対象は主に

中学生であり、子どもの支援を開始する時期が遅いということがうかがえる。そして、もっ

と早い段階から支援をし始めた方が、より有効的な支援に繋がるのではないかと考えられ

る。また学習支援事業では、勉強を教えるだけでなく、子どもたちの居場所づくりとしての

役割も重視しなければならない。さまざまな事情を抱えている貧困家庭の子どもたちにと

って、居場所をつくってあげるということは非常に重要である。社会性を身につけることに

よって、勉強への意欲、自分に対する自信へと繋がっていくのである。

子どもは日本社会の将来の担い手である。経済的な理由により、学びたくても学べない子

どもがまだまだたくさんいるというのが現状である。私たちは、これをもっと深刻な社会問

題として受け止めるべきである。そして、今後日本の貧困がもっと多くの人々に認識され、

子どもが安心して学べる社会になることを筆者は願っている。

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参考文献表

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・東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター 2007.『高校生の進路追跡

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・「(教育@東京)貧困の連鎖断つ試み 20 年 江戸川、中 3 に無償勉強会/東京都」2008

年9月 26 日

・「(教育 あしたへ)子どもの未来、守りたい 朝日新聞社世論調査」2011 年1月1日

・「困窮の鎖、断ち切れ 夢や進学「選ばせて」子どもの貧困対策法求めデモ」2013 年5

月 19 日

・「(いま子どもたちは)欲しいって言わない:1 稼いでママを助けたい」2013 年8月 21

・「貧困断つ 学習支援基金 大阪の弁護士、資産4億円で設立」2013 年 10 月7日

・「子どもの貧困、待ったなし 対策法施行、負の連鎖断つ取り組み」2014 年1月 21 日

・「教員、10 年で 2000 人増 低所得家庭多い小中校に」2014 年8月 26 日